IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セルガード エルエルシーの特許一覧

特開2023-30093リチウムイオン二次電池用のポリラクタムコーティングセパレータ膜および関連コーティング配合物
<>
  • 特開-リチウムイオン二次電池用のポリラクタムコーティングセパレータ膜および関連コーティング配合物 図1a
  • 特開-リチウムイオン二次電池用のポリラクタムコーティングセパレータ膜および関連コーティング配合物 図1b
  • 特開-リチウムイオン二次電池用のポリラクタムコーティングセパレータ膜および関連コーティング配合物 図2a
  • 特開-リチウムイオン二次電池用のポリラクタムコーティングセパレータ膜および関連コーティング配合物 図2b
  • 特開-リチウムイオン二次電池用のポリラクタムコーティングセパレータ膜および関連コーティング配合物 図3a
  • 特開-リチウムイオン二次電池用のポリラクタムコーティングセパレータ膜および関連コーティング配合物 図3b
  • 特開-リチウムイオン二次電池用のポリラクタムコーティングセパレータ膜および関連コーティング配合物 図4
  • 特開-リチウムイオン二次電池用のポリラクタムコーティングセパレータ膜および関連コーティング配合物 図5
  • 特開-リチウムイオン二次電池用のポリラクタムコーティングセパレータ膜および関連コーティング配合物 図6
  • 特開-リチウムイオン二次電池用のポリラクタムコーティングセパレータ膜および関連コーティング配合物 図7
  • 特開-リチウムイオン二次電池用のポリラクタムコーティングセパレータ膜および関連コーティング配合物 図8
  • 特開-リチウムイオン二次電池用のポリラクタムコーティングセパレータ膜および関連コーティング配合物 図9
  • 特開-リチウムイオン二次電池用のポリラクタムコーティングセパレータ膜および関連コーティング配合物 図10
  • 特開-リチウムイオン二次電池用のポリラクタムコーティングセパレータ膜および関連コーティング配合物 図11
  • 特開-リチウムイオン二次電池用のポリラクタムコーティングセパレータ膜および関連コーティング配合物 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023030093
(43)【公開日】2023-03-07
(54)【発明の名称】リチウムイオン二次電池用のポリラクタムコーティングセパレータ膜および関連コーティング配合物
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/451 20210101AFI20230228BHJP
   H01M 50/457 20210101ALI20230228BHJP
   H01M 50/443 20210101ALI20230228BHJP
   H01M 50/434 20210101ALI20230228BHJP
   H01M 50/414 20210101ALI20230228BHJP
   H01M 50/403 20210101ALI20230228BHJP
   H01M 50/417 20210101ALI20230228BHJP
   H01M 50/44 20210101ALI20230228BHJP
   H01M 50/446 20210101ALI20230228BHJP
【FI】
H01M50/451
H01M50/457
H01M50/443 M
H01M50/434
H01M50/414
H01M50/403 D
H01M50/417
H01M50/403 B
H01M50/44
H01M50/403 Z
H01M50/446
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022204595
(22)【出願日】2022-12-21
(62)【分割の表示】P 2021033340の分割
【原出願日】2015-12-29
(31)【優先権主張番号】62/099,636
(32)【優先日】2015-01-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/097,199
(32)【優先日】2014-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】598064680
【氏名又は名称】セルガード エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ジオン,インシック
(57)【要約】      (修正有)
【課題】充電式リチウムイオン電池に使用された場合に、優れた熱安定性および化学的安定性、微多孔質ベース基質、膜、および/もしくは電極への優れた接着性を有するか、かつ/または熱収縮に対する改善されたもしくは優れた抵抗、寸法保全性、および/もしくは酸化安定性を有する、微多孔質電池用セパレータのためのコーティングを提供する。
【解決手段】ポリラクタムと、セラミックと、ポリビニルアルコールと、を含有するポリラクタムセラミックコーティングを片面又は両面に施した微多孔質電池用セパレータ膜であって、ポリビニルアルコールは、ポリラクタムに対して0.1~90重量%の範囲で含有し、ポリラクタムは所定の一般式で規定される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリラクタムと、セラミックと、ポリビニルアルコールと、を含有するポリラクタムセラミックコーティングを片面又は両面に施した微多孔質電池用セパレータ膜であって、前記ポリビニルアルコールは、前記ポリラクタムに対して0.1~90重量%の範囲で含有し、前記ポリラクタムは以下の一般式で規定される:
(式中、R、R、R、及びRは、アルキル置換基又は芳香族置換基であり、Rは、アルキル、芳香族、又は縮合環であり、前記ポリラクタムは、好ましくは、ホモポリマー又はコポリマーであり、コポリマーの場合には、コポリマー「X」基は、ビニル、アルキルビニル、置換アルキルビニル、ビニルアルコール、ビニルアセテート、アクリル酸、アルキルアクリル酸、アクリロニトリル、無水マレイン酸、マレインイミド、スチレン、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルバレロラクタム(polyvinylvalerolactam)、ポリビニルカプロラクタム(PVCap)、ポリアミド、又はポリイミドから誘導され、かつ
「m」は1~10の値、好ましくは2~4の値である)
微多孔質電池用セパレータ膜。
【請求項2】
前記「m」が2である場合、前記ポリラクタムは以下の一般式で規定されるポリビニルピロリドン(PVP)であり:
前記「m」が4である場合、前記ポリラクタムは以下の一般式で規定されるポリビニルカプロラクタム(PVCap)である:
請求項1に記載の微多孔質電池用セパレータ膜。
【請求項3】
前記ポリラクタムの分子量の範囲が200,000~3,500,000g/モルの範囲内である、ポリラクタムセラミックコーティングでコーティングされた請求項1に記載の微多孔質電池用セパレータ膜。
【請求項4】
前記セラミックコーティングは、水、又は第1級~第3級アルコールを含有する水性混合物中の水を含むセラミックコーティングのスラリーとして適用される、請求項1に記載の微多孔質電池用セパレータ膜。
【請求項5】
前記ポリラクタムセラミックコーティングは、セラミックと、前記セラミックに対して0.1~50重量%の範囲のポリラクタムとを含む、請求項1に記載の微多孔質電池用セパレータ膜。
【請求項6】
前記セラミックコーティングのスラリー中の水中の固体は、1~90重量%の範囲内で含まれる、請求項1に記載の微多孔質電池用セパレータ膜。
【請求項7】
前記微多孔質電池用セパレータ膜は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン、ポリブチレン、それらのブレンド、それらの混合物、及びそれらのコポリマーから成る群から選択されるポリオレフィンである、請求項1に記載の微多孔質電池用セパレータ膜。
【請求項8】
前記微多孔質電池用セパレータ膜は、乾燥延伸工程もしくは湿式工程を用いて作製することができるか、または不織膜であり得る、請求項1に記載の微多孔質電池用セパレータ膜。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、参照によりその全体が本明細書にそれぞれ組み込まれる、2014年12月29日に出願した同時係属中の米国仮特許出願第62/097,199号、および2015年1月5日に出願した同第62/099,636号の優先権ならびに利益を主張するものである。
【0002】
本発明は、リチウム電池用セパレータ、コーティングセパレータ、配合物、および/または関連方法を対象とする。少なくとも選択された実施形態、態様または目的に応じて、リチウムイオン二次電池用の電池用セパレータのためのポリラクタムコーティングおよび/もしくはそのようなポリラクタム配合物を作製する方法ならびに/またはコーティングされた電池用セパレータを作製するためのこの配合物の適用を提供する。少なくとも特定の選択された実施形態、態様または目的に応じて、リチウムイオン二次電池用の微多孔質電池用セパレータのためのポリラクタムセラミックコーティングおよび/もしくはこのポリラクタム配合物を作製する方法ならびに/またはコーティングされた微多孔質電池用セパレータを作製するためのこの配合物の適用を提供する。好ましい本発明のコーティングは、二次リチウムイオン電池などの充電式リチウム電池に使用された場合に、優れた熱安定性および化学的安定性、微多孔質ベース基質、膜、および/もしくは電極への優れた密着性、セラミック粒子に対する改善された結合特性ならびに熱収縮に対する改善されるか、最適化されるか、新規な、または優れた抵抗性、寸法保全性、ならびに/または酸化安定性を有し得る。
【背景技術】
【0003】
リチウムイオン電池用の高温溶融完全微多孔質セパレータ膜が当技術分野に存在する。日本特許出願第2014141638号は、芳香ポリアミド(アラミド)多孔質膜を開示しており、非水系二次リチウムイオン電池において耐熱性を提供すると主張している。高温コーティングとして提案されたアラミドポリマーバインダーは、コーティング溶液を形成するために、N-メチルピロリドン(NMP)などの非水性溶媒を必要とする。アラミドは水溶性ではない。コーティング工程は、膜上に多孔質コーティングを形成するために相分離を伴う。加えて、アラミドは、溶液中で凝集するアラミドの傾向および多孔質膜上に均一なコーティングを形成する困難さに起因して、極性置換基を含有するポリマーと混合することが必要とされ得る。
【0004】
米国特許公開第2014/0141314号は、リチウムイオン充電式電池用の微多孔質セパレータ膜のためのポリマーセラミックコーティングのためのコーティングスラリーとして、水性媒体中にセラミック粒子を有する(メタ)アクリルポリマーバインダーを提案している。しかしながら、特定のアクリルポリマーバインダーは、リチウムイオン電池における特定の電解質中のビニルポリマーの主鎖に沿って鎖切断を行う傾向があり、したがって、特定の用途において非常に化学的に安定なポリマーバインダーではあり得ない。さらに、米国特許公開第2014/0141314号は、(メタ)アクリル系ポリマーバインダー/セラミックコーティングが、コーティング層中でセラミック粒子とバインダーとの間の接着を有するため、加えて、膜を扱う時にセラミック粒子が剥がれ落ちないように、多孔質基膜へのポリマーセラミックコーティング層の接着を達成するために、微細な表面凹凸を有する球状セラミック粒子が好ましくあり得ることを提案している。
【0005】
米国特許公開第2011/0229768号は、リチウムイオン充電式電池用の微多孔質セパレータ膜のためのポリマーセラミックコーティングで使用するための微多孔質セパレータ膜を改変するための方法を開示している。この方法は、様々なモノマー比率および組み合わせにおける数種の親水性および疎水性モノマーの混合物の重合によって調製されるポリマーバインダーを使用する。コロイドコーティングスラリーは、安定な乳化コーティングスラリーを調製するために、可塑剤、ポリエチレンワックス粉末および表面処理されたセラミック粒子を必要とする。微多孔質セパレータ膜上にコーティングスラリーを塗布する目的は、微多孔質セパレータ膜の寸法保全性を向上させ、高温で微多孔質セパレータ膜の収縮を低減することであり、電池の中で短絡を生じさせるアノードとカソードとの間の接触を可能にする可能性がある。しかしながら、米国特許公開第2011/0229768のコーティング例は、150℃で18~24%の熱収縮を唯一達成したが、特定の高エネルギー充電式リチウムイオン電池において高温で必要とされる安全の必要レベルを提供するのに十分なレベルの熱収縮の減少ではあり得ない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
低いまたはゼロの熱収縮を有するセラミックコーティング複合セパレータ膜は、特に、電気自動車ならびに高エネルギー用途および電力用途のために、リチウムイオン電池に使用するのに非常に望ましくあり得る。安全性は、二次リチウムイオン電池の最優先事項である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって、少なくとも特定の用途のために、コーティングスラリー中の溶媒として水または水の混合物を使用するクリーンで、環境に優しいコーティング工程を提供するだけでなく、高エネルギー充電式リチウムイオン電池などのリチウム電池で使用される場合に、延長された高温シャットダウンに対する高い熱安定性、改善されたおよび/もしくは優れた寸法保全性で減少した熱収縮、ならびに/または酸化安定性を有するポリマーバインダーを使用する新規なまたは改良されたコーティング配合物に対する必要性が存在する。
【発明の効果】
【0008】
少なくとも選択された実施形態、態様または目的に応じて、本発明は、上記の必要性に対処し、かつ/またはコーティングスラリー中の溶媒として水または水の混合物を使用するクリーンで、環境に優しいコーティング工程を提供するだけでなく、高エネルギー充電式リチウムイオン電池などのリチウム電池で使用される場合に、延長された高温シャットダウンに対する高い熱安定性、改善されたおよび/もしくは優れた寸法保全性により減少した熱収縮、ならびに/または酸化安定性を有するポリマーバインダーを使用する新規なまたは改良されたコーティング配合物を提供することができる。
【0009】
少なくとも選択された実施形態、態様または目的に応じて、本発明は、リチウム電池用セパレータ、コーティングセパレータ、コーティング配合物、および/もしくは関連方法、ポリラクタムコーティング、リチウムイオン二次電池用の微多孔質電池用セパレータのためのポリラクタムセラミックコーティング、ならびに/またはこの配合物を作製する方法および/またはコーティング微多孔質電池用セパレータを作製するためのこの配合物の適用、優れた熱安定性および/もしくは化学的安定性、微多孔質ベース基質、膜、および/または電極への優れた接着性、セラミック粒子への改善された結合特性を有し、かつ/または二次リチウムイオン電池などの充電式リチウム電池で使用する場合に、熱収縮に対する改善された、最適化された、新規なおよび/もしくは優れた抵抗性、ならびに/または寸法保全性および/または酸化安定性を有する本発明のコーティングを対象とする。
【0010】
少なくとも特定の実施形態によれば、本発明の複合微多孔質膜および/またはセパレータは、リチウムイオン二次電池の電池用セパレータとして使用するための微多孔質ポリオレフィンセパレータ膜の少なくとも一層および/または一面に形成されている、水性媒体中の無機粒子と組み合わせたポリラクタムポリマーバインダーで構成されたコーティングを含む。好ましい本発明のコーティングは、ラクタムの高耐熱性環状アミド化学構造に起因して、高温で増加した熱安定性を有し得る。ポリラクタムポリマー(特定の好ましい例として、1種以上のポリビニルピロリドン(PVP)ポリマーが挙げられる)は、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリビニルアセテート(PVAc)およびカルボキシメチルセルロース(CMC)などの当技術分野で公知の他のバインダーポリマーと比較した場合、リチウムイオン電池用ポリオレフィン膜のポリマー/セラミックコーティングにとって新規なバインダーポリマーである。ポリラクタムポリマーバインダーは、PVA、PAA、PVAcおよびCMCよりも高い分解温度を有する。したがって、PVPは、より熱に安定なポリマーであり、水性媒体中でセラミック粒子と組み合わせた場合に、リチウムイオン充電式電池用の微多孔質セパレータ膜のための改良された高温コーティングを提供し得る。
【0011】
加えて、微多孔質セパレータ膜の1以上の側面または表面に適用された場合に、本発明のポリラクタムセラミックコーティングは、様々な条件下で、ほんの一例として、最高で150℃もしくはそれ以上、最高で1時間もしくはそれ以上の間、機械方向および/または横方向の熱収縮の低下を提供し得る。微多孔質セパレータ膜のより低い熱収縮は、機械方向および/または横方向の寸法収縮の減少が、反復電池サイクリング中にカソードとアノードとの間の物理的接触の可能性を低下させ、充電式リチウムイオン電池におけるセパレータ膜として使用された場合に、温度関連安全性能が改善されるので、重要な性能特性と考えられ得る。低いまたはゼロのいずれかの熱収縮を有するセラミックコーティング複合セパレータは、リチウムイオン電池での使用、特に、電気自動車ならびに高エネルギー用途および電力用途に非常に望ましくあり得る。安全性は、二次リチウムイオン電池の最優先事項である。
【0012】
加えて、PVPは、典型的には、リチウムイオン電池に使用される有機電解質においてほとんどまたは全く変色しないで良好な酸化安定性を有することができ、かつ/または特定のリチウムイオン電池に使用される特定の電解質の過酷な環境においてPVPに富むセラミックコーティングセパレータ膜に安定性を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1a】5日間、熱い(60℃)電解質における化学的安定性試験を行った後のポリ(ビニルピロリドン-コ-ビニルアセテート(ポリ(VP-コ-VAc))コポリマーのサイクリックボルタンメトリー試験結果である。
図1b】5日間、熱い(60℃)電解質における化学的安定性試験後のポリ(ビニルピロリドン-コ-ビニルアセテート(ポリ(VP-コ-VAc))コポリマーの写真である。
図2a】5日間、熱い(60℃)電解質における化学的安定性試験を行った後のポリアクリリドンポリマーのサイクリックボルタンメトリー試験結果である。
図2b】5日間、熱い(60℃)電解質における化学的安定性試験後のポリアクリリドンポリマー(ビニルピロリドン、アクリル酸、およびラウリルメタクリレートのターポリマー)の写真である。
図3a】5日間、熱い(60℃)電解質における化学的安定性試験を行った後のポリビニルピロリドン(PVP)ポリマーのサイクリックボルタンメトリー試験結果である。
図3b】5日間、熱い(60℃)電解質における化学的安定性試験後のポリビニルピロリドン(PVP)ポリマーの写真である。
図4】選択されたポリマーバインダーの熱重量分析(TGA)サーモグラムである。
図5】分子量が40,000、360,000および1,000,000で、様々な溶解速度およびゲル性能を示す、水性媒体および電解質媒体中のPVPポリマーの写真を含む。
図6】セパレータ膜上のPVPコーティングにより改善されたAlセラミック粒子の提案された接着メカニズムを示す。
図7】(a)コーティングされていないPP/PE/PP3層微多孔質セパレータ膜であるCE1の写真;(b)10分間、150℃のオーブン中に入れた後に熱収縮試験をしたPVP/AlコーティングPP/PE/PP3層微多孔質セパレータ膜である実施例1の試料の写真;および(c)10分間、150℃のオーブン中に入れた後のコーティングされていないPP/PE/PP3層微多孔質セパレータ膜であるCE1の写真を含む。
図8】5日間の、熱い(60℃)電解質中での電解質安定性試験後の(a)ポリビニルアセテート(PVAc)、(b)カルボキシメチルセルロース(CMC)、(c)ポリ(ビニルピロリドン-コ-ビニルアセテート(ポリ(VP-コ-VAc)および(d)ポリビニルピロリドン(PVP)の試料の一連の写真を含む。
図9】a―b。実施例1とCE1および実施例11とCE1のそれぞれのサイクリックボルタンメトリー(CV)試験結果を含む。
図10】オーム-cmの単位の電気抵抗を、温度(℃)の関数としてプロットした実施例1、実施例4および実施例12のホット電気抵抗プロットである。
図11】実施例1および実施例12の誘電体破壊データを含む。
図12】CE1と比較した実施例1の電池サイクル寿命試験結果を含む。
【発明を実施するための形態】
【0014】
少なくとも特定の実施形態によれば、好ましい本発明の複合微多孔質膜は、リチウムイオン二次電池などのリチウム電池中の電池用セパレータとして使用するための微多孔質ポリオレフィンセパレータ膜の少なくとも一層および/または一面に形成されている、水性媒体中の無機粒子と組み合わせたポリラクタムポリマーバインダーで構成されたコーティングを含む。本発明のポリラクタムコーティングは、化学式1:
【化1】
化学式1
(式中、R、R、R、およびRは任意のアルキル置換基または芳香族置換基であり得、式中、Rは、任意のアルキル、芳香族、または縮合環であり得る)
で定義される高耐熱性環状アミド化学構造に起因して、高温で増加した熱安定性を有し得る。好ましいポリラクタムは、ホモポリマーまたはコポリマーであり得、コポリマーの場合には、コポリマー「X」基は、ビニル、アルキルビニル、ビニルアルコール、ビニルアセテート、置換アルキルビニル、アクリル酸、アルキルアクリル酸、アクリロニトリル、無水マレイン酸、マレインイミド、スチレン、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルバレロラクタム(polyvinylvalerolactam)、ポリビニルカプロラクタム(PVCap)、ポリアミド、またはポリイミドから誘導され得る。
【0015】
加えて、「m」は、1~10の値、例えば、場合によって、2~4の値を有し得る。さらに、化学式1の中の「n」に対する「l」の割合は、0≦l/n≦10、場合によって、0≦l/n≦1となるようなものであり得る。
【0016】
このようなポリラクタムの好ましい例としては、すぐ下の左の化学式2(a)に示されるポリビニルピロリドン(PVP)(式中、m=2)、およびすぐ下の右の化学式2(b)に示されるポリビニルカプロラクタム(PVCap)(式中、m=4)が挙げられる。
【化2】
化学式2
(a) (b)
【0017】
もちろん、これらの好ましいポリラクタムは、上述したように、様々な「X」コポリマー基を有するホモポリマーまたはコポリマーであり得、このような「X」コポリマーの基は「l」回繰り返す。
【0018】
環状ポリラクタムの性能上の利点は、高い熱安定性、良好な化学的安定性、および/または低減されたエントロピーペナルティである。環状リングは、(カプロラクタム環の中などの)最高7つの要素を含み得るが、環構造内の要素の総数が8以上である場合には、該ポリマーは、非環状で動作し得る。ポリビニルラクタムの化学構造は、環状ポリアラミドおよびポリイミド(PI)構造に存在するアミド「-N-C=0」官能基の熱安定性を利用する。ポリラクタムは、ビニル骨格に結合した環状アミド官能性により優れた熱安定性および化学的安定性を有し得る。さらに、ポリビニルラクタムは、分解する時にポリマーのビニル骨格を開く傾向にあるため、周辺の化学的安定性および熱安定性を有し得るアクリルビニルポリマーの性能制限を回避し得る。
【0019】
【化3】
ポリラクタムは、PVAcの中の炭素、水素および酸素原子の非環状構造配置を模倣し得るが、ポリラクタムは、環状アミドポリマーである。例えば、ポリラクタムのポリビニルピロリドン(PVP)は、各ポリマーの一部が手書き曲線ラインによって輪郭が描かれた以下の図に示すポリビニルアセテート(PVAc)の化学構造配置を模倣し得る。
【化4】
【0020】
各ポリマー中の輪郭が描かれた部分は、それらの類似の構造の結合角のために重ね合わせられ得る。PVAcを上回るPVPの熱安定性の改善は、ポリラクタムの高温安定性を説明し得るポリラクタムのリング特性を含有する環状アミドに起因し得る。
【0021】
ポリラクタムのコポリマーの非限定的な例としては、以下の化学式3:
【化5】
化学式3
に示すポリ(ビニルピロリドン-コ-ビニルアセテート)(ポリ(VP-コ-VAc)、
以下の化学式4:
【化6】
化学式4
に示すポリ(ビニルピロリドン-コ-ビニルカプロラクタム)(ポリ(VP-コ-VCap)、および以下の化学式5:
【化7】
化学式5
に示すアクリリドンポリマーであり得る。
【0022】
ポリビニルピロリドンのコポリマーの非限定的な例である、具体的にはポリ(ビニルピロリドン-コ-ビニルアセテート)およびアクリリドンを、5日間、60℃で熱いEC:EMC非水系電解質における化学的安定性について試験した。ポリ(VP-コ-VAc)およびアクリリドンの化学的安定性の結果を、それぞれ図1(b)および図2(b)に示し、図3(b)に示したホモポリマーPVPにおける化学的安定性試験の結果と比較することができる。図1および図2における特定のポリラクタムコポリマーは、5日間、60℃のEC:EMC非水系電解質においてある程度の変色を示したが、ホモポリマーPVPは、変色を示さなかった。しかしながら、ビニルピロリドン単位に対する「X」コポリマー基の比率を変え、PVPおよび/またはコポリマーの分子量を変化させ、かつ他の変更も加えると、このような変色は起こらないかもしれない。
【0023】
加えて、サイクリックボルタンメトリー試験を、ポリ(VP-コ-VAc)、アクリリドン、およびPVPの化学的安定性試験試料にて行い、結果をそれぞれ図1(a)、図2(a)および図3(a)に示す。ポリ(VP-コ-VAc)とアクリリドンの両方は、ホモポリマーPVPよりも安定性が低いことが見出され、ポリ(VP-コ-VAc)および/またはアクリリドンが、電流レベルを高電圧で増加させる1以上の導電性種を生成する1以上の酸化反応を受け得ることを示す。しかしながら、上述したように、ビニルピロリドン単位に対する「X」コポリマー基の比率を変え、PVPおよび/またはコポリマーの分子量を変化させ、かつ他の変更も加えると、このような酸化反応は起こり得ず、結果は図3(a)に示したものにより近くなり得る。
【0024】
PVPは、400℃より高い熱分解(T)および170℃以上のガラス転移温度を有する高度に熱に安定なポリマーである。図4は、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリル酸(PAA)およびカルボキシメチルセルロース(CMC)などの電池用セパレータ膜用コーティングのための高分子バインダーとして従来技術で知られている他の高分子バインダーをポリビニルピロリドン(PVP)の分解温度(T)と比較した熱重量分析(TGA)サーモグラムである。分解温度の順序は、PVP>PVA>CMC>PAAであり、PVA、CMCおよびPAAと比較した場合、ポリラクタムのより高い熱安定性を示す。加えて、図4のTMAサーモグラムに示すコポリマーのポリ(ビニルピロリドン-コ-ビニルカプロラクタム)(ポリ(VP-コ-VCap)の分解温度は、ホモポリマーPVPの分解温度よりも低い。100℃未満のPVPホモポリマーの重量の初期のわずかな減少は、ポリビニルピロリドンポリマーに存在する水または湿気の蒸発に起因し得る。
【0025】
ポリラクタムのさらなる特有の特徴は、H結合アクセプターとして作用するその能力に起因して、水と会合する傾向であり得る。ほとんどの環状ポリアラミドポリマーは、水不溶性であり得、溶解のためにN-メチルピロリドン(NMP)などの有機溶媒の使用を必要とし得る。ポリラクタムPVPの溶解性は、その分子量に依存し得る。例えば、PVPの分子量が高いほど、水中のPVPポリマーの溶解率が低くなる。図5は、様々な電解質媒体および水性媒体中の40,000、360,000および1,000,000の分子量を有するPVPポリマーの写真を提示する。40,000、360,000および1,000,000の分子量を有するPVPポリマーは水に溶解するが、より低い分子量のPVPがより速く溶解し得る。加えて、24時間、60℃の典型的なリチウムイオン電池の電解質中に入れた場合には、360,000の分子量を有するPVPはゲルを形成し得るが、1,000,000以上の分子量を有するPVPは、24時間、60℃の典型的なリチウムイオン電池の電解質中に入れた場合に、固体を形成し得る。
【0026】
本発明のコーティングは、リチウムイオン二次電池中の電池用セパレータとして使用するための微多孔質ポリオレフィンセパレータ膜の少なくとも1層および/または表面上に形成された、水性媒体中の無機粒子と組み合わされたポリラクタムポリマーまたはポリラクタムコポリマーで構成され得る。本発明のコーティングシステムにおいて、ポリラクタムポリマーまたはポリラクタムコポリマーは、共にセラミック粒子を接着するように作用し得るバインダーポリマーとして作用し得、リチウムイオン電池中のベースセパレータ膜および/または電極(複数可)にコーティングを接着するように作用し得る。図6は、微多孔質セパレータ膜上で1つのポリラクタムポリマーコーティングであるPVPコーティングによって酸化アルミニウム(Al)セラミック粒子の改善された接着についてのメカニズムを提案する。PVPポリマーは、二重の機能を有するか、または二機能性である。具体的には、2つのPVP官能基、ポリマーコーティングのより親水性の官能基は、セラミック粒子と相互作用し得、コーティングされた微多孔質セパレータ膜にAl分子を固定するように作用し得るが、PVPポリマーコーティングのポリオレフィン系鎖部分(親水性の低い部分)は、ポリオレフィン微多孔質セパレータ膜と十分に相互作用し、コーティング混合物に含まれるAlセラミック粒子成分へのPVPの優れた結合および化学結合を提供する。結果は、取り扱い中、電池構築中、および/または電池の反復サイクリング/寿命/使用中にコーティングセパレータ膜を剥がす可能性のないAlセラミック粒子を含有するポリマーバインダーコーティングである。
【0027】
コーティングするために本明細書で使用される粒子は、有機および/または無機の、好ましくは無機の、多くの実施形態では、セラミック粒子であり得る。無機セラミック粒子の非限定的な例としては、酸化シリコン(SiO)、酸化アルミニウム(Al)、ベーマイト(Al(O)OH)、酸化ジルコニウム、二酸化チタン(TiO)、硫酸バリウム(BaSO)、および遷移金属の酸化物などまたはそれらの混合物が挙げられ得る。好ましい無機セラミック粒子は、酸化アルミニウムであり得る。これらの粒子は、直径が0.05~5μm、より好ましくは直径が0.02~4μm、最も好ましくは直径が0.01~2μmの範囲の平均粒径を有し得る。例えば、本発明のコーティングは、リチウムイオン二次電池用セパレータもしくは電池中のコーティングされた電池用セパレータ膜または層として使用するための微多孔質ポリオレフィンセパレータ膜の少なくとも1層および/または表面上に形成された水性媒体中の無機粒子、有機粒子、両方、それぞれの混合物と組み合わされたポリラクタムポリマーもしくはポリラクタムコポリマーで構成され得るか、または粒子を含めないで構成され得る。
【0028】
ポリラクタムポリマーまたはポリラクタムコポリマーを含有する本発明のコーティングは、電池用セパレータとして使用するための微多孔質ポリオレフィンセパレータ膜に適用した場合に、その高耐熱性環状アミド型構造により、高温で改善された熱安定性を提供し得る。コーティングされていないポリオレフィン膜の熱的特性は、ポリオレフィンの種類に依存し得、ポリプロピレンは、典型的には約165℃で溶融し、ポリエチレンは、典型的には約135℃で溶融する。ポリラクタムの溶融温度は、PPおよび/またはPEの溶融温度よりも高く、微多孔質ポリオレフィンセパレータ膜をコーティングするのにポリラクタムを使用する場合には、ポリラクタムコーティングは、コーティングされた微多孔質セパレータ膜の熱収縮を低減し得る。
【0029】
図7(b)は、ポリビニルピロリドン(PVP)-セラミックコーティングセパレータ膜、具体的には、10分間、150℃のオーブン中に入れることによって熱収縮試験された、ポリビニルピロリドンと酸化アルミニウム(PVP-Al)でコーティングされたPP/PE/PP3層微多孔質セパレータ膜の写真である。図7(a)は、10分間、150℃のオーブン中に入れる前の、コーティングされていないCE1基膜(PP/PE/PP3層微多孔質ベースセパレータ膜)の写真である。図7(c)は、10分間、150℃のオーブン中に入れた後の、コーティングされていないCE1基膜の写真である。
【0030】
図7(c)の実線は、試験試料の元の寸法を表し、水平の点線は、収縮後の試料の縁を示している。熱収縮率を、機械方向(MD)で測定し、%MD収縮として表すことができる。図7(b)に示されているPVP-AlコーティングPP/PE/PP3層微多孔質セパレータ膜は、3%の機械方向(MD)熱収縮率を有し、これは非常に低い値とみなされ得る。対照的に、図7(a)に示されているオーブン処理前の、コーティングされていないPP/PE/PP3層微多孔質セパレータ膜は、図7(c)に示されているとおり、10分間、150℃のオーブン中に入れた後に、はるかに高い収縮率を有する。機械方向および横方向の寸法収縮の減少は、反復電池サイクリング中にカソードとアノードとの間の物理的接触の機会を減少させ、充電式リチウムイオン電池中のセパレータ膜として使用した場合に、温度に関連する安全性能の改善をもたらし得るので、微多孔質セパレータ膜のより低い熱収縮は、決定的なセパレータ膜の性能特性であり得る。
【0031】
本発明のポリラクタムセラミック系コーティングは、ポリオレフィン微多孔質セパレータ膜上にセラミックコーティングスラリーの濡れ性ならびに全体的なコーティングセパレータの水和性を改善するために1種以上の添加剤を含んでよく、基膜には、限定されないが、ポリプロピレン(PP)および/またはポリエチレン(PE)が含まれ得る。このようなポリオレフィン微多孔質セパレータ膜は、ノースカロライナ州シャーロットのCelgard、LLC社から入手可能である。微多孔質基膜は、例えば、ノースカロライナ州シャーロットのCelgard、LLC社の乾燥延伸工程(Celgard(登録商標)乾燥延伸工程として知られている)、または時々、韓国の株式会社Celgard Korea、日本の旭化成および/または日本の東燃の相分離もしくは抽出工程としても知られている湿式工程により製造することができるか、または不織布タイプの膜であり得る。基膜は、ポリプロピレンおよび/またはポリエチレンの単層(1以上のプライ)、または3層膜、例えば、ポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレン(PP/PE/PP)またはポリエチレン/ポリプロピレン/ポリエチレン(PE/PP/PE)、もしくは二層膜(PP/PE、PE/PP、PE/PE、PP/PP)などの多層膜であり得る。
【0032】
特定のアイソタクチックポリプロピレンは、20℃で30.1mN/mの表面エネルギーを有し、これは35.7mN/mの特定の線形ポリエチレン表面エネルギーよりも低い。コーティング工程中にベースPPおよび/またはPE微多孔質セパレータ膜を完全にかつ迅速に湿潤させるために、コーティングスラリーは、ベースPPおよび/またはPE微多孔質セパレータ膜と同様の表面エネルギーを有するべきである。本発明のポリラクタムセラミック系コーティングは、ポリプロピレン、ポリエチレン、またはPP/PE/PPなどの微多孔質セパレータ上のセラミックスラリーコーティングにより迅速な湿潤を可能にするために1種以上の添加剤を含んでよく、そのような添加剤はまた、電解質中の電池で使用された場合に、最終のコーティングセパレータの全体的な水和性を改善するのに役立ち得る。
【0033】
本発明のコーティングは、PP微多孔質セパレータ膜上またはPP/PE/PP3層微多孔質セパレータ膜のPP表面上のPVPポリマー-セラミックスラリーの迅速な湿潤を達成するために、かつ電解質で満たした電池内部の最終的なコーティングセパレータの水和性の改善を達成するために、添加成分としてポリビニルアルコール(PVA)を使用してよい。この説明の目的のために、PP微多孔質セパレータ膜は、PP微多孔質膜、PP/PE/PP3層微多孔質膜またはPPおよびPEを含有する多層微多孔質膜の両方を意味すると理解される。PVA添加成分の量が重要であり得ることが判明した。PVA添加成分が少なすぎると、PP微多孔質セパレータ膜は、湿潤に失敗するか、または電池中の電解質での水和性を高められない。さらに、PVPコーティング中のPVA添加成分量が少ないと、PVPセラミックコーティングPP微多孔質セパレータの熱収縮がより高くなり得る。対照的に、最適な範囲よりも高いPVPコーティング中のPVAの量は、リチウムイオン電池に使用される典型的な非水電解質(複数可)中のコーティングPP微多孔質セパレータ膜の変色をもたらし得る。加えて、PVPコーティング中のPVAの量がより多いと、サイクリックボルタンメトリー(CV)によって測定されるように、より高い電圧でガス発生およびより低い酸化安定性をもたらし得る。PVPバインダーは、電解質がほとんど変色しないで、電解質中の良好な酸化安定性を有することが見出されており、さらに、PVAなどの湿潤添加剤は、PVP-セラミックコーティングがPPベース微多孔質膜上で高い湿潤率を有するのを可能にし、最終的なコーティングセパレータの全体的な水和性を改善し得ることが見出された。場合によって、ポリマーセラミックコーティング中のPVP:PVAの割合は、10:0.1~10:10であり得る。
【0034】
実施例
本発明のラクタム系ポリマーセラミックコーティングは、ガーレー、湿潤剤(または水和性)および電解質安定性などのバッテリーセパレータ性能特性に悪影響を与えることなく、高温安定性および熱収縮に対する改善された抵抗を有し得る。ガーレー(JIS P 8117)は、空気100ccが4.8インチの水の一定の圧力で1平方インチの多孔質材料を通過するのに必要な時間(秒)として定義される。湿潤性能は、多孔質膜の表面上に電解質を一滴置き、湿潤時間を測定することによって決定される。ポリマーの電解質安定性は、限定されないが、1モルのLiPFを有するEC:EMCなどの電解質中に試料を置き、60℃までこの試料を加熱し、色の変化を観察することによって測定する。安定性試験試料のその後のコロンビウム(columbic)および/またはサイクリックボルタンメトリー測定は、ポリマー試料が、1種以上の導電性種を生成し得る酸化反応を受け、それによって電流レベルを増加させるかどうかを示す。
【0035】
本発明の膜の開発で広範な研究を行い、ホモポリマーおよび/またはコポリマー含有量の点で好ましい配合物の組成、セラミック粒子に対するポリラクタムの好ましい比、およびポリオレフィンセパレータ膜上にポリラクタム系のセラミックコーティングスラリーの水和性を向上させ、最終的に、二次リチウムイオン電池などの電池内部の電解質に使用された場合に、コーティングセパレータの水和性を向上させる好ましい方法を決定した。
【0036】
PVP-セラミックコーティング中の添加成分としてのポリビニルアルコール(PVA)の、ガーレー、湿潤、電解質安定性および熱収縮に対する抵抗などのセパレータ特性に対する効果は、以下の表1および表2に記載された実施例で実証され、その中では、PVP:PVA比は変化し、PVPの特定のコポリマーが使用され(例えば、実施例7および8を参照されたい)、コーティング中のセラミック粒子の量に特定の差異が生じる。
【0037】
【表1】
【表2】
〇=優良
△=最低限度
×=不良または許容不能
【0038】
1:0.1、1:0.2、1:0.01、および1:0などのPVP:PVA比について、ガーレーは450~500秒/100ccでかなり変化しないままであったが(実施例1~4、および9~10を参照されたい)、1:0.5のPVP:PVA比で約30%増加し(実施例5を参照されたい)、1:1のPVP:PVA比で約44%増加した(実施例11を参照されたい)。PVP:PVA比=1:0.2である実施例4とコーティングされていないベースセパレータ膜CE1について442秒/100ccガーレーを比較すると、0.2以下のPVA添加剤レベル(1部のPVPと比較して)でのセラミックコーティング中のPVP:PVA比はガーレーに悪影響を及ぼさないことが実証される。
【0039】
膜の優れた湿潤は、1:0.1、1:0.2、および1:0.5などのPVP:PVA比で観察され、少量の親水性添加剤を添加することによって湿潤の改善が達成されることを実証している。
【0040】
電解質安定性は、1:0、1:0.01、1:0.1、および1:0.2のPVP:PVA比で良好であったが、1:0.5および1:1などのPVP:PVA比でほんのわずかに許容されることは、PVAの量が高すぎると、電解質中のコーティング試料の望ましくない酸化をもたらし得ることを示した。
【0041】
10分間、150℃での熱収縮は、非PVA添加成分が存在しない場合(実施例9を参照されたい)、機械方向(MD)で25%、横方向(TD)で3%であることが観察された。熱収縮の有意な減少が、実施例1~8および10~12などの様々な本発明の実施例について示されているように、PVA添加剤の添加により達成された(例えば、MD収縮が3%に減少し、TD収縮が2%に減少した実施例1を参照されたい)。
【0042】
1:0.1のPVP:PVA比は、好ましいPVP:PVA配合比の範囲にあることが判明し、酸化および変色は電解質安定性試験では観察されなかった。
【0043】
ガーレー、湿潤、電解質安定性および熱収縮に対する抵抗のセパレータ特性に対する、PVP:Alの比における酸化アルミニウム(Al)の量の効果は、PVP:Al比が異なる量で変化する表1および2に記載の実施例で実証されている。
【0044】
ガーレー、湿潤、電解質安定性および熱収縮に対する抵抗のセパレータ特性に対する、コポリマーのポリ(ビニルピロリドン-ビニルアセテート(ポリ(VP-コ-VAc))およびコポリマーのポリ(ビニルピロリドン-ビニルカプロラクタム)(ポリ(VP-コ-VCap)の効果は、コポリマーのポリ(VP-コ-VAc)が1:0.1のコポリマー:PVA比(PVAはセパレータ水和性を改善するのに役立つ添加剤である)で使用される実施例8およびコポリマーのポリ(VP-コ-VCap)が1:0.1のコポリマー:PVA比で使用される実施例7で実証されている。比較のために、実施例1は、1:0.1の同じポリマー:PVA比および95:5の同じセラミック:バインダー比でコポリマー成分を含まないPVPホモポリマーの実施例を提供する。
【0045】
実施例7と実施例8の両方のコポリマー実施例のガーレーは、それぞれ504および510秒/100ccであり、良好な透過性を示す。
【0046】
コポリマーの親水性により予想されるように、実施例7と実施例8のコーティングポリオレフィン微多孔質膜の優れた湿潤が観察される。
【0047】
実施例7のポリ(ビニルピロリドン-ビニルカプロラクタム)の電解質安定性はわずかであるが、実施例8のポリ(ビニルピロリドン-ビニルアセテート)の電解質安定性は、許容不能または不良である。安定性試験中の選択したホモポリマーバインダーおよびコポリマーバインダーの60℃の電解質への曝露の結果を、図1(b)、2(b)および3(b)に示す。図3(b)は、PVPホモポリマーが無色または実質的に無色のままであるが、図1(b)に示すポリ(VP-コ-VAc)は変色し、暗いことを示す。図1(a)に示すポリ(VP-コ-VAc)についてのコロンビウムおよび/またはサイクリックボルタンメトリー(CV)酸化分析データは、ポリ(VP-コ-VAc)がPVPよりも不安定であることを実証し、電流レベルを高電圧で増加させる導電性種を生成する酸化反応をポリ(VP-コ-VAc)が受け得ることを示す。しかしながら、上述したように、ビニルピロリドン単位に対する「X」コポリマー基の比率を変え、PVPおよび/またはコポリマーの分子量を変化させ、他の変更も加えると、このような変色は、起こる可能性はなく、制御または低減することができる。
【0048】
実施例7および実施例8の10分間、150℃での熱収縮は、MDでより高い(しかし、TDでは同じ)ことは、実施例1のホモポリマーPVPコーティング配合物が熱収縮減少の点で、特定の場合に好ましいことを示す。
【0049】
ガーレー、湿潤、電解質安定性および熱収縮に対する抵抗のセパレータ特性に対する、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリビニルアルコール(PVA)および酸化ポリエチレン(PEO)などの異なる既知のポリマーバインダーの効果は、それぞれCE2、CE3およびCE4で実証されている。
【0050】
CMC、PVA、およびPEOのガーレーは、全て同等であり、450~500秒/100ccの範囲にあることは、セラミックと組み合わせたこれらのバインダーが、良好な透過性を有し、例えば、本発明の実施例1と同等であったことを示す。
【0051】
既知のバインダーのPEOおよびCMCを含有するセラミックコーティング(CE4およびCE2を参照されたい)は、膜の湿潤がわずかにあるかまたは不良であるが、既知のバインダーPVAを含有するセラミックコーティングは、例えば、本発明の実施例1と同等の良好な湿潤を有していた。
【0052】
(既知のバインダーPEOを有する)CE4の電解質安定性は良好(例えば、本発明の実施例1と同等)であるが、CMCおよびPVA(CE2およびCE3)の電解質安定性は、わずかであるか、または不良もしくは許容不能であった。
【0053】
電解質安定性をより深く見ると、図8は、5日間、熱い(60℃)の電解質(本明細書では、1モルのLiPF電解質を有するEC:EMC)での電解質安定性試験後のPVAc、CMC、ポリ(VP-コ-VAc)およびPVPの試料の写真を示す。変色は、PVPを除いて全てのポリマーバインダー中で観察されるが、上記のような変色を減少させるために、図8(c)に示すコポリマーを修飾してもよいことに留意すべきである。
【0054】
サイクリックボルタンメトリー(CV)プロットは図9に含まれる。図9(a)において、実施例1のコーティング膜のPVPに富むコーティング配合物の酸化分析(コーティングが1:0.1のPVP:PVA比でPVPホモポリマーを含む)を、コーティングされていない基膜CE1と比較すると、両方とも電解質中で非常に似た作用をする。図9(b)において、実施例11のコーティング膜についてのPVAに富むコーティング配合物の酸化分析(コーティングが1:1のPVP:PVA比でPVPホモポリマーを含む)をコーティングされていない基膜CE1と比較する。PVPに富む配合物は、この場合、酸化安定性の点でPVAに富む配合物よりも性能が優れている。
【0055】
PVPの分子量の最適な範囲は、200,000~3,500,000の分子量範囲内、より好ましくは、300,000~3,000,00Oの分子量範囲内、最も好ましくは、300,000~2,000,000g/モルの分子量範囲内である。100,000未満の分子量で、PVPは、コーティングをベース微多孔質膜に接着させることができない熱い(60℃)電解質に溶解し得、ひいては電池性能に負の影響を及ぼし得る。
【0056】
PP/PE/PP3層微多孔質セパレータ膜上にコーティングした、実施例1および実施例12のPVP:Alの2種類の例示的な配合物のセパレータ性能特性を表3に示す。
【0057】
【表3】
【0058】
CE1およびCE5は、それぞれ、16μmおよび14μmの厚さを有するコーティングされていない3層PP/PE/PP微多孔質セパレータ膜である。コーティングされていないCE1およびCE5の突刺強度は、それぞれ、298および314gfである。表3に提供したコーティングデータは、4μmコーティング試料の実施例1および実施例12の突刺強度が、基本的に変わらないことを示し、該コーティングが、セパレータ膜の強度に悪影響を及す可能性がないことを示す。実施例1および実施例12のコーティングセパレータの熱収縮に有意な改善がある。130℃で、実施例1および実施例12の両方は、1.4/0.4および1.8/0.3の低い%のMD/TD熱収縮値を示した。150℃の非常に高い熱収縮温度で、10分間の%MD/TD熱収縮は、実施例1および実施例12の両方について3/2であるが、1時間、150℃での熱収縮は、実施例1については5/2で、実施例12については5/3である。%熱収縮値が3%以下であるTD収縮および5%以下であるMD収縮は、コーティングされたPVP:AlのPP/PE/PPセパレータ膜がリチウムイオン電池において高い熱安定性を有し得ることを予測し得る。
【0059】
PVP:Alコーティングの高温安定性はまた、実施例1および実施例12が高温シャットダウンを190℃まで高めた図10に示す熱シャットダウンホット電気抵抗(ホットER)試験結果で実証される。シャットダウンの開始は、PP/PE/PP3層基膜における内側ポリエチレン層により135℃で生じる。PVP:AlコーティングPP/PE/PPは、低温シャットダウンおよび高温まで高まった寸法安定性の両方を有し、充電式リチウムイオン電池におけるセパレータ膜として使用された場合に、温度関連安全性能が改善された反復電池サイクリング中のカソードとアノードとの間の物理的接触の可能性を低減し得る。
【0060】
加えて、本発明のPVP:Alコーティングは、微多孔質セパレータ膜の電気抵抗(ER)に悪影響を及ぼし得ない。コーティングされた実施例1および実施例12のERは、それぞれ、1.99オーム-cmおよび1.57オーム-cmであり、本発明のコーティングが良好なイオン伝導性を促進することを実証し得る。
【0061】
加えて、本発明のPVP:Alコーティングは、微多孔質セパレータ膜の、HiPot試験としても知られている絶縁破壊(DB)に悪影響を及ぼし得ない。コーティングされていないセパレータ膜CE1およびCE5と比較した場合、DB値は増加し、リチウム電池で短絡を引き起こすのに必要な力がより高くなる可能性があることを実証する。図11は、DB値が約2000Vである実施例1および実施例12の実験室コーティング試料のDB結果を示す。本発明のコーティングは、改善された高い絶縁破壊を示し、セパレータ膜の強度がコーティングにより改善されたことを示す。
【0062】
図12は、PVP:Alコーティングが、コーティングセパレータのサイクル寿命を向上させることを示す。サイクル寿命は、高エネルギー、高出力のリチウムイオン電池において長いサイクリング寿命に重要であり得る。
【0063】
特定の好ましいPVP-セラミックコーティング配合物は、添加PVAが上記で詳細に説明された比などの好ましい範囲で添加されるホモポリマーPVPを含むことが見出された。
【0064】
PVPコーティング中のAlセラミック粒子の好ましい範囲は、60~99重量%の範囲内、より好ましくは70~99重量%の範囲内、最も好ましくは80~99重量%の範囲内である。
【0065】
最適なコーティング層の厚さは、1~8μmの範囲内、より好ましくは2~6μmの範囲内、最も好ましくは2~4μmの範囲内であり得る。
【0066】
ポリオレフィン微多孔質膜上の特定の最適PVPセラミックコーティングは、
1)500秒/100ccを含む範囲のガーレー値
2)膜の湿潤:優良
3)電解質によるバインダーの酸化が低いことを示す電解質安定性:優良
4)10分間、150℃で3/2を含む範囲のMD/TD%熱収縮
を含むが、これらに限定されない特定の好ましいセパレータ性能特性を有し得る。
【0067】
試験方法
厚さ
厚さを、試験手順ASTMのD374に従ってEmveco Microgage 210-A精密マイクロメートル厚さ計を用いて測定する。厚さの値をマイクロメートル、μmの単位で報告する。
【0068】
突刺強度
試験試料を、最初に、73.4℃、最低20分間、50%の相対湿度に予め調整する。インストロンモデル4442を用いて、ASTMD3763に基づく試験試料の突刺強度を測定する。1 1/4“×40”の連続試料標本の対角線方向にわたって30回の測定を行い、平均化する。針は0.5mmの半径を有する。下降速度は25mm/分である。Oリングを利用するクランプ装置にフィルムを密に保持し、試験試料を所定の位置にしっかり保持する。この固定領域の直径は25mmである。針が貫通したフィルムの変位(単位:mm)を、試験膜によって生じた抵抗力(グラム単位の力)に対して記録する。最大抵抗力は、グラムフォース(gf)の単位の突刺強度である。負荷対変位のプロットを、この試験方法によって作成する。
【0069】
コーティング層のローディング
コーティング層のローディングを、ASTMD3776を用いて測定し、単位をgsmまたはmg/cmで表す。
【0070】
ガーレー
ガーレー(JIS P 8117)は、空気100ccが4.8インチの水の一定の圧力で1平方インチの多孔質材料を通過するのに必要な秒単位の時間として定義される。
【0071】
電気抵抗(ER)(イオン抵抗、IRとしても知られている)
電気抵抗は、電解質で満たしたセパレータのオーム-cmでの抵抗値として定義される。電気抵抗の単位はオーム-cmである。セパレータ抵抗は、完成した材料からセパレータの小片を切断し、2つのブロッキング電極間にそれらを配置することを特徴とする。これらのセパレータを、3:7の体積比のEC/EMC溶媒中の1.0MのLiPF塩を有する電池電解質で飽和する。セパレータのオーム(Ω)の抵抗Rを、4プローブACインピーダンス技術により測定する。電極/セパレータ接触面上の測定誤差を低減するために、より多くの層を追加することによって複数の測定を必要とする。次いで、複数層の測定値に基づいて、電解質で飽和したセパレータの電気(イオン)抵抗Rs(Ω)を、式R=pl/A(式中、PはΩ-cm単位のセパレータのイオン抵抗率であり、Aはcm単位の電極面積であり、lはcm単位のセパレータの厚さである)によって算出する。比P/Aは、スロープ=p/A=ΔR/Δδで与えられる複数の層(Δδ)とセパレータ抵抗(ΔR)の変化について算出したスロープである。
【0072】
熱収縮
収縮は、2枚の紙のシートの間にコーティング試験試料を置き、次いで、共にクリップで留め、紙の間に試料を保持し、オーブン中でつるすことによって測定する。「130℃で1時間」の試験については、試料を130℃のオーブンの中に1時間置く。「150℃で10分間」の試験については、試料を150℃のオーブンの中に10分間置く。「150℃で1時間」の試験については、試料を150℃のオーブンの中に1時間置く。オーブンの中での指定した加熱時間後に、正確な長さおよび幅の測定のために、各試料を取り出し、平坦な対向面に両面粘着テープを使用してテープで固定して、試料を平坦化および平滑化する。収縮を、機械方向(MD)および横方向(TD)の両方の方向で測定し、%MD収縮および%TD収縮として表す。
【0073】
絶縁破壊(DB)
試料の絶縁破壊が観察されるまで、電圧をセパレータ膜に適用する。強力なセパレータは、高いDBを示す。セパレータ膜の不均一性は、より低いDB値をもたらし得る。
【0074】
ホットER
ホット電気抵抗は、温度を直線的に増加させた時のセパレータ膜の抵抗の尺度である。インピーダンスとして測定された抵抗の上昇は、セパレータ膜の溶融または「シャットダウン」による細孔構造における崩壊に相当する。抵抗の低下は、ポリマーの凝集によるセパレータの開口部に相当し、この現象は「溶融完全性(melt integrity)」の喪失と呼ばれる。セパレータ膜は、高いレベルの電気抵抗を維持した場合には、これは、セパレータ膜が電池の電極の短絡を防止し得ることを示す。
【0075】
電解質安定性
3~5グラムサイズの試料(試料が膜である場合には、小片に切断する)を、カバーした容器内の1モルのLiPF電解質と共に20mlのEC:EMCに添加し、次いで、4~5日間、60℃のオーブンの中に入れる。試料を、電解質を含有する容器の中に最初に入れた時の観察を記録し、電解質の色の変化、試料の色の変化およびガス発生の存在を4~5日の貯蔵期間中、毎日記録する。
【0076】
サイクリックボルタンメトリー(CV)
典型的なリチウムイオン電池の電解質であるEC:EMC中の1MのLiPF中の添加材料の電気化学的安定性を調べるために、サイクリックボルタンメトリー(CV)を行う。サイクリックボルタンメトリーは、一般的に、溶液中の分析物の電気化学的特性を調べるために使用される。試料を、電解質安定性試験に記載したように調製し、次いで、試料をCV試験に供する。
【0077】
湿潤
コーティングスラリーによって基膜の湿潤を試験するために、スポイトを使用して、微多孔質膜の表面上にコーティングスラリー1滴を置き、スラリーによる膜の湿潤を観察し、記録する。
【0078】
電解質によってコーティングされた本発明の膜の湿潤を試験するために、スポイトを使用して、コーティングされた微多孔質膜の表面上に電解質1滴を置き、電解質による膜の湿潤を観察し、記録する。
【0079】
本発明は、その趣旨および本質的な属性から逸脱することなく、他の形態で具体化することができ、したがって、本発明の範囲を示すものとして、前述の明細書よりも添付の特許請求の範囲を参照すべきである。
【0080】
また、好適に本明細書に開示された発明は、本明細書に具体的に開示されていない要素の非存在下でも実施することができる。
図1a
図1b
図2a
図2b
図3a
図3b
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12