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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023030120
(43)【公開日】2023-03-07
(54)【発明の名称】栄養ドリンク
(51)【国際特許分類】
   A23L 2/52 20060101AFI20230228BHJP
【FI】
A23L2/00 F
A23L2/52
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206134
(22)【出願日】2022-12-23
(62)【分割の表示】P 2021530754の分割
【原出願日】2018-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】500578515
【氏名又は名称】サムヤン コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハン,テチョル
(72)【発明者】
【氏名】イム,ヘジン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ボンチャン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヨンイン
(72)【発明者】
【氏名】ソ,イル
(72)【発明者】
【氏名】イ,スンミ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】アルロースを含有する低カロリー又は無カロリーの栄養ドリンクを提供する。また、ビタミンの色が安定的に維持され、官能的に優れた栄養ドリンクを提供する。
【解決手段】アルロース、ビタミン及びルチンを含む、栄養ドリンクとする。光線変敗試験機で45℃の温度及び4,000luxで24時間経過後の色差値(△E*ab)が1~36である、前記栄養ドリンクとする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルロース、ビタミンおよびルチンを含む、栄養ドリンク。
【請求項2】
前記栄養ドリンクが、光線変敗試験機で45℃の温度および4,000luxで24時間経過後の色差値(△E*ab)が1~36である、請求項1に記載の栄養ドリンク。
【請求項3】
前記栄養ドリンクの熱量が0.1~20kcal/100mLである、請求項1に記載の栄養ドリンク。
【請求項4】
前記ビタミンが、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB5、ビタミンB6、ビタミンB7、ビタミンB9、ビタミンB12、ビタミンC、およびビタミンEからなる群より選ばれた1種以上を含む、請求項1に記載の栄養ドリンク。
【請求項5】
前記ルチンが酵素処理ルチン(enzymatically modified rutin)である、請求項1に記載の栄養ドリンク。
【請求項6】
前記栄養ドリンクが、カフェイン、タウリン、アミノ酸、カルニチン、リボース、イノシトール、ビタミン、ミネラル、抗酸化剤、炭水化物、蛋白質、脂肪酸、電解質、植物抽出物、クレアチン、α-リポ酸、ルテイン、ガラナ、コリン、L-カルニチン、コエンザイムQ10、オメガ-3脂肪酸、カロテン、フラボノイドおよびポリフェノールからなる群より選ばれた1種以上をさらに含む、請求項1に記載の栄養ドリンク。
【請求項7】
前記アルロースがシロップまたは粉末形態である、請求項1に記載の栄養ドリンク。
【請求項8】
前記アルロースが、栄養ドリンクの全体総固形分重量100%を基準として0.1~20重量%で含まれる、請求項6に記載の栄養ドリンク。
【請求項9】
前記栄養ドリンクが、高甘味甘味料、酸味料、果汁、香料、色素および保存料からなる群より選ばれた1種以上をさらに含む、請求項1に記載の栄養ドリンク。
【請求項10】
前記栄養ドリンクが無炭酸である、請求項1に記載の栄養ドリンク。
【請求項11】
前記ビタミンが、固形分重量として、全体栄養ドリンク重量100%を基準として0.0001~0.5重量%含まれる、請求項1に記載の栄養ドリンク。
【請求項12】
前記ルチンが、固形分重量として、全体栄養ドリンク重量100%を基準として0.0001~0.5重量%含まれる、請求項1に記載の栄養ドリンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアルロースを含有する栄養ドリンクおよび製造方法であって、アルロースを用いて低カロリーまたは無カロリーの栄養ドリンクを提供することができ、特にビタミンの色が安定的に維持され、官能的に優れた栄養ドリンクに用いられる。
【背景技術】
【0002】
市中に出回っているドリンクは砂糖を多量含んでおり、過量摂取すると齲蝕症、肥満症と糖尿病などの成人病を誘発し得る問題がある。国民の健康のために政府でも政策的に食飲料組成物の「糖類低減化」の施行を奨励している。食品衛生法の機器分析法による「糖類」とは、食品内に存在する単糖類と二糖類との全てを含むのを意味し、単糖類としては果糖、ブドウ糖、二糖類としては砂糖、麦芽糖、乳糖がある。食飲料内で前記のような糖類低減化を達成するためには、特に砂糖の代替は避けられない実情である。
【0003】
砂糖は、スクロースを主成分とするものとして飲食物に添加して甘味を出す代表的な甘味料の一つである。砂糖は優れた甘味度を有するため、過去から様々な飲食物、加工食品などに添加されて飲食物の味を良くし、食欲をそそる最も好まれる甘味料と考えられてきた。しかし、最近、砂糖の有害性が相次いで明らかになるに伴い問題が提起されている。具体的には、砂糖の過剰摂取が虫歯はもちろんのこと、肥満、糖尿病など各種生活習慣病の大きな原因として指摘されており、これに代わるだけの甘味料開発の必要性が世界的に台頭している実情である。最近、多様な甘味素材が開発されているが、甘味度および甘味質を考慮して砂糖とこれらの甘味素材、食物繊維など多様な機能性素材を混合して製品化が行われている。
【0004】
前記砂糖に代わる甘味料として使用されるアルロースは、果糖の3番炭素のエピマーとして、果糖の70%に該当する甘味度を有しており、血糖調節、虫歯予防および肝臓での脂肪合成を阻害する機能性糖である。砂糖の代替甘味料として多く使用されている糖アルコール類は、一定量以上摂取すると下痢を誘発するなどの副作用があるが、アルロースは知られている副作用がない。そのため、アルロースの甘味料としての関心が高まっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、アルロースを含有する低カロリーまたは無カロリーの栄養ドリンクおよびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明のまた他の目的は、ビタミンの色が安定的に維持され、官能的に優れた栄養ドリンクおよびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、アルロースを含む栄養ドリンクおよびその製造方法に関し、アルロースを使用することによりビタミンの色が安定的に維持され、官能的に優れた組成およびその製造方法を提供する。
以下、本発明をより詳しく説明する。
【0007】
本発明の一例は、アルロースを含む栄養ドリンクを提供する。例えば、本発明の栄養ドリンクは、アルロース、ビタミンおよびルチンを含む。
【0008】
本発明の用語「栄養ドリンク(nutritional drink)」は、肉体疲労時の栄養補給または疲労回復または水分補充のために栄養成分、疲労回復成分または電解質を含むドリンクまたは飲料を意味し、例えば、市販のエネルギー飲料(またはエネルギードリンク)、ビタミン飲料(またはビタミンドリンク、飲むビタミン剤、ビタミンウォーター類)、スポーツ飲料(またはイオン飲料)、滋養強壮飲料またはドリンク剤を含み得る。
【0009】
本発明の栄養ドリンクは、糖類としてアルロースを使用することにより低カロリーまたは無カロリーの栄養ドリンクを提供することができ、ブドウ糖、果糖または砂糖のような単糖類または二糖類の過剰摂取を減らし、糖尿、肥満などの成人病の予防に良い効果があり、かつ砂糖と類似水準の高い甘味度を有する利点がある。また、栄養ドリンク内の主成分であるビタミン(例えば、ビタミンB)の色を安定的に長く維持することができ、ビタミン臭または高甘味甘味料の後味を改善して官能的に優れた栄養ドリンクを提供することができる。
【0010】
本発明の栄養ドリンクは糖類としてアルロースを含み、熱量が20kcal/100mL以下、例えば0.1~20kcal/100mL、好ましくは0.1~10kcal/100mL、さらに好ましくは4~10kcal/100mLまたは0.1~4kcal/100mLであるか、無カロリーであり得る。
【0011】
前記ビタミンは、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB5、ビタミンB6、ビタミンB7、ビタミンB9、ビタミンB12、ビタミンC、およびビタミンEからなる群より選ばれた1種以上を含み得、例えば前記ビタミンはビタミン1種単独または2種以上のビタミン混合物の固形分重量として、全体栄養ドリンク重量100%を基準として0.0001~0.5重量%、さらに好ましくは0.0001~0.1重量%で添加し得る。
【0012】
ビタミンを含む通常の栄養ドリンクには、空気または紫外線露出による酸化などの原因により色が変化する問題がある。ビタミンが酸化する場合、ビタミンの色が変色し、ビタミンの酸化の有無はビタミンの色変化の有無を観察することにより確認することができる。本発明の栄養ドリンクは、アルロース、ビタミンおよびルチンを含んで時間が経過する場合にも色を安定的に維持し、ビタミンの安定性に優れることが分かる。例えば前記栄養ドリンクは、光線変敗試験機(例えば、kwangjin化学Lux Meter)で45℃の温度および4,000luxで24時間経過後の色差値(△E*ab)が1~36、好ましくは15~36、さらに好ましくは20~35.5であることを特徴とすることができる。
【0013】
本発明の栄養ドリンクに含まれるルチンは、好ましくは酵素処理ルチンであり得る。前記ルチンはマメ科エンジュ(Sophora japonica L.)の花、つぼみを水またはエタノールで抽出して得られるエンジュ抽出物、タデ科ソバ(Fagopyrum esculentum MOENCH.)の全草を水またはエタノールで抽出して得られるソバ全草抽出物、マメ科小豆(Phaseolus angularis CW.WIGHT.)の全草を水またはエタノールで抽出して得られる小豆全草抽出物であり、主成分はフラボノイド系のルチン(rutin,C273016=610.51)であり得る。また、酵素処理ルチンは前記ルチンに部分加水分解酵素を処理してラムノースを除去したものまたはルチンに糖転位酵素を作用させてグルコースを付加反応させて得られるものであり、その成分はα-グリコシル化ルチン(α-glycosylated rutin)であり得る。本発明におけるルチンは固形分重量として、全体栄養ドリンク重量100%を基準として0.0001~0.5重量%、さらに好ましくは0.0001~0.1重量%で含まれ得る。
【0014】
本発明による栄養ドリンクは、アルロースおよびルチンを混合して含み、アルロースおよびルチンの組み合わせによる相乗作用によりビタミンの安定性が顕著に向上することができる。具体的には、ルチンを単独で含む場合の色差値減少量より、ルチンおよびアルロースを混合して含む場合の色差値減少量が顕著に高いため、アルロースおよびルチンの組み合わせによる相乗作用によりビタミンの安定性向上に寄与することが分かる。
【0015】
前記アルロースは、化学的合成、またはアルロースエピマー化酵素を利用した生物学的方法で遂行し、好ましくは生物学的方法、例えば微生物または酵素反応で製造することができる。例えば、前記アルロースは混合糖またはこれから得られるものであり、前記混合糖は、アルロースエピマー化酵素、前記酵素を生産する菌株の菌体、前記菌株の培養物、前記菌株の破砕物、および前記破砕物または培養物の抽出物からなる群より選ばれた1種以上を含むアルロース生産用組成物を果糖-含有原料と反応して製造された混合糖またはこれから得られるものであり得る。
【0016】
本発明の栄養ドリンクに含まれるアルロースは、シロップまたは粉末形態であり得る。本発明の栄養ドリンクは、前記アルロースを栄養ドリンクの全体総固形分重量100%を基準として0.1~20重量%、好ましくは0.5~15重量%、さらに好ましくは1~10重量%で含むものであり得る。
【0017】
前記アルロースシロップは、アルロースを用いて多様な濃度に製造した溶液であり得る。例えば、前記アルロースシロップ内の固形分アルロースは、アルロースシロップ重量100%を基準として10~100重量%で含み得、好ましくは70~99.99重量%、さらに好ましくは90~99.99重量%で混合して製造される。前記アルロース粉末を使用する場合、アルロース粉末固形分は全体組成物粉末、例えば純度90%以上のアルロース、例えばアルロースを90~99.99重量%、さらに好ましくは95~99.99重量%で含むアルロースを使用し得る。
【0018】
前記アルロースシロップは、前記アルロース単独または混合糖から分離、精製および濃縮工程によって得られたものであり得る。本発明の一例において、分離および精製工程を経たアルロースシロップは、電気伝導度1~50μS/cmであり、無色または微黄色の甘味を有する液状でアルロース10重量%以上を含むアルロースシロップであり得る。
【0019】
本発明のアルロース製造のための一例として、アルロースエピマー化酵素を高い発現率と安定性で生産できる発現システム、それを用いたGRAS(Generally recognized as safe)微生物、および前記発現システムを用いた微生物および酵素を含むアルロース生産方法などは韓国登録特許第10-1318422号および第10-1656063号などに詳細に記載されている。
【0020】
前記アルロースは、アルロース単独または追加の他の糖類を含む混合糖であり得、混合糖の例は、全体混合糖の固形分含有量100重量%を基準として1~99.9重量%のアルロースを含有し得、追加的に果糖およびブドウ糖からなる群より選ばれた1種以上をさらに含み得る。アルロース混合糖が果糖および/またはブドウ糖を含む場合、前記混合糖は果糖1~90重量%および/またはブドウ糖1~50重量%を含み得る。前記アルロース含有混合糖の具体的な例は、混合糖の全体固形分含有量100重量部を基準として、アルロース5~30重量部、果糖20~50重量部およびブドウ糖20~55重量部、およびオリゴ糖1~10重量部を含むものであり得、オリゴ糖は含まなくてもよい。前記アルロース、果糖およびブドウ糖は、好ましくはすべてD型-異性体である。
【0021】
また、前記栄養ドリンクは前記アルロース以外にも、糖類として、砂糖、果糖、水飴、ブドウ糖、アルロースを除いた希少糖およびオリゴ糖、糖アルコール類、およびデキストリンからなる群より選ばれた1種以上の糖類をさらに含み得る。前記追加で混合される1種以上の糖類は、全体栄養ドリンク重量100%を基準として0.01~20重量%、好ましくは0.1~10重量%、さらに好ましくは0.1~5重量%で含むか、追加糖類を含まなくてもよい。
【0022】
前記アルロースを除いた希少糖は、タガトース、アロースおよびアルトロースからなる群より選ばれた1種以上を含み得る。また、前記オリゴ糖は、グルコース、フルクトース、またはガラクトースなどの単糖類がグリコシド結合によって脱水および縮合され、単糖類2個~5個の程度が結合された底粘度の糖類を総称する。前記オリゴ糖は糖質原料から得た糖液を加工したものであり、フラクトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、マルトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖などがあり、オリゴ糖は原料(基質)の種類によって、澱粉質を利用したマルトオリゴ糖またはイソマルトオリゴ糖、乳糖を利用したガラクトオリゴ糖、および砂糖を利用したフラクトオリゴ糖を使用し得る。
【0023】
前記糖アルコール類は、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、ラクチトール、イノシトールおよびソルビトールからなる群より選ばれた1種以上であり得る。前記食物繊維類は水溶性食物繊維であり得、水溶性食物繊維はポリデキストロース、難消化性マルトデキストリンおよびペクチンからなる群より選ばれた1種以上であり得る。前記オリゴ糖類はフラクトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、マルトオリゴ糖およびガラクトオリゴ糖からなる群より選ばれた1種以上であり得る。
【0024】
本発明の栄養ドリンクは、栄養補充または肉体疲労回復のための補充成分として、カフェイン、タウリン、アミノ酸、カルニチン、リボース、イノシトール、ビタミン、ミネラル、抗酸化剤、炭水化物、蛋白質、脂肪酸、電解質、植物抽出物(高麗人参、紅参など)、クレアチン、α-リポ酸、ルテイン、ガラナ、コリン、L-カルニチン、コエンザイムQ10、オメガ-3脂肪酸、ローヤルゼリー、カロテン、フラボノイド、カカオおよびポリフェノールからなる群より選ばれた1種以上をさらに含み得る。
【0025】
例えば前記カフェインは、栄養ドリンクの固形分総重量100重量%を基準として0.001~1.0、好ましくは0.001~0.5重量%で含まれ得、前記タウリンは栄養ドリンクの固形分総重量100重量%を基準として0.1~10重量%、好ましくは0.1~5.0重量%で含まれ得る。
【0026】
本発明の栄養ドリンクは、高甘味甘味料、酸味料、果汁、香料、色素、酸度調整剤および保存料からなる群より選ばれた1種以上をさらに含み得る。
【0027】
前記高甘味甘味料は、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、サイクラミン酸ナトリウム、サッカリンナトリウム、スクラロース、ステビア甘味料(例えば、ステビオール配糖体、酵素処理ステビア)、ズルチン、タウマチン、トマチン、ネオテーム、レバウディオサイド(例えば、レバウディオサイドA、レバウディオサイドD、およびレバウディオサイドM)およびモネリンからなる群より選ばれる1種以上であり得る。前記高甘味甘味料は、栄養ドリンクの固形分総重量100%を基準として0.0001~0.5重量%、好ましくは0.001~0.2重量%で含まれ得る。高甘味甘味料、例えばスクラロースは、後味で甘味が長く持続するため好ましくない甘味質である甘味の後引き感(aftertaste)が発生し得、ステビオール配糖体または酵素処理ステビアのような高甘味甘味料は、後味に甘味の後引き感とともに苦味が発生し得るが、本発明の栄養ドリンクはアルロースを使用して栄養ドリンク内の高甘味甘味料の後味の甘味の後引き感および苦味をマスキングする効果がある。
【0028】
前記果汁の種類は特に限定されないが、例えば、柑橘類果汁(オレンジ果汁、ミカン果汁、グレープフルーツ果汁、レモン果汁、ライム果汁など)、リンゴ果汁、ブドウ果汁、桃果汁、熱帯果実果汁(パイナップル、グアバ、バナナ、マンゴー、アセロラ、パパイヤ、パッションフルーツなど)、その他の果実の果汁(梅果汁、梨果汁、あんず果汁、スモモ果汁、ベリー果汁、キウイフルーツ果汁など)、トマト果汁、ニンジン果汁、イチゴ果汁、メロン果汁からなる群より選ばれた1種以上を含み得、前記果汁を2種以上を混合して使用してもよい。
【0029】
前記香料は、アップルミント香、モヒート香、オレンジ香、ライム香、レモン香、ミント香、リンゴ香、ブドウ香、ラズベリー香、ブルーベリー香、マンゴー香、キウイ香およびイチゴ香からなる群より選ばれた1種以上を含み得る。
【0030】
前記色素は、カロテノイド系、フラボノイド系、ピロール系、キノン系天然色素およびタール色素からなる群より選ばれた1種以上を含み得るが、これに限定されない。
【0031】
例えば、前記タール色素は、化学構造上、アゾ系色素、キサンテン系色素、トリフェニルメタン系色素、インジゴイド系色素などを含み得、例えば前記タール色素には、食用色素緑色第3号、食用色素緑色第3号アルミニウムレーキ、食用色素赤色第2号、食用色素赤色第2号アルミニウムレーキ、食用色素赤色第3号、食用色素青色第1号、食用色素青色第1号アルミニウムレーキ、食用色素青色第2号、食用色素青色第2号アルミニウムレーキ、食用色素黄色第4号、食用色素黄色第4号アルミニウムレーキ、食用色素黄色第5号、食用色素黄色第5号アルミニウムレーキ、食用色素赤色第40号、食用色素赤色第40号アルミニウムレーキ、食用色素赤色第102号、食用タール色素アルミニウムレーキなどがある。
【0032】
前記酸味剤は、通常使用される多様な有機酸であり得、好ましくはクエン酸、リンゴ酸、フマル酸、酢酸、乳酸、および酒石酸からなる群より選ばれた1種以上であり得る。
【0033】
前記酸度調整剤は通常使用される酸度調整剤として、例えばクエン酸三ナトリウム、クエン酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウムおよびグルコノ-δ-ラクトンからなる群より選ばれた1種以上を含み得るが、これに限定されない。
【0034】
前記保存料は通常使用される保存料として、例えば安息香酸ナトリウム、またはソルビン酸ナトリウムを使用し得るが、これに限定されない。
【0035】
本発明の栄養ドリンクは、炭酸を含むか、または含まなくてもよいが、好ましくは炭酸を含まない無炭酸栄養ドリンクである。
【0036】
本発明のまた他の一例として、アルロース、ビタミンおよびルチンを混合する段階を含む、栄養ドリンク製造方法を提供する。
【0037】
前記栄養ドリンクに関する事項は、栄養ドリンク製造方法に同様に適用することができる。
【0038】
前記製造方法は、濾過、殺菌、脱色および冷却工程からなる群より選ばれた1種以上の追加工程を含み得る。
【発明の効果】
【0039】
本発明は、アルロース、ビタミンおよびルチンを含む栄養ドリンクおよびその製造方法に関し、ビタミンの色安定度を高めて貯蔵安定性を高め、ピタミン臭または高甘味甘味料の後味を改善して官能的に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】実施例1~5および比較例の栄養ドリンクを光線変敗試験機で製造直後、6時間および24時間保管後の色を示す写真である。
図2】実施例1~5および比較例の栄養ドリンクを光線変敗試験機で製造後、24時間保管後の色差値を測定した結果である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
下記例示的な実施例を挙げて本発明をより詳しく説明するが、本発明の保護の範囲を下記実施例に限定する意図ではない。
【0042】
製造例1.アルロースシロップの製造
アルロースは韓国登録特許第10-16173797号に記載された製造方法と実質的に同じ生物学的方法で果糖基質からアルロースシロップを製造して、40ブリックスの95重量%果糖からブドウ糖:果糖:アルロース:オリゴ糖=6:67:25:2である24~26(w/w)%アルロースシロップを収得した。
得られたアルロースシロップを、有色およびイオン成分などの不純物を除去するために、陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂および陽イオンと陽イオン交換樹脂が混合された樹脂で充填された常温のカラムに時間当りイオン交換樹脂2倍体積の速度で通液させて処理した。その次、カルシウム(Ca2+)タイプのイオン交換樹脂で充填されたクロマトグラフィーを用いて高純度のアルロース分画を得た。前記アルロース分画をイオン精製および濃縮し、糖シロップ組成物の固形分含有量100重量%を基準としてアルロース95重量%、果糖5重量%で構成されたアルロースシロップを製造した。
前記アルロース含有量95重量%のアルロースシロップのpH、色価、電気伝導度を測定して、下記表1に示した。
【0043】
【表1】
【0044】
実施例1~5.栄養ドリンクの製造
製造例1で製造されたアルロースシロップを含む栄養ドリンクを製造した。
具体的には、前記アルロースシロップと、下記表2の組成および配合比(w/w%)で各成分を混合して攪拌し、120meshで濾過した後98℃の温度で30秒間殺菌した。これを再び80meshで濾過した後88℃の温度で充電した。その後85℃の温度で15分間後殺菌して冷却して栄養ドリンクを製造した。
【0045】
【表2】
【0046】
前記ビタミンプレミックスは、全体組成物100重量%を基準としてビタミンB6塩酸塩0.0025重量%、ビタミンB2リン酸エステルナトリウム0.0026重量%、ビタミンB1硝酸塩0.0025重量%、ニコチン酸アミド0.0081重量%およびその他成分0.0441重量%を含む組成を使用した。
【0047】
比較例
実施例1と同様に栄養ドリンクを製造する。ただし実施例1で使用したアルロースの代わりにマルチトールシロップを使用して製造した。マルチトールシロップとしては、マルチトール固形分含有量を5.74重量%で含むものを使用した。
【0048】
実験例1.栄養ドリンクの熱量確認
実施例1~5および比較例による栄養ドリンクの組成に基づいて、栄養成分を利用した理論値計算法により熱量を算出し、マルチトールシロップを含む比較例の場合、熱量が15Kcal/100mLであることに対し、アルロースシロップを含む実施例1~5の場合はいずれも熱量が1Kcal/100mLに過ぎないことを確認した。
したがって、本発明の栄養ドリンクは、熱量においてマルチトールシロップを使用した比較例に対して熱量が顕著に低いことを確認した。
【0049】
実験例2.色差測定
実施例1~5および比較例による栄養ドリンク試料を、光線変敗試験機で45℃の温度および4,000luxで0時間(製造直後)、6時間、および24時間保管後、色差計(CM-3500d、Konica Minolta,Osaka,Japan)で色度を測定し、それによる△E*abを計算した(図1)。
色度分析時、明度を示すL値(lightness)、赤色度(-)および緑色度(+)を示すa値(Redness)と黄色度を示すb値(Yellowness)を測定したところ、色標準色板のL値は95.17、a値は-1.22、b値は-5.13であった。測定した色度に基づいて表3および図2に色差値(△E*ab)を示した。
【0050】
【表3】
【0051】
前記結果から確認できるように、アルロースを使用することによりビタミンの色が安定化されることを確認することができ、これはビタミンの酸化などによる変形が減少したことを意味する。
【0052】
実験例3.官能評価
実施例1~5および比較例の栄養ドリンクについて官能評価を実施した。香り、甘味、酸味、後味の甘味の後引き感、ボディ感、調和感、甘味満足度および全般的な満足度の評価項目について下記評価基準により評価し、その評価結果を下記表に示した。20~50代の成人男女パネル14人を対象に5点尺度法により官能評価を行った。
[評価基準]
香り: 香り強度が非常に低い(0点)-香り強度が非常に強い(5点)
甘味: 甘味が全くない(0点)-甘味が非常に強い(5点)
酸味: 酸味が全くない(0点)-酸味が非常に強い(5点)
後味の甘味の後引き感: 甘味の後引き感が全くない(0点)-甘味の後引き感が非常に長い(5点)
ボディ(body)感: ボディ感が全くない(0点)-ボディ感が非常に大きい(5点)
調和感: 調和感が全くない(0点)-調和感が非常に良い(5点)
甘味満足度: 全般的な甘味が非常に悪い(0点)-全般的な甘味が非常に良い(5点)
【0053】
【表4】
【0054】
前記結果から確認できるように、アルロースを含む実施例栄養ドリンクは、高甘味甘味料固有の後味の甘味の後引き感を改善しただけでなく、低い熱量でもより優れた甘味満足度を有する栄養ドリンクを製造できることを確認した。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2023-01-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルロース、ビタミンおよびルチンを含む栄養ドリンクであって、
前記栄養ドリンクの総固形分100重量%を基準として、固形分含有量0.1~20重量%のアルロース、固形分含有量0.0001~0.5重量%のビタミン、および固形分含有量0.0001~0.5重量%のルチンが含まれ、
ビタミンの貯蔵安定性を有する、栄養ドリンク
【請求項2】
前記栄養ドリンクが、光線変敗試験機で45℃の温度および4,000luxで24時間経過後の色差値(△E*ab)が1~36である、請求項1に記載の栄養ドリンク。
【請求項3】
前記栄養ドリンクの熱量が0.1~20kcal/100mLである、請求項1に記載の栄養ドリンク。
【請求項4】
前記ビタミンが、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB5、ビタミンB6、ビタミンB7、ビタミンB9、ビタミンB12、ビタミンC、およびビタミンEからなる群より選ばれた1種以上を含む、請求項1に記載の栄養ドリンク。
【請求項5】
前記ルチンが酵素処理ルチン(enzymatically modified rutin)である、請求項1に記載の栄養ドリンク。
【請求項6】
前記栄養ドリンクが、カフェイン、タウリン、アミノ酸、カルニチン、リボース、イノシトール、ビタミン、ミネラル、抗酸化剤、炭水化物、蛋白質、脂肪酸、電解質、植物抽出物、クレアチン、α-リポ酸、ルテイン、ガラナ、コリン、L-カルニチン、コエンザイムQ10、オメガ-3脂肪酸、カロテン、フラボノイドおよびポリフェノールからなる群より選ばれた1種以上をさらに含む、請求項1に記載の栄養ドリンク。
【請求項7】
前記アルロースがシロップまたは粉末形態である、請求項1に記載の栄養ドリンク。
【請求項8】
前記栄養ドリンクが、高甘味甘味料、酸味料、果汁、香料、色素および保存料からなる群より選ばれた1種以上をさらに含む、請求項1に記載の栄養ドリンク。
【請求項9】
前記栄養ドリンクが無炭酸である、請求項1に記載の栄養ドリンク。
【請求項10】
アルロースおよびルチンをビタミンと混合して栄養ドリンクを製造する段階を含み、
前記栄養ドリンクの総固形分100重量%を基準として、固形分含有量0.1~20重量%のアルロース、固形分含有量0.0001~0.5重量%のビタミン、および固形分含有量0.0001~0.5重量%のルチンが含まれ、
栄養ドリンク内のビタミンの貯蔵安定性を向上させる方法。