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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023030134
(43)【公開日】2023-03-07
(54)【発明の名称】食品包装用容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/34 20060101AFI20230228BHJP
   B65D 81/32 20060101ALI20230228BHJP
【FI】
B65D81/34 U
B65D81/32 K
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206953
(22)【出願日】2022-12-23
(62)【分割の表示】P 2019187574の分割
【原出願日】2019-10-11
(31)【優先権主張番号】P 2019113678
(32)【優先日】2019-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】591007295
【氏名又は名称】株式会社アプリス
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 光春
(74)【代理人】
【識別番号】100112564
【弁理士】
【氏名又は名称】大熊 考一
(74)【代理人】
【識別番号】100163500
【弁理士】
【氏名又は名称】片桐 貞典
(74)【代理人】
【識別番号】230115598
【弁護士】
【氏名又は名称】木内 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】長井 達之
(72)【発明者】
【氏名】田邉 敦士
(72)【発明者】
【氏名】土門 和裕
(57)【要約】      (修正有)
【課題】皿部を嵌め易く、加熱調理中は皿部が外れ難く、そしてユーザによっては皿部を外し易い食品包装用容器を提供する。
【解決手段】この食品包装用容器は、容器本体1と皿部2と蓋3を少なくとも備える。容器本体1は、容器本体1の内周側面に形成される上側の凹部151と、当該容器本体1の内周側面及び前記上側の凹部151よりも低い位置に形成される下側の凹部141とを有する。皿部2は、下側の凹部141に嵌まり込む皿側嵌合部26と、皿側嵌合部26より外側に形成される上側リブ28を有する。蓋3は、上側の凹部151に嵌まり込む凸部33と、凸部33より内周側にあり、上側から上側リブ28と接触する蓋側接触部である蓋側水平部32を有する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面部及び周壁部を有し、上面が開口した容器本体と、
底面部及び周壁部を有し、前記容器本体の内部空間に嵌合し、前記容器本体の底面と離間して支持される皿部と、
前記容器本体の内部空間に嵌合しつつ、前記容器本体の内部空間を閉じる蓋部と、
を備え、
前記容器本体は、
当該容器本体の内周側面に形成される上側の凹部と、
当該容器本体の内周側面及び前記上側の凹部よりも低い位置に形成される下側の凹部と、
を有し、
前記皿部は、
前記下側の凹部に嵌まり込む皿側嵌合部と、
前記皿側嵌合部より外側に形成される上側リブと、
を有し、
前記蓋部は、
前記上側の凹部に嵌まり込む凸部と、
前記凸部より内周側にあり、上側から前記上側リブと接触する蓋側接触部と、
を有すること、
を特徴とする食品包装用容器。
【請求項2】
前記皿側嵌合部は、膨出部を有すること、
を特徴とする請求項1記載の食品包装用容器。
【請求項3】
前記蓋部は天面を有し、
前記凸部は、前記天面より外周に位置し、
前記蓋側接触部は、前記天面と前記凸部との間に設けられること、
を特徴とする請求項1又は2記載の食品包装用容器。
【請求項4】
前記蓋側接触部は、水平部であること、
を特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の食品包装用容器。
【請求項5】
前記上側リブは、前記蓋側接触部に押さえ付けられること、
を特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の食品包装用容器。
【請求項6】
前記皿部は、前記皿側嵌合部より外側が半径方向外方に延び、
前記上側リブは、前記半径方向外方に延びた範囲から立ち上がっていること、
を特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の食品包装用容器。
【請求項7】
前記容器本体は、前記上側の凹部より下方に、前記半径方向外方に延びた範囲と接触する容器側接触部を有すること、
を特徴とする請求項6記載の食品包装用容器。
【請求項8】
前記上側の凹部よりも下方に容器側接触部を有し、
前記皿部は、前記皿側嵌合部と前記上側リブとの間にフランジ部を有し、
前記フランジ部は、前記容器側接触部に着座すること、
を特徴とする請求項6記載の食品包装用容器。
【請求項9】
前記容器側接触部は、容器側水平部であること、
を特徴とする請求項7又は8記載の食品包装用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装着した皿部によって食品を上下に分離して収容できる食品包装用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
容器本体、皿部及び蓋を備える食品包装用容器がある。この種の食品包装用容器では、容器本体の内部空間に皿部が押し入れられ、皿部を容器本体に内嵌合させている。容器本体の底面及び側面部とで画成される内部空間が皿部によって上下に分離されるため、この食品包装用容器は、食品を皿部と容器本体の底とに分けて収容できる。皿部に置かれた食品と容器本体の底に置かれた食品とを調理直前まで混合させたくない場合に有用である。
【0003】
このような食品包装用容器は、電子レンジを用いた加熱によって内部圧力が上昇する。内部圧力が皿部に作用すると、加熱調理中、皿部が容器本体から外れ、皿部に置かれた食品と容器本体の底に置かれた食品とが混ざってしまう虞がある。
【0004】
そこで、特許文献1の食品包装用容器では、皿部と容器本体との係合部の形状を工夫し、皿部が容器本体から外れ難いようにしている。具体的には、皿部の外周側面に、皿部の上面開口から底面に向けて直線的に拡径する逆テーパ状の係合部を周方向に1周に亘って無端状に膨出させている。また、容器本体の内周側面に、内周側面を凹ませた逆テーパ状の係合部、即ち容器本体の上面開口から底面に向けて直線的に拡径する凹みを一周に亘って無端状に形成している。これら逆テーパ同士が嵌合することにより、皿部と容器本体との間の嵌合強度を高めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-102177号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
食品包装用容器を組み立てる際、皿部を容器本体に容易に嵌め合わせられることが望ましい。皿部の容器本体への嵌め込みに均等で大きな力が必要だとすれば、皿部の嵌め込み不良が発生し易くなる。その結果、皿部側と容器本体側に逆テーパ形状の係合部を設けたとしても、加熱調理中に、内部圧力に対して嵌め込み不良の皿部が外れてしまう。
【0007】
また、皿部を容器本体に容易に嵌め合わせられることが望ましい一方、加熱調理中は皿部が容器本体から外れ難いことが望ましい。そのため、皿部側と容器本体側に逆テーパ形状の係合部を設け、係合部分の接触面積を高めている。しかし、食品包装用容器の個体によっては、皿部側と容器本体側に逆テーパ形状の係合部を設けることが、寧ろ容器本体から外れ易い状況を引き起こしている。
【0008】
即ち、食品包装用容器の容器本体は、発泡ポリスチレンシートを金型で挟み込むシート成形により得られる。成形時には、発泡ポリスチレンシートを再び発泡させている。従って、容器本体の細部形状を設計と精度よく一致させるには、発泡ポリスチレンシートの高精度な再発泡制御が必要となる。また、容器本体を大量生産するには、同一の金型が複数用意される。従って、容器本体の細部形状を設計と精度よく一致させるには、金型間の寸法精度や金型再現性も重要である。
【0009】
そして、再発泡制御及び成型時の金型再現性に問題があると、容器本体の個体間で、係合部が有する逆テーパ形状の深さや傾斜角に相違が生じる。また、係合部は、容器本体の内周側面を1周するように無端状に形成されるが、一部に逆テーパ形状の深さや傾斜角が設計と異なる範囲が生じてしまう。一方、皿部は発泡体ではなく、ソリッドなポリプロピレンが用いられる。従って、皿部の係合部が有する逆テーパ形状を1周に亘って設計と高精度に合わせることは比較的容易である。
【0010】
そうすると、容器本体の係合部と皿部の係合部とが全周において精度良く合致せず、容器本体と皿部の嵌合強度が減少した個体が発生する虞がある。例えば、容器本体の係合部の一部範囲において、逆テーパの傾斜角が設計よりも緩やかになり、容器本体の内周側面からの凹みが浅い不良部が存在したものとする。逆テーパ同士の嵌合は、傾斜面が面接触により摺り合うものであるが、不良部では、容器本体側の傾斜角と皿部の傾斜角とが異なるので、傾斜面が線接触となってしまうため、容易に浮き上がってしまう。
【0011】
更に、皿部を容器本体に容易に嵌め合わせられ、且つ加熱調理中は皿部が容器本体から外れ難いことが望ましいが、更にユーザが皿部を容器本体から取り外すときには容易であることが望ましい。しかしながら、皿部と容器本体の両係合部が共に逆テーパ形状である場合には、寧ろ外れ難くなっている。
【0012】
また、皿部を外しながら持ち上げていくとき、皿部は、外れた領域が斜め上に傾斜し、外れていない領域は平坦のままとなるように、歪み変形してしまう。そうすると、皿部を外す最中、皿部の上の食品が雪崩を打って、ユーザが把持した範囲とは反対側に崩れ落ち、食品が皿部から落下してしまう虞がある。従って、ユーザは、把持する領域を変えながら慎重に皿部を外す必要があるが、把持する領域と外れて蒸気が噴出する領域とが一致するので、ユーザに火傷を負わせる危険性が生じる。そのため、ユーザは、容器本体から皿部を外し難い。
【0013】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決するために提案されたものであり、その目的は、皿部を嵌め易く、加熱調理中は皿部が外れ難く、そしてユーザによっては皿部を外し易い食品包装用容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を達成するため、本発明の実施形態に係る食品包装用容器は、底面部及び周壁部を有し、上面が開口した容器本体と、底面部及び周壁部を有し、前記容器本体の内部空間に嵌合し、前記容器本体の底面と離間して支持される皿部と、前記容器本体の内部空間に嵌合しつつ、前記容器本体の内部空間を閉じる蓋部と、を備え、前記容器本体は、当該容器本体の内周側面に形成される上側の凹部と、当該容器本体の内周側面及び前記上側の凹部よりも低い位置に形成される下側の凹部と、を有し、前記皿部は、前記下側の凹部に嵌まり込む皿側嵌合部と、前記皿側嵌合部より外側に形成される上側リブと、を有し、前記蓋部は、前記上側の凹部に嵌まり込む凸部と、前記凸部より内周側にあり、上側から前記上側リブと接触する蓋側接触部と、を備える。
【0015】
前記皿側嵌合部は、膨出部を有するようにしてもよい。
【0016】
前記蓋部は天面を有し、前記凸部は、前記天面より外周に位置し、前記蓋側接触部は、前記天面と前記凸部との間に設けられるようにしてもよい。
【0017】
前記蓋側接触部は、水平部であるようにしてもよい。
【0018】
前記上側リブは、前記蓋側接触部に押さえ付けられるようにしてもよい。
【0019】
前記皿部は、前記皿側嵌合部より外側が半径方向外方に延び、前記上側リブは、前記半径方向外方に延びた範囲から立ち上がっているようにしてもよい。
【0020】
前記容器本体は、前記上側の凹部より下方に、前記半径方向外方に延びた範囲と接触する容器側接触部を有するようにしてもよい。
【0021】
前記上側の凹部よりも下方に容器側接触部を有し、前記皿部は、前記皿側嵌合部と前記上側リブとの間にフランジ部を有し、前記フランジ部は、前記容器側接触部に着座するようにしてもよい。
【0022】
前記容器側接触部は、容器側水平部であるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、皿部は、容器本体に嵌めるときは嵌め易く、凹部に不良部があっても加熱調理中に外れ難く、加熱調理終了後は外し易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】分離状態を示す食品包装用容器の全体断面図である。
図2】合体状態を示す食品包装用容器の全体断面図である。
図3】容器本体の詳細形状を示す周壁部の断面図である。
図4】皿部の詳細形状を示す周壁部の側面図である。
図5】皿部の詳細形状を示す周壁部の断面図である。
図6】皿部の平面図である。
図7】蓋の詳細形状を示す周壁部の断面図である。
図8】合体状態に係り、容器本体と皿部と蓋の周壁部の係合状態を示す断面図である。
図9】皿部の上側リブを内側から捲り上げようとする力と、当該力に対して上側リブの外縁に抗力が働く様子を示す図である。
図10】(a)は突起部の一部が外れている様子を示し、(b)は無端状に1周して膨出する膨出部の一部が外れている様子を示す模式図である。
図11】皿部の詳細形状を示す周壁部の他の例の側面図である。
図12】皿部の詳細形状を示す周壁部の他の例の断面図である。
図13】傾いた食品包装用容器において、他の例に係る皿側嵌合部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施形態に係る食品包装用容器について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、各図面においては、理解容易のため、厚み、寸法、位置関係、比率等を強調して示している。また、食品包装用容器の底側を下方又は下側といい、蓋の天面側を上方又は上側という。
【0026】
(食品包装用容器)
図1は、食品包装用容器100の分離状態を示す図であり、皿部においては左側が側面図、右側が断面図である。図2は食品包装用容器100の合体状態を示す図であり、皿部においては左側が断面図、右側が側面図である。図1及び2に示すように、食品包装用容器100は、容器本体1、皿部2及び蓋3を備えている。容器本体1、皿部2及び蓋3は分離した別体であり、嵌合により着脱自在に1つに合体し、食品包装用容器100となる。
【0027】
容器本体1は上面開口のボウル型である。この容器本体1は、底面部11と、当該底面部11の縁に沿って無端状に連続する周壁部12とを備えている。底面部11は平面視円形である。容器本体1の口縁13は、底面部11よりも大径の円環状である。即ち、周壁部12は、底面部11から上面開口に向けて全体としては漸次拡径しながら立ち上がっている。皿部2は、容器本体1の口縁13よりも小径であり、また蓋3の外周よりも小径であり、底が浅い円盤型である。この皿部2は、底面部21及び周壁部22を備えている。底面部21は、全体として平面視円形である。周壁部22は、底面部21の縁に沿って無端状に連続して立ち上がっている。蓋3は天面が平坦に潰れたドーム部31を有する。
【0028】
皿部2は、容器本体1の上部開口から内部空間へ押し込まれる。押し込まれた皿部2は、皿部2の径と容器本体1の径とが一致する高さで、容器本体1の内周側面に内嵌合する。皿部2の径と容器本体1の径とが一致する高さは、皿部2の全高よりも高い。そのため、皿部2は、容器本体1の底面部11よりも上方位置に離間し、容器本体1の内空間に中空支持される。蓋3は、皿部2を内嵌合させた後、容器本体1の上部開口から内部空間へ押し込まれる。押し込まれた蓋3は、皿部2に覆い被さりつつ、皿3の径と容器本体1の径とが一致する高さで、容器本体1と内嵌合し、容器本体1を閉蓋する。
【0029】
容器本体1、皿部2及び蓋3が合体した状態において、皿部2は、容器本体1の底面部11と離間して支持される。容器本体1の内部空間は、皿部2によって上側内部空間101と下側内部空間102の上下二つの領域に区分される。この食品包装用容器100は、上側内部空間101と下側内部空間102に食品を分けて収容できる。皿部2上と容器本体1の底面部11上に食品を分けつつ、閉蓋のまま電子レンジで加熱調理したい場合に、食品包装容器100は適するものである。例えば、下側内部空間102には液体状又はゼラチン等で固められたスープ等が収容され、上側内部空間101には麺や具材が収容される。
【0030】
(容器本体)
容器本体1について更に詳細に説明する。図3は、容器本体1の詳細形状を示す断面図である。容器本体1の内周側面には、皿部2と係合する下部嵌合部14と、蓋3と係合する上部嵌合部15とが形成されている。下部嵌合部14は、上部嵌合部15よりも相対的に底面部11側、即ち低い位置に形成され、上部嵌合部15は、下部嵌合部14よりも相対的に口縁13側、即ち高い位置に形成されている。
【0031】
下部嵌合部14は、容器本体1の内周側面を1周に亘って同一高さを維持して無端状に延在する。この下部嵌合部14は、凹部141と下部段差部142と容器側水平部143とを有する。凹部141に直結して下側に下部段差部142が形成され、凹部141に直結して上側に容器側水平部143が形成されている。
【0032】
凹部141は、容器本体1の内周側面に形成される凹みである。凹部141は、容器本体1の内周側面を1周に亘って同一高さを維持して無端状に延在する。また、凹部141は逆テーパ形状を有している。即ち、凹部141は、容器本体1の上面開口から底面部11に向けて、容器本体1の内周側面が直線的に拡径している。下部段差部142は、同一高さで容器本体1の内周側面を1周に亘って延在する無端状を成し、凹部141の下端よりも容器本体1の内部空間側へ膨出している。容器側水平部143は、凹部141の上端を基点に容器本体1の半径方向に沿って外側に水平に延び、高さ一定である。
【0033】
換言すれば、周壁部12は、底面部11から拡径しながら立ち上がった後、滑らかに拡径度合いを大きくされることで下部段差部142を備え、下部段差部142の上端を基点に上方へ向けて縮径されることで凹部141を備え、凹部141の上端を基点に水平に延ばされることで容器側水平部143を備える。
【0034】
上部嵌合部15は、凹部151と上部段差部152とから成る。上部段差部152は、下部嵌合部14の容器側水平部143の外周側領域に形成され、凹部151は、上部段差部152に直結して上側に形成されている。
【0035】
凹部151は、容器本体1の内周側面に形成される凹みである。凹部151は、容器本体1の内周側面を1周に亘って同一高さを維持して無端状に延在する。また、凹部151は、逆テーパ形状を有している。即ち、凹部151は、容器本体1の上面開口から底面部11に向けて、周壁部12の内周側面が直線的に拡径する。上部段差部152は、容器側水平部143よりも一段盛り上がった領域であり、凹部151の直下に形成されている。この上部段差部152は、同一高さで容器本体1の内周側面を1周に亘って延在する無端状を成し、凹部151の下端よりも容器本体1の内部空間側へ膨出している。
【0036】
換言すれば、周壁部12は、下部嵌合部14の容器側水平部143の外縁が1段高く盛り上げられることで上部段差部152を備え、上部段差部152の外縁を基点に上方へ向けて縮径されることで凹部151を備える。そして、周壁部12は、凹部151の上端から更に立ち上げられ、立ち上げ先に口縁13を備える。
【0037】
口縁13は、周壁部12の上端を容器本体1の外側に湾曲させた上側凸の玉ぶち形状を有する。この口縁13の外縁は、容器本体1の半径方向外側に向けて延長された縁取り部131を備えている。この縁取り部131は、口縁13の強度を補強している。
【0038】
このような容器本体1は、発泡ポリスチレンシートを金型で挟み込むシート成形により作製される。発泡ポリスチレンシートは成型時に加熱により軟化し、金型で挟み込む際に再び発泡しながら、容器本体1に形作られる。容器本体1の素材は発泡体であれば、発泡ポリスチレンに限られない。容器本体1の内面形状を形成する金型は、下部嵌合部14の凹部141及び上部嵌合部15の凹部151を形成する下部鍔部及び上部鍔部を有する。下部鍔部と上部鍔部の両方とも、逆テーパ形状を有し、容器本体1の上面開口から底面部11に向けて直線的に拡径する。
【0039】
同一種類の容器本体1を作製するための複数の金型の寸法精度や金型再現性、発泡ポリスチレンシートのシート保管状況や成形時の発泡状態、又はこれらの両方によっては、下部嵌合部14が有する凹部141、上部嵌合部15が有する凹部151又はこれらの両方は、一周の全部範囲又は一部範囲において、所望の傾斜角を有する逆テーパとならなかったり、所望の最深部を有する逆テーパとならなかったり、または容器本体1の上面開口から底面部11に向けて縮径するテーパ形状となり、容器本体1の内周側面から内空間に突出する場合もあり得る。以下、所望の傾斜角よりも垂直側に立ってしまった凹部141の範囲、所望の最深部よりも浅い凹部141の範囲を不良部と呼ぶ。
【0040】
(皿部)
次に、皿部2について更に詳細に説明する。図4は皿の詳細形状を示す周壁部の側面図であり、図5は皿の詳細形状を示す周壁部の断面図であり、図6は皿部2の平面図である。皿部2は、例えばソリッドなポリプロピレンシートを金型で挟み込むシート成形により作製される。
【0041】
シート成形により、皿部2の周壁部22には、底面部21を起点として周壁部22の端部に至るまでに、平面視円形の底面部21の周縁から無端状に立ち上がり、途中で半径方向に沿って水平に延びる段部231が形成される。段部231は、容器本体1の下部嵌合部14より下方の周壁部12の立ち上がり角度よりも急峻に立ち上がっている。段部231と底面部21の境界は、丸みを帯びて面取り部232が形成されている。また、周壁部22には、段部231の水平面から垂直方向へ急激に傾斜角を変更して立ち上がる垂直部233が形成される。更に、周壁部22には、半径方向に沿って水平に延びる皿側水平部234が形成される。
【0042】
皿部2の段部231は底側リブ25となる。この底側リブ25は、底面部21の外周面を1周に亘って同一高さで無端状に形成される円環状である。底側リブ25は、上下方向に所定の厚みを有し、水平方向に所定の幅を有し、皿部2の内周側に膨出する。また底側リブ25は、皿部2が容器本体1と内嵌合したとき、面取り部232が容器本体1の内周側面に接触するように、内周径が定められている。この底側リブ25は、底面部21の変形が底側リブ25よりも上方の形状に波及することを抑制する。尚、底面部21は、下側内部空間102の圧力上昇によって、上側に膨出するドーム状に変形する。圧力上昇は、食品包装用容器1に対する電子レンジによる加熱調理によって生じる。
【0043】
底側リブ25に直結して上側に形成される垂直部233には、皿側嵌合部26が形成されている。皿側嵌合部26は、周壁部22の外周面側に形成され、容器本体1の下部嵌合部14と係合する。この皿側嵌合部26は、突起部261と環状膨出部262とを有する。突起部261は、垂直部233の下側領域に配され、環状膨出部262は、垂直部233の上側領域に配される。即ち、突起部261は、逆テーパ状の凹部141の凹みが深い位置に対向し、環状膨出部262は、逆テーパ状の凹部141の凹みが浅い位置に対向する。この突起部261は、下部嵌合部14の凹部141に嵌まり込む。環状膨出部262は、下部嵌合部14の凹部141の上側領域と密着する。
【0044】
突起部261は、垂直部233から皿部2の外側へ突き出し、例えば点状のように皿部2の円周長に対して十分に短い周方向長を有する。この突起部261は例えば半球状の膨らみである。半球状には、中心角が180度に満たない膨らみ、及び楕円状の膨らみが含まれる。この突起部261は複数形成される。複数の突起部261は、皿部2の外周側面に1周に亘って同一高さ位置を維持して並んでいる。突起部261は隣同士間隔を空けながら円周等配位置で並んでいる。各突起部261の形状及び寸法は同一である。
【0045】
環状膨出部262は、皿部2の外周側面を1周に亘って同一高さを維持して無端状に延在する円環形状を有し、また上下方向に沿った断面視で半円状又は台形状を有する。環状膨出部262の上下方向の長さ及び水平方向の幅は均一である。
【0046】
皿側嵌合部26に直結して上側の皿側水平部234は、下部嵌合部14の容器側水平部143に着座するフランジ部27となっている。フランジ部27の上面には上側リブ28が形成されている。上側リブ28は、フランジ部27の円環状の延びに沿って1周に亘って無端状に延びる円環形状を有する。この上側リブ28は、皿側嵌合部26を変形させようとする力を抑え込む。
【0047】
更に、上側リブ28は、下面が全周に渡って環状の開口283を有し、また内部に貯留空間284を有し、上下方向に沿った断面視で、下辺の無い3辺で囲まれる矩形状を有する。即ち、皿部2の皿側水平部234は、詳細には、垂直部233の上端から水平に延びた後、途中で屈曲して垂直に立ち上がり、垂直から皿部2の半径方向外方へ直角に屈曲して水平方向に延び、水平から皿部2の上下方向に屈曲して下方に垂直に延び、垂直部233の上端から始まる水平と同じ高さで水平に延びる方向に戻る。
【0048】
上側リブ28は、フランジ部27の外周領域を全周に亘って残すように立設されている。即ち、上側リブ28の最外径よりもフランジ部27の最外径は大きい。上側リブ28は、幅が1周に亘って同一ではなく、幅狭域281を有している。幅狭域281は、上側リブ28の他の円弧範囲よりも上面平坦領域の幅が狭い範囲、即ち内周径と外周径の差が小さい範囲である。この幅狭域281は、上側リブ28の一部である第1円弧範囲と、この一部範囲に対して環中心を挟んで反対側の第2円弧範囲に及ぶ。そして、一方の幅狭域281には、内周壁が半径方向外側に傾斜した傾斜面282が形成されている。この傾斜面282は、食品を皿部2から取り出すときの滑り出し口となる。
【0049】
また、傾斜面282に続き、底面部21の上面には、傾斜面282に向けて傾斜する傾斜面211が傾斜している。食品は、この傾斜面211を滑って上側リブ28に向かい、傾斜面282を滑って皿部2外へ滑り落ちる。
【0050】
フランジ部27の外周縁のうち、他方の幅狭域281が延在する範囲からは、舌片部29が延出している。舌片部29は、傾斜面282が形成されている幅狭域281と反対側の幅狭域281の範囲内に形成されている。舌片部29は、上側リブ28よりも外周側から延びる細長い板片であり、皿部2を容器本体1から外す際に把持される。この舌片部29の基端には、下方に凹んだ凹状環状リブ291と上側に凸状に膨らんだ凸状環状リブ292が形成されている(図1参照)。凹状環状リブ291と凸状環状リブ292は連接し、凹状環状リブ291は、凸状環状リブ292よりも舌片部291の基端側に位置する。舌片部29を把持したとき、凹状環状リブ291に折り曲げ力が加わって、舌片部29を折り曲げ易くするが、凸状環状リブ292が外側に連接することにより、その折り曲げ力が凹状環状リブ291に加わり易くなる。
【0051】
(蓋)
図7は蓋3の断面図である。ドーム部31は、天面中心が平坦であり、平坦領域の外側で下方へ拡径しながら垂れ下がっている。蓋3のドーム部31の垂れ下がり下端には、半径方向外方に水平に延びる蓋側水平部32が延設される。水平部32の外縁には凸部33が立ち上がっている。そして、凸部33の上端には、半径方向外方に水平に延びるフランジ部34が更に延設されている。
【0052】
蓋側水平部32の内周から外周までの径範囲と上側リブ28の内周から外周までの径範囲は、一部又は全部が重なる。皿部2及び蓋3を容器本体1に装着したとき、蓋側水平部32と上側リブ28は、蓋側水平部32の下面が上側リブ28の上面に接触し、又は蓋側水平部32と上側リブ28とが若干の隙間を空けて近接する。凸部33は、蓋側水平部32の外縁に繋がるテーパ部331を有し、更に、テーパ部331の上端から連続して逆テーパ部332を有する。テーパ部331は、上方から下方に向けて直線的に縮径し、逆テーパ部332は、上方から下方に向けて直線的に拡径する。
【0053】
(作用)
(組み立て時)
以上の容器本体1、皿部2及び蓋3を有する食品包装用容器100の組み立てを図8を参照しつつ説明する。まず、容器本体1の底面部11の上面に食品が載置される。そして、皿部2は、底面部21側から容器本体1の内部空間に押し入れられる。皿部2を押し入れる押圧力は、強度が高い上側リブ28の上面にかけられる。従って、全周に均等に押圧力がかからないことによって、押圧力の分布に偏りがあっても、上側リブ28は平坦を維持する。そのため、容器本体1へ皿部2を押し入れるとき、皿部2の一部が反るように歪むことが抑制される。その結果、上側リブ28によって、皿部2は容器本体1の内部空間に容易に押し込まれる。容器本体1に対する皿部2の内嵌合が完了すると、皿部2の底面部21に食品が載せられる。その後、蓋3が容器本体1の内部空間に押し入れられる。
【0054】
下部嵌合部14の凹部141は、突起部261と対面する位置に形成されている。皿部2が容器本体1の内部空間に押し込まれる過程で、皿側嵌合部26の各突起部261は、下部嵌合部14の凹部141内に嵌まり込んでいく。以下、本実施形態とは異なり、皿部の外周面に周方向に1周に亘って無端状に形成され、凹部141に嵌め込む膨出部、又はこの膨出部を有する皿部を比較対象という。
【0055】
突起部261は1つ1つが独立していて繋がっておらず、また突起部261と凹部141との接触面積は小さい。そのため、1つの突起部261を凹部141に嵌め込む押圧力は小さくて済む。また、突起部261の間には凹部141と嵌合しない隙間がある。そのため、比較対象よりも全突起部261と凹部141との合計の嵌合距離は短い。その結果、全突起部261を凹部141に嵌め込むための総計の押圧力も小さくて済む。従って、突起部261は、皿部2を容器本体1に嵌め易くしている。
【0056】
また、凹部141に不良部が存在していても、不良部の全てに突起部261が接触するわけではない。従って、不良部に突起部261を嵌め込む押圧力は相対的に小さくて済む。従って、突起部261は、不良部の存在に関わらず、皿部2を容器本体1に嵌め易くしている。一方、比較対象は不良部の全域と接触する。そのため、比較対象では、不良部との対応箇所に大きな押圧力をかける必要がある。皿部2に対する押圧力の分布の偏りは、不良部を支点とした皿部の浮き上がりを招来する。対応策としては、不良部に嵌合させる押圧力を見越して、皿部に均等な押圧力をかけなくてはならない。このように、比較対象では皿部を容器本体1に嵌め込み難い。
【0057】
突起部261以外に注目すると、皿部2が容器本体1の内部空間に押し込まれる過程では、皿側嵌合部26の環状膨出部262は、凹部141の上側領域に突き当たって密着する。垂直部233の下端は、下側係合部14の下部段差部142に引っかかる。フランジ部27は、下側係合部14の容器側水平部143に着座し、フランジ部27の下面と容器側水平部143の上面とが全面的に接触する。フランジ部27に形成された上側リブ28も全周に亘って容器側水平部143に載ることになる。更に、底面部21と底側リブ25の境界の面取り部232は、容器本体1の内周側面に接触する。
【0058】
また、蓋3が押し入れる過程で、凸部33は、容器本体1の上部嵌合部15に設けられた凹部151内に嵌まり込む。蓋3のフランジ部34は、容器本体1の口縁13に乗り上げる。蓋3の水平部32は、皿部2の上側リブ28の上面に接触し、又は上側リブ28の上面と近接する。
【0059】
(加熱調理時)
ユーザは食品が入った食品包装用容器100を電子レンジに入れて加熱する。下側内部空間102にはスープ等の食品が収容されることが多い。スープ等の食品は熱くなり易く、下側内部空間102は、上側内部空間101よりも圧力上昇し易い。つまり、加熱調理の過程では、下側内部空間102の内部圧力が相対的に高くなり、この内部圧力が皿部2を上方へ押し上げようとする。
【0060】
皿部2は、下部嵌合部14と皿側嵌合部26との嵌合によって、周壁部22で容器本体1の内周側面に固定されている。その結果、内部圧力は、まず皿部2の底面部21を半球状に膨出させる。底面部21の外周側面には1周に亘って底側リブ25が配置されている。底側リブ25は、底面部21よりも強度が高い。そのため、底面部21を膨出させる程度の内部圧力では、底側リブ25は歪み変形しない。皿側嵌合部26は底側リブ25よりも上方にある。従って、底側リブ25は、底面部21の変形が皿側嵌合部26に波及することを阻止し、凹部141と突起部261との嵌合を解除する力が及びにくいようにしている。即ち、底側リブ25は、加熱調理時に皿部2を外れ難くしている。
【0061】
加熱調理が進展すると内部圧力は更に高まる。皿部2は、下部嵌合部14によって容器本体1の内周側面に固定され、また底側リブ25が下部嵌合部14を保護している。また、底面部21は半球状に膨らんでいる。そのため、内部圧力によって皿部2に作用する押し上げ力には、皿部2の中心から放射状に外周へ向かい、且つ斜め上方向の成分が含まれる。
【0062】
図9に示すように、この押し上げ力は、上側リブ28を内周側から捲り上げようとする。上側リブ28の外縁下端全周範囲は、この押し上げ力によって下部嵌合部14の容器側水平部143に押し付けられる。この結果、内周面側から上側リブ28をまくり上げようとする力は、容器側水平部143から受ける反力によって減殺され、上側リブ28は、内周側からの捲り上げに抗して平坦な状態を維持する。そうすると、皿側嵌合部26も上側リブ28に支えられることで歪み変形せず、突起部261が下部嵌合部14の凹部141から外れ難い。
【0063】
また、突起部261と凹部141とは形状が不一致であり、突起部261の個々の面積は小さい。そのため、各突起部261は、凹部141に押し付けられて、凹部141の傾斜面にめり込んでいく。その結果、凹部141の傾斜面には、突起部261に合わせた形状が出来上がる。突起部261と凹部141とは、このめり込みにより良好に面接触することになり、突起部261単位での嵌合強度は高くなる。そのため、更に内部圧力が高くなり、皿側嵌合部25に力が加わり始めたとしても、突起部261は下部嵌合部14の凹部141から外れ難い。
【0064】
しかも、突起部261は球面を有するから、不良部に対しても一定面積で面接触できる。従って、突起部261は、不良部の存在によっても、下部嵌合部14の凹部141から外れ難い。一方、比較対象の膨出態様が凹部141の形状及び寸法に倣った逆テーパ状であるものとする。この場合、不良部では、凹部141と比較対象の傾斜角が一致せず、比較対象と凹部141とは線接触に近づき、接触面積が大幅に低下する。即ち、不良部では比較対象に対する静止摩擦が小さくなる。そのため、更に高まった内部圧力によって、比較対象は凹部141の傾斜面を容易に滑り上がり、凹部141から外れてしまう。
【0065】
また、各突起部261は独立しており、繋がっていない。そのため、図10の(a)に示すように、万一、一部の突起部261が内部圧力に負けて凹部141から外れてしまっても、両隣の突起部261が、外れた突起部261に引きずられて外れる虞は低減しており、外れている突起部261及び外れかかっている突起部261の範囲は狭い範囲に収まる。従って、突起部261は、加熱調理において皿部2を外れ難くしている。
【0066】
一方、図10の(b)に示すように、比較対象の膨出部500が不良部141aから外れてしまった場合、不良部141aの両隣の良好な一定範囲に嵌合する膨出部500は、上方に引きずられて凹部141との嵌合不足に陥る。そのため、不良部141aの両隣にある良好な一定範囲においても膨出部500が凹部141からほとんど外れてしまい、膨出部500が外れている範囲は広範囲に及ぶ。しかも、膨出部500が無端状に連環していることにより、各範囲は芋づる式に外れていき、この結果、不良部141aから比較対象の膨出部500が外れた途端、全ての膨出部が凹部141から外れてしまい、皿部2は加熱調理中に容易に外れてしまう。
【0067】
そもそも、凹部141から外れようとする突起部261の上には、上側リブ28が延在している。仮に、上側リブ28がない場合、一部の突起部261が凹部141から外れると、その周囲の突起部261は凹部141との嵌合を維持しているので、皿部2は、凹部141から外れた突起部261を頂点にして山が出来上がるように歪み変形することになる。しかしながら、突起部261の上には、皿部2の歪み変形を抑制する上側リブ28が延在しているので、皿部2は歪み変形し難く、そのため突起部261も凹部141から外れ難くなっている。
【0068】
更に、上側リブ28は、蓋部3の蓋側水平部32によって押さえ付けられている。蓋側水平部32と上側リブ28とが近接している場合、皿部2が若干浮き上がれば、上側リブ28を蓋側水平部32が押さえにかかる。このため、上側リブ28は歪み変形し難くなっており、皿部2も更に歪み変形し難く、突起部261も更に凹部141から外れ難くなっている。
【0069】
(加熱調理終了後)
ユーザは電子レンジによる加熱終了後、温まった食品が入った食品包装用容器100を電子レンジから取り出す。電子レンジから取り出すとき、ユーザが食品包装用容器100を傾けてしまったと仮定する。容器本体1に収容されているスープ等の液体は、容器本体1の周壁部12を流れて皿部2側へ漏れ出そうとする。しかし、面取り部232は容器本体1の内周側面に接触しており、液体の皿部2へ向けた通路は遮られている。従って、液体が皿部2側へ漏れ出る虞は低減されている。
【0070】
食品包装用容器100の傾倒角度が大きい場合、面取り部232で防ぎきれなかった液体は、突起部261が並設されている領域に向かう。この液体は、隣り合う突起部261の隙間を通って、皿部2側へ更に進行する。しかし、突起部261の上方には環状膨出部262が配置されている。環状膨出部262は、容器本体1の下部嵌合部14の凹部141に密着している。つまり、液体の皿部2へ向けた通路は、環状膨出部262によって遮られており、食品包装用容器100の傾倒角度が大きい場合であっても、液体の皿部2側への漏れ出しの虞は低減している。
【0071】
食品包装用容器100の傾倒角度が更に大きく、環状膨出部262を液体が通過した場合、液体は、フランジ部27と容器側水平部143との間に入り、皿側水平部234の外縁から皿部2へ漏れ出そうとする。しかし、フランジ部27には上側リブ28が配置されている。そして、その上側リブ28は下面に開口283を有している。そのため、フランジ部27と皿側水平部234との間を通る液体は、上側リブ28の開口283から上側リブ28の貯留空間284に吸い上げられ、上側リブ28内に貯留される。そのため、食品包装用容器100の傾倒角度が更に大きい場合であっても、液体の皿部2側への漏れ出しの虞は低減されている。
【0072】
ユーザは電子レンジから食品包装用容器100を取り出した後、まず蓋3に力をかけて容器本体1から取り外す。次に、舌片部29を把持し、皿部2を片側から上方に持ち上げる。
【0073】
このとき、比較対象については、皿部2が外れるきっかけを作るために、膨出部の一部範囲を凹部141外す力と、外れようとする範囲の両隣の範囲を引きずり上げる力の両方の総計が必要なので、最初に大きな力が必要になる。きっかけが作られた後は、芋づる式に外れるので、最初の力よりも小さい力で済む。そうすると、外すきっかけを作るための大きな力によって皿部2が勢いよく外れてしまい、皿部2上の食品が飛び出す虞がある。
【0074】
しかし、突起部261に関しては、1つずつ順番に凹部141から外せばよいので、ユーザは一定の力をかけ続ければよい。従って、皿部2は緩やかに外れ、皿部2上の食品が飛び出す虞は抑制されている。また、上側リブ28によって皿部2は歪み難くなっているので、一気に全突起部261を外すことができる。そうすると、容器本体1内の蒸気は、半周範囲又は全周範囲等、広範囲から立ち上がる。従って、容器本体1内の蒸気が手元に集中して局所的に溢れだすことを抑制でき、ユーザに火傷をさせる虞を低減できる。
【0075】
また、舌片部29のみに皿部2を持ち上げる力をかけても、皿部2は上側リブ28によって歪み変形し難くなっている。従って、皿部2を外す最中、皿部2上の食品が雪崩を打って舌片部29とは反対側に崩れ落ち、食品が皿部2から落下してしまう虞を抑制している。皿部2を容器本体1から外した後は、皿部2上の食品を容器本体1側へ移して混ぜることで調理完了となる。
【0076】
皿部2上の食品を容器本体1側へ移す際には、上側リブ28の幅狭域281の両方と上側リブ28の環状中心を通る線分を中心にして、皿部2をU字状又はV字状に折り曲げ、食品の滑り出し口を形成する。このため、食品をこぼすことなく皿部2から容器本体1へ移せる。滑り出し口から食品を皿部2から滑り落とす際は、幅狭域281に傾斜面282が存在するので、幅狭域281は障壁とならず、食品はスムーズに滑り落ちる。
【0077】
(効果)
以上のように、この食品包装用容器100は、容器本体1と皿部2とを少なくとも備えるようにした。容器本体1は、底面部11及び周壁部12を有し、上面が開口している。皿部2は、底面部21及び周壁部22を有し、容器本体1の内周側面に嵌合し、容器本体1の底面部11と離間して支持される。この皿部2は、当該皿部2の外周側面に周方向に1周に亘って隣同士間隔を空けながら並ぶ複数の突起部261を有するようにした。そして、容器本体1は、当該容器本体1の内周側面のうち、突起部261との対面位置に形成され、突起部261が嵌まり込む凹部141を有するようにした。これにより、皿部2は、容器本体1に嵌めるときは嵌め易く、凹部141に不良部があっても加熱調理中に外れ難く、加熱調理終了後に外すときは外し易くなる。
【0078】
尚、不良部から外れた突起部261に他の突起部261が引きずられて外れることを抑制できるという点では、突起部261は、1つ1つについて周方向に短い距離で延在し、全体として1周に亘って隣同士間隔を空けながら並べば良い。従って、突起部261は、半球状に限らず、垂直部233に向かって見たときに、三角形、矩形、多角形又は長円等の形状を有していてもよいし、湾曲した膨らみではなく、台形状、多角形形状又は三角形形状であってもよい。また、凹部141は、1周に亘って無端状である必要はなく、突起部261を一つずつ包含し、又は所定数の突起部261を1つで包含できるような長さで、複数並ぶようにしてもよい。
【0079】
但し、突起部261は半球状に膨出することで、凹部141の不良部が如何なる形状及び寸法であろうとも、一定面積で凹部141と嵌合でき、加熱調理中の外れ難さが向上するとともに、凹部141の形状の不安定さに関わらず、食品包装用容器100の個体間で外れ難さが統一される。
【0080】
また、皿部2は、当該皿部2の外周側面、且つ突起部261よりも高い位置に、周方向に1周に亘って無端状に延在し、断面視半円状又は台形状に膨出する環状膨出部262を有するようにした。環状膨出部262は、容器本体1の凹部141の内面に密着する。これにより、突起部261間に形成されている隙間から下側内部空間101の液体が漏れ出してきても、環状膨出部262が皿部2への経路を遮り、皿部2へ液体が漏れてしまうことを抑制できる。尚、環状膨出部262は、容器本体1と密着して、液体の経路を遮ればよく、密着先が凹部141である必要はない。即ち、容器本体1の内周側面の他の凹部を形成し、他の凹部に密着させるようにしてもよい。
【0081】
皿部2は、当該皿部2の底面部21から立ち上がって、当該皿部2の底面部21を1周に亘って囲み、突起部261よりも低い位置に延在する環状の底側リブ25を有するようにした。この底側リブ25に容器本体1との係合関係はない。これにより、突起部261に皿部2を外そうとする力が加わり難くなり、皿部2は、加熱調理中に更に外れ難くなる。
【0082】
尚、突起部261は全て同じ幅である必要はない。例えば、短幅の突起部261と、長幅の突起部261の2種類を並設し、短幅の突起部261と長幅の突起部261を交互に並べてよい。短幅の突起部261は、皿部2の周方向に沿った長さが、長幅の突起部261と比べて短く、凹部141から相対的に外れ易い。長幅の突起部261は、皿部2の周方向に沿った長さが、短幅の突起部261と比べて長く、凹部141から相対的に外れ難い。突起部261は、凹部141に嵌合する膨出部を周方向に無端状とする場合と比べて、高さ調整が容易である上に、短幅の突起部261と長幅の突起部261の2種類を交互に並べることによる全体としての嵌合強度調整も併用できるので、皿部2と容器本体1のより細やかな嵌合強度の調整が可能となる。
【0083】
また、容器本体1は、凹部141よりも高い位置に、容器本体1の周方向に1周に亘って無端状に延在し、容器本体1の半径方向外方に水平に延びる環状の容器側水平部143を備え、皿部2は、突起部261よりも高い位置に、皿部2の周方向に1周に亘って無端状に延在し、容器側水平部143に載って上方に膨出する環状の上側リブ28を備えるようにした。これによっても、皿部2は、容器本体1に嵌めるときは嵌め易く、凹部141に不良部があっても加熱調理中に外れ難く、加熱調理終了後に外すときは外し易くなる。
【0084】
また、この上側リブ28は、内部中空で下面が開口しているようにした。これにより、下部内部空間102から皿部2側に漏れ出そうとする液体を上側リブ28に貯留することで、皿部2側に液体が漏れ出すことを抑制できる。
【0085】
また、上側リブ28は、第1の円弧範囲と、環中心を挟んで前記第1の円弧範囲とは反対側の第2の円弧範囲の各々に、内周径と外周径の差が小さい幅狭域281を有するようにした。これにより、ユーザは、一対の幅狭域281を通る線分で皿部2をU字又はV字に折り曲げることが出来るから、食品をこぼすことなく容器本体1へ移すことができる。
【0086】
また、上側リブ28は、一方の幅狭域281の内周壁に、外側に傾斜した傾斜面282を有するようにした。これにより、食品が上側リブ28に乗り上がりやすくなり、食品をこぼすことなく容器本体1へ移すことができる。
【0087】
また、容器本体1の内部空間に嵌合しつつ、容器本体1の内部空間を閉じる蓋3を更に備えるようにし、蓋3は、下面が上側リブ28の上面に接触又は近接する環状の蓋側水平部33を有するようにした。これにより、上側リブ28の歪み変化に対する対抗力を強めることができ、皿部2は、凹部141に不良部があっても加熱調理中に外れ難くなる。
【0088】
但し、本実施形態では食品包装用容器100に蓋3を備えるようにしたが、皿部2は外れ難くなっているので、蓋3を不要とし、容器本体1の上面開口にフィルムをかけて上面開口を閉塞するようにしてもよい。
【0089】
尚、本実施形態では、皿部2の外周側面に1周に亘って延在し、容器本体1側の下部嵌合部14と嵌合する皿側嵌合部26の形状として突起部261を備えるようにしたが、上側リブ28は、皿部2の歪み変形を押さえる働きにより皿部2を外れ易くするものであり、皿側嵌合部26には公知の何れの形状も適用できる。即ち、皿側嵌合部26には、凹部141と嵌合するために、例えば内周側面を1周に亘って同一高さを維持して無端状に延在する膨出部を備えるようにしてもよい。膨出部の形状も、上下方向に沿った断面で逆テーパ状、矩形、台形又は半円形としてもよい。膨出部も無端状ではなく、周方向に円弧状に長く、複数に区切られていてもよい。
【0090】
図11及び図12は、皿側嵌合部26として、突起部261に代えて、内周側面を1周に亘って同一高さを維持して無端状に延在する膨出部を適用した皿部2の例示である。図11は、皿部2の詳細形状を示す周壁部22の他の例の側面図であり、図12は、皿部2の詳細形状を示す周壁部22の他の例の断面図である。
【0091】
図11及び図12に示すように、皿部2の垂直部233に形成されている皿側嵌合部26は、垂直部233の上側領域に配される環状膨出部262と、突起部261に代えて、垂直部233の下側領域に配される環状膨出部263が形成されている。環状膨出部263は、下部嵌合部14の凹部141に嵌まり込む。この環状膨出部263は、皿部2の外周側面を1周に亘って同一高さを維持して無端状に延在する円環形状を有し、また上下方向に沿った断面視で半円状又は台形状を有する。環状膨出部263の上下方向の長さ及び水平方向の幅は均一である。
【0092】
環状膨出部262と環状膨出部263は、上下方向に離間しており、垂直部233の中間高さには、環状膨出部262と環状膨出部263の狭間となる環状溝部264が画成される。環状溝部264は、皿部2の外周側面を1周に亘って同一高さを維持して無端状に延在し円環形状を有し、環状膨出部262と環状膨出部263を基準とすると凹部となって、上下方向に沿った断面視で半円状又は台形状の内空間を有する。
【0093】
このような2連の環状膨出部262,263と、間に形成された環状溝部264を有する皿側嵌合部26によれば、ユーザが食品包装用容器100を傾けてしまったとしても、容器本体1に収容されているスープ等の液体が容器外へ漏れ出る虞を更に低減することが期待できる。
【0094】
即ち、図13に示すように、食品包装用容器100が傾いたとき、まずスープの水分表面に浮いている油分が下側の環状膨出部263を乗り越えて外に漏れ出ようとする。このとき、環状膨出部263は、スープの油分103によって表面がコーティングされてしまう。そのため、環状膨出部263と凹部141との間に隙間が存在していた場合、スープの水分は、環状膨出部263をコーティングした油分103の表面を滑って、環状膨出部263を容易に乗り越えてしまう。
【0095】
しかし、油分103は、下側の環状膨出部263を乗り越えた後、環状溝部264に貯留される。環状溝部264は、皿部2の周に沿って無端状に続いているので、環状膨出部263の一部範囲を乗り越えた油分103は、局所的に留まることなく、環状溝部264全体に拡がっていく。そのため、スープの油分103は、上側の環状膨出部262を乗り越えるまでには至らず、上側の環状膨出部262は、油分103によってはコーティングされ難い。そうすると、上側の環状膨出部262が油分103によって未コーティングであるので、スープの水分は、ポリプロピレン等の疎水性樹脂で形成される環状膨出部262を乗り越え難く、環状膨出部262によって漏れ出しが阻止される。
【0096】
このように、2連の環状膨出部262,263と、間に形成された環状溝部264を有する皿側嵌合部26であれば、環状溝部264によってスープの油分103を貯留することで、上側の環状膨出部262の油分103によるコーティングを防ぎ、スープの水分が漏れ出る虞を更に低減する効果も期待できる。
【0097】
(他の実施形態)
以上のように本発明の実施形態を説明したが、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。そして、この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0098】
1 容器本体
11 底面部
12 周壁部
13 口縁
131 縁取り部
14 下部嵌合部
141 凹部
142 下部段差部
143 容器側水平部
15 上部嵌合部
151 凹部
152 上部段差部
2 皿部
21 底面部
22 周壁部
231 段部
232 面取り部
233 垂直部
234 皿側水平部
25 底側リブ
26 皿側嵌合部
261 突起部
262 環状膨出部
263 環状膨出部
264 環状溝部
27 フランジ部
28 上側リブ
281 幅狭部
282 傾斜面
283 開口
284 貯留空間
29 舌片部
3 蓋
31 ドーム部
32 蓋側水平部
33 凸部
331 テーパ部
332 逆テーパ部
34 フランジ部
100 食品包装用容器
101 上側内部空間
102 下側内部空間
103 油分
図1
図2
図3
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図5
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図13