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特開2023-30137システム入力解像度の変動なくディスプレイシステムを校正するシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023030137
(43)【公開日】2023-03-07
(54)【発明の名称】システム入力解像度の変動なくディスプレイシステムを校正するシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G09G 5/00 20060101AFI20230228BHJP
   G09G 5/373 20060101ALI20230228BHJP
   G09G 5/08 20060101ALI20230228BHJP
   G09G 5/02 20060101ALI20230228BHJP
   G09G 5/377 20060101ALI20230228BHJP
   H04N 5/66 20060101ALI20230228BHJP
   H04N 9/64 20230101ALI20230228BHJP
【FI】
G09G5/00 X
G09G5/00 555D
G09G5/373
G09G5/08 J
G09G5/02 B
G09G5/00 550B
G09G5/00 510B
G09G5/377
H04N5/66 D
H04N9/64 Z
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022207700
(22)【出願日】2022-12-25
(62)【分割の表示】P 2020000212の分割
【原出願日】2013-04-19
(31)【優先権主張番号】61/635,380
(32)【優先日】2012-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】509258511
【氏名又は名称】スケーラブル ディスプレイ テクノロジーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100119378
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 弘幸
(72)【発明者】
【氏名】ミャウ,デニス
(72)【発明者】
【氏名】スラチ,ラジェヴ ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】アマラタンガ,ケビン
(72)【発明者】
【氏名】ティモナー,サムソン,ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン,タイラー,エム.
(57)【要約】      (修正有)
【課題】校正中にディスプレイシステムのシステム入力解像度/コンフィギュレーションを切り替える必要のない、マルチユニットディスプレイシステムのための校正システムおよび方法を提供する。
【解決手段】ディスプレイユニットの総解像度と異なるシステム入力解像度を用いて1台以上のディスプレイユニットの集合体で校正を実施するための方法であって、該方法は、
a.システムを校正するために入力ビデオ信号の解像度を変えずに入力ビデオ信号を変更して入力ビデオ信号の現在の入力解像度を維持するステップと;
b.校正中に複数の設定の少なくとも1つの変更を用いて現在の入力解像度の維持を少なくとも部分的に補償するステップと;
c.ステップ(b)で集めたデータを用いて新しいシステム補正を計算し、ステップ(b)で導入されたアーチファクトを補償するステップと、
を含む方法。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイユニットの総解像度と異なるシステム入力解像度を用いて1台以上のディスプレイユニットの集合体で校正を実施するための方法であって、該方法は、
a.システムを校正するために入力ビデオ信号の解像度を変えずに入力ビデオ信号を変更して入力ビデオ信号の現在の入力解像度を維持するステップと;
b.校正中に複数の設定の少なくとも1つの変更を用いて現在の入力解像度の維持を少なくとも部分的に補償するステップと;
c.ステップ(b)で集めたデータを用いて新しいシステム補正を計算し、ステップ(b)で導入されたアーチファクトを補償するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
少なくとも部分的に補償するステップはワープを適用することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
さらに、システム全体で画像ピクセルをスケーリングするためにワープを使用することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
さらに、ワープの使用時にディスプレイユニットの各々に校正ピクセルを送ることを含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
さらに、ブレンド及び/又はワープの使用時にディスプレイユニットの各々をブランクアウトすることを含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
さらに、電子的シャッタまたは機械的シャッタのいずれか1つの使用時に、ディスプレイユニットの各々をブランクアウトすることを含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
さらに、校正中にディスプレイユニットの少なくとも1つで画像をフリーズすることを含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
さらに、システムの入力ビデオ信号にコントロールポイントの位置を付加することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記設定はワープを含み、ステップ(b)はさらに定期的に使用されるワープの値を設定された状態で維持することを含み、それによりワープの状態が変更される回数が最小にされる、請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記設定は色補正を含み、ステップ(b)はさらに定期的に使用される色補正の値を設定された状態で維持することを含み、それにより色補正の状態が変更される回数が最小にされる、請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記ディスプレイユニットがプロジェクタである請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記ディスプレイユニットがフラットパネルディスプレイである請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記設定はワープ、ブレンドおよびOMTEパラメータの少なくとも1つを含む、請求項1記載の方法。
【請求項14】
ディスプレイユニットの総解像度と異なるシステム入力解像度を用いて1台以上のディスプレイユニットの集合体で校正を実施するためのシステムであって、該システムは、
a.システム中に入力ビデオ信号の現在の入力解像度を維持するために入力ビデオ信号の解像度を変えずに入力ビデオ信号を変更するドライバと;
b.校正中に、現在の入力解像度の維持を少なくとも部分的に補償するために複数の設定の少なくとも1つにおける変更を使用するための手段と;
c.前記使用するための手段によって集められたデータを用いて新しいシステム補正を計算し、前記使用するための手段によって導入されたアーチファクトを補償するための手段と、
を含むシステム。
【請求項15】
前記使用するための手段は、ワープを適用するために構成および配置されている、請求項14記載のシステム。
【請求項16】
前記ディスプレイユニットがプロジェクタである請求項14記載のシステム。
【請求項17】
前記ディスプレイユニットがフラットパネルディスプレイである請求項14記載のシステム。
【請求項18】
前記設定はワープ、ブレンドおよびOMTEパラメータの少なくとも1つを含む、請求項14記載のシステム。
【請求項19】
前記設定はワープを含み、さらに前記複数の設定の少なくとも1つにおける変更を使用するための手段は、設定された状態で定期的に使用されるワープの値を維持し、それによりワープの状態が変更される回数が最小にされる、請求項14記載のシステム。
【請求項20】
前記設定は色補正を含み、さらに前記複数の設定の少なくとも1つにおける変更を使用するための手段は、設定された状態で定期的に使用される色補正の値を維持し、それにより色補正の状態が変更される回数が最小にされる、請求項14記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイ、より具体的には1台以上のディスプレイユニットからなるディスプレイシステム、ならびにこのディスプレイシステムのための校正システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクタ、フラットパネルディスプレイおよびその他のビデオディスプレイ装置は入力ビデオ信号と必ずしも確実に同期化しない。ビデオ信号が変化すると、プロジェクタまたはLCD(フラット)パネルなどのディスプレイユニットの再同期化を余儀なくさせる。その同期化はときどき失敗し、ディスプレイはビデオ信号を見いだせなくなる。このことは、ディスプレイシステムが高い信頼性が所望されるイベントまたはミーティングで使用される場合および/または熟練オペレータが利用できないような場合に非常に不都合でありうる。互いに同期化された集合体に編成された複数のディスプレイユニットではビデオ信号の損失がさらにいっそう起こりやすい。従って、信号の損失を避けるために再同期化タスクを実行する必要を回避することが望ましい。加えて、ビデオ信号の同期化は比較的遅いプロセスであり、従って再同期化を回避すると1台以上のディスプレイユニットを有するディスプレイシステムの速度を増すことができることが望ましい。
【0003】
1台以上のディスプレイユニットからなるディスプレイシステムに対して、1台以上のディスプレイユニットへの入力源であるビデオ信号を変更するための多様な技術がある。例えば、信号に調整を加えて表示された画像のワープおよび/またはスケール、ブレンド、色補正および/またはピクセルオーバーラップ/ベゼル補正変更を変えることができる。同様に、使用される機器の動作点に変更を加えることができ、これは光学・機械・熱・電子(OMTE)パラメータと呼ばれることがある。ライェフ・J・スラティ他により公開された米国特許出願公開2008/246781Al「光学的フィードバックを用いたディスプレイ調整および画像処理により改善されたディスプレイ品質を提供するためのシステムおよび方法」はディスプレイの光学・機械・熱・電子(OMTE)パラメータを開示しており、参照によりその教示内容を有益な背景情報として本明細書に編入する。OMTEパラメータはコンピュータまたは手動制御によって修正されてよく、次に適当なマッピング機能がOMTEの変化に伴って作動する表示された画像の源信号を変換させることができる。
【0004】
源信号に変更を加えるために多様な装置および/またはモダリティを使用できる。これには生成されつつある源信号に一部の補正を実行できるドライバ/ソフトウェアを備えたコンピュータ、ビデオウォールコントローラ、ワープボックス、スケーリングボックス、EDIDボックス、ビデオウォールコントローラおよび/またはディスプレイユニット(例えばプロジェクタ)自体を含むが、これらに限られない。想定された装置のいずれも最終的に見られた画像の外観を変更するように-望ましくはより良好な全体的外観および(マルチディスプレイユニットが使用される場合は)ブレンドされた画像全体の一貫性を提供するように適合できる。しかしながら、そのような装置の使用および源信号に対するその他の信号はビデオ同期化の損失および/またはシステム速度/性能の低下のリスクを引き起こす。
【0005】
システムが変更される最も一般的な時間は校正中である。システムが手動的、半手動的または自動的に校正されようと、設定は典型的に1回以上変更される。
【0006】
ときどきピクセルオーバーラップ(例えばプロジェクタに対して)またはベゼル補正(フラットパネルに対して)を変更すると再同期化の原因となる。ときどきワープを変更し、および/またはブレンドを変更すると、再同期化の原因となることがある。それゆえディスプレイユニットを再同期化させないか、または再同期化を可能な限り少なくしてシステムを変更できるようにすることが望ましい。
【0007】
他の不利なシナリオは、あるアプリケーション(例えば自動または手動校正プログラム)がオーバーラップなどのパラメータのリセットを望むが、このパラメータを設定するためのアクセスを欠いているような場合である。そのような場合にシステムはうまく設定されていないパラメータで動作を続け、画像品質に否定的に影響することがある。従ってオーバーラップのパラメータを一度別の方法によって設定し、同パラメータをリセットする必要をなくする能力が非常に望ましい。
【0008】
加えて、システムにおけるディスプレイユニットの入力解像度を、表示された画像のアスペクト比に本質的に合致するように設定することがしばしば望ましい。これは正確な解像度を達成する努力において再同期化を伴うことがあり、再びそのような状態に対してあらゆるリスクと不利を招く。
従って、特にディスプレイシステムのルーチン動作中に再同期化を回避すること、およびより一般的には校正プロセスの速度を落とし、システム外観および/または性能を1以上の微妙な方法(例えば各ユニットにわずかに異なるタイミングを与えるなど)で変える可能性のあるパラメータの変更を回避する配置構成を提供することが非常に望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願公開第2008/246781号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、例示的にマルチユニットディスプレイシステムで使用するための、校正中に概してディスプレイシステムのシステム入力解像度/コンフィギュレーションを切り替える必要のない、校正システムを提供することによって先行技術の難点を克服する。これは再同期化ステップを実行するのを避けるために役立つ。そのようなものとして、このシステムおよび方法は、速度を増して不具合が発生する可能性を減らすことを可能にする。このシステムおよび方法は、結果としてディスプレイシステムの出力画像に影響しうる(即ち否定的に影響しうる)ディスプレイシステム設定の変更を避けるために、必要最小限の変更を用いる配置構成を提供することによりディスプレイシステムを補正する。例示的な実施形態において、このシステムおよび方法は、入力解像度に対する変更を伴わずにディスプレイユニットのシステムの校正を可能にすることができ、この解像度は特に要求されない限りは変更に抵抗するというやり方で維持される。さらに、このシステムおよび方法は、システム全体に対して集合体における離散的な個別ディスプレイユニットの入力解像度の合計と異なる解像度を可能にする。
【0011】
例示的な実施形態において、1台以上のディスプレイユニットの集合体で、ディスプレイユニットの総解像度と異なるシステム入力解像度を用いて校正を実施するためのシステムおよび方法は、(a)プロセスまたはプロセッサを用いて入力ビデオ信号の解像度の変更を伴わずに(変更なしで)システムを校正するための入力ビデオ信号を変更して、入力ビデオ信号の現在の入力解像度を維持すること;(b)校正中に、複数の設定(例えばワープ、ブレンド、OMTEパラメータまたはその他の解像度を変えないもしくは再同期化のリスクのない可変ファクタ)の少なくとも1つのプロセスまたはプロセッサによる変更を用いて現在の入力解像度の維持を少なくとも部分的に補償すること;および(c)ステップ(b)で集めたデータを用いてプロセスまたはプロセッサにより新しいシステム補正を計算し、ステップ(b)でシステムに導入されたアーチファクトを補償することを含む。ディスプレイユニットはフラットパネルディスプレイ(LCDおよび/またはLED技術などに基づく)、背面投影型ディスプレイ、フロントプロジェクタ、ラスタスキャンディスプレイ、または同種のものであることができる。例示的に、ワープを使用してシステム全体で画像ピクセルをスケーリングし、および/またはワープの使用時に校正ピクセルがディスプレイユニットの各々に送られる。システム内のディスプレイユニットの各々は、ブレンドの使用時に、および/または投影光の前に置かれた、またはプロジェクタの部分である電気的または機械的シャッタを使用してブランクアウトできる。例示的に、ディスプレイユニットの少なくとも1つの画像は、校正中にフリーズされうる。また、コントロールポイントの位置をシステムの入力ビデオ信号に付加することができる。例示的に、上記の設定がワープを含むときは、定期的に使用されるワープ(即ちディスプレイの「ワープ」)の値は「設定された」状態で維持され、それによりワープの状態が変更される回数が最小にされる。上記の設定が色補正(またはブレンド)を含むときは、定期的に使用される色補正の値は「設定された」状態で維持され、それにより色の状態が変更される回数が最小にされる。
【0012】
ここで明確にしておくと、上記のシステムおよび方法が望ましいのは、システムの入力解像度を表示された画像のアスペクト比に合致するように設定できる点である。このシステムおよび方法は、オーバーラップをオフにして校正し、次にオーバーラップをオンにし、それにより再同期化の効果を招く必要性を回避する。あるいはシステムが校正され、次にオーバーラップをオフにして作動される-その結果伸長/圧縮アーチファクトが生じる-方策が回避される。
【0013】
以下、添付の図面を参照して本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】ディスプレイに対して最適化されるように入力システム解像度が変更されたスクリーン上で台形歪み補正された1台のプロジェクタのブロック図である。
【0015】
図2】ディスプレイに対して最適化されるように入力システム解像度が変更されたスクリーン上で台形歪み補正された2台のプロジェクタのブロック図である。
【0016】
図3】システムをセットアップし、システムの入力解像度を変更せずに校正することを説明したフローチャートである。
【0017】
図4】システムへの入力解像度の変更を回避するためにワープを用いて校正することを説明したフローチャートである。
【0018】
図5図3におけるシステムセットアップの動作を示すシステムの系統図である。
【0019】
図6】システムへの入力解像度の変更を回避するためにワープを用いて校正し、プロジェクタにおいてブランク方法を使用する1方法を説明するフローチャートである。
【0020】
図7】システムへの入力解像度の変更を回避するためにワープを用いて校正し、ワープを可能な限り少なく変更する1方法を説明するフローチャートである。
【0021】
図8】ピクセルパイプライン内でビデオにコントロールポイントを付加することを説明するブロック図である。
【0022】
図9】システム入力解像度がディスプレイ用に変更される矩形フィル領域を生成するために、1台のフラットパネルディスプレイを部分的にブロックするシステムを説明するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1および図2はそれぞれ1台および2台の投写型ディスプレイであり、以下に例示的な実施形態を説明するために、より具体的にはシステムの所望の入力解像度のコンセプトを示すために、例として設けられている。
【0024】
図1は、スクリーンのアウトライン100を越えて投写するプロジェクタのアウトライン101を示す。プロジェクタの一部の区画は実際にスクリーンに達しないため、実際にスクリーン上にあるピクセルの数はプロジェクタのフル解像度より少ない。プロジェクタ解像度が1024×768であれば、実際にスクリーンに達するのはおそらく約950×700である。従って、ディスプレイに対するシステム全体の解像度は1024×768よりも950×700に近いであろう。
【0025】
システムで使用される入力解像度は幾つかのプロパティを有することが望ましい。1つの重要なプロパティはしばしば「正方形」ピクセルと呼ばれる。システム上に示されるべきビデオが高さ幅比4×3を定義する場合は、典型的には物理的スクリーンに対しても4×3比を定義することが望ましい。スクリーンがこの比を定義しない場合は、入力ビデオは垂直方向か水平方向のいずれかに引き伸ばされる。スクリーンが入力ビデオと(ほぼ)同じ高さ幅比を定義する場合、オリジナルビデオで正方形のオブジェクトはスクリーンに正方形で現れる。
【0026】
第2の重要なプロパティは、システムの入力解像度をシステムの変調転送機能に合致させる試みである。入力解像度がシステムにとって低すぎると、システムはディスプレイで利用可能なピクセルを有効に利用しない。この場合、ディスプレイはディスプレイが示すことのできる最終画像にすべてのディテールを示さない。逆に、入力解像度がシステムにとって高すぎると、入力ビデオの精細なディテールは最終画像では見えないであろう。それゆえほぼ正確な解像度およびサイズのピクセルを生成して投写することが望ましい。
【0027】
第3の重要なプロパティはしばしば入力ビデオのアスペクト比である。しばしば特定の高さ幅比が所望される。
【0028】
典型的に、これらのプロパティおよびその他のプロパティは互いに妥協し合う結果となる。ユーザは一般に各プロパティをどのように設定するか、およびディスプレイシステムによって各プロパティにどれ位の重みが与えられるかの選択を迫られる。
【0029】
模範的スクリーンのアウトライン100のケースでは、スクリーン100の高さ幅比が約1.2であれば、システムに対する入力解像度は840×700が望ましいであろう。この入力解像度は実際の比1.2を提供して概ね正方形ピクセルのプロパティを満たす。この入力解像度は垂直方向では700ピクセルすべてを利用し、水平方向では950ピクセルを一般にできるだけ多く利用して、なおも概ね正方形ピクセルを生み出す。代替技術は入力解像度が明確な高さ幅比を有することを保証するものである。この場合、スクリーン上で素の比を達成するために利用可能なスクリーン面積の全部を使用せずに、異なる入力解像度を用いることもあろう。
【0030】
図2は、別の模範的スクリーンのアウトライン200と、2台のプロジェクタ201および203の重なったアウトラインを示す。この場合、プロジェクタ201と203はスクリーン上でオーバーラップ領域205において重なっている。プロジェクタはまたスクリーンの縁を越え出ている。
【0031】
システムの効果的な解像度は、大体スクリーンに到達するプロジェクタの総解像度からオーバーラップ領域を差し引いたものに等しい。システムの所望の入力解像度は、図1に示すように、正方形ピクセルおよびシステム解像度、場合により所望の入力信号の比またはその他の要因に対して最適化して計算できる。
【0032】
図3は、図1または図2において例示的な実施形態に従いシステムを校正するために使用されるブロック図である。ステップ310で、システムの所望の入力解像度が選択される。これはシステムによって与えられる入力ビデオの所望のプロパティを最適化することによって選択される。限定する趣旨ではなく、このステップ(310)は多種多様な方法(即ちプロセス、プロセッサおよび/または手順)により実行できる。ある例示的な方法は、システムの推定された変調転送機能を評価するためのカメラを用いて入力解像度を自動的に評価することを含む。代替的に最適化の計算は手動方法で実行できる。計算はコンピュータ支援設計(CAD)ソフトウェアパッケージなどでシステムをモデリングすることによって実施できる。または、ユーザが(表示特性を動作させるコンピュータ・グラフィカルユーザインターフェース(GUI)ディスプレイ(図示しないが当技術分野で公知である)上で)スライダを動かして、どの表示/投写された画像が最良の特性を表すか主観的に決定することによって実施できる。
【0033】
特に、入力解像度が決定されおよび/または知られると、その後の校正はシステムの入力解像度の変更(即ち変化、変動など)なしで(伴わずに)実行される(ステップ320)。「校正」は当技術分野で公知のプロセスである。自動校正はライェフ・J・スラティ他により公開された米国特許第6,456,339号、「超解像ディスプレイ」に記載されており、参照によりその教示内容を有益な背景情報として本明細書に編入する。これらの教示では光センサが、プロジェクタから出る光のパターンを検出するために使用され、またはシステム内の入力ビデオからスクリーンへのマッピングおよび各ディスプレイユニットのための入力ビデオに対する補正(例えばワープ、色補正、強度補正)を検出してシステム全体の外観をより望ましいものにする(例えば幾何学的に正確、スクリーンと良く一致、ほぼ一様の強度と色など)ために使用される。補正を検出するために手動および半手動アルゴリズムを含む多くの技術が考えられるが、これらは米国特許出願番号13/296,864「手動および半手動技術を用いてディスプレイシステムを校正するためのシステムおよび方法」に記載されており、その教示内容を本明細書に含める。この出願ではプロジェクタ間の一致が検出されるが、これはモデリングされたデータを加えて、入力ビデオに対する補正を検出してシステム全体の外観をより望ましいものにするために使用できる。
【0034】
ステップ320は、多様な方法および/または装置を用いて実行できる。実行ステップ320に対する実施形態は図4に記載されている。ステップ420では、ワープを使用して入力ピクセルをディスプレイ全体に引き伸ばす。例として図1において、システムの入力解像度が840×700であるとしたら、ピクセルはワープに対する設定値に基づいて1024×768にスケーリングおよびリサンプリングできる。図1に示す例の場合、手順はシステムの入力解像度の半分を第1のプロジェクタで引き伸ばし、他の半分を第2のプロジェクタで引き伸ばすことができよう。ステップ422ではカメラを用いて自動校正を実行でき、システムを自動的に校正するために関連する校正パターンを採用できよう。
【0035】
ステップ330では、ステップ320から得た情報を用いて新しいシステムパラメータが計算される。これは図4に示す実施形態ではステップ424で実行される。システムに対する新しいワープは、校正中に検出されたワープを用いて、校正の間オンであった(即ちワープ/ワープ値が動作可能で使用されるように「設定」されていた)ワープと最終画像におけるワープの効果を考慮して計算される。
【0036】
図5は、図3のブロック図を実現するシステム図を示す。システム入力510はビデオパイプラインまたはピクセルパイプライン520に供給される。この入力はこれにより表示するための1台以上のディスプレイユニット(1~N)530に対する入力となる。
【0037】
限定する趣旨ではなく、種々の実施形態においてシステム入力510とビデオパイプラインまたはピクセルパイプライン520との間でビデオ信号を転送するために、多数のケーブルを使用できる。同様にパイプライン520とディスプレイユニット(1~N)530との間でビデオ信号を転送するために多数のケーブルを使用できる。この可能な配置構成は図5に、多数のケーブル/伝送路の各々を多数のそれぞれのユニットと関連付ける多数の矢印によって示されている。しかしながら一般性を失うことなく、ビデオ信号は1本のケーブルで搬送でき、または1本のケーブルが1台の装置と接続され、次にこれが繰り返されて次の装置と接続されるデイジーチェーンシステムのケーブルを通して搬送できる。
【0038】
破線のボックス522は、520の境界は使用している機器物理的境界と一致しない可能性があることを示している。即ち、ビデオ信号に影響する装置は、ビデオ信号自体を生成するためのシステムと1台以上のディスプレイユニットを含むことができる。例えば別個のワープボックス内ではなく、プロジェクタ内にワープおよびブレンドプロセッサチップ(図示しないが当技術分野で公知である)があってよい。また、510内にはビデオ入力信号を生成するコンピュータがあってよいが、このコンピュータのためのドライバ(図示しないが当技術分野で公知である)は、ワープ、ブレンドおよびオーバーラップを可能にすることができ、そのため補正はビデオ信号を生成する同じ装置内で効果的に実行される。
【0039】
ボックス540は校正エンジンを示す。校正エンジンはソフトウェア、または電子処理装置/機器またはそれらを組み合わせたものであることができる。エンジンは校正しようとするシステムに入力ビデオを送り込む。限定する趣旨ではなく、これは手動校正または自動校正または半手動校正であってよい。校正を実行するために、校正エンジンはまた520のパラメータ、ビデオ信号に影響する1台以上の装置、およびビデオ信号がディスプレイスクリーン上に現れる仕方を変更する。これにより校正が実行され、図3に記載されているように新しいパラメータが計算される。
【0040】
図5に記載されているピクセルパイプライン520は、非常に多くの具体例がある。1例はオーバーラップができるコンピュータ上のビデオドライバであり、ワープおよびブレンドを実行できるボックスが出力側に配置されている。第2の例は、従来技術に従う拡張ディスプレイ認識データ(EDID)通信を用いてビデオ生成システムに所望の入力解像度を伝えるボックスであり、次に信号を多様な出力に分割してワープおよびブレンドプロセッサチップを内蔵したプロジェクタに送る。第3の例は市販されているグラフィックカードであり、当技術分野で公知のやり方で2つの出力垂直方向にオーバーラップを実行できる。各出力は水平方向にオーバーラップを実行できる公知のプロセッサ「ボックス」に供給され、次にその出力は公知のワープボックスに供給され、それからプロジェクタに供給される。第4の例は、ビデオウォールコントローラに伝送される2つの出力を有するコンピュータである。ビデオウォールコントローラはコンピュータに命令してシステムの入力解像度の半分を各々の入力にEDIDを用いて遅らせる。続いてシステムはワープボックス、それからプロジェクタへ送る。これらの他にも例示的なパイプライン520を実現するために使用できる多くのタイプの装置がある。限定する趣旨ではなく、これらはワープボックス、ブレンドボックス、キーストーン補正ボックス、色補正ボックス、スケーリングボックスおよびビデオウォールコントローラを含む。さらに、公知の技術に従いこれらと関連して使用できる多くのパラメータがある。
【0041】
図6および図7は、図4に関連して説明したのとは異なるプロセス/手順方法を採用する他の2通りの校正方法を示す。図6では、プロジェクタのブランクを使用する方法が提供される。この場合、現在のワープはステップ620で無効にされる。目標は典型的に可能な限りプロジェクタのネイティブ解像度に近いピクセルを試して示し、ワープによって引き起こされるアーチファクトがない(即ちアーチファクトが実質的または完全にない)ようにすることであり、これはさらにそれ以降のステップでの処理を必要としよう。ピクセルはスクリーン上のオーバーラップ領域で重複される。この重複範囲は図2の例では領域205であろう。そのようなシステムでは手動的または自動的に校正するのは困難であろう。なぜならこの領域では観察者とカメラの視野はいずれもほぼ同一のオーバーラップパターンを持つからである。この問題を解決するための1つの例示的な方法は、ステップ624に設けられているようにプロジェクタの1つをブランクすることである。ブランクはすべてのピクセルの強度を0に設定するためにブレンドマップを使用すること、プロジェクタ内のシャッタを使用すること、またはブランク画像を保存するためにプロジェクタ内蔵機能を使用することを含めて、多くの方法またはプロセスによって達成できる。シャッタは公知の技術を用いて電子的または機械的に実現できる。代替方法はプロジェクタの1つによって表示される画像をフリーズするものである。市販されている開発中の一部のプロジェクタは、現在の画像をフリーズする能力を備えていることが指摘される。これは特に一方のプロジェクタによって提供されるコントロールポイントを手動で校正して、他方のプロジェクタによって提供されるコントロールポイントの上部に位置決めする場合に非常に有用でありうる。このような方策は本発明の譲受け人に譲渡されたサムソン・ティモナー他による合衆国特許出願番号13/296,864「手動および半手動技術を用いてディスプレイシステムを校正するためのシステムおよび方法」で開示されており、参照によりその教示内容を有益な背景情報として本明細書に編入する。校正に必要な情報が集められたら、ワープ/ワープ値、ブレンドおよび色補正、ならびにその他任意の適当な補正に対する新しい設定がロジェクタのディスプレイドライバおよび関連するソフトウェア/ハードウェアを介してシステムに適用できる(ステップ630)。
【0042】
図7は、ワープの変更に時間がかかるか、または再同期化を引き起こす可能性がある場合の状況に対処するように適合された実施形態に従う図6の微妙な修正を示す。この場合は、以前の校正手順からのワープ(現在のワープ)はそのまま(即ち「設定」したまま)にしておき、新しい校正手順が試みられる。上述した図6のブランクおよび/またはフリーズ方法/プロセスは、新しい校正手順中に採用できる。新しい校正手順では、システムおよび方法は例示的に既存/現在のワープを補償する。特に、プロジェクタ上の出力ビデオの全部が満たされない場合は、ワープから可視範囲を越えて外挿することが望ましいことがある。いずれか一方のプロジェクタに物理的な動きが生じなければ、このタイプの外挿は典型的には必要ない。プロジェクタの小さい動きに対して外挿は正確に実行できる。
【0043】
種々の実施形態で(現在値/ワープ値が変更されない図7の実施形態と同様に)他の校正パラメータ/設定も変更されないように設定できることが想定されていることに留意されたい。変更されないでその「現在の」設定状態に留まることができる例示的な値の1つは色校正である。色校正はしばしばある校正手順と次の校正手順がほぼ同一なので、それをそのままにしておくことは無効にする時間を節約でき、また潜在的にシステムがスタートからほぼ完璧に校正されているという価値を加えることができる。
【0044】
図8は、校正手順/プロセスのために入力ビデオにコントロールポイントを付加するための系統図である。ある状況ではコントロールポイントは入力ビデオに付加できるが、別の状況ではこのプロセスは問題でありうる。それゆえ多くの状況において、校正中入力ビデオ信号にマーカを付加でき、そのため校正している間表示画像を動かせると有用である。自動校正と手動校正において、目標はしばしばディスプレイユニット上の既知の位置にマーカを動かすことである。限定する趣旨ではなく、適当なアルゴリズム/プロセスを援用して、隣接するプロジェクタがオーバーラップする位置を検出することも有用でありうる。図8では、プロセスはピクセルパイプライン内の装置との通信で始まり、より多くのコントロールポイント位置の1つを特定する(810)。図5に示されているように、この装置はパイプライン520、またはより一般的にはボックス522の一部である。ステップ820では、ピクセルパイプライン内の装置がビデオ信号および結果として生じる表示画像に模範的な「x」またはその他の基準を付加することによってスクリーン上にコントロールポイントを示す。ステップ830では、ユーザまたは他の機構が基準を正しい位置に着地するまで動かす。
【0045】
図9は例示的にフラットパネルディスプレイで図3の方法を用いる例を説明する。この場合は、矩形の切り抜きを付けたマスク903によってブロックされたフラットパネルディスプレイユニット901がある。上記の実施形態と同様に、システム入力解像度はディスプレイ解像度と同じではない。図3に記載されているように、ユーザに関心のあるディスプレイのプロパティを最適化することによってディスプレイの所望の入力解像度を見いだす。入力解像度がシステムに送られたら、校正を実行するための実施形態に図4の方法を採用できる。例えば、システムおよび方法はパネル全体にわたり入力解像度をワープでき、ディスプレイユニット内部で色と強度について校正でき、さらにワープを用いて矩形を回転および変換できる。次にシステムは校正中に導入されたワープを考慮した新しいワープを生み出すことができる。
【0046】
本明細書のための広範な教示に従い、追加の実施形態が提供されうることが明確に想定されている。上述した実施形態は、そこで論じられた種々の実施ディテールに適用するために適合される。しかしながら本明細書の教示に従い他の実施形態(例えば校正中変更されないパラメータをさらに許す実施形態)が、適当なソフトウェアとハードウェアを用いて提供されうる。
【0047】
動作可能なシステムの別の例において、コンピュータ(例えばPCまたはサーバ)は、オーバーラップ、ワープ、ブレンド、および幾つかの例では色の変更を行う能力のあるドライバが備えられる。校正プログラム(自動または手動)はコンピュータ上で実行できる。校正中、オーバーラップは変更されない(即ち現在の設定状態から変更されないままである)。それに代えて入力ビデオ信号をプロジェクタの集合体全体に引き伸ばすためにワープが使用される。このタイプのワープは例示的に各々の位置にユニークなピクセルが配置されることを可能にする。しかしながら、1台のプロジェクタによって提供されるピクセルは表示面/スクリーン全体を満たすには(ピクセルの通常/本来の高さと幅に基づき)十分ではないので、個々のピクセルはそれぞれ引き伸ばされる(典型的には「ワイドな」ディスプレイの例で幅方向にプロジェクタの表示範囲全体に引き伸ばされる。自動校正では、利用可能なソフトウェアによりコンピュータ上でパターンが生成され、観察するカメラまたはその他の光学センサに対して表示されて捕捉され、次に捕捉されたディスプレイの画像を用いてソフトウェアにより設定を操作する。手動校正では、ユーザによってコントロールポイントがスクリーン上を動かされる。校正画像が入力ビデオに伝送され、校正が完了したら、校正中に実行されたピクセ引き伸ばしを補償することによってワープが計算される。
【0048】
上記の例示的なプロセスは、入力ビデオ信号からピクセルをワープできるハードウェアおよび/またはソフトウェアを含む「ボックス」へのビデオ信号入力を有するコンピュータを備えたシステムでも実行できる。このワープされた信号は次にボックスによってプロジェクタに出力される。この場合、ボックスは上述したコンピュータドライバと同じやり方でワープを実行する。
【0049】
本明細書では他のワーププロセスおよび技術も想定されている。1実施形態において第1の出力(出力1)に対するビデオは第2の出力(出力2)にワープされ、逆の場合も同じである。この技術もプロジェクタオーバーラップするピクセルを表示することを可能にするが、標準オーバーラップとは異なり、各プロジェクタからのそれぞれの領域におけるピクセルは同じではない。さらに、文献から公知の方法および技術(例えばアディティ・マジャンダーによって説明されたもの)を用いて、観察するカメラによって識別されうるパターンを提供することができる。このやり方では校正は生成されたワープされた画像を用いて進めることができる。
【0050】
所望の効果を達成するために例示的な実施形態において生成できる他のワープは、表示画像を左から右へ入れ替えるワープである。しかしまた別の例示的なワープは、プロジェクタディスプレイの全体を単一のピクセルにワープするもので、これにより1台のプロジェクタを効果的にブランクする。
【0051】
別の具体例において、それぞれワーピングプロセッサチップを含んだ1台以上のプロジェクタと相互接続したディスプレイポートルータが提供されうる。ディスプレイポートルータにおいて、ビデオ信号は最初にルータに送り込まれ、個々の出力は入ってくるビデオの特定部分に対応している。この配置構成は機能的にはビデオウォールコントローラと同様である。このような実施形態において特定のプロジェクタにおけるワーピングプロセッサチップは、ルータから受け取った信号をブランクするワープを提供する。代替的に、システムおよび方法は、(ルータに基づき)プロジェクタが対応する入力ビデオディスプレイの範囲を変更するように働くことができる。例示的に、これはどのピクセルがディスプレイ上のどの位置に割り当てられるかをシステムが交換することを可能にする。特に、この技術はビデオウォールコントローラの機能と同様である。
【0052】
OMTEパラメータは、具体例においてプロジェクタを個々にアドレス指定するために同様に有用である。プロジェクタの表示色は変えることができるので、ユーザおよび/またはカメラは異なるプロジェクタのそれぞれのディスプレイを容易に識別できる。例を挙げると、プロジェクタを効果的に黒化(blacken)するために、プロジェクタ上のコントラスト設定(「ノブ」)を最小にできる(即ち端から端まで変化させる)。プロジェクタを黒化するために、プロジェクタの光路に配置された機械的シャッタが採用されてもよい。プロジェクタディスプレイを効果的にブラックアウトするために、プロジェクタワーク内のブレンドマップも使用できる。他の例では、プロジェクタランプに対する電圧を低下させてランプに著しく減少した電力を供給することにより、ディスプレイに対する黒化効果を引き起こすことができる。プロジェクタのレンズ設定(lend setting)または物理的焦点距離を変えることにより1台以上のプロジェクタをデフォーカスすることも、集合体において1台以上のプロジェクタが他のプロジェクタから区別されて表示することを可能にする。また、あるプロジェクタは黒画像など内部に保存された特定のタイプの画像を表示する能力を提供し、能力を用いてプロジェクタ上のパラメータを設定することは例示的な校正手順において有用でありうる。
【0053】
要約すれば、プロジェクタをブラックアウトすることはあるプロジェクタを別のプロジェクタから区別するための非常に簡便な技術であると考えられるが、それは採用できる唯一の技術ではない。プロジェクタの色によって区別することは、ディスプレイの強度によって区別することと同様に効果的な技術である。プロジェクタをデフォーカスすることも、カメラ(または校正プロセスにおけるその他の手段)がプロジェクタを区別するために十分であることが分かる。
【0054】
上述したように、プロジェクタ入力をフリーズすることも、例示的な校正プロセス中に採用できる。具体例において、これはこの能力を有するシステムに「フリーズ」命令を送ることを必要とし、それによりシステムに黒画像を生成および表示させ、そしてプロジェクタがそれ以降現在のピクセルを維持する(即ち「黒」画像をフリーズする)ことを可能にする。代替的に、最初に手動校正または半手動校正に対するマーカを生成および表示し、次に他のいずれのプロジェクタにも影響なく(を伴わずに)そのマーカをディスプレイ上に固定された状態で保持するシステムによるフリーズ機能を採用できる。
【0055】
システムはまた校正中にブレンドおよび/または色マップを効果的に採用できる。具体例において、システムは関連するディスプレイドライバでブレンドマップを0に設定することによりプロジェクタ上に一時的に黒を表示できる。
【0056】
本明細書で想定されている別の例示的な実施形態は、ビデオディスプレイスクリーンを駆動するディスプレイ信号出力を有する単一のコンピュータを含み、これはまた主要な「ウォール」とは異なる画像セットを有する別個のコントロールモニタも駆動する。例えば、コントロールモニタ上の画像はディスプレイスクリーンプロジェクタのパラメータおよび設定に関係でき、またはディスプレイスクリーンによってコンテンツが提供されるのではなく、ユーザがディスプレイスクリーンのコンテンツ(例えばレポートまたはプレゼンテーション)を操作するためにアクセスできる。このタイプのシステムは上で想定された課題の多くに対応できる。ディスプレイパラメータをコントロールモニタ上で設定することも望ましいと言える。例を挙げると、上述した特定の機能、例えば校正中のコントロールモニタのブランクアウトすること、またはピクセルをコントロールモニタからワープし、およびウォールディスプレイスクリーンに向けてワープすることなどである。
【0057】
以上が、本発明の例示的な実施形態の詳細な説明である。本発明の精神と範囲を逸脱することなく、種々の改変および追加を行うことができる。上述した種々の実施形態の各々の特徴は、上述した他の実施形態の特徴と組み合わされてよく、必要に応じて関連する新しい実施形態において多様な特徴の組み合わせを提供することができる。さらに、上で本発明の装置および方法の多数の別個の実施形態を説明したが、本明細書中で説明されたものは本発明の原理の応用を例示したものに過ぎない。例えば、本明細書で用いる「プロセス」および/または「プロセッサ」という言葉は広く、電子ハードウェアおよび/またはソフトウェアに基づく多様な機能およびコンポーネントを含むものと解されるべきである。さらに、上で表現されたプロセスまたはプロセッサは他のプロセスおよび/またはプロセッサと組み合わされ、または種々のサブプロセスもしくはサブプロセッサに分割され得る。そのようなサブプロセスおよび/またはサブプロセッサは記載された実施形態に従い種々に組み合わせることができる。同様に、本明細書中に記載されたいずれの機能、プロセスおよび/またはプロセッサも、電子ハードウェア、プログラム命令の非一時的コンピュータ可読媒体からなるソフトウェア、またはハードウェアとソフトウェアの組合せを用いて実現できることが明確に想定されている。また、例示的な実施形態の原理が典型的に複数の離散的ユニットを含むディスプレイの集合体で示されているが、本明細書に記載された原理は単一のユニットでも使用できることが明確に想定されており、従って「集合体」という言葉は広く、本明細書に記載された校正のためのシステムおよび方法に従って扱われるディスプレイの異なる領域を有することができる(しかし必ずしも必要ない)単一のディスプレイユニットを含むものと解されるべきである。従って、この説明は例示の方法によるものであり、本発明の範囲を別途制限することを意味するものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2023-01-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のプロジェクタの集合体について校正を実施するための方法であって、該方法は、
a.1以上の画像を投影する前記複数のプロジェクタのスクリーンの高さに対する幅の比率に部分的に基づいて、前記複数のプロジェクタのための解像度を選択し、それによってオーバーラップ領域が定義される、ステップと;
b.選択された前記解像度を変えずに下記b1及びb2により前記複数のプロジェクタを校正するステップであって、
前記b1は、投影された前記1以上の画像からオーバーラップ領域を差し引くために設定値に基づくワープ値を用いて前記1以上の画像におけるピクセルをワーピング技術によって前記複数のプロジェクタの各々にわたって引き伸ばすことであり、
前記b2は、カメラを用いて歪みを検出しつつ前記複数のプロジェクタを校正することである、
前記ステップと;
c.前記b1におけるワープ値及び前記b2において検出された歪みに基づいて新たなワープ値を算出するステップと;
を含む方法
【請求項2】
さらに、校正中にプロジェクタの少なくとも1つで画像をフリーズすることを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
さらに、システムの入力ビデオ信号にコントロールポイントの位置を付加することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
複数のプロジェクタの集合体について校正を実施するためのシステムであって、該システムは、
a.1以上の画像を投影する前記複数のプロジェクタのスクリーンの高さに対する幅の比率に部分的に基づいて、前記複数のプロジェクタのための解像度を選択し、それによってオーバーラップ領域が定義される、手段と;
b.選択された前記解像度を変えずに下記b1及びb2により前記複数のプロジェクタを校正する手段であって、
前記b1は、投影された前記1以上の画像から前記オーバーラップ領域を差し引くために設定値に基づくワープ値を用いて前記1以上の画像における各ピクセルをワーピング技術によって前記複数のプロジェクタの各々にわたって引き伸ばすことであり、
前記b2は、カメラを用いて歪みを検出しつつ前記複数のプロジェクタを校正することである、
前記手段と;
c.前記b1におけるワープ値及び前記b2において検出された歪みに基づいて新たなワープ値を算出する手段と;
を含むシステム。
【外国語明細書】