(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023003017
(43)【公開日】2023-01-11
(54)【発明の名称】マルチソースデータに基づく貧困地域の貧困原因の分析方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/06 20230101AFI20221228BHJP
G06Q 50/26 20120101ALI20221228BHJP
【FI】
G06Q10/06
G06Q50/26
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021103927
(22)【出願日】2021-06-23
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】521275909
【氏名又は名称】中国科学院西北生態環境資源研究院
(74)【代理人】
【識別番号】100088063
【弁理士】
【氏名又は名称】坪内 康治
(72)【発明者】
【氏名】祁元
(72)【発明者】
【氏名】張金竜
(72)【発明者】
【氏名】王宏偉
(72)【発明者】
【氏名】楊瑞
(72)【発明者】
【氏名】馬暁芳
(72)【発明者】
【氏名】周聖明
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA06
5L049CC35
(57)【要約】 (修正有)
【課題】マルチソースデータに基づく貧困地域の貧困原因の分析方法を提供する。
【解決手段】方法は、貧困地域の貧困背景データベースおよび貧困要因データベースを確立し、データの標準化処理し、その後データ共直線性検証を実行して、貧困エリア人口、貧困エリア面積、貧困エリア一人当たりの収入と貧困要因間の回帰関係を構築する。
【効果】これにより、貧困原因を効果的に判定し、異なる貧困地域に合わせた対策を設定し、対象を絞った貧困緩和を実施することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)貧困地域ベクトル境界、貧困地域の面積および貧困地域の貧困人口および貧困地域
の一人当たりの収入を含む貧困地域の貧困背景データベースを確立するステップと、
(2)気候要因、地形要因、資源背景要因、災害要因および地域ヒューマニスティック・
経済要因を含み、地域自然地理、資源環境背景と社会経済特徴を反映する貧困地域と貧困
に関連する貧困要因データベースを確立するステップと、
(3)arcgisソフトウェアによりデータの標準化処理して、標準形式の貧困地域背
景データベースと貧困要因データベースを形成するステップと、
(4)データ共直線性検証を実行し、分散膨張係数(VIF)により貧困要因データベー
ス中の貧困要因間の共直線性を検証するステップと、
但し、共直線性のある貧困要因を排除し、ただし、分散膨張係数(VIF)は以下の式に
よって計算される:
ただし、
は重回帰モデルに基づいて確立された各貧困要因指標と他の各項貧困要因指標間の線形回
帰係数であり、VIFの値により環境要因間の共直線性を判断し、各貧困要因の間に共直
線性のない要因データベースを構築し、
(5)それぞれ貧困エリア人口、貧困エリア面積、貧困エリア一人当たりの収入と貧困要
因間の回帰関係を確立し、貧困に影響を与える主要貧困要因を分析するステップと、
但し、各回帰関係モデルは具体的に以下のとおりである:
式において、
は貧困エリア人口を表し、
は貧困エリア面積を表し、
は貧困エリア一人当たりの収入を表し、
Aは気候要因を表し、Bは地形要因を表し、Cは資源背景要因を表し、Dは災害要因を表
し、Eは地域ヒューマニスティック・経済要因を表し、
は貧困エリア人口と気候要因、地形要因、資源背景要因、災害要因、地域ヒューマニステ
ィック・経済要因によって確立された回帰モデルを表し、
は貧困エリア面積と気候要因、地形要因、資源背景要因、災害要因、地域ヒューマニステ
ィック・経済要因によって確立された回帰モデルを表し、
は貧困エリア一人当たりの収入と気候要因、地形要因、資源背景要因、災害要因、地域ヒ
ューマニスティック・経済要因によって確立された回帰モデルを表し、
、
と
は定数であり、その値はそれぞれ異なる貧困地域で確立された
、
、
回帰モデルの結果値に対応する、
(6)貧困エリア人口、貧困エリア面積、貧困エリア一人当たりの収入と要因の回帰関係
から、貧困を支配する主要要因を決定し、要因ごとの地域分けの貧困原因に従って、主に
資源制約型、生態保護優先型、自然条件過酷型、災害頻発型に分けるステップと、
を含む、ことを特徴とするマルチソースデータに基づく貧困地域の貧困原因の分析方法。
【請求項2】
前記ステップ(2)の貧困要因データベース中の各要因は、具体的に以下のとおりである
:
前記気候要因は、年間平均気温、年間降水量、年間蒸発量、年間平均風速および年間日照
時間を含み、
前記地形要因は、標高、勾配、アスペクトおよび地形断片化を含み、
前記資源背景要因は天然資源、鉱物資源および水資源を含み、天然資源は森林面積、草地
面積、耕作地面積および湿地面積を含み、鉱物資源は石炭、金鉱などの資源埋蔵量を含み
、水資源は水ネットワーク密度および水資源量を含み、
前記災害要因は地滑り、土砂崩れなどの地質災害体の分布および数量、および干ばつ、霜
、鉄砲水などの気象災害の発生頻度および影響人口を含み、
前記地域ヒューマニスティック・経済要因は、一人当たりのGDP、一人当たりの食料品
、学歴、教育レベル、医療レベル、経済的森林面積および道路密度を含む、ことを特徴と
する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記貧困地域の貧困背景データベースは、具体的に以下のとおりである:各貧困地域を最
小行政単位で分割し、最小の行政単位を単位として、各最小行政単位を含むベクトル境界
データ、貧困人口および一人当たりの収入を確立し、ただし、前記最小行政単位は具体的
に村、コミュニティまたは群落で定義される、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記
、
、
の回帰モデルは線形モデル、指数モデルまたは二次モデルであり、具体的な貧困地域に従
って回帰モデルを適切に選択する、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ステップ(6)中の要因地域分けの貧困原因の判定方法は、具体的に以下のとおりで
ある:
1)構築された回帰関係モデルでは、
貧困エリア人口、
貧困エリア面積、
貧困エリア一人当たりの収入と資源背景要因の水資源量、耕作地面積と高い相関関係があ
り、例えば水資源の量が少く、一人当たりの耕作地面積が少ない場合に、資源制約型とし
て判断する、
2)構築された回帰関係モデルでは、
貧困エリア人口、
貧困エリア面積、
貧困エリア一人当たりの収入と気候要因の気温、降水、および地形要因の標高、勾配、地
形断片化と高い相関があり、例えば年間平均気温が高く、降水量が少く、標高が高く地形
破砕であれば、自然条件過酷型と判断する、
3)構築された回帰関係モデルでは、
貧困エリア人口、
貧困エリア面積、
貧困エリア一人当たりの収入と資源背景要因の森林面積、草地面積、湿地面積と高い相関
関係があり、例えば天然森林面積が大きく、湿地資源が保護されるであると、生態保護優
先型として判断する、
4)構築された回帰関係モデルでは、
貧困エリア人口、
貧困エリア面積、
貧困エリア一人当たりの収入と災害要因の地滑り、土砂崩れの地質災害体の分布および数
、および干ばつ、霜、鉄砲水の気象災害の発生頻度と高い相関関係があれば災害頻発型と
して判断する、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記貧困要因データベースは空間データであり、具体的に各貧困地域のベクトル境界から
貧困地域各要因の値を統計し、前記標準化処理は具体的にデータ形式、空間分辨率および
座標投影のデータ形式標準化を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビッグデータ分析の技術分野に関し、具体的にはマルチソースデータに基づく
貧困地域の貧困原因の分析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
貧困問題とは、貧困によって直接引き起こされた、または貧困からは派生した一連の社会
問題を指す。貧困問題は、今日の世界で最も深刻な社会問題の1つであり、主に、環境気
候、自然災害、生産性の低下など、様々な理由によって引き起こされた物質の不足を指す
。
世界の多くの国の一部地域は依然として未解決の貧困問題に直面しており、貧困原因は大
きく異なり、貧困原因を正確に識別することは、地域の性格な貧困緩和を制約する主な問
題であり、近年、全世界では貧困緩和について前向きな進歩を遂げたが、現在、一部の地
域の貧困は依然として人間の最も差し迫った問題の1つである。
現在、世界では貧困人口の削減、衛生条件の改善など点でまだ長い道のりを歩んで、現在
世界の人口の大部分は極度の貧困ライン以下で生活しているが、貧困地域の境界が明らか
ではなく、正確な貧困緩和などを実施することが困難であるため、貧困原因を効果的に識
別する分析方法が求められ、異なる貧困地域に合わせた対策を設定し、対象を絞った貧困
緩和を実施することができるようにする。
【発明の概要】
【0003】
上記の技術的問題を解決するために、本発明はマルチソースデータに基づく貧困地域の貧
困原因の分析方法を提供する。
本発明の技術的解決策は、以下のステップを含むマルチソースデータに基づく貧困地域の
貧困原因の分析方法である。
(1)貧困地域ベクトル境界、貧困地域の面積および貧困地域の貧困人口および貧困地域
の一人当たりの収入を含む貧困地域の貧困背景データベースを確立するステップと、
(2)気候要因、地形要因、資源背景要因、災害要因および地域ヒューマニスティック・
経済要因を含んで、地域自然地理、資源環境背景と社会経済特徴を反映する貧困地域と貧
困に関連する貧困要因データベースを確立するステップと、
(3)arcgisソフトウェアによりデータの標準化処理して、標準形式の貧困地域背
景データベースと貧困要因データベースを形成するステップと、
(4)データ共直線性検証を実行し、分散膨張係数(VIF)により貧困要因データベー
ス中の貧困要因間の共直線性を検証し、共直線性のある貧困要因を排除し、ただし、分散
膨張係数(VIF)は以下の式によって計算される:
ただし、
は重回帰モデルに基づいて確立された各貧困要因指標と他の各項貧困要因指標間の線形回
帰係数であり、VIFの値により環境要因間の共直線性を判断し、各貧困要因の間に共直
線性のない要因データベースを構築する。
(5)それぞれ貧困エリア人口、貧困エリア面積、貧困エリア一人当たりの収入と貧困要
因間の回帰関係を確立し、貧困に影響を与える主要貧困要因を分析し、各回帰関係モデル
は具体的に以下のとおりである:
式において、
は貧困エリア人口を表し、
は貧困エリア面積を表し、
は貧困エリア一人当たりの収入を表し、
は気候要因を表し、Bは地形要因を表し、Cは資源背景要因を表し、Dは災害要因を表し
、Eは地域ヒューマニスティック・経済要因を表し、
は貧困エリア人口と気候要因、地形要因、資源背景要因、災害要因、地域ヒューマニステ
ィック・経済要因によって確立された回帰モデルを表し、
は貧困エリア面積と気候要因、地形要因、資源背景要因、災害要因、地域ヒューマニステ
ィック・経済要因によって確立された回帰モデルを表し、
は貧困エリア一人当たりの収入と気候要因、地形要因、資源背景要因、災害要因、地域ヒ
ューマニスティック・経済要因によって確立された回帰モデルを表し、
、
と
は定数であり、その値はそれぞれ異なる貧困地域で確立された
、
、
回帰モデルの結果値に対応する。
【0004】
(6)貧困エリア人口、貧困エリア面積、貧困エリア一人当たりの収入と要因の回帰関係
から、貧困を支配する主要要因を決定し、要因ごとの地域分けの貧困原因に従って、主に
資源制約型、生態保護優先型、自然条件過酷型、災害頻発型に分けられる。
【0005】
さらに、前記ステップ(2)の貧困要因データベース中の各要因は、具体的に以下のとお
りである:
前記気候要因は、年間平均気温、年間降水量、年間蒸発量、年間平均風速および年間日照
時間を含み、
前記地形要因は、標高、勾配、アスペクトおよび地形断片化を含み、
前記資源背景要因は天然資源、鉱物資源および水資源を含み、天然資源は森林面積、草地
面積、耕作地面積および湿地面積を含み、鉱物資源は石炭、金鉱などの資源埋蔵量を含み
、水資源は水ネットワーク密度および水資源量を含み、
前記災害要因は地滑り、土砂崩れなどの地質災害体の分布および数量、および干ばつ、霜
、鉄砲水などの気象災害の発生頻度および影響人口を含み、
前記地域ヒューマニスティック・経済要因は、一人当たりのGDP、一人当たりの食料品
、学歴、教育レベル、医療レベル、経済的森林面積および道路密度を含む。
【0006】
貧困要因データベース中の気候要因、地形要因、資源背景要因、災害要因および地域ヒュ
ーマニスティック・経済要因を細分化することで、後の回帰モデルの構築および地域分け
の貧困原因の判定に十分のデータ基礎を提供することができる。
【0007】
さらに、前記貧困地域の貧困背景データベースは、具体的に以下のとおりである:各貧困
地域を最小行政単位で分割し、最小の行政単位を単位として、各最小行政単位を含むベク
トル境界データ、貧困人口および一人当たりの収入を確立し、ただし、前記最小行政単位
は具体的に村、コミュニティまたは群落で定義される。地域を細分化することで、各貧困
地域の貧困エリア人口、貧困エリア面積、貧困エリア一人当たりの収入と貧困要因間の回
帰関係を確立し、貧困地域の貧困背景データベースを最適化し、貧困地域分けの正確さを
高め、さらに地域の貧困原因の判定の精度を向上させる。
【0008】
さらに、前記
、
、
の回帰モデルは線形モデル、指数モデルまたは二次モデルであり、具体的な貧困地域に従
って回帰モデルを適切に選択する。
さらに、前記ステップ(6)中の要因?地域分け域の貧困原因の判定方法は、具体的に以
下のとおりである:
1)構築された回帰関係モデルでは、
貧困エリア人口、
貧困エリア面積、
貧困エリア一人当たりの収入と資源背景要因の水資源量、耕作地面積などと高い相関関係
があり、例えば水資源の量が少く、一人当たりの耕作地面積が少ない場合に、資源制約型
として判断する、
2)構築された回帰関係モデルでは、
貧困エリア人口、
貧困エリア面積、
貧困エリア一人当たりの収入と気候要因の気温、降水など、および地形要因の標高、勾配
、地形断片化などと高い相関があり、例えば年間平均気温が高く、降水量が少く、標高が
高く地形破砕などであれば、自然条件過酷型と判断する、
3)構築された回帰関係モデルでは、
貧困エリア人口、
貧困エリア面積、
貧困エリア一人当たりの収入と資源背景要因の森林面積、草地面積、湿地面積などと高い
相関関係があり、例えば天然森林面積が大く、湿地資源が保護されるなどであると、生態
保護優先型として判断する、
1)構築された回帰関係モデルでは、
貧困エリア人口、
貧困エリア面積、
貧困エリア一人当たりの収入と災害要因の地滑り、土砂崩れなどの地質災害体の分布およ
び数、および干ばつ、霜、鉄砲水などの気象災害の発生頻度と高い相関関係があれば災害
頻発型として判断する。
【0009】
マルチソースデータに基づいて貧困原因を分割し特定することで、貧困原因を効果的に識
別し、異なる貧困地域に合わせた対策を設定し、対象を絞った貧困緩和を実施することに
寄与する。
【0010】
さらに、前記貧困要因データベースは空間データであり、具体的に各貧困地域のベクトル
境界から貧困地域各要因の値を統計し、前記標準化処理は具体的にデータ形式、空間分辨
率および座標投影のデータ形式標準化を含む。データソースに一貫性がないため、データ
形式、空間分解能、座標投影などに違いがあるから、データ標準化形式を確立してデータ
を標準化処理することによって、貧困要因データベース中の各項要因データ情報をまとめ
ることに寄与する。
【0011】
本発明の有益な効果は以下のとおりである:
(1)本発明の貧困地域の貧困原因の分析方法は、マルチソースデータの確立および分析
により、貧困原因を効果的にに識別し、異なる貧困地域に合わせた対策を設定し、対象を
絞った貧困緩和を実施することに寄与する。
(2)本発明の貧困地域の貧困原因の分析方法は、貧困エリア人口、貧困エリア面積、貧
困エリア一人当たりの収入と要因の回帰関係から、貧困を支配する主要要因を判定するこ
とで、最小行政単位の原因を特定し、貧困緩和の精度を高める。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】中国甘粛省隴南市馬営極貧困地域の位置分布図である。
【
図2】馬営極貧困地域の主要貧困要因、災害点、年間降水量およびアスペクトの空間分布図であり、その内に、(a)は馬営極貧困地域の主要貧困要因の災害点であり、(b)は馬営極貧困地域の年間降水量であり、(c)は馬営極貧困地域のアスペクト空間分布図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の利点をより明らかに具体化するために、具体的な実施形態を併せて本発明
をより詳細に説明する。
実施例
マルチソースデータに基づく貧困地域の貧困原因の分析方法は、以下のステップを含む:
(1)貧困地域ベクトル境界、貧困地域の面積および貧困地域の貧困人口および貧困地域
の一人当たりの収入を含む貧困地域の貧困背景データベースを確立するステップと、具体
的に以下のとおりである:各貧困地域を最小行政単位で分割し、最小行政単位を単位とし
て、各最小行政単位を含むベクトル境界データ、貧困人口および一人当たりの収入を確立
し、ただし、前記最小行政単位は具体的に村、コミュニティまたは群落で特定され、地域
を細分化することで、各貧困地域の貧困エリア人口、貧困エリア面積、貧困エリア一人当
たりの収入と貧困要因間の回帰関係を確立して、貧困地域の貧困背景データベースを最適
化し、貧困地域分けの正確さを高め、さらに地域の貧困原因の判定の精度を向上させる、
(2)気候要因、地形要因、資源背景要因、災害要因および地域ヒューマニスティック・
経済要因を含んで、地域自然地理、資源環境背景と社会経済特徴を反映する貧困地域と貧
困に関連する貧困要因データベースを確立するステップと、具体的に以下を含む:
1)気候要因、前記気候要因は、年間平均気温、年間降水量、年間蒸発量、年間平均風速
および年間日照時間を含み、
2)地形要因、前記地形要因は、標高、勾配、アスペクトおよび地形断片化を含み、
3)資源背景要因、前記資源背景要因は天然資源、鉱物資源および水資源を含み、天然資
源は森林面積、草地面積、耕作地面積および湿地面積を含み、鉱物資源は石炭、金鉱など
の資源埋蔵量を含み、水資源は水ネットワーク密度および水資源量を含む、
4)災害要因、前記災害要因は地滑り、土砂崩れなどの地質災害体の分布および数量、お
よび干ばつ、霜、鉄砲水などの気象災害の発生頻度および影響人口を含む、
5)地域ヒューマニスティック・経済要因、前記地域ヒューマニスティック・経済要因は
一人当たりのGDP、一人当たりの食料品、学歴、教育レベル、医療レベル、経済的森林
面積および道路密度を含む、
貧困要因データベース中の気候要因、地形要因、資源背景要因、災害要因および地域ヒュ
ーマニスティック・経済要因を細分化することで、後の回帰モデルの構築地域分けの貧困
原因の判定に十分のデータ基礎を提供することができる、
【0014】
(3)arcgisソフトウェアによりデータの標準化処理して、具体的にデータ形式、
空間分解能および座標投影のデータ形式標準化を含み、標準形式の貧困地域背景データベ
ースと貧困要因データベースを形成するステップと、データソースに一貫性がないため、
データ形式、空間分解能、座標投影などに違いがあるから、データ標準化形式を確立して
データを標準化処理することによって、貧困要因データベース中の各項要因データ情報を
まとめることに寄与する、
【0015】
(4)データ共直線性検証、分散膨張係数(VIF)により貧困要因データベース中の貧
困要因間の共直線性を検証し、共直線性のある貧困要因を排除し、ただし、分散膨張係数
(VIF)は以下の式によって計算される:
ただし、
は重回帰モデルに基づいて確立された各貧困要因指標と他の各項貧困要因指標間の線形回
帰係数であり、VIFの値により環境要因間の共直線性を判断し、各貧困要因の間に共直
線性のない要因データベースを構築する。
【0016】
(5)それぞれ貧困エリア人口、貧困エリア面積、貧困エリア一人当たりの収入と貧困要
因間の回帰関係を確立し、貧困に影響を与える主要貧困要因を分析し、各回帰関係モデル
は具体的に以下のとおりである:
式において、
は貧困エリア人口を表し、
は貧困エリア面積を表し、
は貧困エリア一人当たりの収入を表し、
は気候要因を表し、Bは地形要因を表し、Cは資源背景要因を表し、Dは災害要因を表し
、Eは地域ヒューマニスティック・経済要因を表し、
は貧困エリア人口と気候要因、地形要因、資源背景要因、災害要因、地域ヒューマニステ
ィック・経済要因によって確立された回帰モデルを表し、
は貧困エリア面積と気候要因、地形要因、資源背景要因、災害要因、地域ヒューマニステ
ィック・経済要因によって確立された回帰モデルを表し、
は貧困エリア一人当たりの収入と気候要因、地形要因、資源背景要因、災害要因、地域ヒ
ューマニスティック・経済要因によって確立された回帰モデルを表し、前記f
1、f
2、
f
3の回帰モデルは具体的な貧困地域に従って回帰モデル、例えば線形モデル、指数モデ
ルまたは二次モデルを適切に選択する、
、
および
は定数であり、その値はそれぞれ異なる貧困地域で確立された
、
、
回帰モデルの結果値に対応する。
【0017】
(6)貧困エリア人口、貧困エリア面積、貧困エリア一人当たりの収入と要因の回帰関係
から、貧困を支配する主要要因を決定し、要因ごとの地域分けの貧困原因に従って、主に
資源制約型、生態保護優先型、自然条件過酷型、災害頻発型に分けられ、その判定方法は
、具体的に以下のとおりである:
1)資源制約型:構築された回帰関係モデルでは、
貧困エリア人口、貧困エリア面積、貧困エリア一人当たりの収入と資源背景要因の水資源
量、耕作地面積などと高い相関関係があり、例えば水資源の量が少く、一人当たりの耕作
地面積が少ない場合に、資源制約型として判断する、
2)自然条件過酷型:構築された回帰関係モデルでは、
貧困エリア人口、
貧困エリア面積、
貧困エリア一人当たりの収入と気候要因の気温、降水など、および地形要因の標高、勾配
、地形断片化などと高い相関があり、例えば年間平均気温が高く、降水量が少く、標高が
高く地形破砕などであれば、自然条件過酷型と判断する、
3)生態保護優先型:構築された回帰関係モデルでは、
貧困エリア人口、
貧困エリア面積、
貧困エリア一人当たりの収入と資源背景要因の森林面積、草地面積、湿地面積などと高い
相関関係があり、例えば天然森林面積が大く、湿地資源が保護されるなどであると、生態
保護優先型として判断する、
4)災害頻発型:構築された回帰関係モデルでは、
貧困エリア人口、
貧困エリア面積、
貧困エリア一人当たりの収入と災害要因の地滑り、土砂崩れなどの地質災害体の分布およ
び数、および干ばつ、霜、鉄砲水などの気象災害の発生頻度と高い相関関係があれば災害
頻発型として判断する。
マルチソースデータに基づいて貧困原因を分割し特定することで、貧困原因を効果的に識
別し、異なる貧困地域に合わせた対策を設定し、対象を絞った貧困緩和を実施することに
寄与する。
【0018】
応用例
中国甘粛省隴南市馬営の極貧困地域を例にとると、
図1に示すように甘粛省隴南市馬営の
極貧困地域の位置分布図である。
貧困エリア人口
、貧困エリア面積
、貧困エリア一人当たりの収入
を従属変数とし、気候要因A、地形要因B、資源背景要因C、災害要因Dと地域ヒューマ
ニスティック・経済要因Eから年間平均気温
、年間降水量
、年間日照時間
、標高
、勾配
、アスペクト
、地形断片化
、水ネットワーク密度
、石炭埋蔵量
、森林面積
、草地面積
、耕作地面積
、災害影響人口
、災害数量
、道路密度
などの15つの指標を独立変数として選択し、貧困に影響を与える主要貧困要因を分析し
、一部の要因が
図2に示される。
【0019】
重回帰モデルによって確立された従属変数と独立変数間の線形回帰係数を使用し、すべて
の独立変数をOLS回帰方程式に導入し、分散膨張係数VIFにより独立変数間に共直線
性があるかどうかを検証し、7.5を超えた冗長変数を排除する。確率とロバスト確率を
使用して方程式回帰係数を検証し、確率P値から独立変数と従属変数間の相関度を判断し
、例えばP値がすべて0.05未満であると、独立変数と従属変数間に高い相関があるこ
とを示す。これに基づいて、回帰顕著性の検証が顕著ではない1つまたは複数の変数から
、最も顕著ではない変数、例えば
、
などを排除してから、回帰方程式を再確立し、複数回の反復の後、有効な独立変数を見つ
かり、顕著ではない変数、例えば
、
などを排除することで、以下の最終的な回帰方程式を取得する:
上記の回帰モデル(1)、(2)、(3)に基づいて、回帰モデル中の貧困要因から、隴
南市馬営の極貧困地域に影響を与える主要貧困要因は、災害影響人口
、災害数量
、石炭埋蔵量
、年間降水量
、アスペクト
であると判定し、貧困地域の貧困原因は自然条件過酷型と災害頻発型であることをが示さ
れる。
【手続補正書】
【提出日】2021-11-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置が、実行するマルチソースデータに基づく貧困地域の貧困原因の分析方法で
あって、
(1)
前記情報処理装置が、貧困地域ベクトル境界、貧困地域の面積および貧困地域の貧
困人口および貧困地域の一人当たりの収入を含む貧困地域の貧困背景データベースを確立
するステップと、
(2)
前記情報処理装置が、気候要因、地形要因、資源背景要因、災害要因および地域ヒ
ューマニスティック・経済要因を含み、地域自然地理、資源環境背景と社会経済特徴を反
映する貧困地域と貧困に関連する貧困要因データベースを確立するステップと、
(3)
前記情報処理装置が、arcgisソフトウェアによりデータの標準化処理して、
標準形式の貧困地域背景データベースと貧困要因データベースを形成するステップと、
(4)
前記情報処理装置が、データ共直線性検証を実行し、分散膨張係数(VIF)によ
り貧困要因データベース中の貧困要因間の共直線性を検証するステップと、
但し、共直線性のある貧困要因を排除し、ただし、分散膨張係数(VIF)は以下の式に
よって計算される:
ただし、
は重回帰モデルに基づいて確立された各貧困要因指標と他の各項貧困要因指標間の線形回
帰係数であり、VIFの値により環境要因間の共直線性を判断し、各貧困要因の間に共直
線性のない要因データベースを構築し、
(5)
前記情報処理装置が、それぞれ貧困エリア人口、貧困エリア面積、貧困エリア一人
当たりの収入と貧困要因間の回帰関係を確立し、貧困に影響を与える主要貧困要因を分析
するステップと、
但し、各回帰関係モデルは具体的に以下のとおりである:
式において、
は貧困エリア人口を表し、
は貧困エリア面積を表し、
は貧困エリア一人当たりの収入を表し、
Aは気候要因を表し、Bは地形要因を表し、Cは資源背景要因を表し、Dは災害要因を表
し、Eは地域ヒューマニスティック・経済要因を表し、
は貧困エリア人口と気候要因、地形要因、資源背景要因、災害要因、地域ヒューマニステ
ィック・経済要因によって確立された回帰モデルを表し、
は貧困エリア面積と気候要因、地形要因、資源背景要因、災害要因、地域ヒューマニステ
ィック・経済要因によって確立された回帰モデルを表し、
は貧困エリア一人当たりの収入と気候要因、地形要因、資源背景要因、災害要因、地域ヒ
ューマニスティック・経済要因によって確立された回帰モデルを表し、
、
と
は定数であり、その値はそれぞれ異なる貧困地域で確立された
、
、
回帰モデルの結果値に対応する、
(6)
前記情報処理装置が、貧困エリア人口、貧困エリア面積、貧困エリア一人当たりの
収入と要因の回帰関係から、貧困を支配する主要要因を決定し、要因ごとの地域分けの貧
困原因に従って、主に資源制約型、生態保護優先型、自然条件過酷型、災害頻発型に分け
るステップと、
を含む、ことを特徴とするマルチソースデータに基づく貧困地域の貧困原因の分析方法。
【請求項2】
前記ステップ(2)の貧困要因データベース中の各要因は、具体的に以下のとおりである
:
前記気候要因は、年間平均気温、年間降水量、年間蒸発量、年間平均風速および年間日照
時間を含み、
前記地形要因は、標高、勾配、アスペクトおよび地形断片化を含み、
前記資源背景要因は天然資源、鉱物資源および水資源を含み、天然資源は森林面積、草地
面積、耕作地面積および湿地面積を含み、鉱物資源は石炭、金鉱などの資源埋蔵量を含み
、水資源は水ネットワーク密度および水資源量を含み、
前記災害要因は地滑り、土砂崩れなどの地質災害体の分布および数量、および干ばつ、霜
、鉄砲水などの気象災害の発生頻度および影響人口を含み、
前記地域ヒューマニスティック・経済要因は、一人当たりのGDP、一人当たりの食料品
、学歴、教育レベル、医療レベル、経済的森林面積および道路密度を含む、ことを特徴と
する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記貧困地域の貧困背景データベースは、具体的に以下のとおりである:前記情報処理装
置が、各貧困地域を最小行政単位で分割し、最小の行政単位を単位として、各最小行政単
位を含むベクトル境界データ、貧困人口および一人当たりの収入を確立し、ただし、前記
最小行政単位は具体的に村、コミュニティまたは群落で定義される、ことを特徴とする請
求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記
、
、
の回帰モデルは線形モデル、指数モデルまたは二次モデルであり、具体的な貧困地域に従
って回帰モデルを適切に選択する、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ステップ(6)中の要因地域分けの貧困原因の判定方法は、具体的に以下のとおりで
ある:
1)
前記情報処理装置が、構築された回帰関係モデルでは、
貧困エリア人口、
貧困エリア面積、
貧困エリア一人当たりの収入と資源背景要因の水資源量、耕作地面積と高い相関関係があ
り、例えば水資源の量が少く、一人当たりの耕作地面積が少ない場合に、資源制約型とし
て判断する、
2)
前記情報処理装置が、構築された回帰関係モデルでは、
貧困エリア人口、
貧困エリア面積、
貧困エリア一人当たりの収入と気候要因の気温、降水、および地形要因の標高、勾配、地
形断片化と高い相関があり、例えば年間平均気温が高く、降水量が少く、標高が高く地形
破砕であれば、自然条件過酷型と判断する、
3)
前記情報処理装置が、構築された回帰関係モデルでは、
貧困エリア人口、
貧困エリア面積、
貧困エリア一人当たりの収入と資源背景要因の森林面積、草地面積、湿地面積と高い相関
関係があり、例えば天然森林面積が大きく、湿地資源が保護されるであると、生態保護優
先型として判断する、
4)
前記情報処理装置が、構築された回帰関係モデルでは、
貧困エリア人口、
貧困エリア面積、
貧困エリア一人当たりの収入と災害要因の地滑り、土砂崩れの地質災害体の分布および数
、および干ばつ、霜、鉄砲水の気象災害の発生頻度と高い相関関係があれば災害頻発型と
して判断する、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記貧困要因データベースは空間データであり、具体的に各貧困地域のベクトル境界から
貧困地域各要因の値を統計し、前記標準化処理は具体的に、前記情報処理装置が、実行す
るデータ形式、空間分辨率および座標投影のデータ形式標準化を含む、ことを特徴とする
請求項1に記載の方法。