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特開2023-30178良性前立腺肥大症(BPH)および関連する下部尿路症状(LUTS)を治療するための植え込み可能なデバイスおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023030178
(43)【公開日】2023-03-07
(54)【発明の名称】良性前立腺肥大症(BPH)および関連する下部尿路症状(LUTS)を治療するための植え込み可能なデバイスおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/844 20130101AFI20230228BHJP
【FI】
A61F2/844
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022211847
(22)【出願日】2022-12-28
(62)【分割の表示】P 2019560245の分割
【原出願日】2018-05-04
(31)【優先権主張番号】62/502,056
(32)【優先日】2017-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518220969
【氏名又は名称】プロデオン・メディカル・コーポレイション
【住所又は居所原語表記】116 Hougang Street 7F, Taipei, 11170 Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】100101890
【弁理士】
【氏名又は名称】押野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100098268
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 豊
(72)【発明者】
【氏名】ジャン・ユエ-テ
(72)【発明者】
【氏名】ファン・マーク
(72)【発明者】
【氏名】チャン・ケネス・チー-ピン
(72)【発明者】
【氏名】ジェン・ジミー
(72)【発明者】
【氏名】ス・トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ス・センザン
(72)【発明者】
【氏名】ヴェンカテーシュワラ-ラオ・コンダパブラー・ティー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】良性前立腺肥大症(BPH)および関連する下部尿路症状感染症(LUTS)を治療するためのデバイスおよび方法を提供する。
【解決手段】デバイスは、好ましくは診療所環境における局所麻酔下で、最小侵襲性処置によって、それを必要とする患者に配置される尿道内インプラント20である。デバイスは、尿道内で非外傷的に挿入され拡張して、BPHに関連する有害な症状を引き起こす、尿道に近接する肥大した前立腺組織5に係合し、これを後退させるようなサイズおよび設計である。方法は、送達システムを使用して、処置中に可視化され、BPHの症状の減少を生じる標的前立腺組織において、インプラントデバイスを配備するステップを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
肥大した組織によって狭窄した前立腺部尿道内に配置されるようにサイズ決めされ構成され、折り畳み構成と拡張構成との間で拡張可能である、回収可能なインプラントにおいて、
前記折り畳み構成において第1の距離だけ長手方向軸に沿って分離された近位端子先端ハブおよび対称的な遠位端子先端ハブであって、前記近位端子先端ハブは遠位端と近位端とを有し、前記遠位端子先端ハブは遠位端と近位端とを有している、近位端子先端ハブおよび遠位端子先端ハブと、
前記近位端子先端ハブの前記遠位端と前記遠位端子先端ハブの前記近位端とを接続する複数のアームであって、前記複数のアームのそれぞれが同じ長さを有し、かつ、前記折り畳み構成にある際に前記第1の距離と同じ長さになる長さを有する、複数のアームと、
を含み、
前記前立腺部尿道内での前記拡張構成において、前記近位端子先端ハブおよび前記遠位端子先端ハブは、前記前立腺部尿道内に位置付けられ、かつ、前記アームが外向きにかつ所定の形状で配備されて前記肥大した組織を後退させるときに第2の距離だけ分離され、
更に、前記拡張構成において、配備された前記アームのそれぞれは、前記長手方向軸に対して垂直な方向で、前記肥大した組織に5~30Nの間の力を及ぼす総組織係合表面長さを有し、前記総組織係合表面長さは前記第2の距離以下であり、かつ、前記近位端子先端ハブの前記遠位端は前記総組織係合表面長さの近位に位置付けられており、前記遠位端子先端ハブの前記近位端は前記総組織係合表面長さの遠位に位置付けられている、回収可能なインプラント。
【請求項2】
前記近位端子先端ハブおよび前記遠位端子先端ハブのそれぞれが、前記回収可能なインプラントの中心軸の周りに配されている、請求項1に記載の回収可能なインプラント。
【請求項3】
前記近位端子先端ハブおよび前記遠位端子先端ハブのそれぞれが、前記回収可能なインプラントの中心軸に対して偏心して配されている、請求項1に記載の回収可能なインプラント。
【請求項4】
前記近位端子先端ハブおよび前記遠位端子先端ハブのそれぞれが、周方向中実領域から構成されている、請求項1に記載の回収可能なインプラント。
【請求項5】
各ハブが、前記複数のアームと一体的に形成され、各アームが、前記折り畳み構成において実質的に直線状であり前記拡張構成において曲線をなす移行領域において、各ハブに接続されている、請求項1に記載の回収可能なインプラント。
【請求項6】
各アームが組織係合領域から構成されている、請求項5に記載の回収可能なインプラント。
【請求項7】
前記組織係合領域が、実質的に直線状のセグメントを有する、請求項6に記載の回収可能なインプラント。
【請求項8】
前記拡張構成において、前記所定の形状が、前記複数のアームの組織係合領域によって画定される直径を有し、
前記回収可能なインプラントが、少なくとも8ミリメートルの外径を有する、請求項5に記載の回収可能なインプラント。
【請求項9】
前記組織係合領域が、前記拡張構成において、少なくとも1mmの直線状の長さを有する、請求項6または7に記載の回収可能なインプラント。
【請求項10】
前記折り畳み構成において、前記回収可能なインプラントが、2.33mm(7フレンチ)未満である前記回収可能なインプラントの全径を有する、請求項1に記載の回収可能なインプラント。
【請求項11】
前記近位端子先端ハブおよび前記遠位端子先端ハブのそれぞれが円筒形であり、かつ、その長さにわたって中央に配された開口部から構成されている、請求項1に記載の回収可能なインプラント。
【請求項12】
前記拡張構成において、前記複数のアームが、第1の対のアームを含み、前記第1の対のアームが前記近位端子先端ハブおよび前記遠位端子先端ハブを横断する第1の平面内に配され、前記複数のアームが、第2の対のアームを含み、前記第2の対のアームが前記第2の対のアームを横断する第2の平面内に配され、
前記第1の平面および前記第2の平面が垂直である、請求項1に記載の回収可能なインプラント。
【請求項13】
前記近位端子先端ハブもしくは前記遠位端子先端ハブのいずれか、またはその両方が、いずれかのハブの中実周方向領域に対して近位のアタッチメントを有し、前記アタッチメントは、前記ハブに一体的に接続され、かつ、前記アタッチメントに開口部を有して、前記インプラントの回収を容易にする、請求項1に記載の回収可能なインプラント。
【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔発明の背景〕
前立腺は、尿が膀胱から排出されるときに通過する尿道を包み込むクルミ状の腺であり、男性の生殖系において重要な役割を果たす。この腺は、最初は小さいが、男性の年齢とともに肥大する傾向がある。過度に肥大した前立腺は、良性前立腺肥大症(BPH)として知られる疾患をもたらす。良性前立腺肥大症(BPH)は、老化した男性において非常に一般的に観察される、前立腺の、異常ではあるが非悪性(非癌性)の成長を指す。BPHは慢性疾患であり、前立腺部尿道における尿流出障害の発症と関連している。これは、性機能障害、頻尿、排尿困難、尿閉、尿漏れ、ならびに尿路および膀胱感染症を含む、集合的に下部尿路症状(LUTS)と呼ばれる様々な障害も引き起こし、これらは前立腺の異常な成長が拡大し進行するにつれて悪化する。
【0002】
BPHは、男性において年齢に関連した現象として現れ、典型的には早くも40歳で始まる。前立腺は、経時的に2つの主要な成長期間を経る。第1のものは、前立腺の大きさが2倍になる思春期に起こる。第2段階は25歳頃から始まり、その後不規則に続く。BPHは、しばしば、第2の成長期の間に発症し始め、前立腺が肥大するにつれて、腺は、尿道を圧迫し、尿道に衝突する。世界中のいくつかの研究で調べられているBPHの有病率は、30歳代の男性で約10%、40歳代の男性で20%であり、60歳代の男性で50%~60%に達し、70歳代および80歳代の男性で80%~90%である。ある時点で、ほとんどすべての男性がBPHと一致するいくつかの病理学的特徴を発症する。2015年現在、米国では1500万人以上の男性がBPHの症状を示した。
【0003】
膀胱壁がより厚く、より弱くなる傾向と組み合わされて、BPH患者は、膀胱を完全に空にする能力を失う。尿道狭窄および尿閉は、BPH患者が経験する問題の多くを引き起こす。
【0004】
ほとんどのBPH患者は、尿が前立腺に近接する尿道を通過する能力を回復させるために、薬物療法または手術のいずれかによって治療される。α遮断薬は、BPHに処方される最も一般的な薬物である。α遮断薬は、膀胱頸部、前立腺被膜および前立腺部尿道の平滑筋を弛緩させることによって、尿流出障害の動的成分(dynamic component)に対して作用する。5αレダクターゼ阻害薬(5-ARI)は、大型前立腺を有する男性においてより有効である。5-ARIは、前立腺の大きさを減少させることにより作用する。これらの薬物は、BPHのいくらかの緩和を提供するが、不可避の副作用を有し、多くのBPH患者には完全な解決策を提供するものではない。副作用には、起立性低血圧、めまい、性欲減退および性機能障害(例えば、勃起不全、射精障害および逆行性射精)が含まれる。他のBPH患者は、症状の有意な軽減を経験せず、多くは、日常の投薬の必要性を、煩わしく、費用がかかると考える。
【0005】
外科的処置は、前立腺組織のかなりの部分を除去することによってBPH緩和を提供する。いくつかの伝統的な外科的処置が利用可能であり、それらは全て、入院および何らかの形態の脊椎、硬膜外、または全身麻酔を必要とする。前立腺の経尿道的切除(TURP)は、BPHの主要な外科的治療であり、他の治療が比較されるゴールドスタンダードであり続ける。伝統的な外科技術は、前立腺にアクセスするために外科医が行う切開の場所、および前立腺組織が除去される方法が異なる。例えば、いくつかの手術は、前立腺から組織を除去するために、レーザーエネルギー、熱、または無線周波数を使用する。それらには、レーザー除核、光選択的気化(PVP)、高周波エネルギーを使用する経尿道的ニードルアブレーション法(TUNA)、経尿道的マイクロ波高温度治療(TUMT)および前立腺の経尿道切開(TUIP)が含まれる。しかしながら、BPHの治療に対するこれらの伝統的な外科的アプローチは、侵襲性であり、非可逆的であり、数か月間にわたる一時的カテーテルの配置、感染の危険性、性機能の喪失、尿失禁、および再狭窄を含む重大な欠点を有し、前立腺における細胞の繰り返し発生する過形成は、再生して、尿道開口部の狭窄の再発、また、前述したLUTS症状の再発を引き起こす。
【0006】
前立腺組織の除去はいくつかのBPH症状を緩和するが、伝統的な外科的アプローチによる組織除去は不可逆的であり、手術のあらゆる有害な影響は、生涯患者を苦しめるか、または患者のクオリティ・オブ・ライフに影響を及ぼす可能性がある。さらに、外科的アプローチは、手術自体による固有のリスク、除去された前立腺組織の再生による再発のリスク(risk recurrence)と関連しており、疾患の程度および個々の患者に必要な特定の外科的アプローチによっては、3~6週間もの長さの回復期間を必要とし得る。
【0007】
伝統的な手術の認識された欠点のために、より侵襲性の低い療法が開発されており、疾患の程度に応じて、患者およびその医師によって、生涯にわたる薬物療法または手術の代替案として選択され得る。これらの低侵襲療法は、全身麻酔下で実行される外科的処置を望んでいないか、またはそれに医学的に適合していない患者に適している可能性がある。
【0008】
低侵襲性技術には、泌尿器科医が尿道を通じて切除鏡と呼ばれる管状の器具を挿入して前立腺に到達させる電気蒸発を含む、肥大した前立腺組織を実際に除去する経尿道的方法が含まれる。切除鏡に取り付けられた電極が、標的組織を蒸発させる電流を伝達しながら、尿道に沿って、肥大した前立腺組織に隣接して移動する。
【0009】
水誘導温熱療法では、泌尿器科医が尿道に挿入されたカテーテルに温水を通す。まず、治療バルーンを尿道内の、おおよそ前立腺の中央に配置する。次に、過熱水がカテーテルを通って治療バルーンに流れ込み、これが周囲の前立腺組織を加熱し破壊する。
【0010】
経尿道的ニードルアブレーション法では、泌尿器科医は、尿道を通して前立腺まで膀胱鏡を挿入し、次いで、膀胱鏡の端部を通して前立腺内に小さい針を挿入する。針は、前立腺組織の選択された部分を加熱し破壊する高周波エネルギーを送る。
【0011】
経尿道的マイクロ波高温度治療では、カテーテルが尿道に挿入され、マイクロ波エネルギーを送達して前立腺組織を加熱および破壊する。温度は、肥大した組織を破壊するために前立腺内部で十分に高くなる。
【0012】
高密度焦点式超音波療法では、泌尿器科医は、前立腺の近くの直腸に特殊な超音波プローブを挿入する。プローブからの超音波エネルギー波が、肥大した前立腺組織を加熱し破壊する。
【0013】
これらの低侵襲性技術は、一般に、伝統的な手術よりも外傷が少ないが、それぞれが前立腺組織を破壊し、不可逆的である。前立腺組織の破壊を回避するために、前立腺から組織を実際に除去することなく、前立腺部尿道の直径を拡大するように設計された他の治療処置が開発されてきた。
【0014】
「Urolift」と呼ばれる1つの技術では、泌尿器科医は、標準的な硬性膀胱鏡を通してUroliftデバイスを挿入し、著しく肥大した前立腺の領域を決定する。所望の場所が特定されたら、泌尿器科医は、Uroliftインプラントを配備する。Uroliftデバイスは、前立腺の遠い側にアンカーを配置するために、前立腺の幅を通して小さな針を挿入する。次に、縫合糸を締めて尿道周囲の前立腺組織を強制的に後退させ、前立腺部尿道を開く。泌尿器科医は、いくつかのインプラントおよび縫合糸を、このようにして、尿道の長さに沿って配置し得、インプラントおよび縫合糸の総数は、閉塞組織のサイズ、形状および長さに応じて変化する。
【0015】
他の処置は、尿道の直径を拡大するように設計された、前立腺部尿道内に配置される、植え込み可能なデバイスに依存する。前立腺インプラントは、泌尿器科医が、肥大した前立腺組織によって狭窄した前立腺部尿道内に小さなデバイスを挿入する処置を伴う。所定の位置に配置されると、インプラントは、尿道を開いた状態に保つのを助ける一方で、肥大した前立腺組織が尿道を完全に侵害したり狭窄したりするのを防止するように設計される。理想的には、前立腺インプラントは、前立腺組織を外科的に除去する必要性を排除し、低侵襲性外科的アプローチにすら固有かつ伝統的である、感染、性機能障害、および失禁のリスクを減少させることが期待される。また、インプラントが除去され得、追加の外科的治療が将来行われる可能性があるため、この処置は可逆的であると考えられる。
【0016】
前立腺内インプラントまたは尿道ステントのためのいくつかの異なるデザインが開発されてきた。1つのデザインでは、円筒形の管状メッシュが縮小されたサイズに圧縮され、尿道を通して、肥大した前立腺の場所に挿入され、拡張させられて尿道の直径を増大させる。このようなメッシュ型器具は前立腺組織を破壊しないが、尿道内を、また膀胱内に移動する傾向がある。また、このようなインプラントが、デザインによって、または尿道内移動によって、膀胱内に延びる場合、インプラントは、細胞、および膀胱内に存在する尿による石灰化で覆われるようになり得る。移動の問題を回避するために、他のインプラント尿道ステントのデザインは、種々の固定特徴部を使用して尿道の壁に固定される。これらのデザインは、尿道内部の細胞の上皮層を破壊し、尿道壁への損傷を引き起こし、出血、感染、血尿、異常な組織成長、結石の形成、または尿道壁へのインプラントの取付点周囲での他の外傷のリスクがあるという欠点を有する。メッシュ状尿道ステントのデザインも、それらが拡張力または後退力を加える前立腺組織領域と比べて高いインプラント表面積を有するという欠点を有する。より高いインプラント質量およびより高いインプラント表面積は、過形成葉を外側に押し、前立腺部尿道の管腔を拡張させるのに十分な後退力を提供するために望ましい。後退力が大きすぎると、患者に著しい痛みを与え、尿道壁に損傷を与えることがある。また、より高いインプラント表面積は、経時的にインプラントの表面上での痂皮形成および結石形成の可能性を増大させ、それによって、尿道狭窄またはインプラントの構造的劣化のいずれかが引き起こされる。したがって、最小のインプラント表面積および/またはインプラント質量を使用して、前立腺の過形成組織を押し出し、前立腺の管腔を増大させ、LUTS緩和を提供するために、十分な「後退力」または「半径方向力」または「拡張力」を有する最適なインプラントを設計することが望ましい。本発明は、前立腺部尿道の管腔を開くのに有効な拡張力を提供しながら、痂皮形成および結石形成を最小限に抑えるように治療する、前立腺組織面積に比べて低い表面積比を有するインプラントデザインを記載する。
【0017】
他のインプラントデザインは、前立腺の2つの側葉と中葉との間に形成された3つの溝内に載る拡張可能な構造体に依存する。尿道内前立腺インプラントのデザインおよび製造戦略は、その配備戦略、付随する配備システム、およびインプラントを回収する能力と共に、必要でかつ潜在的に矛盾するいくつかの設計基準が満たされなければならないため、特に重要である。理想的なインプラントデザインは、伝統的な外科的技術の欠点および潜在的な合併症を伴わず、入院または全身麻酔を必要としない、診療所内処置(office-based procedure)における配備を容易にする。インプラントは、開業泌尿器科医がこのデバイスを送達するのに必要な器具に精通するように、伝統的なコンパニオンデバイスまたは補助デバイスを使用して送達し回収されるのが容易でなくてはならない。このデザインは、BPHを診断し、尿道、膀胱、ならびに泌尿器系の他の解剖学的および生理学的特徴を撮像するために使用されるコンパニオン泌尿器科用デバイスと適合性があるべきである。
【0018】
さらに、インプラントのデザインは、前立腺の独特の生理機能を考慮しなければならない。前立腺は、尿道の長さに沿って一緒に接合され、全ての側で尿道を取り囲む、2つのより大きな側葉と、中葉と、から構成されている。特に、前立腺組織が過形成状態で拡張すると、溝が、前立腺の側葉間の境界の長さに沿って、またはいずれかの側葉と中葉との間に形成される。インプラントのデザインは、尿道にすぐ近接する前立腺組織の葉に直接力を及ぼし、その長さに沿って前立腺組織を後退させて尿道通路の開通性を回復させなければならない。好ましくは、デバイスは、前立腺の隣接する葉の間の接触の長さに沿って形成された溝から離間され、植え込み期間中に移動せず、一方で、正常な泌尿器および性機能を維持する。インプラントはまた、尿道、膀胱頸部および外括約筋に過度の外傷を引き起こすことなく、膀胱頸部開口部と外尿道括約筋との間に配置されるように設計されるべきである。より好ましくは、デバイスは、膀胱頸部の刺激および射精管の閉塞をそれぞれ防止するために、膀胱頸部と精丘との間に配置されなければならない。
【0019】
Uroliftインプラントを含む上述のインプラントは全て、泌尿器科的処置で使用される、大きな直径(22F以上、すなわち7mm以上)を有する硬性金属シースおよび硬性内視鏡を使用して配置される。硬性シースおよび内視鏡(または膀胱鏡)を、陰茎を通して前立腺部尿道に挿入することは、非常に痛みを伴う可能性がある。これらのインプラントを前立腺部尿道に配置するには、全身または局所麻酔が必要である。したがって、泌尿器科的介入処置で使用される可撓性シースおよび可撓性内視鏡に適合する可撓性システムを設計する必要がある。さらに、インプラントおよび送達システムの直径(または外形)を縮小して、麻酔を必要とせずに可撓性膀胱鏡を使用して診療所環境で処置を行うことができるようにする必要がある。また、上述のインプラントの送達および配備は、デバイス配置中に尿道の直接可視化を妨害する可能性があるため、困難である可能性がある。したがって、送達システムの前進中および前立腺部尿道内へのインプラントの配置中に直接可視化を可能にするインプラントおよび送達システムを設計するさらなる必要性が存在する。
【0020】
インプラントが誤って配備された場合にインプラントを再配置するために、インプラントおよび送達システム上に特徴部を有することも望ましい。内視鏡または膀胱鏡を使用する撮像と併せて、泌尿器科的処置中に結石を回収するために伝統的な把持器または他の補助デバイスを使用して、デバイスを保持しデバイスを再配置する特徴部が必要とされる。
【0021】
最後に、インプラントは、泌尿器科医の裁量、治療後の患者の症状、およびBPH症状の緩和後の患者の状態で回収可能であることが望ましい。したがって、インプラントのデザインは、入院を必要とせずに、外来患者環境において、医師の診療所において、簡単かつ非外傷性の除去を容易にしなければならない。場合によっては、インプラントは、予め指定された植え込み期間の後に回収され、BPHを治療するための新しいインプラントと交換されてもよい。
【0022】
〔発明の簡単な概要〕
本発明は、良性前立腺肥大症に関連する、またはそれに起因する、またはそれに続発する、尿流出障害症状および下部尿路症状を治療するためのインプラントおよび送達システムを提供するための、デバイスおよび治療方法ならびにデバイス製造である。インプラントは、BPHの治療における課題を克服するために、いくつかの性能および動作基準を満たすように設計される。インプラントは、成人男性集団において遭遇し得る潜在的な前立腺のサイズ、長さ、および組織形態の範囲に適合可能である。インプラントは、いったん標的部位に配置されると、尿道流動力学および移動に起因する移動に抵抗するように設計される。インプラントはまた、局所麻酔下(または表面麻酔もしくは麻酔なし)で可撓性内視鏡を使用する最小侵襲性処置を使用した配置および回収を可能にするように構成される。インプラントは、前立腺部尿道の狭窄部を押し開けるのに十分な後退力を提供するとともに、痂皮形成を防止するために最小の質量および表面積を有するように設計される。インプラントは、泌尿器科的処置に使用され、インプラントの送達、可視化、配備、および回収を可能にするために本明細書で使用される伝統的な可撓性膀胱鏡など、伝統的な診断撮像および送達システムを通じて、圧縮構成で送達および回収されるように、サイズおよび形状が決められる。
【0023】
インプラント性能基準は、前立腺の葉における組織に係合し、かつ/またはその組織を後退させ、患者の特定の生理機能に応じて、前立腺の葉に係合し、これを転置させるために十分な力での拡張を含み、それによって尿流のために尿道の直径を増大させる。デバイスのデザインは、移動の可能性を低減すべきであり、外尿道括約筋および膀胱頸部を越えて延びないように構成されなければならない。インプラントは、患者の生涯にわたって永続的に配置されることが可能となり得るが、新しいインプラントによる置換、異なるデバイス、または手術などの追加の治療が必要な場合、インプラントが、組織損傷を最小限に抑えて、または全く伴わずに、回収を容易にする構造的特徴を有することも望ましい。
【0024】
直接可視化下で膀胱鏡を通じてインプラントを配備および回収するための方法は、植え込み後1か月~長い年数以内の回収および除去を含む。デバイスの全体的な構成は、インプラントを縮小された直径に折り畳み、インプラントを非外傷性除去のためにカテーテル、シース、膀胱鏡、または内視鏡チャネルの遠位端部に閉じ込めることによって、インプラントが収容されるカテーテルまたはシースを通じた非外傷性除去を容易にする。インプラントおよび送達システムデザインの構造的外形は、配置中の尿道への出血、腫脹、痙攣、または損傷を最小限に抑えると共に、排尿機能を回復し、疼痛、性機能障害、または排尿機能不全の将来のリスクを排除する。送達システムのデザインは、ユーザが尿道内の解剖学的目印に対して正確な場所にインプラントを配置することを可能にする可視マーキングを含む。このような可視マーキングには、マーカーバンド、ノッチ、色識別、目盛り付き縁部、送達システム上の直径変化が含まれる。デバイスのデザインおよび配置は、排尿機能を妨害しない(失禁を防止し、外括約筋の活性化時に排尿を容易にする)。このデザインおよび配置方法はまた、尿道に沿って、膀胱に向かって、または陰茎に向かってインプラントが移動する可能性を最小限にする。
【0025】
インプラントは、インプラントの長さのかなりの部分に沿って、0.5Nよりも大きい、または好ましくは2Nよりも大きい、最も好ましくは5~30Nの拡張力または組織後退力を及ぼし、前立腺組織の肥大によって半径方向に向けられ、尿道に沿って管腔を収縮させる圧縮力を打ち消す。前立腺は3つの葉を有し、非対称であるため、インプラントは、好ましくは、組織接触領域が前立腺の隣接する側葉および中葉によって形成される3つの溝内に配されないように、2つまたは4つ以上の組織係合領域を有する。デザインが3つの組織係合領域を有する場合、デザインは、インプラントが小葉間溝内に配されないように、前立腺生理に関して非対称であることが好ましい。その代わりに、インプラントの組織係合領域は、肥大した組織を後退させて尿道の流体連通容量または管腔を解放および拡張するために、長さに沿って前立腺の3つの葉のそれぞれに直接係合する。マーカーバンド、ノッチ、着色、エッチング、表面仕上げの変化のような視覚的マーキングは、尿道におけるインプラントの可視化および正確な配置または配備を容易にするために、エキスパンダー上に配置され得る。
【0026】
インプラントは、18フレンチ(1~6ミリメートル)未満の外径(OD)を有する送達システム内に適合し、7フレンチ(1.5~3ミリメートル)の直径を有し得る、硬性膀胱鏡または可撓性膀胱鏡の作業チャネルと適合する。送達システムは、内視鏡または膀胱鏡の器具作業チャネルを通って最小の抵抗で前進することができる。加えて、送達システムはまた、インプラントの前進および配置の間の尿道の直接可視化のために、典型的には0.25mL/秒の最小流速で、セーリング流(sailing flow)または流体流のための十分な生理食塩水灌注を可能にするために、十分な自由管腔を組み込む。送達システムは、灌注源に接続するための作業ポートを有する。好ましい実施形態では、インプラントは、インプラントの非外傷性配備のために柔らかい先端部を有する送達カテーテルの遠位端部において、折り畳み構成で閉じ込められる。送達システムは、最遠位端部に柔らかい先端部を有するガイドワイヤによって、またインプラントのすぐ近位で終わるマンドレルまたはプッシャによって横断され得る。
【0027】
別の実施形態では、撮像素子が、送達システムに一体化される。撮像素子は、オリンパス、ストライカーおよびカールストルツによって製造された既存のビデオディスプレイシステムと互換性がある。システム全体の外形は、インプラントの送達および配置中の痛みをさらに最小限に抑えるために、26F(9ミリメートル)未満、またはより好ましくは17~12F(6ミリメートル)以下である。さらに、インプラントおよび撮像素子を組み込んだ一体型送達システムは、再滅菌され、再使用可能である、可撓性および硬性膀胱鏡を通して挿入される実施形態と比較して、単回使用または使い捨ての医療デバイスであり得る。
【0028】
本発明の方法は、本明細書中に開示されるインプラントデザインのいずれかの植え込み、およびオプションとしてその後の回収による、良性前立腺肥大症の治療方法を含む。インプラントの全ての実施形態は、送達システムの遠位端部において圧縮構成で維持されるように設計される。配備のための方法の一実施形態では、インプラントは、例えば完全折り畳み構成から部分的拡張構成へと変形または部分的に弛緩することによって、部分的に配備され、続いて、前立腺部尿道内にインプラントを位置付けるために送達システムをさらに操作し、続いて、インプラントに完全拡張構成をとらせることによって配備ステップを完了する。部分的な配備は、膀胱鏡およびインプラントをシース内に予め装填し、インプラントを膀胱鏡の遠位先端部に隣接させることによって達成することができる。シース、膀胱鏡、およびインプラントの予め装填された組立体は、尿道を通って前進させられ、所望の位置に達すると、インプラントは、膀胱鏡の遠位端部から近位にインプラントを押すことによって、所定の位置に配置される。
【0029】
植え込み方法は、診断的膀胱鏡検査をオプションとして実施して、精丘から膀胱頸部までの前立腺部尿道の長さを決定し、続いて尿道の直径を決定し、拡張構成におけるインプラントの対向する組織係合領域の直径によって測定され得る、本発明の選択されたインプラントの直径に少なくとも部分的に基づいて、適切なサイズのインプラントを選択することを含む。尿道長の診断測定はまた、腹部超音波または経直腸超音波撮像方法を使用して得ることができる。膀胱頸部から外括約筋までの尿道長の測定は、適切なインプラントサイズを決定するためにも使用され得る。1つの配備方法では、臨床医は、送達システムの遠位端部において折り畳み構成に維持される、事前に指定されたサイズを有するインプラントを選択する。送達システム内に収容された適切なサイズのインプラントは、膀胱鏡の作業チャネル内に導入される。送達システムの遠位端部は、好ましくは、直接可視化の下で前進され、その結果、送達システムの遠位端部は、配備のために精丘の近位にくる。段階的配備は、中間位置への送達システムの外側シースの選択された部分的引き抜きに続き、好ましくは前立腺部尿道内の標的部位でのインプラントのサイズおよび位置および配向の検証などによる、段階的なインプラントの部分的配備も含む。外側シースがさらに後退すると、不可逆的であり、かつインプラントおよび送達システム組立体の除去を必要とし得る、インプラントの不注意なまたは誤った配置の配備を回避する、多段階プロセスにおける配備を完了する。インプラントの配備精度を改善するために、インプラントが前立腺部尿道内で拡張した後に、インプラントを送達システムに係合させることも考えられる。送達システムは、依然としてインプラントに接続されており、ユーザが送達システムを介してインプラントを位置付けることを可能にする。ユーザがインプラント位置に満足すると、以下に説明するような解放機構が、ユーザによってトリガされ、インプラントを送達システムから完全に解放することができる。
【0030】
本発明の送達システムの改変バージョンは、柔らかい先端部を有し、遠位端部に固定具を有する可撓性テザーワイヤが横断するように設計された編組補強シースを有する送達カテーテルを含み、この固定具は、インプラントを折り畳み構成から拡張構成に配備および変換するときにインプラントの移動を防止するためのものである。同様に、前立腺部尿道内からインプラントを回収するために、専用のカテーテルを使用することができる。このような状況下では、回収は、回収カテーテルの遠位端部から突出する特別に設計された遠位先端部を有するテザーワイヤによって有利に達成される。回収テザーワイヤのある領域は、形状記憶特性を有し、その結果、テザーは、インプラントの直径の断面よりも小さい幅を有する開ループを作るように、折り重なる。回収は、テザーワイヤの遠位端部をインプラントの中実体の開放構造を通して延ばし、インプラントの周りでテザーワイヤの遠位端部とループを形成し、テザーワイヤを使用してインプラントを回収カテーテル内に引き戻し、前立腺から引き出すためにインプラントを縮小された直径に折り畳むことによって達成される。
【0031】
テザーワイヤの遠位端部によって係合されるインプラント自体の上の構造体は、インプラントの回収専用の固定具であってよく、または単に、テザーワイヤによって把持され得る、アームを含むインプラントの任意の中実セクションであってもよい。特別に設計された回収カテーテルはまた、回収ワイヤの機能を果たすことができ、既知であり、臨床医の選択において代用され得る。これは、スネア、カラー、または除去シースの遠位端部内でインプラントを引っ張り、遠位端部内に適合するように三次元構造を折り畳むのに使用される他の機械的手段によって達成され得る。
【0032】
最後に、一体化したデバイスおよび送達システムは、一般的な外科用器具、特に他の泌尿器科的処置と共に使用される標準的な膀胱鏡を用いて達成されるので、インプラントは、特殊な機器を用いずに、かつ診療所環境において局所麻酔下で、かつ外来患者ベースで泌尿器科医によって配置および回収され得る。
【0033】
本発明の方法は、膀胱頸部開口部と外尿道括約筋との間の特定の距離を含む、前立腺に近接し、かつ膀胱頸部の下の尿道内に、本明細書に記載されるデバイスを配置することを含む。この方法は、前立腺内部で送達システムの遠位先端部を配向することと、前立腺内の尿道の長さに沿ってインプラントを再配向または再配置するために、インプラントの配備が圧縮構成から拡張構成へのインプラントの拡張の間に中断され得るように、インプラントを圧縮構成から拡張構成に漸増的に配備することと、を含む。この方法はまた、インプラントの接触領域が、前立腺の隣接する葉によって形成される3つの頂点から離れて前立腺の一部に係合し、各頂点から離れた点で前立腺組織に係合するように、デバイスを配向することを含む。
【0034】
したがって、この方法は、植え込み中の前立腺葉およびそれぞれの頂点の可視化、ならびにインプラントを所望の構成に配置するためにデバイスによって前立腺組織の一部に特異的に係合するために送達システムを使用したインプラントの配向を含む。送達システムの操作を介してインプラントを漸増的に配備する能力は、前立腺の移行(またはT)ゾーン内の尿道の長さに沿って、好ましくは、精丘を閉塞することなく膀胱頸部の遠位で、生理学的構造のすべてに対するインプラントの正確な配置および配向を可能にする。この方法はまた、本明細書および添付の図面に記載されるような本発明の異なる実施形態の選択的配備を含む、特定のBPH患者の生理学的状態のために選択されサイズ決定された、複数のインプラントの配備を含む。
【0035】
この方法は、可視化と共に、また以下に記載されるような灌注を伴って、本明細書に記載される送達システムを使用する可撓性および硬性両方の膀胱鏡を使用した、局所麻酔下、表面麻酔下、または麻酔なしでのインプラントデバイスの配置または除去を含む。この方法はまた、尿道を傷つけることなくデバイスを非外傷的に除去すること、およびオプションとして、代わりのインプラントを配置することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】BPHに罹患している患者に典型的な生理学的構成にある、膀胱の下部および前立腺部尿道を含む、男性の解剖学的構造の断面図である。前立腺部尿道内に配され、膀胱頸部開口部と精丘との間で両側が前立腺組織と係合する、本発明によるインプラントの一実施形態の配置を示す。
図2A】一端部における端子ハブと、インプラントの組織係合領域を配備するために端子ハブから延びる複数の延長部または「アーム」と、を有する、本発明の実施形態の斜視図である。各組織係合領域は、ハブから始まり、ハブから移行領域を通って進み、非外傷性端部で終端する。図2Aの実施形態では、アームは、それらの長さにわたって実質的に直線状である。前立腺組織と係合する構造は、いくつかある用語の中でも、「脚部」、「四肢」、「延長部」、および「アーム」と様々に呼ばれている。本明細書における一貫性のために、「アーム」という用語が全体を通して使用される。
図2B】一端部における端子ハブと、インプラントの組織係合領域を配備するために端子ハブから延びる複数の延長部または「アーム」と、を有する、本発明の実施形態の斜視図である。各組織係合領域は、ハブから始まり、ハブから移行領域を通って進み、非外傷性端部で終端する。前立腺組織と係合する構造は、いくつかある用語の中でも、「脚部」、「四肢」、「延長部」、および「アーム」と様々に呼ばれている。本明細書における一貫性のために、「アーム」という用語が全体を通して使用される。図2Bは、ハブの構造の詳細を示すハブであり、ハウジング備えるオプションの内部空間と、ハブをアームに接続する一体型移行構造体と、を含む。
図2C】一端部における端子ハブと、インプラントの組織係合領域を配備するために端子ハブから延びる複数の延長部または「アーム」と、を有する、本発明の実施形態の斜視図である。各組織係合領域は、ハブから始まり、ハブから移行領域を通って進み、非外傷性端部で終端する。図2Cの実施形態では、アームは、各アームの遠位端部に直線状の組織係合領域を形成する2つの湾曲部から構成される。前立腺組織と係合する構造は、いくつかある用語の中でも、「脚部」、「四肢」、「延長部」、および「アーム」と様々に呼ばれている。本明細書における一貫性のために、「アーム」という用語が全体を通して使用される。
図3A】各端部における近位ハブおよび遠位ハブの両方と、近位ハブおよび遠位ハブのそれぞれから離れて延在し、それらを接続する組織係合アーム領域と、を有する、本発明の実施形態である。図3Aは、ハブ間の実質的に全長にわたって曲線をなすアームを示す。図3Aは、配備を容易にするために、特に回収のために、各ハブの近位および遠位両方の取付構造体を特徴とする。
図3B】各端部における近位ハブおよび遠位ハブの両方と、近位ハブおよび遠位ハブのそれぞれから離れて延在し、それらを接続する組織係合アーム領域と、を有する、本発明の実施形態である。近位ハブおよび遠位ハブを接続することができるアームの長さに沿って中央に位置する組織係合部分の実質的に直線状の長さを有する実施形態である。
図3C】各端部における近位ハブおよび遠位ハブの両方と、近位ハブおよび遠位ハブのそれぞれから離れて延在し、それらを接続する組織係合アーム領域と、を有する、本発明の実施形態である。近位ハブおよび遠位ハブを接続することができるアームの長さに沿って中央に位置する組織係合部分の実質的に直線状の長さを有する実施形態である。
図3D】各端部における近位ハブおよび遠位ハブの両方と、近位ハブおよび遠位ハブのそれぞれから離れて延在し、それらを接続する組織係合アーム領域と、を有する、本発明の実施形態である。近位ハブおよび遠位ハブを接続することができるアームの長さに沿って中央に位置する組織係合部分の実質的に直線状の長さを有する実施形態である。図3Dは、螺旋構成を示す。
図4】一対のハブを有する、図2に示される本発明の代替的実施形態であり、1つのハブは、端子であり(近位または遠位のいずれか)、第2のハブは、デバイスの全長の中間点にある。組織係合領域は、同じ方向に延び、端子ハブの下側部分は、第2の中間ハブの上側部分に、それらの間のシャフトによって接続される。
図5】近位ハブまたは遠位ハブのいずれかと中間部分との間で相互接続された2組の組織係合アームを有する、図3A図3Dのデザインの二重の実施形態である。
図6A】インプラント全体が、連続的もしくは単一のワイヤ、リボン、シートまたは管構造から形成される、本発明の実施形態である。図6Aの実施形態は、必要なときに、デバイスの把持および取り外しを容易にするために、63cおよび63dの近くの領域を接続する追加の回収要素を示す。
図6B】インプラント全体が、連続的もしくは単一のワイヤ、リボン、シートまたは管構造から形成される、本発明の実施形態である。図6Bの実施形態は、その長さに沿って形成され、インプラントの対向する端部で弧によって接続された実質的に直線状のセグメントを有する組織係合領域を有する。
図6C】インプラント全体が、連続的もしくは単一のワイヤ、リボン、シートまたは管構造から形成される、本発明の実施形態である。図6Cの実施形態は、その長さに沿って形成され、インプラントの対向する端部で弧によって接続された実質的に直線状のセグメントを有する組織係合領域を有する。
図6D】インプラント全体が、連続的もしくは単一のワイヤ、リボン、シートまたは管構造から形成される、本発明の実施形態である。図6Dの実施形態は、その長さに沿って形成され、インプラントの対向する端部で弧によって接続された実質的に直線状のセグメントを有する組織係合領域を有する。
図6E】インプラント全体が、連続的もしくは単一のワイヤ、リボン、シートまたは管構造から形成される、本発明の実施形態である。図6Eの実施形態は、その長さに沿って形成され、インプラントの対向する端部で弧によって接続された実質的に直線状のセグメントを有する組織係合領域を有する。
図6F】インプラント全体が、連続的もしくは単一のワイヤ、リボン、シートまたは管構造から形成される、本発明の実施形態である。図6Fの実施形態は、その長さに沿って形成され、インプラントの対向する端部で弧によって接続された実質的に直線状のセグメントを有する組織係合領域を有する。
図7A】構築物の本体の横断半径方向距離において構築物の長さから材料が選択的に除去され、断面が円形である構築物から長さに沿って材料が除去される、本発明の種々の実施形態の製造のための出発材料である。
図7B】構築物の本体の横断半径方向距離において構築物の長さから材料が選択的に除去され、断面が円形である構築物から長さに沿って材料が除去される、本発明の種々の実施形態の製造のための出発材料である。
図7C】構築物の本体の横断半径方向距離において構築物の長さから材料が選択的に除去され、断面が円形である構築物から長さに沿って材料が除去される、本発明の種々の実施形態の製造のための出発材料である。
図7D】構築物の本体の横断半径方向距離において構築物の長さから材料が選択的に除去され、断面が円形である構築物から長さに沿って材料が除去される、本発明の種々の実施形態の製造のための出発材料である。
図8A】構築物の本体の横断半径方向距離において構築物の長さから材料が選択的に除去され、断面が矩形である構築物から長さに沿って材料が除去される、本発明の種々の実施形態の製造のための出発材料である。
図8B】構築物の本体の横断半径方向距離において構築物の長さから材料が選択的に除去され、断面が矩形である構築物から長さに沿って材料が除去される、本発明の種々の実施形態の製造のための出発材料である。
図8C】構築物の本体の横断半径方向距離において構築物の長さから材料が選択的に除去され、断面が矩形である構築物から長さに沿って材料が除去される、本発明の種々の実施形態の製造のための出発材料である。
図8D】構築物の本体の横断半径方向距離において構築物の長さから材料が選択的に除去され、断面が矩形である構築物から長さに沿って材料が除去される、本発明の種々の実施形態の製造のための出発材料である。
図9】構成要素A、B.1、B.2、およびCを含む本発明の送達システムの近位端部を、従来の膀胱鏡と組み合わせて示しており、送達システムの遠位端部から本発明のインプラントを配備するためのシステムの実施形態の配置を示す。
図10】本発明の従来の膀胱鏡の遠位端部と、膀胱鏡の遠位端部から、器具または作業チャネルを通って突出する、送達システムシースの遠位端部と、を示す。送達システムの遠位端部は、本発明のインプラントを収容して示されており、インプラントは、インプラントの配備前に圧縮または拘束構成でシース内に、かつシースの遠位端部に依然として維持されている。
図11A】本発明の方法に従った、インプラントの配置の様々な段階における、本発明の送達システムを使用した本発明のインプラントの配備の進行を示す。図11Aは、送達システムの遠位端部において圧縮形状の本発明のインプラントを示す。
図11B】本発明の方法に従った、インプラントの配置の様々な段階における、本発明の送達システムを使用した本発明のインプラントの配備の進行を示す。図11Bは、インプラントが部分的拡張構成にある、本発明のインプラントの配備の初期段階を示す。
図11C】本発明の方法に従った、インプラントの配置の様々な段階における、本発明の送達システムを使用した本発明のインプラントの配備の進行を示す。図11Cは、圧縮構成からのインプラントの完全な拡張を示し、送達シースの外側において拡張構成で標的部位に配備されている。
【0037】
〔発明の詳細な説明〕
定義:用語「治療的に有効な転置」または「治療的に有効な後退」または「治療的に有効な拡張」は、本明細書中で交換可能に使用され、尿道管腔を増大させ、良性前立腺肥大症(BPH)、または下部尿路症状(LUTS)を含む合併性の疾患もしくは状態の症状を治療、改善または予防するのに十分な、尿道の制限された領域に近接する前立腺組織の転置の量を指し、前立腺組織の転置は、検出可能な治療的、予防的、または阻害的効果を示す。この効果は、例えば、臨床状態の改善、または症状の減少、もしくは共存症の欠如によって検出され得る。臨床的尺度の例には、国際前立腺症状スコア(IPSS)の減少、緩和後の膀胱における排尿後残尿(PVR)量の減少、または最大尿流量率(Qmax)の増加、またはクオリティ・オブ・ライフ(QoL)の改善、治療後の性的健康の改善(男性用性健康調査票すなわちSHIMスコア)が含まれる。前立腺組織の転置の正確な距離または体積は、被験体の体重、大きさ、および健康;肥大または罹患した前立腺状態の性質および程度、ならびに患者の中に配置するために選択されるインプラントのサイズに依存する。
【0038】
本明細書中で使用される「BPHの治療を必要とする」患者は、前立腺の非悪性の肥大と、LUTS、尿流出障害症状および前立腺部尿道の管腔狭窄を含む、関連する疾患とによって引き起こされる、肥大した前立腺組織の存在または結果として生じる症状の減少から恩恵を受けるであろう患者である。本明細書中で使用される用語「インプラント」または「エキスパンダー」または「デバイス」は、BPHに関連するかまたはBPHによって引き起こされるLUTSを緩和するために前立腺部尿道内に植え込まれる補綴デバイスを指す。
【0039】
本明細書で使用される、インプラントの構造のアームまたは延長部に関する「組織係合」という用語は、尿道を圧迫する器官の葉の主要部分に沿って前立腺組織と係合し、組織が尿道の開通性をさらに侵害することを抑止する、インプラントの物理的構造の長さを指す。「組織後退」は、圧迫されるかまたは狭窄した尿道から離れるように組織を転置させるために必要な力を及ぼすインプラントの構造の能力を指す。必要な力は、インプラントの固有の構造によって、または、特に、インプラントが過形成前立腺組織に係合し、必要な力を及ぼすように設計された所定の拡張構成を有する形状記憶材料もしくは超弾性材料から製造される場合に、圧縮構成から拡張構成へのインプラントの拡張によって、供給され得る。これらの定義において接触する組織係合または組織後退構造特徴部の長さは、尿道を取り囲む前立腺の長さに沿って延びる小葉内溝から離間しており、2つの側葉または側葉および中葉の長さに沿った組織の長さとの接触を必要とする。
【0040】
本明細書に記載される様々な構造の配向および解剖学に関連する表現に関して、「近位」および「遠位」という用語は、本明細書に記載されるインプラントを配備するために本発明の送達システムを操作している泌尿器科医などの医療専門家の視点に対するものである。したがって、泌尿器科医の手によって保持される送達システムの特徴部は、「近位」端部にあり、組み立てられたシステムおよびインプラントは、最初はその圧縮構成で、送達システムの「遠位」端部に位置する。
【0041】
以下に記載される本発明の実施形態のそれぞれは、尿道に近接する肥大した前立腺組織に対して力を及ぼすための複数の組織係合構造体を有するインプラントから構成される。以下に記載されるように、複数の組織係合構造体の数は、2、4、または4より多い組織係合延長部であってよい。3つの延長部の使用は、3つの延長部がそれぞれ前立腺の小葉内溝内に嵌合するように配向される場合に回避される。したがって、インプラントが、2つの側葉と1つの中葉との間の組織接触の長さによって形成される3つの小葉内溝の外側に配向されることを確実にするように、構造体が非対称に配向される限り、任意の複数の組織係合構造体の可能性がある。3つの組織係合構造体を使用する実施形態は、尿道の解剖学的構造が両側葉からなり、第3の葉が尿道狭窄に関与していない場合に、解剖学的構造を治療するために使用され得る。
【0042】
本発明のインプラントは、形状記憶材料、合金、ばね材料、ならびにニチノール(ニッケル-チタン合金)、ニチノールベースの合金、コバルトクロム合金、ばね鋼、およびばねステンレス鋼(spring stainless steels)を含む超弾性材料から製造され得る。他の既知の形状記憶材料としては、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ならびに形状記憶および生体吸収性ポリマーおよび金属(ポリ乳酸、ポリグリコール酸およびそれらのコポリマー;マグネシウム合金)が挙げられる。上記の材料は、痂皮形成、腐食および結石形成を防止するために薄膜コーティングでコーティングされ得る。コーティングは、アルミナ、炭化ケイ素、窒化ケイ素、およびジルコニアのようなセラミック材料、ならびに尿に対して不活性であり、痂皮形成、結石形成を防止し、化学的または尿環境においてインプラントを形成する材料の劣化を防止する他のセラミックコーティングを含み得る。コーティングは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パリレン、銀および他の抗菌コーティング、シリコーン誘導体、ならびに当業者によって認識される他の同様の材料などのポリマーであってもよい。
【0043】
インプラントはまた、過形成および組織増殖を減少させるために、薬剤溶出インプラントで知られている様式で、前立腺部尿道への植え込み後の薬物制御放出のためにインプラントの表面に接着された治療コーティングを含み得る。コーティングは、再狭窄を予防するために使用される、シロリムス、ノボリムス、エベロリムス、バイオリムス、ゾタロリムス、パクリタキセルおよび他のものを含む、薬学的に活性な抗炎症薬および抗増殖剤を含有する。
【0044】
本発明のインプラントはまた、BPH症状を治療する薬物でコーティングされ得る。このような実施形態は、平滑筋細胞を弛緩させ、身体の他の部分を循環する薬物からの副作用を被ることなく前立腺の組織増殖およびサイズを減少させるためのより大きな有効性のために、尿道の罹患前立腺領域において高い局所的に高い組織用量(high locally high tissue doses)を使用する利点を有する。潜在的な薬物候補には、アルフゾシン、ドキサゾシン、タムスロシン、テラゾシンおよびシロドシンのようなαアドレナリン遮断薬が含まれる。他の薬物候補には、デュタステリドおよびフィナステリドのような5αレダクターゼ阻害薬、ならびに抗コリン薬が含まれる。他の薬物候補は、オキシブチニン、フェソテロジン、ダリフェナシン、酒石酸トルテロジン、トルテロジン、ソリフェナシンのような抗コリン薬である。α遮断薬+5αレダクターゼ阻害薬またはα遮断薬+抗コリン薬を含む、薬物の組み合わせもまた、表面上にコーティングされ得る。加えて、抗感染剤または抗菌剤、またはフルオロキノロン(例えば、シプロフロキサシン)マクロライド、テトラサイクリン、およびトリメトプリムのような抗生物質。
【0045】
典型的には、薬物は、溶媒およびポリマーと混合されて溶液にされ、所望の薬物放出特性を達成するためにインプラントの外側表面上にスプレーコーティングされる。製造プロセスは、冠状動脈疾患を治療するために使用される薬剤溶出ステントに使用されるものと類似している。多くの場合、コーティングは、前立腺部尿道の尿道組織内へのより効果的な薬物放出および堆積を確実にし、尿流出中の洗い流しを最小限にするために、反管腔側にあってよい。薬物はまた、薬物を充填するためにインプラントの外側表面上のマイクロリザーバまたはマイクロデポーに堆積され、尿道組織中に薬物を制御可能に溶出するためにポリマーコーティングによって覆われてもよい。薬物を充填するために使用される典型的なポリマーは、ポリ乳酸(PLA)、ポリ-L-乳酸(PLLA)、ポリグリコール酸(PGA)、およびそれらのコポリマー;ポリウレタン;ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)またはポリ(n-ブチルメタクリレート)(PBMA);およびそれらの組み合わせである。十分な薬物を充填し、インプラント表面とのコーティング一体性を維持するために、他のポリマーおよび溶媒が当業者によって使用されてもよい。複数層のコーティングを使用して、所望の薬物充填および制御放出特性を達成することができる。
【0046】
図1を参照すると、男性の解剖学的構造の断面図は、尿道を取り囲む前立腺を示す。尿道は、通常の条件下では、外尿道括約筋の自発的な筋肉制御下で身体から排出されるように、膀胱に貯蔵された尿からの流体連通を提供する。正常または「真の」前立腺組織は、尿道を取り囲み、疾患がない場合、尿道の開存性を侵害しない。良性前立腺肥大症(BPH)に罹患している患者において、尿道は、過形成組織、すなわち、尿道に向かって過剰な成長を示す前立腺組織によって狭窄する。この過剰な非癌性細胞成長は、下部尿路症状(LUTS)および尿流出障害、ならびに尿失禁を含む、上記のBPHの症状をもたらす。図1において、本発明のインプラント20の実施形態は、尿道の開通性を回復し、膀胱1からの妨害されない尿流を可能にするために、インプラント20の長さに沿って前立腺組織5と係合したところが示されている。図示のように、膀胱頸部開口部2と精丘6との間の標的部位にインプラント20を選択的に配置することは、インプラント20が周囲組織を穿刺または切開しないため、本発明の重要な部分である。インプラント20は、尿道内の所定の位置にとどまるように設計される。インプラント20は、膀胱1内には延びておらず、膀胱内では、インプラント20の構造材料は、痂皮形成されるか、または別様に劣化し、合併症を引き起こし、回収をより困難にする可能性があり、インプラント20は、外尿道括約筋の自発的な制御を妨げず、または性機能を妨げない。
【0047】
図2A図2Bを参照すると、本発明のインプラント20の実施形態は、組織係合要素13a~13dとして線形アームを有して示されており、この線形アームは、組織係合領域を形成するアーム12a~12dのそれぞれが実質的に同じ長さを有するように、端子ハブまたは近位ハブ11から離れて実質的に半径方向に延びる。ハブ11の形状は、図2図5では概して環状として示されているが、ハブは、以下に説明するようにアーム12a~12dの取付点を提供する任意の形状で形成することができる。インプラント20の全体寸法は、デバイスが圧縮または拘束構成から拡張または非拘束構成に変形するときに異なる構成を採用するので、ハブ11に最も近接するアーム12a~12dの領域は、移行領域15a~15dとして記載され得るが、これは、デバイスが折り畳み構成にあるときの実質的に直線状の構成から、組織係合部分13a~13dの長さが図2Aで見られるように実質的に直線状のままである場合であってもインプラント20が拡張構成または部分的拡張構成にあるときの曲線構成に、アーム12a~12dのこの短い部分が移行するためである。移行領域15a~15dのそれぞれは、ハブ11と、組織係合部分13a~13dから構成されるアーム12a~12dの残りの部分との間の接続部を形成する。
【0048】
図2Bを参照すると、ハブ11の構造およびその一体的に形成された特徴部がより詳細に示されている。ハブ11は、その端部に周方向中実領域16を有する。ハブ11の第2の部分は、周方向に形成されるが、凹部18a、18bがアーム12a~12dを形成することを可能にするように、円周の周りで完全に中実でなくてもよく、その結果、ハブ11は、インプラントデバイス20に構造的支持を提供する。ハブ11は、ハブ11の本体の全体を横断するハウジング17を含む内部開放空間を有してもよく、または少なくともハブの長さにわたって最末端部からアーム12a~12dの取付点における凹部18a、18bの頂点まで中実であってもよい。図7および図8に関して以下により詳細に記載されるように、インプラントが製造される出発材料構成に応じて、ハブは、材料が除去される単一の一体的構造であり得るか、またはハブ11およびアーム12a~12dのような個々の構造体は、別々に製造され、一体的に形成されたインプラント組立体へと組み立てられ得る。ハブ要素は、インプラントに一体化され、3つの機能的特徴部を組み込むように設計される。ハブは、尿道内に配備され植え込まれたときにアームが前立腺葉に後退力または半径方向力を及ぼすように、アームのための接続部を提供する。第二に、ハブおよび凹部は、インプラントが、材料の応力および歪み限界を超えることなく、送達システム内部で低外形構成に折り畳まれるかまたは拘束されることを可能にし、それによって、インプラントが、配備後、その非拘束形状および寸法に回復することを可能にする。第三に、ハブの形状は、インプラントが、拘束状態で膀胱鏡の作業ポートを通して導入され、前立腺部尿道内に配置され得るように設計される。インプラントは、プッシュロッドまたはプッシュワイヤを使用して、膀胱鏡の作業チャネルまたは器具チャネルを通して押され得る。あるいは、インプラントは、送達システムのシースの内側に拘束され得、送達システムは、膀胱鏡の作業チャネルを通って前進され得る。
【0049】
組み立てによって、または単一の構築物もしくは材料構成要素から製造することによって、ハブ11と一体的に接続される各組織係合領域13a~13dは、アーム12a~12dの長さの少なくとも一部から構成され、移行領域15a~15dによってハブ11に接続され得る。個々のアーム12aはそれぞれ、移行領域15aの点において、小さな切欠き部分18aによって隣接する個々のアーム12bそれぞれから離間されて、インプラント20の圧縮構成から拡張構成への拡張を容易にし得る。図2Aに示すように、アーム12a~12dのそれぞれは、非外傷性端部14の、ハブ11から最も離れた端部で終端する。
【0050】
図2Aの実施形態では、アーム12a~12dは、実質的に等しい長さを有し、拡張構成または非拘束状態または部分的拘束状態で、実質的に対称的にハブ11から離れて配備されるように配向される。このデザインは、図示されるように、非外傷性端部14が、互いからほぼ等しい距離に、かつ、端末ハブ11から等しい距離に位置付けられる、全体的な配向をもたらす。アーム12a~12dの組織係合部分13a~13dは、好ましくは、実質的に平坦または実質的に平面のリボン形状を有し、本明細書中に記載される製造方法の結果として、同等または異なる幅または長さまたは断面形状および面積を有し得る。アーム12a~12dの長さおよび組織係合領域13a~13dの構成に応じて、インプラントは、末端ハブ11を横断する軸に沿って対称であってもよく、その結果、ハブ11は、配備時に尿道の中心に配されるか、または配備後にハブ11を非対称に位置付けるように設計され得る。
【0051】
別の実施形態では、アーム12a~12dは、配備状態または非配備状態で長さが等しくなくてもよい。ハブ11は、尿道の軸に沿って非対称に位置付けられるように非中心に配向されてよく、末端ハブは尿道壁の一方の側に向かって配向される。このような構成は、配備後の尿道の閉塞を制限するという利点を有する。非外傷性先端部14は、尿道壁に対する外傷を低減し、組織係合領域13a~13dの最遠位端部の丸い先端部を含み得る。このような構成は、アーム12a~12dの非外傷性先端部14が残りの構造よりも弱くなるようにインプラント20を差別的にヒートセットすることによって、または非外傷性構成をとるように先端部をレーザー切断することによって容易に達成される。ヒートセットはまた、端部分が、尿道壁の内側組織層との接触を最小化するためにわずかに内側に湾曲される(図示せず)ように、非外傷性先端部14を成形するのに使用され得る。
【0052】
典型的には、インプラント20は、直径が約1~5mmの範囲であり、壁厚が約0.2~2mmの範囲である中空円筒管またはハイポチューブから作製される。より具体的には、外径が約1.5~3.0mmであり、壁厚が約0.2mm~1.2mmの範囲である。インプラント20の典型的な幅寸法は、約0.2~3.0mmである。より具体的には、アームの典型的な幅寸法は、約0.5~1.2mmである。インプラント20の全長は、約10~100mmの間で変化する。インプラントは、折り畳み構成または拘束構成の小径管からレーザー切断され、所望の寸法に形状設定される。あるいは、インプラントは、直径5~50mm、またはより好ましくは直径10~30mmの範囲の管を使用して、拡張状態の大径管から製造され得る。次に、インプラントをより小さい直径にクリンプし、シースの内側にインプラントを拘束することによって、インプラントをより小さいサイズに折り畳むことができる。
【0053】
他の実施形態では、インプラント20は、尿道を閉塞する前立腺組織にインプラント20によって加えられる力を増大させるために、中実管からレーザー切断され、研磨されてもよい。このようなインプラントの断面は、図7A図7Dおよび図8A図8Dに記載されるように円の四分円、円の六分円または円の扇形の形態である。そのような断面形状は、インプラント20の所与の表面積に対して最大の壁力(wall forces)を提供し、したがって、痂皮形成、組織成長の発生率を低減し、インプラントの移動の可能性を低減するために非常に望ましい。出発ワイヤの典型的な直径は、1~5mmの範囲であり、扇形の角度は、20~180度の範囲である。
【0054】
典型的には、インプラントの全表面積は、インプラントによって一端部から他端部まで治療される全尿道表面積の10~100%、またはより好ましくは25~80%の間で、変化するように設計される。尿道壁と接触するインプラントの外表面積は、インプラントによって一端部から他端部まで治療される全尿道表面積の5~50%の間で、変化するように設計される。後退力が前立腺部尿道葉の長さに沿って加えられる、外側組織押圧または組織係合表面積は、インプラントによって一端部から他端部まで治療される全尿道表面積の3~30%の間で、変化するように設計される。このようなインプラント構成は、最小の表面積で最適な後退力を提供し、痂皮形成および結石形成を最小限にするか、または防止する。さらに、前立腺組織に係合し、これを後退させ、尿道管腔を開く表面積が小さいことにより、インプラント上の組織成長が最小限に抑えられ、必要なときにインプラントの回収が可能になる。したがって、本発明に記載されるインプラント構成はまた、前立腺組織と接触する小さい表面積に後退力が集中するので、高い組織後退圧力または半径方向圧力を提供し、尿道表面への損傷を最小限に抑えながら、前立腺部尿道の狭窄した管腔を開く。図3Bに示されるインプラントのうちの1つについて、平均後退力または半径方向力は、40mm2の組織係合外側接触表面積で10Nであると測定され、0.25N/mm2の接触圧力を生じた。本発明に記載される他の実施形態の接触圧力は、アームの数、アームの幅、アームの厚さ、アームの断面形状および面積、組織係合長さ、ハブの数を含む、インプラントの特徴に応じて、0.1~4N/mm2の範囲である。同様の計算を、インプラントの単位質量当たりの後退力または半径方向力について行うことができる。本発明に記載されるインプラント構成は、前立腺部尿道の長さに沿って力を分配し、管腔を開き、LUTS緩和を提供するために、最も効率的な質量(the most efficient us of mass)を提供する。
【0055】
図2Cを参照すると、本発明のインプラント20の実施形態が示されており、アーム12a~12dは、それらの長さに沿って第2の曲線移行領域27a~27dを有し、組織係合セグメント28a~28dの一部は実質的に直線状である。直線状の組織係合要素28a~28dは、尿道内での配備および拡張時に、先端部24から尿道壁への外傷を最小限にする。インプラント20は、中空または中実の端子ハブ21を有し、オプションとしてハブ21の本体に形成された非対称ノッチ29を有する。非対称ノッチは、送達システムおよび泌尿器科処置で使用される市販の把持器デバイスを使用して、インプラントの配備、再位置付け、および回収の間、インプラントの保持を補助する。図2Aの実施形態と同様に、複数の組織係合領域23a~23dは、図2Aの実施形態で見られるように、端子ハブ21から離れて半径方向に延在し、移行領域25a~25dによって端子ハブ21と一体的に接続される。図2Cの構成において、移行領域25a~25dは、アーム12a~12dの長さに沿って配された中間セクション26a~26d、ならびに移行領域25a~25dおよび組織係合領域28a~28dに接続され得る。図2Cの実施形態では、各中間領域26a~26dは、実質的に直線状の組織係合領域28a~28dにつながる湾曲部27a~27dに移行する。組織係合領域の直線状部分の長さは、好ましくは、1~8mmの範囲を含む少なくとも1~10mmである。組織係合部分28a~28dのそれぞれは、非外傷性端部24で終端する。各アーム12a~12dの一般的な形状は、ハブ21の一部分、移行領域25a~25d、中間領域26a~26d、および組織係合領域28a~28dから構成される。以下の図11A図11Cに示すように、インプラント20は、配備時に、送達システム内部の圧縮構成または拘束構成から拡張構成に変形する。圧縮構成では、移行領域25a~25d、中間領域26a~26d、および組織係合延長部23a~23dは、実質的に同一直線上にあり、送達システム(図示せず)内で限定された直径に拘束される。配備時に、インプラント20の構成は、拡張構成または部分的拡張もしくは配備構成の全体寸法に復元され、図1に示すような前立腺部尿道内での配向をとる。
【0056】
図3A図3Dを参照すると、インプラント30の実施形態は、非外傷性端部で終端するのではなく、第2の端子ハブ31bへの取付部で終端する連続した複数のアーム32a~32dから形成される、組織係合領域38a~38dを特徴とする。図3Aを参照すると、2つのハブは、第1の近位ハブ31aおよび第2の遠位ハブ32bとして記載され得、これらのハブは、ハブ31aとハブ31bとの間に延びてそれらの間に一体的な接続を確立する複数のアーム32a~32dを有する。さらに、これらの実施形態は、4つのアームと共に示されているが、2つ以上の数の任意の複数のアームも、本発明の範囲内である。以下に記載されるように、3つのアームを有する実施形態について、デバイスの全体的な配向が、3つのアームが前立腺の小葉内溝内に配置されることをもたらさないような、アームの配向が好ましい。
【0057】
したがって、図3Aを参照すると、本発明のこの実施形態では、複数のアーム38a~38dは線形軸A-Aから離れて対称的に、かつその周りに延び、各アームと軸A-Aとの間の角度が実質的に等しく、また、任意の隣接するアームに対する各アーム38a~38dの角度も実質的に等しくなる。アーム38a~38dは、アーム38a~38dがハブ31aとハブ31bとの間で連続しており、それぞれが第1および第2の移行領域、例えば35a、35a’と、第1の中間領域36aおよび第2の中間領域36a’と、ハブ31aとハブ31bとの間に形成された中央に配置された組織係合領域38a~38dと、から構成されていることを除いて、図2A図2Bの実施形態と同様に、各ハブ31a、31bから離れて延びている。
【0058】
図3B図3Dを参照すると、組織係合領域38a~38dは、少なくとも0.5mm、1mm~80mm、またはより好ましくは1~20mmの範囲の長さを有する実質的に直線状の部分を有し得る。定義の目的で、直線状の組織係合領域38a~38dの距離は、前立腺組織に係合する前の拡張構成において、インプラント30が製造される材料の形状記憶、弾性、超弾性機械的特性またはバネ能力によって定義されるように、定義される。当業者には容易に理解されるように、BPHに罹患している患者の尿道内での配備後、インプラント30の全体寸法は、周囲組織に部分的に一致し、したがって、配備後の寸法は、本明細書に記載されるものとは異なり得る。
【0059】
重要なことに、ハブ31a、31bを分離する直線距離は、インプラント30が折り畳み構成にあるとき、例えば、以下に記載されるように、インプラント30が送達システムの遠位端部に配されるとき、第1の距離である。拡張構成へと配備されると、ハブ31a、31bは、ハブ31a、31bを分離する直線距離が第2の距離であり、第2の距離が第1の距離より小さい、構成をとる。典型的には、第1の距離の第2の距離に対する比は、1~10の範囲であってよく、またはより好ましくは、1.2~3の範囲であってもよい。図3Dを参照すると、アーム38a~38dの個々の対は、同一平面上である、すなわち、単一平面内に存在し得るが、ハブ31a、31bおよび複数の相互接続されたアーム38a~38dは、アーム38a~38dが、移行領域35a~35d、中間領域36a~36d、および組織係合領域38a~38dの相対的な位置付けを維持しながら、螺旋構成を形成するように、互いに対して回転配向をとり得る。
【0060】
再び図3A図3Dの実施形態を参照すると、特にアームのそれぞれ、特に組織係合領域38a~38dが同等の寸法である場合、インプラント20の全体的な構成および配向は、図3Aに示されるように、軸A-Aの周りで対称であり得る。このような構成では、ハブ31a、31bは中央に配され、両方とも軸A-Aによって横断される。しかしながら、以下に述べるように、製造方法に応じて、近位ハブ31aおよび遠位ハブ31bは、中心軸A-Aと同一直線上になくてもよく、デザイン目的で中心軸から転置またはオフセットされてもよい。構造体の内部、特に2つの端子ハブ31a、31b間の領域は、組織係合領域38a~38dの拡張によって尿道の開通性が回復されると、インプラント30の周りでの尿の流れを容易にするために中空である。
【0061】
図2A図2Cの実施形態と同様に、図3A図3Dの実施形態では、組織係合領域38a~38dは、ハブ31a、31bが中心に位置付けられるように、中心軸A-Aの周りに対称的に配向される。アームの組織係合領域38a~38dの長さは、図3A図3Dの実施形態において平行であり、その結果、肥大した前立腺組織は、中心軸に対して実質的に同等の点で、それらのアームの直線状部分に沿って係合される。他の実施形態では、アームは、中心軸の周りに非対称に配向されてもよく、非対称形状を有してもよい。加えて、ハブは、それらが中央に位置せず、一端部が第1の尿道表面に、他端部が第2の直径方向に反対(180度)の尿道表面に近接して(closed to)、位置付けられるように、いずれかの端部でオフセットされてもよい。
【0062】
本明細書に示されるインプラントのいずれかにおける各組織係合領域の外側表面は、インプラントが配備されると、尿道に沿った、膀胱内へのインプラントの滑りもしくは移動、または陰茎を通って出ることを防止するように機能する構造体または特徴部からさらに構成されてもよい。これらの構造的要素は、かかり、フック、表面テクスチャリング、または尿道の内部管腔との接触点に沿ってインプラントの外側表面の長さに沿って組織と係合する任意の機械的手段のいずれであってよい。この実施形態はさらに、組織接触領域が、インプラントまたはエキスパンダーを前立腺内葉の溝内に完全に位置付けることを防止する。
【0063】
上記のように、本明細書に記載されるインプラントまたはエキスパンダーデバイスは、泌尿器科医によって推奨されるように、前立腺内での配備および所与の期間にわたる植え込みの後に回収可能である。前立腺部尿道における植え込み期間は、30日~数年の範囲であり得る。所望の時点でのインプラントまたはエキスパンダーの回収を容易にするために、図3Aに示されるように、ハブの末端部に固定された一体型回収固定具37a、37bを有するように構築され得る。固定具37a、37bは、開口部39a、39bを有することができ、開口部39a、39bは、以下に説明するような回収プロセス中に、回収器、またはカテーテルワイヤの遠位端部などの任意の商業的回収もしくは把持器デバイスによって係合される。1つの回収固定具が、ハブの一末端部に固定されてもよく、または2つの固定具が、インプラントの両方のハブ上に設計されてもよい。他の実施形態では、固定具37aおよび37bは、シース内に回収するためインプラントに係合するために、スネアデバイスによって係合されるU字形の単純なフックであってもよい。回収のための他の固定具が、インプラントを回収するために、当業者によって、一端部または両端部において設計され得る。
【0064】
デバイスの別の実施形態では、図3Bに示すように、4つのアームによって接続された一端部上の単一のハブ31bと、ハブ31aを2つの部分31a1および31a2(図示せず)に分割することによって構成された2つのハブ31a1および31a2(図示せず)と、を使用して構成することができる。ハブ31a1および31a2のそれぞれは、2つのアームによって接続される。このような構築物は、ハブ31a1および31a2が膀胱頸部に向けて配向され、ハブ31bが外括約筋に向けて配向された状態で、前立腺部尿道内に配備されてもよい。このような構成は、尿道の閉塞を最小限に抑え、必要なときに、フォーリー尿道カテーテルまたは撮像膀胱鏡の通過および配置を容易にする。当業者は、1つ以上のハブを一端部または両端部に有する異なるインプラントを作製するために、いくつかの異なる組み合わせを使用することができ、これらのハブは、過形成前立腺組織を後退させ、尿道の管腔を開放するのに十分な拡張力をインプラントが有することを可能にするために、少なくとも2つ以上のアームを接続する。
【0065】
図4を参照すると、(長い前立腺部尿道を治療するために)単一のインプラントで可能な距離よりも長い距離に沿って前立腺組織を後退させるために、複数の個々のインプラントを尿道内に別々に配置することに加えて、本発明のインプラントは、複数の組織係合領域の対の長さによって画定される尿道の軸方向長さに沿って組織を後退させる二重整列構成で提供することができる。図4の実施形態では、図2A図2Bのデザインの一対のインプラントが、中間ハブ45において接合されて、2組の組織係合部材43a~43d、49a~49dが延びる接合中間軸接続部材47を作り出す。近位組織係合領域48a~48dおよび遠位組織係合領域49a~49dは、中間軸42から離れて対称的に延在し、前立腺部尿道における尿道閉塞を開く。図2Bの実施形態で見られるように、アームはS字状曲線形状を有していて、直線状部分43a~43dを有し、それぞれが非外傷性先端部14で終端する組織係合領域まで延びる。より長い尿道を治療するために、より長い長さのインプラントを構築するために、1つ以上の中間ハブが使用され得る。
【0066】
図4の実施形態は、中間ハブ47での接合を必要とせずに、単一の一体型構造体として製造することができる。これは、当業者に知られている、レーザー切断、洗浄、形状設定および電解研磨プロセスを使用して、ニッケル-チタン(超弾性または形状記憶ニチノール)材料のハイポチューブから作製され得る。さらに、中間ハブ45は、中空管または中実管であってよい。
【0067】
他の実施形態では、中間軸またはハブ接続部材47は、インプラントの剛性を低下させ、解剖学的構造に適合させる特徴部を組み込んでもよい。例えば、接続部材50は、インプラントに構造および可撓性を提供する1つ以上のまっすぐな、角度付きの、傾斜した、正弦曲線状の、螺旋状の、または湾曲したコネクタ要素47からなり得、実質的に円形、矩形、または正方形の断面の1つ以上の細長い接続部材を有するシャフトから構成され得る。
【0068】
図5を参照すると、図3A図3Eの実施形態の両端構成(double-ended configuration)は、BPHにより管腔が狭窄した長い尿道を治療する能力を有する図4の実施形態と同じ利点を達成する。中間ハブ52は、2組の組織係合領域53a~53d、54a~54dを接合し、これらの領域は、直線状部分44a~44dを有し、1mm、3mm~5mm、5mm~10mmの最小長さを、それぞれその中のすべての整数値で有する。図4の実施形態で見られるように、インプラントは、同様のまたは予め選択された異なる直径を有する2つの別個の組織係合領域を有し、2つの選択された領域で前立腺組織を後退させる非外傷性挿入および送達、ならびに同様にその他の実施形態について本明細書に記載される方法のいずれかによる非外傷性回収のための、近位ハブ55および遠位ハブ56の両方を有する。
【0069】
上述のように、1つ以上の中間ハブ52は、異なる長さのインプラントを構築するために使用され得る。さらに、近位アームの拡張された直径は、遠位アームの拡張直径とは異なってもよいが、送達システム内におけるインプラントの拘束直径は、インプラントの長さに沿って同じである。図5の実施形態は、ニチノールハイポチューブから所望のパターンをレーザー切断し、所望の寸法に形状設定することによって、上述のように中間ハブ52において接合する必要なく、一体型構造体として作製され得る。さらに、インプラント上の構造要素(ハブ、アーム、移行領域、直径、長さ、回収固定具)のそれぞれは、所望される場合に、尿道内での配備時の前立腺組織の後退を容易にし、インプラントの回収を容易にするためにインプラントを最適化する、対称的特徴部と非対称的特徴部との組み合わせであってよい。
【0070】
図6A図6Fを参照すると、本発明のインプラント60の実施形態は、連続ワイヤ、リボン、または管から形成される。図6Aに示すように、連続ワイヤインプラント60は、拡張状態にあり、配備後の連続ワイヤインプラント60の拡張時に形成される組織係合領域62a~62dを特徴とする。送達および配備中に外側シース108(図11および図12Aを参照のこと)内に拘束されると、連続ワイヤインプラント60は、外側シース108の内径内でしっかりと圧縮され、この構成では、インプラント60は、4つの鋭い屈曲63a~63dを有し、これらは、組織係合領域62a~62dの長さに沿って前立腺組織を後退させるために、拡張構成において一連の湾曲部63a~63dを形成するように戻る。湾曲部63a~63dは、組織係合領域62a~62dのための相互接続セグメントとして作用する。4つの湾曲部63a~63dの弧は、インプラント60が製造される材料の形状記憶特性に従ってインプラント60が所定の形状をとるように予め決定される。組織係合領域62a~62dの長さは、図2図5の回収可能なインプラントと概ね一致し、上記のように前立腺の葉に係合してこれに直接的な半径方向力を及ぼすことによって、十分な長さの尿道を治療する能力を有する個々の長さを有する。図6Aの実施形態は、必要なときにデバイスの把持および取り外しを容易にするために、63cおよび63d付近の領域を接続する追加の回収要素を示す。
【0071】
図6Bは、第1の組織係合領域64a、第2の組織係合領域64c、第3の組織係合領域64c、および第4の組織係合領域64dの交差によって形成される組織係合領域を有する、拡張構成の連続ワイヤまたはリボンインプラント60の代替的実施形態である。送達システム内の非拡張状態または拘束状態では、組織係合領域64a~64dは、送達カテーテルの管腔によって画定される軸に沿って実質的に直線状である。尿道内に配備されると、インプラント60は、三次元U字形構成で図6Bに示す形状をとり、第1の対の組織係合領域64a、64bが前立腺管腔内の肥大組織の一方の側に係合し、第2の対の組織係合領域64c、64dが肥大組織の反対側に係合して、前立腺の尿道壁に後退力を加える。図6Aの実施形態で見られるように、折り畳み構成では、インプラント60は、インプラント60が形成される材料の形状記憶特性または超弾性特性またはバネ特性によって、拡張時に滑らかな湾曲部に変形する、4つの鋭い屈曲65a~65dを、閉じ込め構成において有する。図6Bの実施形態は、組織係合領域64aおよび64bが、インプラント60の長さに沿って中央に配された中間ターム(intermediate terms)65b、65dの密接な係合によって、インプラントの一端部でインプラントの他端部の屈曲65cから離れて延びるように形成される。
【0072】
図6Cは、非外傷性である組織係合領域66a~66dを有する、拡張構成にある連続ワイヤまたはリボンインプラント60の代替的実施形態である。追加の屈曲68a~68bは、追加の組織係合領域69a~69dを形成する。当業者であれば、連続ワイヤの実施形態を利用する構成は、前立腺部尿道内での正確な配置にあまり依存せず、配備時の様々な配向に起因して、また、任意の個々の患者の生理機能の種々の領域に起因して、組織係合部分66a~66d、69a~69dは、組織係合部分として画定されるすべての領域のサブセットとし得ることを理解するであろう。インプラント60の構成は、組織係合領域69a~69dを形成する端部に小さなループを形成することによって、より多くの前立腺組織に係合し、応力集中を低減するように修正される。上述のように、組織係合領域66a~66d、69a~69dは、送達システム内部の拘束状態または非拡張状態において、軸に沿って実質的に直線状である。尿道内に配備されると、インプラント60は、三次元のサドル状またはW字形状の構成で、図6Cに示す形状をとる。
【0073】
図6Dおよび図6Eは、正弦波形を有し、アーチ状の近位端部領域および遠位端部領域を有するように構成された、図6Aおよび図6Bの連続ワイヤの実施形態である。回収特徴部が、図6Aに示されるように、所望に応じて、所与の植え込み期間後のインプラントの配備または取り外し中のインプラントの再位置付けを容易にするために、さらに組み込まれてもよい。
【0074】
図6E図6Fを参照すると、本発明のインプラント70の実施形態は、正弦波形を有し、アーチ状の近位端部領域および遠位端部領域を有するように構成された連続ワイヤから形成される。この実施形態では、組織係合領域71a~71dは、連続ワイヤの実質的に真っ直ぐな長さによって形成される。連続ワイヤの近位端部および遠位端部は、それぞれ、アーチ状の端部領域72a、72bおよび72c、72dから構成される。図6Eの実施形態は、図6Dと同じ形状および構成を有するが、6つの組織係合領域71a~71fから構成され、近位端部72a、72c、72eおよび遠位端部72b、72d、72fのそれぞれに3つのアーチ状端部領域を有する。インプラント70が構成される材料は、前立腺組織およびインプラント70の内部空間の両方に面する表面の平坦なワイヤまたは「リボン」幅が、その深さ以上の幅を有するとして特徴付けられる。好ましい寸法には、0.1397~1.397mm(0.0055~0.055インチ)の範囲の厚さ、より好ましくは約0.2794~0.635mm(約0.011~0.025インチ)の範囲の厚さ、および0.254~4.572mm(0.01~0.18インチ)の幅範囲、約0.508~3.556mm(約0.02~0.14インチ)の好ましい幅範囲が含まれるが、これらに限定されない。これらのデバイスは、軸A-Aが尿道の長さを横断するように配置されるが、近位端部または遠位端部の指定は任意であり、近位端部および遠位端部がそれぞれ尿道の直線経路に沿って位置するような配向が必要である。
【0075】
図6Fの実施形態は、合計8つの組織係合領域71a~71d、74a~74dを有し、これらが相互接続リンク73a、73bによって接合された、図6Dの実施形態が積み重ねられるかまたは対になった構成である。近位端部および遠位端部は、最遠位対のアーチ状領域72a、72bによって形成され、最近位端部は、最近位対のアーチ状領域72c、72dによって形成されるが、上記のように、この実施形態は、デバイスの水平軸を横切って対称であるため、区別は任意である。
【0076】
図7A図7Dは、図2図6の実施形態のいずれかのための出発材料および製造プロセスを示す。出発材料は、図7Aおよび図7Cに示されるように、中実管またはワイヤであってよく、または図7Bおよび図7Dに示されるように、中空管であってもよい。本発明の種々の実施形態の製造は、構築物の本体の外側表面から半径方向距離を横断することによって、構築物の長さに沿って材料を選択的に除去する。半径方向距離は、管の直径もしくは厚さ全体を横断してもよく、または円形ワイヤもしくは管の中心に向かって部分的にのみ横断してもよい。構築物の長さに沿った材料の選択的または除去(Selective or removal)により、インプラントの個々のアームを作り出す。材料が構築物から除去されるパターンは、アームの形状、断面、数および配向を決定する。構築物の長さに沿って全直線寸法未満から材料を除去することで、接合を必要とせずに端子ハブの一体性を保持する。図2A図2Bの実施形態のような単一の端子ハブの場合、材料は、単一の端子ハブに近接した中間点から、構築物の残りの部分の全長に沿って除去される。構築物の両端部に端子ハブを保持することによって、材料が、所望のインプラント形状および寸法を形成するために、所与のパターンでワイヤまたは管の長さに沿って構築物から選択的に除去された、図3A図3Bの実施形態が製造される。レーザー切断または放電加工(EDM)、形状設定および電解研磨は、インプラントを製造するために使用される、一般的に使用される製造プロセスである。
【0077】
図8A図8Dは、図7A図7Dについて上述したようなインプラントの製造のための出発ワイヤまたは管材料であるが、矩形断面を有する。図8A図8Dの実施形態では、アームが互いから分離し、半径方向に拡張することができるように、横断半径を作り出すために、材料が構築物から除去される。したがって、横断半径を作り出す切れ目または一連の切れ目が、1つ以上の半径または1つの完全な直径を作り出す切れ目またはいくつかの切れ目として画定され、その結果、アームが拡張するときに、アームが拡張して組織係合領域を形成し得る。2つの延長アームを作り出すために単一の切れ目が作られる場合、切れ目の全深さは、構築物の矩形断面の厚さ全体を横断しなければならない。図8Cを参照すると、切れ目は、セグメントaおよびa’を組み合わせることによって1つの完全な厚さにわたって、例えば中実構築物のために、作製され得る。セグメントa、セグメントb’、およびセグメントdで切断を実行することによって、3つのアームが作り出される。セグメントa、セグメントa’、セグメントc、およびセグメントc’での切断によって、4つのアームが作り出される。上述の構成のそれぞれは、組織係合領域が、所望の機能特性を達成するために、製造プロセスにおいてインプラントがヒートセットされる所望の形状および切れ目の数に応じて、対称的または非対称的に配備されるインプラントをもたらす。
【0078】
同様に、セグメントa、セグメントa’、およびセグメントcで切れ目を半径方向に横断して非対称インプラントを作り出すことによって、3アーム型インプラントを作り出すことができる。切れ目は、全ての切れ目が完成したときにアームを形成するのに十分な深さでなければならない。図7Bを参照すると、切れ目は、構築物の幅の半径全体を構成する必要はなく、拡張アームを作り出すのに必要な中実部分の幅のみを構成する。したがって、セグメントaおよびa’の切断は、構築物の外径全体の距離よりも短いが、依然として拡張アームを作り出すのに十分である。
【0079】
図9を参照すると、本発明の送達システム100の個々のおよび組み立てられた構成要素A、B.1、B.2、およびCが、送達システム100の遠位端部から本発明のインプラントの実施形態を配置するための(図10に示される)従来の膀胱鏡111との動作的関係で示される。具体的には、構成要素Aにおける図9は、管腔106の開いた近位ポート109に入り、灌注ポート104に近接する連続ガイドワイヤまたはインプラント保持ワイヤ101を示す送達システム100の近位組立体であり、灌注ポート104は、中間連結部105に近接しており、中間連結部105は、ルアーロック103を通して灌注ポート104と送達システム102との間に無傷の流体接続を形成するためのシールを作り出し、灌注ポート104をシールするためのストッパ(図示せず)のための構成を有する。
【0080】
図10は、一体型送達組立体100の外側シース108の遠位端部であり、従来の膀胱鏡111の遠位端部と、膀胱鏡111の遠位端部から突出し、膀胱鏡111の作業チャネル112を横断し、インプラント10を収容する、送達シース108の遠位端部と、を示し、インプラント10は、配備のためにシース108を手動で漸増的に後退させる前に、依然として圧縮構成内に維持されており、シース108の遠位端部にある。連続ガイドワイヤ101の遠位端部は、標的部位でのエキスパンダーインプラントの制御された正確な配備を可能にするために、予め配置された形状または固定具またはテザー機構110を有する。ガイドワイヤまたはインプラント保持ワイヤ上のこの特徴部はまた、インプラント10が圧縮構成にあるときに、インプラントが、外側シース108、インプラント10、およびガイドワイヤ101から形成される組立体の遠位端部から時期尚早に配備されることを防止する。ガイドワイヤ特徴部の一実施形態では、インプラント10の制御された配備は、ガイドワイヤ101上に波状部分101a(この図には示していない)を作り出すことによって可能になる。図10において、ガイドワイヤ101は、近位ハブ31aおよび遠位ハブ31bの両方を横断する。本明細書に記載される本発明のインプラントのいずれも、折り畳み構成で送達システム100の遠位端部に固定され得ることが容易に理解されるであろう。インプラントが1つ以上のハブ固定具、例えば、図2A図2Bに示されるようなハブ11、21、ならびに図3A図3Eの近位ハブ31aおよび遠位ハブ31bを含む場合、ガイドワイヤ101は、好ましくは、泌尿器科医によるインプラントの配向および配置のためにハブを横断する。他の実施形態では、ガイドワイヤは、テザーループを介してインプラントに係合され得る。インプラントの配備に続いて、ガイドワイヤは、インプラントからガイドワイヤを係合解除するために取り外されてもよい。
【0081】
図11A図11Cは、上述のようなインプラント10の漸増的な段階的配備を示す。したがって、配備システムとインプラントとの組み合わせは、3つの基本段階を経て進行する:1)インプラント10が送達システム110の遠位端部において圧縮構成で維持され、外側シース108(図11A)の構造による構成に維持される、第1の段階(図11A);2)ユーザが、マンドレルを前方に押し始めてインプラントを前方に押す、第2の段階。この時点で、外側シース108は、インプラント10の軸方向長さの周りから部分的にのみ引き抜かれる(図11B);3)マンドレルがインプラントを外側シースから完全に押し出す、第3の段階(図11C)。これは、インプラント10が依然としてガイドワイヤ101によって係合されている間に、インプラント10の拡張構成への完全な拡張を可能にし、それによって、尿道内のインプラント110の場所および配向のさらなる操作を可能にする。送達システム100からのインプラントの解放に続いて、またはそれと同時に、インプラント10は、折り畳み構成から拡張構成に拡張し、続いて、ガイドワイヤ101が引き抜かれ、図1によって表されるように、インプラントが最終的に配備される。当業者は、外側シース108を後退させることによって前立腺部尿道内にインプラントを配備するために、他の配備機構および実施形態を考え、使用することができる。
【0082】
本発明の送達システムのインプラント配備機構は、外側シースを後退させて送達システムの遠位端部からインプラントを配備するために、医師がハンドルを回転式に作動させることを可能にする任意の機械的手段(図示せず)を有してもよい。ハンドルは、手で把持されるように適合され、シャフトの周りを回転する。ユーザに向けてハンドルを引っ張ることによりシャフトの周りでハンドルを回転させると、外側シースに取り付けられた固定具を有する歯車機構に係合する。
【0083】
送達システム100は、ハンドルの回転がハイポチューブまたはプッシャロッド119の長さに沿ってシース108の後退を引き起こすように、配備機構に固定的に取り付けられてもよい。この回転は、インプラント10が、折り畳み構成で、外側シース108の遠位端部内に完全に収容され、ガイドワイヤ101に取り外し可能に取り付けられる第1の位置の両方を提供する。ハンドルの作動は、インプラントが上記の図11A図11Cに関連して記載されるように段階的に配備されるように、漸増的な様式で実施され得る。好ましい実施形態では、ハンドルは、インプラント10の漸増的な配備段階で部分的な停止部を有する。第1の漸増的停止部は、折り畳み構成からの拡張が開始される初期段階へのインプラント110の配備である。第2の漸増的停止部は、インプラントの位置付けおよび配向が視覚的に検証され得る中間段階へのインプラント110の配備を提供する。ハンドルを最終位置に回転させると、可視化されている外側シース108の遠位端部からインプラント110が完全に配備される。
【0084】
使用中、本発明の方法によれば、送達システム100は、2.33mm(7フレンチ)未満の全体的な外径(OD)を有し、典型的には5.67mm(17フレンチ)の外径を有する膀胱鏡111の作業チャネル112を介して導入される。泌尿器科医は、膀胱鏡111に組み込まれた光源112およびレンズ113を使用して前立腺部尿道を可視化し、典型的には、前立腺部尿道の長さを測定し、BPH状態によって引き起こされる尿道の狭窄の程度を評価する。この可視化から、泌尿器科医は、適切なインプラントサイズを選択し、正しいサイズのインプラント10が折り畳み構成で既に中に配された状態で送達システム100を収容する予め組み立てられたインプラントパッケージから選択する。膀胱鏡111の遠位先端部が患者の膀胱内に位置する間、生理食塩水源が灌注ポート104に取り付けられ、灌注が開始される。直接可視化の下、膀胱鏡111および送達システム100の組立体は、膀胱鏡100の遠位端部が、精丘における標的領域のすぐ近位に、または精丘から離れて配置されるように、配向される。
【0085】
外側シース108は、膀胱頸部に近位の位置まで前進させられ、インプラント110が前立腺組織によって侵害または狭窄された尿道の標的部分に近接しているという直接可視化を確認した後、送達シース108は、前方に押されて、インプラント110に初期の部分的拡張構成を達成させる。マンドレルの前方への押し込みは、インプラントが良好に位置付けられ、適切な標的部位に位置することを確認するために中断される。確認後、外側シース108はさらに引き抜かれ、インプラント110は、図11Cに示される全体的な構成と同様に、インプラント110の配備の中間ステップで完全拡張構成に達する。いったん、配置、標的化、および配向が泌尿器科医によって確認されると、ガイドワイヤ101が引き抜かれ、続いて、外側シース108および送達システム100が引き抜かれる。
【0086】
上記のように、送達システム100のデザインおよびインプラント110のいくつかの実施形態は、インプラント110の漸増的かつ十分に制御された配備を可能にし、その結果、インプラント110は、時期尚早に「勢いよく開く(spring open)」または「前方に跳ぶ(spring forward)」ことをせず、標的部位から離れた不適切な構成または場所で配備されない。インプラント110が部分的に配備される初期位置から、インプラント110が完全に拡張構成に達したが依然としてガイドワイヤ101に繋がれている中間位置まで、外側シース108を選択して漸増的に後退させることに、好ましくは、前立腺部尿道内の配置におけるインプラントのサイズの確認が続く。外側シース108内でガイドワイヤ101を取り外すと、多段階配備プロセスが完了する。ガイドワイヤは、不可逆的であり、インプラント110の取り外し、および新しい配備または送達システム100を使用して新しいインプラントを配備することによる繰り返し治療を必要とすることがある、インプラント110の不注意による時期尚早の配備またはインプラント10の誤配置を回避する。
【0087】
本発明の方法は、インプラントを尿道内に配備することを含み、インプラントは、それを必要とする患者の葉の組織の表面で拡大した前立腺組織の少なくとも2つの別個の領域を後退させるために、2つまたは4つ以上の数の組織係合領域を有する。半径方向力は、少なくとも2つの別個の領域において及ぼされ、各領域は、尿道の内壁に沿ってそれぞれ接触される。いくつかの実施形態では、この力は、尿道の直線状長さを延び、本発明のインプラントの中心軸を横断する軸に垂直な軸に沿って組織に及ぼされる。この方法は、患者におけるBPHまたはLUTSのさらなる診断の際に、本発明のインプラントを取り外す処置を含み、これは、本発明の設計に基づく。取り外しプロセスにおいて、インプラントの最近位部分は、回収管の遠位端部の開口部から延びるワイヤまたは縫合糸によってアクセスされ、インプラントは、ハブに近接したところで係合され、回収管内に引き込まれ、それによって、配備プロセスを逆にして、インプラントを拡張構成から閉じ込め構成に戻す。医師による初期の臨床的判断および配備に基づいて、ハブがインプラントの組織係合部分よりも遠位になるようにインプラントが配置される場合、インプラントは、膀胱内に遠位に押し込まれ、回収管の遠位端部内に引き込まれたインプラント内にハブが係合され得るように再配向され得る。
【0088】
良性前立腺肥大症の臨床症状を軽減するための方法は、標準的な泌尿器科用膀胱鏡の作業チャネルを通して近位端部および遠位端部を有する配備カテーテルを前進させ、インプラントを収容したカテーテルの遠位端部を膀胱頸部と外括約筋との間の点に位置付けることによって、射精管から離して、オプションとしてその近位に、インプラントを配置することによって実施される。いったん送達システムの遠位端部が標的部位に到達すると、インプラントが配備され、そこで、インプラントは、過形成前立腺組織に係合するために、圧縮構成から拡張構成に拡張する。配備中、インプラントの近位ハブおよび遠位ハブは、インプラントが折り畳み構成に維持されているとき、およびカテーテルが作業チャネルを通って前進している間、実質的に直線状の構成にある。この構成では、アームは、送達システムカテーテルの内径の範囲内で互いに相対的に整列された実質的に平行な状態に維持される。
【0089】
配備中、初期の閉じ込め構成から拡張構成への拡張は、インプラントの構造体の配向における特徴的な変化を特徴とする。全ての実施形態において、組織係合領域から構成されるインプラントのアームは、肥大した前立腺組織と係合するように拡張する。インプラントの一部は、配備時のインプラントのデザインおよび配向に応じて、実質的に直線状から曲線状またはS字状に変形する異なる形状をとることができる。
【0090】
複数のアームによって相互接続された近位ハブおよび遠位ハブを有する上記の実施形態では、近位ハブと遠位ハブとの間の直線距離は、折り畳み構成の第1の位置から拡張構成の第2の位置まで変化し、ハブ間の距離は第2の位置で縮小される。ハブが各アームの第1および第2の移行領域に接続される実施形態では、移行領域は、実質的に直線状の形態から曲線状の形態に変形し、第1の移行領域は、近位ハブに対して遠位であり、近位ハブに接続され、第2の移行領域は、遠位ハブに対して近位であり、遠位ハブに接続される。好ましくはインプラントの長さの中心に配置される各アームの組織係合セグメントは、回収可能なインプラントの中心軸から離れるように拡張して、中央組織係合セグメントの長さの少なくとも一部に沿って肥大した前立腺組織と係合する。いくつかの実施形態では、前立腺組織と係合する組織係合領域の長さは、実質的に直線状である。
【0091】
折り畳み構成から拡張構成への拡張は、近位ハブおよび遠位ハブのそれぞれの中実の円周領域と、複数のアームの中央組織係合セグメントとの間の一体的な接続を生成する。配備中、組織係合部分は、好ましくは、複数の4つのアームが前立腺の小葉間溝と係合しないように配向される。
【0092】
本発明の方法はまた、膀胱鏡の作業チャネルを通してインプラントを回収するための別個の手順を含む。インプラントを回収するステップは、インプラントを回収システムの遠位端部に引き込むことを可能にするインプラントの任意の部分に係合することによって実行することができ、遠位端部において、インプラントは、拡張構成から折り畳み構成に戻る。インプラントは、インプラントの構造体上の任意の点で、または近位ハブ上の固定具に係合し、インプラントを回収カテーテルの遠位端部内に後退させることによって、係合され得る。インプラントへの係合は、インプラントの確実な係合のために折り重なる特別に構成された遠位端部を有する回収ワイヤを使用することによって達成され得る。
【0093】
本発明はまた、折り畳み構成で回収可能なインプラントを送達するためのカテーテルが、可撓性膀胱鏡の作業チャネルを通して送達され、過形成によって狭窄した前立腺部尿道に拡張構成で配置される構成を含み、組み合わせは、遠位端部において回収可能なインプラントを拘束するための外側シース、カテーテルの内側管腔の長さを横断するようなサイズであり、遠位端部に固定具を有して、回収可能なインプラントの近位部分に係合し、回収可能なインプラントをカテーテルに対して遠位に前進させてインプラントを配備する、プッシャまたはプッシュロッド、および回収可能なインプラントの正確な配置を支援する送達ワイヤである。好ましくは、送達カテーテルの外径は、3mm(9フレンチ)未満であり、オプションとして、インプラントの配備中に直接撮像するための流体連通管腔、カメラ、およびスコープ、または可視化器具を含む。デバイスは、送達システムまたはインプラントの位置付けを補助するために、X線撮影マーカー、蛍光透視マーカー、または他の撮像マーカーを含むことができる。
【0094】
本発明はまた、本明細書に記載される出発材料および製造プロセスの選択に由来する、インプラントの構造および性能における独特の利点を含む。いくつかの実施形態では、インプラントは、細長い一体型本体の選択された長さに沿って材料を選択的に除去し、その直径を横断することによって、形状記憶材料または超弾性材料の一体型本体から作製され、選択された長さは、インプラントを製造するために使用される細長い一体型本体の全長未満であり、結果として得られる構造体は、インプラントの長さに沿った想像線とみなされる中心軸の周りで対称または非対称のいずれかであり得る。単一の管から製造される実施形態は、材料の連続片から形成されるので、一体的に接続され、単一であると考えることができるが、インプラントの個々の構造体は、任意の構成をもたらすように一緒に溶接することができる。材料が管から除去される場合、アームを形成するために十分な材料が除去されるように、インプラントが製造される管の直線状の長さに沿った長さから十分な材料が除去されなければならないという唯一の制約を伴って、本質的に任意の構成が既知の微細機械加工技術によって作製され得る。このパラメータは、インプラントが製造される構築物の直径を横断する必要性として説明することができ、その結果、切れ目は、アームが互いに離れるように移動できるように、管の断面の中央で管の中実部分を少なくとも切り通すのに十分な深さを集合的に有していなければならない。管が中実である場合、そのような距離は、「四分円」を生じるように集合的に全直径であるが、中空である場合、「円弧」を形成するように中空部分まで通る。
【0095】
この方法は、個々の患者の生理機能によって駆動され、泌尿器科医の裁量であるが、処置は、一般に、膀胱頸部と外括約筋との間の点にカテーテルの遠位端部を位置付けるために、泌尿器科用膀胱鏡の作業チャネルを通して近位端部および遠位端部を有する配備カテーテルを前進させるステップを含む。適切な位置および配向になると、泌尿器科医は、カテーテルの遠位端部からインプラントを配備して、インプラントを折り畳み構成から拡張構成に拡張する。インプラントの配備により、インプラントの組織係合領域は、インプラントの複数の細長いアームの長さに沿って、肥大した前立腺組織と係合する。実施形態のいくつかは、組織係合領域が、2つのハブを接続するアーム上に配される構成を有し、この構成では、アームの長さは、一連の実質的に直線状の配置アームが、折り畳み構成でカテーテルによって拘束される構成から、アームのそれぞれが両端でハブに一体的に接続される拡張構成になるように、細長い構造を形成する。
【0096】
インプラントの2ハブ実施形態のデザインのために、配備中の複数のアームの拡張は、複数のアームが肥大した前立腺組織に係合するように拡張する間、近位ハブおよび遠位ハブを、ハブを接続する軸に沿って互いに向かって直線的に移動させる。その結果、拡張構成におけるハブ間の距離は、折り畳み構成における距離よりも小さくなる。
【0097】
アームは、各ハブと一体的に形成される移行領域を有するものとして説明することができ、第1の移行領域が1つのハブの近くに一体的に形成され、第2の移行領域が第2のハブの近くに一体的に形成され、複数のアームの組織係合領域がそれらの間に配置される。これらの第1および第2の移行領域は、インプラントが折り畳み構成から拡張構成に変換されるときに、実質的に直線状の形態から曲線形態に変換する。
【0098】
インプラントは、インプラントによって及ぼされる半径方向力が、組織係合領域が小葉内溝に限定される配向ではなく、前立腺葉に直接加えられるように設計される。この理由のために、本発明の方法は、複数のアームのうちの少なくとも2つが患者の前立腺の小葉間溝に係合しないように、配備のためにデバイスを位置付けるために、インプラントのデザインを利用することを含む。
【0099】
上述のように、本インプラントのデザイン特徴の重要な部分は、泌尿器科医の臨床的裁量でそのように指示されるときにインプラントを回収する能力である。典型的には、回収プロセスは、膀胱鏡の作業チャネルを通してインプラントを回収するステップを含む。具体的には、泌尿器科医は、インプラントの本体またはインプラントの専用構造体のいずれかに係合し、インプラントを回収カテーテルの遠位端部に挿入することによって、通常、インプラントをカテーテルに引き込むことによって、インプラントを捕捉し、それによって、インプラントは、拡張構成から折り畳み構成に戻る。インプラントは、回収プロセスが、専用の固定具においてインプラントの本体に係合すること、または単に、インプラントの最近位部分もしくは最遠位部分、またはその両方でループを形成するように特に改変され得るハブの円筒形部分に係合する把持器によって、インプラントの本体に係合することを含み得るように設計される。個々の患者の生理機能に依存して、回収はまた、インプラントが拡張または部分的拡張構成にある間に、膀胱内にインプラントを前進させ、続いて、除去のために回収カテーテルの遠位端部内にインプラントを引き込むことによって生じ得る。
【0100】
回収方法は、好ましくは、インプラントが最初に配備された標的部位においてインプラントに係合し、インプラントをほぼ尿道を通して直接引き抜くことから構成されるが、回収は、除去前にインプラントを膀胱内に遠位に前進させることによって達成することができる。
【0101】
上記に開示した実施例は、単に本発明の種々の有用性を例示することを意図したものである。本発明の機能要素および特徴部の多数の修正、変形、および組み合わせが、上記の教示に照らして可能であり、したがって、添付の特許請求の範囲内であり、本発明は、特に開示される以外の方法で実施されてもよいことが理解される。
【0102】
すべての特許および刊行物は、あたかも各個々の刊行物が参照により組み込まれるように具体的かつ個別に示されたかのように、同じ程度まで参照のため本明細書に組み込まれる。本発明は、好ましい実施形態および任意の特徴部によって具体的に開示されてきたが、本明細書に開示された概念の修正および変形は、当業者によって再分類され得、そのような修正および変形は、本発明の範囲内であると考えられることを理解されたい。
【0103】
〔実施の態様〕
(1) 肥大した組織によって狭窄した前立腺部尿道内に配置されるようにサイズ決めされ構成され、折り畳み構成と拡張構成との間で拡張可能である、回収可能なインプラントにおいて、
前記折り畳み構成において第1の距離だけ軸に沿って分離された近位ハブおよび遠位ハブと、
前記近位ハブおよび前記遠位ハブを接続する複数のアームと、
を含み、
前記拡張構成において、前記近位ハブおよび前記遠位ハブは、前記アームが外向きにかつ所定の形状で配備されて前記肥大した組織を後退させるときに第2の距離だけ分離され、
前記第2の距離は、前記第1の距離未満である、回収可能なインプラント。
(2) 前記近位ハブおよび前記遠位ハブのそれぞれが、前記回収可能なインプラントの中心軸の周りに配されている、実施態様1に記載の回収可能なインプラント。
(3) 前記近位ハブおよび前記遠位ハブのそれぞれが、前記回収可能なインプラントの中心軸に対して偏心して配されている、実施態様1に記載の回収可能なインプラント。
(4) 前記近位ハブおよび前記遠位ハブのそれぞれが、周方向中実領域から構成されている、実施態様1に記載の回収可能なインプラント。
(5) 各ハブが、前記複数のアームと一体的に形成され、各アームが、前記折り畳み構成において実質的に直線状であり前記拡張構成において曲線をなす移行領域において、各ハブに接続されている、実施態様1に記載の回収可能なインプラント。
【0104】
(6) 各アームが中央組織係合領域から構成されている、実施態様5に記載の回収可能なインプラント。
(7) 前記組織係合領域が、実質的に直線状のセグメントを有する、実施態様5に記載の回収可能なインプラント。
(8) 前記拡張構成において、前記所定の形状が、前記複数のアームの組織係合領域によって画定される直径を有し、
前記回収可能なインプラントが、少なくとも8ミリメートルの外径を有する、実施態様5に記載の回収可能なインプラント。
(9) 前記組織係合セグメントが、前記拡張構成において、少なくとも1mmの直線状の長さを有する、実施態様1に記載の回収可能なインプラント。
(10) 前記折り畳み構成において、前記回収可能なインプラントが、2.33mm(7フレンチ)未満である前記回収可能なインプラントの全径を有する、実施態様1に記載の回収可能なインプラント。
【0105】
(11) 前記回収可能なインプラントが、3Nより大きい半径方向力を及ぼす、実施態様1に記載の回収可能なインプラント。
(12) 前記近位ハブおよび前記遠位ハブのそれぞれが、円筒形であり、その長さを横断する中央に配された開口部から構成されている、実施態様1に記載の回収可能なインプラント。
(13) 前記拡張構成において、第1の対の前記少なくとも2つのアームが、前記第1の対のアームを含み、かつ前記近位ハブおよび前記遠位ハブを横断する第1の平面内に配され、第2の対の前記少なくとも2つのアームが、前記第2の対のアームを含み、かつ前記第2の対のアームを横断する第2の平面内に配され、
前記第1の平面および前記第2の平面が垂直である、実施態様1に記載の回収可能なインプラント。
(14) 前記近位ハブもしくは前記遠位ハブのいずれか、またはその両方が、いずれかのハブの中実周方向領域に対して近位のアタッチメントを有し、前記アタッチメントは、前記ハブに一体的に接続され、かつ、前記アタッチメントに開口部を有して、前記インプラントの回収を容易にする、実施態様1に記載の回収可能なインプラント。
(15) 前記アームのうちの少なくとも1つに沿った外側表面が、前記組織後退セクションに沿った延長部を有し、
前記延長部が、テクスチャ加工された表面と、前記外側表面から延在する複数のかかりと、これらの組み合わせと、から構成されている、実施態様1に記載の回収可能なインプラント。
【0106】
(16) 肥大した組織によって狭窄した前立腺部尿道内に配置されるようにサイズ決めされ構成され、折り畳み構成と拡張構成との間で拡張可能である、回収可能なインプラントにおいて、
前記インプラントの軸に沿って配向され、第1の距離だけ前記軸に沿って分離された近位ハブおよび遠位ハブを含み、前記近位ハブおよび前記遠位ハブは、形状記憶材料または超弾性材料から形成された細長い一体型本体によって一体的に接続されており、かつ、
前記細長い一体型本体の選択された連続長さに沿って材料を連続的に除去することによって形成され、その直径を横断する複数のアームを含み、前記選択された長さが、前記細長い一体型本体の全長未満であり、
前記拡張構成では、前記近位ハブおよび前記遠位ハブが、前記第1の距離未満の第2の距離だけ分離され、前記複数のアームが、前記軸から離れて半径方向に配備されて、所定の形状を定め、肥大した前立腺組織に係合する、回収可能なインプラント。
(17) 前記軸は、前記インプラントの中心軸に沿って、前記近位ハブおよび前記遠位ハブを最初に横断する、実施態様16に記載のデバイス。
(18) 前記軸は、前記インプラントの対角軸に沿って、前記近位ハブおよび前記遠位ハブを最初に横断する、実施態様16に記載のデバイス。
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B
図8C
図8D
図9
図10
図11A
図11B
図11C
【外国語明細書】