(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023030239
(43)【公開日】2023-03-08
(54)【発明の名称】装柱用ハンガー
(51)【国際特許分類】
H02G 7/00 20060101AFI20230301BHJP
H02G 1/02 20060101ALI20230301BHJP
F16B 2/12 20060101ALI20230301BHJP
【FI】
H02G7/00
H02G1/02
F16B2/12 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021135266
(22)【出願日】2021-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】000116666
【氏名又は名称】愛知電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000225474
【氏名又は名称】内田鍛工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】横地 智宏
(72)【発明者】
【氏名】加藤 哲也
(72)【発明者】
【氏名】田中 隼人
【テーマコード(参考)】
3J022
5G352
5G367
【Fターム(参考)】
3J022DA11
3J022EA42
3J022EC17
3J022EC23
3J022FB12
3J022GB31
5G352AC01
5G367AC02
(57)【要約】
【課題】 電気機器の装柱作業時における作業性および安全性を飛躍的に向上させることのできる装柱用ハンガーを提供する。
【解決手段】 電気機器2を腕金20に取り付ける装柱用ハンガー1において、腕金20の大きさに応じて保持金具11をスライドさせることのできる位置調節手段としての第1の挿通孔15aと、支持金具7,9から一度も取り外すことなく、支持金具7,9と保持金具11を連結することのできる位置変更手段としての第2の挿通孔16a,貫通孔16bおよび差込溝19を設けた。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱上機器を支持する支持金具と、当該支持金具とともに柱上の腕金を挟み込む保持金具からなり、前記支持金具と保持金具は双方を連結する第1,2の固定手段を備え、前記支持金具には、前記腕金の大きさに応じて前記第1の固定手段の取付位置を変更する位置調整手段と、前記第2の固定手段の縦方向の移動を可能とする位置変更手段を備えて構成したことを特徴とする装柱用ハンガー。
【請求項2】
前記位置調整手段と位置変更手段は、ともに前記支持金具の長手方向に延びる長孔によって構成したことを特徴とする請求項1記載の装柱用ハンガー。
【請求項3】
前記第1,2の固定手段は、前記位置調整手段と位置変更手段を介して締結するボルトおよびナットからなることを特徴とする請求項1又は請求項2の何れかに記載の装柱用ハンガー。
【請求項4】
前記保持金具には、前記第2の固定手段を下方から差し込むことを可能とする差込溝を備えて構成したことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の装柱用ハンガー。
【請求項5】
前記保持金具には、前記第2の固定手段によって前記腕金を前記支持金具との間に挟持した状態で、当該第2の固定手段が該保持金具の差込溝から脱落することを防止する抜止手段を形成したことを特徴とする請求項4記載の装柱用ハンガー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電柱に電気機器を取り付ける装柱用の部材の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
電柱には電線やケーブル類のほか、碍子、開閉器、高圧カットアウト、変圧器といった各種機器が取り付けられている。これら各種機器は、電柱に固定された腕金を利用して装柱される。
【0003】
前記腕金は、一般的に中空矩形状に形成され、バンドを介して電柱に水平に固定されている。下記非特許文献1には、中空矩形状の腕金に変圧器を取り付ける方法の一例が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献1】愛知電機技報No.40(2019) p31 制御用電源変圧器
【0005】
図9,
図10は前記非特許文献1に示される方法による、腕金への電気機器の取付方法を示したものである。
図9は腕金101に電気機器102を取り付けた状態を示す側面図であり、
図10はその正面図である。
【0006】
図9,
図10において、103は電気機器のケースであり、104はケース103の蓋体を示している。105は蓋体104の上部に溶接等により固定した固定座であり、106はL字形に形成した下端部を固定座105の内側(
図10の中央側)から外側(
図10の左右側)へ貫通したあと、その先端をかしめることによって、固定座105に固定した支持棒である。
【0007】
107は腕金101上に配置される一対の挟持部材であり、108は挟持部材107を介して、支持棒106の上端部に形成したネジ部を利用して、支持棒106に螺合されるナットを示している。
【0008】
図9,
図10に示す方法により、柱上の高所において、電気機器102を腕金101に取り付ける場合は、
図9,
図10に示す挟持部材107とナット108が取り外された状態で、蓋体104の上部に固定された固定座105の上部を腕金101の下面に宛がう。
【0009】
このとき、腕金101は、
図9に示すように、左右方向に配置された一対の支持棒106間に位置し、また、支持棒106は
図9の奥行側(
図10の左右方向)に配置されていることから、腕金101は、
図9の左右方向に存在する一対の支持棒106間を抜けて、
図10に示すように、固定座105上面に当接した状態となっている。
【0010】
この状態で、4本の支持棒106の上端部を、挟持部材107の図示しない取付孔に挿通させた後、支持棒106の上端部に形成したネジ部にナット108を各々螺合することによって、固定座105と挟持部材107によって腕金101を上下から挟持する。
【0011】
これにより、電気機器102は電柱に固定された腕金101に揺動不能に取り付けられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記取付方法によれば、電気機器102を電柱に付設した腕金101に確実に取り付けることができるが、それぞれ以下に示す問題点がある。
【0013】
図9,10に示す方法によって電気機器102を腕金101に取り付けた場合、前述したとおり、電気機器102を腕金101に取り付ける前段階において、固定座105に取り付けられた4本の支持棒106から挟持部材107およびナット108が取り外された状態にある。
【0014】
この状態で、電気機器102の蓋体104上に固定した固定座105の上面を腕金101の下面に当接させ、腕金101上面に挟持部材107を宛がったうえで、挟持部材107の上方から各支持棒106にナット108を螺合する作業を行う必要がある。
【0015】
つまり、腕金101への電気機器102の取付作業は、電気機器102と挟持部材107およびナット108を各々電柱の高所位置まで運び、当該高所位置において、電気機器102を腕金101へ宛がう作業や、支持棒106に挟持部材107の図示しない取付孔に挿通させる作業、および、支持棒106にナット108を螺合する作業を行わなければならない。
【0016】
このように複数の構成部材を高所において取り扱うには相応の人数の作業者が必要であるが、このような人数を作業場所を高所において確保することは容易ではない。
【0017】
また、挟持部材107やナット108といった部材・部品は、非常に落としやすく、電柱上の高所位置から電柱下まで落下させた場合は非常に危険であるし、これら部材・部品を別途扱わなければならない作業者は、通常以上の注意力を発揮しなければならず、必然的に作業負担が重くなるとともに、その結果、作業者の安全性も損なわれかねない。
【0018】
本発明は、このような問題を解消できるものであり、電気機器102の柱上での作業を容易にするとともに、作業者および周囲の安全性を確保でき、かつ、各種寸法の腕金への取り付けを可能とする装柱用ハンガーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
請求項1記載の装柱用ハンガーは、柱上機器を支持する支持金具と、当該支持金具とともに柱上の腕金を挟み込む保持金具からなり、前記支持金具と保持金具は双方を連結する第1,2の固定手段を備え、前記支持金具には、前記腕金の大きさに応じて前記第1の固定手段の取付位置を変更する位置調整手段と、前記第2の固定手段の縦方向の移動を可能とする位置変更手段を備えて構成したことに特徴を有する。
【0020】
請求項2記載の装柱用ハンガーは、請求項1記載の位置調整手段と位置変更手段を、支持金具の長手方向に延びる長孔によって構成したことに特徴を有する。
【0021】
請求項3記載の装柱用ハンガーは、請求項1又は請求項2の何れかに記載の第1,2の固定手段が、位置調整手段と位置変更手段を介して締結するボルトおよびナットからなることに特徴を有する。
【0022】
請求項4記載の装柱用ハンガーは、請求項1乃至請求項3の何れかに記載の保持金具に、第2の固定手段を下方から差し込むことを可能とする差込溝を備えて構成したことに特徴を有する。
【0023】
請求項5記載の装柱用ハンガーは、請求項4記載の保持金具に、第2の固定手段によって腕金を支持金具との間に挟持した状態で、該第2の固定手段が保持金具の差込溝から脱落することを防止する抜止手段を形成したことに特徴を有する。
【発明の効果】
【0024】
請求項1記載の発明によれば、異なる寸法の腕金への取り付けが可能となるので、腕金の大きさに応じた装柱用ハンガーを準備する必要がない。
【0025】
請求項2記載の発明によれば、位置調整手段と位置変更手段を簡単な構成によって実現できる。
【0026】
請求項3記載の発明によれば、固定手段を支持金具から取り外すことなく、腕金への取り付けが可能となる。
【0027】
請求項4記載の発明によれば、保持金具が支持金具に固定された状態で腕金への取り付けが可能となる。
【0028】
請求項5記載の発明によれば、第2の固定手段が保持金具から抜け落ちることを確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の装柱用ハンガーを電気機器に取り付けた状態を示す正面図である。
【
図2】本発明の装柱用ハンガーを電気機器に取り付けた状態を示す平面図である。
【
図3】本発明の装柱用ハンガーを電気機器に取り付けた状態を示す左側面図である。
【
図4】本発明の装柱用ハンガーを電気機器に取り付けた状態を示す右側面図である。
【
図5】本発明の装柱用ハンガーを腕金に取り付ける前段階を示す正面図である。
【
図6】本発明の装柱用ハンガーに腕金を宛がった状態を示す正面図である。
【
図7】本発明の装柱用ハンガーで腕金を締め付ける前段階を示す正面図である。
【
図8】本発明の装柱用ハンガーを腕金に取り付けた状態を示す正面図である。
【
図9】従来の装柱用ハンガーを腕金に取り付けた状態を示す正面図である。
【
図10】従来の装柱用ハンガーを腕金に取り付けた状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態について
図1乃至
図8を用いて説明する。
図1は本発明の装柱用ハンガー1を電気機器2に取り付けた状態を示す正面図である。本発明の装柱用ハンガー1は、バンドを介して電柱に水平に固定される中空矩形状の後述する腕金を利用して、電柱の高所位置に設置される。
【0031】
なお、本実施例にて例示する電気機器2は、例えば、柱上に設置される変圧器や電力負荷の不平衡を是正するバランサなどを想定しているが、これに限定されるものではない。
【0032】
図1に示す電気機器2は、電気機器本体を内部に収容するケース3と、ケース3の上部開口部を閉塞する蓋体4から概略構成されている。
【0033】
ケース3の側面には、本発明の装柱用ハンガー1を電気機器2に固定するための装柱金具5が、その上下位置に溶接等によって取り付けられている。
【0034】
装柱用ハンガー1は、装柱金具5にボルト6aとナット6bからなる固定手段6によって固定される下部支持金具7とボルト8aを備え、当該ボルト8aを下部支持金具7に貫通させ、これにナット8bを締め付けることによって下部支持金具7と連結する上部支持金具9によって構成されている。
【0035】
下部支持金具7は、垂直方向に延びる下部7aおよび上部7cと、下部7aおよび上部7cをつなぐ傾斜方向に延びる中間部7bからなるクランク形状をなし、上部支持金具9は、垂直方向に延びる下部9aと上部9c、下部9aと上部9cをつなぐ傾斜方向に延びる中間部9b、および、上部9cから水平方向に延びる端部9dからなる略クランク形状に形成されている。
【0036】
10は下部支持金具7の上部7cに設けられるボルト10aとこれに螺合するナット10bによって、該上部7cと上部支持金具9の上部9cとを連結する固定手段である。
【0037】
11は上部支持金具9の端部9d下面に当接する水平部11aと後述する腕金に当接する垂直部11bから構成される保持金具である。保持金具11の垂直部11b下部には、当該位置からその先端部が
図1の右方向へ延出するL字形状の抜止手段12が具備されている。
【0038】
13は上部支持金具9の端部9dと保持金具11の水平部11aを連結固定する第1の固定手段であり、ボルト13aとナット13bから構成されている。14は上部支持金具9の上部9cおよび下部支持金具7の上部7cと保持金具11の垂直部11bを連結固定する第2の固定手段であり、ボルト14aとナット14bから構成されている。
【0039】
図2は前記装柱用ハンガー1を電気機器2に取り付けた状態を示す平面図である。
図2に示すように、上部支持金具9の端部9dには、位置調節手段として、第1の固定手段13のボルト13aを挿通する第1の挿通孔15aが形成されており、当該第1の挿通孔15aは、端部9dの長手方向に延びる長孔状に形成されている。なお、
図1に示す保持金具11の水平部11aには、第1の挿通孔15aと重なる位置に、ボルト13aを挿入するための第1の貫通孔15bが形成されている。
【0040】
図3は前記装柱用ハンガー1を電気機器2に取り付けた状態を示す左側面図である。
図3に示すように、下部支持金具7の上部7cから中間部7bにかけて、位置変更手段として、第2の固定手段14のボルト14aを挿通する第2の挿通孔16aが形成されており、当該第2の挿通孔16aは、上部9cから中間部9bの長手方向に延びる長孔状に形成されている。なお、
図1に示す上部支持金具9の上部9cから中間部9bには、第2の挿通孔16aと重なるように、ボルト14aを挿通する長孔形状の第2の貫通孔16bが形成されている。
【0041】
図3に示す17は、第2の固定手段14のボルト14a頭部と下部支持金具7の上部7cとの間に介在する固定金具であり、平面形状をコ字形に形成し、第2の固定手段14の締付けにともなって、その両端部17a,17bが、
図2に示すように、下部支持金具7の上部7cの側面に嵌合される方向に押し付けられる。
【0042】
図4は前記装柱用ハンガー1を電気機器2に取り付けた状態を示す右側面図である。
図4に示す18は保持金具11の垂直部11bと上部支持金具9の上部9cおよび下部支持金具7の上部7cを第2の固定手段14で連結する際に、第2の固定手段14のナット14bと前記垂直部11bとの間に介在する平面形状を略コ字形にした固定金具を示している。
【0043】
前記固定金具18は、その下部が抜止手段12の上方に位置するように取り付けられており、ナット14bの締付けによって、その両端部18a,18bが、
図1に示すように、保持金具11の垂直部11bの両側面に嵌合される方向に押し付けられる。
【0044】
図4に示す19は、
図1に示す保持金具11の垂直部11bの幅方向中央部の下端部から上方へ向けて穿設された差込溝であり、前記抜止手段12は、当該差込溝19が塞がれないように、その中央位置を開ける格好で、左右に二分割して前記垂直部11bの下部に具備されている。
【0045】
次に、上記のごとく構成した装柱用ハンガー1を利用して、電気機器2を電柱に付設した腕金に取り付ける場合について、
図5乃至
図8を用いて説明する。なお、電気機器2の腕金への取り付けは、高所作業車などを利用して、必要最小限の作業者が図示しない電柱の高所位置において行う。
【0046】
図5は、電柱にバンドなどを介して水平に固定した腕金20に、電気機器2を取り付ける前段階を説明する正面図である。なお、腕金20は、
図5に示すように、中空矩形状に形成されることが一般的である。
【0047】
図5に示すように、電気機器2に取り付けた装柱用ハンガー1を腕金20に取り付ける前段階では、第2の固定手段14が保持金具11に連結されていない。具体的には、第2の固定手段14は、ボルト14aの頭部側に固定金具17を取り付け、かつ、ナット14b側に固定金具18を取り付けた状態で、ナット14bがボルト14aに螺合された状態で、下部支持金具7の第2の挿通孔16aと上部支持金具9の第2の貫通孔16b内に、ボルト14aの軸部分を挿通した状態にある。
【0048】
この状態では、第2の固定手段14のボルト14aは、その軸部分を第2の挿通孔16aおよび第2の貫通孔16bの最下部に当接した状態で引掛けられ、ナット14bが下側となるように傾斜して、ナット14b側が蓋体4上に載置・当接した状態となっている。
【0049】
つまり、装柱用ハンガー1を腕金20に取り付ける前段階において、第2の固定手段14を構成するボルト14aやナット14b、固定金具17,18といった複数の部品は、電気機器2に固定された装柱用ハンガー1に取り付けられているので、電気機器2と別にこれら部品を高所において、保持・管理する必要がなく、作業者の負担を軽減できる。
【0050】
また、これら部品を高所から落下させる心配もなく、周囲の安全性を確保できるとともに、作業者に課される注意力を軽減できる。
【0051】
他方、第1の固定手段13は、ボルト13aが保持金具11の水平部11aの下面側から上部支持金具9の端部9dに形成した第1の挿通孔15aと、当該水平部11aに形成した第1の貫通孔15b内を挿通した状態で、その先端部にナット13bが螺合された状態にあるが、当該ナット13bはその締め付けがある程度緩められた状態にある。
【0052】
つまり、保持金具11は第1の固定手段13によって上部支持金具9に連結はされているが、第1の固定手段13のボルト13aの軸部を長孔形状とした第1の挿通孔内を移動させることにより、上部支持金具9の端部9dに対して水平方向に移動可能な状態となっている。
【0053】
この状態から、電気機器2を固定した装柱用ハンガー1を腕金20に取り付ける場合は、腕金20の幅寸法に合致するように、保持金具11を上部支持金具9に対して水平方向に移動させた後、第1の固定手段13のナット13bをボルト13aに対して締め付けることによって、保持金具11の固定位置を決定する。
【0054】
その後、装柱用ハンガー1を腕金20に引掛けるのであるが、上部支持金具9の上部9cと保持金具11の垂直部11b間に腕金20が配置されるように、腕金20の上方から装柱用ハンガー1を引掛けることによって行う。
【0055】
このとき、保持金具11は上部支持金具9の端部9dに連結されているので、保持金具11を電気機器2と別に保持・管理する必要がなく、作業者の負担が軽減できる。また、保持金具11を高所より落下させる危険性もない。
【0056】
図6に、腕金20を上部支持金具9の上部9cと保持金具11の垂直部11b間に嵌め込んだ状態を示す。
図6に示す状態においては、保持金具11の垂直部11bの位置は、前述したように、腕金20の幅寸法と合致するように事前に調節されているので、腕金20は上部支持金具9の上部9cと垂直部11b間に隙間なく、ガタツキなく嵌合できる。
【0057】
つづいて、
図6に示すように、傾斜した状態にある第2の固定手段14のナット14b側を持ち上げ、
図7に示すように、固定金具18およびナット14bが保持金具11の垂直部11bの外側(
図7の右側)に位置するように、ボルト14aの軸部分を位置変更手段としての第2の挿通孔16aおよび第2の貫通孔16b内を上方へ移動させる。
【0058】
このとき、第2の固定手段14のボルト14aの軸部分は、
図4に示す2分割した抜止手段12の間を通り、保持金具11の垂直部11bの差込溝19を利用して差込溝19の最上部まで持ち上げられることにより、
図7に示す水平状態へと移行することができる。
【0059】
そして、ボルト14aに取り付けられた固定金具18は、抜止手段12のL字形端部に接触することなく、その側方を通過して
図7に示す位置まで持ち上げられ、その軸部分が腕金20の下面に当接する。
【0060】
通常、この状態では、第2の固定手段14のボルト14aは、第2の挿通孔16aおよび第2の貫通孔16bの最上部に位置するが、例えば、腕金20の高さ寸法が
図7に示すものより大きい場合は、第2の挿通孔16aおよび第2の貫通孔16bの最上部よりやや下方位置において、軸部分が水平状態となるように腕金20の下面に当接させてもよい。
【0061】
図7に示す状態となったら、第2の固定手段14のボルト14a頭部側の固定金具17の両端部17a,17b(
図3参照)を下部支持金具7の上部7cの側方側へ嵌め込み、つづいて、ナット14bをボルト14aに締め付けることによって、ナット14b側の固定金具18の両端部18a,18b(
図4参照)を保持金具11の垂直部11bの側方側へ嵌め込むことにより、
図8の状態へ移行する。
【0062】
図8の状態では、腕金20は上部支持金具9の上部9cと端部9dおよび保持金具11の垂直部11bによって周囲が確実に挟持され、装柱用ハンガー1を介して電気機器2を揺動不能に固定できる。
【0063】
つまり、上部支持金具9と保持部材11を利用して、第2の固定手段14によって装柱用ハンガー1を腕金20に固定するにあたり、第2の固定手段14から固定金具18やナット14bは一度も取り外されることなく、装柱用ハンガー1を腕金20に固定できるので、作業者の作業負担を飛躍的に軽減でき、同時に安全性も確実に担保できる。
【0064】
第2の固定手段14によって装柱用ハンガー1を腕金20に取り付けた後は、第2の固定手段14の固定金具17の下部が下部支持金具7の傾斜した中間部7bの上部に引っ掛かることによって、ボルト14aの頭部側が第2の挿通孔16aおよび第2の貫通孔16b内をずり下がることを確実に防止できる。
【0065】
また、ナット14b側の固定金具18が抜止手段12に引っ掛かることにより、ナット14b側が
図4に示す保持金具11の差込溝19から抜け落ちることを防止できる。
【0066】
このように、本発明の装柱用ハンガー1は、腕金20への取り付け作業が簡単かつ安全であり、必要となる作業者の人数も減らすことが可能となる。その結果、高所において確保する作業者の作業スペースを縮小することができる。
【0067】
また、装柱用ハンガー1を腕金20に取り付けた状態は、下部支持金具7の中間部7bと抜止手段12の存在によって確実に維持されるので、腕金20への固定状態は堅固である。
【0068】
以上説明したように、本発明の装柱用ハンガーによれば、腕金へ掛け止める前段階において、第2の固定手段を支持金具の第2の挿通孔および第2の貫通孔内に引っ掛けておけるので、電柱上の高所において、第2の固定手段を装柱用ハンガーと別に保持・管理する必要がなく、作業者の作業負担および作業性向上させることができる。
【0069】
また、第2の固定手段を利用して、支持金具と保持金具によって腕金を挟持・固定する際においても、第2の固定手段からこれを構成するナットを取り外したり、ボルトを挿入したり、ナットを嵌めたりといった作業が一切必要なく、作業が飛躍的に簡素化できるとともに、ボルトやナットなどの部材や部品の落下を防止できるので、作業者に必要とされる注意力を低減できるとともに、周囲の安全性を確保できる。
【0070】
さらに、支持金具には位置調節手段が設けられているので、各種寸法の腕金への取り付けが可能となる。これにより、腕金の大きさ毎に異なる装柱用ハンガーを準備する必要がなくなる。
【0071】
そのうえ、第2の固定手段により、支持金具と保持金具間に腕金を挟持した後は、固定金具と支持金具の中間部および抜止手段の存在により、第2の固定手段が第2の挿通孔および第2の貫通孔内をズリ落ちたり、保持金具の差込溝から抜け落ちることを確実に防止することができる。
【0072】
なお、本実施例では、装柱用ハンガー1を下部支持金具7と上部支持金具9によって構成し、双方を上下の固定手段によって連結して構成した場合を例示して説明したが、本発明の装柱用ハンガー1は2つの支持金具によって構成する必要はなく、1つの支持金具を
図1に示すような形状として構成しても良いことは当然である。
【0073】
また、装柱する機器は必ずしも電気機器に限定するものではなく、装柱する必要性のある機器に利用可能であることは自明であるし、腕金を介して取り付けられれば、設置先は必ずしも電柱である必要性はない。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、腕金に取り付ける各種機器に適用可能である。
【符号の説明】
【0075】
1 装柱用ハンガー
2,102 電気機器
3,103 ケース
4,104 蓋体
5 装柱金具
6 固定手段
7 下部支持金具
7a 下部支持金具の下部
7b 下部支持金具の中間部
7c 下部支持金具の上部
8 下部固定手段
8a,10a,13a,14a ボルト
8b,10b,13b,14b,108 ナット
9 上部支持金具
9a 上部支持金具の下部
9b 上部支持金具の中間部
9c 上部支持金具の上部
9d 上部支持金具の端部
10 上部固定手段
11 保持金具
11a 水平部
11b 垂直部
12 抜止手段
13 第1の固定手段
14 第2の固定手段
15a 第1の挿通孔
15b 第1の貫通孔
16a 第2の挿通孔
16b 第2の貫通孔
17,18 固定金具
17a,17b,18a,18b 固定金具の両端部
19 差込溝
20,101 腕金
105 固定座
106 支持棒
107 挟持部材