(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023003025
(43)【公開日】2023-01-11
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/52 20060101AFI20221228BHJP
【FI】
H01R13/52 301F
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021103935
(22)【出願日】2021-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】夏目 貴史
【テーマコード(参考)】
5E087
【Fターム(参考)】
5E087EE14
5E087FF05
5E087GG06
5E087HH04
5E087JJ02
5E087JJ03
5E087KK04
5E087LL04
5E087LL14
5E087MM02
5E087RR06
5E087RR12
(57)【要約】
【課題】ハウジングとモールド成形部との接合面における剥離を抑制することができる。
【解決手段】コネクタ10は、端子金具30と、端子金具30を保持する保持部21と、保持部21から突出するフード22と、を有するハウジング20と、ハウジング20を包囲するモールド成形部40と、を備えている。コネクタ10には、ハウジング20におけるモールド成形部40との接合面20Aに凹み50が設けられている。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子金具と、
前記端子金具を保持する保持部と、前記保持部から突出するフードと、を有するハウジングと、
前記ハウジングを包囲するモールド成形部と、
を備え、
前記ハウジングにおける前記モールド成形部との接合面に凹みが設けられているコネクタ。
【請求項2】
前記端子金具は、前記保持部を貫通し、前記保持部の背面側と前記フード側に突出し、
前記凹みは、前記保持部の前記背面に設けられている請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記凹みは、前記背面における前記端子金具の周囲に設けられている請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記凹みは、前記背面における複数の前記端子金具の形成領域を全周に亘って囲むように設けられている請求項3に記載のコネクタ。
【請求項5】
一対の前記凹みが設けられ、
一対の前記凹みは、前記背面において前記端子金具を挟むように位置する請求項3に記載のコネクタ。
【請求項6】
3つ以上の前記凹みが設けられ、
3つ以上の前記凹みは、前記背面において前記端子金具を囲むように点在する請求項3に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ECU(Engine Control Unit)やセンサモジュール等の電子機器において、回路基板上の半導体デバイス等の電子部品を塵埃や水分から保護するための構造が用いられている。例えば、電子機器をケースに収容する構成が知られている。このような構成では、ケース間の接合部分に接着材を介在させたり、ケース内の空間をポッティング樹脂で封止したりする。しかしながら、このようにケースを用いる構成では、製品全体のサイズが大きくなったり、組み立て工程が増加してコストが増大することになる。
【0003】
そこで、ケースの代わりにモールド材(エポキシ系樹脂等)を用いる構成が考えられている。例えば、特許文献1のモジュール装置は、金属ベースと、電子回路基板と、コネクタと、を備えている。金属ベースは、電気回路基板が取り付けられている。コネクタは、端子を有している。端子の一端は、電気基板に接続されている。金属ベースと電子回路基板は、封止樹脂によって封止されている。コネクタの電子回路基板側の内部と、金属ベースにおけるコネクタ接合部の内部は、樹脂によりポッティングされている。
【0004】
特許文献2の車載用電子モジュールは、回路基板と、コネクタと、を備えている。コネクタは、金属端子を有している。金属端子は、回路基板の接続端子に接続されている。回路基板において、コネクタの接続部分を除く部分が、樹脂により1次モールドされている。接続端子において、パッケージ部(1次モールドで成形されたモールド材)とコネクタハウジングとの間で露出する部分が、樹脂により2次モールドされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008-186955号公報
【特許文献2】特開2013-4939号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1,2のような構成では、モールド成形後の冷却や使用環境に起因する冷却によって、モールド材が剥離する問題が生じ得る。例えば、コネクタハウジングとモールド材は、線膨張係数が異なることで、これらの間に熱収縮差が生じる。このように、コネクタハウジングとモールド材との間で熱収縮差による剥離が生じることで、防水性の低下等の問題が生じてしまう。
【0007】
本開示は、上記のような事情に基づいて完成されたものであって、ハウジングとモールド成形部との接合面における剥離を抑制することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示のコネクタは、
端子金具と、
前記端子金具を保持する保持部と、前記保持部から突出するフードと、を有するハウジングと、
前記ハウジングを包囲するモールド成形部と、
を備え、
前記ハウジングにおける前記モールド成形部との接合面に凹みが設けられている。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、ハウジングとモールド成形部との接合面における剥離を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施例1のコネクタの斜視図である。
【
図2】
図2は、端子金具が組み付けられたハウジングを前側から見た斜視図である。
【
図3】
図3は、端子金具が組み付けられたハウジングを後側から見た平面図である。
【
図4】
図4は、端子金具が組み付けられたハウジングの正面図である。
【
図5】
図5は、端子金具が装着されたハウジングの背面図である。
【
図6】
図6は、上側から見たコネクタの平断面図である。
【
図7】
図7は、左側から見たコネクタの側断面図である。
【
図8】
図8は、実施例2の端子金具が組み付けられたハウジングの背面図である。
【
図9】
図9は、上側から見た実施例2のコネクタの平断面図である。
【
図10】
図10は、左側から見た実施例2のコネクタの側断面図である。
【
図11】
図11は、他の実施例の端子金具が組み付けられたハウジングにおいて、背面の一部を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態を列記して説明する。
本開示のコネクタは、
(1)端子金具と、
前記端子金具を保持する保持部と、前記保持部から突出するフードと、を有するハウジングと、
前記ハウジングを包囲するモールド成形部と、
を備え、
前記ハウジングにおける前記モールド成形部との接合面に凹みが設けられている。
本開示の構成によれば、ハウジングにおけるモールド成形部との接合面に凹みを設けることで、熱変形時にモールド成形部との接合面に沿う方向の収縮量が小さくなり、接合面に沿う方向の応力が小さくなる。そのため、ハウジングとモールド成形部との接合面における剥離を抑制することができる。
(2)前記端子金具は、前記保持部を貫通し、前記保持部の背面側と前記フード側に突出し、前記凹みは、前記保持部の前記背面に設けられていることが好ましい。
この構成によれば、ハウジングの背面に端子金具が貫通し、その背面のモールド成形部からの剥離が、凹部によって抑制される。そのため、ハウジングの背面の防水性が保たれ、浸水等による端子間短絡等の発生を抑制できる。
(3)前記凹みは、前記背面における前記端子金具の周囲に設けられていることが好ましい。
この構成によれば、保持部の背面において、端子金具の周囲におけるモールド成形部の剥離を抑制することができる。そのため、保持部の背面における端子金具の周囲の防水性をより一層高めることができる。
(4)前記凹みは、前記背面における複数の前記端子金具の形成領域を全周に亘って囲むように設けられていることが好ましい。
この構成によれば、保持部の背面において、端子金具の周囲におけるモールド成形部の剥離をより一層抑制することができる。
(5)一対の前記凹みが設けられ、一対の前記凹みは、前記背面において前記端子金具を挟むように位置することが好ましい。
この構成によれば、保持部の背面において端子金具を挟むように、接合面に沿う方向の応力が小さくなる箇所が生じ、端子金具の周辺におけるモールド成形部の剥離を抑制し易くなる。
(6)3つ以上の前記凹みが設けられ、3つ以上の前記凹みは、前記背面において前記端子金具を囲むように点在することが好ましい。
この構成によれば、保持部の背面において端子金具を囲むように、接合面に沿う方向の応力が小さくなる箇所が生じ、端子金具の周辺におけるモールド成形部の剥離を抑制し易くなる。
【0012】
[本開示の実施形態の詳細]
[実施例1]
本開示のコネクタを具体化した実施例1を、
図1~
図7を参照して説明する。本実施例1において、上下の方向については、
図1~5,7にあらわれる向きを、そのまま上方、下方と定義する。前後の方向については、
図1~3,6,7にあらわれる右方、左方を、それぞれ前方、後方と定義する。左右の方向は、
図4にあらわれる向きを、そのまま左方、右方と定義する。
【0013】
(コネクタの構成)
本実施例1のコネクタ10は、
図1に示すように、ハウジング20と、端子金具30(
図2,
図3参照)と、モールド成形部40と、を備えている。ハウジング20は、図示しない相手ハウジングに嵌合可能である。コネクタ10は、
図7に示すように、回路基板70に実装される。
【0014】
ハウジング20は、例えば合成樹脂製である。ハウジング20は、例えばポリブチレンテレフタレート(線膨張係数:1.1×10
-4/℃程度)、ポリアミド(線膨張係数:1.0×10
-4/℃程度)等の材料によって構成される。ハウジング20は、
図2、
図3に示すように、保持部21と、フード22と、一対の延出部23と、を備えている。フード22は、
図2、
図3に示すように、保持部21から前方に突出している。フード22は、角が丸みを帯びた角筒状である。フード22には、ロック突起22Aが設けられている。ロック突起22Aは、ハウジング20と相手ハウジングとの嵌合状態で、相手ハウジングのロック受け部(図示略)に入り込み係止する。
【0015】
保持部21は、端子金具30を保持する。保持部21は、前後方向(ハウジング20と相手ハウジングとの嵌合方向)に直交する壁部である。保持部21は、前後方向から見て左右方向に長い長円形状である。保持部21の左右両側の縁は、
図2、
図4に示すように、フード22よりも左右方向外側へ円弧状に突出している。保持部21には、
図3,
図5に示すように、複数の孔24(例えば3つの孔24)が前後に貫通して設けられている。複数の孔24は、前後方向から見て保持部21の中央領域において、左右方向に並列して設けられている。端子金具30は、各孔24に圧入して装着される。
【0016】
保持部21の外周面は、
図6、
図7に示すように、露出部21Aと、被覆部21Bと、を有している。露出部21Aは、保持部21の外周面の前端側部分を構成している。露出部21Aは、後述するモールド成形部40に包囲されない。露出部21Aの左右両縁は、
図6に示すように、フード22の外周面の左右両縁に対して段差状に形成されている。モールド成形部40の成形時に、露出部21Aにモールド成形に用いる金型を当てて支持させることができる。保持部21の背面(後面)21Cの外縁は、被覆部21Bと角張らずに滑らかに連なっている。
【0017】
被覆部21Bは、
図6、
図7に示すように、保持部21の外周面の後端側部分を構成している。被覆部21Bは、後述するモールド成形部40に包囲される。
【0018】
延出部23は、
図3、
図5に示すように、保持部21の下端の左右両端からそれぞれ後方に延出している。延出部23は、延出片23Aと、突出部23Bと、を有している。延出片23Aは、直方体形状であり、保持部21から後方に延びている。延出片23Aは、
図7に示すように、回路基板70の上面に配置される。突出部23Bは、
図3、
図5に示すように、延出片23Aの左右方向外側の縁であって、後端よりわずかに前方の位置において、下方に突出している。突出部23Bは、先端(下端)が先細りの円柱状である。突出部23Bは、
図7に示すように、回路基板70の孔(図示略)に挿通される。一対の延出部23は、後述する端子金具30の基板接続部33を左右両側から挟む位置に配されている。
【0019】
端子金具30は、導電金属製である。端子金具30は、
図6、
図7に示すように、断面矩形のピン状をなしている。端子金具30は、保持部21を貫通し、保持部21の背面21C側とフード22側に突出する。端子金具30は、相手接続部31と、中間部32と、基板接続部33と、を有している。端子金具30は、前側から相手接続部31、中間部32、基板接続部33の順に並んで連結されている。相手接続部31は、中間部32からタブ状に細長く延出する形態である。相手接続部31は、ハウジング20と相手ハウジング(図示略)の嵌合時に、相手ハウジングに保持された相手端子金具(図示略)に電気的に接続される。相手接続部31には、後端寄りの位置(中間部32に近い位置)に、左右方向両側に張り出す爪状の係止片34,35が設けられている。係止片34,35は、保持部21の孔24の内面に食い込むようにして係止する。
【0020】
中間部32は、相手接続部31の後端に連なっている。中間部32は、矩形板状である。中間部32は、上下方向に直交する板面を有している。中間部32は、保持部21の孔24の内面に配される。
【0021】
基板接続部33は、中間部32の後端に連なっている。基板接続部33は、中間部32からタブ状に細長く延出する形態である。基板接続部33は、延出方向途中で折り曲げられ、左右方向から見てL字状になっている。基板接続部33は、
図7に示すように、ハウジング20の回路基板70への固定時に、孔71にスルーホール実装され、回路基板70の導電部(図示略)に電気的に接続される。孔71は、回路基板70の板厚方向に貫通している穴である。
【0022】
モールド成形部40は、
図7に示すように、ハウジング20、端子金具30、および回路基板70を、合成樹脂(エポキシ系樹脂など)によりモールド成形して一体化させたものである。モールド成形部40は、例えばエポキシ樹脂(線膨張係数:3.0×10
-5/℃程度)等のようにハウジング20よりも線膨張係数の小さい材料によって構成される。モールド成形部40は、ハウジング20、端子金具30、および回路基板70を包囲している。より具体的には、モールド成形部40は、回路基板70にハウジング20が実装された構造を包囲している。モールド成形部40は、フード22の外周面を覆っておらず、保持部21の後端側(被覆部21B)のみを包囲している。モールド成形部40は、延出部23との連結部分を除き、被覆部21Bを全周に亘って被覆している。フード22の外周面は、コネクタ10の機能を実現する部分(相手ハウジングが組み付けられる部分など)として利用することができる。モールド成形部40は、ハウジング20及び回路基板70から露出する端子金具30の全体を包囲している。モールド成形部40は、回路基板70から露出する延出部23の全体を包囲している。
【0023】
(凹部の構成)
図6、
図7に示すように、ハウジング20におけるモールド成形部40との接合面20Aに凹み50が設けられている。接合面20Aは、背面21Cと、被覆部21Bと、延出部23の表面(外面)と、を含んでいる。具体的には、凹み50は、背面21Cにおける端子金具30の周囲に設けられている。凹み50は、背面21Cにおける複数の端子金具30の形成領域AR(
図5参照)を全周に亘って囲むように設けられている。形成領域ARは、背面21Cの中央に設けられている。形成領域ARは、孔24を含み、孔24よりも外側に拡がった領域である。
【0024】
凹み50は、
図6、
図7に示すように、保持部21の外形に沿う形状であって、左右方向に長い長円のリング形状である。凹み50は、断面半円形状である。凹み50の開口部分(後側の縁)は、角張らずに湾曲している。
図7に示すように、背面21Cは、左右方向から見た断面において、凹み50及び孔24によって上下方向に凹凸が繰り返される波形状になっている。モールド成形部40は、凹み50及び孔24の内部に入り込んでいる。
【0025】
例えば、ハウジング20とモールド成形部40の線膨張係数が異なる場合、これらの間に熱収縮差が生じる。ハウジング20とモールド成形部40との間では、モールド成形後の冷却や使用環境に起因する冷却によって、熱収縮による剥離が生じるおそれがある。そこで、ハウジング20におけるモールド成形部40との接合面20Aのうち背面21Cに凹み50を設けた。背面21Cに凹み50を形成することで、背面21Cのうち凹み50が形成されていない平面領域および形成領域ARに沿った上下方向及び左右方向において、熱変形時のハウジング20の収縮量を小さくすることができる。そのため、背面21Cのうち凹み50が形成されていない平面領域および形成領域ARに沿う方向において、ハウジング20に生じる応力が小さくなる。そのため、ハウジング20とモールド成形部40との接合面20Aにおける剥離を抑制することができる。接合面20Aのうち、ハウジング20の応力が低減される方向と直交する被覆部21Bにおいて、剥離の抑制効果が高い。
【0026】
特に、凹み50が保持部21の背面21Cに設けられているため、背面21Cのモールド成形部40からの剥離が抑制される。そのため、ハウジング20の背面21Cの防水性が保たれ、浸水等による端子金具30間の短絡等の発生を抑制できる。さらに、凹み50が背面21Cにおいて形成領域AR(
図5参照)を全周に亘って囲むように設けられているため、背面21Cにおける端子金具30の周囲の防水性をより一層高めることができる。
【0027】
(本実施例の効果)
以上のように、本開示のコネクタ10によれば、ハウジング20におけるモールド成形部40との接合面20Aに凹み50が設けられている。これにより、熱変形時にモールド成形部40との接合面20Aに沿う方向の収縮量が小さくなり、接合面20Aに沿う方向の応力が小さくなる。そのため、ハウジング20とモールド成形部40との接合面20Aにおける剥離を抑制することができる。
【0028】
本開示のコネクタ10によれば、端子金具30は、保持部21を貫通し、保持部21の背面21C側とフード22側に突出する。凹み50は、保持部21の背面21Cに設けられている。これにより、ハウジング20の背面21Cに端子金具30が貫通し、その背面21Cのモールド成形部40からの剥離が、凹み50によって抑制される。そのため、ハウジング20の背面21Cの防水性が保たれ、浸水等による端子金具30間の短絡等の発生を抑制できる。
【0029】
本開示のコネクタ10によれば、凹み50は、背面21Cにおける端子金具30の周囲に設けられている。これにより、保持部21の背面21Cにおいて、端子金具30の周囲におけるモールド成形部40の剥離を抑制することができる。そのため、保持部21の背面21Cにおける端子金具30の周囲の防水性をより一層高めることができる。
【0030】
本開示のコネクタ10によれば、凹み50は、背面21Cにおける複数の端子金具30の形成領域ARを全周に亘って囲むように設けられている。これにより、保持部21の背面21Cにおいて、端子金具30の周囲におけるモールド成形部40の剥離をより一層抑制することができる。
【0031】
[実施例2]
図8~
図10は、実施例2のコネクタを説明する図面である。実施例2は、凹部の構成が実施例1と異なっている。それ以外の構成は、実施例1と同じであり、詳しい説明を省略する。
【0032】
本開示のコネクタを具体化した実施例2のコネクタ210を、
図8~
図20を参照して説明する。本実施例2において、上下の方向については、
図8、
図10にあらわれる向きを、そのまま上方、下方と定義する。前後の方向については、
図9,10にあらわれる右方、左方を、それぞれ前方、後方と定義する。左右の方向は、
図8にあらわれる右方、左方を、それぞれ左方、右方と定義する。
【0033】
図8に示すように、ハウジング20におけるモールド成形部40との接合面20Aに、4つの凹み251,252,253,254が設けられている。凹み50は、背面21Cにおける端子金具30の周囲に設けられている。凹み251,252,253,254は、後方から見て四角形状である。凹み251,252,253,254は、
図10に示すように、左右方向から見た断面で、前方に向かって幅狭になる台形状である。一対の凹み251,253は、
図8に示すように、背面21Cにおける右寄りの位置で、上下方向に並んで配されている。一対の凹み251,253は、右側の端子金具30を挟むように位置している。一対の凹み252,254は、背面21Cにおける左寄りの位置で、上下方向に並んで配されている。一対の凹み252,254は、左側の端子金具30を挟むように位置している。凹み251,252,253,254は、背面31Cにおいて中心の端子金具30を囲むように点在している。モールド成形部40は、凹み251,252,253,254の内部に入り込んでいる。
【0034】
ハウジング20におけるモールド成形部40との接合面20Aに凹み251,252,253,254を設けることで、熱変形時に接合面20Aに沿う方向のハウジング20の収縮量を小さくすることができる。そのため、ハウジング20における接合面20Aに沿う方向の応力が小さくなる。そのため、ハウジング20とモールド成形部40との接合面20Aにおける剥離を抑制することができる。
【0035】
特に、凹み251,252,253,254が保持部21の背面21Cに設けられているため、背面21Cのモールド成形部40からの剥離が抑制される。そのため、ハウジング20の背面21Cの防水性が保たれ、浸水等による端子金具30間の短絡等の発生を抑制できる。さらに、一対の凹み251,253が右側の端子金具30を挟むように位置しているため、背面21Cにおいて右側の端子金具30を挟むように、接合面20Aに沿う方向の応力が小さくなる箇所が生じる。同様に、一対の凹み252,254が左側の端子金具30を挟むように位置しているため、背面21Cにおいて左側の端子金具30を挟むように、接合面20Aに沿う方向の応力が小さくなる箇所が生じる。以上により、端子金具30の周辺におけるモールド成形部40の剥離を抑制し易くなる。
【0036】
保持部21の背面21Cの左右両縁付近には、
図8、
図9に示すように、それぞれ第1肉抜き部21Dが設けられている。第1肉抜き部21Dは、左右方向で孔24と重なる位置にある。第1肉抜き部21Dは、後方から見て三角形状である。
【0037】
保持部21の前面には、
図9、
図10に示すように、後方に凹む4つの第2肉抜き部21Eが設けられている。上側の一対の第2肉抜き部21Eは、3つの孔24の上側に設けられている。下側の一対の第2肉抜き部21Eは、3つの孔24の下側に設けられている。
【0038】
[他の実施例]
本発明は、上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示される。本発明には、特許請求の範囲と均等の意味及び特許請求の範囲内でのすべての変更が含まれ、下記のような実施形態も含まれることが意図される。
上記実施例1,2とは異なり、
図11に示す配置で、背面21Cに3つ以上の凹み350が設けられていてもよい。
図11は、保持部21の背面21Cにおいて、孔24付近の構造を後方から見た説明図である。
図11に示すように、3つの凹み350は、背面21Cにおいて端子金具30を囲むように点在するように配されていてもよい。
上記実施例1,2では、凹み50が保持部21の背面21Cに設けられる構成を例示したが、接合面20Aにおけるその他の位置に設けられていてもよい。例えば、凹み50は、保持部21の外周面(被覆部21B)や延出部23に設けられていてもよい。
上記実施例1では、凹み50が背面21Cにおいて複数の端子金具30の形成領域ARを全周に亘って囲むように設けられていたが、形成領域ARの周囲の一部に設けられていてもよい。
上記実施例2では、一対の凹み251,253、及び一対の凹み252,254がそれぞれ上下方向で端子金具30を挟むように配されていたが、その他の方向(左右方向等)で端子金具30を挟むように配されていてもよい。
【符号の説明】
【0039】
10…コネクタ
20…ハウジング
20A…接合面
21…保持部
21A…露出部
21B…被覆部
21C…背面(後面)
21D…第1肉抜き部
21E…第2肉抜き部
22…フード
22A…ロック突起
23…延出部
23A…延出片
23B…突出部
24…孔
30…端子金具
31…相手接続部
31C…背面
32…中間部
33…基板接続部
34,35…係止片
40…モールド成形部
50…凹み
70…回路基板
71…孔
210…コネクタ
251,252,253,254…凹み
350…凹み
AR…形成領域