(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023030307
(43)【公開日】2023-03-08
(54)【発明の名称】警告装置、警告方法、及び、警告プログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20230301BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20230301BHJP
B66F 9/24 20060101ALI20230301BHJP
G08B 21/00 20060101ALI20230301BHJP
【FI】
G08G1/16 D
G08G1/00 J
B66F9/24 C
B66F9/24 Z
G08B21/00 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021135364
(22)【出願日】2021-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼森 徹示
【テーマコード(参考)】
3F333
5C086
5H181
【Fターム(参考)】
3F333AA02
3F333AB13
3F333FA11
3F333FD12
3F333FD20
3F333FE05
5C086AA46
5C086AA54
5C086BA22
5C086CA25
5C086CA28
5C086CB36
5C086FA06
5C086FA18
5H181AA07
5H181BB02
5H181BB04
5H181CC04
5H181CC27
5H181LL07
5H181LL08
5H181LL16
(57)【要約】
【課題】過去にイベントが検出された場所に限らず、車両が路面を走行する際の危険性について評価を行い、車両のユーザ又は管理者に適切に警告を発することができる、警告装置、警告方法、及び、警告プログラムを提供する。
【解決手段】警告装置、警告方法、及び、警告プログラムによれば、荷物積載部を有する車両が走行する路面上における警戒領域の状態、及び、荷物積載部の状態を表す状態データであって、警戒領域、又は、警戒領域の近傍に存在する第1標識の有無を示す情報を含む、状態データを取得する。状態データに基づいて、警戒領域又は荷物積載部が、報知対象状態と、報知対象状態とは区別される非報知対象状態、のいずれの状態にあるかを判定する際に、第1標識が有る場合に、警戒領域が非報知対象状態であると判定する。そして、警戒領域又は荷物積載部が報知対象状態にあると判定された場合に報知を行う。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物積載部を有する車両が走行する路面上における警戒領域の状態、及び、前記荷物積載部の状態を表す状態データが入力される入力部と、
前記状態データに基づいて、前記警戒領域又は前記荷物積載部が、報知対象状態と、前記報知対象状態とは区別される非報知対象状態、のいずれの状態にあるかを判定するコントローラと、
前記車両の周囲を撮像して得られた画像に基づいて、前記警戒領域、又は、前記警戒領域の近傍に存在する第1標識を検出し、前記第1標識の有無を示す情報を前記状態データとして送信する第1標識検出部と、
ユーザに報知を行う報知部と、
を備える警告装置であって、
前記コントローラは、
前記第1標識検出部によって前記第1標識が検出される場合に、前記警戒領域が前記非報知対象状態であると判定し、
前記報知部は、前記警戒領域又は前記荷物積載部が前記報知対象状態にあると判定された場合に報知を行う、警告装置。
【請求項2】
前記車両の周囲を撮像して得られた画像に基づいて、前記警戒領域、又は、前記警戒領域の近傍に存在する第2標識を検出し、前記第2標識の有無を示す情報を前記状態データとして送信する第2標識検出部と、
前記荷物積載部の高さを検出し、前記高さを示す情報を前記状態データとして送信する計測部と、を更に備え、
前記コントローラは、
前記第2標識検出部によって前記第2標識が検出された場合に、前記高さが所定高さ以上であるか否かを判定し、
前記高さが前記所定高さ以上であると判定された場合に、前記荷物積載部が前記報知対象状態であると判定する、請求項1に記載の警告装置。
【請求項3】
前記車両の周囲を撮像して得られた画像に基づいて、前記警戒領域、又は、前記警戒領域の近傍に存在する段差又は傾斜を検出し、前記段差又は前記傾斜の有無を示す情報を前記状態データとして送信する路面障害検出部を更に備え、
前記コントローラは、
前記路面障害検出部によって前記段差又は前記傾斜が検出された場合に、前記警戒領域が前記報知対象状態であると判定する、請求項1又は2に記載の警告装置。
【請求項4】
前記入力部には、前記警戒領域に隣接する荷台を検出する荷台検出部から、前記荷台の有無を示す情報が前記状態データとして入力され、
前記コントローラは、前記荷台検出部によって前記荷台が検出される場合に、前記警戒領域が前記非報知対象状態であると判定する、請求項1~3のいずれか一項に記載の警告装置。
【請求項5】
前記コントローラは、前記警戒領域又は前記荷物積載部が前記報知対象状態にあると判定された場合に、前記車両を停止させる、請求項1~4のいずれか一項に記載の警告装置。
【請求項6】
前記コントローラは、前記警戒領域又は前記荷物積載部が前記報知対象状態にあると判定された場合に、前記荷物積載部の制御を停止させる、請求項1~5のいずれか一項に記載の警告装置。
【請求項7】
前記車両の位置を表す車両位置データを取得する位置検出部と、
前記警戒領域又は前記荷物積載部が前記報知対象状態にあると判定された場合に、前記車両位置データを記憶する記憶部と、を更に備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の警告装置。
【請求項8】
コンピュータによって実行される警告方法であって、
荷物積載部を有する車両が走行する路面上における警戒領域の状態、及び、前記荷物積載部の状態を表す状態データであって、前記警戒領域、又は、前記警戒領域の近傍に存在する第1標識の有無を示す情報を含む、前記状態データを取得し、
前記状態データに基づいて、前記警戒領域又は前記荷物積載部が、報知対象状態と、前記報知対象状態とは区別される非報知対象状態、のいずれの状態にあるかを判定する際に、前記第1標識が有る場合に、前記警戒領域が前記非報知対象状態であると判定し、
前記警戒領域又は前記荷物積載部が前記報知対象状態にあると判定された場合に報知を行う、警告方法。
【請求項9】
荷物積載部を有する車両が走行する路面上における警戒領域の状態、及び、前記荷物積載部の状態を表す状態データであって、前記警戒領域、又は、前記警戒領域の近傍に存在する第1標識の有無を示す情報を含む、前記状態データを取得し、
前記状態データに基づいて、前記警戒領域又は前記荷物積載部が、報知対象状態と、前記報知対象状態とは区別される非報知対象状態、のいずれの状態にあるかを判定する際に、前記第1標識が有る場合に、前記警戒領域が前記非報知対象状態であると判定し、
前記警戒領域又は前記荷物積載部が前記報知対象状態にあると判定された場合に報知を行う処理を、コンピュータに実行させるための警告プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、警告装置、警告方法、及び、警告プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示される技術によれば、過去に検出されたイベント毎に少なくとも位置及び加速度の情報を含む所定の車両に関するデータを、加速度の大きさに基づいて危険度グループごとに分類する。そして、処理対象のイベントデータについて、急減速状態又は急旋回状態を表す情報が含まれているか否かを識別し、その結果に基づき、危険度の区分および危険地点の位置を表す情報を含むハザードマップ情報を生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示される技術は、過去に検出されたイベント(急加減速)により、危険地点を抽出している。そのため、実際にイベントが発生した場所以外において、車両が走行する際の危険度の評価を行うことができない。
【0005】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、過去にイベントが検出された場所に限らず、車両が路面を走行する際の危険性について評価を行い、車両のユーザ又は管理者に適切に警告を発することができる、警告装置、警告方法、及び、警告プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一の態様に係る警告装置は、荷物積載部を有する車両が走行する路面上における警戒領域の状態、及び、荷物積載部の状態を表す状態データが入力される入力部と、 状態データに基づいて、警戒領域又は荷物積載部が、報知対象状態と、報知対象状態とは区別される非報知対象状態、のいずれの状態にあるかを判定するコントローラと、車両の周囲を撮像して得られた画像に基づいて、警戒領域、又は、警戒領域の近傍に存在する第1標識を検出し、第1標識の有無を示す情報を状態データとして送信する第1標識検出部と、ユーザに報知を行う報知部と、を備える警告装置。コントローラは、第1標識検出部によって第1標識が検出される場合に、警戒領域が非報知対象状態であると判定し、報知部は、警戒領域又は荷物積載部が報知対象状態にあると判定された場合に報知を行う。
【0007】
本発明の第二の態様に係る警告方法は、コンピュータによって実行され、荷物積載部を有する車両が走行する路面上における警戒領域の状態、及び、荷物積載部の状態を表す状態データであって、警戒領域、又は、警戒領域の近傍に存在する第1標識の有無を示す情報を含む、状態データを取得する。状態データに基づいて、警戒領域又は荷物積載部が、報知対象状態と、報知対象状態とは区別される非報知対象状態、のいずれの状態にあるかを判定する際に、第1標識が有る場合に、警戒領域が非報知対象状態であると判定する。そして、警戒領域又は荷物積載部が報知対象状態にあると判定された場合に報知を行う。
【0008】
本発明の第三の態様に係る警告プログラムは、荷物積載部を有する車両が走行する路面上における警戒領域の状態、及び、荷物積載部の状態を表す状態データであって、警戒領域、又は、警戒領域の近傍に存在する第1標識の有無を示す情報を含む、状態データを取得する処理を、コンピュータに実行させる。状態データに基づいて、警戒領域又は荷物積載部が、報知対象状態と、報知対象状態とは区別される非報知対象状態、のいずれの状態にあるかを判定する際に、第1標識が有る場合に、警戒領域が非報知対象状態であると判定する処理を、コンピュータに実行させる。そして、警戒領域又は荷物積載部が報知対象状態にあると判定された場合に報知を行う処理を、コンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、過去にイベントが検出された場所に限らず、車両が路面を走行する際の危険性について評価を行い、車両のユーザ又は管理者に適切に警告を発することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態に係る警告装置が適用されるフォークリフトを示す側面図である。
【
図2】本実施形態に係る警告装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】本実施形態に係る警告装置の処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、図面を参照して、本実施形態に係る警告装置を詳細に説明する。説明において、同一のものには同一符号を付して重複説明を省略する。
【0012】
[車両の構成例]
図1を参照して、本実施形態に係る警告装置が適用されるフォークリフトFについて説明する。
図1は、本実施形態に係る警告装置が適用されるフォークリフトを示す側面図である。
【0013】
フォークリフトF(車両)は、昇降するフォーク部51、バックレスト部52、マスト部53、走行用車輪である前輪、駆動輪である後輪等を備えている。
【0014】
フォークリフトFは、ガソリンエンジン等の内燃機関を駆動源とするエンジン車であってもよいし、発電機等から充電可能な二次電池(バッテリ)などから供給される電力で駆動される電動モータを駆動源とするバッテリ車であってもよい。
【0015】
フォーク部51、バックレスト部52は、フォークリフトFの車体に固定されたマスト部53に対して上下動可能なように取り付けられている。フォーク部51及びマスト部53を合わせて、荷物積載部と称する。
【0016】
フォーク部51及びマスト部53を支持するマスト部53の上方には、車載カメラCM1が設けられている。車載カメラCM1は、フォークリフトFの前方(前方の路面及び標識を含む)を撮像する。また、フォークリフトFの後部上方には、車載カメラCM2が設けられている。車載カメラCM2は、フォークリフトFの後方(後方の路面及び標識を含む)を撮像する。
【0017】
車載カメラCM1、車載カメラCM2が設けられる位置は、フォークリフトFの周囲の路面及び標識を撮像可能であればよく、ここで挙げた例に限定されない。また、車載カメラCM1、及び、車載カメラCM2は、フォークリフトFの側方(側方の路面及び標識を含む)を撮像するものであってもよい。
【0018】
フォークリフトFの車体には、フォーク部51及びバックレスト部52の高さを検出し、高さを示す情報を状態データとして送信する計測部11が取り付けられている。なお、計測部11が検出する高さは、フォークリフトFの車体が走行する路面を基準とする高さであってもよいし、フォークリフトFの車体を基準とする高さであってもよい。フォーク部51及びバックレスト部52の高さを示す情報は、荷物積載部の状態を表す状態データである。
【0019】
その他、フォークリフトFの車体には、移動時の加速度(前後G、左右Gおよび上下G)を検出する加速度センサ(Gセンサ)が取り付けられていてもよい。計測部11は、加速度センサを含んでもよい。
【0020】
また、フォークリフトFの車体には、フォークリフトFの車両位置を取得する位置センサ(位置検出部)が取り付けられていてもよい。例えば、位置センサはGPSセンサであってもよい。GPSセンサは、複数のGPS(Global Positioning System)衛星からの電波を受信し、所定の計算処理を行って受信信号からフォークリフトFの現在位置を表す緯度、経度の情報を取得する。これにより、フォークリフトFの車両位置を車両位置データとして取得することができる。計測部11は、位置センサを含んでもよい。
【0021】
フォークリフトFのオペレータ(運転者)は、ステアリング71、変速レバー72および図示されないアクセルペダル、ブレーキペダル等のペダル等を操作する。当該操作によって、フォーク部51の昇降、フォークリフトFの前進、後退、右折、左折等の動作を行わせて荷役作業等を行う。
【0022】
本実施形態に係る警告装置が適用される車両は、フォークリフトFに限定されない。車両は、工場、倉庫等の構内などにおいて荷物、製品等の積み降ろしや搬送等を行う車両であってもよい。
【0023】
[警告装置の構成例]
図2を参照して、本実施形態に係る警告装置1の構成等について説明する。
図2は、本実施形態に係る警告装置の構成の一例を示すブロック図である。警告装置1は、例えば、フォークリフトFに搭載されるものであってもよいし、フォークリフトFのユーザ又は管理者が携帯する端末に搭載されるものであってもよい。
【0024】
図2に示すように、警告装置1は、入力部21と、コントローラ100と、報知部400とを備える。その他、警告装置1は、計測部11と、データベース15(記憶部)と、標識検出部17(第1標識検出部、第2標識検出部)と、路面障害検出部19と、を備えるものであってもよい。計測部11はフォークリフトFに搭載されるが、データベース15、標識検出部17、路面障害検出部19は、フォークリフトFに搭載されるものであってもよいし、フォークリフトFの外部に設置されるものであってもよい。
【0025】
計測部11、データベース15、標識検出部17は、入力部21と接続され、入力部21、報知部400は、コントローラ100と接続される。ここで、「接続」とは、有線又は無線のいずれの方式による接続であってもよい。
【0026】
計測部11は、フォーク部51及びバックレスト部52の高さを検出し、高さを示す情報を状態データとして送信する。また、計測部11は、フォークリフトFの車両位置を計測し、計測した車両位置の情報を車両位置データとして送信するものであってもよい。その他、計測部11は、フォークリフトFの加速度を計測し、計測した加速度の情報を加速度データとして送信するものであってもよい。
【0027】
データベース15(記憶部)は、フォークリフトFが走行する路面上における警戒領域に関する情報を記憶する。警戒領域に関する情報とは、例えば、位置の情報を含む。例えば、データベース15に記憶する警戒領域は、事前にフォークリフトFのユーザ又は管理者によって設定されていてもよい。例えば、警戒領域として、フォークリフトFが走行する路面の一部の領域が設定されるものであってもよいし、フォークリフトFが走行する路面の全体の領域が設定されるものであってもよい。
【0028】
また、データベース15に記憶する警戒領域は、後述する路面障害検出部19によって検出された段差箇所又は傾斜箇所を含む領域であってもよい。データベース15は、特定の1台の路面障害検出部19によって検出した段差箇所又は傾斜箇所を含む領域のみならず、複数台の路面障害検出部19によって検出した段差箇所又は傾斜箇所を含む領域を記憶するものであってもよい。
【0029】
警戒領域として、例えば、プラットホーム(トラックの荷台を横付けする場所)、エレベーターの出入口、倉庫内の仕切り部や吊り下げ照明など、天井高が低い領域などが挙げられる。その他、警戒領域には、フォークリフトFが走行する際に注意が必要な場所が含まれる。例えば、フォークリフトFのユーザ又は管理者は、フォークリフトFが走行する際に注意が必要な場所を、警戒領域として事前にデータベース15に登録してもよい。警戒領域は、ここに挙げた例に限定されない。
【0030】
その他、データベース15は、後述するコントローラ100によって警戒領域又は荷物積載部が報知対象状態にあると判定された場合に、フォークリフトFの位置を示す車両位置データを記憶するものであってもよい。
【0031】
データベース15に記憶された警戒領域に関する情報は、必要に応じて入力部21に送信される。
【0032】
標識検出部17(第1標識検出部、第2標識検出部)は、車載カメラCM1又は車載カメラCM2によって撮像した画像に基づいて、フォークリフトFの周囲の標識(第1標識、第2標識)を検知する。そして、標識検出部17は、警戒領域、又は、警戒領域の近傍に存在する標識を検出し、標識の有無を示す情報を状態データとして送信する。
【0033】
なお、標識は、路面に設置される場合もあれば、建物やトラックの荷台などの壁に設置される場合もある。以下、
図4~6を参照しながら、標識の例を示す。
【0034】
図4及び
図5において、警戒領域であるプラットホームPF上にフォークリフトFが位置する様子が示されている。
図4には、第1標識の例として、エレベーターのケージCG内に設置される標識MK1、標識MK2が示されている。標識MK1は、ケージCGの内側底面に設置され、標識MK2は、ケージCGの内側壁面に設置されている。また、
図5には、第1標識の例として、トラックの荷台TDに設置される標識MK3が示されている。標識MK3は、荷台TDの床面に設置されている。
【0035】
図3において、プラットホームPFに隣接してケージCGが位置する場合(ケージCGがフォークリフトFと同じフロアに停車する場合など)には、フォークリフトFはケージCG内に向けて走行することができる。しかしながら、プラットホームPFに隣接してケージCGが位置していない場合(ケージCGがフォークリフトFとは別のフロアに停車する場合など)には、フォークリフトFはケージCG内に向けて走行することができない。プラットホームPFに隣接してケージCGが位置するか否かは、標識MK1、標識MK2を標識検出部17が検出できたか否かによって判定することができる。
【0036】
図5において、プラットホームPFに隣接して荷台TDが位置する場合(トラックがプラットホームPFに対して、所定距離範囲内で横付けされている場合など)には、フォークリフトFは荷台TD内に向けて走行することができる。しかしながら、プラットホームPFに隣接して荷台TDが位置していない場合(トラックがプラットホームPFに対して、所定距離範囲内で横付けされていない場合など)には、フォークリフトFは荷台TD内に向けて走行することができない。プラットホームPFに隣接して荷台TDが位置するか否かは、標識MK3を標識検出部17が検出できたか否かによって判定することができる。
【0037】
なお、プラットホームPFに隣接して荷台TDが位置するか否かは、プラットホームPFに設置した、図示しない荷台検出部によって検出してもよい。例えば、荷台検出部は、トラック又は荷台TDとプラットホームPFの間の距離を、非接触通信、光ビーコンなどの手法により測定するものであってもよい。そして、トラック又は荷台TDとプラットホームPFの間の距離が所定距離以下である場合に、荷台検出部は、プラットホームPFに隣接して荷台TDが位置すると判定してもよい。
【0038】
図6には、第2標識の例として、天井高が低い領域RGへの出入口TGの近傍に設置される標識MK4が示されている。標識MK4は、天井高が低い領域RGの外側に配置されている。
【0039】
図6において、フォークリフトFのフォーク部51、バックレスト部52が所定高さ以上である場合、フォーク部51、バックレスト部52、又は、フォーク部51に積載した荷物が、出入口TGの上部、又は、領域RGの天井に接触する恐れがある。フォークリフトFが、天井高が低い領域RGに接近していることは、標識MK4を標識検出部17が検出できたか否かによって判定することができる。
【0040】
その他、標識を設置する際の方法としては、設置場所に板状の標識を取り付ける方法の他、印字、貼付などの種々の方法を採用することができる。
【0041】
なお、車載カメラCM1又は車載カメラCM2によって撮像した画像を画像解析する際に、標識の形状および色彩は、画像に映りこむ他の物体の形状および色彩から識別しやすい形状および色彩であればよい。標識の形状および色彩は、上述した例に限定されない。
【0042】
路面障害検出部19は、車載カメラCM1又は車載カメラCM2によって撮像した画像に基づいて、フォークリフトFの周囲の路面における段差箇所又は傾斜箇所を検知する。例えば、路面障害検出部19は、画像解析に基づいて段差箇所又は傾斜箇所を検知するものであってもよい。路面障害検出部19は、検知した段差箇所又は傾斜箇所を表す、状態データを生成する。路面の状態データには、段差箇所での段差の大きさ、傾斜箇所での傾斜の大きさが含まれる。路面の状態データは入力部21に送信される。
【0043】
路面障害検出部19は、フォークリフトFに搭載した3次元レーザー計測装置によって取得されたフォークリフトFの周囲の路面の形状を表す点群データに基づいて、路面の状態データを生成するものであってもよい。
【0044】
入力部21は、計測部11、データベース15、標識検出部17、路面障害検出部19から送信された情報を取得する。入力部21が取得した各種の情報は、コントローラ100に送信される。
【0045】
報知部400は、後述するコントローラ100によって、警戒領域又は荷物積載部が報知対象状態にあると判定された場合に、ユーザに対して報知を行う。
【0046】
例えば、警戒領域が報知対象状態であると判定された場合には、報知部400は、「進行方向への走行注意」といったユーザへの注意・警告を伝えるメッセージを報知するものであってもよい。荷物積載部が報知対象状態であると判定された場合には、報知部400は、「進行方向に高さ制限あり」といったユーザへの注意・警告を伝えるメッセージを報知するものであってもよい。
【0047】
報知部400は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどであってもよい。報知部400は、各種の情報を視覚情報によって情報を提示するものに限定されない。
【0048】
報知部400は、聴覚情報によってユーザに情報を提示するものであってもよいし、振動を発生させて、振動による刺激によってユーザに情報を提示するものであってもよい。例えば、報知部400は、音を生成し発するための音源、アンプ、スピーカなどであってもよい。
【0049】
コントローラ100は、CPU(中央処理装置)、メモリ、及び入出力部を備える汎用のマイクロコンピュータである。コントローラ100には、警告装置1の一部として機能するためのコンピュータプログラム(警告プログラム)がインストールされている。コンピュータプログラムを実行することにより、コントローラ100は、複数の情報処理回路(120、141、143)として機能する。
【0050】
なお、ここでは、ソフトウェアによってコントローラ100が備える複数の情報処理回路(120、141、143)を実現する例を示す。ただし、以下に示す各情報処理を実行するための専用のハードウェアを用意して、情報処理回路(120、141、143)を構成することも可能である。また、複数の情報処理回路(120、141、143)を個別のハードウェアにより構成してもよい。
【0051】
コントローラ100は、複数の情報処理回路(120、141、143)として、位置取得部120、領域状態判定部141、稼働状態判定部143を備える。
【0052】
位置取得部120は、入力部21を介して、フォークリフトFの車両位置を取得する。例えば、位置取得部120は、位置センサによって取得された、フォークリフトFの位置情報に基づいて、フォークリフトFの車両位置を取得するものであってもよい。また、位置取得部120は、車輪の回転数に基づいてオドメトリによってフォークリフトFの車両位置を取得するものであってもよい。
【0053】
領域状態判定部141は、状態データに基づいて、警戒領域が報知対象状態にあるか、報知対象状態とは区別される非報知対象状態にあるかを判定する。例えば、領域状態判定部141は、標識検出部17によって第1標識が検出される場合に、警戒領域が非報知対象状態にあると判定する。
【0054】
図4に示した例によれば、領域状態判定部141は、標識検出部17によって標識MK1、又は、標識MK2が検出される場合に、警戒領域であるプラットホームPFが非報知対象状態にあると判定する。すなわち、プラットホームPFに隣接してケージCGが位置していない場合に、領域状態判定部141は、プラットホームPFが報知対象状態にあると判定し、プラットホームPFに隣接してケージCGが位置する場合に、領域状態判定部141は、プラットホームPFが非報知対象状態にあると判定する。
【0055】
また、
図5に示した例によれば、領域状態判定部141は、標識検出部17によって標識MK3が検出される場合に、警戒領域であるプラットホームPFが非報知対象状態にあると判定する。すなわち、プラットホームPFに隣接して荷台TDが位置していない場合に、領域状態判定部141は、プラットホームPFが報知対象状態にあると判定し、プラットホームPFに隣接して荷台TDが位置する場合に、領域状態判定部141は、プラットホームPFが非報知対象状態にあると判定する。
【0056】
領域状態判定部141は、図示しない荷台検出部によってプラットホームPFに隣接する荷台TDが検出される場合に、プラットホームPFが非報知対象状態にあると判定するものであってもよい。
【0057】
その他、領域状態判定部141は、路面障害検出部19によって警戒領域において段差又は傾斜が検出された場合に、当該警戒領域が報知対象状態であると判定するものであってもよい。
【0058】
稼働状態判定部143は、状態データに基づいて、荷物積載部が報知対象状態にあるか否かを判定する。例えば、稼働状態判定部143は、標識検出部17によって第2標識が検出された場合に、状態データに基づいて、荷物積載部が報知対象状態にあるか否かを判定する。
【0059】
図6に示した例によれば、稼働状態判定部143は、天井高が低い領域RGへの出入口TGの近傍に設置される標識MK4が検出された場合に、荷物積載部の高さが所定高さ以上であるか否かを判定する。そして、稼働状態判定部143は、荷物積載部の高さが所定高さ以上である場合に、荷物積載部が報知対象状態にあると判定する。
【0060】
ここで、所定高さは領域RGの天井高よりも低く設定される。所定高さは、事前にフォークリフトFのユーザ又は管理者によって設定され、データベース15に警戒領域に関連付けて記憶されるものであってもよい。また、所定高さは、警戒領域に関わらずに一律に同じ値に設定されてもよい。
【0061】
その他、領域状態判定部141及び稼働状態判定部143は、警戒領域又は荷物積載部が報知対象状態にあると判定された場合に、フォークリフトFを停止させる制御を行うものであってもよい。また、領域状態判定部141及び稼働状態判定部143は、警戒領域又は荷物積載部が報知対象状態にあると判定された場合に、フォーク部51及びバックレスト部52の制御を停止させるものであってもよい。
【0062】
[警告装置の処理手順]
次に、本実施形態に係る車両操作状態検知装置の処理手順を、
図3のフローチャートを参照して説明する。
【0063】
なお、
図3のフローチャートに示す処理は、フォークリフトFのイグニッションがオンされると開始し、イグニッションがオンとなっている間、繰り返し実行されるものであってもよい。また、
図3のフローチャートに示す処理は、フォークリフトFが、警戒領域を通過する場合、又は、警戒領域まで所定距離の範囲内を通過する場合に、実行されるものであってもよい。
【0064】
図3は、本実施形態に係る警告装置の処理の一例を示すフローチャートである。ステップS101において、入力部21は、データベース15から警戒領域の位置を取得する。
【0065】
ステップS103において、入力部21は、計測部11、標識検出部17、路面障害検出部19から、状態データを取得する。
【0066】
ステップS105において、領域状態判定部141は、警戒領域が報知対象状態であるか否かを判定する。警戒領域が報知対象状態であると判定された場合(ステップS105でYESの場合)には、ステップS109に進み、警戒領域が報知対象状態でないと判定された場合(ステップS105でNOの場合)には、ステップS107に進む。
【0067】
ステップS107において、稼働状態判定部143は、荷物積載部が報知対象状態であるか否かを判定する。荷物積載部が報知対象状態であると判定された場合(ステップS107でYESの場合)には、ステップS109に進み、荷物積載部が報知対象状態でないと判定された場合(ステップS107でNOの場合)には、処理を終了する。
【0068】
ステップS109において、報知部400は、警戒領域又は荷物積載部が報知対象状態にあることを、ユーザに対して報知する。その後、処理を終了する。
【0069】
[実施形態の効果]
以上詳細に説明したように、本実施形態に係る警告装置、警告方法、及び、警告プログラムによれば、荷物積載部を有する車両が走行する路面上における警戒領域の状態、及び、荷物積載部の状態を表す状態データを取得する。そして、状態データに基づいて、警戒領域又は荷物積載部が、報知対象状態と、報知対象状態とは区別される非報知対象状態、のいずれの状態にあるかを判定し、警戒領域又は荷物積載部が報知対象状態にあると判定された場合に、ユーザに報知を行う。
【0070】
これにより、過去にイベントが検出された場所に限らず、車両が路面を走行する際の危険性について評価を行い、車両のユーザ又は管理者に適切に警告を発することができる。特に、警戒領域又は荷物積載部が報知対象状態にある場合に、車両の転倒危険性、又は、障害物に車両が衝突する危険性があるとして、事前に警告を発することができる。
【0071】
また、本実施形態に係る警告装置、警告方法、及び、警告プログラムによれば、車両の周囲を撮像して得られた画像に基づいて、警戒領域、又は、警戒領域の近傍に存在する第1標識を検出するものであってもよい。そして、第1標識が検出される場合に、警戒領域が非報知対象状態であると判定するものであってもよい。これにより、車両の転倒危険性がある場合に、事前に警告を発することができる。また、第1標識を設置した個所において、第1標識が抽出できない場合以外には報知が行われないため、車両のユーザ又は管理者に対して、危険性がないにも関わらず警告が発せられてしまうことを抑制することができる。
【0072】
さらに、本実施形態に係る警告装置、警告方法、及び、警告プログラムによれば、車両の周囲を撮像して得られた画像に基づいて、警戒領域、又は、警戒領域の近傍に存在する第2標識を検出するものであってもよい。また、第2標識が検出された場合に、荷物積載部の高さが所定高さ以上であるか否かを判定するものであってもよい。そして、荷物積載部の高さが所定高さ以上であると判定された場合に、荷物積載部が報知対象状態であると判定するものであってもよい。これにより、障害物に車両が衝突する危険性がある場合に、事前に警告を発することができる。また、荷物積載部の高さが所定高さ以上である場合以外には報知が行われないため、車両のユーザ又は管理者に対して、危険性がないにも関わらず警告が発せられてしまうことを抑制することができる。
【0073】
また、本実施形態に係る警告装置、警告方法、及び、警告プログラムによれば、車両の周囲を撮像して得られた画像に基づいて、警戒領域、又は、警戒領域の近傍に存在する段差又は傾斜を検出するものであってもよい。そして、段差又は傾斜が検出された場合に、警戒領域が報知対象状態であると判定するものであってもよい。これにより、車両の転倒危険性がある場合に、事前に警告を発することができる。
【0074】
さらに、本実施形態に係る警告装置、警告方法、及び、警告プログラムによれば、警戒領域に隣接する荷台を検出する荷台検出部から、荷台の有無を示す情報を取得するものであってもよい。そして、荷台検出部によって荷台が検出される場合に、警戒領域が非報知対象状態であると判定するものであってもよい。これにより、車両の転倒危険性がある場合に、事前に警告を発することができる。また、隣接して荷台を設置することが可能な警戒領域において、荷台検出部によって荷台が検出されない場合以外には報知が行われないため、車両のユーザ又は管理者に対して、危険性がないにも関わらず警告が発せられてしまうことを抑制することができる。
【0075】
また、本実施形態に係る警告装置、警告方法、及び、警告プログラムによれば、警戒領域又は荷物積載部が報知対象状態にあると判定された場合に、車両を停止させてもよい。これにより、報知対象状態のまま車両が走行して、車両の転倒危険性、又は、障害物に車両が衝突する危険性が増大してしまうことを抑制できる。
【0076】
さらに、本実施形態に係る警告装置、警告方法、及び、警告プログラムによれば、警戒領域又は荷物積載部が報知対象状態にあると判定された場合に、荷物積載部の制御を停止させてもよい。報知対象状態のまま車両が走行して、車両の転倒危険性、又は、障害物に車両が衝突する危険性が増大してしまうことを抑制できる。
【0077】
また、本実施形態に係る警告装置、警告方法、及び、警告プログラムによれば、車両の位置を表す車両位置データを取得して、警戒領域又は荷物積載部が報知対象状態にあると判定された場合に、車両位置データを記憶するものであってもよい。これにより、警戒領域又は荷物積載部が報知対象状態となった位置を記録し、ユーザ又は管理者が車両を走行させる際に注意すべき箇所を抽出することができる。その結果、車両を走行させるユーザ又は管理者に対する安全教育等に役立てることができる。
【0078】
上述の実施形態で示した各機能は、1又は複数の処理回路によって実装されうる。処理回路には、プログラムされたプロセッサや、電気回路などが含まれ、さらには、特定用途向けの集積回路(ASIC)のような装置や、記載された機能を実行するよう配置された回路構成要素なども含まれる。
【0079】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0080】
1 警告装置
11 計測部
15 データベース(記憶部)
17 標識検出部(第1標識検出部、第2標識検出部)
19 路面障害検出部
21 入力部
51 フォーク部(荷物積載部)
52 バックレスト部
53 マスト部
100 コントローラ
120 位置取得部
141 領域状態判定部
143 稼働状態判定部
400 報知部
F フォークリフト(車両)