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特開2023-30375情報処理装置、電話システム、振分方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023030375
(43)【公開日】2023-03-08
(54)【発明の名称】情報処理装置、電話システム、振分方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04M 3/523 20060101AFI20230301BHJP
【FI】
H04M3/523
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021135466
(22)【出願日】2021-08-23
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 2021年3月10日にNTTテクノクロス株式会社のウェブサイトhttps://www.ntt-tx.co.jp/products/ctbase/ad/ir_2020_lp.htmlにて公開
(71)【出願人】
【識別番号】000102717
【氏名又は名称】NTTテクノクロス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】檀野 貴昭
(72)【発明者】
【氏名】川端 良樹
【テーマコード(参考)】
5K201
【Fターム(参考)】
5K201BA12
5K201BA13
5K201BC11
5K201BC27
5K201CB05
5K201CB13
5K201CB16
5K201CC01
5K201DC03
5K201DC05
5K201EC03
5K201EC06
5K201EC09
5K201EF10
(57)【要約】
【課題】あふれ呼に対するコールバック業務の効率を向上させる。
【解決手段】発信元からの連絡に関する連絡情報、または前記連絡の内容を示す連絡内容情報に基づいて、複数の担当者または担当グループから、折り返し連絡する担当者または担当グループに振り分ける振分部を備える情報処理装置である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発信元からの連絡に関する連絡情報、または前記連絡の内容を示す連絡内容情報に基づいて、複数の担当者または担当グループから、折り返し連絡する担当者または担当グループに振り分ける振分部を備える、
情報処理装置。
【請求項2】
前記連絡情報は、前記発信元からの通話に関する情報であって、自動音声応答装置におけるコールフローを示す情報を含み、
前記振分部は、前記コールフローを示す情報に基づいて、折り返し連絡する担当者または担当グループに振り分ける、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記連絡内容情報は、前記発信元の音声を音声認識によってテキスト化したテキストを含み、
前記振分部は、前記連絡内容情報に含まれるテキストに基づいて、折り返し連絡する担当者または担当グループに振り分ける、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記連絡情報は、発信先の連絡先を示す情報を含み、
前記振分部は、前記発信先の連絡先を示す情報に基づいて、折り返し連絡する担当者または担当グループに振り分ける、
請求項1から3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
振り分けられた担当者または、振り分けられた担当グループに属する担当者の操作する端末からの要求に応じて、前記連絡情報を画面に表示するためのデータを前記端末に送信する表示制御部をさらに備える、
請求項1から4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記表示制御部は、前記連絡内容情報を前記画面に含めて表示するためのデータを前記端末に送信する、
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記表示制御部は、前記発信元の連絡先への発信操作を受け付けるための操作用表示を前記画面に含めて表示するためのデータを前記端末に送信する、
請求項5または6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記表示制御部は、あらかじめ規定された条件を満たす場合に、警告を示す表示を前記画面に含めて表示するためのデータを前記端末に送信する、
請求項5から7のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記振分部は、前記発信元の電話番号の桁数、前記発信元の音声の録音時間、または前記連絡内容情報に含まれるテキストの文字数に基づいて、無効な呼接続要求であるか否かを判定し、前記無効な呼接続要求でないと判定した場合に、折り返し連絡する前記担当者または前記担当グループに振り分ける、
請求項1から8のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
電話交換機と、自動音声応答装置と、情報処理装置と、を含む電話システムであって、
前記自動音声応答装置は、
前記電話交換機から転送された通話において顧客が発した音声を録音した音声ファイルを生成する音声ファイル生成部と、
顧客からの通話に関する通話情報を生成する通話情報生成部と、を備え、
前記情報処理装置は、
前記通話情報と前記音声ファイルとを前記自動音声応答装置から受信する受信部と、
音声認識によって前記音声ファイルに含まれる音声をテキスト化したテキスト情報を生成する音声認識部と、
前記テキスト情報または前記通話情報に基づいて、複数の担当者または担当グループから、折り返し連絡する担当者または担当グループに振り分ける振分部と、を備える、
電話システム。
【請求項11】
コンピュータが実行する方法であって、
発信元からの連絡に関する連絡情報、または前記連絡の内容を示す連絡内容情報に基づいて、複数の担当者または担当グループから、折り返し連絡する担当者または担当グループに振り分けるステップを備える、
振分方法。
【請求項12】
コンピュータを請求項1から9のいずれか1項に記載の情報処理装置における各部として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、電話システム、振分方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンタクトセンタやコールセンタで、対応するオペレータの少ない夜間や、入電数が多い時間帯等に、オペレータ数を超えて顧客からの電話を受信した場合、IVR(音声自動応答装置)を使用して顧客の用件を音声録音し、後から手の空いたオペレータが顧客へ電話(コールバック)することによって、顧客の機会損失や信用低下を防止するサービスがある。
【0003】
例えば、非特許文献1には、コールセンタなどで同時に多数の電話がかかり、オペレータや担当者が対応できなかった着信(あふれ呼)が発生した際に、AIによる自動応答でオペレータからの折り返しの電話(コールバック)を顧客へ案内し受付までを行うサービスが開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】株式会社ネクストジェン,「U3コールバック」,[online],[令和3年4月30日検索],インターネット<URL:https://www.nextgen.co.jp/solution/enterprise/cat185/2019111101.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の従来技術では、録音順にオペレータが対応するため、オペレータの経験やスキルに違いがあっても、容易な内容の相談をスキルのあるオペレータが受けたり、複雑な内容の相談を新人のオペレータが受けたりする場合があり、コールバック業務が効率的でないという問題がある。
【0006】
開示の技術は、あふれ呼に対するコールバック業務の効率を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
開示の技術は、発信元からの連絡に関する連絡情報、または前記連絡の内容を示す連絡内容情報に基づいて、複数の担当者または担当グループから、折り返し連絡する担当者または担当グループに振り分ける振分部を備える情報処理装置である。
【発明の効果】
【0008】
あふれ呼に対するコールバック業務の効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】電話システムの全体構成の一例を示す図である。
図2】各装置の機能構成の一例を示す図である。
図3】通話情報の一例を示す図である。
図4】振分ルール情報の一例を示す図である。
図5】あふれ呼振分処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図6】あふれ呼一覧画面の一例を示す第一の図である。
図7】あふれ呼一覧画面の一例を示す第二の図である。
図8】変形例に係るあふれ呼一覧画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態(本実施の形態)を説明する。以下で説明する実施の形態は一例に過ぎず、本発明が適用される実施の形態は、以下の実施の形態に限られるわけではない。本実施の形態では、顧客から企業のコールセンタ等に着信した場合に、担当者に空きが無いなどの理由ですぐに対応することができない場合、あふれた呼接続要求(あふれ呼)に対する折り返しの連絡を行う担当者を、複数の担当者から適切に振り分ける電話システムについて説明する。
【0011】
なお、担当者とはコールセンタ等への着信に対して顧客に対する電話応対が必要な業務に従事している者のことであり、例えば、営業担当者、商品に関する問い合わせ窓口担当者等が挙げられる。
【0012】
(電話システムの全体構成)
図1は、電話システムの全体構成の一例を示す図である。図1に示すように、本実施形態に係る電話システム1は、情報処理装置10と、PBX20と、IVR30と、顧客端末40と、担当端末50と、を備える。情報処理装置10、PBX20、IVR30、顧客端末40および担当端末50は、インターネットや公衆回線網等を含む通信ネットワーク60を介して、互いに通信可能に接続されている。
【0013】
情報処理装置10は、IVR30からあふれ呼を示す情報を受信して記憶し、後述するあふれ呼振分処理によって、あふれ呼に対する折り返しの連絡を行う担当者を振り分ける処理を実行する。また、情報処理装置10は、担当端末50からの要求を受けると、あふれ呼を示す情報を送信する。
【0014】
PBX20は、例えば、クラウド型のPBX(Private Branch eXchange)であり、各種の呼制御を行う電話交換機である。例えば、PBX20は、コールセンタ等の番号に着信があった場合は、IVR30に転送する。
【0015】
IVR30は、あらかじめ決められたコールフローを実現するIVR(Interactive Voice Response)であり、あらかじめ決められたコールフローを実現する自動音声応答装置である。IVR30は、顧客の声を録音した音声ファイルと、通話に関する情報(通話情報)と、を情報処理装置10に送信する。なお、IVR30は、当該音声ファイルと通話情報とを記録装置に記憶させ、情報処理装置10が、当該音声ファイルと通話情報とを記録装置にアクセスして取得するようにしても良い。
【0016】
顧客端末40は、複数の顧客が使用する端末の総称である。以下、各端末を区別する際は、第一顧客端末40a、第二顧客端末40b等と呼ぶ。顧客端末40は、例えばスマートフォン等の電話機能を備えている。なお、顧客は、発信元の一例であって、顧客以外からの通話であっても良い。例えば、取引の無い発信元からの一般的な問い合わせであっても良い。
【0017】
担当端末50は、コールセンタ等の担当者が使用する端末の総称である。以下、各端末を区別する際は、第一担当端末50a、第二担当端末50b等と呼ぶ。担当端末50は、情報処理装置10にあふれ呼に関する情報を送信する要求を送信する。そして、担当端末50は、受信した情報に基づく画面を表示する。具体的には、管理者権限を有する担当者が操作する担当端末50は、各担当者に振り分けられたあふれ呼の情報を閲覧したり、振分先を手動で指定または更新したりする操作を受け付ける。また、管理者権限を有しない担当者が操作する担当端末50は、当該担当者に振り分けられたあふれ呼の情報を閲覧する操作を受け付けるが、担当者の権限および使用する端末で扱う情報は適宜変更しても良い。
【0018】
なお、担当端末50は電話機能を備えていても良く、例えばスマートフォン等の電話機能を備え、企業や部署等の或る組織内で一意の内線番号が割り当てられており、割り当てられた内線番号宛の呼接続要求に対して応答することが可能であっても良い。担当端末50は、いわゆる「スマートフォン内線化サービス」等により使用するスマートフォンであっても良い。また、情報処理装置10は、各担当者の操作する電話端末の電話番号やMacアドレスなどの担当端末50の識別子を、当該担当者を識別するための識別子に紐づけて記憶していても良い。
【0019】
顧客端末40および担当端末50は、スマートフォンに限られず、例えば、電話機能を備えたタブレット端末、ウェアラブルデバイス、PC(パーソナルコンピュータ)等であってもよい。
【0020】
(各装置の機能構成)
図2は、各装置の機能構成の一例を示す図である。PBX20は、呼接続制御部21と、転送処理部22と、を備える。
【0021】
呼接続制御部21は、コールセンタの番号が着信先として指定された呼接続要求を受信する。呼接続制御部21は、呼接続要求に対して、例えば日中のコールセンタ営業中の時間帯には、担当者の端末に呼接続要求を送信する。
【0022】
転送処理部22は、夜間のコールセンタ営業時間外には、呼接続要求をIVR30に転送する。なお、転送処理部22は、日中のコールセンタ営業中に転送を受けて、対応する担当者に空きが無い場合に、呼接続要求をIVR30に転送するようにしても良い。また、転送処理部22は、常に呼接続要求をIVR30に転送し、顧客に担当者との通話を希望するか折り返しの連絡を希望するかを選択させるようにしても良い。
【0023】
呼接続制御部21および転送処理部22は、PBX20にインストールされた1以上のプログラムが、プロセッサ等の演算装置に実行させる処理により実現される。
【0024】
IVR30は、音声ファイル生成部31と、通話情報生成部32と、を備える。
【0025】
音声ファイル生成部31は、あらかじめ決められたコールフローの実行後などに、顧客が発した音声を録音した音声ファイル901を生成する。例えば、音声ファイル生成部31は、「折り返しの連絡を希望されるお客様は、ピーという発信の後に、要件をお話しください。」などといった案内の後に、顧客が発した音声を含む音声ファイル901を生成する。
【0026】
生成される音声ファイル901は、例えばファイル形式がwav、コーデックがPCM、サンプリング周波数が8KHzまたは16KHz、量子化ビット数が16bitの音声ファイルであっても良いが、これに限られない。
【0027】
通話情報生成部32は、顧客からの通話に関する情報であって、コールフローの実行などによって取得した通話情報902を生成する。通話情報902の具体例については後述する。
【0028】
IVR30は、生成された音声ファイル901および通話情報902を情報処理装置10に送信する。なお、IVR30は、音声ファイル901と通話情報902とを記録装置に記憶させ、情報処理装置10が、音声ファイル901と通話情報902とを記録装置にアクセスして取得するようにしても良い。
【0029】
音声ファイル生成部31および通話情報生成部32は、IVR30にインストールされた1以上のプログラムが、プロセッサ等の演算装置に実行させる処理により実現される。
【0030】
情報処理装置10は、記憶部11と、受信部12と、音声認識部13と、振分部14と、表示制御部15と、を備える。情報処理装置10は、コンピュータにより構成される。これら各部は、情報処理装置10にインストールされた1以上のプログラムが、プロセッサ等の演算装置に実行させる処理により実現される。
【0031】
記憶部11は、各種情報を記憶し、具体的には、音声ファイル901と、通話情報902と、テキスト情報903と、振分ルール情報904と、振分先情報905と、を記憶する。
【0032】
受信部12は、IVR30から音声ファイル901と通話情報902とを受信する。受信した音声ファイル901および通話情報902が、記憶部11によって記憶される。
【0033】
音声認識部13は、記憶部11に記憶される音声ファイル901を読み出して、音声認識によって音声をテキスト化し、テキスト情報903を生成する。
【0034】
振分部14は、通話情報902およびテキスト情報903に振分ルール情報904を適用して、折り返しの連絡をする担当者または担当グループにあふれ呼を振り分ける。振分ルール情報904は、振分のルールが規定された情報であって、コールセンタの管理者等のユーザによって決定される情報である。振分ルール情報904の具体例については後述する。
【0035】
振分部14は、振り分けた結果を示す振分先情報905を記憶部11に記憶させる。振分先情報905は、音声ファイル901および通話情報902と、振分先の担当者または担当グループを識別する情報と、を関連付けた情報である。振分先情報905は、振分または応答の状況を示すステータスを含んでも良い。ステータスの値は、例えば、無効なあふれ呼を示す状態である「無効」、振分を待つ状態である「差配待」、振分が完了した状態である「差配済」、担当者から顧客への応答が開始した状態である「応対中」、担当者から顧客への応答が完了した状態である「応対済」等から選択される。振分部14は、振分ルール情報904に基づいて、あふれ呼を担当者に振り分けると、ステータスを「差配済」に変更する。
【0036】
また、担当者は役割によって分類されていても良い。例えば、担当者は、スーパーバイザ(SV)とオペレータ(OP)とに分類される。
【0037】
また、振分部14は、顧客電話番号の桁数、音声の録音時間、テキスト情報903に含まれる文字数などのいずれか(またはすべて)がそれぞれに設定された閾値以下の場合、割当に必要な情報が取得できないと判断し、無効呼と判定しても良い。振分部14は、無効呼と判定すると、振分ルール情報904に基づく振り分けの対象外とし、ステータスを「無効」とする。情報処理装置10は、スーパーバイザ(SV)の操作を受けて、ステータスが「無効」のあふれ呼のステータスを「差配待」に変更したり、ステータスが「差配待」のあふれ呼を手動で各オペレータ(OP)に振り分けたりすることができる。
【0038】
さらに、情報処理装置10は、オペレータ(OP)の操作を受けて、「差配済」のステータスを「差配待」に戻す処理(差戻し)を実行しても良い。この場合、情報処理装置10は、差戻しの操作を行ったオペレータ(OP)を「差戻し担当者」として記録しておく。振分部14は、差戻しされたあふれ呼を再度振り分ける。ここで、振分部14は、記録された「差戻し担当者」を除く担当者に、あふれ呼を振り分けるようにしても良い。
【0039】
表示制御部15は、担当端末50からの情報の送信要求を受けて、担当端末50の画面に表示すべきデータを生成し、担当端末50に送信する。例えば、表示制御部15は、管理権限を有しない担当者が操作する担当端末50からの要求に応じて、当該担当者に振り分けられた通話情報を画面に表示するためのデータを、担当端末50に送信する。
【0040】
(各種情報の具体例)
次に、本実施の形態で扱う各種情報について説明する。
【0041】
図3は、通話情報の一例を示す図である。通話情報902は、項目として、テナントIDと、センタIDと、コールフローと、発信先電話番号と、顧客電話番号と、顧客名と、受電日時と、音声ファイルパスと、コールバック予定日と、コールバック予定時間帯と、IVRコール管理番号と、を含む。
【0042】
項目「テナントID」は、複数のテナントで電話システム1を共用する場合に使用する項目である。テナントとは、電話システム1の運営者から電話システム1の使用許可を得て営業する事業者である。項目「テナントID」の値は、テナントを識別するための識別子である。なお、テナントは、電話システム1の使用者の一例であって、他でも良い。例えば、電話システム1は、特定の事業者等に専用されるシステムであっても良く、その場合、通話情報902は、項目「テナントID」を含まなくても良い。
【0043】
項目「センタID」は、同一のテナント内に複数のセンタが存在する場合に使用する項目である。センタとは、各テナントの有する顧客営業窓口の拠点である。項目「センタID」の値は、センタを識別するための識別子である。
【0044】
項目「コールフロー」の値は、通話時に顧客によって選択されたIVR30のコールフロー番号である。例えば、最初に案内された「1」新規契約、「2」契約変更、「3」製品問合せ、のいずれかから、「3」が選択され、次に案内された「1」製品A、「2」製品B、のいずれかから「1」が選択され、続いて案内された「1」操作方法、「2」故障、のいずれかから「2」が選択されたものとする。この場合、項目「コールフロー」の値は、「312」である。
【0045】
項目「発信先電話番号」の値は、顧客が発信した発信先の電話番号であって、PBX20への呼接続要求における発信先の電話番号である。また「発信先電話番号」の値は、PBX20からIVR30への転送時の電話番号であってもよい。なお、発信先の電話番号は、発信先の連絡先を示す情報の一例である。発信先の連絡先を示す情報は、SNS等における発信先のユーザID等であっても良い。
【0046】
項目「顧客電話番号」の値は、顧客の電話番号であって、担当者が折り返しの連絡をするコールバック先の電話番号である。なお、顧客の電話番号は、発信元の連絡先を示す情報の一例である。発信元の連絡先を示す情報は、SNS等における発信元のユーザID等であっても良い。
【0047】
項目「顧客名」の値は、顧客名称、または顧客を一意に識別するコードである。
【0048】
項目「受電日時」の値は、IVR30が受電した受電日時である。
【0049】
項目「音声ファイルパス」の値は、音声ファイルの格納先を示す情報であって、具体的には、ファイルパスとファイル名とを含む。
【0050】
項目「コールバック予定日」の値は、顧客が折り返しを希望する日付である。
【0051】
項目「コールバック予定時間帯」の値は、顧客が折り返しを希望する時間帯である。
【0052】
項目「IVRコール管理番号」の値は、IVR30が呼を一意に識別するための番号である。
【0053】
これらの項目のうち、受電日時、音声ファイルパスおよびIVRコール管理番号が必須項目である。
【0054】
なお、情報処理装置10は、通話情報902に含まれる情報を、コールフローによって取得しても良いし、コールフロー以外に音声認識結果や顧客管理システム(図示しない)などから適宜取得しても良い。
【0055】
図4は、振分ルール情報の一例を示す図である。振分ルール情報904は、項目として、ルール適用と、ルール番号と、ルール名と、担当オペレータ/グループと、グループ内割り当てと、スキルと、キーワードと、適用順と、を含む。
【0056】
項目「ルール適用」の値は、当該ルールを有効とするか無効とするかを示す値である。
【0057】
項目「ルール名」の値は、ルールの名称を示す値である。
【0058】
項目「担当オペレータ/グループ」の値は、振分先の担当オペレータ(担当者)または担当グループの名称である。担当グループは、複数の担当者が属するグループであって、振分先が担当グループの場合には、項目「グループ内割り当て」の値によって、グループ内の各担当者への振り分けの方法が異なる。
【0059】
項目「グループ内割り当て」の値は、振分先が担当グループの場合に、担当グループ内の各担当者にさらに割り当てるか否かを示す値である。担当グループ内の各担当者に割り当てない場合は、担当グループ内のすべての担当者が振分先となって、担当グループ内の責任者等がさらに担当者に振り分けるようにしても良い。また、担当グループ内の各担当者に割り当てる場合は、振分部14は、担当者に順に割り当てても良いし、担当者ごとの担当回数等の履歴情報を参照して、例えば担当回数の少ない担当者に割り当てても良い。
【0060】
項目「スキル」の値は、振り分けがどの情報に基づいて行われるかを示す情報である。例えば、項目「スキル」の値が「発信先電話番号」の場合は、発信先電話番号に紐づけられた担当者または担当グループに振り分けられる。また、項目「スキル」の値が「コールフロー」の場合は、コールフローに紐づけられた担当者または担当グループに振り分けられる。
【0061】
項目「キーワード」の値は、振り分けがテキスト情報903に含まれるキーワードに基づいて行われる場合のキーワードを示す情報である。例えば、項目「キーワード」の値が「契約」の場合は、テキスト情報903に「契約」というテキストが含まれる場合に、紐づけられた担当者または担当グループに振り分けられる。また、項目「キーワード」の値が「解約+更新」の場合は、テキスト情報903に「解約」というテキストと「更新」というテキストがともに含まれる場合に、紐づけられた担当者または担当グループに振り分けられる。すなわち、「+」記号は、テキスト情報903に含まれるためのAND条件を意味する。他に、OR条件を意味する記号が用いられても良い。
【0062】
項目「適用順」の値は、ルールを適用する順番を示す値である。振分部14は、項目「適用順」の値が小さいルールを優先して適用する。
【0063】
(情報処理装置10の動作概要)
次に、情報処理装置10の動作について説明する。図5は、あふれ呼振分処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0064】
情報処理装置10は、定期的に、例えば夜間または日中のバッチ処理などによって、あふれ呼振分処理を実行する。情報処理装置10は、あふれ呼振分処理を開始すると、記憶部11から通話情報902を取得する(ステップS101)。そして、音声認識部13は、通話情報902に含まれる項目「音声ファイルパス」の値を参照して、音声ファイル901を取得する(ステップS102)。続いて、音声認識部13は、音声ファイル901に音声認識を行って、テキスト情報903を生成する(ステップS103)。
【0065】
続いて、振分部14は、振分ルール情報904に基づいて、あふれ呼を担当者に振り分ける(ステップS104)。これによって、振分先を示す振分先情報905は、記憶部11に記憶される。
【0066】
図6は、あふれ呼一覧画面の一例を示す第一の図である。あふれ呼一覧画面801は、表示制御部15がオペレータ(OP)の操作する担当端末50からの要求に応じて担当端末50に送信したデータに基づいて、担当端末50が表示する画面の一例である。
【0067】
あふれ呼一覧画面801は、担当端末50を操作する担当者に振り分けられたあふれ呼の一覧を含む。一覧には、詳細な情報を閲覧する操作を受け付けることができるようになっている。また、一覧には、音声ファイル901に含まれる音声を再生するためのボタンが含まれる。当該ボタンが押下されると、情報処理装置10は、音声ファイル901を担当端末50に送信する。担当端末50は、受信した音声ファイル901に含まれる音声をスピーカ、ヘッドフォン等を介して再生する。
【0068】
また、一覧には、テキスト情報903が含まれる。これによって、振り分けられた担当者は、顧客の用件を把握することができる。さらに音声認識結果に誤りがある場合など、テキスト情報903を適宜編集・更新できるようにしてもよい。
【0069】
また、一覧には、通話情報902に含まれる各項目の値が含まれる。例えば、一覧には、項目「顧客電話番号」の値が含まれる。この番号を見て、担当者は、顧客に折り返しの電話をすることができる。また、担当端末50が電話機能を有している場合に、担当端末50は、番号の表示から直接顧客に発信する操作を受け付けても良い。さらに、担当端末50が電話機能を有している場合に、一覧には、項目「顧客電話番号」の値が含まれていなくても、担当端末50から顧客電番号への発信操作を受け付けるための「発信ボタン」等の操作用表示が含まれていても良い。このことにより個人情報の一部を開示することなく、あふれ呼の対応が可能になる。また、担当端末50は、コールバック予定時間帯と異なる時間帯に発信操作を受けた場合に、警告を表示するようにしても良い。
【0070】
また、一覧には、通話情報902に含まれる「コールバック予定日」、「コールバック予定時間帯」等の項目の値、テキスト情報903等が含まれていても良い。また、一覧には、振り分けが自動で行われたか手動で行われたかを示す値が含まれていても良い。自動とは、振分部14が振分ルール情報904に基づいて振り分けられたことを意味し、手動とは、スーパーバイザ(SV)の操作によって振り分けられたことを意味する。
【0071】
また、一覧には、振分または応答の状況を示すステータスの値が含まれていても良い。ステータスの値は、例えば、「無効」、「差配待」、「差配済」、「応対中」および「応対済」のいずれかである。
【0072】
オペレータ(OP)向けの一覧には、当該オペレータ(OP)に振り分けられた「差配済」のステータスのあふれ呼、当該オペレータ(OP)が属する担当グループに振り分けられた「差配済」のステータスのあふれ呼、当該オペレータ(OP)が応対中または応対済みの「応対中」または「応対済」のステータスのあふれ呼、等が含まれる。なお、オペレータ(OP)向けの一覧には、「無効」のステータスのあふれ呼および「差配待」のステータスのあふれ呼を含めなくてもよい。またステータスの内容や表示、ステータスを更新する操作権限を適宜変更してもよい。
【0073】
図7は、あふれ呼一覧画面の一例を示す第二の図である。あふれ呼一覧画面802は、表示制御部15がスーパーバイザ(SV)の操作する担当端末50からの要求に応じて担当端末50に送信したデータに基づいて、担当端末50が表示する画面の一例である。
【0074】
スーパーバイザ(SV)向けの一覧には、「無効」のステータスのあふれ呼および「差配待」のステータスのあふれ呼を含む。例えば、図7のあふれ呼一覧画面802は、「無効」のステータスのあふれ呼を検索した結果として表示される画面を示している。「無効」のステータスのあふれ呼の場合、一覧に無効呼と判定された理由が含まれていても良い。
【0075】
(変形例)
以上、本実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0076】
例えば、本実施の形態において、情報処理装置10は、あふれ呼が振り分けられた担当者に、電子メール、SNS等を介して通知するようにしても良い。また、発信元からの連絡の手段として、電話回線による通話の例を示したが、他でも良い。例えば、SNS上の通話、会議、チャット等でも良いし、メッセンジャーアプリケーションなどによるメッセージであっても良い。通話情報902は、発信元からの連絡に関する連絡情報の一例である。また、テキスト情報903は、発信元からの連絡の内容を示す連絡内容情報の一例である。
【0077】
振分部14は、担当者の出退勤予定または出退勤状況を示す情報に基づいて、振り分けを予約しても良い。具体的には、振分ルール情報904は、「予約振分」のルールを示す情報を含む。振分部14は、「予約振分」のルールが有効である場合、コールバック予定の日時に出勤している予定の担当者を出退勤予定に基づいて検索し、検索された担当者のいずれかに振分の予約を行う。
【0078】
そして、振分部14は、コールバック予定日になると、出退勤状況に基づいて、予約された担当者が出勤しているか否かを判定する。振分部14は、予約された担当者が出勤していると判定すると、当該担当者にあふれ呼を振り分ける。また、振分部14は、予約された担当者が出勤していないと判定すると、他の出勤している担当者のいずれかにあふれ呼を振り分ける。
【0079】
また、振分ルール情報904は、コールフローまたは音声ファイルから抽出した、発信元番号、製品名、用件(応対内容、弁償、保障などのクレーム)、顧客名、担当者名の組合せ等に基づく振分ルールを示す情報を含んでも良い。この場合、振分部14は、同姓の担当者名が含まれる場合を考慮して、担当者名よりも製品名を優先して使用するようにしても良い。
【0080】
また、振分ルール情報904は、顧客名、顧客電話番号に基づく振分ルールを示す情報を含んでも良い。
【0081】
また、表示制御部15は、コールバック予約時間帯が現在時刻を含むあふれ呼を優先的に表示するように制御しても良い。例えば、表示制御部15は、特定のあふれ呼を優先的に表示する方法として、特定のあふれ呼を他のあふれ呼よりも上の方に表示するか、または特定のあふれ呼を強調して(例えば赤などの目立つ色で)表示する。
【0082】
また、表示制御部15は、閲覧している担当者または当該担当者が属する担当グループに振り分けられたあふれ呼を優先的に表示するように制御しても良い。
【0083】
また、情報処理装置10は、通話やアフターコールワーク(応答業務の後処理)が終了したタイミングで、振り分けられたあふれ呼がある場合に、オペレータに通知するようにしても良い。
【0084】
また、あふれ呼一覧画面には、アラートが含まれていても良い。アラートは、警告を示す表示であって、スーパーバイザ(SV)向けのアラートと、オペレータ(OP)向けのアラートとを含む。
【0085】
図8は、変形例に係るあふれ呼一覧画面の一例を示す図である。あふれ呼一覧画面810は、表示制御部15が担当者の担当端末50からの要求に応じて担当端末50に送信したデータに基づいて、担当端末50が表示する画面の一例である。
【0086】
本担当者向けの一覧には、OP向けアラート811と、SV向けアラート812と、が含まれる。OP向けアラート811と、SV向けアラート812とは、互いに異なる色等で表示される。なお、オペレータ(OP)向けの一覧には、OP向けアラート811が含まれ、SV向けアラート812が含まれない。また、スーパーバイザ(SV)向けの一覧には、SV向けアラート812が含まれ、OP向けアラート811を含まないようにしてもよい。OPやSV、システム管理者など役割に応じて一覧の表示を適宜変更してもよい。
【0087】
また、表示制御部15は、各一覧画面には、OP向けアラート811およびSV向けアラート812のそれぞれの件数を集計した値を表示するように制御しても良い。
【0088】
SV向けアラート812は、以下のいずれかの条件を満たす場合に表示される。
(a)振分ルールに合致できず、振り分け不可のあふれ呼が発生した場合。
(b)不在のオペレータ(OP)に割り当てられていた場合。
(c)(担当グループに溜まった未対応のあふれ呼の数)÷(担当グループに属するオペレータ(OP)の数)が一定数を超えた場合。
(d)一定時間を超過しても対応されなかった場合。
(e)「差配待」の状態で一定時間経過した場合。
【0089】
なお上述の条件は、アラートを表示するためにあらかじめ規定された条件の一例であって、他でも良い。
【0090】
また、OP向けアラート811は、「差配済」のステータスの状態のまま一定時間経過した場合に表示される。なお、アフターコールワーク中のオペレータ(OP)には、OP向けアラート811が表示されないようにしても良い。
【符号の説明】
【0091】
1 電話システム
10 情報処理装置
11 記憶部
12 受信部
13 音声認識部
14 振分部
15 表示制御部
20 PBX
21 呼接続制御部
22 転送処理部
30 IVR
31 音声ファイル生成部
32 通話情報生成部
40 顧客端末
50 担当端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8