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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023030397
(43)【公開日】2023-03-08
(54)【発明の名称】間仕切り壁
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/74 20060101AFI20230301BHJP
【FI】
E04B2/74 531Z
E04B2/74 531L
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021135498
(22)【出願日】2021-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柴田 正見
(57)【要約】
【課題】ボードを省略可能な間仕切り壁を提供することを目的とする。
【解決手段】間仕切り壁20は、上下方向に間隔を空けて配置される上側ランナー30及び下側ランナー40と、上側ランナー30と下側ランナー40との間に立てられるとともに、上側ランナー30及び下側ランナー40に沿った壁状に接合される複数の縦材50と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に間隔を空けて配置される上側ランナー及び下側ランナーと、
前記上側ランナーと前記下側ランナーとの間に立てられるとともに、前記上側ランナー及び前記下側ランナーに沿った壁状に接合される複数の縦材と、
を備える間仕切り壁。
【請求項2】
角部を構成する一対の前記上側ランナーを備え、
一対の前記上側ランナーは、前記角部において互いに突き合せられる傾斜端部をそれぞれ有する、
請求項1に記載の間仕切り壁。
【請求項3】
一対の前記上側ランナーの上面同士及び下面同士の少なくとも一方に亘って配置され、一対の前記上側ランナーにそれぞれ接合される補強板を備える、
請求項2に記載の間仕切り壁。
【請求項4】
前記上側ランナーの端部と前記下側ランナーの端部とに亘って配置され、前記上側ランナーの前記端部及び前記下側ランナーの前記端部を覆う縦カバーを備える、
請求項1~請求項3の何れか1項に記載の間仕切り壁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、間仕切り壁に関する。
【背景技術】
【0002】
互いに対向する一対の波形鋼板を備える鋼製壁が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、波形鋼板の凹部に、鋼管が配置された鋼製コンテナ壁が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-299663号公報
【特許文献2】特開2014-114644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、構造物の内部空間を仕切る間仕切り壁が知られている。間仕切り壁は、一般に、スタッド及びランナーによって構成された枠体と、枠体に取り付けられる石こうボード等のボードとを備えている。
【0005】
しかしながら、ボードには、一般に規格品が用いられる。そのため、間仕切り壁を施工する際には、例えば、現場において、ボードの切断作業等が発生し易く、施工が煩雑化する可能性がある。
【0006】
本発明は、上記の事実を考慮し、ボードを省略可能な間仕切り壁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の間仕切り壁は、上下方向に間隔を空けて配置される上側ランナー及び下側ランナーと、前記上側ランナーと前記下側ランナーとの間に立てられるとともに、前記上側ランナー及び前記下側ランナーに沿った壁状に接合される複数の縦材と、を備える。
【0008】
請求項1に係る間仕切り壁によれば、上側ランナー及び下側ランナーは、上下方向に間隔を空けて配置される。この上側ランナーと下側ランナーとの間には、複数の縦材が立てられる。これらの縦材は、上側ランナー及び下側ランナーに沿って壁状に接合される。
【0009】
このように複数の縦材を壁状に接合することにより、ボードが省略可能になる。また、縦材の本数を増減することにより、間仕切り壁の幅を調整することができる。したがって、現場において、ボードの切断作業等が発生しなくなるため、間仕切り壁の施工性が向上する。
【0010】
請求項2に記載の間仕切り壁は、請求項1に記載の間仕切り壁において、角部を構成する一対の前記上側ランナーを備え、一対の前記上側ランナーは、前記角部において互いに突き合せられる傾斜端部をそれぞれ有する。
【0011】
請求項2に係る間仕切り壁によれば、角部を構成する一対の上側ランナーを備える。一対の上側ランナーは、傾斜端部をそれぞれ有する。これらの傾斜端部を、角部において互いに突き合せることにより、一対の上側ランナーを隙間なく、連続させることができる。したがって、間仕切り壁の意匠性を高めることができる。
【0012】
請求項3に記載の間仕切り壁は、請求項2に記載の間仕切り壁において、一対の前記上側ランナーの上面同士及び下面同士の少なくとも一方に亘って配置され、一対の前記上側ランナーにそれぞれ接合される補強板を備える。
【0013】
請求項3に係る間仕切り壁によれば、補強板は、一対の上側ランナーの上面又は下面に亘って配置され、一対の上側ランナーにそれぞれ接合される。この補強板によって、角部において、一対の上側ランナーが連結される。
【0014】
このように一対の上側ランナーの上面同士及び下面同士の少なくとも一方に亘って補強板を配置することにより、補強板が見え難くなる。したがって、間仕切り壁の意匠性を高めつつ、間仕切り壁の角部の強度を高めることができる。
【0015】
請求項4に記載の間仕切り壁は、請求項1~請求項3の何れか1項に記載の間仕切り壁において、前記上側ランナーの端部と前記下側ランナーの端部とに亘って配置され、前記上側ランナーの前記端部及び前記下側ランナーの前記端部を覆う縦カバーを備える。
【0016】
請求項4に係る間仕切り壁によれば、縦カバーは、上側ランナーの端部と下側ランナーの端部とに亘って配置される。この縦カバーによって、例えば、上側ランナーの端部及び下側ランナーの端部にある鋭利な角を覆うことにより、当該角の面取り等が不要になる。したがって、間仕切り壁の意匠性を高めつつ、上側ランナー及び下側ランナーの加工の手間が低減される。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明によれば、ボードを省略可能な間仕切り壁を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第一実施形態に係る間仕切り壁を示す斜視図である。
図2図1に示される間仕切り壁の施工過程を示す正面図である。
図3】隣り合う縦材の接合部を示す図2の拡大正面図である。
図4】第二実施形態に係る一対の間仕切り壁の角部を示す斜視図である。
図5】一対の間仕切り壁を示す図4の平面図である。
図6】第二実施形態に係る一対の間仕切り壁の変形例を示す図5に対応する平面図である。
図7】第三実施形態に係る間仕切り壁の端部を示す斜視図である。
図8図7に示される縦カバー及び間仕切り壁の分解斜視図である。
図9】第四実施形態に係る間仕切り壁の端部を示す正面図である。
図10図9の10-10線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第一実施形態)
先ず、第一実施形態について説明する。
【0020】
図1には、第一実施形態に係る間仕切り壁20が示されている。間仕切り壁20は、例えば、室内において、柱10と、図示しない柱とに亘って配置される。また、間仕切り壁20は、例えば、上方に開口が設けられた欄間(ランマ)オープンとされる。この間仕切り壁20は、上側ランナー30と、下側ランナー40と、複数の縦材50とを有している。
【0021】
なお、各図に示される矢印Wは、間仕切り壁20の幅方向を示し、矢印Tは、間仕切り壁20の厚み方向を示している。また、矢印Hは、間仕切り壁20の高さ方向(上下方向)を示している。
【0022】
(上側ランナー及び下側ランナー)
上側ランナー30及び下側ランナー40は、断面C字状のC形鋼によって形成されている。また、上側ランナー30及び下側ランナー40は、例えば、軽量鉄骨(LGS)等によって形成されている。これらの上側ランナー30及び下側ランナー40は、各々の開口側を対向させた状態で、間仕切り壁20の高さ方向(上下方向)に間隔を空けて配置されている。
【0023】
上側ランナー30は、下側ランナー40の上方に配置されている。また、上側ランナー30は、開口を下に向けた状態で、間仕切り壁20の上端部に沿って配置されている。
【0024】
上側ランナー30は、間仕切り壁20の厚み方向(矢印T方向)に互いに対向する一対のフランジ部32と、一対のフランジ部32の上端部同士を接続するウェブ部34とを有している。一対のフランジ部32は、複数のビス36によって後述する縦材50の上端部に接合されている。
【0025】
下側ランナー40は、上側ランナー30の下方に配置されており、床12に敷設されている。また、下側ランナー40は、開口を上に向けた状態で、間仕切り壁20の下端部に沿って配置されている。
【0026】
下側ランナー40は、間仕切り壁20の厚み方向(矢印T方向)に互いに対向する一対のフランジ部42と、一対のフランジ部42の上端部同士を接続するウェブ部44とを有している。一対のフランジ部32は、複数のビス46によって後述する縦材50の下端部に接合されている。また、ウェブ部44は、図示しないビス等によって床12に接合されている。
【0027】
(縦材)
上側ランナー30と下側ランナー40との間には、複数の縦材50が立てられている。複数の縦材50は、断面矩形状の角形鋼管(角スタッド)によって形成されている。また、縦材50は、例えば、軽量鉄骨(LGS)等によって形成されている。
【0028】
複数の縦材50は、間仕切り壁20の高さ方向(矢印H方向)に沿って配置されるとともに、上側ランナー30及び下側ランナー40に沿った壁状に配列されている。これらの縦材50は、間仕切り壁20の壁部を構成している。
【0029】
縦材50は、間仕切り壁20の幅方向(矢印W方向)に互いに対向する一対の側面部52と、間仕切り壁20の厚み方向(矢印T方向)に互いに対向する一対の壁面部54とを有している。隣り合う縦材50は、各々の側面部52を接触させた状態で配列されている。この状態で、図2に示されるように、隣り合う縦材50の側面部52同士が、ビス56によって接合されている。
【0030】
具体的には、図3に示されるように、縦材50の一方の側面部52には、ビス56が挿入される貫通孔(下孔)52Hが形成されている。また、縦材50の他方の側面部52における貫通孔52Hと対向する部位には、ドライバー等の工具14が挿入される作業孔52Sが形成されている。作業孔52Sは、貫通孔52Hよりも大きくされている。
【0031】
なお、縦材50の他方の側面部52における作業孔52Sの上方又は下方には、ビス56が挿入される貫通孔52Hが形成されている。
【0032】
ここで、隣り合う縦材50は、前述したように、各々の側面部52を接触させた状態で配列される。この際、隣り合う縦材50の貫通孔52H同士が接続される。この状態で、隣り合う一方の縦材50の作業孔52Sに工具14を挿入し、当該工具14によって一方の縦材50の内側から、接続された2つの貫通孔52Hにビス56をねじ込むことにより、これらの縦材50の側面部52同士が接合される。
【0033】
このように隣り合う縦材50を接合しながら、複数の縦材50を上側ランナー30及び下側ランナー40に沿って配列することにより、複数の縦材50が壁状に接合される。また、複数の縦材50の壁面部54によって、間仕切り壁20の壁面が形成される。
【0034】
なお、図2に示されるように、間仕切り壁20の端部を構成する縦材50の側面部52は、柱10の側面10Sにビス56によって接合されている。
【0035】
図1に示されるように、複数の縦材50の上端部は、上側ランナー30の内側に挿入されている(嵌め込まれている)。この上側ランナー30の一対のフランジ部32は、複数のビス36によって、縦材50の上端部における一対の壁面部54にそれぞれ接合されている。
【0036】
なお、複数のビス36は、上側ランナー30の長手方向に所定の間隔を空けて配置されており、縦材50の1本又は複数本置きに、上側ランナー30と縦材50とがビス36によって接合されている。
【0037】
複数の縦材50の下端部は、下側ランナー40の内側に挿入されている(嵌め込まれている)。この下側ランナー40の一対のフランジ部42は、複数のビス46によって、縦材50の下端部における一対の壁面部54にそれぞれ接合されている。
【0038】
なお、複数のビス46は、上側ランナー30の長手方向に所定の間隔を空けて配置されており、縦材50の1本又は複数本置きに、下側ランナー40と縦材50とがビス46によって接合されている。
【0039】
(間仕切り壁の施工方法)
次に、第一実施形態に係る間仕切り壁の施工方法の一例について説明する。
【0040】
図2に示されるように、先ず、柱10と図示しない柱とに亘るように、下側ランナー40を床12に敷設し、図示しないビス等によって下側ランナー40のウェブ部44を床12に接合する。
【0041】
次に、柱10の側面10Sに沿って縦材50を立てる。この際、縦材50の下端部を下側ランナー40の内側に挿入する。この状態で、複数のビス56によって、縦材50の一方の側面部52を柱10の側面10Sに接合する。
【0042】
次に、縦材50の他方の側面部52に沿って他の縦材50を立てる。この際、縦材50の下端部を下側ランナー40の内側に挿入する。また、縦材50の他方の側面部52と、他の縦材50の一方の側面部52とを接触させる。この状態で、隣り合う縦材50の側面部52同士をビス56で接合する。
【0043】
このように隣り合う縦材50をビス56によって接合しながら、複数の縦材50を下側ランナー40に沿って壁状に配列する。なお、要所において、下側ランナー40の一対のフランジ部42を、ビス46によって縦材50の下端部における一対の壁面部54にそれぞれ接合する。
【0044】
次に、壁状に接合された複数の縦材50の上端部に上側ランナー30を被せる。換言すると、壁状に接合された複数の縦材50の上端部を、上側ランナー30の内側に挿入する。この状態で、要所において、上側ランナー30の一対のフランジ部32を、ビス36によって縦材50の上端部における一対の壁面部54にそれぞれ接合する。
【0045】
以上の手順により、間仕切り壁20が形成される。なお、柱10と縦材50との間に隙間が形成される場合は、当該隙間に石膏ボード等のスペーサ部材を挿入し、スペーサ部材を介して縦材50を柱10に接合しても良い。
【0046】
(効果)
次に、第一実施形態の効果について説明する。
【0047】
図1に示されるように、本実施形態に係る間仕切り壁20によれば、上側ランナー30及び下側ランナー40は、上下方向(矢印H方向)に間隔を空けて配置されている。この上側ランナー30と下側ランナー40との間には、複数の縦材50が立てられている。これらの縦材50は、上側ランナー30及び下側ランナー40に沿って壁状に接合されている。
【0048】
このように本実施形態では、複数の縦材50を壁状に接合することにより、ボードが省略可能になる。また、縦材50の本数を増減することにより、間仕切り壁20の幅を調整することができる。したがって、本実施形態では、現場において、ボードの切断作業等が発生しなくなるため、間仕切り壁20の施工性が向上する。
【0049】
また、本実施形態では、軽量鉄骨(LGS)で形成された複数の縦材50によって、間仕切り壁20の壁面を形成することにより、間仕切り壁20の意匠性が高められる。
【0050】
さらに、本実施形態では、間仕切り壁20を施工する際に、先ず、柱10の側面10Sに沿って縦材50を立てる。そして、この縦材50を基準として他の縦材50を配列することにより、間仕切り壁20(縦材50)の鉛直精度を高めることができる。
【0051】
(第二実施形態)
次に、第二実施形態について説明する。なお、第二実施形態において、第一実施形態と同じ構成の部材等には、同符号を付して説明を適宜省略する。
【0052】
図4には、第二実施形態に係る一対の間仕切り壁20が示されている。一対の間仕切り壁20は、角部(隅角部)20Cを構成している。具体的には、一対の間仕切り壁20は、平面視にて、互いに直交又は略直交する方向に沿って配置されており、各々の端部が角部20Cにおいて突き当てられた状態で接合されている。
【0053】
図5に示されるように、一対の間仕切り壁20の上側ランナー30の端部(小口)は、角がない傾斜端部30Eとされている。この傾斜端部30Eは、平面視にて、角部20Cの入隅20C1と出隅20C2とを結ぶ直線に沿った傾斜端部30Eとされている。
【0054】
傾斜端部30Eは、例えば、上側ランナー30の端部を斜めに接続することにより形成されている。また、一対の上側ランナー30の傾斜端部30Eは、上側ランナー30の材軸方向(長手方向)に対し、入隅20C1から出隅20C2側へ45度で傾斜しており、角部20Cにおいて、互いに隙間なく突き合せてられている。
【0055】
図4に示されるように、一対の上側ランナー30における外側のフランジ部32は、出隅20C2において、互いに突き合せられている。また、一対の上側ランナー30の出隅20C2は、保護カバーの一例としての透明テープ38によって覆われている。透明テープ38は、一対の上側ランナー30における外側のフランジ部32の端部に亘って貼付されている。
【0056】
なお、透明テープ38は、適宜省略可能である。また、図示を省略するが、一対の間仕切り壁20の上側ランナー30と同様に、一対の間仕切り壁20の下側ランナー40の端部(小口)は、角部20Cにおいて互いに突き合せられる傾斜端部30Eとされている。
【0057】
一対の下側ランナー40における外側のフランジ部は、出隅20C2において、互いに突き合せられている。一対の上側ランナー30の出隅20C2は、保護カバーの一例としてのアングル48によって覆われている。
【0058】
アングル48は、例えば、L字状に屈曲された金属板等によって形成されており、一対の下側ランナー40における外側のフランジ部42の端部に亘って配置されている。このアングル48は、ビス49によって一対の下側ランナー40における外側のフランジ部42に接合されている。
【0059】
なお、アングル48は、適宜省略可能である。
【0060】
(間仕切り壁の施工方法)
次に、第二実施形態に係る間仕切り壁の施工方法の一例について説明する。なお、説明の便宜上、図5では、複数の縦材50の施工順に、縦材50A,50B,50C,50Dとしている。
【0061】
図4に示されるように、一対の下側ランナー40を床12に敷設し、角部20Cにおいて、一対の下側ランナー40の図示しない傾斜端部を突き合せる。この状態で、図示しないビス等によって、一対の下側ランナー40のウェブ部44を床12にそれぞれ接合する。
【0062】
次に、角部20Cにおける一方の下側ランナー40側に、2本の縦材50(図5の縦材50A)を各々の側面部52を接触させた状態で立てる。この際、2本の縦材50の下端部を一方の下側ランナー40の内側に挿入する。
【0063】
次に、2本の縦材50(図5の縦材50A)の鉛直度を調整しながら、これらの縦材50の側面部52同士を図示しないビスによって接合する。これにより、2本の縦材50が自立し易くなる。
【0064】
次に、角部20Cにおける他方の下側ランナー40側に、縦材50の壁面部54に沿って縦材50(図5の縦材50B)を立てる。この際、縦材50の下端部を他方の下側ランナー40の内側に挿入する。
【0065】
次に、図示しないビスによって、縦材50(図5の縦材50B)の側面部52、を縦材50(図5の縦材50A)の壁面部54に接合する。これにより、2本の縦材50がさらに自立し易くなる。
【0066】
次に、一方の下側ランナー40側に、縦材50の側面部52に沿って他の縦材50(図5の縦材50C)を立てるとともに、隣り合う縦材50(図5の縦材50A,50C)の側面部52同士を図示しないビスによって接合する。
【0067】
次に、他方の下側ランナー40側に、縦材50の側面部52に沿って他の縦材50(図5の縦材50D)を立てるとともに、隣り合う縦材50(図5の縦材50B,50D)の側面部52同士を図示しないビスによって接合する。
【0068】
この手順を繰り返し、一方の下側ランナー40側と他方の下側ランナー40側とに縦材50を交互に立てるとともに、隣り合う縦材50を図示しないビスによって接合しながら、一対の下側ランナー40に沿って複数の縦材50を壁状に配列する。
【0069】
なお、要所において、下側ランナー40の一対のフランジ部42を、ビス46によって縦材50の下端部における一対の壁面部54にそれぞれ接合する。
【0070】
次に、一対の下側ランナー40に沿って壁状に接合された複数の縦材50の上端部に、一対の上側ランナー30をそれぞれ被せる。この際、角部20Cにおいて、一対の上側ランナー30の傾斜端部30Eを突き合せる。
【0071】
次に、要所において、上側ランナー30の一対のフランジ部32を、ビス36によって、縦材50の上端部における一対の壁面部54にそれぞれ接合する。
【0072】
以上の手順により、一対の間仕切り壁20が形成される。
【0073】
(効果)
次に、第二実施形態の効果について説明する。
【0074】
図5に示されるように、本実施形態に係る一対の間仕切り壁20は、角部20Cを構成する一対の上側ランナー30を備えている。一対の上側ランナー30は、傾斜端部30Eをそれぞれ有している。これらの傾斜端部30Eを、角部20Cにおいて互いに突き合せることにより、一対の上側ランナー30を隙間なく、連続させることができる。
【0075】
したがって、一対の上側ランナー30の角部20Cの意匠性を高めることができる。特に、出隅20C2の意匠性を高めることができる。
【0076】
これと同様に、図4に示されるように、一対の間仕切り壁20は、角部20Cを構成する一対の下側ランナー40を備えている。一対の下側ランナー40は、図示しない傾斜端部をそれぞれ有している。これらの傾斜端部を、角部20Cにおいて互いに突き合せることにより、一対の下側ランナー40を隙間なく、連続させることができる。
【0077】
したがって、一対の下側ランナー40の角部20Cの意匠性を高めることができる。特に、出隅20C2の意匠性を高めることができる。
【0078】
また、一対の上側ランナー30の出隅20C2は、透明テープ38によって覆われている。この透明テープ38により、出隅20C2において互いに突き合せられる一対の上側ランナー30における外側のフランジ部32の端部を覆うことにより、当該端部に物等が引っ掛かることが抑制される。
【0079】
さらに、透明テープ38を用いることにより、一対の上側ランナー30の出隅20C2の外観に対する影響が小さくなる。したがって、意匠性の低下が抑制しつつ、一対の上側ランナー30の出隅20C2を保護することができる。
【0080】
また、一対の下側ランナー40の出隅20C2は、アングル48によって覆われている。このアングル48により、出隅20C2において互いに突き合せられる一対の下側ランナー40における外側のフランジ部42の端部を覆うことにより、当該端部に物等が引っ掛かることが抑制される。また、一対の下側ランナー40の出隅20C2に、台車等が衝突した場合に、当該出隅20C2の破損等が抑制される。
【0081】
なお、角部20Cの強度が懸念される場合は、例えば、図6に示されるように、補強板60によって、一対の上側ランナー30を補強することも可能である。補強板60は、矩形状の金属板によって形成されており、一対の上側ランナー30の上面同士に亘って配置されている。
【0082】
より具体的には、補強板60は、一方の上側ランナー30の上面に沿って配置されるとともに、その一端部60E1が角部20Cに達している。この補強板60の一端部60E1は、他方の上側ランナー30の上面にビス62によって接合されている。また、補強板60の他端部60E2、及び中間部60Mは、一方の上側ランナー30の上面にビス62によってそれぞれ接合されている。
【0083】
この補強板60によって一対の上側ランナー30を連結することにより、例えば、一対の間仕切り壁20の角部20Cに台車等が衝突した場合に、一対の上側ランナー30の目地部の開きが抑制される。したがって、一対の間仕切り壁20の傾き等が抑制される。
【0084】
なお、補強板60は、一対の上側ランナー30の上面同士に限らず、一対の上側ランナー30の下面同士に亘って配置しても良いし、一対の上側ランナー30の上面同士、及び下面同士に亘って配置しても良い。つまり、補強板60は、一対の上側ランナー30の上面同士及び下面同士の少なくとも一方に配置することができる。
【0085】
また、本実施形態では、一対の間仕切り壁20の施工する際に、角部20Cから順に縦材50を立てるとともに、隣り合う縦材50を図示しないビスによって接合することにより、縦材50が自立し易くなる。したがって、間仕切り壁20の鉛直精度を高めることができる。
【0086】
(第三実施形態)
次に、第三実施形態について説明する。なお、第三実施形態において、第一実施形態と同じ構成の部材等には、同符号を付して説明を適宜省略する。
【0087】
図7には、第三実施形態に係る間仕切り壁20が示されている。間仕切り壁20は、一端側が図示しない柱や壁に沿って配置され、他端側に通路等の開口16が形成される袖壁とされている。この間仕切り壁20の開口16側の端部には、縦カバー70が設けられている。
【0088】
図8に示されるように、縦カバー70は、断面C字状のC形鋼によって形成されている。また、縦カバー70は、例えば、軽量鉄骨(LGS)等によって形成されている。この縦カバー70は、間仕切り壁20の厚み方向に互いに対向する一対のフランジ部72と、一対のフランジ部72の端部同士を接続するウェブ74と有している。
【0089】
一対のフランジ部72の上端部(小口)は、角がない傾斜端部72Eとされている。この傾斜端部72Eは、例えば、一対のフランジ部72の上端部を、斜め45度で切断することにより形成されている。
【0090】
一対のフランジ部72の下端部(小口)は、角がない傾斜端部72Eとされている。この傾斜端部72Eは、例えば、一対のフランジ部72の下端部を、斜め45度で切断することにより形成されている。
【0091】
図7に示されるように、縦カバー70は、上側ランナー30の端部と下側ランナー40の端部とに亘って配置され、間仕切り壁20の端部20Eに被せられた状態で、複数のビス76によって間仕切り壁20に接合されている。この縦カバー70によって、間仕切り壁20の端部20Eが覆われる。
【0092】
また、縦カバー70の一対のフランジ部72における上側の傾斜端部72Eによって、上側ランナー30の一対のフランジ部32における角32Cが覆われている。これにより、上側ランナー30の一対のフランジ部32における角32Cに物等が引っ掛かることが抑制されている。
【0093】
これと同様に、縦カバー70の一対のフランジ部72の下側の傾斜端部72Eによって、下側ランナー40の一対のフランジ部42における角42Cが覆われている。これより、下側ランナー40の一対のフランジ部42における角42Cに物等が引っ掛かることが抑制されている。
【0094】
(効果)
次に、第三実施形態の効果について説明する。
【0095】
本実施形態によれば、縦カバー70の一対のフランジ部72における上端部及び下端部は、傾斜端部72Eとされている。また、縦カバー70は、上側ランナー30の端部と下側ランナー40の端部とに亘って配置されている。この縦カバー70によって、間仕切り壁20の端部20Eを覆うことにより、間仕切り壁20の意匠性が高められる。
【0096】
また、縦カバー70の上側の傾斜端部72Eによって、上側ランナー30の一対のフランジ部32における角32Cが覆われている。これにより、当該角32Cの面取り等が不要になる。これと同様に、縦カバー70の下側の傾斜端部72Eによって、下側ランナー40の一対のフランジ部42における角42Cが覆われている。これにより、当該角42Cの面取り等が不要になる。
【0097】
このように本実施形態では、間仕切り壁20の意匠性を高めつつ、上側ランナー30及び下側ランナー40の加工の手間を軽減することができる。
【0098】
(第四実施形態)
次に、第四実施形態について説明する。なお、第四実施形態において、第一実施形態と同じ構成の部材等には、同符号を付して説明を適宜省略する。
【0099】
図9には、第四実施形態に係る間仕切り壁20が示されている。間仕切り壁20の端部20Eには、建具80が取り付けられている。建具80は、例えば、間仕切り壁20の端部20Eと柱10とに亘って配置されている。この建具80は、矩形状の枠体82と、枠体82に開閉可能に取り付けられるドア84とを有している。
【0100】
ここで、枠体82の上枠82Uと間仕切り壁20の上側ランナー30とは、補強添え材90によって連結されている。図10に示されるように、補強添え材90は、L形鋼によって形成されている。また、補強添え材90は、例えば、軽量鉄骨によって形成されている。
【0101】
図9に示されるように、補強添え材90は、枠体82の上枠82Uと上側ランナー30とに亘って配置されている。また、補強添え材90の一端側は、上枠82Uの上面及び側面に重ねられた状態で、複数のビス92によって上枠82Uに接合されている。また、補強添え材90の他端側は、上側ランナー30の上面及び側面に重ねられた状態で、複数のビス92によって上側ランナー30に接合されている。
【0102】
(効果)
次に、第四実施形態の効果について説明する。
【0103】
本実施形態によれば、建具80の上枠82Uと間仕切り壁20の上側ランナー30とは、補強添え材90によって連結されている。この補強添え材90によって、建具80を補強することにより、建具80の倒れ等が抑制される。
【0104】
また、補強添え材90は、間仕切り壁20と同様に、軽量鉄骨によって形成されている。これにより、間仕切り壁20の意匠性が高められる。
【0105】
このように本実施形態では、間仕切り壁20の意匠性を高めつつ、建具80の倒れ等を抑制することができる。
【0106】
(変形例)
次に、上記第一実施形態~第四実施形態の変形例について説明する。なお、以下では、上記第一実施形態を例に各種の変形例について説明するが、これらの変形例は、上記第二実施形態~第四実施形態にも適宜適用可能である。
【0107】
上記第一実施形態では、縦材50が角スタッドによって形成されている。しかし、縦材50は、断面C字状のスタッドによって形成されても良い。
【0108】
また、上記第一実施形態では、間仕切り壁20が欄間(ランマ)オープンとされている。しかし、間仕切り壁20は、欄間(ランマ)クローズでも良い。
【0109】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に限定されるものでなく、一実施形態及び各種の変形例を適宜組み合わせて用いても良いし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0110】
20 間仕切り壁
20C 角部(間仕切り壁の角部)
30 上側ランナー
30E 傾斜端部
40 下側ランナー
50 縦材
60 補強板
70 縦カバー

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10