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特開2023-30423ノズル装置及びそのノズル装置を備えた消火器
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  • 特開-ノズル装置及びそのノズル装置を備えた消火器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023030423
(43)【公開日】2023-03-08
(54)【発明の名称】ノズル装置及びそのノズル装置を備えた消火器
(51)【国際特許分類】
   A62C 31/05 20060101AFI20230301BHJP
   A62C 13/76 20060101ALI20230301BHJP
【FI】
A62C31/05
A62C13/76 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021135542
(22)【出願日】2021-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】312014100
【氏名又は名称】株式会社ケーエスケー
(74)【代理人】
【識別番号】100143410
【弁理士】
【氏名又は名称】牧野 琢磨
(72)【発明者】
【氏名】楠 伸治
【テーマコード(参考)】
2E189
【Fターム(参考)】
2E189KA07
2E189KB07
(57)【要約】
【課題】安価であるとともに、操作性に優れたノズル装置及びそのノズル装置を備えた消火器を提供する。
【解決手段】ノズル装置1は、水や消火剤等を射出する放水部材10と、消火器のホース等、水や消火剤を供給するホースに接続される給水部材20と、給水部材20に放水部材10を固定するための固定部材30と、給水部材20を覆うガイド部材40と、放水部材10の放水角を変化させる放水角変更部材50と、放水角変更部材50を給水部材20に沿って動かすための駆動部材60と、放水角変更部材50と駆動部材60とを接続するピン70と、ばね80と、を備えている。放水角変更部材50の射出側には、放水ノズル12、13が挿通され、放水ノズル12、13を径方向に変位させて放水方向を変化させるための変更部52が形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
消火液等を噴射するためのノズル装置であって、
可撓性を有する材料からなり、所定の角度で外方に向かって形成されている複数の放水ノズルを備え、
前記放水ノズルに外力を負荷して変位させる放水角変更部材を備えたことを特徴とするノズル装置。
【請求項2】
前記放水角変更部材は、前記放水ノズルが挿通され、前記放水ノズルを変位させて放水方向を変化させるための変更部を備えており、前記放水ノズルに対して前記放水角変更部材を長手方向に移動させることにより、前記変更部により前記放水ノズルを変位させることを特徴とする請求項1に記載のノズル装置。
【請求項3】
前記放水ノズルは、変位時に側面で互いに案内し、位置決めを行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のノズル装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1つのノズル装置を備えた消火器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズル装置に関し、特に消火器や散水用ホースに用いる小型なノズル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、消火器などの小型の放水機器には、ホースの先端にストレートな流路を有するノズルが設けられていた。(例えば、特許文献1など)
【0003】
効率的な消火を行うには、放水の射程が長い細い水流状(棒状)の放水と、消火面積を広くするために放水角を拡げるシャワー状の放水を行うことが好ましいが、上述のノズル装置では、消火活動中に放水形態を変化させることはできなかった。
【0004】
消火活動中に放水角を変化させる機構を有するノズル装置として、例えば特許文献2には、複数の可動放水パイプを設けるとともに、可動放水パイプを開く方向又は収束する方向へと角度を変更及び固定可能とする角度調整装置とを備え、角度調整装置により、可動放水パイプの角度を変更させ、消火対象物に対する消火面積を変えることのできる消火用放水ノズル装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-189849号公報
【特許文献2】特開2012-135460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献2に記載の消火用放水ノズル装置は、構造が複雑なため、大型なノズル装置になるとともに、コスト高であり、消火器や散水用のホースの先端に取り付けるには不適である。
【0007】
そこで、本発明は、安価であるとともに、操作性に優れたノズル装置及びそのノズル装置を備えた消火器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、消火液等を噴射するためのノズル装置であって、可撓性を有する材料からなり、所定の角度で外方に向かって形成されている複数の放水ノズルを備え、前記放水ノズルに外力を負荷して変位させる放水角変更部材を備えた、という技術的手段を用いる。
【0009】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載のノズル装置において、前記放水角変更部材は、前記放水ノズルが挿通され、前記放水ノズルを変位させて放水方向を変化させるための変更部を備えており、前記放水ノズルに対して前記放水角変更部材を長手方向に移動させることにより、前記変更部により前記放水ノズルを変位させる、という技術的手段を用いる。
【0010】
請求項3に記載の発明では、請求項1または請求項2に記載のノズル装置において、前記放水ノズルは、変位時に側面で互いに案内し、位置決めを行う、という技術的手段を用いる。
【0011】
請求項4に記載の発明では、請求項1ないし請求項3のいずれか1つのノズル装置を備えた消火器、という技術的手段を用いる。
【発明の効果】
【0012】
本発明のノズル装置は、安価な装置であり、放水角変更部材を長手方向に前進、後退させるという簡単な操作により、放水ノズルを変位させて放水形態の切り替えが可能である。また、ノズル装置は小型で安価な装置であるので、消火器に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】ノズル装置の内部構造を示す縦断面説明図である。
図2】ノズル装置を構成する部材の縦断面説明図である。
図3】放水ノズルの状態を示す説明図である。図3(A)は、シャワー状の放水を行うときに放水側から見た放水ノズル、図3(B)は、A-B-C-O-D-E-F断面図である。図3(C)は、棒状の放水を行うときに放水側から見た放水ノズル、図3(D)は、A-B-C-O-D-E-F断面図である。
図4】駆動部材により放水角変更部材を操作したときのノズル装置の内部構造を示す縦断面説明図である。
図5】放水ノズルの配置の変更例を示す説明図である。図5(A)は、シャワー状の放水を行うときに、放水側から見た放水ノズルと側面から見た放水ノズルの説明図であり、図5(B)は、棒状の放水を行うときに、放水側から見た放水ノズルと側面から見た放水ノズルの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のノズル装置について、図1,2を参照して説明する。
【0015】
ノズル装置1は、水や消火剤等を射出する放水部材10と、消火器のホース等、水や消火剤を供給するホースに接続される給水部材20と、給水部材20に放水部材10を固定するための固定部材30と、給水部材20を覆うガイド部材40と、放水部材10の放水角を変化させる放水角変更部材50と、放水角変更部材50を給水部材20に沿って動かすための駆動部材60と、放水角変更部材50と駆動部材60とを接続するピン70と、ばね80と、を備えている。
【0016】
ここで、水がノズル装置1から射出する中心軸方向を射出側、水をノズル装置1に給水する方向を給水側という。また、中心軸方向と直交する方向を径方向という。また、放水は真水に限定されるものではなく、発泡のための界面活性剤を含んだものなどを含む。
【0017】
放水部材10は、基材11に放水ノズル12、13が設けれらている。放水ノズル12、13は可撓性を有する材料、例えば、シリコンゴムからなり、外力を負荷して変形しても除荷すると元の形状に復元する。
【0018】
放水ノズル12は、管状に形成されており、複数(本実施形態では8本)が等間隔で同心円上に配置され、射出側の先端が径方向外方に向かうように形成されている。放水ノズル13は、管状に形成されており、放水ノズル12の内側に複数(本実施形態では4本)が等間隔で同心円上に配置され、射出側の先端が径方向外方に向かうように形成されている。隣接する放水ノズル12の中心線の径方向に放水ノズル13が配置されている。
【0019】
本実施形態では、放水ノズル12、13を変位させて集合させたときに、外観が円柱状になるように形成されている。
【0020】
基材11の給水側の面には、基材1より高剛性の材料からなる板状のバックプレート14が貼り付けられている。バックプレート14は、放水ノズル12、13に給水可能な穴部を有しており、放水時の圧力による基材11の変形を防止する。ここで、基材11の剛性が十分に高ければ、バックプレート14を設けなくてもよい。
【0021】
給水部材20は、本体部21内部の長手方向に水や消火剤等の流路22が形成されている。給水部材20の一端23は、ホース等に接続され、他端24には、固定部材30が取り付けられる。
【0022】
固定部材30は、キャップ状の部材であり、本体部31において給水部材20の他端24に取り付けられる。固定部材30は、放水方向に放水ノズル12、13を挿通し、基材11を係止して、放水部材10を固定する係止部32が形成されている。これにより、放水部材10が給水部材20の他端24に固定される。
【0023】
ガイド部材40は、略円筒状に形成された本体部41は、給水部材20を覆うように配置され、一端42で一端23に固定される。放水ノズル12、13は、射出側の開口部43から露出している。本体部41の側面長手方向にはピン70が挿通されるガイド溝41aが形成されている。
【0024】
放水角変更部材50は、略円筒状に形成された本体部51がガイド部材40の内側で給水部材20を覆うように配置される。放水角変更部材50の射出側には、放水ノズル12、13が挿通され、放水ノズル12、13を径方向に変位させて放水方向を変化させるための変更部52が形成されている。変更部52の内径は、放水ノズル12、13を変位させて集合させたときの円柱の外径と略同一に形成されている。
【0025】
駆動部材60は円筒状の本体部61がガイド部材40の本体部41の外側を覆って配置されている。駆動部材60は放水角変更部材50とピン70により接続されている。ピン70はガイド溝41aに挿通されており、駆動部材60をガイド部材40の長手方向に沿って移動させると放水角変更部材50を給水部材20に沿って長手方向に移動させることができる。また、ガイド部材40とピン70とにより、駆動部材60及び放水角変更部材50の移動範囲が放水角を適切に制御可能な範囲に制限される。
【0026】
ばね80は、放水角変更部材50の係止部53とガイド部材40の射出側の端部の裏面との間に介装されてている。これにより、放水角変更部材50は給水側に付勢される。なお、放水角変更部材50を給水側に付勢する必要がなければ、ばね80はなくてもよい。
【0027】
ノズル装置1を用いた放水方法について、ノズル装置1を備えた消火器を例に、図3、4を参照して説明する。
【0028】
駆動部材60を操作していないときは、放水角変更部材50は、ばね80に付勢されているので、図1のように、給水側に配置されている。このとき、放水角変更部材50は放水ノズル12、13を変位させていないため、図3(A)、(B)に示すように、放水角が大きな状態でありシャワー状の放水が可能である。このように何も操作しない状態で、消火効率が高いシャワー状の放水が可能である。
【0029】
駆動部材60を操作して射出側(図1X方向)に向かって前進させると、図4に示すように、放水角変更部材50が射出側に向かって前進する。放水角変更部材50が前進すると変更部52が前進するが、変更部52の内径は、放水ノズル12の広がりよりも小さいため、変更部52が放水ノズル12の外周部12cに当接し、放水ノズル12が径方向内側に変位する。
【0030】
放水ノズル12が内側に変位すると、隣接する放水ノズル12は、周側の側面12aにより互いに案内される。また、放水ノズル12が放水ノズル13に到達すると、放水ノズル12の内側の側面12bにより放水ノズル13の外側の側面13aが押圧され放水ノズル13が変位する。
【0031】
これにより、放水ノズル12、13が、図3(C)、(D)に示すように、全体として円柱状となり放水方向が同方向を向いているので、シャワー状の放水から棒状の放水に変化する。このように、放水ノズル12、13の各側面により互いに案内し、位置決めされるため、放水ノズル12、13が位置ずれすることがなく、図3(B)と図3(D)との状態の間の任意の放水角により所望の放水形態を保つことができる。
【0032】
(変更例)
本実施形態では、放水ノズル12、13を変位させて集合させたときに、互いに案内し、外観が円柱状になるようになめらかなカーブを有するように形成されているが、これに限定されるものではない。例えば、外観が屈曲する線状になるように形成することもできる。
【0033】
放水ノズルは直線状に配置したり、十字に配置したり、など、所望の放水形態に応じて各種配置を採用することができる。例えば、図5に示すように、放水ノズルを一列に配置し、外方の放水ノズルほど外方への傾斜が大きくなるように形成してもよい。図5に記載の変更例においては、上述の実施形態と異なる部材のみ、符号を変更して示す。
【0034】
図5(A)に示すように、本変更例において、放水ノズル100は、基材101に、図中左方向に傾斜する4つの放水ノズル101と、中央に位置する放水ノズル102と、図中右方向に傾斜する4つの放水ノズル103と、が一直線上に配置されている。
【0035】
本変更例において、放水角変更部材90は、放水ノズル101、102、103の配置に応じた長孔状の変更部92を備えている。
【0036】
駆動部材60を操作していないときは、図5(A)に示すように、放水角変更部材90の変更部92は、給水側に位置している。このとき、放水角変更部材90は放水ノズル101、103を変位させていないため、放水角が大きな状態であり横長のシャワー状の放水が可能である。
【0037】
放水角変更部材90を射出側に向かって前進させると、変更部92が前進し、放水ノズル101、103は外側から順に内側に向かって変位する。外側から内側に向かって変位する放水ノズル101、103は、順次隣接する放水ノズル101、103の側面を押圧し、内側に変位させる。放水ノズル102は、放水ノズル101、103の対称中心に位置しているため、変位することはない。
【0038】
これにより、放水ノズル101、102、103が、図5(B)に示すように、一直線上に一体的に整列し、放水方向が同方向を向くようにすることができる。
【0039】
(実施形態の効果)
本発明のノズル装置1は、安価な装置であり、駆動部材60により放水角変更部材50を前進、後退させるという簡単な操作により、放水ノズル12、13を変位させて放水形態の切り替えが可能である。また、ノズル装置1は小型で安価な装置であるので、消火器に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0040】
1…ノズル装置
10…放水部材
11…基材
12…放水ノズル
12a…側面
12b…側面
12c…外周部
13…放水ノズル
14…バックプレート
20…給水部材
20…放水部材
21…本体部
22…流路
23…一端
24…他端
30…固定部材
31…本体部
32…係止部
40…ガイド部材
41…本体部
41a…ガイド溝
42…一端
43…開口部
50…放水角変更部材
51…本体部
52…変更部
53…係止部
60…駆動部材
61…本体部
70…ピン
80…ばね
図1
図2
図3
図4
図5