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特開2023-30426商品販売システム及び商品販売プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023030426
(43)【公開日】2023-03-08
(54)【発明の名称】商品販売システム及び商品販売プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0202 20230101AFI20230301BHJP
   G06Q 30/0601 20230101ALI20230301BHJP
   G06Q 30/0283 20230101ALI20230301BHJP
【FI】
G06Q30/02 310
G06Q30/06 300
G06Q30/02 490
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021135552
(22)【出願日】2021-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】521372091
【氏名又は名称】浅見 幸宏
(71)【出願人】
【識別番号】521372105
【氏名又は名称】青木 孝諭
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浅見 幸宏
(72)【発明者】
【氏名】青木 孝諭
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB02
5L049BB04
5L049BB22
(57)【要約】
【課題】購買者がリーズナブルな価格で様々な商品を購入できるうえに、販売者の裁量によって利益を増加させることが可能な商品販売システムを提供する。
【解決手段】海外ECサイト2で販売されている商品を選定して販売する商品販売システム1である。
そして、海外ECサイトの対象商品の価格調査を行う海外価格調査部31と、海外価格調査部の調査結果と仕入れにかかるコストに基づいて、対象商品の暫定価格を設定する暫定価格設定部32と、対象商品をネットワークNWを通じて販売する販売サイト7が対象とする市場の市場価格を調査する市場価格調査部33と、暫定価格と市場価格と予め設定された価格設定基準に基づいて出品価格を設定する出品価格設定部34と、対象商品を販売するか否かを判定する販売可否判定部35と、販売可否判定部で販売可と判定された対象商品を販売サイトに出品する商品出品部36とを備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
海外のECサイトで販売されている商品を選定して販売する商品販売システムであって、
前記海外のECサイトの対象商品の価格調査を行う海外価格調査部と、
前記海外価格調査部の調査結果と仕入れにかかるコストに基づいて、前記対象商品の暫定価格を設定する暫定価格設定部と、
前記対象商品をネットワークを通じて販売する販売サイトが対象とする市場の市場価格を調査する市場価格調査部と、
前記暫定価格と前記市場価格と予め設定された価格設定基準に基づいて出品価格を設定する出品価格設定部と、
前記対象商品を販売するか否かを判定する販売可否判定部と、
前記販売可否判定部で販売可と判定された前記対象商品を前記販売サイトに出品する商品出品部とを備えたことを特徴とする商品販売システム。
【請求項2】
前記出品価格設定部では、前記市場価格を安い順に並べて前記暫定価格と比較し、前記暫定価格を上回る価格から所定の金額を引いた価格を前記出品価格として設定することを特徴とする請求項1に記載の商品販売システム。
【請求項3】
前記販売可否判定部では、前記出品価格を設定した前記市場価格の順位に基づいた出品基準に応じて前記対象商品を販売するか否かを判定することを特徴とする請求項2に記載の商品販売システム。
【請求項4】
前記販売可否判定部では、前記出品価格から前記市場価格の最安値を引いた金額が、予め設定された前記出品価格の割合によって算出された金額を上回ったときに、前記対象商品を販売しないと判定することを特徴とする請求項3に記載の商品販売システム。
【請求項5】
前記販売可否判定部では、前記対象商品が禁忌リストに登録された商品である場合に、前記対象商品を販売しないと判定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の商品販売システム。
【請求項6】
前記暫定価格設定部では、前記海外のECサイトの価格に応じて予め設定された利益基準に基づいた設定利益を加えて前記暫定価格を設定することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の商品販売システム。
【請求項7】
海外のECサイトで販売されている商品を選定して販売するための商品販売プログラムであって、
前記海外のECサイトの対象商品の価格調査を行う海外価格調査手段と、
前記海外価格調査手段の調査結果と仕入れにかかるコストに基づいて、前記対象商品の暫定価格を設定する暫定価格設定手段と、
前記対象商品をネットワークを通じて販売する販売サイトが対象とする市場の市場価格を調査する市場価格調査手段と、
前記暫定価格と前記市場価格と予め設定された価格設定基準に基づいて出品価格を設定する出品価格設定手段と、
前記対象商品を販売するか否かを判定する販売可否判定手段と、
前記販売可否判定手段で販売可と判定された前記対象商品を前記販売サイトに出品する商品出品手段としてコンピュータを機能させることを特徴とする商品販売プログラム。
【請求項8】
前記出品価格設定手段では、前記市場価格を安い順に並べて前記暫定価格と比較し、前記暫定価格を上回る価格から所定の金額を引いた価格を前記出品価格として設定することを特徴とする請求項7に記載の商品販売プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海外のECサイトで販売されている商品を選定して販売する商品販売システム及び商品販売プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1,2に開示されているように、海外で販売されている商品を、国内の個人の購買者が購入を望む場合がある。ここで、特許文献2は、海外免税店と国内の購買者とをインターネットを通じて仲介会社が繋ぎ、仲介会社は双方から手数料を受け取るというシステムである。
【0003】
この特許文献2で開示されているシステムは、免税制度を利用するものであるが、国内の購買者は、海外の免税店で扱っている商品だけでなく、様々な商品を海外のECサイトから購入したいという要望がある。
【0004】
そこで、特許文献1の越境商品受注・発注システムでは、個人購買者の利便性に鑑みて、個人購買者による関税と煩雑な送金処理を回避して、格安に海外商品を受け取ることができるようにした。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-134534号公報
【特許文献2】特開2001-202419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1,2に開示されたシステムは、あくまで個人輸入の手助けとなる代行を行うだけであるため、仲介会社は仲介手数料が得られる程度で、仲介会社の裁量できる範囲は狭い。
【0007】
そこで本発明は、購買者がリーズナブルな価格で様々な商品を購入できるうえに、販売者の裁量によって利益を増加させることが可能な商品販売システム及び商品販売プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明の商品販売システムは、海外のECサイトで販売されている商品を選定して販売する商品販売システムであって、前記海外のECサイトの対象商品の価格調査を行う海外価格調査部と、前記海外価格調査部の調査結果と仕入れにかかるコストに基づいて、前記対象商品の暫定価格を設定する暫定価格設定部と、前記対象商品をネットワークを通じて販売する販売サイトが対象とする市場の市場価格を調査する市場価格調査部と、前記暫定価格と前記市場価格と予め設定された価格設定基準に基づいて出品価格を設定する出品価格設定部と、前記対象商品を販売するか否かを判定する販売可否判定部と、前記販売可否判定部で販売可と判定された前記対象商品を前記販売サイトに出品する商品出品部とを備えたことを特徴とする。
【0009】
ここで、前記出品価格設定部では、前記市場価格を安い順に並べて前記暫定価格と比較し、前記暫定価格を上回る価格から所定の金額を引いた価格を前記出品価格として設定する構成とすることができる。また、前記販売可否判定部では、前記出品価格を設定した前記市場価格の順位に基づいた出品基準に応じて前記対象商品を販売するか否かを判定することもできる。さらに、前記販売可否判定部では、前記出品価格から前記市場価格の最安値を引いた金額が、予め設定された前記出品価格の割合によって算出された金額を上回ったときに、前記対象商品を販売しないと判定することもできる。
【0010】
また、前記販売可否判定部では、前記対象商品が禁忌リストに登録された商品である場合に、前記対象商品を販売しないと判定することができる。さらに、前記暫定価格設定部では、前記海外のECサイトの価格に応じて予め設定された利益基準に基づいた設定利益を加えて前記暫定価格を設定することもできる。
【0011】
また、商品販売プログラムの発明は、海外のECサイトで販売されている商品を選定して販売するための商品販売プログラムであって、前記海外のECサイトの対象商品の価格調査を行う海外価格調査手段と、前記海外価格調査手段の調査結果と仕入れにかかるコストに基づいて、前記対象商品の暫定価格を設定する暫定価格設定手段と、前記対象商品をネットワークを通じて販売する販売サイトが対象とする市場の市場価格を調査する市場価格調査手段と、前記暫定価格と前記市場価格と予め設定された価格設定基準に基づいて出品価格を設定する出品価格設定手段と、前記対象商品を販売するか否かを判定する販売可否判定手段と、前記販売可否判定手段で販売可と判定された前記対象商品を前記販売サイトに出品する商品出品手段としてコンピュータを機能させることを特徴とする。
【0012】
ここで、前記出品価格設定手段では、前記市場価格を安い順に並べて前記暫定価格と比較し、前記暫定価格を上回る価格から所定の金額を引いた価格を前記出品価格として設定する構成とすることができる。
【発明の効果】
【0013】
このように構成された本発明の商品販売システム及び商品販売プログラムでは、海外価格調査部で海外のECサイトの対象商品の価格調査を行い、それに基づいて暫定価格設定部によって対象商品の暫定価格を設定する。
【0014】
そして、対象商品を販売する販売サイトが対象とする市場の市場価格を市場価格調査部で調査し、暫定価格及び市場価格と、予め設定された価格設定基準とに基づいて、出品価格を設定する。また、対象商品を販売するか否かを判定する販売可否判定部を備えている。
【0015】
すなわち、商品を海外のECサイトから自由に選んできて、市場価格を調査したうえで出品価格を設定するので、購買者がリーズナブルな価格で様々な商品を購入できるようになる。さらに、合理的な利益が得られる商品だけ選択して販売するなど、販売者の裁量によって販売の可否の判定を行わせることができるので、利益を増加させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施の形態の商品販売システムの構成を説明するブロック図である。
図2】本実施の形態の商品販売システムの処理の流れを説明するフローチャートである。
図3】販売サイトにおける対象商品の購入から発送までの流れを説明するフローチャートである。
図4】各種条件の設定画面を例示した説明図である。
図5】国内送料に関するデータを例示した説明図である。
図6】暫定価格の設定画面を例示した説明図である。
図7】禁忌リストの登録画面を例示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施の形態の商品販売システム1の構成を説明するブロック図である。また、図2は、本実施の形態の商品販売システム1の処理の流れを説明するフローチャートである。
【0018】
本実施の形態の商品販売システム1は、海外のECサイトで販売されている商品を選定して、国内の購買者が閲覧する販売サイト7で販売するためのシステムである。ここで、「ECサイト」とは、商品を販売する販売主が主体となって運営する自社型ECサイト、多数の販売主がプラットフォームに出品又は出店するモール型ECサイトなどの電子商取引のためのウェブサイトを指す。
【0019】
本実施の形態では、図1に示すように、1又は複数の外国において閲覧されるECサイトを海外ECサイト2と呼ぶ。一方、日本国内において閲覧されるECサイトのうち、商品販売システム1が商品を出品するウェブサイトを、販売サイト7と呼ぶ。
【0020】
本実施の形態の商品販売システム1と海外ECサイト2と販売サイト7と購買者が利用する購買者端末8とは、ネットワークNWによって接続されている。ネットワークNWは、インターネット、WAN(Wide Area Network)、有線LAN(Local Area Network)、無線LAN(Wi-Fi)、プロバイダ装置、無線基地局、専用回線などの一部又は全部によって構成される。
【0021】
購買者端末8は、商品を購入しようとする購買者が操作するコンピュータで、スマートフォン、パーソナルコンピュータ(PC)、ノートパソコン、タブレット端末などが該当する。
【0022】
本実施の形態の商品販売システム1は、単一のコンピュータで構成することもできるが、クラウドコンピューティングのようにネットワーク上に分散した複数のコンピュータで構成されていてもよい。
【0023】
以下では、説明を簡単にするために、パーソナルコンピュータ(ノートPC、デスクトップPC)によって構成される商品販売システム1を例にする。パーソナルコンピュータは、演算処理部3と、入力装置4と、記憶部5と、表示装置6とを備えている。
【0024】
演算処理部3は、ハードウェアとしてはCPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro-processing unit)によって構成され、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などのメモリを備えている。
【0025】
また、入力装置4には、キーボード、マウス、タッチパッド、タッチパネル、スキャナ、音声入力用のマイクなどが該当する。一方、表示装置6には、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro- Luminescence)ディスプレイなどが使用できる。
【0026】
さらに、記憶部5は、演算処理部3における処理によって生成されたデータや演算処理に必要なデータを記録させる記憶媒体で、ハードディスク、ソリッドステートドライブ(SSD)、フラッシュメモリ(SDメモリーカードなど)、磁気ディスク、光ディスクなどが該当する。また、ネットワークNWで接続されるサーバなどの外部のオンラインストレージ(クラウドストレージ)を、記憶部5として使用することもできる。
【0027】
続いて、コンピュータに、本実施の形態の商品販売プログラムなどをインストールすることで機能させる演算処理部3のソフトウェアとしての構成について説明する。商品販売システム1の演算処理部3は、海外価格調査部31と、暫定価格設定部32と、市場価格調査部33と、出品価格設定部34と、販売可否判定部35と、商品出品部36とを備えている。
【0028】
海外価格調査部31は、海外ECサイト2の商品の価格調査を行う。すなわち、販売したいと検討している対象商品と同じ商品が、国内のECサイトよりも安い価格で海外ECサイト2において販売されていることがある。そのような対象商品に関する海外の価格情報を、海外価格調査部31によって調査する。
【0029】
海外価格調査部31による価格調査は、商品名、商品番号、固有の商品コードなどの対象商品に関する識別キーを入力することで、自動的に行わせることができる。例えば、海外価格調査部31によって表示装置6に表示された入力欄に、入力装置4を操作して識別キーを入力することで、海外ECサイト2で販売されている対象商品の価格が、安い順に出力される。この識別キーの入力は、複数の対象商品の識別キーをリスト化しておき、そのデータを読み込ませることでも行うことができる。
【0030】
暫定価格設定部32は、少なくとも海外価格調査部31の調査結果と仕入れにかかるコストに基づいて、対象商品の暫定価格を設定する。海外価格調査部31の調査結果としては、例えば海外市場における最安値を使用する。
【0031】
対象商品を海外ECサイト2から仕入れる際には、税金や送料などのコストが発生する。税金には州税など海外ECサイト2がある国に関するものや、輸入に関する関税などがある。これらの税金は、商品の仕入れ価格に税率を乗じることで算出することができる。
【0032】
送料には、国際送料と国内送料がある。例えば国際送料は、商品の重さ×重量あたり単価(円)で算出することができる。また、商品の体積が大きい場合は、体積重量(円/cm)を使って算出することもある。一方、国内送料は、外寸あたりの価格表(図5参照)などから求めることができる。
【0033】
また、暫定価格設定部32で設定する暫定価格には、税金や送料のほかに、任意に設定可能な諸経費を含めることができる。例えば仕入れ価格に、商品販売システム1の運営者(販売者)が設定する割合を乗じた金額を、諸経費として設定することができる。この諸経費の設定は、販売者の裁量が発揮できる部分で、この設定によって利益を増加させることも可能になる。
【0034】
さらに、暫定価格設定部32では、仕入れ価格と仕入れにかかるコスト(税金、送料、諸経費など)を合算した仕入れ原価に、商品販売システム1の運営者(販売者)の利益を加える設定を行うことができる。すなわち、仕入れ原価に、予め設定された利益基準に基づいた設定利益を加えた金額から、暫定価格を設定することができる。
【0035】
例えば、仕入れ原価に販売者が設定した任意の割合を乗じ、さらに仕入れ原価に応じた固定利益を加えることができる。この仕入れ原価に乗じる割合や固定利益などが、利益基準であり、販売者が任意に設定することができる。このような利益基準に基づいて算出される設定利益が、販売者の裁量の発揮によって得られる利益となる。
【0036】
市場価格調査部33では、対象商品をネットワークNWを通じて販売する販売サイト7が対象とする市場の市場価格を調査する。すなわち、購買者端末8を操作する購買者が閲覧する日本国内のECサイトにおいて、対象商品がどのような価格で実際に販売されているかを調査する。対象商品には、国内市場で販売されていない商品もある。
【0037】
この市場価格調査部33による価格調査も、海外価格調査部31による価格調査と同様に、商品名、商品番号、固有の商品コードなどの対象商品に関する識別キーを入力することで、自動的に行わせることができる。そして、販売サイト7と競合するECサイトで販売されている対象商品の価格を、安い順に出力させる。
【0038】
出品価格設定部34では、上述した暫定価格設定部32で設定された暫定価格と、市場価格調査部33で調査された市場価格と、予め設定された価格設定基準とに基づいて、出品価格を設定する。
【0039】
市場価格調査部33で調査された市場価格は、安い順に並べられるので、各順位の価格と暫定価格とを比較することができる。ここで、販売サイト7が出品料がかかるマーケットプレイス(モール型ECサイト)の場合は、出品料を加えた金額が、市場価格と比較する暫定価格となる。
【0040】
そして、対象商品の出品価格を自動的に算出させるために、予め価格設定基準を定めておく。例えば、市場価格の最安値より暫定価格が安い場合は、最安値の価格から所定の金額(例えば1円)を引いた価格を、出品価格として設定する。なお、国内市場で販売されていない対象商品については、暫定価格だけに基づいて出品価格を設定すればよい。
【0041】
一方、市場価格の最安値よりは高いが2位の価格より暫定価格が安い場合は、2位の価格から所定の金額(例えば1円)を引いた価格を、出品価格として設定する。同様に、2位の価格よりは暫定価格が高いが3位の価格より安い場合は、3位の価格から所定の金額(例えば1円)を引いた価格を、出品価格として設定する。
【0042】
販売可否判定部35は、以上のようにして出品価格を設定した対象商品を、実際に販売するか否かの判定を行う。例えば、販売サイト7に出品をしたとしても、競合する市場価格との関係で、売り上げがそれほど見込めないと判定される場合は、販売を行わないという選択ができる。
【0043】
販売可否判定部35では、対象商品に対して設定された出品価格に基づいて、販売の可否を判定する出品基準を設定する。出品基準は、例えば市場価格の順位に基づいた基準とすることができる。
【0044】
例えば、設定された出品価格が市場価格の最安値より高かった場合に、出品価格から市場価格の最安値を引いた金額(差額)を算出し、出品価格に販売者が予め設定した割合(閾値)を乗じた金額と比較する。そして、差額が上回ったときには、対象商品を販売しないという判定をする。すなわち、出品価格が市場価格の最安値より高かった場合の販売見込み(売れやすさ)を、最安値との差額に基づいて判断する。こうした販売可否の判定のための閾値の設定は、販売者の裁量が発揮できる部分で、この設定によって効率的な運用を図ることが可能になる。
【0045】
さらに、販売可否判定部35では、販売が見込めるか否かという視点だけでなく、法律や公序良俗に違反しないという視点からも、販売の可否を判定する。具体的は、禁忌リスト(図7参照)を作成しておき、禁忌リストに登録された商品に対象商品が該当する場合は、販売をしないという判定をすることができる。この禁忌リストとの対比は、海外価格調査部31で価格調査を行う前に実行してもよい。
【0046】
商品出品部36は、販売可否判定部35で販売可と判定された対象商品を、販売サイト7に出品する。販売サイト7は、1つのECサイトに限定されるものではなく、複数のECサイトに同時に出品することもできる。この場合は、ECサイトの違いによる出品料などの違いを反映させた出品価格とすることもできる。
【0047】
次に、本実施の形態の商品販売システム1及び商品販売プログラムの処理の流れについて、図2及び図3を参照しながら説明する。
【0048】
まず、ステップS1では、商品販売システム1の各種条件の設定を行う。例えば、暫定価格設定部32における仕入れ原価の算出に関する設定や利益基準の設定、出品価格設定部34の価格設定基準の設定、販売可否判定部35の出品基準の設定などが行われる。
【0049】
図4は、商品販売システム1の各種条件の設定画面M1を例示した説明図である。ここでは、仕入れ先となる国、調査対象とする商品の出品基準数などの設定も行うことができる。また、国を設定すると、州税や関税や国際送料などに関する情報も、自動的に設定される。
【0050】
また、商品販売システム1を操作する販売者は、対象商品の仕入れにかかる諸経費や出品を予定している数量(出品数)なども設定する。さらに、仕入れを行う海外ECサイト2を選別する場合は、出品フィルターを設定することもできる。また、仕入れにかかる時間(ハンドリングタイム)などに関する情報も設定しておくことができる。一方、図5は、国内送料に関するデータを例示した国内送料表示画面M2の説明図である。
【0051】
続いてステップS2では、識別キーが入力された対象商品に関する海外ECサイト2の価格調査が、海外価格調査部31によって行われる。海外ECサイト2の価格調査は、出品基準数や出品フィルターなどが設定されている場合は、その条件に適合するものだけに実施される。
【0052】
ステップS3では、海外価格調査部31による価格調査の結果に基づいて、対象商品の暫定価格の設定が行われる。図6は、暫定価格の設定画面M3を例示した説明図である。暫定価格は、仕入れ原価の価格帯に応じて、仕入れ原価に乗じる割合や固定利益などの利益基準を変えることができる。例えば仕入れ原価に乗じる割合を30%と一定にした場合でも、固定利益は仕入れ原価の金額に応じて増加させることができる。
【0053】
続いてステップS4では、商品販売システム1を操作する販売者が出品する販売サイト7と競合とする国内市場の市場価格を調査する。この国内市場の価格調査も、識別キーが入力された対象商品に対して行われる。
【0054】
調査によって得られた対象商品の国内市場の市場価格は、安い順に並べられる。最安値が1位の市場価格になり、次に安い価格が2位の市場価格、その次に安い価格が3位の市場価格となる。そして、ステップS3で設定された暫定価格と、安い順に並べられた市場価格とを比較することによって、対象商品の出品価格を設定する(ステップS5)。
【0055】
出品価格の価格設定基準では、暫定価格より高い価格を示す順位の市場価格より、1円だけ安い価格に設定する。但し、3位の市場価格より暫定価格が高くなる場合は、出品価格の設定を行わず、この時点で処理を終了させることもできる。また、市場価格が得られなかった対象商品については、暫定価格を出品価格とすることができる。
【0056】
このようにして出品価格が設定された対象商品について、ステップS6では、国内市場での販売が見込めるか否か、換言すると販売しやすいかや販売によって合理的な利益が得られるかなどの判定を行う。
【0057】
販売の可否を判定する出品基準は、市場価格の最安値に基づいて設定することができる。例えば、出品価格から市場価格の最安値を引いた差額と、出品価格に閾値(図6の右端列参照)を乗じた金額とを比較する。この閾値(割合)は、仕入れ原価の価格帯に応じて変えることができる。
【0058】
そして、最安値との差額が出品価格に閾値を乗じた金額を下回ったときだけ、対象商品の販売が見込める「販売可」という判定をする。すなわち、出品価格が市場価格の最安値より閾値以上の割合で高ければ、販売してもそれほどの数量が売れないことも想定できるので、販売が見込めない「販売不可」と判定する。
【0059】
さらに、ステップS7では、出品価格から販売が見込めると判定された対象商品について、禁忌リストに登録された商品でないかの確認を行う。図7は、禁忌リストを例示したブラックリスト登録画面M4の説明図である。
【0060】
禁忌リストに登録される商品としては、税関で輸入が禁止されている薬物や銃や知的財産権を侵害する物品だけでなく、メーカーが直営店以外の販売を禁止している商品なども登録することができる。また、商品販売システム1の販売者が、販売トラブルを避けるために取り扱いをしないと決めた商品なども、禁忌リストに登録することができる。
【0061】
こうして禁忌リストのチェックもクリアして、販売可能と判定された対象商品を、販売サイト7に出品する(ステップS8)。販売サイト7は、自社のECサイト、モール型のECサイトなどいずれのプラットフォームであってもよい。また、複数のECサイトに出品することもできる。
【0062】
図3では、販売者が販売サイト7に対象商品を出品してから、購買者が購入して対象商品が発送されるまでの流れを、フローチャートに示した。ここからの処理は、本実施の形態の商品販売システム1によって実行されなくてもよい。
【0063】
購買者端末8を操作することで販売サイト7を閲覧する購買者が、商品と価格に納得して、販売サイト7での対象商品の購入を行う(ステップS11)。この段階で、購買者の購入処理は、通常は決済まで行われるが、販売者の方針によっては、予約処理だけで済ませてもよい。
【0064】
購買者端末8からの購入処理を受け付けた商品販売システム1の販売者は、価格調査を行った海外ECサイト2から、対象商品を仕入れる(ステップS12)。このステップでは、販売者が海外ECサイト2に対する購入処理及び決済を行う。
【0065】
商品販売システム1の販売者によって、購買者のために海外ECサイト2から購入された対象商品は、購買者の希望する住所に発送される(ステップS13)。この発送は、海外ECサイト2から購買者に、直接、配送されるルートであってもよいし、販売者を経由して購買者に配送されるルートであってもよい。
【0066】
次に、本実施の形態の商品販売システム1及び商品販売プログラムの作用について説明する。
このように構成された本実施の形態の商品販売システム1及び商品販売プログラムでは、海外価格調査部31で海外ECサイト2の対象商品の価格調査を行い、それに基づいて暫定価格設定部32によって対象商品の暫定価格を設定する。
【0067】
そして、対象商品を販売する販売サイト7が対象とする国内市場の市場価格を市場価格調査部33で調査し、暫定価格及び市場価格と、予め設定された価格設定基準とに基づいて、出品価格を設定する。また、対象商品を販売するか否かを判定する販売可否判定部35を備えている。
【0068】
すなわち、商品を無数にある海外ECサイト2から自由に選んできて、国内の市場価格を調査したうえで出品価格を設定するので、購買者がリーズナブルな価格で様々な商品を購入できるようになる。
【0069】
さらに、商品販売システム1を運用する販売者は、販売者にとって合理的な利益が確保できる商品だけを選択して販売するなど、販売者の裁量によって販売の可否の判定を行わせることができる。要するに、売れやすい商品や高い利益が見込める商品を選んで販売することで利益を増加させるといった経営戦略を、販売者の方針によって自由に決めることができる。
【0070】
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0071】
例えば、前記実施の形態では、市場価格を安い順に並べて暫定価格と比較して、暫定価格を上回る価格となる順位の価格から所定の金額を引いた価格を、出品価格として設定する場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、暫定価格を上回る価格となる順位の価格に、99%や95%といった割合を乗じた金額を出品価格とすることもできる。
【0072】
また、前記実施の形態では、出品価格から市場価格の最安値を引いた金額が、出品価格に閾値を乗じた金額を上回ったときに、対象商品を販売しないと判定する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、単純に市場価格の何位の価格よりも高い出品価格になったときは販売しないと判定することもできる。
【符号の説明】
【0073】
1 :商品販売システム
2 :海外ECサイト
31 :海外価格調査部
32 :暫定価格設定部
33 :市場価格調査部
34 :出品価格設定部
35 :販売可否判定部
36 :商品出品部
7 :販売サイト
NW :ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7