(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023030434
(43)【公開日】2023-03-08
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/06 20230101AFI20230301BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20230301BHJP
【FI】
G06Q10/06
G06Q50/10
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021135562
(22)【出願日】2021-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】000232140
【氏名又は名称】NECフィールディング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】土屋 大樹
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA06
5L049CC15
(57)【要約】
【課題】作業者の作業スキルを正しく評価することに貢献する技術を提供する。
【解決手段】所定の作業に関する実際の作業時間と予め設定された標準作業時間とを比較し、実際の作業時間が標準作業時間を超過していない場合に、所定の作業に関して作業者が習熟であると判定する。作業者のバイタルデータに基づいて所定の作業を行っている最中の作業者の感情変動を監視し、感情変動が検出されなかった場合に所定の作業に関して作業者が得意であると判定する。作業者のバイタルデータに基づいて作業者の健康状態を判定し、作業者が健康不良であると判定した場合には、不得意である旨の判定結果を、健康不良である旨の判定結果に置き換える。そして、それらの判定結果に基づいて、所定の作業に関する評価結果を作成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の作業に関する実際の作業時間と予め設定された標準作業時間とを比較し、前記実際の作業時間が前記標準作業時間を超過していない場合に、前記所定の作業に関して作業者が習熟であると判定する習熟判定部と、
前記作業者のバイタルデータに基づいて前記所定の作業を行っている最中の作業者の感情変動を監視し、感情変動が検出されなかった場合に前記所定の作業に関して前記作業者が得意であると判定する得意判定部と、
前記作業者のバイタルデータに基づいて前記作業者の健康状態を判定し、前記作業者が健康不良であると判定した場合には、前記得意判定部による不得意である旨の判定結果を、健康不良である旨の判定結果に置き換える健康状態判定部と、
前記習熟判定部、前記得意判定部及び前記健康状態判定部による判定結果に基づいて、前記所定の作業に関する評価結果を作成する評価結果作成部と、
を含む情報処理装置。
【請求項2】
前記評価結果のログを蓄積する評価結果記憶部と、
前記評価結果記憶部に蓄積されたログを、健康不良である旨のログを除外しつつ集計して、前記作業者のスキルを評価するスキル評価部と、
を更に含む請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記スキル評価部が、各評価結果に対して重み付けを行いつつ前記作業者のスキルを評価する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記評価結果作成部によって作成された評価結果又は、前記スキル評価部によるスキル評価結果のうち少なくとも何れか1つを出力する出力部、を更に含む請求項1~3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
所定の作業に関する実際の作業時間と予め設定された標準作業時間とを比較し、前記実際の作業時間が前記標準作業時間を超過していない場合に、前記所定の作業に関して作業者が習熟であると判定する習熟判定ステップと、
前記作業者のバイタルデータに基づいて前記所定の作業を行っている最中の作業者の感情変動を監視し、感情変動が検出されなかった場合に前記所定の作業に関して前記作業者が得意であると判定する得意判定ステップと、
前記作業者のバイタルデータに基づいて前記作業者の健康状態を判定し、前記作業者が健康不良であると判定した場合には、前記得意判定ステップによる不得意である旨の判定結果を、健康不良である旨の判定結果に置き換える健康状態判定ステップと、
前記習熟判定ステップ、前記得意判定ステップ及び前記健康状態判定ステップによる判定結果に基づいて、前記所定の作業に関する評価結果を作成する評価結果作成ステップと、
を含む情報処理方法。
【請求項6】
所定の作業に関する実際の作業時間と予め設定された標準作業時間とを比較し、前記実際の作業時間が前記標準作業時間を超過していない場合に、前記所定の作業に関して作業者が習熟であると判定する習熟判定工程と、
前記作業者のバイタルデータに基づいて前記所定の作業を行っている最中の作業者の感情変動を監視し、感情変動が検出されなかった場合に前記所定の作業に関して前記作業者が得意であると判定する得意判定工程と、
前記作業者のバイタルデータに基づいて前記作業者の健康状態を判定し、前記作業者が健康不良であると判定した場合には、前記得意判定工程による不得意である旨の判定結果を、健康不良である旨の判定結果に置き換える健康状態判定工程と、
前記習熟判定工程、前記得意判定工程及び前記健康状態判定工程による判定結果に基づいて、前記所定の作業に関する評価結果を作成する評価結果作成工程と、
をコンピュータに実行させる情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、方法及びプログラムに関する。特に、所定の作業に関する作業者の作業スキルを評価する情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
サービスを提供する事業においては、サービス品質を保つために作業者のスキルを一定に保つことが必要とされる。かかる必要を満たすために、特許文献1には、作業者の生産能力の伸長のための作業能力分析を行う技術が開示されている。また、特許文献2、3には作業者のストレス、疲労、感情等を考慮して、パフォーマンス(作業品質)の低下を見積もる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-051620号公報
【特許文献2】特開2020-060993号公報
【特許文献3】特開2018-142259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以下の分析は、本発明の観点からなされたものである。なお、上記先行技術文献の各開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。
【0005】
上記特許文献1~3に開示される技術では、作業者の作業スキルを正しく評価できない場合があるという問題点がある。すなわち、作業スキルは、作業者のベストパフォーマンスや平均パフォーマンスに基づいて評価されるべきである。しかしながら、特許文献1では、実際の作業時の心拍数や作業時間に基づいて分析を行っているが、偶発的な事情等によってベスト又は通常のパフォーマンスが発揮できない状態を考慮に入れておらず、正しく作業スキル(作業能力)を評価できていない。また、特許文献2、3は、そもそも作業スキル(パフォーマンス)が正しく評価されていることを前提として、ストレス等に起因するパフォーマンスの低下を見積もる技術であり、前提となる作業スキルを正しく評価することには寄与しない。
【0006】
そこで、本発明では、作業者の作業スキルを正しく評価することに貢献する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の視点によれば、
所定の作業に関する実際の作業時間と予め設定された標準作業時間とを比較し、前記実際の作業時間が前記標準作業時間を超過していない場合に、前記所定の作業に関して作業者が習熟であると判定する習熟判定部と、
前記作業者のバイタルデータに基づいて前記所定の作業を行っている最中の作業者の感情変動を監視し、感情変動が検出されなかった場合に前記所定の作業に関して前記作業者が得意であると判定する得意判定部と、
前記作業者のバイタルデータに基づいて前記作業者の健康状態を判定し、前記作業者が健康不良であると判定した場合には、前記得意判定部による不得意である旨の判定結果を、健康不良である旨の判定結果に置き換える健康状態判定部と、
前記習熟判定部、前記得意判定部及び前記健康状態判定部による判定結果に基づいて、前記所定の作業に関する評価結果を作成する評価結果作成部と、
を含む情報処理装置が提供される。
【0008】
本発明の第2の視点によれば、
所定の作業に関する実際の作業時間と予め設定された標準作業時間とを比較し、前記実際の作業時間が前記標準作業時間を超過していない場合に、前記所定の作業に関して作業者が習熟であると判定する習熟判定ステップと、
前記作業者のバイタルデータに基づいて前記所定の作業を行っている最中の作業者の感情変動を監視し、感情変動が検出されなかった場合に前記所定の作業に関して前記作業者が得意であると判定する得意判定ステップと、
前記作業者のバイタルデータに基づいて前記作業者の健康状態を判定し、前記作業者が健康不良であると判定した場合には、前記得意判定ステップによる不得意である旨の判定結果を、健康不良である旨の判定結果に置き換える健康状態判定ステップと、
前記習熟判定ステップ、前記得意判定ステップ及び前記健康状態判定ステップによる判定結果に基づいて、前記所定の作業に関する評価結果を作成する評価結果作成ステップと、
を含む情報処理方法が提供される。
【0009】
本発明の第3の視点によれば、
所定の作業に関する実際の作業時間と予め設定された標準作業時間とを比較し、前記実際の作業時間が前記標準作業時間を超過していない場合に、前記所定の作業に関して作業者が習熟であると判定する習熟判定工程と、
前記作業者のバイタルデータに基づいて前記所定の作業を行っている最中の作業者の感情変動を監視し、感情変動が検出されなかった場合に前記所定の作業に関して前記作業者が得意であると判定する得意判定工程と、
前記作業者のバイタルデータに基づいて前記作業者の健康状態を判定し、前記作業者が健康不良であると判定した場合には、前記得意判定工程による不得意である旨の判定結果を、健康不良である旨の判定結果に置き換える健康状態判定工程と、
前記習熟判定工程、前記得意判定工程及び前記健康状態判定工程による判定結果に基づいて、前記所定の作業に関する評価結果を作成する評価結果作成工程と、
をコンピュータに実行させる情報処理プログラムが提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の各視点によれば、作業者の作業スキルを正しく評価することに貢献する装置・方法・プログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】本発明の第1の実施形態に関連する作業スキル判定システムのブロック図である。
【
図3】作業履歴DB16に記憶される情報の一例を示す図である。
【
図5】評価結果記憶部18に記憶される情報の一例を示す図である。
【
図7】評価結果作成処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【
図8】スキル評価処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【
図9】評価結果作成処理の流れの他の一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のとり得る好適な実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の記載に付記した図面参照符号は、理解を助けるための一例として各要素に便宜上付記したものであり、本発明を図示の態様に限定することを意図するものではない。また、各図におけるブロック間の接続線は、双方向及び単方向の双方を含む。一方向矢印については、主たる信号(データ)の流れを模式的に示すものであり、双方向性を排除するものではない。さらに、本願開示に示す回路図、ブロック図、内部構成図、接続図などにおいて、明示は省略するが、入力ポート及び出力ポートが各接続線の入力端及び出力端のそれぞれに存在する。入出力インターフェイスも同様である。
【0013】
先ず、本発明の一概要について説明する。なお、この概要に付記した図面参照符号は、理解を助けるための一例として各要素に便宜上付記したものであり、この概要の記載はなんらの限定を意図するものではない。
【0014】
図1に示すように、情報処理装置10は、習熟判定部11、得意判定部12、健康状態判定部13及び評価結果作成部14を含む。習熟判定部11は、所定の作業に関する実際の作業時間と予め設定された標準作業時間とを比較し、実際の作業時間が標準作業時間を超過していない場合に、所定の作業に関して作業者が習熟であると判定する。得意判定部12は、作業者のバイタルデータに基づいて所定の作業を行っている最中の作業者の感情変動を監視し、感情変動が検出されなかった場合に所定の作業に関して作業者が得意であると判定する。健康状態判定部13は、作業者のバイタルデータに基づいて作業者の健康状態を判定し、作業者が健康不良であると判定した場合には、得意判定部12による不得意である旨の判定結果を、健康不良である旨の判定結果に置き換える。評価結果作成部14は、習熟判定部11、得意判定部12及び健康状態判定部13による判定結果に基づいて、所定の作業に関する評価結果を作成する。
【0015】
上述のように、情報処理装置10では、作業者の得意/不得意に関する判定結果は、作業者の健康状態を考慮して改訂され得る。言い換えると、上記の情報処理装置10では、健康不良に起因してパフォーマンスが低下した状態でのデータを、得意/不得意に関する評価結果に対して反映しない。そのため、上記の情報処理装置10によれば、作業者の作業スキルを正しく評価できる。
【0016】
[実施形態1]
以下では、本発明に関する具体的な一例として実施形態1について説明する。実施形態1では、
図2に示す作業スキル判定システムを例に挙げて説明する。作業スキル判定システムは、情報処理装置10及び携帯端末50を含む。
【0017】
携帯端末50は、作業者から作業者の脈拍数、心拍数、発汗量、体温などを計測するセンサを有し、計測したバイタルデータを情報処理装置10に対して送信する。なお、携帯端末50は、スマートフォンとして構成することもできるし、専用の端末として構成することもできる。また、脈拍数、心拍数、発汗量、体温などの計測は、作業中に1回、及び作業を行っていない時に1回の、少なくとも合計2回を行えば良く、作業者の操作に基づいて計測を実行しても良いし、作業開始後の所定のタイミングに実行しても良い。さらに、脈拍数、心拍数、発汗量、体温などの計測は、作業中に継続して行っても良い。また、携帯端末50は、作業内容、作業場所、作業開始時刻、作業終了時刻、作業に要した時間などを示す作業データを情報処理装置10に対して送信しても良い。
【0018】
なお、以下では、携帯端末50は、作業を行っていない時のバイタルデータとして朝に1回心拍数を送信し、作業中のバイタルデータとして断続的(10秒毎)に心拍数を送信し、作業開始時刻及び作業終了時刻において作業データを送信するものとする。
【0019】
情報処理装置10は、受信部15、作業履歴DB(データベース)16、データ処理部17、評価結果記憶部18、スキル評価部19及び出力部20を含む。データ処理部17は、上述の一概要において説明した習熟判定部11、得意判定部12、健康状態判定部13及び評価結果作成部14を含む。なお、情報処理装置10の構成要素は、内部バスなどを介して互いに接続される。
【0020】
受信部15は、いわゆる入力インターフェイスであり、携帯端末50からバイタルデータ及び作業データを受信して、作業履歴DB16にデータを格納する。
【0021】
作業履歴DB16は、バイタルデータ及び作業データを関連付けて記憶する。具体的な一例を挙げると、作業履歴DB16は、
図3に示すように、「日時」、「作業者名」、「心拍数」、「作業場所」、「作業内容」、「作業開始時刻」、「作業終了時刻」、「作業に要した時間」などを記憶する。「日時」は、例えば、受信部15が携帯端末50からデータを受信した時刻である。「作業者名」は、携帯端末50の識別情報などによって同定され得る。「心拍数」は、携帯端末50が計測した作業者のバイタルデータである。「作業場所」、「作業内容」、「作業開始時刻」、「作業終了時刻」は、例えば、作業者が携帯端末50に入力した作業データであり得る。「作業に要した時間」は、「作業開始時刻」及び「作業終了時刻」から算出され得る。
【0022】
ここで、9:00:00のデータは、後に説明するように、作業者の健康状態の判定に使用される。10:00:00以降のデータは作業中のデータであり、後に説明するように、作業者の得意/不得意の判定に使用される。
【0023】
データ処理部17は、習熟判定部11、得意判定部12、健康状態判定部13及び評価結果作成部14を含み、定期的に、例えば1日ごとに作業履歴DB16を参照して所定の作業に関する評価を行う。習熟判定部11、得意判定部12、健康状態判定部13及び評価結果作成部14は上述の一概要と同様であるが、以下では例を挙げて具体的に説明する。
【0024】
習熟判定部11は、各種作業内容と標準作業時間とを関連付けて予め記憶する。そして、習熟判定部11は、作業履歴DB16から実際に作業者が行った作業内容と作業に要した時間を読み出し、対応する標準作業時間と比較する。ここで、標準作業時間とは、例えば、複数の作業者が同様の作業を行った際の平均的な作業時間などである。例えば、習熟判定部11は、「システム保守」の標準作業時間として「1.5時間」を記憶しているものとする。
図3の例では、習熟判定部11は、作業履歴DB16から実際のシステム保守に要した時間として「1時間」を読み出す。ここで、標準作業時間に比べて実際のシステム保守に要した時間が短いので、習熟判定部11は「システム保守に関して作業者Aは習熟している」と判定する。一方で、習熟判定部11は、作業履歴DB16から実際のシステム保守に要した時間として「1.5時間」を超過する時間を読み出した場合には、「システム保守に関して作業者Aは未習熟である」と判定する。
【0025】
得意判定部12は、習熟判定部11によって習熟していると判定された作業に関して、得意/不得意を判定する。具体的には、得意判定部12は、各種バイタルデータに関する判定閾値を予め記憶する。そして得意判定部12は、作業履歴DB16から実際の作業中のバイタルデータを読み出して、判定閾値と比較する。
【0026】
例えば、得意判定部12は、心拍数の判定閾値として「120」を記憶しているものとする。
図3の例では、得意判定部12は、10:00:00以降のデータを作業履歴DB16から読み出す。ここで、「120」を上回る心拍数は見出されないため、得意判定部12は、作業者に感情の変動が無かったと判定する。この判定結果は、「作業者にとって得意な作業内容であるため、イライラ、焦り、ストレスなどが生じなかった」とみなされる。言い換えると、得意判定部12は、「システム保守に関して作業者Aは得意である」と判定する。一方で、「120」を上回る心拍数が見出された場合には、作業者に顕著な感情の変動があったと判定する。この判定結果は、「作業者にとって不得意な作業内容であるため、イライラ、焦り、ストレスなどに起因する心拍数の上昇が生じた」とみなされる。言い換えると、得意判定部12は、「システム保守に関して作業者Aは不得意である」と判定する。
【0027】
なお、イライラ、焦り、ストレスなどの感情変動の有無の判定に関しては既存の技術を適用することができる。例えば、特許文献2には、作業時の心拍データが示すRR間隔の変動の低周波成分と、高周波成分との割合を示す自律神経のバランス(以下、LF/HF比という)に基づいて、作業時のストレスの有無を判定する技術が開示されている。また、発汗量、体温などに基づいて感情変動の有無を判定しても良い。
【0028】
健康状態判定部13は、作業者のバイタルデータに基づいて作業者の健康状態を判定する。
図3の例では、健康状態判定部13は、作業履歴DB16から9:00:00のデータを読み出す。9:00:00のデータは作業を行っていない時のデータであり、心拍数が「90」であるため、健康状態判定部13は、作業者が健康であると判定する。なお、健康状態の判定も、既存の技術を適用することができる。また、体温などに基づいて健康状態を判定しても良い。
【0029】
ここで、健康状態判定部13が作業者のバイタルデータから、作業者が健康不良であると判定したものとする。この場合には、健康状態判定部13は、得意判定部12による不得意である旨の判定結果を、健康不良である旨の判定結果に置き換える。すなわち、健康状態判定部13は、健康不良であることに起因して作業者がベストパフォーマンスを発揮できなかったとみなし、「不得意」なる評価を「健康不良」に改定する。
【0030】
なお、健康状態は種々の要素に置き換えることもできる。例えば、身内の不幸などの事情を考慮することもできる。要するに、健康状態は、作業者がベストパフォーマンスを発揮できない偶発的な事情の有無に置き換えられ得る。なお、習熟判定部11による「未習熟」なる判定結果も「健康不良」に改定しても良い。
【0031】
評価結果作成部14は、習熟判定部11、得意判定部12及び健康状態判定部13による判定結果に基づいて4月1日のシステム保守に関する作業者Aの評価結果を作成し、評価結果記憶部18に格納する。なお、評価結果作成部14は、作成した評価結果を作業評価レポートとして出力部20を介して出力しても良い。
図4は、作業評価レポートの一例である。
【0032】
評価結果記憶部18は、評価結果作成部14によって作成された評価結果を蓄積する。具体的には、評価結果記憶部18は、
図5に示すように、作業を行った日時、作業内容、評価結果を対応付けて記憶する。言い換えると、評価結果記憶部18は、評価結果のログを蓄積する。
【0033】
スキル評価部19は、評価結果記憶部18に蓄積されたログを、健康不良である旨のログを除外しつつ集計して、作業者のスキルを評価する。具体的には、スキル評価部19は、定期的に、例えば半年ごとに評価結果記憶部18を参照して作業者のスキルに関する評価を行う。
図5に示す例を用いて説明すると、スキル評価部19は、作業者Aによるシステム保守に関する評価結果として、4月1日の「未習熟」、4月2日の「不得意」などを評価結果記憶部18から読み出す。ここで、スキル評価部19が作業者Aによるシステム保守に関する評価結果として「未習熟」を5回、「不得意」を5回読み出したものとする。この場合には、スキル評価部19は作業者Aのシステム保守に関するスキルを「未習熟~不得意」と評価する。一方で、スキル評価部19が作業者Aによるサーバ点検に関する評価結果として「健康不良」を1回、「習熟」を9回読み出したものとする。この場合には、スキル評価部19は、4月1日の「健康不良」なる評価結果を考慮に入れず(除外しつつ)、9回の「習熟」なる評価結果のみに基づいて作業者Aのサーバ点検に関するスキルを「習熟」と評価する。つまり、4月1日の評価結果は本来「不得意」であったが「健康不良」に改訂され、結果的にカウントされない(無視される)。そして、スキル評価部19は、出力部20を介して、スキル評価結果を出力する。
図6は、スキル評価結果の一例を示す。
【0034】
また、スキル評価部19は、評価結果に対して重みづけを行ってスキル評価を行っても良い。例えば、スキル評価部19は、1回の「習熟」には3点、「不得意」には2点、「未習熟」には1点を付与し、「健康不良」はノーカウントとする。ここで、スキル評価部19は、例えば、平均スコアが2.5以上であれば「習熟」と判定し、1.5以上かつ2.5未満であれば「不得意」と判定し、1.5未満であれば「未習熟」と判定する。
【0035】
出力部20は、いわゆる出力インターフェイスである。例えば、出力部20は、作業者のスケジュールなどを管理する管理者が所有するディスプレイ上に、スキル評価結果を出力表示する。また、出力部20は、携帯端末50のディスプレイ上に、スキル評価結果を出力表示する。
【0036】
以下では、情報処理装置10による処理の流れについて説明する。情報処理装置10による処理は、携帯端末50からバイタルデータ及び作業データを受信する毎に行われるデータ格納処理と、例えば1日毎に行われる評価結果作成処理と、例えば半年毎に行われるスキル評価処理とに分けられる。データ格納処理については、単にデータを受信して格納するのみであるため、フロー図を用いた説明を割愛する。
【0037】
評価結果作成処理では、
図7に示すように、情報処理装置10は、作業履歴DB16から実際に作業者が行った作業内容と作業に要した時間を読み出して、作業者がその作業について習熟しているか又は未習熟であるかを判定する(ステップS101)。言い換えると、情報処理装置10は、実際の作業時間が標準作業時間を超過しているか否かを判定する。ここで、未習熟であると判定した場合には(ステップS101、No)、情報処理装置10は、作業内容に対応付けて「未習熟」なる旨の評価結果を評価結果記憶部18に格納する(ステップS102)。
【0038】
一方で、習熟していると判定した場合には(ステップS101、YES)、情報処理装置10は、作業者がその作業について得意であるか又は不得意であるかを判定する(ステップS103)。言い換えると、情報処理装置10は、実際の作業中における閾値を上回る感情の変動の有無を判定する。ここで、得意であると判定した場合には(ステップS103、No)、情報処理装置10は、作業内容に対応付けて「得意」なる旨の評価結果を評価結果記憶部18に格納する(ステップS104)。
【0039】
一方で、不得意であると判定した場合には(ステップS103、YES)、情報処理装置10は、バイタルデータに基づいて作業者の健康状態を判定する(ステップS105)。ここで、健康であると判定した場合には(ステップS105、No)、情報処理装置10は、作業内容に対応付けて「不得意」なる旨の評価結果を評価結果記憶部18に格納する(ステップS106)。
【0040】
一方で、不健康であると判定した場合には(ステップS105、YES)、情報処理装置10は、作業内容に対応付けて「健康不良」なる旨の評価結果を評価結果記憶部18に格納する(ステップS107)。言い換えると、情報処理装置10は、不得意である旨の判定結果を、健康不良である旨の判定結果に置き換えて評価結果記憶部18に格納する。
【0041】
スキル評価処理では、
図8に示すように、情報処理装置10は、評価結果記憶部18から評価結果のログを読み出し(ステップS201)、「健康不良」を除外しつつスキルを評価し(ステップS202)、評価結果を出力する(ステップS203)。
【0042】
以上のように、実施形態1の情報処理装置10は、偶発的な事情等によってベスト又は通常のパフォーマンスが発揮できない状態(つまり、健康不良な状態)の作業に関しては、「不得意」なる旨の評価結果を「健康不良」に置き換える。そのため、実施形態1の情報処理装置10によれば、作業ごとの評価を正しく行うことができる。
【0043】
また、実施形態1の情報処理装置10は、「健康不良」なる評価結果を除外しつつ作業者のスキルを評価する。そのため、実施形態1の情報処理装置10によれば、作業者のスキルを正しく評価することができる。
【0044】
[実施形態2]
以下では、本発明が取り得る種々の変化形態を実施形態2として説明する。
【0045】
本発明では、偶発的な事情等によってベスト又は通常のパフォーマンスが発揮できない状態を考慮に入れた上で、作業スキルの評価を行えば良い。そのため、例えば、
図9に示すように、健康状態の判定を最初に行っても良い。この場合には、健康不良に起因する標準作業時間の超過も「健康不良」と評価されることになる。
【0046】
また、「健康不良」なる旨の評価結果は必ずしも除外する必要は無い。例えば、「健康不良」なる旨の評価結果の回数(ログ数)をカウントし、閾値以上の回数(ログ数)がカウントされた場合に「健康不良」なる旨の評価結果を除外しつつスキルを評価しても良い。また、「健康不良」なる旨の評価結果に対して重みづけを行ってスキル評価を行っても良い。
【0047】
得意判定部12が用いる判定閾値は複数の作業者のバイタルデータに基づいて設定しても良い。すなわち、作業内容によって作業者にかかるストレスが異なり得る。そのため、複数の作業者に顕著な感情変動が過去に生じた作業については、余裕を持った閾値を設定しても良い。言い換えると、作業内容毎に異なる判定閾値を設定しても良い。
【0048】
また、得意判定部12が用いる判定閾値は、個々の作業者に対して個別の値を設定しても良い。すなわち、作業者によっては、ストレスが無い普段の状態であっても心拍数が高いことも考えられる。そのため、個々の作業者の通常状態のバイタルデータに基づいて判定閾値を設定してもよい。また、個々の作業者の判定閾値に関して、過去の作業中のバイタルデータに基づく値を設定しても良い。なお、その際には、「得意」であると判定された際のバイタルデータを用いることが好ましい。言い換えると、過去に「得意」であると判定された際のバイタルデータを基準に設定すれば、「不得意」になった作業(例えば、長年携わることが無かった作業など)も見出すことができる。
【0049】
作業者の習熟度の判定や作業者の得意/不得意の判定は多様に変更され得る。例えば、実際の作業時間と共に実際に行った作業の品質に基づいて判定を行っても良い。また、作業者の実際の作業の手順を監視して(例えば、カメラによる撮像、PC(personal computer)への入力履歴など)判定を行っても良い。
【0050】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
【0051】
(付記1)
所定の作業に関する実際の作業時間と予め設定された標準作業時間とを比較し、前記実際の作業時間が前記標準作業時間を超過していない場合に、前記所定の作業に関して作業者が習熟であると判定する習熟判定部と、
前記作業者のバイタルデータに基づいて前記所定の作業を行っている最中の作業者の感情変動を監視し、感情変動が検出されなかった場合に前記所定の作業に関して前記作業者が得意であると判定する得意判定部と、
前記作業者のバイタルデータに基づいて前記作業者の健康状態を判定し、前記作業者が健康不良であると判定した場合には、前記得意判定部による不得意である旨の判定結果を、健康不良である旨の判定結果に置き換える健康状態判定部と、
前記習熟判定部、前記得意判定部及び前記健康状態判定部による判定結果に基づいて、前記所定の作業に関する評価結果を作成する評価結果作成部と、
を含む情報処理装置。
(付記2)
前記評価結果のログを蓄積する評価結果記憶部と、
前記評価結果記憶部に蓄積されたログを、健康不良である旨のログを除外しつつ集計して、前記作業者のスキルを評価するスキル評価部と、
を更に含む付記1に記載の情報処理装置。
(付記3)
前記スキル評価部が、各評価結果に対して重み付けを行いつつ前記作業者のスキルを評価する、付記2に記載の情報処理装置。
(付記4)
前記評価結果作成部によって作成された評価結果又は、前記スキル評価部によるスキル評価結果のうち少なくとも何れか1つを出力する出力部、を更に含む付記1~3のいずれか1つに記載の情報処理装置。
(付記5)
所定の作業に関する実際の作業時間と予め設定された標準作業時間とを比較し、前記実際の作業時間が前記標準作業時間を超過していない場合に、前記所定の作業に関して作業者が習熟であると判定する習熟判定ステップと、
前記作業者のバイタルデータに基づいて前記所定の作業を行っている最中の作業者の感情変動を監視し、感情変動が検出されなかった場合に前記所定の作業に関して前記作業者が得意であると判定する得意判定ステップと、
前記作業者のバイタルデータに基づいて前記作業者の健康状態を判定し、前記作業者が健康不良であると判定した場合には、前記得意判定ステップによる不得意である旨の判定結果を、健康不良である旨の判定結果に置き換える健康状態判定ステップと、
前記習熟判定ステップ、前記得意判定ステップ及び前記健康状態判定ステップによる判定結果に基づいて、前記所定の作業に関する評価結果を作成する評価結果作成ステップと、
を含む情報処理方法。
(付記6)
所定の作業に関する実際の作業時間と予め設定された標準作業時間とを比較し、前記実際の作業時間が前記標準作業時間を超過していない場合に、前記所定の作業に関して作業者が習熟であると判定する習熟判定工程と、
前記作業者のバイタルデータに基づいて前記所定の作業を行っている最中の作業者の感情変動を監視し、感情変動が検出されなかった場合に前記所定の作業に関して前記作業者が得意であると判定する得意判定工程と、
前記作業者のバイタルデータに基づいて前記作業者の健康状態を判定し、前記作業者が健康不良であると判定した場合には、前記得意判定工程による不得意である旨の判定結果を、健康不良である旨の判定結果に置き換える健康状態判定工程と、
前記習熟判定工程、前記得意判定工程及び前記健康状態判定工程による判定結果に基づいて、前記所定の作業に関する評価結果を作成する評価結果作成工程と、
をコンピュータに実行させる情報処理プログラム。
【0052】
なお、引用した上記の特許文献等の各開示は、本書に引用をもって繰り込み記載されているものとし、必要に応じて本発明の基礎ないし一部として用いることが出来るものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の全開示の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態ないし実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせ、ないし、選択(部分的削除を含む)が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。特に、本書に記載した数値範囲については、当該範囲内に含まれる任意の数値ないし小範囲が、別段の記載のない場合でも具体的に記載されているものと解釈されるべきである。さらに、上記引用した文献の各開示事項は、必要に応じ、本発明の趣旨に則り、本発明の開示の一部として、その一部又は全部を、本書の記載事項と組み合わせて用いることも、本願の開示事項に含まれるものと、みなされる。
【符号の説明】
【0053】
10 :情報処理装置
11 :習熟判定部
12 :得意判定部
13 :健康状態判定部
14 :評価結果作成部
15 :受信部
16 :作業履歴DB(データベース)
17 :データ処理部
18 :評価結果記憶部
19 :スキル評価部
20 :出力部
50 :携帯端末