(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023003045
(43)【公開日】2023-01-11
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
G06F 21/75 20130101AFI20221228BHJP
H01L 21/822 20060101ALI20221228BHJP
H01L 27/06 20060101ALI20221228BHJP
【FI】
G06F21/75
H01L27/04 H
H01L27/06 311Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021103970
(22)【出願日】2021-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】598005878
【氏名又は名称】吉川工業アールエフセミコン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】矢野 彰
【テーマコード(参考)】
5F038
5F048
【Fターム(参考)】
5F038BH20
5F038CA01
5F038DF10
5F038EZ20
5F048AB10
5F048AC03
5F048BA01
5F048BB05
(57)【要約】
【課題】リバースエンジニアリングによる半導体装置の再現を困難にする半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置は、第1導電型の基板又はウェルの表面に形成され、第1の論理回路から信号が入力される第1の配線と接続される第2導電型の第1の領域と、第1導電型の基板又はウェルの表面に第1の領域と接して形成され、第1の信号を出力する第2の配線と接続される第2導電型の第2の領域とを有する、複数の第1の信号出力回路と、第1の領域と同じレイアウトで第1導電型の基板又はウェルの表面に形成され、第2の論理回路から信号が入力される第3の配線と接続される第2導電型の第3の領域と、第2の領域と同じレイアウトで第1導電型の基板又はウェルの表面に第3の領域と接して形成され、第2の信号を出力する第4の配線と接続される第1導電型の第4の領域とを有する、複数の第2の信号出力回路とを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1の信号出力回路と複数の第2の信号出力回路とを含み、
前記第1の信号出力回路は、
第1導電型の基板又はウェルの上方に形成され、第1の論理回路からの信号が入力される第1の配線と、
前記第1導電型の基板又はウェルの上方に形成され、第1の信号を出力する第2の配線と、
前記第1導電型の基板又はウェルの表面に形成され、前記第1の配線と接続される第2導電型の第1の領域と、
前記第1導電型の基板又はウェルの表面に前記第1の領域と接して形成され、前記第2の配線と接続される前記第2導電型の第2の領域とを有し、
前記第2の信号出力回路は、
前記第1導電型の基板又はウェルの上方に形成され、第2の論理回路からの信号が入力される第3の配線と、
前記第1導電型の基板又はウェルの上方に形成され、第2の信号を出力する第4の配線と、
前記第1の領域と同じレイアウトで前記第1導電型の基板又はウェルの表面に形成され、前記第3の配線と接続される前記第2導電型の第3の領域と、
前記第2の領域と同じレイアウトで前記第1導電型の基板又はウェルの表面に前記第3の領域と接して形成され、前記第4の配線と接続される前記第1導電型の第4の領域とを有することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記第1の領域及び前記第3の領域のそれぞれに対する前記第1の配線と前記第3の配線とのレイアウトが同じであり、前記第2の領域及び前記第4の領域のそれぞれに対する前記第2の配線と前記第4の配線とのレイアウトが同じであることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1の信号出力回路と前記第2の信号出力回路とはレイアウトが同じであることを特徴とする請求項1又は2記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1導電型はN型の導電型であり、前記第2導電型はP型の導電型であり、
前記第1の信号出力回路及び前記第2の信号出力回路は、前記第1導電型の基板又はウェルの表面に分離させて形成され、電源電圧を供給する信号線と接続される第5の領域をそれぞれ有することを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1導電型はP型の導電型であり、前記第2導電型はN型の導電型であり、
前記第1の信号出力回路及び前記第2の信号出力回路は、前記第1導電型の基板又はウェルの表面に分離させて形成され、基準電圧を供給する信号線と接続される第5の領域をそれぞれ有することを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
複数の第1の信号出力回路と複数の第2の信号出力回路とを含み、
前記第1の信号出力回路及び前記第2の信号出力回路の各々は、
電源電圧を供給する信号線と基準電圧を供給する信号線との間に直列に接続される第1のPチャネル型トランジスタ及び第1のNチャネル型トランジスタと、
前記電源電圧を供給する信号線と前記基準電圧を供給する信号線との間に直列に接続される第2のPチャネル型トランジスタ及び第2のNチャネル型トランジスタとを有しており、
前記第1の信号出力回路と前記第2の信号出力回路とはレイアウトが同じであり、
前記第1の信号出力回路は、前記第1のPチャネル型トランジスタ及び前記第2のNチャネル型トランジスタのうちの少なくとも一つのトランジスタのしきい値電圧が、前記第2のPチャネル型トランジスタ及び前記第1のNチャネル型トランジスタのしきい値電圧より高く、
前記第2の信号出力回路は、前記第2のPチャネル型トランジスタ及び前記第1のNチャネル型トランジスタのうちの少なくとも一つのトランジスタのしきい値電圧が、前記第1のPチャネル型トランジスタ及び前記第2のNチャネル型トランジスタのしきい値電圧より高いことを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
前記第1の信号出力回路は、前記第1のPチャネル型トランジスタのしきい値電圧が前記第2のPチャネル型トランジスタのしきい値電圧より高く、
前記第2の信号出力回路は、前記第2のPチャネル型トランジスタのしきい値電圧が前記第1のPチャネル型トランジスタのしきい値電圧より高いことを特徴とする請求項6記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1の信号出力回路は、前記第2のNチャネル型トランジスタのしきい値電圧が前記第1のNチャネル型トランジスタのしきい値電圧より高く、
前記第2の信号出力回路は、前記第1のNチャネル型トランジスタのしきい値電圧が前記第2のNチャネル型トランジスタのしきい値電圧より高いことを特徴とする請求項6記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関し、詳しくはリバースエンジニアリングからの半導体装置の保護技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置の不当なリバースエンジニアリングが増えてきている。リバースエンジニアリングの手法として、半導体装置が実装されたチップ表面からの光学的解析だけでなく、配線層を1層ずつ剥離して撮影し、得られた画像を重ね合わせ、ソフトウェアツールで配線情報を抽出し回路図を再現する技術も用いられている。
【0003】
リバースエンジニアリングを防止するための様々な方法が提案されている(例えば、特許文献1~9参照)。リバースエンジニアリングを防ぐために、例えば配線層に工夫を施したり、配線層よりも下層にある拡散層やバルクを利用したりすることにより、トランジスタの特性や接続情報を変えて、配線層を読み取るだけでは機能を再現できないようにする方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第9437555号明細書
【特許文献2】特開平6-163539号公報
【特許文献3】特開平9-92727号公報
【特許文献4】米国特許第6117762号明細書
【特許文献5】米国特許第6979606号明細書
【特許文献6】米国特許第7128271号明細書
【特許文献7】米国特許第9337156号明細書
【特許文献8】特表2004-518273号公報
【特許文献9】特開2014-135386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
リバースエンジニアリングによる半導体装置の再現を困難にするには、一般に特殊なプロセスが必要になり、プロセス開発期間やコストが増加するといった問題がある。本発明の目的は、リバースエンジニアリングによる半導体装置の再現を困難にする半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る半導体装置は、複数の第1の信号出力回路と複数の第2の信号出力回路とを含み、前記第1の信号出力回路は、第1導電型の基板又はウェルの上方に形成され、第1の論理回路からの信号が入力される第1の配線と、前記第1導電型の基板又はウェルの上方に形成され、第1の信号を出力する第2の配線と、前記第1導電型の基板又はウェルの表面に形成され、前記第1の配線と接続される第2導電型の第1の領域と、前記第1導電型の基板又はウェルの表面に前記第1の領域と接して形成され、前記第2の配線と接続される前記第2導電型の第2の領域とを有し、前記第2の信号出力回路は、前記第1導電型の基板又はウェルの上方に形成され、第2の論理回路からの信号が入力される第3の配線と、前記第1導電型の基板又はウェルの上方に形成され、第2の信号を出力する第4の配線と、前記第1の領域と同じレイアウトで前記第1導電型の基板又はウェルの表面に形成され、前記第3の配線と接続される前記第2導電型の第3の領域と、前記第2の領域と同じレイアウトで前記第1導電型の基板又はウェルの表面に前記第3の領域と接して形成され、前記第4の配線と接続される前記第1導電型の第4の領域とを有することを特徴とする。
また、本発明に係る半導体装置は、複数の第1の信号出力回路と複数の第2の信号出力回路とを含み、前記第1の信号出力回路及び前記第2の信号出力回路の各々は、電源電圧を供給する信号線と基準電圧を供給する信号線との間に直列に接続される第1のPチャネル型トランジスタ及び第1のNチャネル型トランジスタと、前記電源電圧を供給する信号線と前記基準電圧を供給する信号線との間に直列に接続される第2のPチャネル型トランジスタ及び第2のNチャネル型トランジスタとを有しており、前記第1の信号出力回路と前記第2の信号出力回路とはレイアウトが同じであり、前記第1の信号出力回路は、前記第1のPチャネル型トランジスタ及び前記第2のNチャネル型トランジスタのうちの少なくとも一つのトランジスタのしきい値電圧が、前記第2のPチャネル型トランジスタ及び前記第1のNチャネル型トランジスタのしきい値電圧より高く、前記第2の信号出力回路は、前記第2のPチャネル型トランジスタ及び前記第1のNチャネル型トランジスタのうちの少なくとも一つのトランジスタのしきい値電圧が、前記第1のPチャネル型トランジスタ及び前記第2のNチャネル型トランジスタのしきい値電圧より高いことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、リバースエンジニアリングによる半導体装置の再現を困難にする半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施形態における半導体装置の例を説明する図である。
【
図2】第1の実施形態における半導体装置の例を説明する図である。
【
図3】第1の実施形態における半導体装置の構成を説明する図である。
【
図4】第1の実施形態における半導体装置の例を説明する図である。
【
図5】第1の実施形態における半導体装置の例を説明する図である。
【
図6】第1の実施形態における半導体装置の構成を説明する図である。
【
図7】本実施形態における半導体装置の適用例を示す図である。
【
図8】第1の実施形態における半導体装置の第1の適用例を模式的に示す概略平面図である。
【
図9】第1の実施形態における半導体装置の第2の適用例を模式的に示す概略平面図である。
【
図10】第1の実施形態における半導体装置の第3の適用例を模式的に示す概略平面図である。
【
図11】第1の実施形態における半導体装置の第4の適用例を模式的に示す概略平面図である。
【
図12】第2の実施形態における半導体装置の例を示す図である。
【
図13】第2の実施形態における半導体装置の構成を模式的に示す概略平面図である。
【
図14】第2の実施形態における半導体装置の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について説明する。第1の実施形態における半導体装置は、
図1、
図2、
図4、及び
図5に示すような信号出力回路を複数有する。
図1、
図2、
図4、及び
図5は、第1の実施形態における半導体装置が有する信号出力回路の例を示す図である。
【0011】
図1に示す信号出力回路について説明する。
図1(A)は、第1の例としての信号出力回路102Aの構成を模式的に示す概略断面図である。
図1(A)において、論理回路A101は、信号IN1が入力され、信号OUT1を出力する。論理回路B103は、信号IN2が入力され、信号OUT2を出力する。信号出力回路102Aは、論理回路A101と論理回路B103との間に接続され、論理回路A101から出力される信号OUT1が入力され、論理回路B103に入力される信号IN2を出力する。
【0012】
信号出力回路102Aは、基板(P型半導体基板)111の上に、N型の導電型を有するNウェル112が形成されている。Nウェル112の表面には、P型の導電型を有するP+領域113、114A及びN型の導電型を有するN+領域115が形成されている。P+領域113とP+領域114Aとは分離されておらず、接して(1つの領域として)形成されている。N+領域115は、P+領域113、114Aとは分離して形成されている。また、基板(P型半導体基板)111の表面には、P型の導電型を有するP+領域116が形成されている。P+領域113は、信号OUT1の信号線と接続され、P+領域114Aは、信号IN2の信号線と接続される。N+領域115は、電源電圧VDDを供給する信号線と接続され、P+領域116は基準電圧VSSを供給する信号線と接続される。
【0013】
図1(A)に示した例では、論理回路A101から出力される信号OUT1の信号線と、論理回路B103に入力される信号IN2の信号線とは、信号出力回路102Aが有する分離されていない(接している)P+領域113とP+領域114Aとを介して接続される。すなわち、
図1(B)に示すように、論理回路A101と論理回路B103とは、P+領域113とP+領域114Aによって形成される寄生抵抗R11を介して接続される。したがって、論理回路A101から出力された信号は、信号出力回路102Aを介し、そのままの論理値(論理レベル)で論理回路B103に入力される。つまり、信号出力回路102Aは、論理回路A101から出力される信号OUT1を、そのままの論理値(論理レベル)で伝達し出力する。
【0014】
次に、
図2に示す信号出力回路について説明する。
図2(A)は、第2の例としての信号出力回路102Bの構成を模式的に示す概略断面図である。
図2(A)において、
図1(A)に示した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。第2の例としての信号出力回路102Bは、P+領域114Aに換えてN+領域114BがNウェル112の表面に形成されている点が、第1の例としての信号出力回路102Aと相違する。
【0015】
信号出力回路102Bは、Nウェル112の表面に、P型の導電型を有するP+領域113、N型の導電型を有するN+領域114B及びN型の導電型を有するN+領域115が形成されている。P+領域113とN+領域114Bとは接して(PN接合を形成するように)形成されている。N+領域115は、P+領域113及びN+領域114Bとは分離して形成されている。N+領域114Bは、信号IN2の信号線と接続される。
【0016】
図2(A)に示した例では、論理回路A101から出力される信号OUT1の信号線と、論理回路B103に入力される信号IN2の信号線とは、信号出力回路102Bが有するP+領域113とN+領域114Bとを介して接続される。また、信号出力回路102BのN+領域114Bは、Nウェル112を介して、電源電圧VDDを供給する信号線と接続されたN+領域115に接続される。すなわち、
図2(B)に示すように、論理回路A101と論理回路B103とは、P+領域113とN+領域114BとのPN接合によって形成される寄生ダイオードD11を介して接続される。また、信号線IN2の信号線は、Nウェル112によって形成される寄生抵抗R12を介して電源電圧VDDを供給する信号線に接続される。したがって、論理回路A101から出力された信号の論理値(論理レベル)にかかわらず、電源電圧VDD(ハイレベル)の信号が信号IN2として論理回路B103に入力される。つまり、信号出力回路102Bは、論理回路A101から出力される信号OUT1にかかわらず、電源電圧VDD(ハイレベル)の信号を出力する。
【0017】
ここで、前述した第1の例としての信号出力回路102Aと第2の例としての信号出力回路102Bとは、
図3(A)及び
図3(B)に示すように、Nウェル112の表面に形成される拡散領域の導電型だけが異なり、接続する配線やコンタクト等も含めて同じ形状になっている。すなわち、信号出力回路102Aと信号出力回路102Bとはレイアウトが同じである。
図3(A)は、前述した第1の例としての信号出力回路102Aの構成を模式的に示す概略平面図であり、
図3(B)は、前述した第2の例としての信号出力回路102Bの構成を模式的に示す概略平面図である。
図3(A)及び
図3(B)には、信号出力回路102A、102Bの一部を示している。
【0018】
図3(A)に示すように、信号出力回路102Aでは、Nウェル112の表面にP+領域113及びP+領域114Aが接するように形成されている。P+領域113は、コンタクト121を介して信号OUT1の信号線と接続され、P+領域114Aは、コンタクト122を介して信号IN2の信号線と接続される。また、
図3(B)に示すように、信号出力回路102Bでは、信号出力回路102Aが有するP+領域113及びP+領域114Aと同様のレイアウトで、Nウェル112の表面にP+領域113及びN+領域114Bが接するように形成されている。P+領域113は、コンタクト123を介して信号OUT1の信号線と接続され、N+領域114Bは、コンタクト124を介して信号IN2の信号線と接続される。
【0019】
このように、信号出力回路102Aと信号出力回路102Bとはレイアウト及び配線の形状が同じである。Nウェル112の表面に形成する拡散領域の導電型を切り替えることで、寄生抵抗及び寄生ダイオードを同じレイアウトで実現することができる。拡散領域の導電型の切り替えは、例えば作成時に、不純物注入を行う際のマスクパターン等を変えることで行うことができる。これにより、外見上では区別がつかないようにして、入力された信号をそのまま出力する信号出力回路とするか、固定電位(電源電圧VDD)を出力する信号出力回路とするかを切り替えて、信号出力回路を含む一連の回路の論理機能を偽装することが可能となり、リバースエンジニアリングによる半導体装置の再現を困難にすることができる。
【0020】
次に、
図4に示す信号出力回路について説明する。
図4(A)は、第3の例としての信号出力回路202Aの構成を模式的に示す概略断面図である。
図4(A)において、論理回路A201は、信号IN1が入力され、信号OUT1を出力する。論理回路B203は、信号IN2が入力され、信号OUT2を出力する。信号出力回路202Aは、論理回路A201と論理回路B203との間に接続され、論理回路A201から出力される信号OUT1が入力され、論理回路B203に入力される信号IN2を出力する。
【0021】
信号出力回路202Aは、基板(P型半導体基板)211の表面に、N型の導電型を有するN+領域212、213A及びP型の導電型を有するP+領域214が形成されている。N+領域212とN+領域213Aとは分離されておらず、接して(1つの領域として)形成されている。P+領域214は、N+領域212、213Aとは分離して形成されている。N+領域212は、信号OUT1の信号線と接続され、N+領域213Aは、信号IN2の信号線と接続される。P+領域214は基準電圧VSSを供給する信号線と接続される。
【0022】
図4(A)に示した例では、論理回路A201から出力される信号OUT1の信号線と、論理回路B203に入力される信号IN2の信号線とは、信号出力回路202Aが有する分離されていない(接している)N+領域212とN+領域213Aとを介して接続される。すなわち、
図4(B)に示すように、論理回路A201と論理回路B203とは、N+領域212とN+領域213Aによって形成される寄生抵抗R21を介して接続される。したがって、論理回路A201から出力された信号は、信号出力回路202Aを介し、そのままの論理値(論理レベル)で論理回路B203に入力される。つまり、信号出力回路202Aは、論理回路A201から出力される信号OUT1を、そのままの論理値(論理レベル)で伝達し出力する。
【0023】
次に、
図5に示す信号出力回路について説明する。
図5(A)は、第4の例としての信号出力回路202Bの構成を模式的に示す概略断面図である。
図5(A)において、
図4(A)に示した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。第4の例としての信号出力回路202Bは、N+領域213Aに換えてP+領域213Bが基板(P型半導体基板)211の表面に形成されている点が、第3の例としての信号出力回路202Aと相違する。
【0024】
信号出力回路202Bは、基板(P型半導体基板)211の表面に、N型の導電型を有するN+領域212、P型の導電型を有するP+領域213B及びP型の導電型を有するP+領域214が形成されている。N+領域212とP+領域213Bとは接して(PN接合を形成するように)形成されている。P+領域214は、N+領域212及びP+領域213Bとは分離して形成されている。P+領域213Bは、信号IN2の信号線と接続される。
【0025】
図5(A)に示した例では、論理回路A201から出力される信号OUT1の信号線と、論理回路B203に入力される信号IN2の信号線とは、信号出力回路202Bが有するN+領域212とP+領域213Bとを介して接続される。また、信号出力回路202BのP+領域213Bは、基板(P型半導体基板)211を介して、基準電圧VSSを供給する信号線と接続されたP+領域214に接続される。すなわち、
図5(B)に示すように、論理回路A201と論理回路B203とは、N+領域212とP+領域213BとのPN接合によって形成される寄生ダイオードD21を介して接続される。また、信号線IN2の信号線は、P型半導体基板211によって形成される寄生抵抗R22を介して基準電圧VSSを供給する信号線に接続される。したがって、論理回路A201から出力された信号の論理値(論理レベル)にかかわらず、基準電圧VSS(ローレベル)の信号が信号IN2として論理回路B203に入力される。つまり、信号出力回路202Bは、論理回路A201から出力される信号OUT1にかかわらず、基準電圧VSS(ローレベル)の信号を出力する。
【0026】
ここで、前述した第3の例としての信号出力回路202Aと第4の例としての信号出力回路202Bとは、
図6(A)及び
図6(B)に示すように、基板(P型半導体基板)211の表面に形成される拡散領域の導電型だけが異なり、接続する配線やコンタクト等も含めて同じ形状になっている。すなわち、信号出力回路202Aと信号出力回路202Bとはレイアウトが同じである。
図6(A)は、前述した第3の例としての信号出力回路202Aの構成を模式的に示す概略平面図であり、
図6(B)は、前述した第4の例としての信号出力回路202Bの構成を模式的に示す概略平面図である。
図6(A)及び
図6(B)には、信号出力回路202A、202Bの一部を示している。
【0027】
図6(A)に示すように、信号出力回路202Aでは、基板(P型半導体基板)211の表面にN+領域212及びN+領域213Aが接するように形成されている。N+領域212は、コンタクト221を介して信号OUT1の信号線と接続され、N+領域213Aは、コンタクト222を介して信号IN2の信号線と接続される。また、
図6(B)に示すように、信号出力回路202Bでは、信号出力回路202Aが有するN+領域212及びN+領域213Aと同様のレイアウトで、基板(P型半導体基板)211の表面にN+領域212及びP+領域213Bが接するように形成されている。N+領域212は、コンタクト223を介して信号OUT1の信号線と接続され、P+領域213Bは、コンタクト224を介して信号IN2の信号線と接続される。
【0028】
このように、信号出力回路202Aと信号出力回路202Bとはレイアウト及び配線の形状が同じである。基板(P型半導体基板)211の表面に形成する拡散領域の導電型を切り替えることで、寄生抵抗及び寄生ダイオードを同じレイアウトで実現することができる。拡散領域の導電型の切り替えは、例えば作成時に、不純物注入を行う際のマスクパターン等を変えることで行うことができる。これにより、外見上では区別がつかないようにして、入力された信号をそのまま出力する信号出力回路とするか、固定電位(基準電圧VSS)を出力する信号出力回路とするかを切り替えて、信号出力回路を含む一連の回路の論理機能を偽装することが可能となり、リバースエンジニアリングによる半導体装置の再現を困難にすることができる。
【0029】
また、信号出力回路102A、信号出力回路102B、信号出力回路202A、及び信号出力回路202Bについてレイアウト及び配線の形状を同じにし、拡散領域の導電型を切り替えることで、外見上では区別がつかないようにして、入力された信号をそのまま出力する信号出力回路とするか、電源電圧VDDの固定電位を出力する信号出力回路とするか、あるいは基準電圧VSSの固定電位を出力する信号出力回路とするかを切り替えるようにしてもよい。
【0030】
図7は、本実施形態における半導体装置の適用例を示す図である。
図7において、301、303、311、313、321、323は、所定の論理機能を実現する論理回路であり、302、312、322は、前述した本実施形態における信号出力回路である。信号出力回路302、312、322は、前述したように、レイアウト及び配線等が同じであるが、拡散領域の導電型を切り替えることで異なる機能を実現することができる。
図7に示すように、論理回路の間に本実施形態における信号出力回路を接続し、また信号出力回路における拡散領域の導電型を適宜制御することで、その信号出力回路を含む一連の回路の論理機能を偽装することが可能となる。
【0031】
図8~
図11を参照して、第1の実施形態における半導体装置の具体的な適用例を説明する。以下では、本実施形態における信号出力回路と論理回路としての4つのインバータとを有する例を説明するが、これは一例であり、本発明はこの例に限定されるものではない。
【0032】
図8は、第1の適用例を模式的に示す概略平面図である。4つのインバータ(INV)401、402、403、404の各々は、基板に形成されたN型の導電型を有するNウェル411の表面に、Pチャネル型電界効果トランジスタのソースとなるP+領域413及びドレインとなるP+領域414が形成されている。P+領域413とP+領域414とは相互に分離されている。また、インバータ(INV)401、402、403、404の各々は、基板に形成されたP型の導電型を有するPウェル412の表面に、Nチャネル型電界効果トランジスタのソースとなるN+領域415及びドレインとなるN+領域416が形成されている。N+領域415とN+領域416とは相互に分離されている。また、P+領域413とP+領域414との間の領域の上、及びN+領域415とN+領域416との間の領域の上には、ゲート絶縁膜(図示せず)を介してゲート電極417が形成されている。ゲート電極417は、例えばポリシリコンで構成されている。
【0033】
ソースとなるP+領域413が、電源電圧VDDを供給する金属配線418にコンタクト420を介して接続され、ソースとなるN+領域415が、基準電圧VSSを供給する金属配線419にコンタクト421を介して接続される。ゲート電極417が、入力配線としての金属配線422にコンタクト423を介して接続される。ドレインとなるP+領域414及びN+領域416が、出力配線となる金属配線424にコンタクト425、426を介して接続される。
【0034】
信号出力回路405Aは、基板に形成されたNウェル411の表面に、P+領域431及びP+領域432が接して(1つの領域として)形成されている。また、信号出力回路405Aは、基板に形成されたPウェル412の表面に、N+領域433及びN+領域434が接して(1つの領域として)形成されている。
【0035】
第1のインバータ(INV#1)401の出力配線424が、ビア441、金属配線442、ビア443、金属配線444、及びコンタクト445を介して、信号出力回路405AのN+領域433に接続される。第2のインバータ(INV#2)402の出力配線424が、コンタクト437を介して信号出力回路405AのP+領域431に接続される。第3のインバータ(INV#3)403の入力配線422が、コンタクト438を介して信号出力回路405AのP+領域432に接続される。第4のインバータ(INV#4)404の入力配線422が、コンタクト466、金属配線447、ビア448、金属配線449、及びビア450を介して、信号出力回路405AのN+領域434に接続される。
【0036】
すなわち、
図8に示した例では、第1のインバータ(INV#1)401の出力配線424と第4のインバータ(INV#4)404の入力配線422とは、信号出力回路405AのN+領域433とN+領域434とを介して接続される。また、第2のインバータ(INV#2)402の出力配線424と第3のインバータ(INV#3)403の入力配線422とは、信号出力回路405AのP+領域431とP+領域432とを介して接続される。すなわち、回路構成に示すように、第1のインバータ(INV#1)401と第4のインバータ(INV#4)404とは、N+領域433とN+領域434によって形成される寄生抵抗R41を介して接続される。第2のインバータ(INV#2)402と第3のインバータ(INV#3)403とは、P+領域431とP+領域432によって形成される寄生抵抗R42を介して接続される。したがって、
図8に示した例では、第4のインバータ(INV#4)404は、第1のインバータ(INV#1)401に入力された信号と同じ論理値(論理レベル)の信号を出力し、第3のインバータ(INV#3)403は、第2のインバータ(INV#2)402に入力された信号と同じ論理値(論理レベル)の信号を出力する。
【0037】
図9は、第2の適用例を模式的に示す概略平面図である。
図9において、
図8に示した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図9に示す半導体装置は、
図8に示した半導体装置と配線の形状も含めてレイアウトが同じである。
図9に示す例は、P+領域432に換えてN+領域435がNウェル411の表面に形成され、N+領域434に換えてP+領域436がPウェル412の表面に形成されている点が、
図8に示した例と相違する。
【0038】
すなわち、
図9に示す信号出力回路405Bは、基板に形成されたNウェル411の表面に、P+領域431及びN+領域435が接して(PN接合を形成するように)形成されている。また、信号出力回路405Bは、基板に形成されたPウェル412の表面に、N+領域433及びP+領域436が接して(PN接合を形成するように)形成されている。第3のインバータ(INV#3)403の入力配線422が、コンタクト438を介して信号出力回路405BのN+領域435に接続され、第4のインバータ(INV#4)404の入力配線422が、コンタクト466、金属配線447、ビア448、金属配線449、及びビア450を介して、信号出力回路405BのP+領域436に接続される。
【0039】
図9に示した例では、第1のインバータ(INV#1)401の出力配線424と第4のインバータ(INV#4)404の入力配線422とは、信号出力回路405BのN+領域433とP+領域436とを介して接続される。また、第2のインバータ(INV#2)402の出力配線424と第3のインバータ(INV#3)403の入力配線422とは、信号出力回路405BのP+領域431とN+領域435とを介して接続される。すなわち、回路構成に示すように、第1のインバータ(INV#1)401と第4のインバータ(INV#4)404とは、N+領域433とP+領域436とのPN接合によって形成される寄生ダイオードD41を介して接続される。第2のインバータ(INV#2)402と第3のインバータ(INV#3)403とは、P+領域431とN+領域435とのPN接合によって形成される寄生ダイオードD42を介して接続される。したがって、
図9に示した例では、第4のインバータ(INV#4)404は、第1のインバータ(INV#1)401に入力された信号にかかわらず、ハイレベル(電源電圧VDD)の信号を出力し、第3のインバータ(INV#3)403は、第2のインバータ(INV#2)402に入力された信号にかかわらず、ローレベル(基準電圧VSS)の信号を出力する。
【0040】
図10は、第3の適用例を模式的に示す概略平面図である。
図10において、
図8に示した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図10に示す半導体装置は、
図8及び
図9に示した半導体装置と配線の形状も含めてレイアウトが同じである。
図10に示す例は、P+領域432に換えてN+領域435がNウェル411の表面に形成されている点が、
図8に示した例と相違する。すなわち、
図10に示す信号出力回路405Cは、基板に形成されたNウェル411の表面に、P+領域431及びN+領域435が接して(PN接合を形成するように)形成されている。第3のインバータ(INV#3)403の入力配線422が、コンタクト438を介して信号出力回路405CのN+領域435に接続される。
【0041】
図10に示した例では、第1のインバータ(INV#1)401の出力配線424と第4のインバータ(INV#4)404の入力配線422とは、信号出力回路405CのN+領域433とN+領域434とを介して接続される。また、第2のインバータ(INV#2)402の出力配線424と第3のインバータ(INV#3)403の入力配線422とは、信号出力回路405CのP+領域431とN+領域435とを介して接続される。すなわち、回路構成に示すように、第1のインバータ(INV#1)401と第4のインバータ(INV#4)404とは、N+領域433とN+領域434によって形成される寄生抵抗R41を介して接続される。第2のインバータ(INV#2)402と第3のインバータ(INV#3)403とは、P+領域431とN+領域435とのPN接合によって形成される寄生ダイオードD42を介して接続される。したがって、
図10に示した例では、第4のインバータ(INV#4)404は、第1のインバータ(INV#1)401に入力された信号と同じ論理値(論理レベル)の信号を出力し、第3のインバータ(INV#3)403は、第2のインバータ(INV#2)402に入力された信号にかかわらず、ローレベル(基準電圧VSS)の信号を出力する。
【0042】
図11は、第4の適用例を模式的に示す概略平面図である。
図11において、
図8に示した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図11に示す半導体装置は、
図8、
図9、及び
図10に示した半導体装置と配線の形状も含めてレイアウトが同じである。
図11に示す例は、N+領域434に換えてP+領域436がPウェル412の表面に形成されている点が、
図8に示した例と相違する。すなわち、
図11に示す信号出力回路405Dは、基板に形成されたPウェル412の表面に、N+領域433及びP+領域436が接して(PN接合を形成するように)形成されている。第4のインバータ(INV#4)404の入力配線422が、コンタクト466、金属配線447、ビア448、金属配線449、及びビア450を介して、信号出力回路405DのP+領域436に接続される。
【0043】
図11に示した例では、第1のインバータ(INV#1)401の出力配線424と第4のインバータ(INV#4)404の入力配線422とは、信号出力回路405DのN+領域433とP+領域436とを介して接続される。また、第2のインバータ(INV#2)402の出力配線424と第3のインバータ(INV#3)403の入力配線422とは、信号出力回路405DのP+領域431とP+領域432とを介して接続される。すなわち、回路構成に示すように、第1のインバータ(INV#1)401と第4のインバータ(INV#4)404とは、N+領域433とP+領域436とのPN接合によって形成される寄生ダイオードD41を介して接続される。第2のインバータ(INV#2)402と第3のインバータ(INV#3)403とは、P+領域431とP+領域432によって形成される寄生抵抗R42を介して接続される。したがって、
図11に示した例では、第4のインバータ(INV#4)404は、第1のインバータ(INV#1)401に入力された信号にかかわらず、ハイレベル(電源電圧VDD)の信号を出力し、第3のインバータ(INV#3)403は、第2のインバータ(INV#2)402に入力された信号と同じ論理値(論理レベル)の信号を出力する。
【0044】
図8~
図11の一例を示したように、同じ形状のレイアウト及び配線で、論理回路間に設ける信号出力回路の拡散領域の導電型を切り替えることで、回路の論理機能を偽装することが可能となり、リバースエンジニアリングによる半導体装置の再現を困難にすることができる。
【0045】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態における半導体装置は、
図12(A)及び
図12(B)に示すような信号出力回路を複数有する。
図12(A)及び
図12(B)は、第2の実施形態における半導体装置が有する信号出力回路の例を示す図である。
【0046】
図12(A)に示す第1の信号出力回路500Aは、Pチャネル型電界効果トランジスタ(以下、「Pチャネル型トランジスタ」とも称す)MP1、MP2及びNチャネル型電界効果トランジスタ(以下、「Nチャネル型トランジスタ」とも称す)MN1、MN2を有する。電源電圧VDDを供給する信号線と基準電圧VSSを供給する信号線との間に、電源電圧VDDを供給する信号線側からPチャネル型トランジスタMP1とNチャネル型トランジスタMN1とが、この順で直列に接続される。また、電源電圧VDDを供給する信号線と基準電圧VSSを供給する信号線との間に、電源電圧VDDを供給する信号線側からPチャネル型トランジスタMP2とNチャネル型トランジスタMN2とが、この順で直列に接続される。
【0047】
Pチャネル型トランジスタMP1のゲート及びNチャネル型トランジスタMN1のゲートが、Pチャネル型トランジスタMP2とNチャネル型トランジスタMN2との接続点ND2に接続され、Pチャネル型トランジスタMP2のゲート及びNチャネル型トランジスタMN2のゲートが、Pチャネル型トランジスタMP1とNチャネル型トランジスタMN1との接続点ND1に接続される。また、Pチャネル型トランジスタMP2とNチャネル型トランジスタMN2との接続点ND2の電圧が出力信号SOUTとして出力される。
【0048】
すなわち、Pチャネル型トランジスタMP1は、ソースが電源電圧VDDを供給する信号線に接続され、ゲートがPチャネル型トランジスタMP2のドレインとNチャネル型トランジスタMN2のドレインとの接続点に接続され、ドレインがNチャネル型トランジスタMN1のドレインに接続される。また、Nチャネル型トランジスタMN1は、ソースが基準電圧VSSを供給する信号線に接続され、ゲートがPチャネル型トランジスタMP2のドレインとNチャネル型トランジスタMN2のドレインとの接続点に接続される。Pチャネル型トランジスタMP2は、ソースが電源電圧VDDを供給する信号線に接続され、ゲートがPチャネル型トランジスタMP1のドレインとNチャネル型トランジスタMN1のドレインとの接続点に接続され、ドレインがNチャネル型トランジスタMN2のドレインに接続される。また、Nチャネル型トランジスタMN2は、ソースが基準電圧VSSを供給する信号線に接続され、ゲートがPチャネル型トランジスタMP1のドレインとNチャネル型トランジスタMN1のドレインとの接続点に接続される。Pチャネル型トランジスタMP1のドレインとNチャネル型トランジスタMN1のドレインとの接続点の電圧が信号SOUTとして出力される。
【0049】
ここで、Pチャネル型トランジスタMP1、MP2及びNチャネル型トランジスタMN1のしきい値電圧は、一般的(標準的)なしきい値電圧であり、Nチャネル型トランジスタMN2のしきい値電圧は、一般的(標準的)なしきい値電圧よりも高い値である。トランジスタのしきい値電圧の制御は、チャネルに対するドープ量を変えるチャネルインプラントドーピング制御等により実現することが可能である。このようにNチャネル型トランジスタMN2として高いしきい値電圧のトランジスタを用いることで、電源投入後には、Pチャネル型トランジスタMP1とNチャネル型トランジスタMN1との接続点ND1の電圧がローレベル(L)に、Pチャネル型トランジスタMP2とNチャネル型トランジスタMN2との接続点ND2の電圧がハイレベル(H)にそれぞれ固定され、第1の信号出力回路500Aは、ハイレベル(H)の信号を出力信号SOUTとして固定出力する。
【0050】
図12(B)に示す第2の信号出力回路500Bは、
図12(A)に示した第1の信号出力回路500Aと同様に接続されたPチャネル型トランジスタMP1、MP2及びNチャネル型トランジスタMN1、MN2を有する。第2の信号出力回路において、Pチャネル型トランジスタMP1、MP2及びNチャネル型トランジスタMN2のしきい値電圧は、一般的(標準的)なしきい値電圧であり、Nチャネル型トランジスタMN1のしきい値電圧は、一般的(標準的)なしきい値電圧よりも高い値である。このようにNチャネル型トランジスタMN1として高いしきい値電圧のトランジスタを用いることで、電源投入後には、Pチャネル型トランジスタMP1とNチャネル型トランジスタMN1との接続点ND1の電圧がハイレベル(H)に、Pチャネル型トランジスタMP2とNチャネル型トランジスタMN2との接続点ND2の電圧がローレベル(L)にそれぞれ固定され、第2の信号出力回路500Bは、ローレベル(L)の信号を出力信号SOUTとして固定出力する。
【0051】
図13(A)は、第1の信号出力回路500Aの構成を模式的に示す概略平面図である。第1の信号出力回路500Aは、基板に形成されたN型の導電型を有するNウェル501の表面に、Pチャネル型トランジスタMP1、MP2のソースとなるP+領域503が形成されている。Nウェル501の表面には、Pチャネル型トランジスタMP1のドレインとなるP+領域504、及びPチャネル型トランジスタMP2のドレインとなるP+領域505が形成されている。P+領域503とP+領域504とP+領域505とは相互に分離されている。
【0052】
また、基板に形成されたP型の導電型を有するPウェル502の表面に、Nチャネル型トランジスタMN1、MN2のソースとなるN+領域506が形成されている。Pウェル502の表面には、Nチャネル型トランジスタMN1のドレインとなるN+領域507、及びNチャネル型トランジスタMN2のドレインとなるN+領域508が形成されている。N+領域506とN+領域507とN+領域508とは相互に分離されている。
【0053】
P+領域503とP+領域504との間の領域の上、及びN+領域506とN+領域507との間の領域の上には、ゲート絶縁膜(図示せず)を介してPチャネル型トランジスタMP1及びNチャネル型トランジスタMN1のゲート電極509が形成されている。また、P+領域503とP+領域505との間の領域の上、及びN+領域506とN+領域508との間の領域の上には、ゲート絶縁膜(図示せず)を介してPチャネル型トランジスタMP2及びNチャネル型トランジスタMN2のゲート電極510が形成されている。ゲート電極509、510は、例えばポリシリコンで構成されている。
【0054】
Pチャネル型トランジスタMP1、MP2のソースとなるP+領域503が、電源電圧VDDを供給する金属配線511にコンタクト512を介して接続される。Nチャネル型トランジスタMN1、MN2のソースとなるN+領域506が、基準電圧VSSを供給する金属配線513にコンタクト514を介して接続される。金属配線515が、Pチャネル型トランジスタMP1のドレインとなるP+領域504及びNチャネル型トランジスタMN1のドレインとなるN+領域507に、それぞれコンタクト516、517を介して接続されるとともに、Pチャネル型トランジスタMP2及びNチャネル型トランジスタMN2のゲート電極510にコンタクト518を介して接続される。また、金属配線519が、Pチャネル型トランジスタMP2のドレインとなるP+領域505及びNチャネル型トランジスタMN2のドレインとなるN+領域508に、それぞれコンタクト520、521を介して接続されるとともに、Pチャネル型トランジスタMP1及びNチャネル型トランジスタMN1のゲート電極509にコンタクト522を介して接続される。金属配線519は、出力信号OUTを出力する信号線でもある。
【0055】
ここで、第1の信号出力回路500AにおけるNチャネル型トランジスタMN2のN+領域506とN+領域508との間のチャネル531Aは、Nチャネル型トランジスタMN2のしきい値電圧を高くするように、トランジスタの作成時にチャネルに対するドープ量が制御されている。
【0056】
図13(B)は、第2の信号出力回路500Bの構成を模式的に示す概略平面図である。
図13(B)において、
図13(A)に示した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。第2の信号出力回路500Bは、各トランジスタMP1、MP2、MN1、MN2のレイアウト及びそれに係る配線も含めて、
図13(A)に示した第1の信号出力回路500Aと同じ形状になっている。ただし、第2の信号出力回路500Bでは、第2の信号出力回路500BにおけるNチャネル型トランジスタMN1のN+領域506とN+領域507との間のチャネル531Bは、Nチャネル型トランジスタMN1のしきい値電圧を高くするように、トランジスタの作成時にチャネルに対するドープ量が制御されている。
【0057】
このように、各トランジスタMP1、MP2、MN1、MN2のレイアウト及びそれに係る配線も含めて同じになるように信号出力回路500A、500Bを構成し、Nチャネル型トランジスタMN1、MN2のしきい値電圧を制御することで、出力信号SOUTとしてハイレベル(H)の信号を固定出力するか、ローレベル(L)の信号を固定出力するかを切り替えることができる。これにより、外見上では区別がつかないようにして、ハイレベル(H)の信号を出力するか、ローレベル(L)の信号を出力するかを適宜設定することが可能となり、リバースエンジニアリングによる半導体装置の再現を困難にすることができる。
【0058】
なお、前述した説明では、Nチャネル型トランジスタMN1、MN2のしきい値電圧を制御するようにしているが、この例に限定されるものではない。例えば、
図14に示すように各トランジスタMP1、MP2、MN1、MN2のしきい値電圧を制御するようにしても、外見上では区別がつかないようにして、ハイレベル(H)の信号を出力するか、ローレベル(L)の信号を出力するかを適宜設定することができ、リバースエンジニアリングによる半導体装置の再現を困難にすることができる。
【0059】
例えば、
図14(A)に示す信号出力回路500C及び
図14(B)に示す信号出力回路500Dのように、Pチャネル型トランジスタMP1、MP2のしきい値電圧を制御するようにしてもよい。
図14(A)に示す信号出力回路500Cのように、Pチャネル型トランジスタMP2及びNチャネル型トランジスタMN1、MN2のしきい値電圧を一般的(標準的)なしきい値電圧とし、Pチャネル型トランジスタMP1のしきい値電圧を一般的(標準的)なしきい値電圧よりも高い値とした場合には、ハイレベル(H)の信号が出力信号SOUTとして固定出力される。また、
図14(B)に示す信号出力回路500Dのように、Pチャネル型トランジスタMP1及びNチャネル型トランジスタMN1、MN2のしきい値電圧を一般的(標準的)なしきい値電圧とし、Pチャネル型トランジスタMP2のしきい値電圧を一般的(標準的)なしきい値電圧よりも高い値とした場合には、ローレベル(L)の信号が出力信号SOUTとして固定出力される。
【0060】
また、例えば、
図14(C)に示す信号出力回路500E及び
図14(D)に示す信号出力回路500Fのように、Pチャネル型トランジスタMP1、MP2及びNチャネル型トランジスタMN1、MN2のしきい値電圧を制御するようにしてもよい。
図14(C)に示す信号出力回路500Eのように、Pチャネル型トランジスタMP2及びNチャネル型トランジスタMN1のしきい値電圧を一般的(標準的)なしきい値電圧とし、Pチャネル型トランジスタMP1及びNチャネル型トランジスタMN2のしきい値電圧を一般的(標準的)なしきい値電圧よりも高い値とした場合には、ハイレベル(H)の信号が出力信号SOUTとして固定出力される。また、
図14(D)に示す信号出力回路500Fのように、Pチャネル型トランジスタMP1及びNチャネル型トランジスタMN2のしきい値電圧を一般的(標準的)なしきい値電圧とし、Pチャネル型トランジスタMP2及びNチャネル型トランジスタMN1のしきい値電圧を一般的(標準的)なしきい値電圧よりも高い値とした場合には、ローレベル(L)の信号が出力信号SOUTとして固定出力される。
【0061】
なお、前記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化のほんの一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0062】
101、103、201、203 論理回路
102A、102B、202A、202B 信号出力回路
111、211 基板
112 Nウェル
113、114A、116、213B、214 P+領域
115、212、213A N+領域