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  • 特開-冷凍海藻及びその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023030488
(43)【公開日】2023-03-08
(54)【発明の名称】冷凍海藻及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 17/60 20160101AFI20230301BHJP
   A23L 3/36 20060101ALI20230301BHJP
【FI】
A23L17/60 Z
A23L3/36 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021135647
(22)【出願日】2021-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】519458233
【氏名又は名称】有限会社丸繁商店
(74)【代理人】
【識別番号】100209624
【弁理士】
【氏名又は名称】制野 友樹
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 薫
【テーマコード(参考)】
4B019
4B022
【Fターム(参考)】
4B019LC04
4B019LE01
4B019LE06
4B019LK01
4B019LP03
4B019LP09
4B019LP11
4B022LA06
4B022LB09
4B022LJ06
(57)【要約】
【課題】海藻の食感を失わず、容易に解凍することができ、冷凍状態での強度が高い冷凍海藻及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明の冷凍海藻は、海藻を含み、水分含有量が80質量%以上94質量%以下、ナトリウム含有量が0.025質量%以上である海藻組成物が、平均厚さ3mm以上7mm以下の平板状に冷凍されてなるものである。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
海藻を含み、水分含有量が80質量%以上94質量%以下、ナトリウム含有量が0.025質量%以上である海藻組成物が、平均厚さ3mm以上7mm以下の平板状に冷凍されてなる
冷凍海藻。
【請求項2】
前記海藻組成物は、食物繊維の含有量が4質量%以上19質量%以下である
請求項1に記載の冷凍海藻。
【請求項3】
平板状の前記冷凍海藻の主面の面積が50cm以上1000cm以下である
請求項1又は2に記載の冷凍海藻。
【請求項4】
海藻を含み、水分含有量が80質量%以上94質量%以下、ナトリウム含有量が0.025質量%以上である海藻組成物を、平均厚さが3mm以上7mm以下の平板状に冷凍する工程を備える
冷凍海藻の製造方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍海藻及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
メカブ、アカモク、モズク等の海藻は、ミネラルや生体に有用なアルギン酸やフコイダン等の有効成分を含む食品として注目されている。
【0003】
このような海藻は、通常、生ものとして提供されるが、保存性が低く賞味期限が短い。
【0004】
また、海藻は、乾燥粉末として提供されることもある(例えば、特許文献1)。このように海藻を乾燥粉末化することによって保存性は高くなるが、海藻本来の食感は失われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-97627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
海藻の食感を失わず、かつ海藻の保存性を高める方法として、海藻を冷凍する方法が挙げられる。しかしながら、このような冷凍された海藻の解凍には湯通しが必要である等、手間がかかる。また、輸送のためには、冷凍状態での強度も必要である。
【0007】
本発明は、以上の実情に鑑みてなされたものであり、海藻の食感を失わず、容易に解凍することができ、冷凍状態での強度が高い冷凍海藻及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、海藻を含み、水分含有量が80質量%以上94質量%以下、ナトリウム含有量が0.025質量%以上である海藻組成物が、平均厚さ3mm以上7mm以下の平板状に冷凍されてなる冷凍海藻によれば、上述した課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的に、本発明は以下を提供する。
【0009】
(1)海藻を含み、水分含有量が80質量%以上94質量%以下、ナトリウム含有量が0.025質量%以上である海藻組成物が、平均厚さ3mm以上7mm以下の平板状に冷凍されてなる冷凍海藻。
【0010】
(2)前記海藻組成物は、食物繊維の含有量が4質量%以上19質量%以下である(1)に記載の冷凍海藻。
【0011】
(3)平板状の前記冷凍海藻の主面の面積が50cm以上1000cm以下である(1)又は(2)に記載の冷凍海藻。
【0012】
(4)海藻を含み、水分含有量が80質量%以上94質量%以下、ナトリウム含有量が0.025質量%以上である海藻組成物を、平均厚さが3mm以上7mm以下の平板状に冷凍する工程を備える冷凍海藻の製造方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、海藻の食感を失わず、容易に解凍することができ、冷凍状態での強度が高い冷凍海藻及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態に係る冷凍海藻の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこの実施形態に何ら限定されるものではなく、適宜変更を加えて実施することができる。
【0016】
≪冷凍海藻≫
本実施形態に係る冷凍海藻は、海藻を含み、水分含有量が80質量%以上94質量%以下、ナトリウム含有量が0.025質量%以上である海藻組成物が、平均厚さ3mm以上7mm以下の平板状に冷凍されてなるものである。
【0017】
なお、本明細書において、「質量%」とは、海藻全体の質量を100質量%としたときのこれに対する量をいう。また、「解凍性が高い」とは、より早く又はより低温で解凍できることをいう。
【0018】
このような冷凍海藻であれば、海藻の食感を失わず、容易に解凍することができ、しかも、冷凍状態での強度が高い。
【0019】
本実施形態に係る冷凍海藻は、80質量%以上94質量%以下の水分を含有するものの、純水が凍結してなる氷よりも、解凍性が非常に高い。本発明は、特定の理論に限定されるものではなく、またこのような冷凍海藻が、容易に解凍することができる理由は明らかではない。しかしながら、本発明者は、容易に解凍することができるのは、海藻由来の繊維が不凍性を有しており、また、海藻由来のナトリウムが水に含有されると凝固点降下を生じるためであると考えている。また、このような冷凍海藻では、平均厚さが3mm以上7mm以下の比較的薄いものであっても、凍結状態での強度は高い。
【0020】
海藻としては、特に限定されず、例えばアカモク、アラメ、ウミトラノオ、コンブ、ヒジキ、ヒバマタ、ホンダワラ、モズク、ラッパモク、ワカメ、メカブ、アサクサノリ、テングサ、アオサ、アオノリ、ウミブドウ、カサノリ、サボテングサ、フサイワヅタ、ミル等、海藻類に分類されるあらゆるものを用いることができる。
【0021】
海藻組成物の水分含有量としては、80質量%以上94質量%以下であれば特に限定されないが、例えば81質量%以上、82質量%以上、83質量%以上、84質量%以上、85質量%以上であることが好ましい。海藻組成物の水分含有量が所要量以上であることにより、冷凍海藻を解凍して得られる海藻の食感を高め得る。一方、海藻の水分含有量としては、94質量%以下、93質量%以下、92質量%以下、91質量%以下、90質量%以下、89質量%以下、88質量%以下、87質量%以下であることが好ましい。海藻組成物の水分含有量が所要量以下であることにより、冷凍海藻の解凍性を高め得る。なお、海藻組成物に含まれる水分は、海藻の繊維質が保持している水分以外に、海藻のフコイダンやアルギン酸等に由来するねばり成分が保持している水分や、海藻と独立してその周囲に存在する水分等、組成物中に含まれるあらゆる水分を含む概念である。ここで、水分含有量は、近赤外線分光分析法により測定する。
【0022】
海藻組成物のナトリウム含有量としては、0.025質量%以上であれば特に限定されないが、例えば0.027質量%以上、0.03質量%以上、0.032質量%以上、0.035質量%以上、0.037質量%以上、0.04質量%以上、0.042質量%以上、0.045質量%以上、0.047質量%以上、0.05質量%以上、0.052質量%以上、0.055質量%以上、0.057質量%以上、0.06質量%以上、0.062質量%以上、0.065質量%以上、0.067質量%以上、0.07質量%以上、0.072質量%以上、0.075質量%以上、0.077質量%以上、0.08質量%以上であることが好ましい。海藻組成物のナトリウム含有量が所要量以上であることにより、凝固点降下によって冷凍海藻の解凍性を高め得る。一方、海藻組成物のナトリウム含有量としては、10質量%以下、9.5質量%以下、9質量%以下、8.5質量%以下、8質量%以下、7.5質量%以下、7質量%以下、6.5質量%以下、6質量%以下、5.5質量%以下、5質量%以下、4.5質量%以下、4質量%以下、3.5質量%以下、3質量%以下、2.5質量%以下、2質量%以下、1.8質量%以下、1.6質量%以下、1.5質量%以下、1.4質量%以下、1.3質量%以下、1.2質量%以下、1.0質量%以下、0.9質量%以下、0.8質量%以下、0.7質量%以下、0.6質量%以下、0.5質量%以下、0.4質量%以下、0.3質量%以下、0.28質量%以下、0.26質量%以下、0.25質量%以下、0.24質量%以下、0.22質量%以下、0.2質量%以下、0.19質量%以下、0.18質量%以下、0.17質量%以下、0.16質量%以下、0.15質量%以下、0.14質量%以下、0.13質量%以下、0.12質量%以下、0.11質量%以下、0.1質量%以下、0.09質量%以下であってよい。なお、海藻組成物のナトリウム含有量は、10質量%超であってもよい。ここで、ナトリウム含有量は、イオン電極法により測定する。
【0023】
海藻組成物の食物繊維の含有量としては、特に限定されないが、例えば4質量%以上、4.5質量%以上、5質量%以上、5.5質量%以上、6質量%以上、6.5質量%以上、7質量%以上、7.5質量%以上、8質量%以上であることが好ましい。海藻組成物の食物繊維の含有量が所要量以上であることにより、冷凍海藻の解凍性をより高め得る。もっとも、海藻組成物の食物繊維の含有量は、4質量%未満であってもよい。一方、海藻組成物の食物繊維の含有量としては、19質量%以下、18.5質量%以下、18質量%以下、17.5質量%以下、17質量%以下、16.5質量%以下、16質量%以下、15.5質量%以下、15質量%以下、14.5質量%以下、14質量%以下、13.5質量%以下、13質量%以下であることが好ましい。海藻組成物の食物繊維の含有量が所要量以上であることにより、冷凍海藻の強度をより高め得る。もっとも、海藻組成物の食物繊維の含有量は、19質量%超であってもよい。ここで食物繊維の含有量は、酵素-重量法(プロスキー法)により測定する。
【0024】
海藻は、冷凍海藻中に一片のみが含まれていても、複数片が含まれていてもよい。海藻一片の大きさとしては、特に限定されず、葉や茎そのものであっても、切断したものであってもよく、またいわゆる「たたき」であってもよい。
【0025】
一実施形態において、海藻として切断したものを用いる場合、海藻一片の幅としては、特に限定されないが、例えば0.5mm以上、0.6mm以上、0.7mm以上、0.8mm以上、0.9mm以上、1mm以上、1.1mm以上、1.2mm以上、1.3mm以上、1.4mm以上、1.5mm以上、1.6mm以上、1.7mm以上、1.8mm以上、1.9mm以上、2mm以上であることが好ましい。一方、海藻一片の幅としては、10mm以下、9mm以下、8mm以下、7mm以下、6mm以下、5mm以下、4mm以下、3mm以下であることが好ましい。海藻一片の幅が所要量以下であることにより、冷凍海藻中に不凍性の繊維がよく分散して、冷凍海藻の解凍性を高めることができる。もっとも、海藻一片の幅としては、0.5mm未満であっても、10mm超であってもよい。
【0026】
また、このような場合において海藻一片の長さとしては、特に限定されないが、例えば4mm以上、5mm以上、6mm以上、7mm以上、8mm以上、9mm以上、10mm以上、11mm以上、12mm以上、13mm以上、14mm以上、15mm以上であることが好ましい。一方、海藻一片の長さとしては、150mm以下、140mm以下、130mm以下、120mm以下、110mm以下、100mm以下、90mm以下、80mm以下、70mm以下、60mm以下、50mm以下、40mm以下、30mm以下であることが好ましい。海藻一片の長さが所要量以下であることにより、冷凍海藻中に不凍性の繊維がよく分散して、冷凍海藻の解凍性を高めることができる。もっとも、海藻一片の長さとしては、4mm未満であっても、150mm超であってもよい。
【0027】
さらに、このような場合において海藻一片の厚みとしては、特に限定されないが、例えば0.5mm以上、0.6mm以上、0.7mm以上、0.8mm以上、0.9mm以上、1mm以上、1.1mm以上、1.2mm以上、1.3mm以上、1.4mm以上、1.5mm以上、1.6mm以上、1.7mm以上、1.8mm以上、1.9mm以上、2mm以上であることが好ましい。一方、海藻一片の厚みとしては、10mm以下、9mm以下、8mm以下、7mm以下、6mm以下、5mm以下、4mm以下、3mm以下、2.7mm以下、2.5mm以下、2.2mm以下、2mm以下、1.8mm以下であることが好ましい。海藻一片の厚みが所要量以下であることにより、冷凍海藻中に不凍性の繊維がよく分散して、冷凍海藻の解凍性を高めることができる。もっとも、海藻一片の厚みとしては、0.5mm未満であっても、10mm超であってもよい。
【0028】
海藻は、生のもの、調味料等を加えたもの、焼きや茹で等の加熱処理を施したもの、加熱処理を施したものにさらに調味料等を加えたもの等であってもよい。
【0029】
冷凍海藻の平均厚さとしては、3mm以上7mm以下であれば特に限定されないが、例えば3.1mm以上、3.2mm以上、3.3mm以上、3.4mm以上、3.5mm以上であることが好ましい。冷凍海藻の平均厚さが所要量以上であることにより、冷凍海藻の強度を高め得る。一方、冷凍海藻の平均厚さとしては、7mm以下、6.9mm以下、6.8mm以下、6.7mm以下、6.6mm以下、6.5mm以下、6.4mm以下、6.3mm以下、6.2mm以下、6.1mm以下、6mm以下であることが好ましい。冷凍海藻の平均厚さが所要量以下であることにより、冷凍海藻の解凍性を高め得る。なお、冷凍海藻の平均厚さは、次のようにして算出する。冷凍海藻の主面に内接する長方形及び正方形のうち、最大の面積のものについて、その内部を縦横でそれぞれ四等分するように、内部に等間隔で3本、長辺及び短辺に平行な線を引く。縦横3本ずつの線の交点9点における厚みを測定し、それらを算術平均したものを平均厚さとする。なお、冷凍海藻が袋詰め等になって保管されている場合、袋から取り出して測定を行う。
【0030】
冷凍海藻の主面の面積としては、特に限定されないが、例えば50cm以上、60cm以上、70cm以上、80cm以上、90cm以上、100cm以上、110cm以上、120cm以上、130cm以上、140cm以上、150cm以上であることが好ましい。一方、冷凍海藻の主面の面積としては、1000cm以下、900cm以下、800cm以下、700cm以下、600cm以下、500cm以下、400cm以下、300cm以下、250cm以下、200cm以下であることが好ましい。
【0031】
冷凍海藻は、上述した水、繊維、ナトリウム以外に、他の成分を含むことができる。他の成分としては、調味料、保存料、ゲル化剤、粘土調整剤等を用いることができる。
【0032】
冷凍海藻は、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等各種樹脂製の袋に装入して提供することができる。
【0033】
図1は、本実施形態に係る冷凍海藻の模式図である。この冷凍海藻は、袋Bに詰められたメカブMを含み、水分含有量が86.9質量%、ナトリウム含有量が0.089質量%以上である海藻組成物が、平均厚さ5mmの平板状に冷凍されてなるものである。
【0034】
≪冷凍海藻の製造方法≫
本実施形態に係る冷凍海藻の製造方法は、水分含有量が80質量%以上94質量%以下、ナトリウム含有量が0.025質量%以上10質量%以下である海藻を、平均厚さが3mm以上7mm以下の平板状に冷凍する工程を備えるものである。
【0035】
ここで、平板状に冷凍する方法としては、適量調整して袋詰めした非冷凍状態の海藻を、棒やローラを用いて平坦にならし、平置きの状態のまま冷凍する方法が挙げられる。または、適量調整して袋詰めした非冷凍状態の海藻を、壁、床、板及びこれらの2つ組み合わせの間に挟みながら冷凍する方法が挙げられる。さらに、非冷凍状態の海藻を、バット等の容器に入れた状態で冷凍する方法が挙げられる。この場合において、冷凍した状態でさらに、幅や厚み等を調整するために切断してもよい。
【実施例0036】
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0037】
〔試料の調整〕
(実施例1)
幅約1mm、長さ30~77mm、厚さ約1~2mmに切断したメカブ40gを、収容部が縦21cm、横9cmの袋に入れ、手で平坦にならし平置き状態にした後、バットの平面部分に重りを載せて均一に重量をかけながら冷凍庫(-30℃~-40℃に維持)で冷凍させ、冷凍海藻試料を得た。
【0038】
(比較例1)
袋に入れたメカブを20gに変更した以外、実施例1と同様にして冷凍海藻試料を得た。
【0039】
(比較例2)
袋に入れたメカブを80gに変更した以外、実施例1と同様にして冷凍海藻試料を得た。
【0040】
(比較例3)
メカブの代わりに日本薬局方 精製水を用いた以外、実施例1と同様にして試料を得た
【0041】
(比較例4)
実施例1で用いたメカブに日本薬局方 精製水を添加して、水分含有量97質量%に調整したメカブを用いた以外、実施例1と同様にして冷凍海藻試料を得た。
【0042】
(比較例5)
実施例1で用いたメカブをバットに入れ、バット下部を約80℃に保温された湯につけて30分加熱して水を蒸発させて、水分含有量70質量%に調整したメカブを用いた以外、実施例1と同様にして冷凍海藻試料を得た。
【0043】
〔試験〕
(解凍試験)
バットに実施例1及び比較例1~5の試料のいずれかをそれぞれ平置きし、その上方から常温の水を全体にわたるように50秒間流水した。いずれの試料でも流量を統一した。その後、袋の中を確認し、融け残った氷の有無を目視で確認し、以下の基準で評価した。
○ 融け残りなし
× 融け残りあり
【0044】
(破壊試験)
袋に入ったままの状態の冷凍海藻について、平面を床と平行にして、縦方向の端部4cmずつ上下をヒノキ製の架台で挟んで床から冷凍海藻を浮かせ、両端の架台の間隔を13cmにして配置した。冷凍海藻の中心部に、釣り用の重り30号(鉛112.5g)を冷凍海藻から高さ20cmの位置から落下、衝突させた。重りが衝突した後の冷凍海藻を目視で確認し、以下の基準で評価した。
◎ 変化なし
○ ヒビ又は白色変化が見られたが、折れがなく形状は維持
× 折れが発生
【0045】
(食感試験)
食感について生のメカブを基準として事前に評価基準を統一したパネラー5名に実施例1及び比較例1、2、4、5の各試料を試食させて評価を行った。評価は、以下の2段階で評価した。
○ 食感がよい
× 食感がよくない
【0046】
パネラー5名いずれも、実施例1及び比較例1、2、4については○の評価であった。一方、比較例5についてはパネラー5名いずれも×の評価であった。比較例5については水分量が少なく、かたく引き締まったため評価が下がった。
【0047】
表1に、実施例1及び比較例1~5の水分含有量、ナトリウム含有量、食物繊維の含有量、袋に入れた海藻組成物の総量、解凍試験による評価結果、破壊試験による評価結果、食感試験による評価結果を示す。なお、表1において、「%」の記載は「質量%」を示す。
【0048】
【表1】
図1