(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023030493
(43)【公開日】2023-03-08
(54)【発明の名称】電解水供給装置
(51)【国際特許分類】
C02F 1/461 20230101AFI20230301BHJP
【FI】
C02F1/461 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021135656
(22)【出願日】2021-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】592250414
【氏名又は名称】株式会社テックコーポレーション
(71)【出願人】
【識別番号】514112880
【氏名又は名称】シームス バイオニックス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100154634
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 みさ子
(72)【発明者】
【氏名】兒玉 拓
【テーマコード(参考)】
4D061
【Fターム(参考)】
4D061DA01
4D061DA03
4D061DB07
4D061DB08
4D061EA02
4D061EB02
4D061EB37
4D061EB39
4D061ED01
4D061ED03
4D061ED12
4D061ED13
4D061ED20
4D061FA20
4D061GA02
4D061GA12
4D061GC02
4D061GC19
(57)【要約】
【課題】 安定した品質の電解水を供給できる。
【解決手段】本発明の電解水供給装置は、原水供給部及び電気分解部を接続する第1の配管と、第1の配管から分岐し、電解水希釈部を接続する第2の配管と、原料液供給部及び電気分解部を接続する第3の配管と、電気分解部及び電解水希釈部を接続する第4の配管と、第2の配管に設置された流量調整部と、第3の配管に設置された第3配管ポンプと、電気分解部の電流値を測定する電流計とを備える希釈電解水生成部と、ユーザの要求に応じて希釈電解水を生成する際、第3配管ポンプを電気分解部の電流値が一定になるように駆動する一方、流量調整部に供給される原水の供給量割合が希釈範囲内になるよう制御する制御部とを備えることを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原水を供給する原水供給部と、
電解質を溶解した原料液を供給する原料液供給部と、
原水及び前記原料液を電気分解して電解水を生成する電気分解部と、
前記電解水及び原水を希釈混合して希釈電解水を生成する電解水希釈部と、
前記希釈電解水を排出する電解水排出部と、
前記原水供給部及び前記電気分解部を接続する第1の配管と、
前記第1の配管から分岐し、前記電解水希釈部を接続する第2の配管と、
前記原料液供給部及び前記電気分解部を接続する第3の配管と、
前記電気分解部及び前記電解水希釈部を接続する第4の配管と、
前記第1の配管及び第2の配管に設置された流量調整部と、
前記第3の配管に設置された第3配管ポンプと、
前記電気分解部の電流値を測定する電流計とを備える希釈電解水生成部と、
ユーザの要求に応じて前記希釈電解水を生成する際、前記第3配管ポンプを前記電気分解部の電流値が一定になるように駆動する一方、前記第1の配管における第2の配管との分岐後である配管分岐後部及び第2の配管へ供給される原水の供給量割合を調整するよう前記流量調整部を制御する制御部と
を有することを特徴とする電解水供給装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記電気分解部の電流値が低下すると前記第3配管ポンプを駆動し、電流値が超過すると前記第3配管ポンプを停止する
ことを特徴とする請求項1に記載の電解水供給装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記電気分解部の電流値に応じて前記第3配管ポンプの回転数を変化させる
ことを特徴とする請求項1に記載の電解水供給装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記流量調整部を定速駆動する
ことを特徴とする請求項1に記載の電解水供給装置。
【請求項5】
前記第1の配管における前記第2の配管との分岐前の部分には、原水の供給量を測定する流量センサが取り付けられており、
前記制御部は、
前記流量センサによって測定された原水の供給量に基づいて、前記流量調整部の駆動速度を決定する
ことを特徴とする請求項1に記載の電解水供給装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記流量センサによって測定された原水の供給量に基づいて、前記流量調整部の駆動速度を決定する
ことを特徴とする請求項5に記載の電解水供給装置。
【請求項7】
前記原料液供給部は、
2本のボトルを連結しており、
前記2本のボトルが配置されるボトル配置部の下側には、前記2本のボトルの残量を監視する残量センサが設置されている
ことを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の電解水供給装置。
【請求項8】
前記2本のボトルは、
前記第4の配管に接続する前ボトルと、前記前ボトルに接続された後ボトルとを有し、
前記前ボトルには、底又は底近傍まで到達する前吸上管が前記第4の配管に対して密封した状態で接続され、前記前ボトル及び前記後ボトルは、前記後ボトルの底又は底近傍まで到達する後吸上管を介して密封した状態で接続されている
ことを特徴とする請求項7に記載の電解水供給装置。
【請求項9】
ユーザに対して通知出力を行う出力部を有し、
前記制御部は、
前記後ボトルの残量を監視する後センサによって残量が少ないことを認識すると、前記出力部による通知出力を実行し、
前記前ボトルの残量を監視する前センサによって残量が少ないことを認識すると、前記希釈電解水の生成を停止する
ことを特徴とする請求項8に記載の電解水供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば酸性電解水又はアルカリ性電解水のみを生成する電解水供給装置や、微細気泡を含む電解水である気泡電解水を製造する気泡電解水供給装置に対して好適に適用することができる。
【背景技術】
【0002】
従来、電解水供給装置としては、1槽型、2槽型、3槽型の電解槽を有する電解水供給装置が知られている(例えば特許文献1参照)。特に酸性電解水は、殺菌作用を有することから、手洗用途に使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かかる構成の電解水供給装置では、確実に殺菌効果を示すために、所定以上の品質(濃度)が要求されるとともに、濃度が濃すぎると人体に影響が生じるため、できる限り電解水の濃度を一定にし、品質を安定化できることが望まれる。
【0005】
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、品質を安定化した電解水を供給し得る電解水供給装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決するため、本発明の電解水供給装置は、原水を供給する原水供給部と、
電解質を溶解した原料液を供給する原料液供給部と、
原水及び前記原料液を電気分解して電解水を生成する電気分解部と、
前記電解水及び原水を希釈混合して希釈電解水を生成する電解水希釈部と、
前記希釈電解水を排出する電解水排出部と、
前記原水供給部及び前記電気分解部を接続する第1の配管と、
前記第1の配管から分岐し、前記電解水希釈部を接続する第2の配管と、
前記原料液供給部及び前記電気分解部を接続する第3の配管と、
前記電気分解部及び前記電解水希釈部を接続する第4の配管と、
前記第1の配管及び前記第2の配管に設置された流量調整部と、
前記第3の配管に設置された第3配管ポンプと、
前記電気分解部の電流値を測定する電流計とを備える希釈電解水生成部と、
ユーザの要求に応じて前記希釈電解水を生成する際、前記第3配管ポンプを前記電気分解部の電流値が一定になるように駆動する一方、前記配管分岐後部及び第2の配管へ供給される原水の供給量割合を調整するよう前記流量調整部を制御する制御部と
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、品質を安定化した電解水を供給し得る電解水供給装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【発明を実施するための形態】
【0009】
<実施の形態>
次に本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
【0010】
図1に示す2は、全体として電解水供給装置2を示している。電解水供給装置2は、図示しないMPU(Micro Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)から構成される制御部21が電解水供給装置2の全体を統括的に制御するようになされている。
【0011】
電解水供給装置2は、作業者を認証する作業者認証処理の後、ユーザの操作に応じてセンサ22又は外部インターフェース29から供給された手洗要求信号を制御部21に供給する。
【0012】
制御部21は、手洗要求信号を受信すると、電解水生成部30(詳しくは後述する)を制御し、電解水排出部26から手洗水の排出を開始する。
【0013】
制御部21は、予め設定された供給時間に亘って手洗水の供給を行うと、電気分解部34、原料液供給部33及び原水供給部31に対して供給停止信号を供給する。これにより、電解水供給装置2は、予め設定された供給時間だけ手洗水の供給を行う。
【0014】
図2に示すように、電解水生成部30は、原水供給部31から供給された原水及び原料液供給部から供給された原料液を電気分解部34によって電気分解して電解水を生成する。生成された電解水は、電解水希釈部35によって希釈されて希釈電解水となり、希釈電解水が手洗水として電解水排出部26から供給される。
【0015】
原水供給部31は、例えば水道や工業用水、工場内の給水設備など、水圧が与えられた状態で水が供給される水道設備に接続されており、開閉弁と減圧弁(図示しない)が設置されている。なお、減圧弁は状況に応じて設置されるものであり必須ではない。
【0016】
原料液供給部33は、電解水原料液が貯留されている。この電解水原料液としては、次亜塩素酸を発生させるため、電解質の一部又は全部として塩素を含有するものが使用されることが好ましい。好ましくは、塩化ナトリウムと塩酸とを混合した水溶液、塩化ナトリウム水溶液、塩酸、塩化カリウムなどが単独または混合されて使用される。次亜塩素酸の含有量が安定化するpHを保つためである。なお、原料液供給部33の構成は後述する。
【0017】
また、手洗水としてアルカリ性電解水を用いることも可能である。この場合、電解水原料液としては、例えば炭酸水素ナトリウムや炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウムなどナトリウムを含有する水溶液や炭酸カリウム、水酸化カリウムなどカリウムを含有する水溶液が用いられることが好ましい。もちろん、酸性電解水及びアルカリ性電解水を混合して使用することも可能である。
【0018】
さらに、本実施の形態における電解水の原料液は、次亜塩素酸の存在量を向上させる調整機能を有する調整ガスの微細気泡を含有しても良い。例えば、調整ガスとして酸素ガス(O2)若しくはオゾンガス(O3)を用いることにより、塩素の酸化を促進することができ、結果として電解水中の次亜塩素酸の存在量を向上させることができる。
【0019】
また、調整ガスとして塩素ガス(Cl2)を用いることにより、電解水原料液中の塩素含有量を増大させることができ、結果として電解水中の次亜塩素酸の存在量を向上させることができる。また、調整ガスとして水素ガス(H2)を使用することにより、電解水のpHを2.7~6.5の範囲にコントロールし易くできる。
【0020】
微細気泡は、1μm未満のいわゆる微細気泡であり、電解水原料液中において、数ヶ月以上に亘って安定的に存在することができる。また、電解水の代わりに、微細気泡を含有するナノバブル水や殺菌・芳香・保湿効果のある水、水道水などを手洗水として使用することもできる。
【0021】
微細気泡に含まれるガス成分としては、空気の他に、殺菌効果のある塩素やオゾン、保湿効果のある炭酸や窒素、香りのある香り成分ガスや酸化防止効果のある水素、消臭効果のあるガスなど、特定の効果を有する特定効果ガスを使用することができる。また、生成されたナノバブル水に対して、香り成分や保湿成分などの仕上げ成分を混合することもできる。なお、本発明において、微細気泡は必ずしも必須ではない。
【0022】
電気分解部34は、電解水原料液を電気分解して電解水を製造し、電解水希釈部35に供給する。電気分解部34としては、公知のものを使用することができ、例えば無隔膜式(1層式)の電解槽を用いることができる。また、2槽式、3槽式の電解槽で生成される酸性及びアルカリ性の電解水を混合しても良い。
【0023】
電解水希釈部35は、電気分解部34から供給される電解水及び原水供給部31から供給される原水(以下、これを希釈水と呼ぶ)とを希釈混合し、手洗用の電解水(以下、これを手洗水と呼ぶ)として電解水排出部26から排出させる。
【0024】
原水供給部31と電気分解部34とは、第1配管61で接続されている。第1配管61は途中で枝分かれし、第2配管62として電解水希釈部35に接続されている。第1配管61(分岐前)には流量センサ43が設置され、原水供給部31から供給される原水の量が監視される。
【0025】
第1配管61において、第2配管62の分岐する前を配管分岐前部61A、分岐後を配管分岐後部61Bとすると、配管分岐後部61Bに流量調整部(第1ポンプ41)が設置されており、第1ポンプ41で圧力をかけながら原水の一部が希釈水として電解水希釈部に供給される。なお第1ポンプ41は、電圧値に応じて回転数が変化するDC(Direct Current)ポンプであることが好ましい。
【0026】
原料液供給部33は、第3配管63によって電気分解部34と接続されている。第3配管63には第2ポンプ42が設置されており、原料液が電気分解部34に供給される。
【0027】
電解水希釈部35は、第4配管64によって電気分解部34と接続されている。第4配管64は、電気分解部34によって生成された電解水を電解水希釈部35に供給する。
【0028】
電解水希釈部35は、例えば混合バルブであり、第2配管62を介して供給される原水と、第4配管64を介して供給される電解水を混合し、希釈電解水(手洗水)として電解水排出部26から排出させる。
【0029】
ここで、原水供給部31は、上述したように工場内の水道設備に接続されることが想定されている。一般的に水道設備では、水の使用量が多くなると水圧が低下し、少なくなる水圧が上昇する。すなわち、原水供給部31から供給される原水の供給量は、工場内における水の使用量によって変化してしまう。すなわち、電気分解部で生成される電解水の品質を一定に保っても、希釈用の原水の量が変わってしまい、排出される希釈電解水の特性を安定させることが難しかった。
【0030】
そこで電解水供給装置2では、電気分解部34の電流値が一定になるように第2ポンプ42を駆動することにより、電解水の性質を安定させるとともに、第1ポンプ41の制御によって電解水希釈部に対する希釈水の供給量をコントロールするようにした。
【0031】
具体的に、制御部21は、ユーザの要求に応じて前記希釈電解水を生成する際、前記第3配管ポンプ(第2ポンプ42)を前記電気分解部34の電流値が一定になるように駆動する。すなわち、制御部21は、電流値を監視し、電流値が下限駆動閾値よりも小さくなると第2ポンプ42を駆動させて原料液を供給し、電流値が上限駆動閾値になると第2ポンプ42を停止して原料液の供給を停止させる。
【0032】
これにより、電気分解部34における原料液の濃度を一定範囲内に収めることができ、電解水の性質を安定化させることができる。
【0033】
また制御部21は、流量センサ43で測定される原水の供給量を監視し、原水の供給量に応じた回転速度で第2ポンプ42を駆動する。すなわち、制御部21は、第1配管61における原水の供給量が多くなると、第2ポンプ42を速く回転させて、希釈水の量を増大させる。また、制御部21は、原水の供給量が少なくなると、第2ポンプ42を遅く回転させて、希釈水の量を増大させる。
【0034】
上述したように、電気分解部34によって生成される電解水の性質は安定しているため、原水の供給量が増大すれば、第4配管64へ供給される電解水の供給量は増大する。このとき、希釈水の量が一定であると、希釈水としての濃度が変動してしまうが、原水の供給量に応じて希釈水を変動させることにより、希釈電解水の濃度を安定化させることができる。言い換えると、原水供給部31から供給される原水のうち、所定の分岐割合範囲(例えば20~30%:80~70%のように、想定の分岐割合プラスマイナス5~20%以内)になるよう希釈水と電気分解部34への原水とを分岐させることができる。
【0035】
例えば、制御部21は、第1配管61の原水の供給量に応じた複数段階の電圧値を対応付けた電圧値テーブルを有しており、原水の供給量に応じて一の電圧値を選択し、選択された電圧値で第1ポンプ41を駆動する。なお、第1ポンプ41が、定速で駆動する定速ポンプである場合には、第1ポンプ41を間欠的に駆動させる。
【0036】
これにより、電解水生成部30では、原水の供給量が多く電解水の生成量が多いときは原料液を多く、原水の供給量が少なく電解水の生成量が少ないときには原料液を少なくでき、電解水排出部26から排出される希釈電解水の性質を安定化させることができる。
【0037】
本発明では、給水回路からの原水の一部を第1ポンプ41で電解槽に圧送する。圧送された原水は、第2ポンプ42からの一定量の電解補助液(塩酸等の電解質溶液)と混合されて電解槽内で電気分解される。
【0038】
この電気分解される電解補助液は、給水量の変動にかかわらず安定した濃度の電解質溶液となる。しかしながら、給水量が増大した場合、電解槽の出口において、電解槽で生成された酸性電解水は、塩素濃度が薄められてしまう。逆に、給水量が減少した場合、電解槽の出口において生成された酸性電解水は、塩素濃度が濃いものになってしまう。
【0039】
そこで、給水量の変動を、供給水の分岐点の手前に設けられた流量計43に応じて電解槽に印加する電解電圧を制御する。具体的には、給水量が増大した場合は、電解電圧を高めることで、生成された酸性電解水の塩素濃度を高める。このようにして、電解槽の出口において生成された酸性電解水を、所定の塩素濃度内に収めるように制御できる。
【0040】
図3に示すように、原料液供給部33は、2つのボトル(前ボトル51及び後ボトル52)を収納するボトル収納部50を有している。キャップ53,54には、2つの孔53A,53B及び54A,54Bがそれぞれ形成されており、パッキンがついた密封構造となっている。なおキャップ53,54は、同一構成である。
【0041】
前ボトル51の孔53Aには、第3配管63に接続された第1吸上管55が挿入されており、その端部は前ボトル51の底面近傍(底面から前ボトル51の高さの1/10までの位置)に配置されている。孔53Bには、第2吸上管56の一方向側が挿入されている。前ボトル51では、2つの孔53A,53Bが第1吸上管55及び第2吸上管56が挿入されており、全体として密封されている。
【0042】
第2吸上管56の他方向側は、後ボトル52の孔54Aに挿入されており、その端部は後ボトルの底面近傍(底面から前ボトル51の高さの1/10までの位置)に配置されている。後ボトル52の孔54Bは何も挿入されていないため、後ボトル52は密封されていない。
【0043】
従って、第3配管63を介して第1吸上管55から前ボトル51の原料液が吸い上げられると、吸い上げられた分だけ前ボトル51から原料液が吸い上げられ、後ボトル52から前ボトル51へと移動する。すなわち、後ボトル52の水位が先に下がり、後ボトル52から原料液が吸い上げられなくなると、前ボトル51の原料液が吸い上げられる。
【0044】
原料液供給部33には、前ボトル51と後ボトル52の残量を監視する前センサ58と後センサ59が設置されている。前センサ58と後センサ59としては特に制限はなく、例えば赤外線や可視光レーザなどを用いた光センサなど、公知のものが使用される。
【0045】
前センサ58及び後センサ59は、前ボトル51及び後ボトル52の残量がなくなる(光センサの位置に原料液がない)と、制御部21(
図1)へ残量通知信号を送信する。
【0046】
制御部21は、後センサ59から残量通知信号が供給されると、後ボトル52の残量が少ないと認識し、出力部28に対して通知出力を実行する。通知出力としては特に制限はなく、例えばランプの点灯、文字による表示、音声出力などが好ましい。
【0047】
また制御部21は、前センサ58から残量通知信号が供給されると、前ボトル51の残量が少ないと認識し、出力部28に対して警告出力を実行するとともに、希釈電解水の生成を停止する。
【0048】
<動作及び効果>
以下、上記した実施形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて課題及び効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、上記各実施形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。また、各特徴に記載した用語の意味や例示等は、同一の文言にて記載した他の特徴に記載した用語の意味や例示として適用しても良い。
【0049】
かかる構成において、本発明の電解水供給装置は、原水を供給する原水供給部(原水供給部31)と、
電解質を溶解した原料液を供給する原料液供給部(原料液供給部33)と、
原水及び前記原料液を電気分解して電解水を生成する電気分解部(電気分解部34)と、
希釈用の原水である希釈水及び前記電解水を希釈混合して希釈電解水を生成する電解水希釈部(電解水希釈部35)と、
前記希釈電解水を排出する電解水排出部(電解水排出部26)と、
原水供給部及び前記電気分解部を接続する第1の配管(第1配管61)と、
前記第1の配管から分岐して前記電解水希釈部に接続する第2の配管(第2配管62)と、
前記原料液供給部及び前記電気分解部を接続する第3の配管(第3配管63)と、
前記電気分解部及び前記電解水希釈部を接続する第4の配管(第4配管64)と、
前記第1の配管及び第2の配管に設置された流量調整部(第1ポンプ41)と、
前記第3の配管に設置された第3配管ポンプ(第2ポンプ42)と、
前記電気分解部の電流値を測定する電流計(電流計44)とを備える希釈電解水生成部(電解水生成部30)と、
ユーザの要求に応じて前記希釈電解水を生成する際、前記第3配管ポンプを前記電気分解部の電流値が一定になるように駆動する一方、前記配管分岐後部及び第2の配管へ供給される原水の供給量割合を調整するよう前記第1のポンプを制御する制御部と(制御部21)とを有することを特徴とする。
【0050】
これにより、生成される電解水と希釈水との割合をコントロールできるため、希釈電解水としての性質を安定化させることができる。なお、流量調整部は、第1の配管、第2の配管、第1及び第2配管の分岐点のいずれか1箇所に設置されていれば良い。
【0051】
本発明の電解水供給装置において、前記制御部は、
前記電気分解部の電流値が低下すると前記第3配管ポンプを駆動し、電流値が超過すると前記第3配管ポンプを停止することを特徴とする。
【0052】
これにより、簡易な制御方法で電解水の品質を安定させることができる。
【0053】
本発明の電解水供給装置において、前記制御部は、
前記電気分解部の電流値に応じて前記第3配管ポンプの回転数を変化させることを特徴とする。
【0054】
これにより、きめ細かい調整が可能となるため、電解水の品質を一段と安定させることができる。
【0055】
本発明の電解水供給装置において、前記制御部は、
前記流量調整部を定速駆動することを特徴とする。
【0056】
これにより、簡易な制御方法で電解水の品質を安定させることができる。
【0057】
本発明の電解水供給装置において、
前記第1の配管における前記第2の配管との分岐前の部分には、原水の供給量を測定する流量センサが取り付けられており、
前記制御部は、
前記流量センサによって測定された原水の供給量に基づいて、前記流量調整部の駆動速度を決定することを特徴とする。
【0058】
これにより、第1の配管に供給される原水の供給量に応じて、流量調整部から供給される希釈水の量を調整することができ、電解水生成部に供給さえる原水と、希釈水との分岐割合を調整することができる。
【0059】
本発明の電解水供給装置において、
前記制御部は、
前記流量センサによって測定された原水の供給量に基づいて、前記流量調整部の駆動速度を決定することを特徴とする。
【0060】
これにより、簡易な制御方法で電解水生成部に供給さえる原水と、希釈水との分岐割合を調整することができる。
【0061】
本発明の電解水供給装置において、前記原料液供給部は、
2本のボトルを連結しており、
前記2本のボトルが配置されるボトル配置部の下側には、前記2本のボトルの残量を監視する残量センサが設置されていることを特徴とする。
【0062】
これにより、原料液の残量の状況を確実にユーザに知らせることができる。
【0063】
本発明の電解水供給装置において、前記2本のボトルは、
前記第4の配管に接続する前ボトルと、前ボトルに接続された後ボトルとを有し、
前記前ボトルには、底又は底近傍まで到達する前吸上管が前記第4の配管に対して密封した状態で接続され、前記前ボトル及び前記後ボトルは、前記後ろボトルの底又は底近傍まで到達する後吸上管を介して密封した状態で接続されていることを特徴とする。
【0064】
これにより、簡易な構成で、先に後ボトル内の原料液が減るようにでき、ボトルの交換作業を簡易化できる。
【0065】
本発明の電解水供給装置においては、ユーザに対して通知出力を行う出力部を有し、
前記制御部は、
前記後ボトルの残量を監視する後センサによって残量が少ないことを認識すると、前記出力部による通知出力を実行し、
前記前ボトルの残量を監視する前センサによって残量が少ないことを認識すると、前記希釈電解水の生成を停止することを特徴とする。
【0066】
これにより、ユーザにボトルの交換タイミングを早く知らせることができ、原料液切れで電解水が生成できない事態を減少させることができる。
【0067】
<他の実施の形態>
上述実施形態では、原料液供給部33にボトルを2本収納したが、本発明はこの限りではない。1本のみ、又は3本以上の収納や、専用タンクへの補充タイプであっても良い。また、本発明の原料液供給部33の構成は、ポンプ1つ(第2ポンプ42のみ)しかない構成の電解水供給装置に適用することが可能である。
【0068】
また、第1の配管における前記第2の配管との分岐点の部分に、第1ポンプの替わりに定流量弁(図示しない)を用いることもできる。この場合、定流量弁だと一定量の希釈水しか出ないので、排出量を自動調整できない。このため、定流量弁を複数設置し、切り替える手法を取ることで同様の効果が得られるものであってもよい。すなわち、配管分岐後部61Aに第1ポンプ41を設ける他に、第2配管62が分岐する配管分岐部や、第2配管62上に流量調整部を設けることができる。
【0069】
上述実施形態は、希釈電解水生成部としての電解水生成部30と、制御部としての制御部21とによって本発明の電解水供給装置を構成するようにしたが、本発明はこれに限られない。その他種々の構成による希釈電解水生成部と、制御部とによって本発明の電解水供給部を構成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、例えば電解水を生成する電解水供給装置や気泡電解水を生成する気泡電解水供給装置などに使用することができる。
【符号の説明】
【0071】
2:電解水供給装置,21:制御部,22:センサ,26:電解水排出部,28:出力部,29:外部インターフェース,30:電解水生成部,31:原水供給部,33:原料液供給部,34:電気分解部,35:電解水希釈部,41:第1ポンプ,42:第2ポンプ,43:流量センサ,44:電流計,51:前ボトル,52:後ボトル,53:キャップ,58:前センサ,59:後センサ,61:第1配管,62:第2配管,63:第3配管,64:第4配管