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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023003052
(43)【公開日】2023-01-11
(54)【発明の名称】通信制御方法および通信制御装置
(51)【国際特許分類】
   H04W 72/52 20230101AFI20221228BHJP
   H04W 72/0446 20230101ALI20221228BHJP
   H04W 72/0453 20230101ALI20221228BHJP
【FI】
H04W72/04 150
H04W72/04 131
H04W72/04 132
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021103979
(22)【出願日】2021-06-23
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-07-11
(71)【出願人】
【識別番号】397036309
【氏名又は名称】株式会社インターネットイニシアティブ
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100162846
【弁理士】
【氏名又は名称】大牧 綾子
(72)【発明者】
【氏名】柿島 純
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA11
5K067DD34
5K067EE02
5K067EE10
5K067JJ21
(57)【要約】
【課題】基地局から端末装置への通信を効率的に行うための通信方法を提供する。
【解決手段】 端末装置とアプリケーションサーバとの間の通信を制御するための基地局における通信制御方法であって、アプリケーションサーバが提供するアプリケーションの種別を特定するステップと、端末装置から送信されるアプリケーションの利用要求と、特定されたアプリケーション種別とに基づいて、端末装置へ割り当てるリソースブロックの割当数を決定するステップと、決定されたリソースブロックの割当数に応じて、端末装置へのリソースブロックの割当てをスケジューリングするステップと、を含む方法を提供する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置とアプリケーションサーバとの間の通信を制御するための基地局における通信制御方法であって、
前記アプリケーションサーバが提供するアプリケーションの種別を特定するステップと、
前記端末装置から送信されるアプリケーションの利用要求と、特定されたアプリケーション種別とに基づいて、前記端末装置へ割り当てるリソースブロックの割当数を決定するステップと、
決定された前記リソースブロックの割当数に応じて、前記端末装置への前記リソースブロックの割当てをスケジューリングするステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記アプリケーション種別は、前記アプリケーションサーバから前記端末装置へのデータ伝送に必要な伝送容量に基づいて設定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記リソースブロックの割当数を決定するステップは、前記アプリケーション種別ごとの端末装置数と、前記アプリケーション種別に応じて設定されたウエイトと、最大リソースブロック数とに基づいて、前記リソースブロックの一次割当数を決定するステップを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記ウエイトは、周波数軸ウエイト、時間軸ウエイト、MIMOウエイトのうち少なくとも1つを含み、前記周波数軸ウエイトは、周波数軸方向に割り当てるリソースブロック数を求める際に使用するパラメータであり、前記時間軸ウエイトは、時間軸方向に割り当てるリソースブロック数を求める際に使用するパラメータであり、前記MIMOウエイトは、MIMOの構成に従ってリソースブロック空間内の周波数軸と時間軸で定められるリソースブロックの割りあて数を求める際に使用するパラメータである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記リソースブロックの割当数を決定するステップは、さらに
リソースブロック空間において、一次割当てされていないリソースブロックを、優先度の高い前記アプリケーション種別に関連付けられる前記端末装置に割り当てるステップ、を含む、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
優先度の最も高いアプリケーション種別に関連付けられる前記端末装置が必要とする需要リソースブロック数が、最大リソースブロック数よりも多い場合には、優先度の低いアプリケーション種別に関連付けられる前記端末装置には前記リソースブロックは割り当てられない、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記リソースブロック空間は、前記周波数軸方向と前記時間軸方向とに連続するリソースブロック数と、MIMOの構成とに基づいて定められる、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
前記リソースブロックの割当をスケジューリングするステップは、前記端末装置から報告されたチャネル状態に基づいて、ラウンドロビン方式で前記リソースブロックの割当てをスケジューリングする、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
端末装置とアプリケーションサーバとの間の通信を制御する基地局における通信制御装置であって、前記通信制御装置は、
少なくとも1つのプロセッサと、
命令を記憶したメモリとであって、前記少なくとも1つのプロセッサにより実行されたときに、前記通信制御装置に、
前記アプリケーションサーバが提供するアプリケーション種別を特定することと、
前記端末装置から送信されるアプリケーションの利用要求と、特定された前記アプリケーション種別とに基づいて、前記端末装置へ割り当てるリソースブロックの割当数を決定することと、
決定された前記リソースブロックの割当数に応じて、前記端末装置へのリソースブロックの割当てをスケジューリングすることと、
を実行させる命令を記憶したメモリと、を備える、通信制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末装置とアプリケーションサーバとの間の通信を制御するための通信制御方法および通信制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基地局と端末装置との間の無線通信システムとして、LTE(Long Term Evolution)など、OFDM(Orthogonal Frequency-Division Multiplexing)システムに基づく標準規格が知られている。OFDMシステムでは、無線通信に用いられる周波数帯域は、複数のサブバンドに分割されている。基地局は、自局配下の端末装置にデータを送信する場合、どのサブバンドにどの端末装置へのデータを割当てるかを決めるための無線通信リソースのスケジューリングを行う。基地局は、スケジューリングを適切に行うために、端末装置から受信するCQI(Channel Quality Indicator)レポートを利用する。CQIレポートとは、端末装置が、基地局に対して、下りリンクの無線品質を伝えるものである。基地局は、受信したCQIレポートに基づいて無線品質が良好な周波数帯域に端末装置への送信データをスケジューリングすることにより、下り方向のスループットを向上させることができる。
【0003】
しかしながら、CQIレポートに基づいて無線通信リソースの割当を行うと、無線品質は悪いが大容量のデータ伝送を必要とする端末装置に対し、十分な無線通信リソースの割当てがなされない。一方で、無線品質は良好だが大容量のデータ伝送を必要としない端末装置に、多くの無線通信リソースの割当てがなされてしまうという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、上記のような無線通信システムにおいて、基地局から端末装置へ効率的にデータ伝送をするための通信制御方法および通信制御装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本開示の一態様は、端末装置とアプリケーションサーバとの間の通信を制御するための基地局における通信制御方法であって、前記アプリケーションサーバが提供するアプリケーションの種別を特定するステップと、前記端末装置から送信されるアプリケーションの利用要求と、特定されたアプリケーション種別とに基づいて、前記端末装置へ割り当てるリソースブロックの割当数を決定するステップと、決定された前記リソースブロックの割当数に応じて、前記端末装置への前記リソースブロックの割当てをスケジューリングするステップと、を含む方法である。
【0006】
上述した課題を解決するために、本開示の他の一態様は、端末装置とアプリケーションサーバとの間の通信を制御する基地局における通信制御装置であって、前記通信制御装置は、少なくとも1つのプロセッサと、命令を記憶したメモリとであって、前記少なくとも1つのプロセッサにより実行されたときに、前記通信制御装置に、前記アプリケーションサーバが提供するアプリケーション種別を特定することと、前記端末装置から送信されるアプリケーションの利用要求と、特定された前記アプリケーション種別とに基づいて、前記端末装置へ割り当てるリソースブロックの割当数を決定することと、決定された前記リソースブロックの割当数に応じて、前記端末装置へのリソースブロックの割当てをスケジューリングすることと、を実行させる命令を記憶したメモリと、を備える、通信制御装置である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、無線通信システムにおいて、基地局から端末装置へ効率的に通信するための通信方法および通信制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の一実施形態に係る基地局と、基地局に在圏する端末装置とが配置されたシステムの概略構成の一例を示す。
図2】本開示の一実施形態に係るリソースブロック空間の例を示す。
図3】本開示の一実施形態に係る通信制御装置のハードウェア構成を示す。
図4】本開示の一実施形態に係る通信制御装置の機能的構成の例を示すブロック図である。
図5】本開示の一実施形態に係る通信制御装置において実行する例示の方法を示す。
図6】本開示の一実施形態に係る通信制御装置において実行する例示の方法を示す。
図7】本開示の一実施形態に係るAP種別ファイルのデータ構造の一例である。
図8】本開示の一実施形態に係る端末数ファイルのデータ構造の一例である。
図9】本開示の一実施形態に係るウエイト設定ファイルのデータ構造の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に、本開示の実施形態の内容を列記して説明する。本開示の一実施形態は、以下のような構成を備える。
【0010】
(項目1) 項目1によれば、端末装置(8)とアプリケーションサーバ(14)との間の通信を制御するための基地局(12)における通信制御方法であって、前記アプリケーションサーバが提供するアプリケーションの種別を特定するステップと、前記端末装置から送信されるアプリケーションの利用要求と、特定されたアプリケーション種別とに基づいて、前記端末装置へ割り当てるリソースブロック(16)の割当数を決定するステップと、決定された前記リソースブロックの割当数に応じて、前記端末装置への前記リソースブロックの割当てをスケジューリングするステップと、を含む方法が提供される。
【0011】
(項目2) 項目2によれば、前記アプリケーション種別は、前記アプリケーションサーバから前記端末装置へのデータ伝送に必要な伝送容量に基づいて設定される、項目1に記載の方法が提供される。
【0012】
(項目3) 項目3によれば、前記リソースブロックの割当数を決定するステップは、前記アプリケーション種別ごとの端末装置数と、前記アプリケーションの種別に応じて設定されたウエイトと、最大リソースブロック数とに基づいて、前記リソースブロックの一次割当数を決定するステップを含む、項目1または2に記載の方法が提供される。
【0013】
(項目4) 項目4によれば、前記ウエイトは、周波数軸ウエイト、時間軸ウエイト、MIMOウエイトのうち少なくとも1つを含み、前記周波数軸ウエイトは、周波数軸方向に割り当てるリソースブロック数を求める際に使用するパラメータであり、前記時間軸ウエイトは、時間軸方向に割り当てるリソースブロック数を求める際に使用するパラメータであり、前記MIMOウエイトは、MIMOの構成に従ってリソースブロック空間(18)内の周波数軸と時間軸で定められるリソースブロックの割りあて数を求める際に使用するパラメータである、項目3に記載の方法が提供される。
【0014】
(項目5) 項目5によれば、前記リソースブロックの割当数を決定するステップは、さらに、リソースブロック空間において、一次割当てされていないリソースブロックを、優先度の高い前記アプリケーション種別に関連付けられる前記端末装置に割り当てるステップ、を含む、項目3または4に記載の方法が提供される。
【0015】
(項目6) 項目6によれば、優先度の最も高いアプリケーション種別に関連付けられる前記端末装置が必要とする需要リソースブロック数が、最大リソースブロック数よりも多い場合には、優先度の低いアプリケーション種別に関連付けられる前記端末装置には前記リソースブロックは割り当てられない、項目1から5のいずれか1項に記載の方法が提供される。
【0016】
(項目7) 項目7によれば、前記リソースブロック空間は、周波数軸方向と時間軸方向とに連続するリソースブロック数と、MIMOの構成とに基づいて定められる、項目5または6に記載の方法が提供される。
【0017】
(項目8) 項目8によれば、前記リソースブロックの割当をスケジューリングするステップは、前記端末装置から報告されたチャネル状態に基づいて、ラウンドロビン方式で前記リソースブロックの割当てをスケジューリングする、項目1から7のいずれか1項に記載の方法が提供される。
【0018】
(項目9) 項目9によれば、端末装置とアプリケーションサーバとの間の通信を制御する基地局における通信制御装置であって、前記通信制御装置は、少なくとも1つのプロセッサと、命令を記憶したメモリとであって、前記少なくとも1つのプロセッサにより実行されたときに、前記通信制御装置に、前記アプリケーションサーバが提供するアプリケーション種別を特定することと、前記端末装置から送信されるアプリケーションの利用要求と、特定された前記アプリケーション種別とに基づいて、前記端末装置へ割り当てるリソースブロックの割当数を決定することと、決定された前記リソースブロックの割当数に応じて、前記端末装置へのリソースブロックの割当てをスケジューリングすることと、を実行させる命令を記憶したメモリと、を備える、通信制御装置が提供される。
【0019】
[本開示の実施形態の詳細]
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が本開示に含まれることが意図される。以下の説明では、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を繰り返さないものとする。
【0020】
まず、本開示を適用可能な無線通信システムの全体構成について説明する。図1は、本開示の一実施形態に係る基地局12と、基地局12に在圏する端末装置8とが配置されたシステム100の概略構成の一例を示す。基地局12は、ルーティングなどの制御を行うコアネットワーク(CN)装置10に接続され、コアネットワーク装置10はバックホールネットワーク4を介してアプリケーションサーバ14に接続される。端末装置8は、基地局12、コアネットワーク装置10、およびバックホールネットワーク4を介してアプリケーションサーバ14と通信して、様々なアプリケーションを利用できる。図1には、3台の端末装置8(1)から端末装置8(3)が示されているが、以下ではこれらを端末装置8と総称することがある。また、図1には、3台の端末装置8が示されているが、これは例示であり、端末装置8は複数台あればよい。
【0021】
端末装置8は、基地局12のセル6に在圏するときに、その在圏するセル6に対応する基地局12との間で所定の通信方式および無線通信リソースを用いて無線通信することができる。基地局12と端末装置8との間の通信は、いわゆる4G、5G移動体通信網、LTE(Long Term Evolution)などの使用に準拠したネットワークを介して行われる。ここでは、基地局12と端末装置8との間の通信方式へLTEを適用したことを前提に本開示の実施形態を説明するが、類似の物理チャネル構成を用いるシステムであれば、本開示の概念は適用することができる。
【0022】
端末装置8は、プロセッサ、メモリ、通信インターフェイス等のハードウェアを用いて構成される装置である。メモリにはコンピュータプログラムが記憶されている。プロセッサがコンピュータプログラムに従って動作することにより、端末装置8は、その機能を達成する。端末装置8は、スマートフォン、PDA(Personal Digital Assistant)、タブレット型コンピュータ、ラップトップ型コンピュータ、または、デスクトップ型コンピュータなどである。端末装置8は、IoT端末(Internet of Things)として利用される端末装置であってもよい。IoT端末は、自動車などの移動体に搭載される端末であってもよいし、家電など固定的に設置される端末であってもよい。
【0023】
端末装置8は、下りチャネルの受信品質を常時測定している。端末装置8は、その結果を、CQIレポートの所定のフォーマットで基地局12に報告する。
【0024】
基地局12は、端末装置8の無線通信の中継拠点として構成された通信設備である。基地局12は、端末装置8との通信を制御するコンピュータ装置(通信制御装置200)、コアネットワークに対する通信インターフェイス部、アンテナなどのハードウェアを用いて構成される。通信制御装置200は、端末装置8との上りリンクおよび下りリンクの通信を制御することができる。通信制御装置200のハードウェア構成の詳細は、図3を参照して後述する。基地局12のアンテナは、通信制御装置200との間の通信に応じて、OFDM信号などの信号をセル6に在圏する端末装置8との間で送信および受信し得る。一実施形態において、アンテナは、多入力多出力(MIMO:multiple-input and multiple-output)に対応したアンテナを含むことができる。
【0025】
アプリケーションサーバ14は、端末装置8が利用する各種アプリケーションを提供する。また、アプリケーションサーバ14は、自身のアプリケーション種別を、通信制御装置200へ通知することができる。なお、図1の例ではアプリケーションサーバ14は1台であるが、複数台であってもよい。
【0026】
端末装置8の利用するアプリケーションには、その用途に応じて、小容量伝送で十分なものや、大容量伝送が必要なものがある。例えば、子供の見守り用途では、ユーザからの要求に応じて子供の位置データを送信できればよく、このようなデータは容量が小さく、低い頻度で送信できればよい。また、IoT端末のファームウエアの更新用途では、低い頻度で必要に応じて間欠的にファームウエアデータを送信できればよい。一方、動画配信の用途では、一定時間連続的に大容量のデータを通信する必要がある。つまり、下りリンクのデータには、アプリケーションの用途に応じて、低い頻度で間欠的に通信すればよいデータがある一方、連続的に通信する必要のあるデータがある。また、下りリンクのデータは、アプリケーションの用途に応じて、必要な伝送容量も大きく異なる。データ通信量が小さく、間欠的な通信で十分なアプリケーションを利用する端末装置8に対し、小さい通信資源を配分することで、コストや消費電力を抑えることができる。一方、データ通信量が大きく連続的に通信する必要のあるアプリケーションを利用する端末装置8に対し、大きな通信資源を配分することで、遅延なく安定的に動画配信することができる。
【0027】
本開示によると、通信制御装置200は、端末装置8が利用するアプリケーションの種別に応じて、各端末装置8への無線通信リソースのスケジューリングを行う。これにより、端末装置8と、通信制御装置200と、アプリケーションサーバ14とを含むシステム100全体の伝送効率やスループットを向上し、また効率的な資源配分をすることができる。
【0028】
LTEで採用しているOFDMAでは、周波数と時間との両方で分割したリソースブロック16と呼ばれる単位毎に宛先が指定され、データが端末装置8へ送信される。周波数軸上でみるとサブキャリア間隔が15kHzのLTEでは、連続する12個のサブキャリアをリソース管理の単位としており、180kHz幅と0.5ms長の1タイムスロットが占める区画をリソースブロックと呼ぶ。本開示において、時間軸方向および周波数軸方向に連続する複数のリソースブロック16で格子状に構成される空間を、リソースブロック空間18と呼ぶ。リソースブロック空間18はさらに、さらに複数のアンテナを用いるMIMOにより定めてもよい。図2は、本開示の一実施形態によるリソースブロック空間18の例を示す。図示例では、時間軸方向に100、周波数軸方向に100の、合計10,000個の物理リソースブロック16で構成されたリソースブロック集合22が示される。さらに、アンテナ技術としてMIMOを適用することにより、図示するように、リソースブロック空間18は、MIMOの空間軸方向に2つのリソースブロック集合22を備えており(本例では、2×2MIMO)、リソースブロック空間18は合計20,000個のリソースブロック16からなる。このリソースブロック空間18に対し、通信制御装置200は、リソースブロック16単位で、端末装置8への送信データのスケジューリングを行う。通信制御装置200は、複数の端末装置8から通知されたアプリケーションの種別やCQIレポートを基に、その瞬間ごとに、どの端末装置8がどのキャリアで通信することが適切かを判断する。この判断に基づいて、端末装置8との通信チャネルを、時間ごと、周波数ごとに、あるいはMIMOごとに、リソースブロック16単位で瞬時に切り替えることで、下りリンクの通信を行う。なお、リソースブロック空間18を構成するリソースブロック16の個数、構成は例示であって、上述の個数、構成に限られず、時間軸方向、周波数軸方向、MIMO空間軸方向のリソースブロック数を異ならせてもよい。以下の例では、リソースブロック空間18は、図2に示す合計20,000個のリソースブロック16からなるものとする。
【0029】
図3は本開示の一実施形態に係る通信制御装置200のハードウェア構成図である。通信制御装置200は図3に示すように、プロセッサ202と、メモリ204と、ストレージ206と、通信インターフェイス(IF)208とを備えるコンピュータ装置として実現することができる。通信制御装置200が備えるこれらの構成は、バス214によって互いに電気的に接続される。なお、図3の様々な構成要素は、組み合わされるか細分化されるか、または省略されてもよく、追加の構成要素が、特定の必要性に従って追加されてもよい。図3は、本開示の通信制御装置200を特定の構成に限定するものではない。
【0030】
プロセッサ202は、通信制御装置200の全体の動作を制御する。プロセッサ202は、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、およびGPU(Graphics Processing Unit)を含む。プロセッサ202は、それぞれ、後述するストレージ206からプログラムを読み出す。そして、プロセッサ202は、それぞれ、読み出したプログラムを、後述するメモリ204に展開する。プロセッサ202は、展開したプログラムを実行する。一例として、プロセッサ202は、通信制御装置200に与えられる信号に基づいて、あるいは、予め定められた条件が成立したことに基づいて、メモリ204に展開したプログラムに含まれる一連の命令を実行する。
【0031】
メモリ204は主記憶装置である。メモリ204は、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)等の記憶装置で構成される。一例として、メモリ204は、プロセッサ202が後述するストレージ206から読み出したプログラムおよび各種データを一時的に記憶することにより、プロセッサ202に作業領域を提供する。メモリ204には、少なくともオペレーティングシステムが格納されている。オペレーティングシステムは、通信制御装置200の全体的な動作を制御するためのコンピュータプログラムである。
【0032】
ストレージ206は補助記憶装置である。ストレージ206は、プログラムおよびデータを永続的に保持する。ストレージ206は、例えば、不揮発性半導体メモリ、ハードディスク装置、フラッシュメモリ等の不揮発性記憶装置として実現される。ストレージ206には、例えば、他のコンピュータや端末との通信を実現するためのプログラム等が格納される。
【0033】
通信IF208は、通信制御装置200における各種データの送受信を制御する。通信IF208は、所定の通信プロトコルに従って端末装置8との間の無線ネットワーク上での通信、およびコアネットワーク装置10との間の有線または無線ネットワーク上での通信をサポートする。
【0034】
図4は、図1および図3に示す通信制御装置200の機能的構成の例を示すブロック図である。通信制御装置200は、端末装置8に割り当てるリソースブロック数を決定する機能を備える。通信制御装置200は、主たる構成要素として、制御部230と、記憶部250とを備える。制御部230は、通信制御装置200に与えられる信号に基づいて、あるいは、予め定められた条件が成立したことに基づいて、記憶部250に格納されているプログラム(不図示)に含まれる一連の命令を実行する。通信制御装置200は、プロセッサ202、メモリ204、ストレージ206、通信IF208(図3)等の協働によって、制御部230および記憶部250として機能する。
【0035】
制御部230は、プログラムの記述に応じて、種別ファイル作成部231、アプリケーション(AP)識別部232、割当数決定部233、スケジューリング部234として機能する。制御部230は、実行されるアプリケーションの性質に応じて、図示しないその他の機能ブロックとしても機能することができる。
【0036】
種別ファイル作成部231は、各アプリケーションサーバ14の提供するアプリケーション種別を割り当てし、アプリケーション(AP)種別ファイル251に格納する。AP種別ファイル251の詳細は、図7を用いて後述する。さらに、種別ファイル作成部231は、アプリケーション種別ごとに、各種ウエイトを関連付けたウエイト設定ファイル253を作成する。ウエイト設定ファイル253の詳細は、図9を用いて後述する。
【0037】
AP識別部232は、端末装置8から受信したアプリケーションの利用要求情報から、各端末装置8が利用するアプリケーションの種別を識別する。AP識別部232は、アプリケーション種別ごとに端末装置8の数を求め、端末数ファイル252に格納する。端末数ファイル252の詳細は図8を用いて後述する。
【0038】
割当数決定部233は、リソースブロック16を単位とする周波数リソース割当て、時間リソース割当てを制御する。さらに割当数決定部233は、MIMO通信チャネル割当てを制御してもよい。
【0039】
スケジューリング部234は、端末装置8に対して下りデータリソースの割当てをスケジューリングする。
【0040】
また、図4は、通信制御装置200の記憶部250に格納されるデータファイルの例を示す。記憶部250は、各アプリケーションサーバの種別を格納するAP種別ファイル251(図7に詳細を示す。)と、通信制御装置200にアクセスする端末装置8のアプリケーション種別ごとの数を格納する端末数ファイル252(図8)と、アプリケーションサーバ14の種別ごとの各種ウエイトを設定したウエイト設定ファイル253とを格納する(図9)。
【0041】
図7はAP種別ファイル251のデータ構造の一例である。AP種別ファイル251は、通信制御装置200に接続可能な各アプリケーションサーバ14の種別を設定したファイルである。アプリケーション種別は、各アプリケーションサーバ14からの情報に基づいて、一例ではアプリケーションサーバ14を利用する際に必要な下りリンクの伝送容量に応じて、あらかじめアプリケーションサーバ14ごとに設定される。1つのアプリケーションサーバ14に対し1つのアプリケーション種別を設定することができる。アプリケーション種別は、一例として、動画サービスなど比較的伝送容量の大きいアプリケーション(種別A)、文字列送信など比較的伝送容量の小さいアプリケーション(種別C)、低容量のデータ伝送のアプリケーションと大容量のデータ伝送のアプリケーションとの間の伝送容量のアプリケーション(種別B)の3種である。なお、図7の例では伝送容量を3段階に分けて種別Aから種別Cの3つ設定しているが、伝送容量を2段階に分けてもよいし、4段階以上に分けてもよい。
【0042】
図8は端末数ファイル252のデータ構造の一例である。端末数ファイル252は、セル6に在圏する端末装置8を、利用するアプリケーション種別毎に求めた数を含む。図8の例では、アプリケーション種別Aは30台(N1)、アプリケーション種別Bは25台(N2)、アプリケーション種別Cは25台(N3)である。
【0043】
図9は、ウエイト設定ファイル253のデータ構造の一例である。ウエイト設定ファイル253は、アプリケーション種別(AからC)ごとに、周波数軸ウエイトWfと、時間軸ウエイトWtと、MIMOウエイトWmとのうち少なくとも1つのウエイト種を関連付けたファイルである。各ウエイトはアプリケーションサーバ14から送信されるアプリケーション種別に基づいて、通信制御装置200が事前に登録しておく。周波数軸ウエイトWf、時間軸ウエイトWt、MIMOウエイトWmは、概ね、大容量伝送のアプリケーション(種別A)に最も大きいウエイト、小容量伝送のアプリケーション(種別C)に対し最も小さいウエイト、その中間の中容量伝送のアプリケーション(種別B)に対し、中間のウエイトとなるよう伝送容量の大きさに応じて段階的に設定する。
【0044】
周波数軸ウエイトWfは、周波数軸方向に割り当てるリソースブロック数を求める際に使用するパラメータであり、アプリケーション種別ごとに設定される。周波数軸ウエイトWfが大きいほど、周波数軸方向に多くのリソースブロック16を割り当てることができる。図8の例では、周波数軸ウエイトは、種別Aに対しては5、種別Bに対しては3、種別Cに対しては1が割り当てられているが、これらの値は例示にすぎず、他の値であってもよい。大容量伝送アプリケーションである種別Aに対して高いウエイトを設定することで、より多くのリソースブロック16を、種別Aのアプリケーションサーバ14からの送信パケットに割り当てることができる。
【0045】
時間軸ウエイトは、時間軸方向に割り当てるリソースブロック数を求める際に使用するパラメータであり、アプリケーション種別ごとに設定される。時間軸ウエイトが大きいほど、時間軸方向に対し多くのリソースブロック16を割り当てることができる。
【0046】
MIMOウエイトは、MIMOアンテナ技術を用い、アンテナ数に従って割り当てるリソースブロック数を求める際に使用するパラメータであり、アプリケーション種別ごとに設定される。MIMOウエイトが大きいほど、リソースブロック集合22のうち周波数軸位置×時間軸位置で定められるリソースブロックを多く割り当てることができる。例えば、MIMOウエイトが3の場合、リソースブロック空間18内の周波数軸位置×時間軸位置で定められるリソースブロックをMIMO軸方向に3つまで割り当てることができる。
【0047】
なお、図8の例では、アプリケーション種別毎に異なるウエイトを設定しているが、複数の種別で同じウエイトを設定してもよい。但し、各アプリケーション種別で設定するウエイトが、総合的には種別ごとに異なるように設定する。例えば、周波数軸ウエイトWfにおいて、種別A、Bに対し同じウエイトを設定する場合は、時間軸ウエイトWtにおいて、種別A、Bに対し違うウエイトを設定する。
【0048】
図5は、本開示の一実施形態に従う通信制御装置200において実行する例示の方法500を示す。通信制御装置200は、各端末装置8の利用するアプリケーションの種別に基づいて、無線通信リソースを割り当てる。
【0049】
まず、ステップS502において、通信制御装置200(種別ファイル作成部231)はアプリケーションサーバ14から送信されるデータパケット(一例では、IPパケットのオプション部に指定されたデータ)を検査して、アプリケーションサーバ14の種別を識別し、各アプリケーションサーバ14のアプリケーション種別を割り当て、AP種別ファイル251(図7)を作成する。さらに、通信制御装置200(種別ファイル作成部231)は、識別したアプリケーション種別と、各種ウエイトからなるウエイト設定ファイル253(図9)を作成し、記憶部250に格納する。通信制御装置200は、アプリケーションサーバ14の提供するアプリケーションの種別に応じて、各種ウエイトを適宜変更することができる。また、通信制御装置200は、アプリケーションサーバ14からアプリケーションを伝送するとき、トラフィック量に応じてタイムスロット単位で、種別A、B、Cに対する各種ウエイトを適宜変更することができる。
【0050】
つぎに、ステップS504において、通信制御装置200(AP識別部232)は、セル6に在圏する端末装置8から受信したアプリケーションの利用要求情報から、端末装置IDと、CQIレポートと、端末装置8が利用するアプリケーションの種別を特定可能な情報を取得する。端末装置IDは、端末装置固有の識別子であり、端末装置8のIPアドレス、またはMACアドレスなどである。CQIレポートは、端末装置8が測定した周波数単位ごとの下りチャネルの受信品質を示す指示子を含み、端末装置8により通信制御装置200へ報告される。
【0051】
また、ステップS504において、通信制御装置200(AP識別部232)は、AP種別ファイル251(図7)を参照して、端末装置8が利用するアプリケーションの種別を識別し、アプリケーション種別ごとに、セル6に在圏する端末装置8の台数を求め、端末数ファイル252に格納する。
【0052】
次に、ステップS506において、通信制御装置200(割当数決定部233)は、端末装置8毎のリソースブロック16の割当数を決定する。上述したとおり、基地局12(通信制御装置200)は、アプリケーション種別と各種ウエイトとを関連付けたウエイト設定ファイル253(図8)を事前に登録している。通信制御装置200はこのウエイト設定ファイル253を参照して、端末装置8が利用するアプリケーション種別と、端末装置数とに基づいて、送信パケットを割り当てるリソースブロック16の割当数を算出する。リソースブロック16の割当数の算出の詳細は図6で後述する。
【0053】
次に、ステップS508において、通信制御装置200(スケジューリング部234)は、リソースブロック空間18内のリソースブロック16毎に端末装置8を指定して、リソースブロック16の割当てをスケジューリングする。1つのリソースブロック16には宛先となる端末装置8を示す制御信号も含まれている。さらに、通信制御装置200は、端末装置8から報告されたCQIレポートに基づいて、リソースブロック16の割当てをスケジューリングしてもよい。なお、送信パケットが発生しても、即時にリソースブロックは割り当てられない。すなわち、物理リソースブロック空間18内の全てのリソースブロック割当てが決まるまで次の割当てを待機する。
【0054】
図6は、通信制御装置200において実行する例示の方法600を示す。方法600は、図5に例示したステップS506のリソースブロック16の割当数の決定の詳細の処理フローを説明する。本開示によると、通信制御装置200は、大容量伝送アプリケーションである種別Aに関する送信パケットを優先的にリソースブロック16に割当てする。一例では、優先度の高い種別Aの端末装置8が必要とする需要リソースブロック数が、リソースブロック空間18内の全てのリソースブロック16である最大リソースブロック数Mrbよりも多い場合には、種別B、種別Cに関する送信パケットを同じリソースブロック空間18内のリソースブロック16に割り当てしない。つまり、種別B、種別Cに関しては、次のリソースブロック空間18内のリソースブロック割当てまで、これらに対する割当てを待機する。また、種別A、種別B、および種別Cに関する送信パケットをリソースブロック空間18内のリソースブロック16に割当しても、リソースブロック16が残る場合は、残りのリソースブロック16を種別Aに関する送信パケットに割当する。
【0055】
以下、説明の便宜のために、図8の例による端末数、および図9の例による各種ウエイトの値を例に、本開示の一実施形態に従うリソースブロック16の割当て方法について図6に示す方法600を例に説明する。すなわち、種別Aは30台(N1)、種別Bは25台(N2)、種別Cは25台(N3)とする(図8)。また、周波数軸ウエイトは種別Aが5(Wf1)、種別Bが3(Wf2)、種別Cが1(Wf3)である。時間軸ウエイトは種別Aが5(Wt1)、種別Bが3(Wt2),種別Cが1(Wt3)である。また、MIMOウエイトは種別Aが2(Wm1)、種別Bが1(Wm2)、種別Cが1(Wm3)とする(図9)。
【0056】
まず、ステップS602において、通信制御装置200(割当数決定部233)は、端末数ファイル252(図8)およびウエイト設定ファイル253(図9)を参照して、リソースブロック16の需要総数Tdを算出する。需要総数Tdは以下の式(1)で求められる。
【0057】
需要総数Td=N1×Wf1×Wt1×Wm1+N2×Wf2×Wt2×Wm2+N3×Wf3×Wt3×Wm3 (1)
【0058】
本例によると、種別Aの需要リソースブロック数は、N1(30)×周波数軸ウエイトWf1(5)×時間軸ウエイトWt1(5)×MIMOウエイトWm1(2)の1500となる。同様にして種別Bの需要リソースブロック数は、225(=25×3×3×1)、種別Cの需要リソースブロック数は、25(=25×1×1×1)となる。需要総数Tdは、各種別の需要リソースブロック数の合計(1,500+225+25)の1,750となる。
【0059】
次に、ステップS604において、通信制御装置200(割当数決定部233)は、需要総数Tdが、最大リソースブロック数Mrbよりも小さいか判定し、小さい場合にステップS606において、割当単位数Kuを算出する。最大リソースブロック数Mrbは式(2)、割当単位数Kuは式(3)で以下のとおり求められる。
【0060】
最大リソースブロック数Mrb=周波数軸総数×時間軸総数×MIMO最大数 (2)
割当単位数Ku=最大リソースブロック数Mrb÷需要総数Td (小数点以下は切り捨て) (3)
【0061】
周波数軸総数はリソースブロック空間18の周波数軸総数、時間軸総数はリソースブロック空間18の時間軸総数、MIMO最大数はMIMOの最大値であり、本例によると、最大リソースブロック数Mrbは、20,000(=100×100×2)となる。割当単位数Kuは、最大リソースブロック数Mrb(20,000)を需要総数Td(本例では1,750)で除算し、11となる(小数点以下は切り捨て)。
【0062】
次にステップS608に進み、通信制御装置200(割当数決定部233)は、割当単位数Kuと、各種別の需要リソースブロック数を乗算して、一次割当総数Jaを算出する。種別Aの一次割当数Ja1は以下の式(4)により求められる。
【0063】
一次割当数Ja1=Ku×Wf1×Wt1×Wm1 (4)
【0064】
同様にして、種別Bの一次割当数Ja2および種別Cの一次割当数Ja3が求められる。本例においては、種別Aの一次割当数Ja1は16,500(=11×1,500)、種別Bの一次割当数Ja2は2,475(=11×225)、種別Cの一次割当数Ja3は275(=11×25)となるので、一次割当総数Jaは19,250となる。
【0065】
次に、ステップS610に進み、通信制御装置200(割当数決定部233)は、式(5)に従って、最大リソースブロック数Mrbから一次割当総数Jaを減算して余りのリソースブロック数Luを算出する。
【0066】
余りリソースブロック数Lu=Mrb-(J1+J2+J3) (5)
【0067】
本例においては、余りのリソースブロック数Luは、最大リソースブロック数Mrb(20,000)から一次割当総数Ja(19,250)を減算し750となる。
【0068】
次に、ステップS612に進み、通信制御装置200(割当数決定部233)は、余りのリソースブロック16すべてを、種別Aの端末装置8に割当する。式(6)に示すように、追加割当数Pは、余りリソースブロック数Lu(本例では750)を種別Aの端末装置数N1(本例では30)で除算して求める(本例ではP=25)。さらに、除算により割り切れず、余ったリソースブロックについても、種別Aの端末装置8に均等に配分する。本例においては、余りはないため、種別Aの30台に対しては25の追加割当数Pとなる。
【0069】
追加割当数P=L/N1(小数点以下切り捨て) (6)
余りがある場合には、余りを種別Aの端末に均等に配分する。
【0070】
本開示によると、余りのリソースブロックすべてを、大容量伝送の必要な種別Aの端末装置8に割り当てることで、より多くの通信資源を種別Aに割り当てすることができる。つまり、優先的に種別Aのアプリケーションを利用する端末装置8にリソースブロックを割り当てることでシステム100全体の伝送効率やスループットを向上することができる。
【0071】
次にステップ614に進み、通信制御装置200は、各端末装置8に対する割当総数Trbを決定する。種別Aの端末装置8に対する割当数は、各種ウエイトと割当単位数Kuとを乗算した数に、追加割当数Pとを加算した数となり、本例において種別Aの30台は575(=5×5×2×11+25)となる。この結果、種別Aには17,250(=575×30)リソースブロック割り当てられる。25台の種別Bの端末装置8に対しては、各種ウエイトと割当単位数Kuとを乗算した数が割り当てられる。本例においては、種別Bには2,475(=3×3×1×11×25)リソースブロックが割り当てられる。25台の種別Cの端末装置8に対しては、各種ウエイトと割当単位数Kuとを乗算した数となり、本例においては、275(=1×1×1×11×25)リソースブロックが割り当てられる。これにより、割当総数Trbは、最大リソースブロック数Mrbまで割り当てることができる。
【0072】
さらに、ステップ616に進み、通信制御装置200は、端末装置8から通知されたCQIレポートを参照して周波数スケジュールイングしてもよい。通信制御装置200は、同一のアプリケーション種別内の複数の端末装置8から通知された、周波数ごと(図2のf1~f100ごと)のCQIレポートを参照し、チャネル状態に基づいて、タイムスロット(図2のt1~t100ごと)ごとに、どの端末装置8がどの周波数ブロックで通信することが良いかを判断する。一例では、通信制御装置200は、受信信号レベルの高い周波数ブロックを、例えばラウンドロビン方式で各端末装置8に割り当てる。タイムスロットt1において、f1のCQI値は良好、f2のCQI値は普通、f3のCQI値は悪い場合に、周波数f1を、種別Aのすべての端末装置8に対し(本例では30台)に対し、タイムスロットごとに、ラウンドロビン方式で割り当てる。ラウンドロビンで同じ種別の複数の端末装置8を順に指定することで、異なる端末装置8に対し、受信信号レベルの高い通信帯域を分散して割り振ることができる。これにより、一台の端末装置8に集中的に受信信号レベルの高い通信帯域を集中させないことができる。また、ラウンドロビン方式は、別途サービスを用意する必要なく、複数の端末装置8のアドレスを登録するだけで、分散させることができる。なお、N×N MIMOの場合でも、周波数軸位置×時間軸位置で定められる各リソースブロックの周波数ごとのCQI値は同じなので、MIMOのウエイトに応じて割当てを実施する。例えば、3×3 MIMOであって、種別AのMIMOウエイトが3の場合、3つのリソースブロック集合22には、周波数軸位置×時間軸位置で定められる同じリソースブロックが1つずつ合計3個存在し、各周波数のCQIは3個のリソースブロックで同一値になるため、3個のリソースブロックの割当ては同一になる。
【0073】
本開示によると、多くのリソースブロック割当てが必要なアプリケーションにはウエイトを大きく設定して、少ないリソースブロック割当てで十分なアプリケーションにはウエイトを小さく設定することができる。さらに、アプリケーション種別ごとに、各種ウエイトを設定することができ、詳細にリソースブロックの割当てを行うことができる。
【0074】
また、本開示によると、多くのリソースブロックの割り当てが必要なアプリケーションを利用する端末装置8には、優先的にリソースブロックを割り当てし、間欠的なリソースブロックの割り当てで十分なアプリケーションを利用する端末装置8には、即時のリソースブロックを割当てしないようにすることができる。このような方式は、連続的に大容量のデータを受信する必要がある端末装置8と間欠的にデータを取得できればよい端末とが一つのセル6に混在して在圏する場合に有用である。
【0075】
図6に戻り、ステップS604において、種別A、BおよびCの需要総数Tdが最大リソースブロック数Mrbよりも大きい場合、ステップS618に進む。
【0076】
ステップS618において、通信制御装置200(割当数決定部233)は、種別A、BおよびCの需要総数Td(A+B+C)が最大リソースブロック数Mrbよりも大きく、かつ種別AおよびBの需要総数Td(A+B)が最大リソースブロック数Mrb以下の場合、すなわち
(N1×Wf1×Wt1×Wm1+N2×Wf2×Wt2×Wm2)
≦Mrb<(N1×Wft×Wt1×Wm1+N2×Wf2×Wt2×Wm2+N3×Wf3×Wt3×Wm3)
の場合、ステップS620に進む。
【0077】
ステップS620において、通信制御装置200(割当数決定部233)は、種別Aの需要数(N1×Wf1×Wt1×Wm1)と、種別Bの需要数(N2×Wf2×Wt2×Wm1)と、種別Cの需要数を算出する。この場合、種別Cの一部にはリソースブロックは割り当てない。次に、続くステップS614からステップ616の処理に進む。
【0078】
ステップS618において、種別AおよびBの需要総数Td(A+B)が最大リソースブロック数Mrbより大きい場合、すなわちMrb<(N1×Wf1×Wt1×Wm1+N2×Wf2×Wt2×Wm2)の場合、ステップS622に進む。ステップS622において、種別Aの需要総数Tdが最大リソースブロック数Mrb以下であって、種別AおよびBの需要総数Td(A+B)が最大リソースブロック数Mrbより大きい場合、すなわち
N1×Wf1×Wt1×Wm1≦Mrb<(N1×Wf1×Wt1×Wm1+N2×Wf2×Wt2×Wm2)
の場合、ステップS624に進む。
【0079】
ステップS624において、通信制御装置200(割当数決定部233)は、種別Aの需要数(N1×Wf1×Wt1×Wm1)と、種別Bの需要数を算出する。この場合、種別Bの一部、および種別Cの全てにはリソースブロックは割り当てられない。次に、続くステップS614からステップ616の処理に進む。
【0080】
次に、ステップS622において、種別Aの需要総数Tdが最大リソースブロック数Mrbより大きい場合、すなわちN1×Wf1×Wt1>Mrbの場合、ステップS626に進む。ステップS626において、通信制御装置200(割当数決定部233)は、種別Aの需要数を算出する。この場合、種別BおよびC、および種別Aの一部にはリソースブロックは割り当てられない。次に、続くステップS614からステップ616の処理に進む。
【0081】
前述した本発明の種々の実施形態において、本発明の技術思想および見地の範囲の種々の変更、修正および省略は、当業者によれば容易に行うことができる。前述の説明はあくまで例であって、本発明を何ら制約するものではない。
【符号の説明】
【0082】
4…バックホールネットワーク
6…セル
8…端末装置
10…コアネットワーク装置
12…基地局
14…アプリケーションサーバ
16…リソースブロック
18…リソースブロック空間
200…通信制御装置
230…制御部
231…種別ファイル作成部
232…AP識別部
233…割当数決定部
234…スケジューリング部
250…記憶部
251…AP種別ファイル
252…端末数ファイル
253…ウエイト設定ファイル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2022-06-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置とアプリケーションサーバとの間の通信を制御するための基地局における通信制御方法であって、
前記アプリケーションサーバが提供するアプリケーションの種別を特定するステップと、
前記端末装置から送信されるアプリケーションの利用要求と、特定されたアプリケーション種別とに基づいて、前記端末装置へ割り当てるリソースブロックの割当数を決定するステップと、
決定された前記リソースブロックの割当数に応じて、前記端末装置への前記リソースブロックの割当てをスケジューリングするステップと、
を含み、優先度の最も高いアプリケーション種別に関連付けられる前記端末装置が必要とする需要リソースブロック数が、最大リソースブロック数よりも多い場合には、優先度の低いアプリケーション種別に関連付けられる前記端末装置には前記リソースブロックは割り当てられない、方法。
【請求項2】
前記アプリケーション種別は、前記アプリケーションサーバから前記端末装置へのデータ伝送に必要な伝送容量に基づいて設定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記リソースブロックの割当数を決定するステップは、前記アプリケーション種別ごとの端末装置数と、前記アプリケーション種別に応じて設定されたウエイトと、最大リソースブロック数とに基づいて、前記リソースブロックの一次割当数を決定するステップを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記ウエイトは、周波数軸ウエイト、時間軸ウエイト、MIMOウエイトのうち少なくとも1つを含み、前記周波数軸ウエイトは、周波数軸方向に割り当てるリソースブロック数を求める際に使用するパラメータであり、前記時間軸ウエイトは、時間軸方向に割り当てるリソースブロック数を求める際に使用するパラメータであり、前記MIMOウエイトは、MIMOの構成に従ってリソースブロック空間内の周波数軸と時間軸で定められるリソースブロックの割りあて数を求める際に使用するパラメータである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記リソースブロックの割当数を決定するステップは、さらに
リソースブロック空間において、一次割当てされていないリソースブロックを、優先度の高い前記アプリケーション種別に関連付けられる前記端末装置に割り当てるステップ、を含む、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
前記リソースブロック空間は、前記周波数軸方向と前記時間軸方向とに連続するリソースブロック数と、MIMOの構成とに基づいて定められる、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記リソースブロックの割当をスケジューリングするステップは、前記端末装置から報告されたチャネル状態に基づいて、ラウンドロビン方式で前記リソースブロックの割当てをスケジューリングする、請求項1からのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
端末装置とアプリケーションサーバとの間の通信を制御する基地局における通信制御装置であって、前記通信制御装置は、
少なくとも1つのプロセッサと、
命令を記憶したメモリとであって、前記少なくとも1つのプロセッサにより実行されたときに、前記通信制御装置に、
前記アプリケーションサーバが提供するアプリケーション種別を特定することと、
前記端末装置から送信されるアプリケーションの利用要求と、特定された前記アプリケーション種別とに基づいて、前記端末装置へ割り当てるリソースブロックの割当数を決定することと、
決定された前記リソースブロックの割当数に応じて、前記端末装置へのリソースブロックの割当てをスケジューリングすることと、
を実行させる命令を記憶したメモリと、を備え
優先度の最も高いアプリケーション種別に関連付けられる前記端末装置が必要とする需要リソースブロック数が、最大リソースブロック数よりも多い場合には、優先度の低いアプリケーション種別に関連付けられる前記端末装置には前記リソースブロックは割り当てられない、通信制御装置。