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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023030601
(43)【公開日】2023-03-08
(54)【発明の名称】粉砕機及び粉砕方法
(51)【国際特許分類】
   B02C 17/16 20060101AFI20230301BHJP
   B02C 23/00 20060101ALI20230301BHJP
【FI】
B02C17/16 Z
B02C23/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021135823
(22)【出願日】2021-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100161425
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 鉄平
(72)【発明者】
【氏名】長坂 政彦
(72)【発明者】
【氏名】内山 晃臣
(72)【発明者】
【氏名】芳賀 康孝
(72)【発明者】
【氏名】戸崎 貴伸
【テーマコード(参考)】
4D063
4D067
【Fターム(参考)】
4D063FF14
4D063FF21
4D063FF35
4D063FF37
4D063GA10
4D063GB05
4D063GC05
4D063GC14
4D063GC27
4D063GC40
4D063GD04
4D063GD15
4D063GD19
4D067EE02
4D067EE50
4D067GA20
(57)【要約】
【課題】攪拌部材と粉砕メディアとの衝突エネルギーを制御できる粉砕機及び粉砕方法を提供する。
【解決手段】粉砕機は、粉砕メディアを収容可能な処理空間を内部に画成する粉砕容器と、処理空間に回転可能に配置され、粉砕メディアを攪拌する攪拌部材と、処理空間の容積が変化するように粉砕容器の少なくとも一部を移動させる容積変更部とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉砕メディアを収容可能な処理空間を内部に画成する粉砕容器と、
前記処理空間に回転可能に配置され、前記粉砕メディアを攪拌する攪拌部材と、
前記処理空間の容積が変化するように前記粉砕容器の少なくとも一部を移動させる容積変更部と、
を備える、粉砕機。
【請求項2】
前記攪拌部材は、
回転軸と、
前記回転軸に設けられ、前記回転軸の径方向外側に向けて延びるアーム部材と、
を有し、
前記回転軸の軸線を中心として前記回転軸を回転させる駆動部をさらに備える、請求項1に記載の粉砕機。
【請求項3】
前記容積変更部は、前記回転軸の軸線に沿って前記回転軸を移動させる、請求項2に記載の粉砕機。
【請求項4】
前記アーム部材の姿勢を変更させるアーム駆動部をさらに備え、
前記アーム部材の横断面は多角形状を呈する、請求項2又は3に記載の粉砕機。
【請求項5】
粉砕容器の内部に画成された処理空間の容積を増加させて第1容積に変更するステップと、
前記変更するステップにおいて前記処理空間が前記第1容積に変更された後に、前記処理空間に粉砕メディアを収容した状態で、前記処理空間に配置された攪拌部材の回転を開始させるステップと、
前記攪拌部材の回転を開始させるステップの後に、前記処理空間の容積を前記第1容積よりも小さい第2容積に変更するステップと、
を含む、粉砕方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、粉砕機及び粉砕方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、粉砕メディアを使用して粒状原料を粉砕する粉砕機を開示する。特許文献1に記載の粉砕機は、粉砕容器と、粉砕容器に対して相対的に回転運動する攪拌部材とを備える。攪拌部材によって攪拌される粉砕メディアが粒状原料に衝突することにより粒状原料が粉砕される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平3-118849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
粉砕された多量の粒状原料を一度の操作により得る場合には、粉砕容器及び攪拌部材を大型化し、粉砕容器に投入する粉砕メディアの数及び粒状原料の量を増やす必要がある。しかしながら、大型化した粉砕容器及び攪拌部材を備える粉砕機を採用した場合、粉砕メディアと攪拌部材との衝突エネルギーが大きくなるため、従来の攪拌部材の回転駆動装置では、攪拌部材の回転に必要なトルクを出力できないおそれがある。このため、攪拌部材と粉砕メディアとの衝突エネルギーを下げるための工夫が必要になる。これに対して、攪拌部材の回転駆動装置が高性能である場合には、攪拌部材の回転に必要なトルクを出力できるものの、より短時間の粉砕を実現するためには攪拌部材と粉砕メディアとの衝突エネルギーを上げるための工夫が必要になる。本開示は、攪拌部材と粉砕メディアとの衝突エネルギーを制御できる粉砕機及び粉砕方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一側面に係る粉砕機は、粉砕容器、攪拌部材及び容積変更部を備える。粉砕容器は、粉砕メディアを収容可能な処理空間を内部に画成する。攪拌部材は、処理空間に回転可能に配置され、粉砕メディアを攪拌する。容積変更部は、処理空間の容積が変化するように粉砕容器の少なくとも一部を移動させる。
【0006】
この粉砕機では、粉砕容器の処理空間の容積は容積変更部により変化する。例えば、容積変更部によって処理空間が拡大される場合、変更前に比べて単位時間当たりに攪拌部材と衝突する粉砕メディアの数が減少する。つまり、変更前に比べて、攪拌部材と粉砕メディアとの衝突エネルギーが減少する。これにより、攪拌部材を回転させるために必要なトルクが小さくなる。そして、容積変更部によって処理空間が縮小される場合、変更前に比べて攪拌部材と衝突する粉砕メディアの数が増加する。つまり、変更前に比べて、攪拌部材と粉砕メディアとの衝突エネルギーが増加する。これにより、攪拌部材を回転させるために必要なトルクが大きくなる。このように、この粉砕機は、容積変更部を備えることにより、粉砕容器の容積をパラメータとして粉砕メディアと攪拌部材との衝突エネルギーを制御できる。
【0007】
一実施形態においては、攪拌部材は、回転軸と、回転軸に設けられ、回転軸の径方向外側に向けて延びるアーム部材とを有し、回転軸の軸線を中心として回転軸を回転させる駆動部をさらに備えてもよい。このように構成された粉砕機は、処理空間においてアーム部材を回転軸の回転に伴って回転させて、粉砕メディアに衝突させることができる。
【0008】
一実施形態においては、容積変更部は、回転軸の軸線に沿って回転軸を移動させてもよい。このように構成することで、回転軸を処理空間内で進退させることによって、アーム部材と粉砕メディアとの位置関係を調整できる。これにより、この粉砕機は、回転軸の位置をパラメータとして粉砕メディアと攪拌部材との衝突エネルギーを制御できる。
【0009】
一実施形態においては、粉砕機は、アーム部材の姿勢を変更させるアーム駆動部をさらに備え、アーム部材の横断面は多角形状を呈していてもよい。このように構成することで、アーム部材の回転方向とアーム部材の角部の向きとを一致させたり、アーム部材の回転方向とアーム部材の角部の向きとを交差させたりすることができる。これにより、この粉砕機は、アーム部材の姿勢に応じて粉砕メディアと攪拌部材との衝突エネルギーを制御できる。
【0010】
本開示の他の側面に係る粉砕方法は、以下のステップを含む。
(1)粉砕容器の内部に画成された処理空間の容積を増加させて第1容積に変更するステップ。
(2)変更するステップにおいて処理空間が第1容積に変更された後に、処理空間に粉砕メディアを収容した状態で、処理空間に配置された攪拌部材の回転を開始させるステップ。
(3)攪拌部材の回転を開始させるステップの後に、処理空間の容積を第1容積よりも小さい第2容積に変更するステップ。
【0011】
この粉砕方法では、処理空間の容積が増加するように変更された後に、処理空間に粉砕メディアを収容した状態で攪拌部材の回転が開始される。これにより、処理空間の容積の変更前に比べて攪拌部材と衝突する粉砕メディアが減少するため、攪拌部材と粉砕メディアとの衝突エネルギーを減少させることができる。そして、攪拌部材の回転を開始させるステップの後に、処理空間の容積が減少するように変更される。これにより、攪拌部材と衝突する粉砕メディアが増加するため、攪拌部材と粉砕メディアとの衝突エネルギーを増加させることができる。このように、攪拌部材の回転の開始時は、攪拌部材と粉砕メディアとの衝突エネルギーを減少させることで攪拌部材の始動に必要なトルクを抑え、攪拌部材の回転後においては攪拌部材と粉砕メディアとの衝突エネルギーを増加させることで粉砕原料を効率良く粉砕できる。
【発明の効果】
【0012】
本開示に係る粉砕機及び粉砕方法によれば、攪拌部材と粉砕メディアとの衝突エネルギーを制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態に係る粉砕機の一例を示す側面図である。
図2】実施形態に係る粉砕機の一部を拡大した部分断面図である。
図3図2に示される粉砕機の一部を拡大した部分断面図である。
図4図4(a)は、アーム部材の角部の向きを回転方向と一致させたときの側面図である。図4(b)は、アーム部材の角部の向きを回転方向に対して交差させたときの側面図である。
図5図2に示される回収部を拡大した断面図である。
図6】実施形態に係る粉砕方法の一例を示すフローチャートである。
図7図7(a)は、変形例に係る粉砕容器の一例を示す平面図である。図7(b)は、変形例に係る粉砕容器の一例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本開示の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は繰り返さない。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。「上」「下」「左」「右」の語は、図示する状態に基づくものであり、便宜的なものである。
【0015】
図1は、実施形態に係る粉砕機の一例を示す側面図である。図2は、実施形態に係る粉砕機の一部を拡大した部分断面図である。図中のX方向及びY方向が水平方向であり、Z方向が垂直方向である。X方向、Y方向及びZ方向は、3次元空間の直交座標系における互いに直交する軸方向である。以下では、XY平面に沿った方向を水平方向、Z方向を上下方向ともいう。図1及び図2に示される粉砕機1は、粉砕原料を粉砕する粉砕機である。粉砕機1は、粉砕容器20と、容積変更部30と、攪拌部材41と、軸駆動部45(駆動部の一例)とを備える。粉砕機1は、供給部10と、支持部70と、回収部80と、制御部90とをさらに備える。
【0016】
供給部10は、粉砕原料を粉砕容器20に供給する。供給部10は、ホッパ11と、配管12と、ポート13とを有する。ホッパ11は、例えば、ポート13の上方に位置する。ホッパ11は、粉砕原料を貯留する容器である。粉砕原料とは、例えば、無水メタほう酸ナトリウム、メタほう酸ナトリウム水和物、水素化マグネシウム、マグネシウム、アルミニウム、あるいはこれらいずれか2種以上の混合物であり、粉砕機1によって粉砕される対象である。配管12は、ホッパ11の底部とポート13と弁(不図示)を介して接続している。弁が開放されることでホッパ11内の粉砕原料が配管12に流入する。配管12は、ホッパ11とポート13との間で伸縮可能な形状を有する。配管12は、例えば弾性のあるゴムホース、又は伸縮可能な蛇腹を有する管である。
【0017】
ポート13は、筒状を呈する。ポート13は、例えば、その上端部において配管12と接続し、下端部において粉砕容器20と接続している。ポート13は、粉砕容器20の上端部に設けられ、配管12から流入した粉砕原料を粉砕容器20に供給する。
【0018】
図3は、図2に示される粉砕機の一部を拡大した部分断面図である。図2及び図3に示されるように、粉砕容器20は、その内部に粉砕メディア及び粉砕原料を収容可能であり、容積が可変な処理空間21aを画成する。粉砕メディアは、処理空間21a内を運動して粉砕原料に衝突することで、粉砕原料を粉砕する部材である。粉砕メディアは、例えば10mm~15mm程度の球体であり、ジルコニアで形成される。粉砕容器20は、例えば、有底円筒状を呈する容器21と、蓋部24とを有する。容器21は、側壁22及び底壁23から構成される。側壁22は、円筒状の部材である。底壁23は、円盤状の部材である。底壁23は、側壁22の下端において側壁22の外周面に固定されている。底壁23の一部には、上下方向に貫通している開口23aと、開口23aを閉塞可能な閉塞部材23bが設けられている。閉塞部材23bが開口23aを閉塞(封止)していない場合、処理空間21aは、後述の回収部80の回収筒81内の空間と連通する。
【0019】
蓋部24は、水平方向に延在する円盤状の部材である。蓋部24は、少なくとも下部の外縁部が容器21の側壁22の内周面に当接する。蓋部24は、底壁23の上方に設けられる。蓋部24には、上下方向に貫通しているポート開口24a及び上下方向に貫通している軸開口24bが設けられている。蓋部24の上面には供給部10のポート13が設けられ、ポート13の内部の空間と処理空間21aとがポート開口24aを介して連通している。軸開口24bは、例えば、蓋部24の水平方向の中心に設けられた円形の開口である。軸開口24bの径は攪拌部材41の一部(後述する回転軸40)が挿通可能なように攪拌部材41の一部の外径より大きい。処理空間21aは、側壁22、底壁23及び蓋部24に囲まれた円柱状の空間である。容器21は、処理空間21a内に、供給部10のポート13を介して供給された粉砕原料と、ボール等の粉砕メディアとを収容する。粉砕メディアの粒径は、少なくとも粉砕後の粉砕原料の粒径より大きい。
【0020】
粉砕容器20は、処理空間21aを画成する側壁22、底壁23及び蓋部24の少なくとも一部が移動可能に設けられる。例えば、蓋部24は、側壁22に沿って上下方向に移動可能に設けられる。蓋部24の外縁部には、例えばOリングが設けられている。蓋部24が側壁22及び底壁23に対して相対的に上下方向に移動することにより、処理空間21aの容積が変化する。
【0021】
容積変更部30は、処理空間21aの容積が変化するように粉砕容器20の少なくとも一部を移動させる。容積変更部30は、例えば、一対の容器駆動部31と、蓋駆動部32とを有する。各容器駆動部31は、例えばシリンダである。各容器駆動部31は、シリンダ本体部31aと、シリンダロッド31bとを有する。各容器駆動部31は、容器21の側壁22の上端部上において対向する位置にそれぞれ設けられ、上下方向に延在している。シリンダロッド31bは、シリンダ本体部31aから下方に延在している。各容器駆動部31は、シリンダロッド31bの下端部を容器21の側壁22の上端部に固定させ、上下方向に容器21を移動させる。
【0022】
蓋駆動部32は、例えば、蓋部24の上面に設けられ、上下方向に延在している。蓋駆動部32は、例えばシリンダである。蓋駆動部32は、シリンダ本体部32aと、シリンダロッド32bとを有する。蓋駆動部32は、蓋部24の上面に設けられ、上下方向に延在している。シリンダロッド32bは、シリンダ本体部32aから下方に延在している。蓋駆動部32は、シリンダロッド32bの下端部を蓋部24の上面に固定させ、蓋部24を上下方向に移動させる。蓋駆動部32は、軸駆動部45を収容可能な軸空間32cを画成する。軸空間32cは、上下方向に延在し、下方が開口している。
【0023】
容積変更部30において、容器駆動部31及び蓋駆動部32の少なくとも一方が駆動することで、処理空間21aの大きさを変更する。例えば、容器駆動部31のシリンダロッド31bの伸長、又は蓋駆動部32のシリンダロッド32bの短縮により、底壁23と蓋部24との上下方向の距離が広がるため、処理空間21aは大きくなる。逆に、容器駆動部31のシリンダロッド31bの短縮、又は蓋駆動部32のシリンダロッド32bの伸長により、底壁23と蓋部24との上下方向の距離が縮まるため、処理空間21aは小さくなる。
【0024】
攪拌部材41は、処理空間21aに回転可能に配置され、粉砕メディアを攪拌する。攪拌部材41は、回転軸40及びアーム部材50を有する。回転軸40は、処理空間21a内に延在する。回転軸40は、上下方向に延在し、容積変更部30によってその延在方向に移動可能に構成される。回転軸40は、蓋部24の軸開口24bに挿通され、上下方向に延在している。図4(a)は、アーム部材の角部の向きを回転方向と一致させたときの側面図である。図4(a)に示されるように、回転軸40は、その内部にアーム駆動部60を収容可能なアーム空間40aを画成する。回転軸40の側面には、回転軸40の外部の空間とアーム空間40aとが連通するように水平方向(回転軸40の径方向)に貫通している複数のアーム開口40bが設けられている。各アーム開口40bには、後述の各アーム部材50のアーム軸51が挿通される。再び図2及び図3を参照する。回転軸40は、蓋部24に回転可能かつ上下方向に移動可能に設けられている。回転軸40は、蓋駆動部32に画成された軸空間32c内に挿通されている。
【0025】
軸駆動部45は、回転軸40を回転軸40の軸線を中心として回転させる。軸駆動部45は、例えば、回転軸40の上方に設けられる。軸駆動部45は、粉砕容器20の蓋部24の動きに合わせて上下方向に移動可能なように蓋駆動部32のシリンダロッド32bに固定されている。軸駆動部45は、例えばモータ45aと、ロッド45bとを有する。ロッド45bはモータ45aの下端に接続され、下方に延在している。軸駆動部45は、モータ45aによりロッド45bを回転させる。軸駆動部45のロッド45bの下端部は、蓋駆動部32の軸空間32c内において回転軸40の上端部と固定されている。軸駆動部45は、ロッド45bと連動させて水平方向に沿って回転軸40を回転させる。軸駆動部45は、蓋駆動部32により蓋部24と共に上下方向に移動可能である。軸駆動部45は、蓋部24の上下方向への移動に合わせて移動可能であるため、蓋部24と共に回転軸40を上下方向に移動する。
【0026】
複数のアーム部材50は、回転軸40に設けられ、回転軸40の径方向外側に向けて伸びている。図4(b)は、アーム部材の角部の向き回転方向に対して交差させたときの側面図である。図4(a)及び図4(b)に示されるように、各アーム部材50は、回転軸40から回転径方向Cに延在するアーム軸51に取り付けられた棒状の部材である。各アーム部材50は、その横断面(回転径方向Cの断面)が多角形状を呈する。図4(a)及び図4(b)の例では、各アーム部材50の横断面は、三角形状を呈する。すなわち、各アーム部材50の外形は、三角柱である。アーム部材50は、回転径方向Cに延在する2つの近接する側面の端部から構成される角部52と、回転径方向Cに延在する1つの側面から構成される平面部53とを有する。角部52は、例えば、アーム部材50の延在方向に沿って延在する辺及び当該辺の周縁部である。
【0027】
各アーム部材50は、姿勢を変更可能に構成される。例えば、各アーム部材50は、その延在方向(回転径方向C)に延在するアーム軸51を中心に回転軸40に対して回転可能に取り付けられている。上下方向において回転軸40の所定の間隔だけ離れた各位置に、水平方向の一方向(例えばX方向)に延在する2つのアーム部材50がそれぞれ設けられている。上下方向において、回転軸40の当該2つのアーム部材50が設けられている位置に隣接する各位置には、水平方向の他方向(例えばY方向)に延在する2つのアーム部材50がそれぞれ設けられている。
【0028】
アーム駆動部60は、複数のアーム部材50を、アーム軸51を中心に回転させる。アーム駆動部60は、例えばモータである。アーム駆動部60は、各アーム部材50の回転方向Rと角部52の向きとを一致させたり、回転方向Rと角部52の向きとが交差したりするように、各アーム部材50の姿勢を変更することができる。
【0029】
再び図1を参照する。支持部70は、供給部10のホッパ11及び粉砕容器20を支持する。粉砕容器20は、容積変更部30及び軸駆動部45を支持しているため、回転軸40、アーム部材50及びアーム駆動部60を支持することができる。支持部70は、例えば金属部材で構成された枠体である。支持部70は、粉砕容器20をXZ平面に沿って回転可能に支持する。これにより、粉砕容器20を含む粉砕機の他の構成の位置及び方向を調整することができる。
【0030】
回収部80は、粉砕容器20の容器21内の粉砕原料を回収する。粉砕容器20の底壁23の下面に設けられている。図5は、図2に示される回収部を拡大した断面図である。図2及び図5に示される通り、回収部80は、回収筒81と、ストッパ82と、ストッパ駆動部83とを有する。回収筒81は、粉砕容器20の底壁23の下面に連結されている筒状の部材である。回収筒81内の空間は、底壁23の開口23aを介して容器21内の処理空間21aと連通している。回収筒81は、例えば、下方に向かうに従って一部斜めに(X方向に)屈曲している。回収筒81の下端は、例えば、配管と接続している。
【0031】
ストッパ82は、容器21の処理空間21aに収容された粉砕メディアが回収筒81内へ収容されることを抑制する。ストッパ82は、上方に向かって突出し、Y方向に沿って延在する複数の突条を有する櫛状の部材である。複数の突条間の間隔及び底壁23と各突条との間隔は、粉砕メディアの粒径より小さい。
【0032】
ストッパ駆動部83は、ストッパ82を上下方向に駆動する。ストッパ駆動部83は、例えば、シリンダである。ストッパ駆動部83は、シリンダ本体部83a及びシリンダロッド83bを有する。シリンダロッド83bは、シリンダ本体部83aから上方に向かって延在している。シリンダ本体部31aの上部及びシリンダロッド83bが回収筒81内の空間に設けられ、シリンダ本体部83aの下部が回収筒81の下方に位置している。ストッパ82の一部又は全部は、ストッパ駆動部83により底壁23の開口23aより上方に突出することができ、かつ、底壁23の開口23aより下方に位置することができる。
【0033】
粉砕容器20の底壁23に設けられた閉塞部材23bにより開口23aが閉塞している場合、ストッパ82はストッパ駆動部83により開口23aより下方に位置する。当該閉塞部材23bにより開口23aが閉塞されていない場合、ストッパ82はストッパ駆動部83により開口23aより上方に位置する。この場合、処理空間21a内の粉砕メディアが容器21の底壁23上又はストッパ82上に積載され、処理空間21a内の粉砕原料のみが開口23aを通って下降し、回収筒81内へと回収される。回収筒81内に回収された粉砕原料は、回収筒81の下端に接続された配管を通じて回収容器等に搬送される。
【0034】
再び図1を参照する。制御部90は、粉砕機1の各構成と接続されている。制御部90は、一例としてPLC(Programmable Logic Controller)として構成される。制御部90は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random AccessMemory)及びROM(Read Only Memory)などの主記憶装置、タッチパネルやキーボードなどの入力デバイス、ディスプレイなどの出力デバイス、ハードディスクなどの補助記憶装置などを含む通常のコンピュータシステムとして構成されてもよい。制御部90は、例えば、作業者が操作可能な操作盤が設けられる。制御部90は、供給部10におけるポート13への粉砕原料の供給(弁の開閉)、粉砕容器20の底壁23の閉塞部材23bの開閉、容積変更部30の駆動、軸駆動部45の駆動、アーム駆動部60の駆動、ストッパ駆動部83の駆動等の粉砕機1の各構成の動きを制御する。
【0035】
次に、粉砕原料の粉砕方法を説明する。図6は、実施形態に係る粉砕方法の一例を示すフローチャートである。図6に示される本実施形態の粉砕方法は、例えば、供給部10のホッパ11において所定の量の粉砕原料が貯留されたときに、作業者の指示に基づいて制御部90によって開始される。このとき、予め容器21の処理空間21a内には粉砕メディアが収容されている。粉砕メディアは、重力により処理空間21a内の下方、底壁23上に位置する。
【0036】
まず、供給部10は、供給処理(S11)としてホッパ11から粉砕容器20へ粉砕原料を供給する。供給部10は、配管12及びポート13を介してホッパ11から所定の量の粉砕原料を粉砕容器20の容器21に供給する。供給部10は、配管12に設けられた弁を開放することで、ホッパ11内の粉砕原料を容器21の処理空間21aまで流下させる。処理空間21a内に供給された粉砕原料は、重力により処理空間21a内の下方、底壁23上に位置する。供給部10は、配管12に設けられた弁を閉塞することで、ホッパ11内の粉砕原料の流下を抑制する。供給部10が配管12に設けられた弁を開放した後に閉塞した場合、制御部90は所定の量の粉砕原料が容器21内に収容されたとして供給処理(S11)を終了させ、次の処理に移行する。
【0037】
続いて、容積変更部30は、容積増大処理(S13:第1容積に変更するステップの一例)として粉砕容器20の処理空間21aの容積を増加させて第1容積とする。第1容積は、予め定められた処理空間21aの容積である。容器駆動部31が伸長する、又は蓋駆動部32が短縮することにより、容積変更部30は底壁23と蓋部24との上下方向の距離を広げ、処理空間21aを大きくする。容器駆動部31の伸長度合い及び蓋駆動部32の短縮度合いの和が閾値以上である場合、制御部90は容積増大処理(S13)を終了させ、次の処理に移行する。
【0038】
続いて、容積変更部30又は軸駆動部45は、回転軸退避処理(S15)として回転軸40を粉砕容器20の底壁23から離間させる。本実施形態では、軸駆動部45は蓋駆動部32に固定され蓋部24と連動するため、容積増大処理(S13)により、軸駆動部45及び軸駆動部45に固定された回転軸40は、上方に移動する。すなわち、本実施形態の回転軸退避処理(S15)は、容積増大処理(S13)と同時に実行される。これにより、回転軸40及び回転軸40に設けられたアーム部材50は、底壁23から離間し、重力により底壁23上に位置する粉砕原料及び粉砕メディアから離間できる。容器駆動部31の伸長度合い、及び蓋駆動部32の短縮度合いの和が閾値以上である場合、制御部90は回転軸退避処理(S15)を終了させ、次の処理に移行する。
【0039】
続いて、アーム駆動部60は、第1角度調整処理(S17)として各アーム部材50の角部52が回転方向Rと一致するようにアーム部材50の姿勢を調整する。アーム駆動部60は、各アーム軸51を中心に各アーム部材50を回転させることで、各アーム部材50において角部52の向きを回転方向Rと一致させる。各アーム部材50において角部52の向きを回転方向Rと一致させた場合、制御部90は第1角度調整処理(S17)を終了させ、次の処理に移行する。
【0040】
続いて、軸駆動部45は、第1回転処理(S19:回転を開始させるステップの一例)として回転軸40を回転させる。容積増大処理(S13)及び回転軸退避処理(S15)により、回転軸40及びアーム部材50は底壁23の上に位置する粉砕原料及び粉砕メディアから離間しているため、回転軸40及びアーム部材50が回転し始めた段階で粉砕原料及び粉砕メディアに衝突することが抑制される。軸駆動部45が回転軸40の回転速度を所定の第1速度値以上に回転させた場合、制御部90は第1回転処理(S19)を終了させ、次の処理に移行する。
【0041】
続いて、容積変更部30は、容積減少処理(S21:第2容積に変更するステップの一例)として粉砕容器20の処理空間21aの容積を減少させる。容器駆動部31が短縮する、又は蓋駆動部32が伸長することにより、容積変更部30は底壁23と蓋部24との上下方向の距離を狭め、処理空間21aを小さくして第2容積とする。第2容積は、第1容積よりも小さい。容器駆動部31の短縮度合い及び蓋駆動部32の伸長度合いの和が閾値以上である場合、制御部90は容積減少処理(S21)を終了させ、次の処理に移行する。
【0042】
続いて、容積変更部30又は軸駆動部45は、回転軸導入処理(S23)として回転軸40を粉砕容器20の底壁23に接近させる。本実施形態では、軸駆動部45は蓋駆動部32に固定され蓋部24と連動するため、容積減少処理(S21)により、軸駆動部45及び軸駆動部45に固定された回転軸40は、下方に移動する。すなわち、本実施形態の回転軸導入処理(S23)は、容積減少処理(S21)と同時に実行される。これにより、回転軸40及び回転軸40に設けられたアーム部材50は、底壁23に接近し、重力により底壁23上に位置する粉砕原料及び粉砕メディアに接近又は当接できる。容器駆動部31の短縮度合い、及び蓋駆動部32の伸長度合いの和が閾値以上である場合、制御部90は回転軸導入処理(S23)を終了させ、次の処理に移行する。
【0043】
続いて、軸駆動部45は、第2回転処理(S25)として処理空間21a内の粉砕メディアの運動エネルギーに合わせて回転軸40の回転速度を変更する。回転軸導入処理(S23)により、回転軸40及びアーム部材50は底壁23の上に位置する粉砕原料及び粉砕メディアに衝突する。当該衝突により粉砕原料及び粉砕メディアが処理空間21a内で運動し、粉砕原料は粉砕され始める。処理空間21a内での回転軸40及びアーム部材50の回転速度と粉砕原料及び粉砕メディアの運動速度との乖離度合いが大きいと、当該衝突による回転軸40の回転エネルギーのエネルギー損失が大きい。粉砕原料及び粉砕メディアの運動速度と回転軸40の回転速度との差を小さく抑えるため、粉砕メディアの運動エネルギーが大きくなるに従って、軸駆動部45は回転軸40の回転速度を上昇させる。粉砕メディアの運動エネルギーの増減は、所定の割合で増大させる回転軸40の設定回転速度、回転軸40及びアーム部材50に衝突することで減じられた回転軸40の現実の回転速度、粉砕メディアの質量等に基づいて算出する。これにより、回転軸40が第1速度値から所定の第2速度値に達するまでの回転軸40のエネルギー損失の総量を減じることができる。軸駆動部45が回転軸40の回転速度を所定の第2速度値以上に回転させた場合、制御部90は第2回転処理(S25)を終了させ、次の処理に移行する。
【0044】
続いて、アーム駆動部60は、第2角度調整処理(S27)として各アーム部材50の角部52の向きが回転方向Rと交差するように各アーム部材50の姿勢を調整する。アーム駆動部60は、各アーム軸51を中心に各アーム部材50を回転させることで、各アーム部材50において平面部53が面する方向と回転方向Rとが一致する。平面部53が面する方向と回転方向Rとが一致するようにアーム駆動部60が所定の角度だけ各アーム部材50を回転させた場合、制御部90は第2角度調整処理(S27)を終了させ、次の処理に移行する。
【0045】
続いて、粉砕処理(S29)として、軸駆動部45は回転軸40を所定の時間回転させる。処理空間21a内に収容された粉砕原料は、例えば、アーム部材50又はアーム部材50と衝突して運動する粉砕メディアと衝突することで粉砕される。所定の時間、回転軸40が回転した場合、制御部90は粉砕処理(S29)を終了させ、次の処理に移行する。
【0046】
続いて、回収処理(S31)として、粉砕容器20は閉塞部材23bを開放し、回収部80は、粉砕された粉砕原料を回収筒81内に回収する。回収筒81内に回収された粉砕原料は、回収筒81に接続された配管を通じて回収容器等に回収される。所定の量の粉砕された粉砕原料が回収容器等に回収された場合、制御部90は回収処理(S31)を終了させ、粉砕方法を終了する。
【0047】
以上のように、この粉砕機1及び粉砕方法では、攪拌部材と粉砕メディアとの衝突エネルギーを制御できる。粉砕容器20の処理空間21aの容積は容積変更部30により変化する。例えば、容積増大処理(S13)において容積変更部30によって処理空間21aが拡大される場合、第1回転処理(S19)では、容積の変更前に比べて単位時間当たりに攪拌部材41と衝突する粉砕メディアの数が減少する。つまり、変更前に比べて、攪拌部材41と粉砕メディアとの衝突エネルギーが減少する。これにより、攪拌部材41を回転させるために必要なトルクが小さくなる。例えば、この粉砕機1及び粉砕方法は、第1回転処理(S19)において粉砕原料の粉砕時に必要な回転速度(第1速度値)にするまで、アーム部材50と粉砕原料及び粉砕メディアとの衝突を抑制することができる。そして、容積減少処理(S21)において容積変更部30によって処理空間21aが縮小される場合、容積の変更前に比べて攪拌部材41と衝突する粉砕メディアの数が増加する。つまり、変更前に比べて、攪拌部材41と粉砕メディアとの衝突エネルギーが増加する。これにより、攪拌部材41を回転させるために必要なトルクが大きくなる。例えば、この粉砕機1及び粉砕方法は、第1回転処理(S19)により粉砕原料の粉砕時に必要な回転速度(第1速度値)となったアーム部材50と粉砕原料及び粉砕メディアとを適切なタイミングで衝突させることができる。このように、この粉砕機1及び粉砕方法は、容積変更部を備えることにより、粉砕容器の容積をパラメータとして粉砕メディアと攪拌部材との衝突エネルギーを制御できる。
【0048】
また、攪拌部材41は、回転軸40と、アーム部材50とを有し、粉砕機1は軸駆動部45をさらに備える。このように構成された粉砕機1は、処理空間21aにおいてアーム部材50を回転軸40の回転に伴って回転させて、粉砕メディアに衝突させることができる。
【0049】
また、容積変更部30は、回転軸40の軸線に沿って回転軸40を移動する。このように構成することで、回転軸退避処理(S15)及び回転軸導入処理(S23)において、回転軸40を処理空間21a内で進退させることによって、アーム部材50と粉砕メディアとの位置関係を調整できる。これにより、粉砕機1は、回転軸40の位置をパラメータとして粉砕メディアと攪拌部材41との衝突エネルギーを制御できる。
【0050】
また、粉砕機1は、アーム駆動部60をさらに備え、アーム部材50の横断面は多角形状を呈している。このように構成することで、アーム部材50の回転方向Rとアーム部材50の角部52の向きとを一致させたり、アーム部材50の回転方向Rとアーム部材50の角部52の向きとを交差させたりすることができる。これにより、この粉砕機1は、アーム部材50の姿勢に応じて粉砕メディアと攪拌部材41との衝突エネルギーを制御できる。
【0051】
また、粉砕方法の第2回転処理(S25)では、処理空間21a内の粉砕原料及び粉砕メディアの運動エネルギーに合わせて回転軸40の回転速度を変更する。例えば、第1回転処理(S19)における回転軸40の回転始動時には粉砕メディアの運動エネルギーは小さい(0である)ため、回転軸40の回転速度が速ければ速いほど粉砕原料及び粉砕メディアが回転軸40と共に回転するアーム部材50と衝突するときに生じる衝突エネルギーが大きくなる。したがって、第2回転処理(S25)において粉砕原料及び粉砕メディアの運動エネルギーに合わせて回転軸40の回転速度を変更することで、粉砕原料及び粉砕メディアと回転するアーム部材50との衝突により生じる衝突エネルギーの上昇を適切に抑制でき、回転軸40に係る回転エネルギー(トルク)の損失を抑制できる。
【0052】
なお、上述した実施形態は本開示に係る粉砕機1及び粉砕方法の一例を示すものである。本開示に係る粉砕機1及び粉砕方法は、実施形態に係る粉砕機1及び粉砕方法に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で、実施形態に係る粉砕機1及び粉砕方法を変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。
【0053】
例えば、粉砕容器20の各構成の形状は上記に限定されない。上記では粉砕容器20の蓋部24が上下方向に移動可能な構造を示したが、処理空間21aの容積が可変であればどのような構造であってもよい。例えば、側壁22は、水平方向又は上下方向に伸縮可能な構造であってもよい。図7(a)は、変形例に係る粉砕容器の一例を示す平面図である。図7(a)に示される通り、一例として、側壁22には、その一部に容積変更部30が設けられる。このとき、容積変更部30は、複数の第1側壁駆動部33を有する。各第1側壁駆動部33には、例えばピエゾアクチュエータが適用され得る。ピエゾアクチュエータは、例えば、印加される電圧に応じて伸縮する積層された圧電素子を備える。圧電素子は、印加される電圧に応じて変形する受動素子である。
【0054】
各第1側壁駆動部33は、側壁22の周方向に沿って側壁22の一部である左側壁22aと側壁22の一部である右側壁22bとを連結しており、上下方向に延在する。各第1側壁駆動部33は、粉砕原料及び粉砕メディアが通過しないように左側壁22aと右側壁22bとの間に挟持される。各第1側壁駆動部33は伸張して左側壁22aを右側壁22bに対して相対的に左方向に移動した状態と、収縮して左側壁22aを右側壁22bに対して相対的に右方向に移動した状態とを、交互に繰り返す。このとき、底壁23及び蓋部24はそれぞれ第1側壁駆動部33と同様のピエゾアクチュエータを有し、左右方向に沿って伸縮可能である。これにより、容器21の処理空間21aは、その内部から粉砕原料及び粉砕メディアが漏出することを抑え、左右方向に膨張又は収縮できる。
【0055】
図7(b)は、変形例に係る粉砕容器の一例を示す側面図である。図7(b)に示される通り、一例として、側壁22には、その一部に容積変更部30が設けられる。このとき、容積変更部30は、第2側壁駆動部34を有する。第2側壁駆動部34には、例えば、上記の各第1側壁駆動部33と同一のピエゾアクチュエータが適用され得る。
【0056】
第2側壁駆動部34は、側壁22の上下方向に沿って側壁22の上部である上側壁22cと側壁22の下部である下側壁22dとを連結しており、側壁22の周方向に延在する。第2側壁駆動部34は、粉砕原料及び粉砕メディアが通過しないように上側壁22cと下側壁22dとの間に挟持される。第2側壁駆動部34は伸張して上側壁22cを下側壁22dに対して相対的に上方に移動した状態と、収縮して上側壁22cを下側壁22dに対して相対的に下方に移動した状態とを、交互に繰り返す。これにより、容器21の処理空間21aは、その内部から粉砕原料及び粉砕メディアが漏出することを抑え、上下方向に膨張又は収縮できる。
【0057】
また、例えば、底壁23は、側壁22に沿って上下方向に移動可能に設けられていてもよい。この場合、底壁23の外縁部には、例えばOリングが設けられている。底壁23が側壁22に対して相対的に上下方向に移動することにより、処理空間21aの容積が変化する。この場合、容積変更部30は、底壁駆動部(不図示)を有する。底壁駆動部はシリンダであり、シリンダロッドが上下方向に延在している。底壁駆動部のシリンダロッドの上端部が底壁23の下面に固定され、当該シリンダロッドが伸縮することによって、底壁23が連動して移動する。これにより、容器21の処理空間21aは、その内部から粉砕原料及び粉砕メディアが漏出することを抑え、上下方向に膨張又は収縮できる。
【0058】
上記の粉砕容器20の各伸縮構成は、組み合わされて適用されていてもよく、少なくとも1つの構成が適用されていてもよい。側壁22の左右方向の伸縮、側壁22の上下方向の伸縮、底壁23の上下方向の移動、及び蓋部24の上下方向の移動が組み合わされて粉砕方法において実行されてもよい。すなわち、容積増大処理(S13)では、容器駆動部31の伸長、各第1側壁駆動部33の伸長、第2側壁駆動部34の伸長、及び蓋駆動部32の短縮の少なくとも1つが実行されることにより、処理空間21aを大きくする。各伸長度合い及び短縮度合いの和が閾値以上である場合、制御部90は容積増大処理(S13)を終了させ、次の処理に移行する。また、容積減少処理(S21)では、容器駆動部31の短縮、各第1側壁駆動部33の短縮、第2側壁駆動部34の短縮、及び蓋駆動部32の伸長の少なくとも1つが実行されることにより、処理空間21aを小さくする。各短縮度合い及び伸長度合いの和が閾値以上である場合、制御部90は容積減少処理(S21)を終了させ、次の処理に移行する。
【0059】
また、回転軸40が蓋部24に回転可能に固定され、回転軸40が伸縮可能な構成であれば、軸駆動部45が蓋駆動部32に固定されていなくても、回転軸40は、その長さを伸縮させることで蓋部24と共に上下方向に移動することができる。また、例えば、回転軸40及び軸駆動部45が容器駆動部31と固定され、粉砕容器20の容器21によって支持されていてもよい。
【0060】
また、例えば、軸駆動部45はシリンダ機構をさらに備え、回転軸40を上下方向に移動させてもよい。この場合、回転軸40は、蓋部24の軸開口24bに挿通され、蓋部24に対して回転可能及び上下方向に移動可能に設けられる。回転軸40及び軸駆動部45は、蓋駆動部32に固定されていなくてもよく、蓋駆動部32の軸空間32c内において上下方向に移動可能に位置していてもよい。なお、粉砕方法において、回転軸退避処理(S15)及び回転軸導入処理(S23)が実行されなくてもよい。
【0061】
軸駆動部45の位置、回転軸の延在方向は限定されない。例えば、回転軸40は水平方向に延在していてもよい。この場合、回転軸40は、容器21の側壁22に挿入されており、回転軸40は上下方向に移動可能であってもよい。軸駆動部45は、回転軸40の下方に設けられていてもよい。
【0062】
また、例えば、アーム部材50は1つであってもよい。各アーム部材50の横断面は、多角形状でなくてもよい。各アーム部材50の横断面は、多角形状であっても角張っておらず丸みを帯びていてもよい。また、例えば、粉砕機1は、アーム駆動部60を備えなくてもよい。
【0063】
粉砕方法は、容積増大処理(S13)、第1回転処理(S19)及び容積減少処理(S21)のみ実行されてもよい。粉砕方法の処理の一部は前後してもよく、同時に実行されてもよい。例えば、容積増大処理(S13)、回転軸退避処理(S15)及び第1角度調整処理(S17)は順不同であり、同時に実行されてもよい。例えば、容積減少処理(S21)、回転軸導入処理(S23)、第2回転処理(S25)及び第2角度調整処理(S27)は順不同であり、同時に実行されてもよい。粉砕処理(S29)は、回転軸導入処理(S23)が開始された途中から開始され得る。
【符号の説明】
【0064】
1…粉砕機、10…供給部、20…粉砕容器、21…容器、21a…処理空間、22…側壁、23…底壁、24…蓋部、30…容積変更部、31…容器駆動部、32…蓋駆動部、33…第1側壁駆動部、34…第2側壁駆動部、40…回転軸、41…攪拌部材、45…軸駆動部、50…アーム部材、51…アーム軸、52…角部、53…平面部、60…アーム駆動部、70…支持部、80…回収部、81…回収筒、82…ストッパ、83…ストッパ駆動部、90…制御部、C…回転径方向、R…回転方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7