(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023030604
(43)【公開日】2023-03-08
(54)【発明の名称】ぬいぐるみ
(51)【国際特許分類】
A63H 3/02 20060101AFI20230301BHJP
【FI】
A63H3/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021135827
(22)【出願日】2021-08-23
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】508302693
【氏名又は名称】株式会社AQUA
(74)【代理人】
【識別番号】100091443
【弁理士】
【氏名又は名称】西浦 ▲嗣▼晴
(74)【代理人】
【識別番号】100130720
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼見 良貴
(74)【代理人】
【識別番号】100130432
【弁理士】
【氏名又は名称】出山 匡
(72)【発明者】
【氏名】小山 直子
【テーマコード(参考)】
2C150
【Fターム(参考)】
2C150AA05
2C150BC06
2C150BC08
2C150CA02
(57)【要約】
【課題】板状起立体に引っ掛けることができるだけでなく、設置面上に転倒せずに置くことができるぬいぐるみを提供する。
【解決手段】前足部9A及び9B内に、包囲部材3よりも密度の高い材料からなる重量増加部材10A及び10Bを収納配置する。前足部9A及び9Bを後ろ足部11A及び11Bに向くように傾斜させる。後ろ足部11A及び11Bと胴部7に含まれる尻部13を設置面に着けた状態で、ぬいぐるみ1が転倒しないように、その状態における重心CG1の位置を定める。前足部9A及び9Bを板状起立体SPの上縁部SPEに引っ掛けた状態で、ぬいぐるみ1が落下するのを阻止するように、その状態における重心位置CG2を定める。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柔らかい素材からなる包囲部材を含む、少なくとも頭部と、胴部と前足部と後足部を構成部分として備えた四つ足の動物のぬいぐるみであって、
前記前足部内には前記包囲部材よりも密度の高い材料からなる重量増加部材が収納配置されており、
前記前足部は前記後ろ足部に向くように傾斜しており、
前記後ろ足部と前記胴部に含まれる尻部を設置面に着けた状態で、前記動物のぬいぐるみが転倒しないように、その状態における重心位置が定まり、しかも前記前足部をパソコンのモニタ部のような板状起立体の上縁部に引っ掛けた状態で、前記前足部が前記板状起立体の上縁部及び正面と接触し且つ前記後ろ足部が前記板状起立体の背面と接触するかまたは前記胴部が前記背面と接触して、前記動物のぬいぐるみが落下するのを阻止するように、その状態における重心位置を定めるべく、少なくとも前記頭部と前記胴部と前記前足部と前記後ろ足部を含む構成部分のそれぞれの重量、形状ならびに隣接する他の構成部分に対する姿勢が定められていることを特徴とする動物のぬいぐるみ。
【請求項2】
前記板状起立体が前記パソコンの前記モニタ部であり、
前記前足部をパソコンのモニタ部の上縁部に引っ掛けた状態で、前記頭部が前記モニタ部の前記上縁部の上で正面を向くように、前記頭部の前記胴部に対する姿勢が定められている請求項1に記載の動物のぬいぐるみ。
【請求項3】
前記重量増加部材は、複数のビーズが充填された重り袋からなり、
前記重り袋は前記前足部内に固定状態で配置されている請求項1または2に記載の動物のぬいぐるみ。
【請求項4】
柔らかい素材からなる包囲部材を含む、少なくとも頭部と、胴部と羽部と足部を構成部分として備えたペンギンのぬいぐるみであって、
前記羽部内には前記包囲部材よりも密度の高い材料からなる重量増加部材が収納配置されており、
前記羽部は前記足部に向くように傾斜しており、
前記足部と前記胴部に含まれる尻部を設置面に着けた状態で、前記ペンギンのぬいぐるみが転倒しないように、その状態における重心位置が定まり、しかも前記羽部をパソコンのモニタ部のような板状起立体の上縁部に引っ掛けた状態で、前記羽部が前記板状起立体の上縁部及び正面と接触し且つ前記足部が前記板状起立体の背面と接触するかまたは前記胴部の一部が前記背面と接触して、前記ペンギンのぬいぐるみが落下するのを阻止するように、その状態における重心位置が定めるべく、前記頭部と前記胴部と前記羽部と前記足部のそれぞれの重量、形状ならびに隣接する他の構成部分に対する姿勢が定められていることを特徴とするペンギンのぬいぐるみ。
【請求項5】
前記板状起立体が前記パソコンの前記モニタ部であり、
前記羽部をパソコンのモニタ部の上縁部に引っ掛けた状態で、前記頭部が前記モニタ部の前記上縁部の上で正面を向くように、前記頭部の前記胴部に対する姿勢が定められている請求項4に記載のペンギンのぬいぐるみ。
【請求項6】
前記重量増加部材は、複数のビーズが充填された重り袋からなり、
前記重り袋は前記羽部内内に固定状態で配置されている請求項4または5に記載のペンギンのぬいぐるみ。
【請求項7】
柔らかい素材からなる包囲部材を含む、少なくとも頭部と、胴部と前鰭部と尾鰭部とを構成部分として備えた海獣のぬいぐるみであって、
前記前鰭部内には前記包囲部材よりも密度の高い材料からなる重量増加部材が収納配置されており、
前記胴部は前記前鰭部と前記尾鰭部とが近づくように湾曲しており、
前記前鰭部をパソコンのモニタ部のような板状起立体の上縁部に引っ掛けた状態で、前記前鰭部が前記板状起立体の上縁部及び正面と接触し且つ前記尾鰭部が前記板状起立体の背面と接触するかまたは前記胴部が前記背面と接触して、前記海獣ぬいぐるみが落下するのを阻止するように、その状態における重心位置が定めるべく、前記頭部と前記前鰭部と前記胴部と前記尾鰭部のそれぞれの重量、形状ならびに隣接する他の構成部分に対する姿勢が定められていることを特徴とする海獣のぬいぐるみ。
【請求項8】
前記板状起立体が前記パソコンの前記モニタ部であり、
前記前鰭部をパソコンのモニタ部の上縁部に引っ掛けた状態で、前記頭部が前記モニタ部の前記上縁部の上で正面を向くように、前記頭部の前記胴部に対する姿勢が定められている請求項7に記載の海獣のぬいぐるみ。
【請求項9】
前記重量増加部材は、複数のビーズが充填された重り袋からなり、
前記重り袋は前記前足部内に固定状態で配置されている請求項7または8に記載の海獣のぬいぐるみ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、四つ足の動物ぬいぐるみ、ペンギンのぬいぐるみ及び海獣のぬいぐるみ等のぬいぐるみに関するものである。
【背景技術】
【0002】
意匠登録第1573557号公報には、例えば、机の上縁部に前足を引っ掛ける動物のぬいぐるみが提案されている。このぬいぐるみは、動物の前足を水平に伸ばした姿勢で、机の上縁部に前足を引っ掛けて、机の飾りとして使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示される従来の構造は、前足が変形しない材質で形成されているものの、変形しやすい柔らかい材質で構成されるぬいぐるみで成立させることは難しい。また四つ足の動物のぬいぐるみやペンギンのぬいぐるみ等では、単に机の上や、棚の上に置かれる飾りとしても使用される。したがって設置面上に倒れることなく置けることも要求されることが多い。
【0005】
本発明の目的は、板状起立体に引っ掛けることができるだけでなく、設置面上に転倒せずに置くことができる四つ足の動物のぬいぐるみ及びペンギンのぬいぐるみを提供することにある。
【0006】
本発明の別の目的は、板状起立体に引っ掛けることができる海獣のぬいぐるみを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願第1の発明は、柔らかい素材からなる包囲部材を含む、少なくとも頭部と、胴部と前足部と後足部を構成部分として備えた四つ足の動物のぬいぐるみを対象とする。本発明の四つ足の動物のぬいぐるみでは、前足部内に包囲部材よりも密度の高い材料からなる重量増加部材が収納配置されており、前足部は後ろ足部に向くように傾斜している。なお前足部を後ろ足部に向くように傾斜させる状態は、例えば製造過程において、取付状態を工夫することにより達成できる。そして後ろ足部と胴部に含まれる尻部を設置面に着けた状態で、動物のぬいぐるみが転倒しないように、その状態における重心位置が定まり、さらに前足部をパソコンのモニタ部のような起立板状体の上縁部に引っ掛けた状態で、前足部が板状起立体の上縁部及び正面と接触し且つ後ろ足部が板状起立体の背面と接触するかまたは胴部が背面と接触して、動物のぬいぐるみが落下するのを阻止するように、その状態における重心位置が定めるべく、少なくとも頭部と胴部と前足部と後ろ足部を含む構成部分のそれぞれの重量、形状ならびに隣接する他の構成部分に対する姿勢が定められている。
【0008】
このようにすると、四つ足のぬいぐるみであっても、前足部内に配置された重量増加部材の存在と、前足部を後ろ足部に向けるように傾斜させていることにより、前足部を板状起立体の上縁部及び正面と接触しっかりと接触させることができる。またぬいぐるみを設置面に置く場合における重心位置と、板状起立体に引っ掛ける場合における重心位置がそれぞれ適切になるように、少なくとも頭部と胴部と前足部と後ろ足部を含む構成部分のそれぞれの重量、形状ならびに隣接する他の構成部分に対する姿勢が定められているので、それぞれの場合において転倒や落下といった、望まない事態が発生する可能性を低下させることができる。
【0009】
板状起立体がパソコンのモニタ部の場合には、前足部をパソコンのモニタ部の上縁部に引っ掛けた状態で、頭部がモニタ部の上縁部の上で正面を向くように、頭部の胴部に対する姿勢が定められているのが好ましい。このようにするとパソコンの使用者が、ぬいぐるみの顔を確認できるので、仕事中においても癒やされる環境を作ることができる。
【0010】
重量増加部材は、複数のビーズが充填された重り袋から構成することができる。このようにするとビーズの量の調整により重量を適宜に調整することができる上、外部から前足部を触っても、重量物の存在を触感で認識する可能性が低くなり、使用者に重量増加部材の存在を意識させない効果が得られる。そして重り袋は前足部内に固定状態で配置するのが好ましい。このように重り袋を固定状態にすれば、重心位置の変動を抑制することができ、予想外のぬいぐるみの転倒や落下を抑制できる。
【0011】
また本願の第2の発明は、柔らかい素材からなる包囲部材を含む、少なくとも頭部と、胴部と羽部と足部を構成部分として備えたペンギンのぬいぐるみである。この発明では、羽部内に包囲部材よりも密度の高い材料からなる重量増加部材が収納配置される。また羽部は足部に向くように傾斜させておく。そして足部と胴部に含まれる尻部を設置面に着けた状態で、ペンギンのぬいぐるみが転倒しないように、その状態における重心位置が定まり、しかも羽部をパソコンのモニタ部のような板状起立体の上縁部に引っ掛けた状態で、羽部が板状起立体の上縁部及び正面と接触し且つ足部が板状起立体の背面と接触するかまたは胴部の一部が前記背面と接触して、ペンギンのぬいぐるみが落下するのを阻止するように、その状態における重心位置が定めるべく、頭部と胴部と羽部と足部のそれぞれの重量、形状ならびに隣接する他の構成部分に対する姿勢が定められている。このようにすると四つ足動物のぬいぐるみと同様の効果を得ることができる。
【0012】
またこの場合にも板状起立体がパソコンのモニタ部の場合には、羽部をパソコンのモニタ部の上縁部に引っ掛けた状態で、頭部がモニタ部の上縁部の上で正面を向くように、頭部の胴部に対する姿勢を定めるのが好ましい。さらに重量増加部材を、複数のビーズが充填された重り袋から作成し、重り袋は前記羽部内内に固定状態で配置されているのが好ましい。
【0013】
本発願第3の発明は、柔らかい素材からなる包囲部材を含む、少なくとも頭部と、胴部と前鰭部と尾鰭部とを構成部分として備えた海獣のぬいぐるみである。この発明では、前鰭部内に包囲部材よりも密度の高い材料からなる重量増加部材が収納配置され、胴部を前鰭部と尾鰭部とが近づくように湾曲させておく。その上で、前鰭部をパソコンのモニタ部のような板状起立体の上縁部に引っ掛けた状態で、前鰭部が板状起立体の上縁部及び正面と接触し且つ尾鰭部が板状起立体の背面と接触するかまたは胴部が背面と接触して、海獣ぬいぐるみが落下するのを阻止するように、その状態における重心位置が定めるべく、頭部と前鰭部と胴部と尾鰭部のそれぞれの重量、形状ならびに隣接する他の構成部分に対する姿勢を定めればよい。
【0014】
またこの場合にも、板状起立体がパソコンのモニタ部であえば、前鰭部をパソコンのモニタ部の上縁部に引っ掛けた状態で、頭部がモニタ部の上縁部の上で正面を向くように、頭部の胴部に対する姿勢を定めるのが好ましい。さらに、重量増加部材を、複数のビーズが充填された重り袋から構成し、重り袋を前足部内に固定状態で配置するのが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】(A)及び(B)は、本発明の四つ足の動物のぬいぐるみの実施の形態の一例の概略側面図及び概略正面図である。
【
図2】(A)は、
図1の四つ足の動物のぬいぐるみを設置面に着けた状態を示す図であり、(B)は、後方に転倒している状態を示す図である。
【
図3】(A)は、
図1の四つ足の動物のぬいぐるみを板状起立体の上縁部に引っ掛けた状態を示す図であり、(B)は、板状起立体から落下する状態を示す図である。
【
図4】(A)及び(B)は、本発明のペンギンのぬいぐるみの実施の形態の一例の概略正面図及び概略側面図である。
【
図5】(A)は、
図4のペンギンのぬいぐるみを設置面に着けた状態を示す図であり、(B)は、後方に転倒している状態を示す図である。
【
図6】(A)は、
図4のペンギンのぬいぐるみを板状起立体の上縁部に引っ掛けた状態を示す図であり、(B)は、板状起立体から落下する状態を示す図である。
【
図7】(A)及び(B)は、本発明の海獣のぬいぐるみの実施の形態の一例の概略正面図及び概略側面図である。
【
図8】(A)は、
図7の海獣のぬいぐるみを板状起立体の上縁部に引っ掛けた状態を示す図であり、(B)は、板状起立体から落下する状態を示す図である。
【
図9】(A)及び(B)は、本発明の四つ足の動物のぬいぐるみの異なる実施の形態の一例の概略正面図及び概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1(A)及び(B)は、本願第1の発明の四つ足の動物のぬいぐるみの一例であるレッサーパンダのぬいぐるみ1の実施の形態の一例を説明するための概略側面図及び概略正面図を示している。このぬいぐるみ1は、布製の外皮で包まれた綿などの柔らかい素材からなる包囲部材3を含んでいる。レッサーパンダのぬいぐるみ1は、頭部5と、胴部7と前足部9A及び9Bと、後足部11A及び11Bと、尻部13と、尻尾部15を構成部分として備えた四つ足の動物のぬいぐるみを対象とする。
【0017】
なお
図1(A)及び(B)では、前足部9A及び9Bは、透明なものとして描いてある。前足部9A及び9B内には、包囲部材3よりも密度の高い材料からなる重量増加部材10A及び10Bが収納配置されている。本実施の形態では、重量増加部材10A及び10Bは、複数のビーズを布袋等に充填した重り袋から構成されている。本実施の形態では、この重り袋は、前足部9A及び9Bの先端内部に縫い付けられて固定されて固定状態にある。このようにすると重量増加部材10A及び10Bのビーズの量の調整により重量を適宜に調整することができる上、外部から前足部9A及び9Bを触っても、重量物の存在を触感で認識する可能性が低くなり、使用者に重量増加部材10A及び10Bの存在を意識さることがない。また重量増加部材10A及び10Bを構成する重り袋を前足部9A及び9B内に固定状態で配置すれば、後述する重心位置の変動を抑制することができて、予想外のぬいぐるみの転倒や落下を抑制できる。本実施の形態では、前足部9A及び9Bの内部の先端部に重量増加部材10A及び10Bの固定部8A及び8Bが設けられている。
【0018】
本実施の形態では、前足部9A及び9Bは後ろ足部11A及び11Bに向くように傾斜した状態で胴部7に取り付けられている。なお前足部9A及び9Bを後ろ足部11A及び11Bに向くように傾斜させる状態は、例えば製造過程において、取付状態(縫い付け方)を工夫することにより達成できる。
【0019】
また本実施の形態では、
図2(A)に示すように、後ろ足部11A及び11Bと胴部7に含まれる尻部13を設置面に着けた状態で、動物のぬいぐるみ1が転倒しないように、その状態における重心CG1の位置が定められている。重心CG1の位置は、少なくとも頭部5と胴部7と前足部9A及び9Bと後ろ足部11A及び11Bと尻尾部15を含む構成部分のそれぞれの重量、形状ならびに隣接する他の構成部分に対する姿勢により定まる。
図2(B)は、このような状態における重心CG1´の位置の設定を誤ったために、ぬいぐるみ1が後方に転倒している状態を示している。重心CG1´の位置の設定を誤まれば、ぬいぐるみ1は側方にも転倒する。
【0020】
また本実施の形態では、
図3(A)に示すように、前足部9A及び9Bをパソコンのモニタ部のような板状起立体SPの上縁部SPEに引っ掛けた状態で、前足部9A及び9Bが板状起立体SPの上縁部SPE及び正面FSと接触し且つ後ろ足部11A及び11Bが板状起立体SPの背面BSと接触するかまたは胴部7が背面BSと接触して、動物のぬいぐるみ1が落下するのを阻止するように、その状態における重心位置CG2を定めるべく、頭部5と胴部7と前足部9A及び9Bと後ろ足部11A及び11Bのそれぞれの重量、形状ならびに隣接する他の構成部分に対する姿勢が定められている。すなわち本実施の形態では、後ろ足部11A及び11Bと胴部7に含まれる尻部13を設置面に着けた状態で、動物のぬいぐるみ1が転倒しないように、その状態における重心CG1の位置を定めた上で、ぬいぐるみ1を板状起立体SPの上縁部SPEに前足部9A及び9Bを引っ掛けた状態における重心CG2の位置を定めている。なおこのときの重心CG2の位置は、前述の重心CG1と同じ位置である場合でも、異なる場合もある。
【0021】
図3(A)においては、ぬいぐるみ1を板状起立体SPの上縁部SPEに引っ掛ける直前の状態を図示してあるため、前足部9A及び9Bが板状起立体SPの上縁部SPE及び正面FSと接触しておらず且つ後ろ足部11A及び11Bが板状起立体SPの背面BSと接触していないが、最終的には前足部9A及び9Bが板状起立体SPの上縁部SPE及び正面FSと接触し且つ後ろ足部11A及び11Bが板状起立体SPの背面BSと接触するように、各部は前述の重量、形状ならびに隣接する他の構成部分に対する姿勢が定められている。
図3(B)は、板状起立体SPの上縁部SPEに引っ掛けた状態における重心CG2´の位置の設定を誤ったために、動物のぬいぐるみ1が板状起立部SPから落下する状況を示している。なお本実施の形態では、板状起立体SPの角度を接地面から60度にしたときを例にしているが、本実施の形態のぬいぐるみ1では、この角度が45度以上90度以下の角度範囲内にある場合において、脱落を防止できることが確認されている。
【0022】
また本実施の形態では、
図3(A)に示すように、前足部9A及び9Bをパソコンのモニタ部の上縁部SPEに引っ掛けた状態で、頭部5がモニタ部の上縁部SPEの上で正面を向くように、頭部5の胴部7に対する姿勢が定められている。そのためパソコンの使用者が、ぬいぐるみ1の顔を確認できるので、仕事中においても癒やされる環境を作ることができる。
【0023】
本実施の形態によれば、四つ足の動物のぬいぐるみ1において、前足部9A及び9B内に配置された重量増加部材10A及び10Bの存在と、前足部9A及び9Bを後ろ足部11A及び11Bに向けるように傾斜させていることにより、前足部9A及び9Bを板状起立体SPの上縁部SPE及び正面FSと接触しっかりと接触させることができる。その上で、ぬいぐるみを設置面に置く場合における重心位置CG1と、板状起立体SPEに引っ掛ける場合における重心位置CG2がそれぞれ適切になるように、頭部5と胴部7と前足部9A及び9Bと後ろ足部11A及び11Bのそれぞれの重量、形状ならびに隣接する他の構成部分に対する姿勢が定められているので、それぞれの場合において転倒や落下といった、望まない事態が発生する可能性を低下させることができる。
【0024】
図4(A)及び(B)は、本願第2の発明の実施の形態のペンギンのぬいぐるみ101の実施の形態の一例を説明するための概略側面図及び概略正面図を示している。
図4(A)及び(B)において、
図1(A)及び(B)に示した実施の形態の構成部分と同一または類似の部分には、
図1(A)及び(B)に付した符号の数に100の数を加えた数の符号を付して詳細な説明を省略する。なお
図4(A)及び(B)では、羽部109A及び109Bは、透明なものとして描いてある。
【0025】
図4(A)及び(B)のペンギンのぬいぐるみ101は、布製の外皮で包まれた綿などの柔らかい素材からなる包囲部材103を含んでいる。ペンギンのぬいぐるみ101は、頭部105と、胴部107と羽部109A及び109Bと、足部111A及び111Bと、尻部113とを構成部分として備えている。この実施の形態では、羽部109A及び109B内に包囲部材よりも密度の高い材料からなる重量増加部材110A及び110Bが収納され固定されている。そして羽部109A及び109Bは足部111A及び111Bに向くように傾斜した状態で固定されている。
【0026】
本実施の形態では、
図5(A)に示すように、足部111A及び111Bと胴部107に含まれる尻部113を設置面に着けた状態で、ペンギンのぬいぐるみ101が転倒しないように、その状態における重心位置CG1が定められている。また羽部109A及び109Bをパソコンのモニタ部のような板状起立体SPの上縁部SPEに引っ掛けた状態で、羽部109A及び109Bが板状起立体SPの上縁部SPE及び正面FSと接触し且つ足部111A及び111Bが板状起立体SPの背面BSと接触するかまたは胴部107の一部が背面BSと接触して、ペンギンのぬいぐるみ101が落下するのを阻止するように、その状態における重心位置CG2が定められている[
図6(A)参照]。これらの重心CG1及びCG2は、頭部105と胴部107と羽部109A及び109Bと足部111A及び111Bのそれぞれの重量、形状ならびに隣接する他の構成部分に対する姿勢を適宜に定めることにより定められる。
【0027】
本実施の形態では、羽部109A及び109B内に配置された重量増加部材110A及び110Bの存在と、羽部109A及び109Bを足部111A及び111Bに向けるように傾斜状態で固定していることにより、羽部109A及び109Bを板状起立体SPの上縁部SPE及び正面FSと接触しっかりと接触させることができる。その上で、ぬいぐるみ101を設置面に置く場合における重心位置CG1と、板状起立体SPEに引っ掛ける場合における重心位置CG2がそれぞれ適切になるように、頭部105と胴部107と羽部109A及び109Bと足部111A及び111Bのそれぞれの重量、形状ならびに隣接する他の構成部分に対する姿勢が定められているので、それぞれの場合において転倒や落下といった、望まない事態が発生する可能性を低下させることができる。
【0028】
本実施の形態でも、羽部109A及び109Bをパソコンのモニタ部の上縁部SPEに引っ掛けた状態で、頭部105がモニタ部の上縁部SPEの上で正面を向くように、頭部105の胴部107に対する姿勢を定めている。また重量増加部材110A及び110Bを、複数のビーズが充填された重り袋から作成し、重り袋は羽部109A及び109B内に固定部108A及び108Bで固定状態に配置されている。
【0029】
なお本実施の形態では、板状起立体SPの角度を接地面から60度にしたときを例にしているが、本実施の形態のぬいぐるみ101では、この角度が45度以上90度以下の角度範囲内にある場合において、脱落を防止できることが確認されている。
【0030】
図7(A)及び(B)は、本願第3の発明の実施の形態の海獣のぬいぐるみ201の実施の形態の一例を説明するための概略側面図及び概略正面図を示している。
図7(A)及び(B)において、
図1(A)及び(B)に示した実施の形態の構成部分と同一または類似の部分には、
図1(A)及び(B)に付した符号の数に200の数を加えた数の符号を付して詳細な説明を省略する。なお
図7(A)及び(B)では、前鰭部209A及び209Bは、透明なものとして描いてある。
【0031】
本実施の形態は、柔らかい素材からなる包囲部材を含んでおり、頭部205と、胴部207と前鰭部209A及び209Bと尾鰭部211とを構成部分として備えた海獣であるイルカのぬいぐるみである。本実施の形態では、前鰭部209A及び209B内に、包囲部材よりも密度の高い材料(ビーズ)からなる重量増加部材210A及び210Bが収納配置されている。そして胴部207を前鰭部209A及び209Bと尾鰭部211とが近づくように湾曲させた状態に形成している。その上で、
図8(A)に示すように、前鰭部209A及び209Bをパソコンのモニタ部のような板状起立体PSの上縁部PSEに引っ掛けた状態で、前鰭部209A及び209Bが板状起立体PSの上縁部PSE及び正面FSと接触し且つ尾鰭部211が板状起立体SPの背面BSと接触するかまたは胴部207が背面BSと接触して、海獣のぬいぐるみ201が落下するのを阻止するように、その状態における重心位置CG2を定めている。この重心位置CG2は、頭部205と前鰭部209A及び209Bと胴部207と尾鰭部211のそれぞれの重量、形状ならびに隣接する他の構成部分に対する姿勢を適宜に定めることにより決定されている。
図8(B)は、重心CG2´の位置の設定を誤ったために、ぬいぐるみ1が板状起立体PSから脱落している状態を示している。
【0032】
なお本実施の形態では、板状起立体SPの角度を接地面から60度にしたときを例にしているが、本実施の形態のぬいぐるみ201では、この角度が45度以上90度以下の角度範囲内にある場合において、脱落を防止できることが確認されている。
【0033】
図9(A)及び(B)は、本願第1の発明の異なる実施の形態の四つ足のぬいぐるみ301の概略正面図及び概略側面図を示している。
図9(A)及び(B)において、
図1(A)及び(B)に示した実施の形態の構成部分と同一または類似の部分には、
図1(A)及び(B)に付した符号の数に300の数を加えた数の符号を付して詳細な説明を省略する。なお
図7(A)及び(B)では、前足部309A及び309Bは、透明なものとして描いてある。この例では、重量増加部材310A及び310Bの重量を増加させるために、重量増加部材310A及び310Bの長さが長くなっている。このような場合には、2本の重量増加部材310A及び310Bの上端をぬいぐるみ301の喉の下位置に設けた固定部308Cに固定している。このようにすると2本の重量増加部材310A及び310Bの位置変動により、重心位置が変動することを防止できる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明によれば、板状起立体に引っ掛けることができるだけでなく、設置面上に転倒せずに置くことができる四つ足の動物のぬいぐるみ及びペンギンのぬいぐるみを提供することができ、また板状起立体に引っ掛けることができる海獣のぬいぐるみを提供できる。
【符号の説明】
【0035】
1 四つ足のぬいぐるみ
101 ペンギンのぬいぐるみ
201 海獣のぬいぐるみ
3,103,203,303 包囲部材
5,105,205,305 頭部
7,107,207,307 胴部
9A,9B 前足部
109A,109B 羽部
209A,209B 前鰭部
10A,10B乃至301A,301B 重量増加部材
11A,11B 後ろ足部
111A,111B 足部
211 尾鰭部
SP 板状起立体