(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023030624
(43)【公開日】2023-03-08
(54)【発明の名称】衛生洗浄装置
(51)【国際特許分類】
H05B 3/00 20060101AFI20230301BHJP
F24H 15/10 20220101ALI20230301BHJP
E03D 9/08 20060101ALI20230301BHJP
【FI】
H05B3/00 310H
F24H1/10 303Z
E03D9/08 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021135850
(22)【出願日】2021-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100157901
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 敬人
(74)【代理人】
【識別番号】100197538
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 功
(74)【代理人】
【識別番号】100176751
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 耕平
(72)【発明者】
【氏名】澤 将之介
(72)【発明者】
【氏名】初田 一晃
(72)【発明者】
【氏名】井手 涼樹
(72)【発明者】
【氏名】金子 亮平
【テーマコード(参考)】
2D038
3K058
3L034
【Fターム(参考)】
2D038JA00
2D038JB04
2D038JF00
3K058AA12
3K058AA16
3K058BA11
3K058CA71
3L034EA07
(57)【要約】
【課題】瞬間式の熱交換器において、内部に流れる水とヒータとの間に絶縁破壊が発生した際にも、ヒータからの漏電に対する安全性を高めつつ、ヒータの発熱をより適切に停止できる衛生洗浄装置を提供する。
【解決手段】第1電源端子と第2電源端子とを有する接続部と、内部を流れる水を接地する接地電極と、内部を流れる水と電気的に絶縁されたヒータを有するヒータ部と、を有する熱交換器と、洗浄水を噴出する噴出ノズルと、ヒータの他端と第2電源端子との間の電源経路上に設けられたスイッチング素子と、スイッチング素子のスイッチングにより、ヒータへの交流電力の供給を制御する制御部と、ヒータの一端と第1電源端子との間の電源経路上に設けられた第1温度ヒューズと、ヒータの他端と第2電源端子との間の電源経路上に設けられた第2温度ヒューズと、を備えたことを特徴とする衛生洗浄装置である。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電源端子と、第2電源端子と、を有し、前記第1電源端子及び前記第2電源端子を介して交流の供給電源と電気的に接続される接続部と、
内部を流れる水を接地する接地電極と、前記内部を流れる水と電気的に絶縁されたヒータを有するヒータ部と、を有し、前記ヒータの一端を前記第1電源端子と電気的に接続し、前記ヒータの他端を前記第2電源端子と電気的に接続することにより、前記接続部を介して前記供給電源から前記ヒータに供給される交流電力を基に、給水源から供給された洗浄水を前記ヒータによって加熱する熱交換器と、
前記熱交換器を介して供給された洗浄水を噴出する噴出ノズルと、
前記ヒータの他端と前記第2電源端子との間の電源経路上に設けられ、前記ヒータに前記交流電力を供給する状態と、前記ヒータへの前記交流電力の供給を停止した状態と、を切り替えるスイッチング素子と、
前記スイッチング素子のスイッチングを制御することにより、前記ヒータへの前記交流電力の供給を制御する制御部と、
前記ヒータの一端と前記第1電源端子との間の電源経路上に設けられ、前記熱交換器の温度が所定の温度以上になった際に、前記ヒータの一端と前記第1電源端子との間の前記電源経路を開放する第1温度ヒューズと、
前記ヒータの他端と前記第2電源端子との間の電源経路上に設けられ、前記熱交換器の温度が所定の温度以上になった際に、前記ヒータの他端と前記第2電源端子との間の前記電源経路を開放する第2温度ヒューズと、
を備えたことを特徴とする衛生洗浄装置。
【請求項2】
前記ヒータ部は、前記第1温度ヒューズと前記第2温度ヒューズとの間の位置に設けられることを特徴とする請求項1記載の衛生洗浄装置。
【請求項3】
前記第1温度ヒューズ及び前記第2温度ヒューズは、前記ヒータ部に対し、高さの異なる位置に設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の衛生洗浄装置。
【請求項4】
前記第2温度ヒューズの少なくとも一部は、前記ヒータ部の中心軸を中心に、前記第1温度ヒューズの少なくとも一部と点対称の位置に設けられることを特徴とする請求項3記載の衛生洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、衛生洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
洗浄水を噴射することにより、人体局部の洗浄を行う衛生洗浄装置が知られている。衛生洗浄装置は、洗浄水を加熱する熱交換器を有し、人体局部に対して温水を噴射可能としている。
【0003】
衛生洗浄装置に用いられる熱交換器として、タンクなどに水を溜めることなく、内部に水を流しながら加熱を行う、いわゆる瞬間式の熱交換器が知られている。瞬間式の熱交換器は、ヒータを有する。ヒータは、熱交換器の内部を流れる水を加熱する。また、衛生洗浄装置は、温度ヒューズを有する。温度ヒューズは、空焚きなどによる異常な熱が発生した際に、温度に応じて電源経路を開放し、熱交換器のヒータへの通電を停止することにより、異常な発熱を抑制する。
【0004】
瞬間式の熱交換器は、内部に流れる水とヒータとを電気的に絶縁している。また、瞬間式の熱交換器では、熱交換器の内部に流れる水を接地することが提案されている。これにより、仮に、内部に流れる水とヒータとの間に絶縁破壊が発生したとしても、ヒータから水に漏れた電流が水を伝って人体に影響を及ぼしてしまうことを抑制することができる。すなわち、ヒータからの漏電に対する安全性を高めることができる。
【0005】
しかしながら、このように、熱交換器の内部に流れる水を接地すると、内部に流れる水とヒータとの間に絶縁破壊が発生し、異常発熱によって温度ヒューズが電源経路を開放した際に、絶縁破壊の発生した位置によっては、ヒータから内部の水を介して接地側に電流が流れてしまう場合がある。この場合、温度ヒューズが電源経路を開放した後にもヒータに電流が流れ続け、ヒータの発熱を適切に停止させることができなくなってしまう可能性が生じてしまう。
【0006】
このため、衛生洗浄装置では、瞬間式の熱交換器において、内部に流れる水とヒータとの間に絶縁破壊が発生した際にも、ヒータからの漏電に対する安全性を高めつつ、ヒータの発熱をより適切に停止できるようにすることが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、瞬間式の熱交換器において、内部に流れる水とヒータとの間に絶縁破壊が発生した際にも、ヒータからの漏電に対する安全性を高めつつ、ヒータの発熱をより適切に停止できる衛生洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、第1電源端子と、第2電源端子と、を有し、前記第1電源端子及び前記第2電源端子を介して交流の供給電源と電気的に接続される接続部と、内部を流れる水を接地する接地電極と、前記内部を流れる水と電気的に絶縁されたヒータを有するヒータ部と、を有し、前記ヒータの一端を前記第1電源端子と電気的に接続し、前記ヒータの他端を前記第2電源端子と電気的に接続することにより、前記接続部を介して前記供給電源から前記ヒータに供給される交流電力を基に、給水源から供給された洗浄水を前記ヒータによって加熱する熱交換器と、前記熱交換器を介して供給された洗浄水を噴出する噴出ノズルと、前記ヒータの他端と前記第2電源端子との間の電源経路上に設けられ、前記ヒータに前記交流電力を供給する状態と、前記ヒータへの前記交流電力の供給を停止した状態と、を切り替えるスイッチング素子と、前記スイッチング素子のスイッチングを制御することにより、前記ヒータへの前記交流電力の供給を制御する制御部と、前記ヒータの一端と前記第1電源端子との間の電源経路上に設けられ、前記熱交換器の温度が所定の温度以上になった際に、前記ヒータの一端と前記第1電源端子との間の前記電源経路を開放する第1温度ヒューズと、前記ヒータの他端と前記第2電源端子との間の電源経路上に設けられ、前記熱交換器の温度が所定の温度以上になった際に、前記ヒータの他端と前記第2電源端子との間の前記電源経路を開放する第2温度ヒューズと、を備えたことを特徴とする衛生洗浄装置である。
【0010】
この衛生洗浄装置によれば、熱交換器が、内部を流れる水を接地する接地電極を有する。これにより、内部に流れる水とヒータとの間に絶縁破壊が発生したとしても、ヒータから水に漏れた電流が水を伝って人体に影響を及ぼしてしまうことを抑制し、ヒータからの漏電に対する安全性を高めることができる。そして、この衛生洗浄装置は、ヒータの一端と第1電源端子との間の電源経路上に設けられた第1温度ヒューズと、ヒータの他端と第2電源端子との間の電源経路上に設けられた第2温度ヒューズと、をさらに備える。これにより、内部に流れる水とヒータとの間の絶縁破壊によって異常発熱が発生した際に、第1温度ヒューズ及び第2温度ヒューズによって電源経路を開放させることで、どの位置で絶縁破壊が発生したとしても、ヒータの発熱を適切に停止させることができる。ヒータの両端の電源経路を開放させることで、温度ヒューズによる電源経路を開放の後にもヒータに電流が流れ続けてしまうことを抑制することができる。従って、瞬間式の熱交換器において、内部に流れる水とヒータとの間に絶縁破壊が発生した際にも、ヒータからの漏電に対する安全性を高めつつ、ヒータの発熱をより適切に停止できる衛生洗浄装置を提供することができる。
【0011】
第2の発明は、第1の発明において、前記ヒータ部は、前記第1温度ヒューズと前記第2温度ヒューズとの間の位置に設けられることを特徴とする衛生洗浄装置である。
【0012】
この衛生洗浄装置によれば、ヒータ部の表面温度に温度ムラが発生したとしても、高温の異常を検知しやすくし、異常時に早くヒータの発熱を停止させることができる。
【0013】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記第1温度ヒューズ及び前記第2温度ヒューズは、前記ヒータ部に対し、高さの異なる位置に設けられることを特徴とする衛生洗浄装置である。
【0014】
この衛生洗浄装置によれば、ヒータ部の高さ方向において、表面温度に温度ムラが発生したとしても、高温の異常を検知しやすくし、異常時に早くヒータの発熱を停止させることができる。
【0015】
第4の発明は、第3の発明において、前記第2温度ヒューズの少なくとも一部は、前記ヒータ部の中心軸を中心に、前記第1温度ヒューズの少なくとも一部と点対称の位置に設けられることを特徴とする衛生洗浄装置である。
【0016】
この衛生洗浄装置によれば、ヒータ部の表面温度に温度ムラが発生したとしても、高温の異常をより検知しやすくし、異常時により早くヒータの発熱を停止させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の態様によれば、瞬間式の熱交換器において、内部に流れる水とヒータとの間に絶縁破壊が発生した際にも、ヒータからの漏電に対する安全性を高めつつ、ヒータの発熱をより適切に停止できる衛生洗浄装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施形態に係る衛生洗浄装置の要部構成を表すブロック図である。
【
図2】実施形態に係る熱交換器を模式的に表す断面図である。
【
図3】実施形態に係る熱交換器の一部を模式的に表す拡大断面図である。
【
図4】実施形態に係る熱交換器の一部を模式的に表す拡大断面図である。
【
図5】実施形態に係る衛生洗浄装置の一部を表す回路図である。
【
図6】実施形態に係る衛生洗浄装置の一部を模式的に表す断面図である。
【
図7】参考の衛生洗浄装置の一部を表す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、実施形態に係る衛生洗浄装置の要部構成を表すブロック図である。
図1に表したように、衛生洗浄装置10は、熱交換器20と、噴出ノズル30と、制御部40と、を備える。なお、
図1では、衛生洗浄装置10の水路系の要部構成と電気系の要部構成とを併せて表している。
【0020】
熱交換器20は、第1ヒータ21と第2ヒータ22とを有する。第2ヒータ22の抵抗値は、例えば、第1ヒータ21の抵抗値よりも高い。熱交換器20は、給水源WSから供給された洗浄水を第1ヒータ21及び第2ヒータ22によって加熱する。但し、熱交換器20に設けられるヒータの数は、2つに限ることなく、1つでもよいし、3つ以上でもよい。
【0021】
噴出ノズル30は、先端部に設けられた噴出口32を有する。噴出ノズル30は、熱交換器20を介して供給された洗浄水を噴出口32から噴出して、例えば図示しない便座に座った使用者の人体(例えば「おしり」など)を洗浄する。
【0022】
例えば、
図1に表したように、本実施形態にかかる衛生洗浄装置10は、水道や貯水タンクなどの給水源WSから供給された水を噴出ノズル30の噴出口32に導く流路12を有する。流路12の上流側には、電磁弁14が設けられている。電磁弁14は、開閉可能な電磁バルブであり、制御部40からの指令に基づいて水の供給を制御する。つまり、電磁弁14は、給水源WSから供給される水の噴出ノズル30への給水と止水とを切り替える。
【0023】
電磁弁14の下流には、熱交換器20が設けられている。熱交換器20は、第1ヒータ21及び第2ヒータ22により、給水源WSから供給された水を加熱して例えば規定の温度まで昇温させる。熱交換器20は、給水源WSから供給された水を、設定された温度の温水に変換する。
【0024】
本実施形態の熱交換器20は、例えば、筒状形状のセラミックヒータなどを用いた瞬間加熱式(瞬間式)の熱交換器である。第1ヒータ21、第2ヒータ22は、例えば、セラミックヒータに設けられたヒータパターンである。瞬間式の熱交換器20は、タンクなどに水を溜めることなく、内部に水を流しながら加熱を行う。使用者は、操作部50を操作することにより温水温度を設定することができる。操作部50は、例えば、トイレ室の壁などに設置して使用されるリモコンである。操作部50は、例えば、衛生洗浄装置10のケーシングに一体的に設けられる操作パネルなどでもよい。
【0025】
熱交換器20の下流には、流量の調整を行う流量切替弁33と、噴出ノズル30やノズル洗浄室36への給水の開閉や給水先の切替を行う流路切替弁34と、が設けられている。流量切替弁33は、噴出ノズル30へ流れる水の流量を調整する。流路切替弁34は、給水先(流路の接続先)を噴出ノズル30およびノズル洗浄室36のいずれかに切り替えることができる。流量切替弁33および流路切替弁34は、1つのユニットとして設けられていてもよい。
【0026】
流量切替弁33および流路切替弁34の下流には、噴出ノズル30が設けられている。噴出ノズル30は、ノズルモータ38からの駆動力を受け、便器のボウル内に進出したり、ケーシングの内部に後退することができる。つまり、ノズルモータ38は、制御部40からの指令に基づいて噴出ノズル30を進退させることができる。
【0027】
ノズル洗浄室36は、その内部に設けられた図示しない吐水部から殺菌水あるいは水を噴射することにより、噴出ノズル30の外周表面(胴体)を殺菌あるいは洗浄することができる。あるいは、ノズル洗浄室36は、収納された状態の噴出ノズル30の噴出口32の部分を殺菌あるいは洗浄することができる。
【0028】
制御部40は、電源回路42を介して供給電源PSから電力を供給され、操作部50などからの信号に基づいて電磁弁14や、熱交換器20や、流量切替弁33や、流路切替弁34や、ノズルモータ38の動作を制御する。例えば、制御部40は、供給電源PSから熱交換器20の第1ヒータ21及び第2ヒータ22に供給する電力を制御する。
【0029】
供給電源PSは、例えば、交流電源である。供給電源PSは、例えば、AC100V(実効値)の商用電源である。電源回路42は、供給電源PSから供給された交流電力を直流電力に変換し、変換後の直流電力を制御部40に供給する。一方、電源回路42は、熱交換器20の第1ヒータ21及び第2ヒータ22には、交流電力を供給する。
【0030】
図2は、実施形態に係る熱交換器を模式的に表す断面図である。
図2に表したように、熱交換器20は、ヒータ部112と、ケース114と、軸芯部材116と、コイルバネ118と、を備える。
【0031】
ヒータ部112は、中空部112aを有する円筒状である。ヒータ部112は、換言すれば、円筒状のヒータである。熱交換器20の第1ヒータ21及び第2ヒータ22は、ヒータ部112に設けられる。なお、ヒータ部112は、完全な円筒である必要は無く、厚さの変化する部分などを有してもよい。ヒータ部112の断面形状は、完全な円形である必要は無く、一部に楕円状の部分や多角形状の部分などを有してもよい。ヒータ部112は、概ね円筒状の外形を有していればよい。
【0032】
ヒータ部112は、例えば、円筒状のセラミックヒータである。ヒータ部112は、例えば、ヒータ部112の外周面112bを形成する外側部分と、ヒータ部112の内周面112cを形成する内側部分と、内側部分と外側部分との間に設けられた発熱部と、を有する。内側部分及び外側部分は、セラミックスによって成形されている。発熱部は、例えば、タングステン等からなる帯状の第1ヒータ21及び第2ヒータ22(ヒータパターン)を、絶縁性のフィルムで挟んだフィルム状である。これにより、ヒータ部112では、外周面112b及び内周面112cに接する水を加熱することができる。
【0033】
また、セラミックスによって成形されている内側部分及び外側部分は、絶縁体である。外周面112b及び内周面112cは、電気的に絶縁性を有する。これにより、熱交換器20は、外周面112b及び内周面112cに接して流れる水と第1ヒータ21及び第2ヒータ22とを電気的に絶縁している。ヒータ部112は、内部を流れる水と電気的に絶縁された第1ヒータ21及び第2ヒータ22を有する。内側部分及び外側部分は、例えば、高い電気絶縁性と、高い熱伝導性と、を有する。
【0034】
ケース114は、ヒータ部112の外周を覆う。ケース114は、例えば、ケース本体120と、蓋部122と、を有する。ケース本体120は、ヒータ部112の外周を覆う。ケース本体120は、例えば、ヒータ部112よりも大きい径を有する円筒状である。ケース本体120は、ヒータ部112を収容する中空部120aを有する。ヒータ部112は、例えば、円筒状のケース本体120の中空部120a内に略同軸に配置される。
【0035】
但し、ケース本体120の形状は、ヒータ部112の外周を覆うことが可能な任意の形状でよい。例えば、ケース本体120は、ヒータ部112を収容可能な円柱状の中空部120aを有する直方体状の形状などでもよい。
【0036】
ヒータ部112の一端は、ケース本体120の一端よりも内側に位置する。換言すれば、ヒータ部112の一端は、中空部120a内に位置する。一方、ヒータ部112の他端は、ケース本体120の他端よりも外側に位置する。但し、ヒータ部112の他端は、ケース本体120の他端より内側に位置してもよい。
【0037】
蓋部122は、ヒータ部112が突出していない側のケース本体120の一端に設けられ、円筒状のケース本体120の一端を塞ぐ。蓋部122は、例えば、ケース本体120と一体に形成されていてもよい。中空部120aは、例えば、一端が塞がれた有底穴状の形状でもよい。ケース114は、有底穴状の中空部120aによってヒータ部112を収容する構成でもよい。
【0038】
軸芯部材116は、ヒータ部112の中空部112aに設けられている。軸芯部材116は、ケース114と別体で形成されており、ケース114に対して固定されていない。軸芯部材116は、例えば、ヒータ部112の軸方向に延びる略円柱状であり、円筒状のヒータ部112の中空部112a内に略同軸に配置される。
【0039】
また、ヒータ部112及び軸芯部材116の一端は、ケース114から離れて配置されている。より詳しくは、ヒータ部112及び軸芯部材116の一端は、ケース114の蓋部122から離れて配置されている。ヒータ部112及び軸芯部材116の一端と蓋部122との間の空間は、ヒータ部112の内側と外側との間で水を流すための経路となる。
【0040】
コイルバネ118は、軸芯部材116とヒータ部112の内周面112cとの間に設けられる。コイルバネ118は、例えば、金属製又は樹脂製である。自然長の状態におけるコイルバネ118の外径は、ヒータ部112の内周面112cの内径よりも僅かに大きい。コイルバネ118は、捻ることで径を僅かに小さくした状態でヒータ部112の中空部112a内に設けられる。これにより、コイルバネ118は、ヒータ部112の内周面112cに当接し、径を戻そうとする自身の弾性力によってヒータ部112の中空部112a内に保持される。
【0041】
図3は、実施形態に係る熱交換器の一部を模式的に表す拡大断面図である。
図2及び
図3に表したように、ケース114のケース本体120は、ヒータ部112の外周面112bとの間に外側流路130を形成する。ケース本体120は、突出部120bを有する。突出部120bは、ケース本体120の内周面から内側に向かって突出するとともに、ケース本体120の軸方向に沿って螺旋状に延びる。
【0042】
熱交換器20は、コイルバネ124をさらに備える。コイルバネ124は、ケース本体120とヒータ部112の外周面112bとの間に設けられる。コイルバネ124は、例えば、金属製又は樹脂製である。自然長の状態におけるコイルバネ124の内径は、ヒータ部112の外周面112bの外径よりも僅かに小さい。コイルバネ124は、捻ることで径を僅かに大きくした状態でヒータ部112の外周面112bに設けられる。これにより、コイルバネ124は、ヒータ部112の外周面112bに当接し、径を戻そうとする自身の弾性力によってヒータ部112の外周面112bに保持される。
【0043】
ケース本体120の突出部120bの先端部の部分におけるケース本体120の内径は、ヒータ部112の外周面112bの外径よりも僅かに大きい。このため、ケース本体120とヒータ部112との間には、僅かに隙間が空く。
【0044】
コイルバネ124の素線の太さ(直径)は、ケース本体120とヒータ部112との間に空く隙間の距離よりも大きい。また、コイルバネ124のピッチは、螺旋状の突出部120bのピッチと略同一である。これにより、コイルバネ124は、ケース本体120とヒータ部112の外周面112bとの間の隙間を塞ぐ。
【0045】
ヒータ部112は、例えば、ケース本体120(ケース114)に支持され、円筒状のケース本体120の中空部120a内に略同軸に配置される。
【0046】
これにより、ケース本体120の突出部120bとコイルバネ124とによって、螺旋状の外側流路130が形成される。このように、外側流路130を螺旋状とすることにより、外側流路130を流れる水とヒータ部112との間の熱交換率を高くすることができる。また、コイルバネ124を用いて螺旋状の外側流路130を形成することにより、組立誤差や寸法誤差などの影響をコイルバネ124によって抑制し、螺旋状の外側流路130を形成し易くすることができる。
【0047】
図4は、実施形態に係る熱交換器の一部を模式的に表す拡大断面図である。
図2及び
図4に表したように、軸芯部材116は、ヒータ部112の内周面112cとの間に内側流路132を形成する。軸芯部材116は、突出部116aを有する。突出部116aは、軸芯部材116の外周面から外側に向かって突出するとともに、軸芯部材116の軸方向に沿って螺旋状に延びる。
【0048】
軸芯部材116の突出部116aの先端部の部分における軸芯部材116の外径は、ヒータ部112の内周面112cの内径よりも僅かに小さい。このため、軸芯部材116とヒータ部112との間には、僅かに隙間が空く。
【0049】
コイルバネ118の素線の太さ(直径)は、軸芯部材116とヒータ部112との間に空く隙間の距離よりも大きい。また、コイルバネ118のピッチは、螺旋状の突出部116aのピッチと略同一である。これにより、コイルバネ118は、軸芯部材116とヒータ部112の内周面112cとの間の隙間を塞ぐ。
【0050】
軸芯部材116は、例えば、ヒータ部112及びケース本体120(ケース114)に直接的に支持されることなく、コイルバネ118を介してヒータ部112に支持され、コイルバネ118を介して円筒状のヒータ部112の中空部112a内に略同軸に配置される。すなわち、軸芯部材116は、ケース114によって位置決めされることなく、コイルバネ118によって位置決めされる。このように、軸芯部材116とヒータ部112の内周面112cとの間の隙間はコイルバネ118によって埋められ、軸芯部材116は、コイルバネ118によってヒータ部112に対して位置決めされる。
【0051】
これにより、軸芯部材116の突出部116aとコイルバネ118とによって、螺旋状の内側流路132が形成される。このように、内側流路132を螺旋状とすることにより、内側流路132を流れる水とヒータ部112との間の熱交換率を高くすることができる。また、コイルバネ118を用いて螺旋状の内側流路132を形成することにより、組立誤差や寸法誤差などの影響をコイルバネ118によって抑制し、螺旋状の内側流路132を形成し易くすることができる。
【0052】
図2に表したように、ケース本体120の他端よりも外側に突出したヒータ部112の他端には、ヒータ部112の中空部112aに水を流すための通水部材140が接続されている。また、ケース本体120には、ケース本体120の中空部120aに水を流すための通水口120cが設けられている。通水口120cは、ケース本体120において、ヒータ部112の通水部材140が接続された側の端部と同じ側の端部に設けられている。
【0053】
熱交換器20では、例えば、通水部材140からヒータ部112の中空部112a内に水が供給される。中空部112a内に供給された水は、内側流路132を流れてヒータ部112の反対側の端部に向かう。この際、内側流路132を流れる水は、ヒータ部112の内周面12cに接触することにより、ヒータ部112によって加熱される。内側流路132を流れた水は、ケース本体120の中空部120aのうちのヒータ部112の端部と蓋部122との間の空間を介して外側流路130に入り込み、外側流路130を流れる。外側流路130を流れる水は、再びヒータ部112の反対側の端部に向かう。この際、外側流路130を流れる水は、ヒータ部112の外周面112bに接触することにより、ヒータ部112によって加熱される。そして、外側流路130を流れた水は、通水口120cを介してケース本体120(熱交換器20)の外部に排出される。
【0054】
これにより、通水部材140を介して熱交換器20に供給された水が、ヒータ部112によって加熱されて温水に置換され、熱交換器20から温水が排出される。なお、上記と反対に、通水口120cから水を供給し、生成された温水を通水部材140に排出してもよい。
【0055】
ケース本体120の他端よりも外側に突出したヒータ部112の他端には、ヒータ部112の第1ヒータ21及び第2ヒータ22に電力を供給するための給電端子112dが設けられている。このように、給電端子112dは、水と接する側の端部と反対側の端部に設けられる。これにより、給電端子112dの被水が抑制される。
【0056】
また、
図2に表したように、熱交換器20は、接地電極134を有する。接地電極134は、熱交換器20(ケース114)の内部を流れる水と接する位置に設けられ、熱交換器20の内部を流れる水を接地する。
【0057】
接地電極134の電位は、基準電位に設定されている。接地電極134は、換言すれば、熱交換器20の内部を流れる水の電位を基準電位に設定する。基準電位は、例えば、交流の供給電源PSの中性線の電位である。基準電位は、例えば、大地の電位である。基準電位は、例えば、フレーム接地の電位などでもよい。接地電極134は、例えば、ケース114の外部に引き出される配線などを介して外部の電極と接続されることにより、基準電位に設定される。但し、接地電極134の電位の設定方法は、上記に限ることなく、任意の方法でよい。
【0058】
このように、熱交換器20は、接地電極134を設け、内部に流れる水を接地する。これにより、仮に、内部に流れる水とヒータ部112(第1ヒータ21及び第2ヒータ22)との間に絶縁破壊が発生したとしても、ヒータ部112から水に漏れた電流を接地電極134に流すことができる。これにより、ヒータ部112から水に漏れた電流が水を伝って便座に座る人体に影響を及ぼしてしまうことを抑制することができる。すなわち、ヒータ部112からの漏電に対する安全性を高めることができる。
【0059】
接地電極134は、例えば、蓋部122の内面に設けられている。これにより、内側流路132を流れた水が、ケース本体120の中空部120aのうちのヒータ部112の端部と蓋部122との間の空間を介して外側流路130に入り込む間に、接地電極134に接触させることができる。但し、接地電極134の配置は、上記に限ることなく、熱交換器20の内部を流れる水と接触させることができる任意の位置でよい。
【0060】
図5は、実施形態に係る衛生洗浄装置の一部を表す回路図である。
図5に表したように、衛生洗浄装置10は、接続部60と、第1スイッチング素子71と、第2スイッチング素子72と、電流ヒューズ74と、第1温度ヒューズ81と、第2温度ヒューズ82と、を備える。
【0061】
接続部60は、第1電源端子61と、第2電源端子62と、を有する。第1電源端子61は、例えば、交流の供給電源PSの電源線(非接地側)と電気的に接続される電源端子である。第2電源端子62は、例えば、交流の供給電源PSの中性線(接地側)と電気的に接続される電源端子である。第1電源端子61は、例えば、ライブ側の電源端子(L側電源端子)であり、第2電源端子62は、例えば、ニュートラル側の電源端子(N側電源端子)である。但し、上記と反対に、第1電源端子61を接地側とし、第2電源端子62を非接地側としてもよい。
【0062】
接続部60は、例えば、コンセントプラグである。第1電源端子61は、例えば、コンセントプラグの一方の端子であり、第2電源端子62は、例えば、コンセントプラグの他方の端子である。但し、接続部60は、コンセントプラグに限ることなく、例えば、配電盤などに直接的に接続される一対の配線などでもよい。
【0063】
熱交換器20は、第1ヒータ21の一端及び第2ヒータ22の一端を第1電源端子61と電気的に接続し、第1ヒータ21の他端及び第2ヒータ22の他端を第2電源端子62と電気的に接続することにより、接続部60を介して供給電源PSから第1ヒータ21及び第2ヒータ22に供給される交流電力を基に、給水源WSから供給された洗浄水を第1ヒータ21及び第2ヒータ22の少なくとも一方によって加熱する。
【0064】
この例では、熱交換器20と接続部60との間に、電源回路42が設けられている。電源回路42は、例えば、供給電源PSから供給された交流電力を、そのまま熱交換器20に出力する。但し、電源回路42は、供給電源PSから供給された交流電力を別の交流電力に変換し、変換後の交流電力を熱交換器20に出力してもよい。このように、供給電源PSから熱交換器20に供給される交流電力は、供給電源PSのそのままの交流電力でもよいし、電源回路42などで電力変換が行われた後の交流電力でもよい。熱交換器20に供給される交流電力は、供給電源PSの交流電力に基づく任意の交流電力でよい。
【0065】
第1スイッチング素子71は、第1ヒータ21の他端と第2電源端子62との間の電源経路上に設けられ、第1ヒータ21に交流電力を供給する状態と、第1ヒータ21への交流電力の供給を停止した状態と、を切り替える。
【0066】
第2スイッチング素子72は、第2ヒータ22の他端と第2電源端子62との間の電源経路上に設けられ、第2ヒータ22に交流電力を供給する状態と、第2ヒータ22への交流電力の供給を停止した状態と、を切り替える。
【0067】
第1スイッチング素子71は、例えば、第1ヒータ21の他端と電源回路42の一方の交流出力端子との間に設けられる。同様に、第2スイッチング素子72は、例えば、第2ヒータ22の他端と電源回路42の一方の交流出力端子との間に設けられる。但し、第1スイッチング素子71の配置は、これに限ることなく、第1ヒータ21の他端と第2電源端子62との間の電源経路上の任意の位置でよい。第2スイッチング素子72の配置は、これに限ることなく、第2ヒータ22の他端と第2電源端子62との間の電源経路上の任意の位置でよい。
【0068】
第1スイッチング素子71及び第2スイッチング素子72は、例えば、一対の主端子と制御端子とを有し、制御端子に入力される信号により、一対の主端子間に流れる電流のオン・オフを切り替える。第1スイッチング素子71及び第2スイッチング素子72には、例えば、トライアックが用いられる。第1スイッチング素子71及び第2スイッチング素子72は、例えば、電流のオン・オフを制御でき、かつ電流を双方向に流すことができる任意の素子でよい。第1スイッチング素子71及び第2スイッチング素子72は、例えば、機械式のリレーなどでもよいし、複数の半導体スイッチなどを組み合わせて構成してもよい。
【0069】
第1ヒータ21及び第2ヒータ22は、例えば、一対の端子間に電流を流すことによって発熱する。第1ヒータ21及び第2ヒータ22は、例えば、抵抗体である。
【0070】
制御部40は、第1スイッチング素子71のスイッチングを制御することにより、第1ヒータ21への交流電力の供給を制御し、第2スイッチング素子72のスイッチングを制御することにより、第2ヒータ22への交流電力の供給を制御する。制御部40は、例えば、第1スイッチング素子71及び第2スイッチング素子72のそれぞれの制御端子と電気的に接続されることにより、第1スイッチング素子71及び第2スイッチング素子72のそれぞれのスイッチングを制御する。
【0071】
電流ヒューズ74は、第1ヒータ21の一端及び第2ヒータ22の一端と第1電源端子61との間の電源経路上に設けられる。電流ヒューズ74は、定格電流以上の電流が流れた際に、接続部60と第1ヒータ21との間の電源経路及び接続部60と第2ヒータ22との間の電源経路を開放することにより、第1ヒータ21及び第2ヒータ22への電力供給を遮断する。これにより、電流ヒューズ74は、定格電流以上の電流が熱交換器20に流入してしまうことを抑制する。なお、電流ヒューズ74は、第1電源端子61及び第2電源端子62のうちの非接地側の電源端子に設けられることが好ましい。
【0072】
電流ヒューズ74は、例えば、定格電流以上の電流が流れた際に、溶断することにより、電源経路を開放する。電流ヒューズ74は、例えば、定格電流以上の電流が流れた際に、接点を開放することにより、電源経路を開放し、定格電流が定格電流未満となった際に、接点を投入することにより、再び電源経路を接続する自己復旧型のヒューズでもよい。
【0073】
第1温度ヒューズ81は、第1ヒータ21の一端及び第2ヒータ22の一端と第1電源端子61との間の電源経路上に設けられる。第2温度ヒューズ82は、第1ヒータ21の他端及び第2ヒータ22の他端と第2電源端子62との間の電源経路上に設けられる。第1ヒータ21の一端及び第2ヒータ22の一端は、第1温度ヒューズ81を介して第1電源端子61と電気的に接続される。第1ヒータ21の他端及び第2ヒータ22の他端は、第2温度ヒューズ82を介して第2電源端子62と電気的に接続される。
【0074】
第1温度ヒューズ81は、熱交換器20の温度が所定の温度以上になった際に、第1ヒータ21の一端及び第2ヒータ22の一端と第1電源端子61との間の電源経路を開放し、第1ヒータ21及び第2ヒータ22への電力供給を遮断する。第2温度ヒューズ82は、熱交換器20の温度が所定の温度以上になった際に、第1ヒータ21の他端及び第2ヒータ22の他端と第2電源端子62との間の電源経路を開放し、第1ヒータ21及び第2ヒータ22への電力供給を遮断する。これにより、第1温度ヒューズ81及び第2温度ヒューズ82は、熱交換器20が所定の温度以上に発熱することを抑制する。第1温度ヒューズ81及び第2温度ヒューズ82は、例えば、熱交換器20の空焚きを抑制する。
【0075】
第1温度ヒューズ81は、例えば、熱交換器20の温度が所定の温度以上になった際に、溶断することにより、第1ヒータ21の一端及び第2ヒータ22の一端と第1電源端子61との間の電源経路を開放する。第1温度ヒューズ81は、例えば、熱交換器20の温度が所定の温度以上になった際に、接点を開放することにより、電源経路を開放し、熱交換器20の温度が所定の温度未満となった際に、接点を投入することにより、再び電源経路を接続する自己復旧型のヒューズでもよい。第2温度ヒューズ82についても同様である。
【0076】
第2温度ヒューズ82は、例えば、第1スイッチング素子71及び第2スイッチング素子72と第2電源端子62との間の電源経路上に設けられる。第2温度ヒューズ82は、例えば、第1スイッチング素子71及び第2スイッチング素子72と電源回路42の一方の交流出力端子との間の電源経路上に設けられる。これにより、熱交換器20が複数のヒータを有する場合にも、1つの第2温度ヒューズ82のみで、複数のヒータと第2電源端子62との間の電源経路を適切に開放することができる。
【0077】
但し、熱交換器20が複数のヒータを有する場合、衛生洗浄装置10は、熱交換器20の複数のヒータのそれぞれに対応する複数の第2温度ヒューズ82を備えてもよい。この例では、衛生洗浄装置10は、例えば、第1ヒータ21と第1スイッチング素子71との間、及び第2ヒータ22と第2スイッチング素子72との間に設けられた2つの第2温度ヒューズ82を備えてもよい。
【0078】
図6は、実施形態に係る衛生洗浄装置の一部を模式的に表す断面図である。
図6は、
図2のA1-A2線断面を模式的に表す。
図6に表したように、熱交換器20のヒータ部112は、第1温度ヒューズ81と第2温度ヒューズ82との間の位置に設けられる。第1温度ヒューズ81及び第2温度ヒューズ82は、例えば、上方から見た際に、円筒状のヒータ部112の中心軸CLを挟んでヒータ部112の両側に設けられる。換言すれば、ヒータ部112は、ヒータ部112の中心軸CLが、第1温度ヒューズ81と第2温度ヒューズ82との間に位置するように設けられる。
【0079】
また、
図6に表したように、第1温度ヒューズ81及び第2温度ヒューズ82は、例えば、ヒータ部112に対し、高さの異なる位置に設けられる。第2温度ヒューズ82のヒータ部112に対する高さは、第1温度ヒューズ81のヒータ部112に対する高さと異なる。この例では、第1温度ヒューズ81が、第2温度ヒューズ82よりも高い位置に配置されている。第1温度ヒューズ81は、例えば、ヒータ部112の中心軸CLよりも上方に配置される。第2温度ヒューズ82は、例えば、ヒータ部112の中心軸CLよりも下方に配置される。
【0080】
なお、上記と反対に、第2温度ヒューズ82を第1温度ヒューズ81よりも高い位置に配置してもよい。例えば、第1温度ヒューズ81及び第2温度ヒューズ82の一方をヒータ部112の中心軸CLよりも上方に配置し、第1温度ヒューズ81及び第2温度ヒューズ82の他方をヒータ部112の中心軸CLよりも下方に配置してもよい。
【0081】
第2温度ヒューズ82の少なくとも一部は、例えば、ヒータ部112の中心軸CLを中心に、第1温度ヒューズ81の少なくとも一部と点対称の位置に設けられる。例えば、ヒータ部112の中心軸CLと直交する平面(断面)において、ヒータ部112の中心軸CLから第1温度ヒューズ81までの距離D1は、ヒータ部112の中心軸CLから第2温度ヒューズ82までの距離D2と実質的に同じである。
【0082】
なお、
図6では、ヒータ部112の中心軸CLと直交する平面(断面)において、ヒータ部112の中心軸CLから第1温度ヒューズ81の中心までの距離を距離D1とし、ヒータ部112の中心軸CLから第2温度ヒューズ82の中心までの距離を距離D2としている。ヒータ部112の中心軸CLから第1温度ヒューズ81までの距離D1は、これに限ることなく、第1温度ヒューズ81の任意の位置の距離でよい。同様に、ヒータ部112の中心軸CLから第2温度ヒューズ82までの距離D2は、第2温度ヒューズ82の任意の位置の距離でよい。第1温度ヒューズ81及び第2温度ヒューズ82は、互いの少なくとも一部において、ヒータ部112の中心軸CLからの距離が同じとなるように設けられていればよい。
【0083】
但し、第1温度ヒューズ81及び第2温度ヒューズ82の配置は、上記に限るものではない。第1温度ヒューズ81及び第2温度ヒューズ82の配置は、熱交換器20(ヒータ部112)の温度を適切に検知することができる任意の位置でよい。第1温度ヒューズ81及び第2温度ヒューズ82は、例えば、ヒータ部112を上下に挟むように配置してもよい。第1温度ヒューズ81及び第2温度ヒューズ82は、必ずしもヒータ部112の両側に配置する必要はなく、ヒータ部112の片側に寄せて配置してもよい。第1温度ヒューズ81及び第2温度ヒューズ82の配置は、衛生洗浄装置10に対する熱交換器20の取り付けの向きや、熱交換器20の内部を流れる水の向きなどに応じて適宜設定すればよい。
【0084】
図7は、参考の衛生洗浄装置の一部を表す回路図である。
図7は、第2温度ヒューズ82を省略し、第1温度ヒューズ81のみが設けられた参考の衛生洗浄装置の一部を模式的に表している。
【0085】
図7に表したように、参考の衛生洗浄装置の構成では、内部に流れる水と第1ヒータ21又は第2ヒータ22との間に絶縁破壊が発生し、異常発熱によって第1温度ヒューズ81が溶断した際に、絶縁破壊の発生した位置によっては、第1ヒータ21又は第2ヒータ22から内部の水を介して接地側に電流が流れてしまう場合がある。
【0086】
図7では、内部に流れる水と第2ヒータ22との間において、第2ヒータ22の第1電源端子61に近い一端側で絶縁破壊が発生した場合を例示している。この場合に、接続部60と供給電源PSとの接続を誤り、第2電源端子62が供給電源PSの電源線側に接続されていると、
図7において矢線A1で表したように、第2電源端子62から第2スイッチング素子72、第2ヒータ22、及び絶縁破壊部分から熱交換器20の内部の水を介して接地電極134に電流が流れてしまう。この場合、第1温度ヒューズ81の溶断の後にも第2ヒータ22に電流が流れ続け、第2ヒータ22の発熱を適切に停止させることができなくなってしまう可能性が生じてしまう。
【0087】
これに対し、本実施形態に係る衛生洗浄装置10では、熱交換器20が、内部を流れる水を接地する接地電極134を有する。これにより、内部に流れる水と第1ヒータ21及び第2ヒータ22との間に絶縁破壊が発生したとしても、第1ヒータ21及び第2ヒータ22から水に漏れた電流が水を伝って人体に影響を及ぼしてしまうことを抑制し、第1ヒータ21及び第2ヒータ22からの漏電に対する安全性を高めることができる。
【0088】
そして、衛生洗浄装置10では、第1ヒータ21及び第2ヒータ22の一端と第1電源端子61との間の電源経路上に設けられた第1温度ヒューズ81と、第1ヒータ21及び第2ヒータ22の他端と第2電源端子62との間の電源経路上に設けられた第2温度ヒューズ82と、をさらに備える。これにより、内部に流れる水と第1ヒータ21及び第2ヒータ22との間の絶縁破壊によって異常発熱が発生した際に、第1温度ヒューズ81及び第2温度ヒューズ82によって電源経路を開放させることで、どの位置で絶縁破壊が発生したとしても、第1ヒータ21及び第2ヒータ22の発熱を適切に停止させることができる。第1ヒータ21及び第2ヒータ22の両端の電源経路を開放させることで、第1温度ヒューズ81及び第2温度ヒューズ82による電源経路の開放の後にも、第1ヒータ21及び第2ヒータ22に電流が流れ続けてしまうことを抑制することができる。
【0089】
従って、瞬間式の熱交換器20において、内部に流れる水と第1ヒータ21及び第2ヒータ22との間に絶縁破壊が発生した際にも、第1ヒータ21及び第2ヒータ22からの漏電に対する安全性を高めつつ、第1ヒータ21及び第2ヒータ22の発熱をより適切に停止できる衛生洗浄装置10を提供することができる。
【0090】
また、衛生洗浄装置10では、ヒータ部112が、第1温度ヒューズ81と第2温度ヒューズ82との間の位置に設けられる。これにより、衛生洗浄装置10では、ヒータ部112の表面温度に温度ムラが発生したとしても、高温の異常を検知しやすくし、異常時に早く第1ヒータ21及び第2ヒータ22の発熱を停止させることができる。
【0091】
瞬間式の熱交換器20では、比較的高出力のヒータが用いられる。このため、瞬間式の熱交換器20では、温度ムラが発生した際に、各場所での温度差が大きくなってしまう可能性がある。例えば、熱交換器20の内部の流路の下流側では、熱交換器20の内部の流路の上流側と比べて、温度が高くなる傾向にある。また、例えば、熱交換器20の内部の流路の高い位置では、熱交換器20の内部の流路の低い位置と比べて、温度が高くなる傾向にある。さらには、ヒータ部112に複数のヒータが設けられている場合、各ヒータの設けられている位置や、使用するヒータの組み合わせによっても温度ムラが発生してしまう場合がある。衛生洗浄装置10では、ヒータ部112を第1温度ヒューズ81と第2温度ヒューズ82との間の位置に設けることにより、こうした温度ムラが発生したとしても、高温の異常を検知しやすくし、異常時に早く第1ヒータ21及び第2ヒータ22の発熱を停止させることができる。
【0092】
また、衛生洗浄装置10では、第1温度ヒューズ81及び第2温度ヒューズ82が、ヒータ部112に対し、高さの異なる位置に設けられる。これにより、ヒータ部112の高さ方向において、表面温度に温度ムラが発生したとしても、高温の異常を検知しやすくし、異常時に早くヒータの発熱を停止させることができる。
【0093】
さらに、衛生洗浄装置10では、第2温度ヒューズ82の少なくとも一部が、ヒータ部112の中心軸CLを中心に、第1温度ヒューズ81の少なくとも一部と点対称の位置に設けられる。これにより、ヒータ部112の表面温度に温度ムラが発生したとしても、高温の異常をより検知しやすくし、異常時により早く第1ヒータ21及び第2ヒータ22の発熱を停止させることができる。
【0094】
なお、上記実施形態では、円筒状のヒータ部112を表している。ヒータ部112の形状は、これに限ることなく、例えば、直方体状などでもよい。この例では、円筒状のヒータ部112の内面側及び外面側に水を接触させて加熱を行っている。ヒータ部112は、内部の空間を有し、内面のみに水を接触させる構成でもよいし、外面のみに水を接触させる構成でもよい。ヒータ部112は、例えば、内部の空間を有しない棒状の形状などでもよい。ヒータ部112の形状は、水を適切に加熱することができる任意の形状でよい。
【0095】
ヒータ部112の中心軸CLは、ヒータ部112の中心を通る任意の軸でよい。例えば、ヒータ部112が不定形の形状である場合には、ヒータ部112の左右方向の中心と上下方向の中心との交点を通る軸を中心軸CLとすればよい。
【0096】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、衛生洗浄装置10などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0097】
10衛生洗浄装置、 12 流路、 14 電磁弁、 20熱交換器、 21 第1ヒータ、 22 第2ヒータ、 30噴出ノズル、 32 噴出口、 33 流量切替弁、 34 流路切替弁、 36 ノズル洗浄室、 38 ノズルモータ、 40 制御部、 42 電源回路、 50 操作部、 60 接続部、 61 第1電源端子、 62 第2電源端子、 71 第1スイッチング素子、 72 第2スイッチング素子、 74 電流ヒューズ、 81 第1温度ヒューズ、 82 第2温度ヒューズ、 112 ヒータ部、 114 ケース、 116 軸芯部材、 118 コイルバネ、 120 ケース本体、 122 蓋部、 124 コイルバネ、 130 外側流路、 132 内側流路、 134 接地電極、 140 通水部材、 PS 供給電源、 WS 給水源