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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023030630
(43)【公開日】2023-03-08
(54)【発明の名称】空気調和装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/36 20180101AFI20230301BHJP
   F25B 49/02 20060101ALI20230301BHJP
【FI】
F24F11/36
F25B49/02 520M
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021135857
(22)【出願日】2021-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】庄山 直芳
(72)【発明者】
【氏名】橋本 俊一
(72)【発明者】
【氏名】渡部 岳志
(72)【発明者】
【氏名】水間 聖人
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260AB02
3L260BA32
3L260BA52
3L260CB04
3L260CB23
3L260HA01
(57)【要約】
【課題】経年劣化による性能劣化を抑制し、誤検知することなく冷媒漏洩を検出することができ、冷媒漏洩に対する安全性を向上させることのできる空気調和装置を提供する。
【解決手段】筐体10内に設けられるシロッコファン30と、筐体10内に設けられる室内熱交換器20と、第1領域24に設置される第1冷媒検出センサ50と、第2領域26に設置される第2冷媒検出センサ51と、を有する室内機5を備え、第1冷媒検出センサ50と第2冷媒検出センサ51を制御する制御部60を設け、制御部60は、第1冷媒検出センサ50と第2冷媒検出センサ51のいずれか一方を通電させる第1通電モードと、第1冷媒検出センサ50と第2冷媒検出センサ51の両方を通電させる第2通電モードを実行させる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体内に設けられる室内ファンと、
前記筐体内に設けられる室内熱交換器と、
前記室内熱交換器のベンド部を収容する第1領域に設置される第1冷媒検出センサと、
前記室内熱交換器の配管接続部を収容する第2領域に設置される第2冷媒検出センサと、を有する室内機を備え、
前記第1冷媒検出センサと前記第2冷媒検出センサを制御する制御部を設け、
前記制御部は、前記第1冷媒検出センサと前記第2冷媒検出センサのいずれか一方を通電させる第1通電モードと、前記第1冷媒検出センサと前記第2冷媒検出センサの両方を通電させる第2通電モードを実行させる、
空気調和装置。
【請求項2】
前記第1領域と前記第2領域を連通する冷媒流路を備える、
請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記室内ファンが停止している場合は前記第1通電モードを実行させ、前記室内ファンが駆動している場合は前記第2通電モードを実行させる、
請求項1または請求項2に記載の空気調和装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記室内機内の冷媒配管に冷媒が流れていない場合は前記第1通電モードを実行させ、前記室内機内の冷媒配管に冷媒が流れている場合は前記第2通電モードを実行させる、
請求項1または請求項2に記載の空気調和装置。
【請求項5】
圧縮機を収容する室外機を備え、
前記制御部は、前記圧縮機が駆動している場合は前記第1通電モードを実行させ、前記圧縮機が停止している場合は第2通電モードを実行させる、
請求項4に記載の空気調和装置。
【請求項6】
前記制御部は、サーモオフ運転、送風運転、または、空調運転停止中の場合に前記第1通電モードを実行させる、
請求項4に記載の空気調和装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記第1冷媒検出センサと前記第2冷媒検出センサとを所定の期間ごとに交互に通電を切り替える第3通電モードを実行する、
請求項1または請求項2に記載の空気調和装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記第3通電モードを行う際、前記第1冷媒検出センサと前記第2冷媒検出センサの通電を切り替える際、所定時間、前記第1冷媒検出センサと前記第2冷媒検出センサを同時に通電させる、
請求項7に記載の空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1には、可燃性冷媒を用い、圧縮機、四方弁、室外熱交換器、絞り装置、室内熱交換器を順次接続して環状の冷媒回路を構成し、室内熱交換器と、室内熱交換器を流れる冷媒と室内空気との熱交換を促進する室内ファンを備えた室内機よりなる空気調和装置において、可燃性冷媒の漏洩を検知する漏洩検知センサを、同一箇所に複数備えた空気調和装置が開示されている。
また、引用文献1には、可燃性冷媒の漏洩の検知には、複数の漏洩検知センサの内の一つを使用し、一定時間後または使用中に前記漏洩検知センサが故障した場合に、他の漏洩検知センサに切り替える切り替制御手段を備えた技術も開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-224612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、経年劣化による性能劣化を抑制しつつ、冷媒漏洩に対する安全性を確保できる空気調和装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、筐体と、前記筐体内に設けられる室内ファンと、前記筐体内に設けられる室内熱交換器と、前記室内熱交換器のベンド部を収容する第1領域に設置される第1冷媒検出センサと、前記室内熱交換器の配管接続部を収容する第2領域に設置される第2冷媒検出センサと、を有する室内機を備え、前記第1冷媒検出センサと前記第2冷媒検出センサを制御する制御部を設け、前記制御部は、前記第1冷媒検出センサと前記第2冷媒検出センサのいずれか一方を通電させる第1通電モードと、前記第1冷媒検出センサと前記第2冷媒検出センサの両方を通電させる第2通電モードを実行させる。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、第1通電モードで制御することで、第1冷媒検出センサまたは第2冷媒検出センサのいずれか一方のみに通電するので、第1冷媒検出センサまたは第2冷媒検出センサの劣化を軽減させることができる。一方、第2通電モードで制御して第1冷媒センサおよび第2冷媒センサの両方に通電させることで、それぞれの冷媒漏洩箇所の漏洩冷媒を迅速に検出することができる。そのため、制御部により、第1通電モードと第2通電モードとを切り替えるように制御することで、安全性を確保しつつ、冷媒検出センサの寿命を延ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施の形態1に係る室内機を示す側面断面図
図2】実施の形態1に係る室内機を示す平面図
図3】実施の形態1に係る空気調和装置を示す冷凍サイクル図
図4】実施の形態1に係る制御構成を示すブロック図
図5】実施の形態2に係る室内機を示す側面断面図
図6】実施の形態1に係る制御構成を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0008】
(本開示の基礎となった知見等)
発明者らが本開示に想到するに至った当時、可燃性冷媒の漏洩を検知する漏洩検知センサを、室内機の同一箇所に複数備え、可燃性冷媒の漏洩の検知には、複数の漏洩検知センサの内の一つを使用し、一定時間後または使用中に前記漏洩検知センサが故障した場合に、他の漏洩検知センサに切り替える切り替制御手段を備えた技術があった。
【0009】
しかしながら、従来の技術では、例えば、ダクト室内機などのように、冷媒が漏洩しやすい箇所であるベンド部と配管接続部とが離れて配置されている場合に、複数箇所における冷媒漏洩を検出する際の、冷媒検出センサの長寿命化を考慮した技術とはいえないという課題を発明者らは発見し、その課題を解決するために、本開示の主題を構成するに至った。
本開示は、経年劣化による性能劣化を抑制しつつ、冷媒漏洩に対する安全性を確保できる空気調和装置を提供する。
【0010】
以下、図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が必要以上に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0011】
(実施の形態1)
以下、図1および図2を用いて、実施の形態1を説明する。
図1は、実施の形態1における空気調和装置の側面断面図である。図2は、実施の形態1における空気調和装置の平面図である。
【0012】
[1-1.室内機の構成]
図1および図2に示すように、本実施の形態における空気調和装置1は、室内機5を備えている。室内機5は、箱型の筐体10を備えている。筐体10は、天板11と底板12とを備えている。
筐体10の図1において左側は、送風室13とされており、筐体10の図1において右側は、室内熱交換器20を収容する熱交換器室14とされている。送風室13と熱交換器室14とは、仕切壁15によって区画されている。
【0013】
送風室13の後方には、室内空気を取り込む吸込口16が設けられており、送風室13の内部には、室内ファンとしてのシロッコファン30をそれぞれ収容する複数(本実施の形態では3つ)のスクロールケーシング31が設けられている。熱交換器室14の室内熱交換器20よりも前方側には、吹出口17が設けられている。
【0014】
スクロールケーシング31は、スクロールケーシング31の両端部に形成され、シロッコファン30の回転により吸込口16から流入した空気を吸入するファン開口部32と、ファン開口部32より吸入した空気を熱交換器室14に向けて吐出する送風路33と、を備えている。
スクロールケーシング31の間には、電動機34が設けられている。電動機34は、シロッコファン30の回転軸35に連結されており、シロッコファン30を回転駆動させる。
【0015】
シロッコファン30は、遠心ファンであり、シロッコファン30の運転により、吸込口16から空気を吸気し、ファン開口部32より、回転軸35方向からスクロールケーシング31の内部に流入させ、送風路33から室内熱交換器20に吹き出され、室内熱交換器20で熱交換された調和空気が吹出口17より室内に吐出される。
熱交換器室14に収容された室内熱交換器20の図1において下部には、ドレンパン21が配置されている。
【0016】
また、図2に示すように、本実施の形態においては、熱交換器室14には、室内熱交換器20の熱交換領域22と、室内熱交換器20の一端側であって室外機40(図3を参照)からの冷媒配管47,48が接続される配管接続領域とを仕切る第1仕切板23が設けられている。配管接続領域は、第1領域24とされる。
また、熱交換器室14には、熱交換領域22と、室内熱交換器20の他端側であって室内熱交換器20の冷媒配管が折り返されるベンド部領域とを仕切る第2仕切板25が設けられている。ベンド部領域は、第2領域26とされる。
【0017】
第1領域24には、冷媒の漏洩を検出する第1冷媒検出センサ50が配置されている。第2領域26には、第2冷媒検出センサ51が配置されている。
なお、第1冷媒検出センサ50および第2冷媒検出センサ51の設置位置は、適宜設定することが可能であるが、冷媒は空気より重いことから、第1領域24および第2領域26の最も低い位置に設置することが好ましい。
【0018】
[1-2.空気調和装置の構成]
次に、空気調和装置の構成について説明する。
図3は、空気調和装置の構成を示す冷凍サイクル図である。
図3に示すように、空気調和装置1は、室外機40と、室内機5とを備えている。室外機40には、圧縮機41、冷媒流路を切り替える四方弁42、室外熱交換器43、室外ファン44、室外絞り装置45が収容されており、これら圧縮機41、四方弁42、室外熱交換器43、室外絞り装置45は、冷媒配管46により順次接続されている。
【0019】
室内機5には、室内熱交換器20、室内絞り装置27、シロッコファン30がそれぞれ収容されており、室内熱交換器20および室内絞り装置27は、冷媒配管28を介して接続されている。
室外機40の圧縮機41と、室内機5の室内熱交換器20とは、液冷媒配管47およびガス冷媒配管48により接続されている。
液冷媒配管47およびガス冷媒配管48の室内機5の近傍には、それぞれ冷媒遮断弁49が設けられている。
【0020】
[1-3.制御構成]
次に、本実施の形態の制御構成について説明する。
図4は、本実施の形態の制御構成を示すブロック図である。
図4に示すように、空気調和装置1は、制御部60を備えている。
制御部60は、例えば、CPUやMPUなどのプログラムを実行するプロセッサおよびROM、RAMなどのメモリを備え、プロセッサが、メモリに記憶された制御プログラムを読み出して処理を実行するように、ハードウェア及びソフトウェアの協働により各種処理を実行する。
【0021】
制御部60は、制御プログラムに基づいて、室外機40の圧縮機41、室外絞り装置45、室外ファン44、室内機5のシロッコファン30、室内絞り装置27をそれぞれ制御する。
制御部60は、各室内機5の第1冷媒検出センサ50および第2冷媒検出センサ51の検出信号に基づいて、冷媒遮断弁49、室内絞り装置27の開閉制御を行う。
【0022】
制御部60は、第1冷媒検出センサ50と第2冷媒検出センサ51とのいずれか一方を通電させる第1通電モードと、第1冷媒検出センサ50と前記第2冷媒検出センサ51の両方を通電させる第2通電モードを実行させるように構成されている。
第1通電モードは、第1冷媒検出センサ50または第2冷媒検出センサ51のいずれに通電するようにしてもよい。
【0023】
また、制御部60は、第1冷媒検出センサ50と第2冷媒検出センサ51とを所定の期間毎に交互に通電を切り替える第3通電モードを実行するようにしてもよい。
第3通電モードにおいて、第1冷媒検出センサ50と第2冷媒検出センサ51とは、1日ごとに切り替えるようにしてもよいし、1週間ごと、1月ごと、数ヶ月ごと、1年ごとなど、任意の周期で切り替えるようにしてもよい。
この場合、制御部60は、第3通電モードにおいて、第1冷媒検出センサ50と第2冷媒検出センサ51の通電を切り替える際、所定時間(例えば、30秒)、第1冷媒検出センサ50と第2冷媒検出センサ51を同時に通電させるように制御する。
これは、冷媒検出センサに通電を開始した場合に、冷媒検出センサによる検出可能となるまでに所定時間が必要であるためである。
【0024】
そのため、例えば、第1冷媒検出センサ50への通電から第2冷媒検出センサ51への通電に切り替える場合、第1冷媒検出センサ50に通電している状態で、第2冷媒検出センサ51に通電を開始し、第2冷媒検出センサ51による検出が可能となる時間が経過したら、第1冷媒検出センサ50への通電を停止するように制御される。
【0025】
制御部60は、例えば、シロッコファン30が停止している場合は第1通電モードを実行させ、シロッコファン30が駆動している場合は第2通電モードを実行させる。
シロッコファン30が停止している状態では、冷媒漏洩が発生した場合、漏洩した冷媒は、室内機5の筐体10内に充満し、第1領域24および第2領域26にも溜まることになる。そのため、第1通電モードにより第1冷媒検出センサ50または第2冷媒検出センサ51のいずれかに通電した状態でも、冷媒漏洩の検出が可能であるためである。
一方、シロッコファン30が駆動している場合は、熱交換器室14で空気が流れているので、第1領域24または第2領域26から冷媒漏洩が発生した場合、それぞれの領域で冷媒漏洩の検出を行う必要があるためである。
【0026】
また、制御部60は、例えば、圧縮機41が駆動している場合は第2通電モードを実行させ、圧縮機41が停止している場合は第1通電モードを実行させるようにしてもよい。
これは、圧縮機41が駆動している場合は、圧縮機41が停止している場合に比べて、特に暖房運転時に冷媒配管46内の冷媒圧力が高まるため、漏洩冷媒の濃度上昇速度が速い。そのため、圧縮機41が駆動している場合に第2通電モードを実行することで、迅速に冷媒漏洩を検出することができ、安全性を確保することができる。
圧縮機41を駆動させない場合に第1通電モードを実行することで、冷媒センサの寿命を延ばすことができる。
【0027】
[1-2.作用]
次に、本実施の形態の作用について説明する。
電動機34を駆動して、シロッコファン30を回転駆動することにより、吸込口16から空気が吸気され、この空気は、ファン開口部32より、回転軸35方向からスクロールケーシング31の内部に流入し、送風路33から室内熱交換器20に吹き出され、室内熱交換器20で熱交換された調和空気が吹出口17より吐出される。
【0028】
制御部60は、シロッコファン30が駆動されている場合には、第2通電モードで制御する。制御部60は、第1冷媒検出センサ50および第2冷媒検出センサ51の検出信号を入力し、第1領域24または第2領域26において、冷媒漏洩が発生したか否かを判断する。
第1冷媒検出センサ50または第2冷媒検出センサ51により冷媒漏洩が検出された場合は、制御部60は、冷媒遮断弁49を閉動作させる。
【0029】
また、制御部60は、シロッコファン30が停止している場合には、第1通電モードで制御する。この場合には、第1冷媒検出センサ50または第2冷媒検出センサ51の検出信号を入力し、第1領域24または第2領域26において、冷媒漏洩が発生したか否かを判断する。
第1冷媒検出センサ50または第2冷媒検出センサ51により冷媒漏洩が検出された場合は、制御部60は、冷媒遮断弁49を閉動作させる。
【0030】
[1-3.効果等]
以上説明したように、本実施の形態によれば、制御部60は、第1冷媒検出センサ50を第2冷媒検出センサ51のいずれか一方を通電させる第1通電モードと、第1冷媒検出センサ50と第2冷媒検出センサ51の両方を通電させる第2通電モードを実行させる。
これにより、第1通電モードで制御することで、第1冷媒検出センサ50または第2冷媒検出センサ51のいずれか一方のみに通電するので、第1冷媒検出センサ50または第2冷媒検出センサ51の劣化を軽減させることができる。一方、第2通電モードで制御して第1冷媒センサおよび第2冷媒センサの両方に通電させることで、それぞれの冷媒漏洩箇所の漏洩冷媒を迅速に検出することができる。
そのため、制御部60により、第1通電モードと第2通電モードとを切り替えるように制御することで、安全性を確保しつつ、冷媒検出センサの寿命を延ばすことができる。
【0031】
また、本実施の形態によれば、制御部60は、シロッコファン30(室内ファン)が停止している場合は第1通電モードを実行させ、シロッコファン30が駆動している場合は第2通電モードを実行させる。
これにより、シロッコファン30が停止している間は、漏洩冷媒は筐体内に充満するため、第1通電モードで、第1冷媒検出センサ50または第2冷媒検出センサ51のいずれかで検出するようにしたとしても、漏洩冷媒を検出することができる。一方、シロッコファン30が駆動している間は、漏洩冷媒が熱交換器室14を流れる空気により流されるため、第2通電モードで、第1冷媒検出センサ50および第2冷媒検出センサ51により、各冷媒漏洩箇所の漏洩冷媒を検出することができる。そのため、安全性を確保しつつ、冷媒検出センサの寿命を延ばすことができる。
【0032】
また、本実施の形態によれば、圧縮機41を収容する室外機40を備え、制御部60は、圧縮機41が駆動している場合は第2通電モードを実行させ、圧縮機41が停止している場合は第2通電モードを実行させる。
これにより、圧縮機41が駆動している場合は、圧縮機41が停止している場合に比べて、冷媒配管46内の冷媒圧力が高まるため、漏洩冷媒の濃度上昇速度が速い。そのため、圧縮機41が駆動している場合に第2通電モードを実行することで、迅速に漏洩冷媒を検出することができ、安全性を確保することができる。
圧縮機41を駆動させない場合に第1通電モードを実行することで、冷媒センサの寿命を延ばすことができる。
【0033】
また、本実施の形態によれば、制御部60は、第1冷媒検出センサ50と第2冷媒検出センサ51とを所定の期間ごとに交互に通電を切り替える第3通電モードを実行する。
これにより、第1冷媒検出センサ50と第2冷媒検出センサ51とを交互に通電させることにより、各冷媒センサの積算通電時間を短くすることができ、冷媒センサの寿命を延ばすことができる。
【0034】
また、本実施の形態によれば、制御部60は、第3通電モードを行う際、第1冷媒検出センサ50と第2冷媒検出センサ51との通電を切り替える際、所定時間、第1冷媒検出センサ50と第2冷媒検出センサ51を同時に通電させる。
これにより、冷媒センサの通電を切り替える際、通電時間を一部重複させることで、漏洩冷媒を検出できない時間が生じないようにすることができ、安全性を向上させることができる。
【0035】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について説明する。
図5は、実施の形態2における室内機5の平面図である。
[2-1.室内機の構成]
図5に示すように、本実施の形態においては、室内機5の内部には、第1領域24と第2領域26とを連通する連通管55が設けられている。
すなわち、第1領域24と第2領域26とは、連通管55を介して連通しているため、例えば、第1領域24で冷媒漏洩が発生した場合に漏洩冷媒が連通管55内を流れて第2領域26に送られ、第2領域26で冷媒漏洩が発生した場合に漏洩冷媒が連通管55内を流れて第1領域24に送られることになる。
【0036】
制御部60は、シロッコファン30の駆動・停止にかかわらず、第1冷媒検出センサ50および第2冷媒検出センサ51を第1通電モードで制御する。
その他の構成は、実施の形態1と同様であるため、同一部分には同一符号を付してその説明を省略する。
【0037】
[2-2.作用・効果]
本実施の形態においては、制御部60により、第1通電モードで制御され、この状態で、第1領域24または第2領域26のいずれか一方で冷媒漏洩が発生した場合、漏洩冷媒が連通管55内を流れて他方の領域に移動する。
これにより、第1通電モードにより第1冷媒検出センサ50または第2冷媒検出センサ51により冷媒を検出したとしても、第1領域24または第2領域26における冷媒漏洩を検出することができる。
【0038】
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3について説明する。
図6は、実施の形態3における制御部60を示すブロック図である。
[3-1.制御構成]
図6に示すように、室内機5には、第3冷媒検出センサ52が設けられている。
第3冷媒検出センサ52は、第1冷媒検出センサ50および第2冷媒検出センサ51とともに通電され、例えば、制御部60により、第2通電モードを制御している場合に、第1冷媒検出センサ50および第2冷媒検出センサ51とともに、第3冷媒検出センサ52でも漏洩冷媒を検出するように制御する。
室内機5としては、実施の形態2に示すように、冷媒の連通管55が設けられているものが好ましい。そして、第3冷媒検出センサ52は、第1領域24または第2領域26のいずれかに設置される。
【0039】
[3-2.作用・効果]
本実施の形態においては、第1冷媒検出センサ50および第2冷媒検出センサ51とともに第3冷媒検出センサ52に通電することで、例えば、第1冷媒検出センサ50と第3冷媒検出センサ52により冷媒検出が行われているのに、第2冷媒検出センサ51では冷媒検出が行われていない場合、制御部60は、第2冷媒検出センサ51が故障であると判断する。
制御部60は、第2冷媒検出センサ51が故障であると判断した場合には、ユーザに対してその旨を報知する。
これにより、冷媒検出センサの故障を判断することができる。
また、制御部60は、一方の冷媒検出センサが故障であると判断した場合、第1通電モードにおいて、当該一方の冷媒検出センサへの通電を行わず、他方の冷媒検出センサに通電を行うと好ましい。これにより、漏洩冷媒の検知をより確実に行うことができる。
【0040】
また、第3冷媒検出センサ52を設けず、冷媒検出センサの故障を判断することもできる。
例えば、第2通電モードで制御中に、第1冷媒検出センサ50では冷媒を検出し、第2冷媒検出センサ51では冷媒を検出していない場合、冷媒漏洩が発生したと判断して冷媒遮断弁49の閉動作を行う。その場合に、冷媒漏洩が誤検出であった場合、制御部60は、第1冷媒検出センサ50の誤検出回数をカウントし、誤検出回数が所定回数を超えた場合、第1冷媒検出センサ50の故障であると判断するようにしてもよい。
【0041】
また、例えば、制御部60が、第1冷媒検出センサ50および第2冷媒検出センサ51の検出出力値を監視することで、検出出力値に異常があると判断した場合に、検出出力値に異常がある冷媒検出センサを故障と判断するようにしてもよい。また、空気調和装置1から空調システムを管理するサーバに検出出力値を送信し、サーバで冷媒検出センサの故障を判断してもよい。
【0042】
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1~実施の形態3を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。また、上記実施の形態1で説明した各要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
【0043】
そこで、以下、他の実施の形態を例示する。
実施の形態1では、圧縮機41が駆動している場合に、第2通電モードを実行する構成を説明したが、本発明はこれに限られず、室内機5内の冷媒配管28に冷媒が流れている状況で第2通電モードを実行してもよい。冷媒が流れている状況では、室内機5内の冷媒配管28の冷媒圧力が高くなるためである。
ここで、室内機5に冷媒が流れている状況とは、例えば、冷房運転や暖房運転がある。また、室内機5に冷媒が流れていない状況とは、例えば、室内機5の空調運転を停止している間、サーモオフ運転(室温が設定温度に達したため、冷房運転や暖房運転を行わず、室内送風機を駆動させる運転)、または、送風運転がある。
【0044】
また、制御部60は、圧縮機41が停止してから所定時間内は、第2通電モードを実行し、圧縮機41が停止してから所定期間経過後に第1通電モードを実行してもよい。圧縮機41が停止しても所定時間は、室内機5の冷媒配管28に冷媒が流れており、冷媒配管28に冷媒が流れていない状態に比べて、冷媒配管28内の冷媒圧力が高く、漏洩冷媒の濃度上昇速度が速いためである。
また、制御部60は、圧縮機41の運転を開始してから所定時間経過内は第1通電モードを実行し、圧縮機41の運転を開始してから所定時間経過後に第2通電モードを実行しても良い。圧縮機41の運転開始後の所定時間内は、室内機5の冷媒配管28内の冷媒流量が少なく、漏洩冷媒の濃度上昇速度が比較的遅いためである。
【0045】
実施の形態1では、制御部60は、圧縮機41が駆動している場合に第2通電モードを実行する制御について説明したが、本出願において開示する技術はこれに限られず、例えば、暖房運転時において第2通電モードを実行させ、冷房運転時において第1通電モードを実行させてもよい。暖房運転時は、冷媒配管46内の冷媒圧力が特に高まるため、漏洩冷媒の濃度上昇速度が速く、迅速な漏洩冷媒検知が必要になるためである。これにより、安全性と冷媒センサの性能劣化の軽減を両立させることができる。
【0046】
実施の形態1から実施の形態3では、1台の室内機5を設ける構成で説明したが、本発明はこれに限られず、複数台の室内機を設ける構成であっても良い。この場合、例えば、2台の室内機の内、一方の室内機の冷媒配管に冷媒が流れており、他方の室内機の冷媒配管に冷媒が流れていない場合、一方の室内機は第2通電モードを実行し、他方の室内機は第1通電モードを実行することが好ましい。
【0047】
実施の形態1から実施の形態3では、室内機5の一例として、所謂ダクト室内機について説明した。室内機5は、ベンド部と配管接続部が異なる領域に収容されるものであればよい。従って、室内機5は、ダクト室内機に限定されない。例えば、室内機5として、2方向カセット、1方向カセット、床置室内機であっても良い。
実施の形態1では、室内ファンの一例として、シロッコファン30を説明したが、本発明はこれに限られず、室内ファンとして、ターボファン、クロスフローファン等であってもよい。
【0048】
なお、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
以上のように、本発明に係る空気調和装置は、冷媒検出センサの劣化を軽減させることができるとともに、漏洩冷媒を迅速に検出することができ、安全性を確保しつつ、冷媒検出センサの寿命を延ばすことができる空気調和装置に好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0050】
1 空気調和装置
5 室内機
10 筐体
13 送風室
14 熱交換器室
15 仕切壁
20 室内熱交換器
22 熱交換領域
23 第1仕切板
24 第1領域
25 第2仕切板
26 第2領域
27 室内絞り装置
28 冷媒配管
30 シロッコファン
31 スクロールケーシング
32 ファン開口部
40 室外機
41 圧縮機
42 四方弁
43 室外熱交換器
44 室外ファン
45 室外絞り装置
46 冷媒配管
47 液冷媒配管
48 ガス冷媒配管
49 冷媒遮断弁
50 第1冷媒検出センサ
51 第2冷媒検出センサ
52 第3冷媒検出センサ
55 連通管
60 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6