(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023030631
(43)【公開日】2023-03-08
(54)【発明の名称】砥面検査システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/04 20120101AFI20230301BHJP
【FI】
G06Q50/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021135859
(22)【出願日】2021-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】000151357
【氏名又は名称】株式会社東京ダイヤモンド工具製作所
(71)【出願人】
【識別番号】899000057
【氏名又は名称】学校法人日本大学
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(72)【発明者】
【氏名】山田 高三
(72)【発明者】
【氏名】内田 元
(72)【発明者】
【氏名】野原 直樹
(72)【発明者】
【氏名】津田 政明
(72)【発明者】
【氏名】八木 健
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC03
(57)【要約】
【課題】研削砥石の砥粒の三次元データを用いて、研削砥石の砥面の状態を高精度かつ定量的に評価することができる砥面検査システムを提供すること。
【解決手段】砥面検査システム1は、研削砥石2を、回転軸を中心に回転させる回転機構3と、点合焦輪郭法を応用した測定後焦点位置検出法を用いて、回転機構3によって回転している研削砥石2の砥面の三次元データを含む画像を連続的に取得する測定装置4と、画像を加工し、加工された加工画像を得る画像処理部511と、加工画像と加工画像を分類する分類カテゴリとの組を教師データとして教師あり学習を行うことにより、切れ刃砥粒突出量及び連続切れ刃間隔に関する学習モデルを構築する学習部512と、加工画像及び学習モデルに基づいて、研削砥石の砥面における切れ刃砥粒突出量の割合及び連続切れ刃間隔の割合を算出する砥面評価部513と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
研削砥石の砥面の状態を評価する砥面状態検査システムであって、
前記研削砥石を、回転軸を中心に回転させる回転機構と、
点合焦輪郭法を応用した測定後焦点位置検出法を用いて、前記回転機構によって回転している前記研削砥石の砥面の三次元データを含む画像を連続的に取得する測定装置と、
取得された前記画像を機械学習するために、前記画像を加工し、加工された加工画像を得る画像処理部と、
前記加工画像と前記加工画像を分類する分類カテゴリとの組を教師データとして教師あり学習を行うことにより、前記研削砥石の砥面の切れ刃砥粒突出量及び連続切れ刃間隔に関する学習モデルを構築する学習部と、
前記画像及び前記学習モデルに基づいて、前記研削砥石の砥面における前記切れ刃砥粒突出量の割合及び前記連続切れ刃間隔の割合を算出する砥面評価部と、
を備える砥面検査システム。
【請求項2】
前記画像処理部は、前記画像を前記砥面の砥粒単位で切り出すことによって、前記加工画像としての砥粒突出量画像を生成し、
前記学習部は、前記砥粒突出量画像と、前記砥粒突出量画像における砥粒突出量を分類する砥粒突出量分類カテゴリとを教師データとして教師あり学習を行うことにより、前記切れ刃砥粒突出量に関する学習モデルを構築し、
前記砥面評価部は、前記画像及び前記切れ刃砥粒突出量に関する学習モデルに基づいて、前記研削砥石の砥面における前記切れ刃砥粒突出量の割合を算出する、
請求項1に記載の砥面検査システム。
【請求項3】
前記画像処理部は、前記画像を、前記砥面の砥粒が複数存在する範囲で切り出すことによって、前記加工画像としての連続切れ刃間隔画像を生成し、
前記学習部は、前記連続切れ刃間隔画像と、前記連続切れ刃間隔画像における連続切れ刃間隔を分類する連続切れ刃間隔分類カテゴリとを教師データとして教師あり学習を行うことにより、前記連続切れ刃間隔に関する学習モデルを構築し、
前記砥面評価部は、前記画像及び前記連続切れ刃間隔に関する学習モデルに基づいて、前記研削砥石の砥面における前記連続切れ刃間隔の割合を算出する、
請求項1又は2に記載の砥面検査システム。
【請求項4】
前記砥粒突出量分類カテゴリは、前記砥粒突出量画像における前記砥粒突出量の範囲を含む、請求項2に記載の砥面検査システム。
【請求項5】
前記連続切れ刃間隔分類カテゴリは、前記連続切れ刃間隔画像における前記砥粒の分散状態、砥粒数及び砥粒突出量を含む、請求項3に記載の砥面検査システム。
【請求項6】
前記測定後焦点位置検出法は、前記研削砥石の測定後に、前記研削砥石の測定箇所ごとに焦点が合う高さを算出することを含む、
請求項1から5のいずれか一項に記載の砥面検査システム。
【請求項7】
研削砥石の砥面の状態を評価する砥面状態評価方法であって、
前記研削砥石を、回転軸を中心に回転させるステップと、
点合焦輪郭法を応用した測定後焦点位置検出法を用いて、回転している前記研削砥石の砥面の三次元データを含む画像を連続的に取得するステップと、
取得された前記画像を機械学習するために、前記画像を加工し、加工された加工画像を得るステップと、
前記加工画像と前記加工画像を分類する分類カテゴリとの組を教師データとして教師あり学習を行うことにより、前記研削砥石の砥面の切れ刃砥粒突出量及び連続切れ刃間隔に関する学習モデルを構築するステップと、
前記加工画像及び前記学習モデルに基づいて、前記研削砥石の砥面における前記切れ刃砥粒突出量の割合及び前記連続切れ刃間隔の割合を算出するステップと、
を備える砥面状態評価方法。
【請求項8】
コンピュータに、
点合焦輪郭法を応用した測定後焦点位置検出法を用いて、回転している研削砥石の砥面の三次元データを含む画像を連続的に取得するステップと、
取得された前記画像を機械学習するために、前記画像を加工し、加工された加工画像を得るステップと、
前記加工画像と前記加工画像を分類する分類カテゴリとの組を教師データとして教師あり学習を行うことにより、前記研削砥石の砥面の切れ刃砥粒突出量及び連続切れ刃間隔に関する学習モデルを構築するステップと、
前記加工画像及び前記学習モデルに基づいて、前記研削砥石の砥面における前記切れ刃砥粒突出量の割合及び前記連続切れ刃間隔の割合を算出するステップと、
を実行させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、砥面検査システム、砥面状態評価方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、研削砥石の砥面状態による研削性の良し悪しを外観判断するには、「切れ刃砥粒の状態(突出量)」とその砥粒切れ刃による「連続切れ刃間隔」の2つの基本情報が必要である。
【0003】
研削砥石の切れ刃砥粒の状態は、レプリカ法を用いた走査型電子顕微鏡(SEM)、レーザ顕微鏡等を用いて、小さなエリア単位でスポット観察することによって実施されていた。
【0004】
一方、連続切れ刃間隔は、大量のスポット観察を重ねることでしか観察できなかった。よって、連続切れ刃間隔のデータを取得するためには、長時間の手間とコストを要するが、得られるデータは、つぎはぎのデータとなり、砥面の研削性を定性的には判断できても定量的に評価するには不正確であった。
【0005】
そこで、研削砥石の砥面を評価するために、特許文献1のような技術が提案されている。特許文献1に記載の研削工具砥面評価装置は、研削工具の加工後に取得された画像データから、砥面における劣化部位の状態を表す情報を検出する検出部と、加工前の画像データから、劣化部位と位置が対応する加工前の画像を、研削性能低下要因を表す情報として抽出する抽出部とを具備する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載の研削工具砥面評価装置では、研削砥石の砥面を撮像した画像データのみを用いているため、研削砥石の砥粒の高さ方向の評価を十分に行うことができなかった。
【0008】
そこで、本発明は、研削砥石の砥粒の三次元データを用いて、研削砥石の砥面の状態を高精度かつ定量的に評価することができる砥面検査システム、砥面状態評価方法及びコンピュータプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る研削砥石の砥面の状態を評価する砥面検査システムは、前記研削砥石を、回転軸を中心に回転させる回転機構と、点合焦輪郭法を応用した測定後焦点位置検出法を用いて、前記回転機構によって回転している前記研削砥石の砥面の三次元データを含む画像を連続的に取得する測定装置と、取得された前記画像を機械学習するために、前記画像を加工し、加工された加工画像を得る画像処理部と、前記加工画像と前記加工画像を分類する分類カテゴリとの組を教師データとして教師あり学習を行うことにより、前記研削砥石の砥面の切れ刃砥粒突出量及び連続切れ刃間隔に関する学習モデルを構築する学習部と、前記画像及び前記学習モデルに基づいて、前記研削砥石の砥面における前記切れ刃砥粒突出量の割合及び前記連続切れ刃間隔の割合を算出する砥面評価部と、を備える。
【0010】
また、前記画像処理部は、前記画像を前記砥面の砥粒単位で切り出すことによって、前記加工画像としての砥粒突出量画像を生成し、前記学習部は、前記砥粒突出量画像と、前記砥粒突出量画像における砥粒突出量を分類する砥粒突出量分類カテゴリとを教師データとして教師あり学習を行うことにより、前記切れ刃砥粒突出量に関する学習モデルを構築し、前記砥面評価部は、前記画像及び前記切れ刃砥粒突出量に関する学習モデルに基づいて、前記研削砥石の砥面における前記切れ刃砥粒突出量の割合を算出する。
【0011】
また、前記画像処理部は、前記画像を、前記砥面の砥粒が複数存在する範囲で切り出すことによって、前記加工画像としての連続切れ刃間隔画像を生成し、前記学習部は、前記連続切れ刃間隔画像と、前記連続切れ刃間隔画像における連続切れ刃間隔を分類する連続切れ刃間隔分類カテゴリとを教師データとして教師あり学習を行うことにより、前記連続切れ刃間隔に関する学習モデルを構築し、前記砥面評価部は、前記画像及び前記連続切れ刃間隔に関する学習モデルに基づいて、前記研削砥石の砥面における前記連続切れ刃間隔の割合を算出する。
【0012】
また、前記砥粒突出量分類カテゴリは、前記砥粒突出量画像における前記砥粒突出量の範囲を含む。
【0013】
また、前記連続切れ刃間隔分類カテゴリは、前記連続切れ刃間隔画像における前記砥粒の分散状態、砥粒数及び砥粒突出量を含む。
【0014】
また、前記測定後焦点位置検出法は、前記研削砥石の測定後に、前記研削砥石の測定箇所ごとに焦点が合う高さを算出することを含む。
【0015】
本発明に係る研削砥石の砥面の状態を評価する砥面状態評価方法であって、前記研削砥石を、回転軸を中心に回転させるステップと、点合焦輪郭法を応用した測定後焦点位置検出法を用いて、回転している前記研削砥石の砥面の三次元データを含む画像を連続的に取得するステップと、取得された前記画像を機械学習するために、前記画像を加工し、加工された加工画像を得るステップと、前記加工画像と前記加工画像を分類する分類カテゴリとの組を教師データとして教師あり学習を行うことにより、前記研削砥石の砥面の切れ刃砥粒突出量及び連続切れ刃間隔に関する学習モデルを構築するステップと、前記加工画像及び前記学習モデルに基づいて、前記研削砥石の砥面における前記切れ刃砥粒突出量の割合及び前記連続切れ刃間隔の割合を算出するステップと、を備える。
【0016】
本発明に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、点合焦輪郭法を応用した測定後焦点位置検出法を用いて、回転している研削砥石の砥面の三次元データを含む画像を連続的に取得するステップと、取得された前記画像を機械学習するために、前記画像を加工し、加工された加工画像を得るステップと、前記加工画像と前記加工画像を分類する分類カテゴリとの組を教師データとして教師あり学習を行うことにより、前記研削砥石の砥面の切れ刃砥粒突出量及び連続切れ刃間隔に関する学習モデルを構築するステップと、前記加工画像及び前記学習モデルに基づいて、前記研削砥石の砥面における前記切れ刃砥粒突出量の割合及び前記連続切れ刃間隔の割合を算出するステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、研削砥石の砥粒の三次元データを用いて、研削砥石の砥面の状態を高精度かつ定量的に評価することができる砥面検査システム、砥面状態評価方法及びコンピュータプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本実施形態に係る砥面検査システムの全体構成を示す図である。
【
図2】本実施形態に係る測定装置の構成を示す図である。
【
図3】本実施形態に係る測定後焦点位置検出法の処理を示すフローチャートである。
【
図4】本実施形態に係る評価装置の構成を示す図である。
【
図5】砥粒突出量について説明するための図である。
【
図6】連続切れ刃間隔について説明するための図である。
【
図8】連続切れ刃間隔の評価について示す図である。
【
図9】本実施形態に係る砥面検査システムの処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本実施形態に係る砥面検査システム1の構成について説明する。
図1は、本実施形態に係る砥面検査システム1の全体構成を示す図である。砥面検査システム1は、研削砥石2の砥面の砥粒のデータを取得し、砥面の状態を評価することを目的とする。
【0020】
図1に示すように、砥面検査システム1は、研削砥石2と、回転機構3と、測定装置4と、評価装置5と、を備える。
【0021】
研削砥石2は、リング形状を有する砥石部分と、砥石部分を支持する基材部分とを備える。砥石部分は、例えばダイヤモンドの多数の砥粒を砥粒保持材(ボンド)によって固着したものである。また、砥面は、研削砥石2の表面である。
【0022】
回転機構3は、研削砥石2を回転させる回転軸、当該回転軸を駆動する駆動装置等を有し、研削砥石2を、回転軸を中心に一定の速度で回転させる。また、回転機構3は、研削砥石2を幅方向に移動可能な移動機構(図示せず)を備える。
【0023】
測定装置4は、点合焦輪郭法(Point Autofocus Profiling)を応用した測定後焦点位置検出法を用いて、回転機構3によって回転している研削砥石2の砥面の三次元データを含む画像を連続的に取得する。測定装置4は、取得した画像を評価装置5へ出力する。測定装置4の詳細な構成は、
図2を参照して後述する。
【0024】
評価装置5は、砥面の三次元データを含む画像を加工し、加工した加工画像を機械学習して、学習モデルを構築する。そして、評価装置5は、学習モデルを用いて、砥面の砥粒突出量及び連続切れ刃間隔を定量的に評価する。評価装置5の詳細な構成は、
図4を参照して後述する。
【0025】
図2は、本実施形態に係る測定装置4の構成を示す図である。
測定装置4は、上述したように、点合焦輪郭法を応用した測定後焦点位置検出法を用いて、回転機構3によって回転している研削砥石2の三次元データを取得し、研削砥石2の砥面の三次元データを含む画像を連続的に取得する。
【0026】
図2に示すように、測定装置4は、レーザ発振器41と、フォトダイオードセンサ42A及び42Bと、対物レンズ43と、集光レンズ44と、対物レンズ移動機構45と、ハーフミラー46A及び46Bと、を備える。また、対物レンズ移動機構45は、対物レンズ43を自動合焦(オートフォーカス)するためのオートフォーカス機構を有する。更に、測定装置4は、レーザ発振器41、フォトダイオードセンサ42A及び42B、対物レンズ移動機構45等を制御し、三次元データを含む画像を評価装置5へ出力する制御部(図示せず)を備える。
【0027】
なお、
図2において、対物レンズ移動機構45は、対物レンズ43を高さ方向D1に移動可能であり、回転機構3は、幅方向D2に移動可能である。また、高さ方向測定間隔D3は、測定装置4が対物レンズ43を高さ方向D1に移動する間隔を示す。
【0028】
次に、点合焦輪郭法及び点合焦輪郭法を応用した測定後焦点位置検出法について説明する。
点合焦輪郭法において、レーザ発振器41からレーザ光は、2つのハーフミラー46A及び46Bで屈折され、対物レンズ43を通り、測定対象物である研削砥石2の砥面に照射される。砥面で反射したレーザ光は、再び対物レンズ43及び集光レンズ44を通過し、2つのフォトダイオードセンサ42A及び42Bに受光される。フォトダイオードセンサ42A及び42Bの出力電圧をそれぞれVa,Vbとしたとき,両者の差を差分電圧Vと定義する。
【0029】
そして、差分電圧Vが0Vのとき、レーザ光は、測定物に合焦していることを示す。点合焦輪郭法では、対物レンズ43を対物レンズ移動機構45によってオートフォーカスさせることで、各測定箇所での差分電圧が0Vになる対物レンズ高さを求め、求めた対物レンズ高さの違いから砥面の局所高さを算出する。これを任意の測定範囲に対して測定を行うことで、砥面の三次元形状を得ることができる。
【0030】
点合焦輪郭曲線法は、これまでに幅広い分野への測定実績が報告されており、測定対象物の材質や形状によらず非常に高い測定精度を有していることが報告されている。しかしながら、点合焦輪郭曲線法を砥石表面の測定に適用するにあたり、測定能率が懸念される。
【0031】
すなわち、測定対象部の表面形状が平坦に近ければ、対物レンズ43が大きく移動することなく焦点位置に移動することができるので、局所高さを短い時間で算出できる。しかし、研削砥石のような非常に起伏の激しい表面においては、測定点ごとに対物レンズ43は、大きく移動しなければ焦点位置に戻れないため、測定時間は増加してしまう。さらに、砥面を高精度に測定するためには、研削砥石の円周及び幅方向の測定間隔を狭くする必要もあり、研削砥石の全周を測定するために要する時間は、測定点数が増えるごとに大きく増加する。したがって、点合焦輪郭曲線法を砥石表面の測定に適用するにあたり、測定時間を短縮することは、難しいのが現状である。
【0032】
そこで、測定装置4は、砥面を効率的に測定するために、点合焦輪郭曲線法におけるオートフォーカスを用いることなく、砥面を高効率で測定する測定後焦点位置検出法を用いて、砥面の三次元データを取得する。
【0033】
図3は、本実施形態に係る測定後焦点位置検出法の処理を示すフローチャートである。
測定後焦点位置検出法は、
図3に示すように、ステップS1からステップS12を備える。
【0034】
ステップS1において、回転機構3は、研削砥石2を回転させる。
ステップS2において、測定装置4は、サンプリング開始のためのトリガを検出し、サンプリングを開始する。測定装置4は、回転させた研削砥石2に対して、対物レンズ43の対物レンズ高さを、ある高さに固定したまま、研削砥石2の円周方向にフォトダイオードセンサ42A及び42Bの出力電圧をサンプリングする。
【0035】
ステップS3において、測定装置4は、サンプリングを終了する。
ステップS4において、測定装置4は、高さ方向の測定が終了したか否かを判定する。高さ方向の測定が終了した場合(YES)、処理は、ステップS6へ移る。一方、高さ方向の測定が終了していない場合(NO)、処理は、ステップS5へ移る。
【0036】
ステップS5において、測定装置4は、対物レンズ高さを高さ方向に一定間隔移動させ、その後、ステップ2へ移り、砥面の同じ箇所においてフォトダイオードセンサ42A及び42Bの出力電圧をサンプリングする。
【0037】
このように測定後焦点位置検出法において、測定装置4は、指定した対物レンズ高さまでステップS2からステップS5の処理を繰り返し、フォトダイオードセンサ42A及び42Bの出力電圧をサンプリングする。
【0038】
1幅分の高さ方向の測定が終了した後、ステップS6において、測定装置4は、対物レンズ43を高さ方向の初期位置に移動する。
【0039】
ステップS7において、測定装置4は、対物レンズ43の幅方向の測定が終了したか否かを判定する。幅方向の測定が終了した場合(YES)、処理は、ステップS9へ移る。一方、幅方向の測定が終了していない場合(NO)、処理は、ステップS8へ移る。
【0040】
ステップS8において、測定装置4は、研削砥石2を幅方向に一定間隔移動させ、その後、ステップ2へ移り、砥面の同じ箇所においてフォトダイオードセンサ42A及び42Bの出力電圧をサンプリングする。
【0041】
このように測定装置4は、1幅分の高さ方向の測定が終了した後、研削砥石2を幅方向に移動させ、再び順次対物レンズ高さを変えて測定を行う。
【0042】
幅方向の測定が終了した後、ステップS9において、測定装置4は、研削砥石2を幅方向の初期位置に移動させる。
ステップS10において、回転機構3は、研削砥石2の回転を停止させる。
ステップS11において、測定装置4は、測定を終了する。
ステップS12において、サンプリングしたフォトダイオードセンサ42A及び42Bの出力電圧から測定箇所ごとに焦点の合う高さを算出する。
【0043】
このように測定後焦点位置検出法は、点合焦輪郭曲線法とは異なり、各測定箇所でオートフォーカスさせるのではなく、順次対物レンズ高さを変えてフォトダイオードセンサ42A及び42Bの出力電圧を測定し、測定後に焦点の合う高さを算出する。
【0044】
すなわち、測定後、測定箇所ごとに焦点の合う高さを算出するため、測定装置4は、研削砥石2の円周方向にサンプリングした各出力電圧を、円周上の位置ごとに整理する。
測定装置4は、対物レンズ43の高さを変え、同じ円周上を測定した出力電圧も同様に整理することで、円周上の位置ごとに対物レンズ高さと出力電圧との関係を得ることができる。そして、測定装置4は、この関係から、研削砥石2の測定箇所ごとに焦点の合う高さを算出することができる。
【0045】
このように、測定装置4は、測定後焦点位置検出法を用いて、研削砥石2の砥面の三次元形状を抽出し、抽出した三次元形状のデータを含む画像(三次元分布)を連続的に取得する。
【0046】
図4は、本実施形態に係る評価装置5の構成を示す図である。
図4に示すように、評価装置5は、制御部51と、記憶部52と、通信部53と、入力部54と、表示部55と、を備える。
【0047】
制御部51は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部又は全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)等のハードウェア(回路部を含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。
【0048】
プログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等の記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROM等の着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されると、インストールされてもよい。
【0049】
ただし、制御部51は、後述するように機械学習に伴う演算量が多いため、例えば、パーソナルコンピュータにGPU(Graphics Processing Units)を搭載し、GPGPU(General-Purpose computing on Graphics Processing Units)と呼ばれる技術により、GPUを機械学習に伴う演算処理に利用するように構成することによって、高速処理を可能にしてもよい。
【0050】
更に、評価装置5は、より高速な処理を行うために、このようなGPUを搭載したコンピュータを複数台用いてコンピュータ・クラスターを構築し、このコンピュータ・クラスターに含まれる複数のコンピュータによって並列処理を行うようにしてもよい。
【0051】
記憶部52は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、ROM(Read Only Memory)等の非一過性の記憶媒体を備える記憶装置、又はRAM(Random Access Memory)等により実現される。
【0052】
通信部53は、ネットワークを介して測定装置4等のような外部機器と通信するための通信インタフェースである。
入力部54は、マウス、キーボード等のような入力インタフェースである。
表示部55は、画像を表示する装置である。表示部55は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electroluminescence)等である。
【0053】
次に、制御部51の処理について説明する。
図4に示すように、制御部51は、画像処理部511と、学習部512と、砥面評価部513と、を備える。
また、記憶部52は、画像記憶部521と、加工画像記憶部522と、学習モデル記憶部523と、を備える。
【0054】
画像処理部511は、測定装置4により取得された画像を機械学習するために、画像を加工し、加工された加工画像を得る。
【0055】
学習部512は、加工画像と加工画像を分類する分類カテゴリとの組を教師データとして教師あり学習を行うことにより、研削砥石2の砥面の切れ刃砥粒突出量及び連続切れ刃間隔に関する学習モデルを構築する。
【0056】
なお、機械学習を行うための教師データは、機械学習の精度を高めるために、多数用意されることが望ましい。また、学習部512は、例えば、回帰分析、ニューラルネットワーク、最小二乗法、ステップワイズ法等により、教師あり学習を行う。教師あり学習は、オンライン学習で行ってもよく、バッチ学習で行ってもよく、ミニバッチ学習で行ってもよい。例えば、学習部512は、ネットワークを介して機械学習用のコンピュータにアクセスして、当該コンピュータ上で深層学習(ディープラーニング)を実行し、実行した機械学習の結果を当該コンピュータから取得してもよい。
【0057】
砥面評価部513は、画像及び学習モデルに基づいて、画像の分類カテゴリを出力し、出力した各画像及び各画像の分類カテゴリから研削砥石の砥面における切れ刃砥粒突出量の割合及び連続切れ刃間隔の割合を算出する。
【0058】
画像記憶部521は、測定装置4により取得された画像を記憶する。
加工画像記憶部522は、画像処理部511より加工された加工画像を記憶する。
学習モデル記憶部523は、学習部512によって構築された学習モデルを記憶する。
【0059】
図5は、砥粒突出量について説明するための図である。
研削砥石の砥面をSEM(Scanning Electron Microscope)によって撮像したSEM像は、
図5の画像P1のようになる。
画像P1に示すように、ダイヤモンド等からなる複数の砥粒は、砥粒保持材(ボンド)によって固着されている。
模式
図P2は、画像P1のA-A’線における砥面の断面を模式的に示す図である。模式
図P2に示すように、砥粒突出量は、各砥粒が砥粒保持材の面から突き出した量である。
【0060】
図6は、連続切れ刃間隔について説明するための図である。
図6に示すように、画像P3から画像P8は、測定装置4によって取得された画像である。
画像P3及びP4は、砥粒の分散状態を示しており、画像P3は、砥粒が良好に分散している良分散状態であることを示し、画像P4は、砥粒が偏った偏分散状態であることを示す。
【0061】
画像P5及びP6は、砥粒数の疎密状態を示しており、画像P5は、砥粒数が密な状態を示し、画像P6は、砥粒数が疎な状態を示す。
画像P7及びP8は、砥粒の突出量状態を示しており、画像P7は、砥粒の突出量が高い状態を示し、画像P8は、砥粒の突出量が低い状態を示す。
【0062】
図7は、砥粒突出量の評価について示す図である。
図7に示すように、測定装置4は、測定後焦点位置検出法を用いて、研削砥石2の砥面の三次元データを含む画像を取得する(
図7の(1)砥面画像参照)。
【0063】
次に、画像処理部511は、砥面の三次元データを含む画像を砥面の砥粒単位で(砥粒1個を含む範囲で)切り出す(
図7の(2)切出し後参照)ことによって、加工画像としての砥粒突出量画像を生成する。画像処理部511は、切り出した砥粒突出量画像を加工画像記憶部522に記憶する。
【0064】
学習部512は、砥面の砥粒単位で切り出された砥粒突出量画像(代表画像)に、砥粒突出量画像における砥粒突出量を分類する砥粒突出量分類カテゴリを付与する(
図7の(3)定義付け(AI学習)参照)。砥粒突出量分類カテゴリの付与は、ユーザによる入力によって行われてもよく、別のアルゴリズムによって自動的に行われてもよい。
【0065】
ここで、
図7に示す例では、砥粒突出量分類カテゴリは、砥粒突出量画像における砥粒突出量の範囲を含み、砥粒の突出量の高さに応じて7段階に分けられている。
【0066】
そして、学習部512は、入力データとしての砥粒突出量画像と、ラベルとしての砥粒突出量分類カテゴリとを教師データとして教師あり学習を行うことにより、切れ刃砥粒突出量に関する学習モデルを構築する。学習部512は、構築した切れ刃砥粒突出量に関する学習モデルを学習モデル記憶部523に記憶する。
【0067】
次に、砥面評価部513は、画像記憶部521に記憶された画像及び学習モデル記憶部523に記憶された切れ刃砥粒突出量に関する学習モデルに基づいて、研削砥石2の砥面における切れ刃砥粒突出量の割合を算出する(
図7の(4)AI判定(割合算出)参照)。
【0068】
具体的には、
図7の(4)AI判定(割合算出)に示すように、砥面評価部513は、画像記憶部521に記憶された画像及び学習モデル記憶部523に記憶された切れ刃砥粒突出量に関する学習モデルに基づいて、各画像及び各画像の砥粒突出量分類カテゴリを出力する。そして、砥面評価部513は、各画像及び各画像の砥粒突出量分類カテゴリから1つの研削砥石における砥粒突き出し量別の含有率を算出し、算出結果を表示部55に表示する。
【0069】
このように砥面検査システム1は、切れ刃砥粒突出量の割合を算出することによって、研削砥石2の砥面の状態を高精度かつ定量的に評価することができる。よって、砥面検査システム1は、例えば、算出した切れ刃砥粒突出量の割合を用いて、研削砥石2の完成品のOK/NGを判定することが可能になる。
【0070】
図8は、連続切れ刃間隔の評価について示す図である。
図8に示すように、測定装置4は、測定後焦点位置検出法を用いて、研削砥石2の砥面の三次元データを含む画像を取得する(
図8の(1)砥面画像参照)。
【0071】
次に、画像処理部511は、砥面の三次元データを含む画像を、砥面の砥粒が複数存在する範囲で切り出すことによって、加工画像としての連続切れ刃間隔画像を生成する(
図8の(2)切出し後参照)。画像処理部511は、切り出した連続切れ刃間隔画像を加工画像記憶部522に記憶する。
【0072】
学習部512は、砥面の砥粒が複数存在する連続切れ刃間隔画像(代表画像)に、連続切れ刃間隔画像における連続切れ刃間隔を分類する連続切れ刃間隔分類カテゴリを付与する(
図8の(3)定義付け(AI学習)参照)。連続切れ刃間隔分類カテゴリの付与は、ユーザによる入力によって行われてもよく、別のアルゴリズムによって自動的に行われてもよい。
【0073】
ここで、連続切れ刃間隔分類カテゴリは、連続切れ刃間隔画像における砥粒の分散状態、砥粒数及び砥粒突出量を含み、砥粒の分散状態は、「良」又は「偏」な状態に分けられ、砥粒数は、「密」又は「疎」な状態に分けられ、砥粒突出量は、「高い」又は「低い」状態に分けられる。
【0074】
そして、学習部512は、入力データとしての連続切れ刃間隔画像と、ラベルとしての連続切れ刃間隔分類カテゴリとを教師データとして教師あり学習を行うことにより、連続切れ刃間隔に関する学習モデルを構築する。学習部512は、構築した連続切れ刃間隔に関する学習モデルを学習モデル記憶部523に記憶する。
【0075】
次に、砥面評価部513は、画像記憶部521に記憶された画像及び学習モデル記憶部523に記憶された連続切れ刃間隔に関する学習モデルに基づいて、研削砥石2の砥面における連続切れ刃間隔の割合を算出する(
図8の(4)AI判定(割合算出)参照)。
【0076】
具体的には、
図8の(4)AI判定(割合算出)に示すように、砥面評価部513は、画像記憶部521に記憶された画像及び学習モデル記憶部523に記憶された連続切れ刃間隔に関する学習モデルに基づいて、各画像及び各画像の連続切れ刃間隔分類カテゴリを出力する。そして、砥面評価部513は、各画像及び各画像の連続切れ刃間隔分類カテゴリから1つの研削砥石における連続切れ刃間隔量別の含有率を算出し、算出結果を表示部55に表示する。
【0077】
このように砥面検査システム1は、連続切れ刃間隔の割合を算出することによって、研削砥石2の砥面の状態を高精度かつ定量的に評価することができる。よって、砥面検査システム1は、例えば、算出した連続切れ刃間隔の割合を用いて、研削砥石2の完成品のOK/NGを判定することが可能になる。
【0078】
図9は、本実施形態に係る砥面検査システム1の処理を示すフローチャートである。
ステップS21において、回転機構3は、研削砥石2を回転させる。
ステップS22において、測定装置4は、測定後焦点位置検出法を用いて、回転機構3によって回転している研削砥石2の砥面の三次元データを含む画像を連続的に取得する。
【0079】
ステップS23において、画像処理部511は、砥面の三次元データを含む画像を砥面の砥粒単位で切り出すことによって、加工画像としての砥粒突出量画像を生成する。
ステップS24において、学習部512は、砥粒突出量画像と砥粒突出量分類カテゴリとの組を教師データとする。
【0080】
ステップS25において、画像処理部511は、砥面の三次元データを含む画像を、砥面の砥粒が複数存在する範囲で切り出すことによって加工画像としての連続切れ刃間隔画像を生成する。
ステップS26において、学習部512は、連続切れ刃間隔画像と連続切れ刃間隔分類カテゴリとの組を教師データとする。
【0081】
ステップS27において、学習部512は、加工画像と加工画像を分類する分類カテゴリとの組を教師データとして教師あり学習を行うことにより、研削砥石2の砥面の切れ刃砥粒突出量及び連続切れ刃間隔に関する学習モデルを構築する。
【0082】
具体的には、学習部512は、入力データとしての砥粒突出量画像と、ラベルとしての砥粒突出量分類カテゴリとを教師データとして教師あり学習を行うことにより、切れ刃砥粒突出量に関する学習モデルを構築する。また、学習部512は、入力データとしての連続切れ刃間隔画像と、ラベルとしての連続切れ刃間隔分類カテゴリとを教師データとして教師あり学習を行うことにより、連続切れ刃間隔に関する学習モデルを構築する。
【0083】
ステップS28において、砥面評価部513は、砥面の三次元データを含む画像及び学習モデルに基づいて、研削砥石2の砥面における切れ刃砥粒突出量の割合及び連続切れ刃間隔の割合を算出する。具体的には、砥面評価部513は、砥面の三次元データを含む画像及び切れ刃砥粒突出量に関する学習モデルに基づいて、研削砥石2の砥面における切れ刃砥粒突出量の割合を算出するまた、砥面評価部513は、砥面の三次元データを含む画像及び連続切れ刃間隔に関する学習モデルに基づいて、研削砥石2の砥面における連続切れ刃間隔の割合を算出する。
【0084】
以上説明したように、本実施形態に係る砥面検査システム1は、研削砥石2を、回転軸を中心に回転させる回転機構3と、点合焦輪郭法を応用した測定後焦点位置検出法を用いて、回転機構3によって回転している研削砥石2の砥面の三次元データを含む画像を連続的に取得する測定装置4と、取得された画像を機械学習するために、画像を加工し、加工された加工画像を得る画像処理部511と、加工画像と加工画像を分類する分類カテゴリとの組を教師データとして教師あり学習を行うことにより、研削砥石2の砥面の切れ刃砥粒突出量及び連続切れ刃間隔に関する学習モデルを構築する学習部512と、加工画像及び学習モデルに基づいて、研削砥石2の砥面における切れ刃砥粒突出量の割合及び連続切れ刃間隔の割合を算出する砥面評価部513と、を備える。
【0085】
これにより、砥面検査システム1は、切れ刃砥粒突出量の割合及び連続切れ刃間隔の割合を算出することによって、研削砥石2の砥面の状態を高精度かつ定量的に評価することができる。よって、砥面検査システム1は、例えば、算出した切れ刃砥粒突出量の割合及び連続切れ刃間隔の割合を用いて、研削砥石2の完成品のOK/NGを判定することが可能になる。
【0086】
また、画像処理部511は、砥面の三次元データを含む画像を砥面の砥粒単位で切り出すことによって、加工画像としての砥粒突出量画像を生成し、学習部512は、砥粒突出量画像と、砥粒突出量画像における砥粒突出量を分類する砥粒突出量分類カテゴリとを教師データとして教師あり学習を行うことにより、切れ刃砥粒突出量に関する学習モデルを構築し、砥面評価部513は、砥面の三次元データを含む画像及び切れ刃砥粒突出量に関する学習モデルに基づいて、研削砥石の砥面における切れ刃砥粒突出量の割合を算出する。
【0087】
これにより、砥面検査システム1は、切れ刃砥粒突出量に関する学習モデルに基づいて、切れ刃砥粒突出量の割合を算出することによって、研削砥石2の砥面の状態を高精度かつ定量的に評価することができる。
【0088】
また、画像処理部511は、砥面の三次元データを含む画像を、砥面の砥粒が複数存在する範囲で切り出すことによって、加工画像としての連続切れ刃間隔画像を生成し、学習部512は、連続切れ刃間隔画像と、連続切れ刃間隔画像における連続切れ刃間隔を分類する連続切れ刃間隔分類カテゴリとを教師データとして教師あり学習を行うことにより、連続切れ刃間隔に関する学習モデルを構築し、砥面評価部513は、砥面の三次元データを含む画像及び連続切れ刃間隔に関する学習モデルに基づいて、研削砥石の砥面における連続切れ刃間隔の割合を算出する。
【0089】
これにより、砥面検査システム1は、連続切れ刃間隔に関する学習モデルに基づいて、連続切れ刃間隔の割合を算出することによって、研削砥石2の砥面の状態を高精度かつ定量的に評価することができる。
【0090】
また、砥粒突出量分類カテゴリは、砥粒突出量画像における砥粒突出量の範囲を含む。また、連続切れ刃間隔分類カテゴリは、連続切れ刃間隔画像における砥粒の分散状態、砥粒数及び砥粒突出量を含む。これにより、砥面検査システム1は、切れ刃砥粒突出量に関する学習モデル及び連続切れ刃間隔に関する学習モデルを適切に構築することができる。
【0091】
また、測定後焦点位置検出法は、研削砥石の測定後に、前記研削砥石の測定箇所ごとに焦点が合う高さを算出することを含む。これにより、砥面検査システム1は、点合焦輪郭曲線法におけるオートフォーカスを用いることなく、砥面を高い効率で測定することができる。
【0092】
また、上述した各実施形態は、本発明の好適な実施形態ではあるが、上記各実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
【符号の説明】
【0093】
1 砥面検査システム
2 研削砥石
3 回転機構
4 測定装置
5 評価装置
41 レーザ発振器
42A,42B フォトダイオードセンサ
43 対物レンズ
44 集光レンズ
45 対物レンズ移動機構
46A,46B ハーフミラー
51 制御部
52 記憶部
53 通信部
54 入力部
55 表示部
511 画像処理部
512 学習部
513 砥面評価部
521 画像記憶部
522 加工画像記憶部
523 学習モデル記憶部