(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023030654
(43)【公開日】2023-03-08
(54)【発明の名称】燃料電池、電気化学装置及び燃料電池の締付調整方法
(51)【国際特許分類】
H01M 8/248 20160101AFI20230301BHJP
【FI】
H01M8/248
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021135899
(22)【出願日】2021-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 和也
(74)【代理人】
【識別番号】100164688
【弁理士】
【氏名又は名称】金川 良樹
(72)【発明者】
【氏名】田中 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】菊池 勇
【テーマコード(参考)】
5H126
【Fターム(参考)】
5H126AA25
5H126EE22
5H126JJ03
(57)【要約】
【課題】締付板に撓みが生じたとしても、締付板からセル積層体に均一的な面圧を付与できる燃料電池を提供する。
【解決手段】一実施の形態によれば、燃料電池は、複数の燃料電池セルを積層したセル積層体10と、燃料電池セルの積層方向でセル積層体10上に配置される集電板20と、集電板20上に配置される絶縁板30と、絶縁板30上に配置され、セル積層体10側に締め付けられることで集電板20及び絶縁板30をセル積層体10に保持する締付構造体40と、を備える。締付構造体40は、絶縁板30に面接触する平面部分を有する第1締付板41と、第1締付板41上に配置され、セル積層体10側に締め付けられることで第1締付板41を絶縁板30に押し付ける第2締付板42と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の燃料電池セルを積層したセル積層体と、
前記燃料電池セルの積層方向で前記セル積層体上に配置される集電板と、
前記集電板上に配置される絶縁板と、
前記絶縁板上に配置され、前記セル積層体側に締め付けられることで前記集電板及び前記絶縁板を前記セル積層体に保持する締付構造体と、を備え、
前記締付構造体は、前記絶縁板に面接触する平面部分を有する第1締付板と、前記第1締付板上に配置され、前記セル積層体側に締め付けられることで前記第1締付板を前記絶縁板に押し付ける第2締付板と、を有する、燃料電池。
【請求項2】
前記第1締付板の曲げ剛性は、前記絶縁板の曲げ剛性よりも大きい、請求項1に記載の燃料電池。
【請求項3】
前記第2締付板は、外周に沿うように形成された外側押圧部と、前記外側押圧部よりも中央側に設けられた内側押圧部と、を有し、
前記外側押圧部及び前記内側押圧部はそれぞれ、前記第1締付板に接しており、
前記外側押圧部と前記内側押圧部との間には、前記セル積層体側とは反対の側にへこむ凹部が設けられている、請求項1又は2に記載の燃料電池。
【請求項4】
前記第2締付板は、前記セル積層体から分離された状態において、前記内側押圧部が厚さ方向で前記外側押圧部よりも突き出るように構成される、請求項3に記載の燃料電池。
【請求項5】
前記第2締付板は、前記外側押圧部と前記内側押圧部とを接続する接続部を有し、
前記接続部の厚さ方向での断面形状はU字状であり、前記凹部は、U字状の前記接続部の内面により形成される、請求項3又は4に記載の燃料電池。
【請求項6】
前記第2締付板は、前記外側押圧部の外周側に締結部を有し、前記締結部から前記積層方向に付加される力により前記セル積層体側に締め付けられる、請求項3乃至5のいずれかに記載の燃料電池。
【請求項7】
前記第2締付板は、前記積層方向で見る場合に前記第1締付板の外周側に張り出す締結部を有し、前記締結部から前記積層方向に付加される力により前記セル積層体側に締め付けられ、
前記第1締付板には、前記締結部の張り出し方向とは反対の方向に延びる切欠きが設けられている、請求項1乃至6のいずれかに記載の燃料電池。
【請求項8】
前記第1締付板は、矩形状であり、前記締結部は、前記第1締付板の四隅から張り出しており、
前記切欠きは、前記第1締付板の四隅に設けられている、請求項7に記載の燃料電池。
【請求項9】
前記第2締付板は、プレス成形品である、請求項1乃至8のいずれかに記載の燃料電池。
【請求項10】
前記第2締付板の厚さは、3mm以下である、請求項1乃至9のいずれかに記載の燃料電池。
【請求項11】
複数の電気化学セルを積層したセル積層体と、
前記電気化学セルの積層方向で前記セル積層体上に配置される集電板と、
前記集電板上に配置される絶縁板と、
前記絶縁板上に配置され、前記セル積層体側に締め付けられることで前記集電板及び前記絶縁板を前記セル積層体に保持する締付構造体と、を備え、
前記締付構造体は、前記絶縁板に面接触する平面部分を有する第1締付板と、前記第1締付板上に配置され、前記セル積層体側に締め付けられることで前記第1締付板を前記絶縁板に押し付ける第2締付板と、を有する、電気化学装置。
【請求項12】
複数の燃料電池セルを積層したセル積層体と、前記燃料電池セルの積層方向で前記セル積層体上に配置される集電板と、前記集電板上に配置される絶縁板と、前記絶縁板上に配置され、前記セル積層体側に締め付けられることで前記集電板及び前記絶縁板を前記セル積層体に保持する締付板と、を備える燃料電池の締付調整方法であって、
前記締付板を取り外す工程と、
前記絶縁板上に、前記絶縁板に面接触する平面部分を有する追加締付板を設ける工程と、
前記追加締付板上に前記締付板を配置し前記セル積層体側に締め付けることで前記追加締付板を前記絶縁板に押し付け、前記集電板及び前記絶縁板を前記セル積層体に保持する工程と、を有する、燃料電池の締付調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、燃料電池、電気化学装置及び燃料電池の締付調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池、電解装置等の電気化学装置が知られている。燃料電池は、水素等の燃料と空気等の酸化剤とを化学的に反応させることで燃料から電気エネルギーを取り出す装置である。
【0003】
燃料電池の一例として、複数の燃料電池セルを積層したセル積層体と、一対の集電板と、一対の絶縁板と、一対の締付板と、を備えるものがある。
【0004】
上記タイプの燃料電池では、一対の集電板、一対の絶縁板及び一対の締付板が、セル積層体を挟み込むように配置される。一方側の集電板、絶縁板及び締付板は、セル積層体の積層方向における一方側の端面上にこの順で配置される。他方側の集電板、絶縁板及び締付板は、セル積層体の積層方向における他方側の端面上にこの順で配置される。そして、一対の締付板に跨がる締結材により一対の締付板が互いに近づくように締め付けられる。これにより、各部材が一体化される。
【0005】
上記のような締付板は、通常、セル積層体の外周側に張り出す複数の張り出し部分を有する。そして、各張り出し部分にはそれぞれ、締結位置が設定される。そして、一対の締付板を互いに近づくように締め付ける際には、締付板が、各締結位置で締付力を受ける。このとき、締付板は、締め付けに伴う撓みにより例えばその中央部分が浮き易くなる。
【0006】
締付板を用いる燃料電池では、隣り合う燃料電池セルの間の接触抵抗が大きくならないようにセル積層体に対する締付板からの面圧を均一にすることが望ましい。しかしながら、上述の浮きは、面圧の均一化を阻害し得る。
【0007】
締付板の構造としては、互いに交差するように組み合わされる複数の梁を有する構造や、部品の簡素化の観点から金型で一体成型される構造などが知られている。
【0008】
複数の梁を有する構造の締付板では、板厚を増加させたり、複数のリブを設けたりすることで、剛性増加により上述の浮きを抑制できる。ただし、形状及び構造が複雑になるため、コストが増加する虞がある。
【0009】
一方で、一体成型される構造の締付板の場合、通常、プレスや曲げの加工性(加工限界)の観点から板厚が数mm程度に制約される。そのため、剛性を確保し難い。そこで、一体成型される構造の締付板では、締め付け時に浮き易くなる位置にセル積層体側への凸部を設けることで、セル積層体に対する面圧の均一化を図る場合もある。
【0010】
しかしながら、上記凸部を有する締付板では、絶縁板に対する面圧が例えば凸部とその周囲とで異なる。この場合、一般に剛性が低い集電板及び絶縁板を介して、締付板からセル積層体に対して分布のある圧力がかかり得る。したがって、凸部を有する締付板であっても、面圧の均一化に関して依然として改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特許第5740214号公報
【特許文献2】特開2019-46540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、締付板に撓みが生じたとしても、締付板からセル積層体に均一的な面圧を付与できる燃料電池、電気化学装置及び燃料電池の締付調整方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
一実施の形態に係る燃料電池は、複数の燃料電池セルを積層したセル積層体と、前記燃料電池セルの積層方向で前記セル積層体上に配置される集電板と、前記集電板上に配置される絶縁板と、前記絶縁板上に配置され、前記セル積層体側に締め付けられることで前記集電板及び前記絶縁板を前記セル積層体に保持する締付構造体と、を備える。前記締付構造体は、前記絶縁板に面接触する平面部分を有する第1締付板と、前記第1締付板上に配置され、前記セル積層体側に締め付けられることで前記第1締付板を前記絶縁板に押し付ける第2締付板と、を有する。
【0014】
一実施の形態に係る電気化学装置は、複数の電気化学セルを積層したセル積層体と、前記電気化学セルの積層方向で前記セル積層体上に配置される集電板と、前記集電板上に配置される絶縁板と、前記絶縁板上に配置され、前記セル積層体側に締め付けられることで前記集電板及び前記絶縁板を前記セル積層体に保持する締付構造体と、を備える。前記締付構造体は、前記絶縁板に面接触する平面部分を有する第1締付板と、前記第1締付板上に配置され、前記セル積層体側に締め付けられることで前記第1締付板を前記絶縁板に押し付ける第2締付板と、を有する。
【0015】
一実施の形態に係る燃料電池の締付調整方法は、複数の燃料電池セルを積層したセル積層体と、前記燃料電池セルの積層方向で前記セル積層体上に配置される集電板と、前記集電板上に配置される絶縁板と、前記絶縁板上に配置され、前記セル積層体側に締め付けられることで前記集電板及び前記絶縁板を前記セル積層体に保持する締付板と、を備える燃料電池の締付調整方法である。この方法は、前記締付板を取り外す工程と、前記絶縁板上に、前記絶縁板に面接触する平面部分を有する追加締付板を設ける工程と、前記追加締付板上に前記締付板を配置し前記セル積層体側に締め付けることで前記追加締付板を前記絶縁板に押し付け、前記集電板及び前記絶縁板を前記セル積層体に保持する工程と、を有する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、締付板に撓みが生じたとしても、締付板からセル積層体に均一的な面圧を付与できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】一実施の形態に係る燃料電池の斜視図である。
【
図3】
図1に示す燃料電池のセル積層体における流路構造を説明する概略図である。
【
図4】
図1に示す燃料電池が備える締付構造体のうちの第1締付板を示す図である。
【
図5】
図1に示す燃料電池が備える締付構造体のうちの第2締付板を示す図である。
【
図6】
図5に示す第2締付板の締付前における断面図である。
【
図7】
図5に示す第2締付板の締付後における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付の図面を参照して一実施の形態に係る電気化学装置の例である燃料電池1を説明する。
【0019】
<燃料電池の全体構成>
図1は、一実施の形態に係る燃料電池1の斜視図である。
図2は、燃料電池1の分解斜視図である。
図1及び
図2に示す燃料電池1は、セル積層体10に含まれる燃料電池セル10c(
図2参照)で電気化学反応を発生され、これにより発電する装置である。
【0020】
燃料電池1は、セル積層体10と、一対の集電板20と、一対の絶縁板30と、一対の締付構造体40と、締結部材50と、マニホルドユニット60と、を備える。
【0021】
図2に示すように、セル積層体10は、複数の電気化学セルとしての燃料電池セル10cを積層して構成される。燃料電池セル10cは、例えば、水素を含む燃料ガスと酸素を含む空気(酸化剤)との電気化学反応により発電する。なお、
図1及び
図2における符号Stは、燃料電池セル10cが積層される方向(以下、積層方向)を示している。
【0022】
燃料電池セル10cは、例えば、電解質膜を燃料極及び酸化剤極で挟み込むことで構成される接合体と、この接合体に燃料及び酸化剤を供給するための流路を形成するセパレータと、を有する。セパレータは、例えば微細孔を有する導電性多孔質板で構成されてもよい。また、セパレータには、冷却水流路が設けられてもよい。また、図示のセル積層体10の外形は直方体状であるが、立方体状でもよいし、その他の六面体、その他の立体形状でもよい。
【0023】
一対の集電板20は、第1集電板20aと、第2集電板20bとで構成される。第1集電板20aは、セル積層体10の積層方向Stにおける一方側(
図1及び
図2において上側)の端面上に配置される。第2集電板20bは、セル積層体10の積層方向Stにおける他方側(
図1及び
図2において下側)の端面上に配置される。
【0024】
第1集電板20a及び第2集電板20bは、矩形の板状の導電体であり、例えばセル積層体10で生成された電気エネルギーを外部に送り出すための部材である。第1集電板20a及び第2集電板20bは、セル積層体10の矩形状の端面と同一又は相似の形状に形成される。第1集電板20a及び第2集電板20bは、一般に金属製の板材で構成されるが、導電体であればよい。第1集電板20a及び第2集電板20bは、例えば黒鉛の板材で構成されてもよい。
【0025】
一対の絶縁板30は、第1絶縁板30aと、第2絶縁板30bとで構成される。第1絶縁板30aは、積層方向Stで第1集電板20a上に配置される。第2絶縁板30bは、積層方向Stで第2集電板20b上に配置される。第1絶縁板30a及び第2絶縁板30bは、矩形の板状の絶縁体であり、例えば合成樹脂の板材で構成される。詳しくは、第1絶縁板30a及び第2絶縁板30bは、対面する第1集電板20a又は第2集電板20bと同一又は相似の矩形状に形成されている。
【0026】
一対の締付構造体40は、第1締付構造体40aと、第2締付構造体40bとで構成される。第1締付構造体40aは、積層方向Stで第1絶縁板30a上に配置される。第2締付構造体40bは、積層方向Stで第2絶縁板30b上に配置される。第1締付構造体40a及び第2締付構造体40bはそれぞれ、第1締付板41と、第2締付板42と、を有する。以下、第1締付構造体40aにおける第1締付板41は、第1締付板41aで表記され、第1締付構造体40aにおける第2締付板42は、第2締付板42aで表記される。第2締付構造体40bにおける第1締付板41は、第1締付板41bで表記され、第2締付構造体40bにおける第2締付板42は、第2締付板42bで表記される。
【0027】
第1締付板41a、41bはそれぞれ板状の部材であり、対応する絶縁板30a,30bと、対応する第2締付板42a,42bと、の間に配置される。本実施の形態では、第1締付板41a、41bが互いに同じ形状であり、第2締付板42a,42bも互いに同じ形状である。以下の説明では、第1締付板41a,41bの構成要素において互いに同一のものには、同一の符号が示され、第2締付板42a,42bの構成要素において互いに同一のものにも、同一の符号が示される。
【0028】
ただし、第1締付板41a、41bは必ずしも互いに同じ形状でなくてもよいし、第2締付板42a,42bも必ずしも互いに同じ形状でなくてもよい。
【0029】
図1及び
図2に示すように、第2締付板42a,42bはそれぞれ、積層方向Stで見る場合に第1締付板41a、41bの外周側に張り出す複数の締結部424A,424B,424C,424Dを有する。詳しくは、締結部424A,424B,424C,424Dは、セル積層体10、集電板20、絶縁板30及びマニホルドユニット60の外周側に対しても張り出している。なお、ここで言う「外周側に張り出す」とは、積層方向Stに対して直交する方向で、例えば第1締付板41a、41b等の部材を外側に越えることを意味する。
【0030】
図2に示すように、締結部424A,424B,424C,424Dにはそれぞれ、積層方向Stに貫通する貫通孔424A1,424B1,424C1,424D1が形成されている。締結部材50は、複数の締結部424A,424B,424C,424Dに対応して複数で設けられる。締結部材50は、図中上側にある第2締付板42aの締結部424A,424B,424C,424Dと、図中下側にある第2締付板42bの締結部424A,424B,424C,424Dとの間に跨がり、第2締付板42aと第2締付板42bとを互いに近づくように締め付ける。
【0031】
本実施の形態における締結部材50は、スタッドボルト52と、一対のワッシャ54と、一対のナット56と、を含む。スタッドボルト52の一端部は、第2締付板42aにおける貫通孔424A1,424B1,424C1,424D1に通され、スタッドボルト52の他端部は、第2締付板42bにおける貫通孔424A1,424B1,424C1,424D1に通される。そして、スタッドボルト52の一端部及び他端部のそれぞれにワッシャ54及びナット56が取り付けられる。
【0032】
以上の締結部材50の取付状態において、スタッドボルト52の一端部側のナット56及びスタッドボルト52の他端部側のナット56のうちの少なくともいずれかがセル積層体10側に締め付けられることで、第2締付板42a,42bは、締結部424A,424B,424C,424Dから積層方向Stに付加される力によりセル積層体10側に締め付けられる。これにより、集電板20及び絶縁板30がセル積層体10に保持される。なお、第1締付板41a、41b及び第2締付板42a,42bの構造の詳細は後述する。
【0033】
マニホルドユニット60は、
図1に示すようにセル積層体10の周囲に配置されている。マニホルドユニット60は、酸化剤極入口マニホルド61と、酸化剤極出口マニホルド62と、燃料極入口マニホルド63と、燃料極出口マニホルド64と、を有している。
【0034】
上述したように、燃料電池セル10cは、例えば、電解質膜を燃料極及び酸化剤極で挟み込むことで構成される接合体と、この接合体に燃料及び酸化剤を供給するための流路を形成するセパレータと、を有する。この場合、セパレータでは、通常、一方の面に燃料極流路が形成され、他方の面に酸化剤極流路が形成される。
【0035】
図3は、セル積層体10における流路構造を説明する概略図である。
図3には、各マニホルド61~64と、燃料電池セル10cを構成するセパレータ65と、セパレータ65に形成される燃料極流路66と、が示されている。
【0036】
燃料極入口マニホルド63及び燃料極出口マニホルド64は、セル積層体10を介して向き合っている。そして、燃料極入口マニホルド63及び燃料極出口マニホルド64は、燃料極流路66に流体的に接続する。発電を行う際には、水素を含む燃料(燃料ガス)が、図示されない配管部を流通して、燃料極入口マニホルド63に入り、燃料極流路66を通り、燃料極出口マニホルド64から、図示されない配管部を流通して、外部へ排出される。酸化剤は、図示されない配管部を流通して、酸化剤極入口マニホルド61に入り、セパレータ上の図示しない酸化剤極流路を通り、酸化剤極出口マニホルド62から、図示されない配管部を流通して、外部へ排出される。
【0037】
<締付構造体の構成>
以下、締付構造体40における第1締付板41a、41b及び第2締付板42a,42bについて詳述する。本実施の形態では、第1締付板41a、41bが互いに同じ形状であり、第2締付板42a,42bも互いに同じ形状である。したがって、説明の便宜のために、以下では、第1締付板41a及び第2締付板42aについて説明し、第1締付板41b及び第2締付板42bの説明は省略する。
【0038】
(第1締付板)
第1締付板41aは、上述したように板状の部材であり、対応する第1絶縁板30aと、対応する第2締付板42aとの間に配置されている。
図4は、セル積層体10が位置する側から見た場合の第1締付板41aを示す図である。
図2及び
図4に示すように、第1締付板41aは概略矩形の板状であり、第1絶縁板30aに面接触する平面部分411を有する。
【0039】
本実施の形態では、第1締付板41aが、対面する第1絶縁板30aと重ね合わされた際に、第1絶縁板30aに包含される大きさで形成されている。よって、本実施の形態では、第1締付板41aの第1集電板20a側の主面の全体が平面部分411となる。なお、本実施の形態では第1締付板41aが第1絶縁板30aに包含されるため、第1締付板41aは、第1絶縁板30aよりも小さい。この場合であっても、平面部分411は、第1絶縁板30aの中央を含む90%以上の範囲に面接触することが望ましい。一方で、平面部分411は、第1絶縁板30aよりも大きく形成され、第1絶縁板30aの全体に面接触してもよい。
【0040】
第1締付板41aは、第1絶縁板30aよりも高強度の部材から構成され、具体的には、第1締付板41aの曲げ剛性は、第1絶縁板30aの曲げ剛性よりも大きい。第1締付板41aは、例えば金属製の板材や、高強度の樹脂の板材で構成されてもよいが、その材質は特に限定されるものではない。
【0041】
また、第1締付板41aの四隅には、切欠き412A,412B,412C,412Dが形成されている。上述した第2締付板42aの締結部424A,424B,424C,424Dは、積層方向Stで見る場合に第1締付板41aの四隅から外周側に張り出す。これに対して、切欠き412A,412B,412C,412Dは、対応する締結部424A,424B,424C,424Dの張り出し方向とは反対の方向に延びている。
このような切欠き412A,412B,412C,412Dが設けられることで、締結時に撓む締結部424A,424B,424C,424Dと第1締付板41aとの接触時における面圧が緩和される。なお、本実施の形態では、第1締付板41aが対面する第1絶縁板30aと重ね合わされた際、第1締付板41aの周縁は、切欠き部分を除いて第1絶縁板30aの周縁に沿う状態になる。
【0042】
本実施の形態では、切欠き412A,412B,412C,412Dが、
図4に示すようにL字状に形成されるが、その形状は特に限定されない。切欠き412A,412B,412C,412Dは、例えば、矩形状、面取り状、中央側に凹む円弧状などでもよい。また、切欠き412A,412B,412C,412Dは形成されてなくてもよい。
【0043】
(第2締付板)
第2締付板42aは、第1締付板41a上に配置され、上述した締結部424A,424B,424C,424Dを介してセル積層体10側に締め付けられることで、第1締付板41aを第1絶縁板30aに押し付ける。
図5は、セル積層体10が位置する側から見た場合の第2締付板42aを示す図である。
【0044】
図2及び
図5に示すように、第2締付板42aは、平面視で概略矩形の板本体部420と、板本体部420の四隅から張り出す上述の締結部424A,424B,424C,424Dと、を有する。板本体部420は、締付時に第1締付板41aと重ね合わされる部分である。
図6は、第2締付板42aの締付前における断面図であり、
図2のVI-VI線に沿う断面図である。
図7は、
図6に対応する断面図であり、第2締付板42aの締付後における断面図である。
【0045】
図6及び
図7も参照し、板本体部420は平坦な形状ではなく、凹凸形状を有する。
図1及び
図2に示すように、板本体部420は、外周に沿うように形成された外側押圧部110と、外側押圧部110よりも中央側に設けられた内側押圧部115と、外側押圧部110と内側押圧部115とを接続する接続部としての梁部120と、を有し、梁部120が外側押圧部110及び内側押圧部115に対して隆起することで凹凸形状を形成している。
【0046】
外側押圧部110及び内側押圧部115は、第2締付板42aがセル積層体10側に締め付けられた際に、第1締付板41aに接する部分である。すなわち、外側押圧部110及び内側押圧部115は、第1締付板41aを介して第1絶縁板30aを押圧することになる。
【0047】
一方で、梁部120は、第1締付板41aに接しない部分である。
図6及び
図7に示すように、梁部120の厚さ方向での断面形状はU字状である。U字状の梁部120は、その内面により凹部120Aを形成する。凹部120Aは、セル積層体10側とは反対の側にへこんでおり、これにより、梁部120は、第2締付板42bがセル積層体10側に締め付けられた場合であっても第1締付板41aに接しない。
【0048】
外側押圧部110及び内側押圧部115についてより詳しく説明すると、本実施の形態では、
図6に示すように第2締付板42aがセル積層体10から分離された状態において、内側押圧部115が、厚さ方向(積層方向St)で外側押圧部110よりも突き出る。
【0049】
図6では、内側押圧部115の突き出し量Δtが誇張して描かれているが、突き出し量Δtは、第2締付板42bの厚さの25%以上40%以下、特に30%以上35%以下でもよい。より具体的には、例えば第2締付板42bの厚さが2mmで高張力鋼から形成される場合に、突き出し量Δtは、0.6mm以上0.7mm以下でもよい。
【0050】
一方で、
図7に示すように第2締付板42aがセル積層体10側に締め付けられた状態では、内側押圧部115及び外側押圧部110は共に、第1締付板41aに同一面上で接する。第2締付板42aでは、外側押圧部110の外周側に締結部424A,424B,424C,424Dが位置する。そして、第2締付板42aは、締結部424A,424B,424C,424Dから積層方向Stに付加される力によりセル積層体10側に締め付けられる。
【0051】
上記のように締め付けられた場合、第2締付板42aにおいて外側押圧部110よりも中央側に位置する内側押圧部115は、セル積層体10側とは反対の側に浮きやすくなる。ここで、上述したように第2締付板42aがセル積層体10から分離された状態において、内側押圧部115が厚さ方向で外側押圧部110よりも突き出る場合には、第2締付板42aがセル積層体10側に締め付けられた際に内側押圧部115及び外側押圧部110が第1締付板41aに接する状態を形成できる。これにより、第2締付板42aからの押圧力を第1締付板41aに均一的に付与でき、部分的な応力集中を回避できる。なお、外側押圧部110に対する内側押圧部115の突き出し量Δtの望ましい値は、第2締付板42bの厚さや材質に応じて変化する。
【0052】
外側押圧部110は、概略矩形の板本体部420の四辺に沿うように形成され、
図2に示すように、第1辺部110Aと、第2辺部110Bと、第3辺部110Cと、第4辺部110Dと、を有している。内側押圧部115は、第1辺部110A、第2辺部110B、第3辺部110C及び第4辺部110Dに囲まれるように位置している。内側押圧部115は、板本体部420の中央を含み、板本体部420と相似形状になっている。
【0053】
梁部120は、上述したように厚さ方向での断面形状がU字状となる部分であり、詳しくは、外側押圧部110の内周側で概略矩形の四辺を形成するように連なる第1梁要素124A、第2梁要素124B、第3梁要素124C及び第4梁要素124Dを有する。第1梁要素124A、第2梁要素124B、第3梁要素124C及び第4梁要素124Dはそれぞれ、長手方向に直交する厚さ方向での断面形状がU字状となる。第1梁要素124A、第2梁要素124B、第3梁要素124C及び第4梁要素124Dは、内側押圧部115の中心位置に対して点対称に配置されている。
【0054】
本実施の形態では、梁部120と締結部424A,424B,424C,424Dとが接続されている。詳しくは、第1梁要素124Aと第2梁要素124Bとの結合部分では、断面形状がU字状となる第1梁要素124Aと第2梁要素124Bは、内側押圧部115側を向く互いの内壁部を結合させる一方、それぞれの外壁部を板本体部420の対角線に沿うように板本体部420の角部側に延ばして結合させない。そして、板本体部420の対角線に沿うように延びる第1梁要素124Aの外壁部と第2梁要素124Bの外壁部は上端を互いに接続され、U字状の断面形状を形成する。そして、板本体部420の対角線の延長方向を向く第1梁要素124A及び第2梁要素124Bの外壁部の端部に、締結部424Aが接続する。締結部424AはU字状の断面形状を有し、そのU字状の断面を、第1梁要素124Aの外壁部と第2梁要素124Bの外壁部が形成するU字状の断面に連続させるように接続している。
【0055】
上述の接続態様と同様に、第2梁要素124Bと第3梁要素124Cとの結合部分に締結部424Bが接続する。第3梁要素124Cと第4梁要素124Dとの結合部分に締結部424Cが接続する。第4梁要素124Dと第1梁要素124Aとの結合部分に締結部424Dが接続する。
【0056】
上述のように梁部120と締結部424A,424B,424C,424Dとが接続されることで、隣り合う締結部の間に梁要素が滑らかに連続する状態になる。ここで、各梁要素124A,124B,124C,124Dそれぞれの中央側の高さは、両側に位置する締結部424A,424B,424C,424D側の部分の高さよりも小さくてもよい。本実施の形態では、具体的には各梁要素124A,124B,124C,124Dの高さが、その両端から中央に向かうに従い漸減している。
【0057】
本実施の形態では第2締付板42aがプレス成形品である。この場合、上述のような形状にすることで、各梁要素124A,124B,124C,124Dの中央側の肉厚が薄くなる状況を抑制できる。仮に、各梁要素124A,124B,124C,124Dの高さが長手方向の全長にわたって同一であるとすると、
図2に示すように例えば4つの梁要素124A,124B,124C,124Dは長手方向の中央側でより接近しているため、中央側の肉厚サイズが締結部側の肉厚サイズよりも薄くなりやすい。肉厚サイズが薄くなると、亀裂が生じやすくなり、セル積層体10を押圧する面圧も不均一になりやすい。これに対して、本実施の形態のように、各梁要素124A,124B,124C,124Dの中央側の高さを締結部側の高さよりも低くすれば、中央側の肉厚サイズが薄くならなくなり、亀裂も生じにくくなって、セル積層体10を押圧する面圧も均一化できる。また、各梁要素124A,124B,124C,124Dの全体での材料の使用量を削減でき、軽量化を図ることができる。
【0058】
また、隣り合う締結部とその間に位置する梁要素とで構成される部分は、一方の締結部から他方の締結部にかけて、連続的に高さが変化するように形成されてもよい。
【0059】
また、締結部424A,424B,424C,424Dはそれぞれ、セル積層体10側を向く縁部に、外側押圧部110と面一の鍔部126A、126B、126C、126Dを有する。鍔部126A、126B、126C、126Dを設けることで、第1締付板41aと第2締付板42aとの接触面積を増大できる。また、貫通孔424A1,424B1,424C1,424D1は、締結部424A,424B,424C,424Dの先端側における上面(セル積層体10側とは反対の側の面)に設けられている。
【0060】
第2締付板42aは、例えば厚さ2mmの高張力鋼(引っ張り強度400MPa)を母材とし、金型を使用して複数回の加圧プレス工程を経て1枚の板から一体成型される。この場合、第2締付板42aの板厚は2mm以下になる。第2締付板42aの板厚は特に限定されるものではないが、加工性の観点では、母材は厚すぎるのも薄すぎるのも良くない。この観点から、第2締付板42aの板厚は1.5mm以上3mm以下でもよいし、2mm以上3mm以下でもよい。板厚は公知の測定手段で測定され得る。
【0061】
上述のように第2締付板42aの板厚が比較的小さい場合には、軽量化及び加工性で有利になる、一方で、第2締付板42aの剛性は小さくなる。具体的には、第2締付板42aの曲げ剛性は、第1締付板41aの曲げ剛性よりも小さくなる。
【0062】
ここで、第2締付板42aの剛性が小さくなる場合、締結時に第2締付板42aが撓んで例えば中央側の部分が浮きやすくなる。これに対して、本実施の形態では中央側に凸状の内側押圧部115を設け、内側押圧部115は凹部120Aにより外側押圧部110と分離されている。しかも、内側押圧部115は締結前の状態において外側押圧部110よりも突き出る。これにより、第2締付板42aは撓んだとして第1締付板41aの広い範囲に接する。一方、第2締付板42aは、部分的に第1締付板41aに接することになるため、第1締付板41aには分布のある面圧が第2締付板42aから伝わる。しかし、第1締付板41aは平坦な板状で、第1絶縁板30aに面接触する平面部分411を有する。これにより、第1締付板41aからセル積層体10側に均一的な面圧を付与できる。
【0063】
<作用・効果>
次に、本実施の形態の作用・効果について説明する。
【0064】
燃料電池1を組み立てる際、まず、第1集電板20aがセル積層体10の積層方向Stにおける一方側の端面上に配置され、第2集電板20bが、セル積層体10の積層方向Stにおける他方側の端面上に配置される。次いで、第1絶縁板30aが、積層方向Stで第1集電板20a上に配置され、第2絶縁板30bが、積層方向Stで第2集電板20b上に配置される。
【0065】
次いで、第1絶縁板30a上に、第1締付板41a及び第2締め付板42aがこの順で配置され、第2絶縁板30b上に、第1締付板41b及び第2締め付板42bがこの順で配置される。そして、第2締付板42aの締結部424A,424B,424C,424Dと、第2締付板42bの締結部424A,424B,424C,424Dとの間にそれぞれ締結部材50を設け、締結部材50によって、第2締付板42aと第2締付板42bとを互いに近づくように締め付ける。
【0066】
上述のように締結部材50を締め付ける際、第2締付板42a,42bが撓みやすくなり、例えば中央側の部分が浮きやすくなる。これに対して、本実施の形態では、第2締付板42a,42bの中央側に凸状の内側押圧部115を設け、内側押圧部115は凹部120Aにより外側押圧部110と分離されている。しかも、内側押圧部115は締結前の状態において外側押圧部110よりも突き出る。これにより、第2締付板42a,42bが撓んだとして第1締付板41aの広い範囲に接する。
【0067】
一方、第2締付板42a,42bは、外側押圧部110と内側押圧部115とで部分的に第1締付板41aに接することになるため、第1締付板41a,41bには分布のある面圧が第2締付板42a,42bから伝わる。しかし、第1締付板41a,41bは平坦な板状で、絶縁板30a,30bに面接触する平面部分411を有する。これにより、第1締付板41a,41bからセル積層体10側に均一的な面圧を付与できる。すなわち、絶縁板30、集電板20、セル積層体10が、締付力による応力集中で損傷すること等を防止できる。
【0068】
以上に説明した本実施の形態に係る燃料電池1は、複数の燃料電池セル10cを積層したセル積層体10と、セル積層体10上に配置される集電板20と、集電板20上に配置される絶縁板30と、絶縁板30上に配置され、セル積層体10側に締め付けられることで集電板20及び絶縁板30をセル積層体10に保持する締付構造体40と、を備える。そして、締付構造体40は、絶縁板30に面接触する平面部分411を有する第1締付板41と、第1締付板41上に配置され、セル積層体10側に締め付けられることで第1締付板41を絶縁板30に押し付ける第2締付板42と、を有する。これにより、締付板(詳しくは、第2締付板42)に撓みが生じたとしても、第2締付板42からセル積層体10に均一的な面圧を付与できる。そして、面圧の均一化により接触抵抗を抑制でき、燃料電池1の性能を向上できる。
【0069】
また、締付構造体40においては板状の第1締付板41で剛性が担保できるため、第2締付板42は板厚の薄型化を可能とし、重量を削減できる。さらに、第2締付板42の一体成型において板厚を薄くすると、加工性が上がり、プレス成型のコストを削減できる。また、第2締付板42を薄くする等して撓みやすくすることで、締付時の伸び縮みを吸収できるため、燃料電池セル10cの破損を抑制でき且つ締付力の低下も抑制できる。
【0070】
また、本実施の形態では第2締付板42が積層方向Stで見る場合に第1締付板41の外周側に張り出す締結部424A,424B,424C,424Dを有し、第2締付板42は、締結部424A,424B,424C,424Dから積層方向Stに付加される力によりセル積層体10側に締め付けられる。そして、第1締付板41には、締結部424A,424B,424C,424Dの張り出し方向とは反対の方向に延びる切欠き412A,412B,412C,412Dが形成される。詳しくは、切欠き412A,412B,412C,412Dは、第1締付板41の四隅に設けられている。この場合、第2締付板42の締付時に締結部424A,424B,424C,424Dがセル積層体10側に撓んだ際に、締結部424A,424B,424C,424Dやその鍔部126A、126B、126C、126Dにおける大きく撓む部分が、第1締付板41と接触するのを回避でいる。これにより、第1締付板41において局所的に応力集中が生じるのを回避でき、第2締付板42からセル積層体10により均一的な面圧を付与できる。
【0071】
なお、2枚の締付板によってセル積層体を挟み込む燃料電池は既に存在する。上述した本実施の形態における第1締付板41は、このような既存の燃料電池に対して追加的に設けられもよく、これにより、既存の燃料電池の締付力が調整されてもよい。
すなわち、この場合には、まず、締付板を取り外す工程が行われる。
次いで、絶縁板上に、絶縁板に面接触する平面部分を有する追加締付板(第1締付板41相当)を設ける工程が行われる。
そして、追加締付板上に上記締付板を配置しセル積層体側に締め付けることで追加締付板を絶縁板に押し付け、集電板及び絶縁板をセル積層体に保持する工程が行われる。
【0072】
以上、一実施の形態及び変形例を説明したが、上記実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上述の実施の形態及びその他の変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0073】
例えば上述の実施の形態では燃料電池1が説明されたが、他の実施の形態として、上述した締付構造体40が、水素製造装置等として機能する電気化学装置(電解装置)に適当されてもよい。この場合、この電気化学装置は、複数の電気化学セルを積層したセル積層体と、電気化学セルの積層方向でセル積層体上に配置される集電板と、集電板上に配置される絶縁板と、絶縁板上に配置され、セル積層体側に締め付けられることで集電板及び絶縁板をセル積層体に保持する締付構造体と、を備える。そして、締付構造体が、絶縁板に面接触する平面部分を有する第1締付板と、第1締付板上に配置され、セル積層体側に締め付けられることで第1締付板を絶縁板に押し付ける第2締付板と、を有する。
マニホルドの配置は上述の実施の形態に限定されない。例えば、入出口を有するマニホルドと、このマニホルドにセル積層体を介して対向する対向マニホルドとを有する構造が採用されてもよい。この場合、入口からのガスは、セル積層体を介して対向マニホルドに流入してターンし、セル積層体を介して出口側に流れる。
【符号の説明】
【0074】
1…燃料電池、10…セル積層体、10c…燃料電池セル、20…集電板、20a…第1集電板、20b…第2集電板、30…絶縁板、30a…第1絶縁板、30b…第2絶縁板、40…締付構造体、40a…第1締付構造体、40b…第2締付構造体、41(41a,41b)…第1締付板、411…平面部分、412A,412B,412C,412D…切欠き、42(42a,42b)…第2締付板、420…板本体部、424A,424B,424C,424D…締結部、424A1,424B1,424C1,424D1…貫通孔、50…締結部材、52…スタッドボルト、54…ワッシャ、56…ナット、60…マニホルドユニット、61…酸化剤極入口マニホルド、62…酸化剤極出口マニホルド、63…燃料極入口マニホルド、64…燃料極出口マニホルド、65…セパレータ、66…燃料極流路、110…外側押圧部、110A…第1辺部、110B…第2辺部、110C…第3辺部、110D…第4辺部、115…内側押圧部、120…梁部、120A…凹部、124A…第1梁要素、124B…第2梁要素、124C…第3梁要素、124D…第4梁要素、126A,126B,126C,126D…鍔部