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特開2023-30720遠隔監視システム、及び遠隔監視システムの制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023030720
(43)【公開日】2023-03-08
(54)【発明の名称】遠隔監視システム、及び遠隔監視システムの制御方法
(51)【国際特許分類】
   G16H 40/00 20180101AFI20230301BHJP
【FI】
G16H40/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021135999
(22)【出願日】2021-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】000200677
【氏名又は名称】泉工医科工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099645
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 晃司
(74)【代理人】
【識別番号】100161090
【弁理士】
【氏名又は名称】小田原 敬一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 利佳
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA00
(57)【要約】
【課題】セキュリティを確保した上で、院内及び院外から医療機器の遠隔監視を可能とする。
【解決手段】医療用装置56の状態を示す装置情報D2を記憶して、ユーザーが使用するユーザー端末55に装置情報を提供する遠隔監視システム100は、医療用装置を識別する装置識別情報と、医療用装置を管理する施設を識別する施設識別情報とに紐づけて装置情報を記憶する記憶部50Bと、ユーザー端末からユーザーが所属する施設を識別する施設識別情報と、ユーザーを特定するユーザー特定情報とを取得する取得部11と、施設の施設端末にユーザー特定情報の承認要求を送信すると共に施設端末からユーザー特定情報の承認応答を受けることを条件として、ユーザーを識別する個人識別情報を、ユーザーが所属する施設の施設識別情報と紐づけて登録する登録部12とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用装置の状態を示す装置情報を記憶して、ユーザーが使用するユーザー端末に前記装置情報を提供する遠隔監視システムであって、
前記医療用装置を識別する装置識別情報と、前記医療用装置を管理する施設を識別する施設識別情報とに紐づけて前記装置情報を記憶する記憶部と、
前記ユーザー端末から前記ユーザーが所属する前記施設を識別する前記施設識別情報と、前記ユーザーを特定するユーザー特定情報とを取得する取得部と、
前記施設の施設端末に前記ユーザー特定情報の承認要求を送信すると共に前記施設端末から前記ユーザー特定情報の承認応答を受けることを条件として、前記ユーザーを識別する個人識別情報を、前記ユーザーが所属する前記施設の前記施設識別情報と紐づけて登録する登録部とを備える、遠隔監視システム。
【請求項2】
前記ユーザー端末を認証する認証部をさらに備え、
前記取得部は、前記ユーザー端末から前記施設識別情報と前記個人識別情報とを取得し、
前記認証部は、取得された前記施設識別情報と前記個人識別情報とを用いて前記ユーザー端末を認証すると共に、取得された前記施設識別情報に紐づけられている前記装置情報を前記ユーザー端末に提供する、請求項1に記載の遠隔監視システム。
【請求項3】
前記記憶部は、前記医療用装置に関連する画像情報を前記装置識別情報と前記施設識別情報とに紐づけて記憶しており、
前記認証部は、取得された前記施設識別情報に紐づけられている前記画像情報を前記ユーザー端末に提供する、請求項2に記載の遠隔監視システム。
【請求項4】
前記記憶部は、前記ユーザーが所属する前記施設の前記施設識別情報に紐づけて前記ユーザーの前記個人識別情報を記憶しており、
前記認証部は、認証した前記ユーザー端末から取得された前記個人識別情報に紐づけられている前記施設識別情報と同一の施設識別情報に、他のユーザーを識別する他の個人識別情報が紐づけられている場合、認証した前記ユーザー端末と前記他のユーザーが使用する他のユーザー端末との通信を許容する、請求項2又は3に記載の遠隔監視システム。
【請求項5】
医療用装置の状態を示す装置情報を記憶して、ユーザーが使用するユーザー端末に前記装置情報を提供する遠隔監視システムの制御方法であって、
前記医療用装置を識別する装置識別情報と、前記医療用装置を管理する施設を識別する施設識別情報とに紐づけて前記装置情報を記憶し、
前記ユーザー端末から前記ユーザーが所属する前記施設を識別する前記施設識別情報と、前記ユーザーを特定するユーザー特定情報とを取得し、
前記施設の施設端末に前記ユーザー特定情報の承認要求を送信すると共に前記施設端末から前記ユーザー特定情報の承認応答を受けることを条件として、前記ユーザーを識別する個人識別情報を、前記ユーザーが所属する前記施設の前記施設識別情報と紐づけて登録する、遠隔監視システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザー端末に医療用装置の状態を示す装置情報を提供する遠隔監視システム、及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高齢化及び人口減による人手不足が懸念されており、医療についても人手不足に対する対応が必要となっている。また、新型コロナウイルスの発生により、医療従事者の感染リスク低減及び負担軽減を目的とした新しい医療提供体制が必要となっている。これらの問題に対応するため、大規模で導入コストが高い遠隔監視システムの研究が進んでいる。
【0003】
例えば、任意のモバイルデバイスを用いて、ECMO(Extracorporeal Membrane Oxygenation)を装着した患者を遠隔監視及び管理するシステムがある。また、複数の病院の集中治療室の医療関連情報をネットワーク通信でつなぎ、集中治療の専門医師が支援センターから患者をモニタリングする事業が進んでいる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、医療従事者が望んでいるのは、導入コストが安く、且つセキュリティが確保された使い勝手の良い遠隔監視システムである。そして、このような遠隔監視システムは存在していない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る遠隔監視システムは、医療用装置の状態を示す装置情報を記憶して、ユーザーが使用するユーザー端末に前記装置情報を提供する遠隔監視システムであって、前記医療用装置を識別する装置識別情報と、前記医療用装置を管理する施設を識別する施設識別情報とに紐づけて前記装置情報を記憶する記憶部と、前記ユーザー端末から前記ユーザーが所属する前記施設を識別する前記施設識別情報と、前記ユーザーを特定するユーザー特定情報とを取得する取得部と、前記施設の施設端末に前記ユーザー特定情報の承認要求を送信すると共に前記施設端末から前記ユーザー特定情報の承認応答を受けることを条件として、前記ユーザーを識別する個人識別情報を、前記ユーザーが所属する前記施設の前記施設識別情報と紐づけて登録する登録部とを備える。
【0006】
また、本発明の一態様に係る遠隔監視システムの制御方法は、医療用装置の状態を示す装置情報を記憶して、ユーザーが使用するユーザー端末に前記装置情報を提供する遠隔監視システムの制御方法であって、前記医療用装置を識別する装置識別情報と、前記医療用装置を管理する施設を識別する施設識別情報とに紐づけて前記装置情報を記憶し、前記ユーザー端末から前記ユーザーが所属する前記施設を識別する前記施設識別情報と、前記ユーザーを特定するユーザー特定情報とを取得し、前記施設の施設端末に前記ユーザー特定情報の承認要求を送信すると共に前記施設端末から前記ユーザー特定情報の承認応答を受けることを条件として、前記ユーザーを識別する個人識別情報を、前記ユーザーが所属する前記施設の前記施設識別情報と紐づけて登録する。
【発明の効果】
【0007】
これにより、セキュリティを確保した上で、院内及び院外から医療機器の遠隔監視が可能となる。
【0008】
本発明のさらなる特徴は、添付図面を参照して例示的に示した以下の実施例の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】遠隔監視システムを説明するための概略図。
図2】遠隔監視システムの概略ブロック図。
図3】ユーザー端末同士の通信を説明するための概略図。
図4】登録処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための例示的な実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。ただし、以下の実施形態において説明する寸法、材料、形状及び構成要素の相対的な位置は任意に設定でき、本発明が適用される装置の構成又は様々な条件に応じて変更できる。また、特別な記載がない限り、本発明の範囲は、以下に具体的に記載された実施形態に限定されない。
【0011】
[第1実施形態]
図1に示す遠隔監視システム100は、医療用装置56の一例であるECMOの状態を示す装置情報D2(図2)を記憶して、ユーザーが使用するユーザー端末55に装置情報D2を提供する。なお、装置情報D2の提供は、ユーザー端末55への装置情報D2の送信によって実現されてもよく、ウェブページ等を介した装置情報D2の閲覧によって実現されてもよい。また、遠隔監視システム100は、装置情報D2を用いた遠隔監視だけで無く、医療従事者の負担及びリスクの軽減を目的に利用される。これにより、患者の安全性の向上を図ることができる。医療用装置56は、ネットワークに接続可能に構成されており、他の例として人工呼吸器又は患者の体内から排液を吸引する吸引装置等であってもよい。
【0012】
また、遠隔監視システム100は、クラウドサーバー50を備えている。クラウドサーバー50は、複数のコンピューターとしてのサーバーユニット51が組み合わされることにより一台の論理的なサーバーとして構成されている。ただし、単一のサーバーユニット51によりクラウドサーバー50が構成されてもよい。あるいは、クラウドコンピューティングを利用して論理的にクラウドサーバー50が構成されてもよい。クラウドサーバー50はネットワークに接続できるように構成されており、施設の一例である病院A、病院B、及びECMOセンターとネットワーク通信を実現するように構成されている。
【0013】
一例として、ネットワークは、TCP/IPプロトコルを利用してネットワーク通信を実現する。具体的には、LAN(Local Area Network)が、サーバーユニット51とWAN(Wide Area Network)としてのインターネットとを接続している。病院A、病院B、及びECMOセンターにおいては、施設端末54の一例であるパーソナルコンピューター、ユーザー端末55の一例であるスマートデバイス、及び医療用装置56の一例であるECMOと、病院内ネットワークを構成するLANとが、ルーター53を介してインターネットに接続されている。さらに、救急車57内には、インターネットに接続されている不図示のECMOが搭載されている。なお、各装置は、移動体通信などの無線通信、又は有線通信によって相互にデータを送受信する。また、各装置は、LANに代えて又は加えてインターネットにより、相互に接続されていてもよい。
【0014】
病院A及び病院Bにおいては、ICU(Intensive Care Unit)にECMOが設置されている。そして、ICUの外にいる医療従事者は、ユーザー端末55を用いてECMOを監視することができる。なお、ユーザー端末55は、一例としてスマートフォンなどのスマートデバイスであり、持ち運び可能なコンピューター装置である。また、ECMOセンターには、ER(Emergency Room)にユーザー端末55を所持した医療従事者が待機している。そして、ERにいる医療従事者は、患者を搬送中の救急車57に搭載されているECMOの装置情報D2として装置の状態を示すデータを見ることができる。これにより、ERにいる医療従事者は、搬送中の患者の様子を把握して、患者の受け入れ準備をすることができる。
【0015】
さらに、ECMOセンターには、ECMOの専門的知識を有する医療従事者が所属している。専門的知識を有する医療従事者は、病院A及び病院Bに設置されているECMOの状態を示すデータを、施設端末54を用いて一括監視できる。これにより、複数の施設の医療従事者が、専門的知識を有する医療従事者よる分析、診断、及び処置の指示等を受けることができる。
【0016】
図2に示す一例としての遠隔監視システム100は、クラウドサーバー50と、医療用装置56のデータを無線出力する通信モジュール56C(図2)と、ユーザー端末55の一例としてのスマートフォンと、施設端末54の一例としてのパーソナルコンピューターとを備えている。これにより、安価且つ容易に導入できる遠隔監視システム100を、ユーザーとしての医療従事者に提供できる。また、後述するアプリを用いることによって、遠隔監視システム100の自由度を高くでき、且つユーザーによる操作も簡単にすることができる。
【0017】
通信モジュール56Cは、セキュリティを確保した上で、ユーザー端末55との直接通信と、ルーター53との通信とを同時に行うことができるように構成されている。そして、通信モジュール56Cは、医療用装置56に接続されているか、又は医療用装置56に内蔵されている。また、ユーザー端末55の端末記憶部55Bは、医療用装置56をスマートフォンで監視するためのスマートフォン用アプリを記憶している。ユーザーは、スマートフォン用アプリを用いて、セキュリティを確保した上で、院内又は院外から医療用装置56の装置情報D2を閲覧して遠隔監視できる。
【0018】
また、ユーザーは、スマートフォン用アプリを用いて、ユーザー同士が、セキュリティを確保した上で情報のやり取りを行うことができる。例えば、ユーザー同士による情報のやり取りは、ユーザー同士によるチャット又はコメント入り画像の送受信等である。さらにユーザーは、医療用装置56を映すカメラ、又は医療用装置56が備えるカメラが撮影した画像又は映像を、スマートフォン用アプリを用いて視聴できる。例えば、当該カメラは、ユーザー端末55によって操作可能なスマートカメラである。そして、複数の医療用装置56が登録されている場合、画像又は映像を視聴するユーザーは、複数の医療用装置56を一括監視できる。
【0019】
施設端末54の管理記憶部54Bは、医療用装置56をパーソナルコンピューターで監視するためのPC用アプリを記憶している。ユーザーは、PC用アプリを用いて、セキュリティを確保した上で、院内又は院外から医療用装置56の装置情報D2を閲覧して遠隔監視できる。また、ユーザーは、医療用装置56を映すカメラ、又は医療用装置56が備えるカメラが撮影した画像又は映像を、PC用アプリを用いて視聴できる。そして、複数の医療用装置56が登録されている場合、画像又は映像を視聴するユーザーは、複数の医療用装置56を一括監視できる。さらにユーザーは、クラウドサーバー50のサーバー記憶部50Bが記憶している医療関連情報D1を、PC用アプリを用いて閲覧又は使用できる。一例として、医療関連情報D1は、装置情報D2と登録情報D3とに加えて、患者の情報、施設の情報、及びユーザーの情報等を含んでいる。
【0020】
クラウドサーバー50は、医療用装置56の装置情報D2等のデータを蓄積してサーバー記憶部50Bに記憶している。そして、クラウドサーバー50のサーバー制御部50Aは、ユーザーの管理と、医療用装置56から取得したデータの蓄積とを行う。また、ユーザーは、スマートフォン用アプリ又はPC用アプリを用いて、クラウドサーバー50にアクセスできる。そして、ユーザーは、クラウドサーバー50に蓄積されているデータを、データに紐づけられている日時を指定して閲覧又は使用できる。さらに、医療用装置56の製造業者が、医療用装置56の装置情報D2を閲覧できてもよい。なお、遠隔監視システム100は、市販の他のコンピューター装置、ルーター53、及びスマートカメラをさらに備えていてもよい。
【0021】
遠隔監視システム100を導入する際の各構成の組合せには自由度がある。これにより、医療従事者の使い勝手がよく、安価且つ容易にシステムを導入できる。例えば、ユーザーは、PC用アプリ又はスマートフォン用アプリのいずれかを導入するのみでシステムを利用してもよい。さらに、ユーザーは、既存の施設端末54又はユーザー端末55にアプリをインストールするのみで、システムを利用できる。そのため、ユーザーは、安価且つ容易に遠隔監視システム100を導入できる。
【0022】
遠隔監視システム100によれば、ウイルス性感染症への対策として、感染リスクが高いICUへの医療従事者の立ち入り回数を最小限に抑制できる。すなわち、医療従事者は、自宅及び院外を含むICUの外部から医療用装置56を遠隔監視できる。例えば、医療従事者は、スマートカメラが撮影した画像又は映像を見ながら医療用装置56を監視できる。また、遠隔監視システム100によれば、医療従事者の負担を軽減できる。すなわち、ICU内において待機する医療従事者の人数を削減できる。さらに、医療従事者が医療用装置56を遠隔監視できるので、医療従事者が帰宅困難な状況を改善できる。また、ユーザー同士は、セキュリティが確保された状態で情報をやり取りできる。
【0023】
また、遠隔監視システム100によれば、医療の安全性を向上できる。すなわち、熟練した医療従事者が遠隔地にいる場合でも、当該医療従事者からのアドバイスを受けることができる。また、医療用装置56に発生した異常を示す装置情報D2を、ユーザー端末55に通知できる。例えば、ICUにおいて重篤な患者に使用する医療用装置56から出力されるアラーム等の情報を、クラウドサーバー50を介してユーザー端末55に通知できる。これにより、医療従事者がアラームを聞き逃すリスクを低減できる。
【0024】
さらに、遠隔監視システム100によれば、新しい医療提供体制を構築できる。すなわち、遠隔監視システム100は、複数の施設(例えば病院A及び病院B)から取得した情報に加えて、病院と協力関係にある施設(例えばECMOセンター)から取得した情報を、リアルタイムで処理する。これにより、各病院単位の医療提供体制を、ネットワークを利用した新しい医療提供体制へ変化させることができる。また、クラウドサーバー50に蓄積されているビッグデータを、AI(Artificial Intelligence)による分析及びアシストに活用できる。さらに、医療従事者が在宅している状況であっても、ECMO等の高度な医療用装置56を活用できる。さらに、患者の搬送中に、搬送元と搬送先とで各種の医療関連情報D1を共有できる。
【0025】
[システムの制御系]
図2に示すように、クラウドサーバー50は、サーバー制御部50Aとサーバー記憶部50Bとを有している。また、施設端末54は、管理制御部54Aと管理記憶部54Bとを有している。また、ユーザー端末55は、端末制御部55Aと端末記憶部55Bとを有している。また、医療用装置56は、装置制御部56Aと装置記憶部56Bとを有している。また、サーバー制御部50A、管理制御部54A、端末制御部55A、及び装置制御部56A(以下「各制御部」ともいう)は、いずれも不図示のプロセッサを有している。一例として、各制御部のプロセッサは、CPU(Central Processing Unit)、又はMPU(Micro-Processing Unit)であり、メモリに記憶されたプログラムに基づいて、各装置の全体を制御すると共に、各種処理についても統括的に制御する。
【0026】
また、サーバー記憶部50B、管理記憶部54B、端末記憶部55B、及び装置記憶部56B(以下「各記憶部」ともいう)は、コンピューター読み取り可能な非一時的記録媒体である。そして、各記憶部は、いずれも各装置の制御プログラムを記憶している。また、各記憶部は、プロセッサが動作するためのシステムワークメモリであるRAM(Random Access Memory)、並びにプログラム及びシステムソフトウェアを格納するROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disc Drive)及びSSD(Solid State Drive)等の記憶装置を含む。本実施形態では、CPUが、ROM又はHDDに記憶された制御プログラムに従って、種々の演算、制御、及び判別等の処理動作を実行する。
【0027】
また、各制御部には、所定の指令及びデータを入力する入力装置として、タッチパネル、キーボード、若しくは各種スイッチを含む操作部が有線接続又は無線接続されている。また、制御部には、装置の入力状態、設定状態、計測結果、及び各種情報を表示する表示部が、有線接続又は無線接続されている。なお、制御部は、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、CF(Compact Flash)カード、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の可搬記録媒体、又はインターネット上のサーバー等の外部記憶媒体に記憶されたプログラムに従って各措置を制御することもできる。
【0028】
クラウドサーバー50のサーバー記憶部50Bは、装置情報D2を記憶する記憶部の一例である。そして、サーバー記憶部50Bは、装置情報D2を含む医療関連情報D1を記憶している。また、医療関連情報D1には、各種の識別情報を含む登録情報D3が含まれている。具体的に、登録情報D3は、各医療用装置56を識別する装置識別情報、医療用装置56を管理する各施設を識別する施設識別情報、及び各ユーザーを識別する個人識別情報を含んでいる。例えば、病院等の複数の施設のそれぞれは、ECMO等の複数の医療用装置56を管理している。また、複数の施設のそれぞれには、複数のユーザーが所属している。そして、それぞれの施設の各医療用装置56の装置識別情報と、各ユーザーの個人識別情報とが、登録情報D3に含まれている。
【0029】
施設識別情報は、複数の施設のそれぞれに固有の情報であり、一例として施設IDである。また、装置識別情報は、複数の医療用装置56のそれぞれに固有の情報であり、一例として装置IDである。そして、サーバー記憶部50Bは、医療用装置56を管理する施設の施設識別情報と紐づけて、当該医療用装置56の装置識別情報を記憶している。さらに、個人識別情報は、複数のユーザーのそれぞれに固有の情報であり、一例として個人IDである。そして、サーバー記憶部50Bは、ユーザーが所属する施設の施設識別情報に紐づけて、当該ユーザーの個人識別情報を記憶している。
【0030】
また、サーバー記憶部50Bは、医療用装置56を識別する装置識別情報と、医療用装置56を管理する施設を識別する施設識別情報とに紐づけて装置情報D2を記憶している。例えば、サーバー記憶部50Bは、装置情報D2として、医療用装置56に関連する画像情報を装置識別情報と施設識別情報とに紐づけて記憶している。当該画像情報は、一例として、カメラによって撮影された医療用装置56の画面の画像又は映像である。また、画像情報は、医療用装置56から出力された画面の画像又は映像であってもよい。また、装置情報D2は、医療用装置56の異常を示すデータであってもよく、医療用装置56の稼働状況を示すデータであってもよい。さらに、装置情報D2は、医療用装置56において検出されたデータ、例えば、吸気圧の値及び吸入中酸素濃度の値等であってよい。医療用装置56において検出されたデータには、患者の容態を示すデータが含まれていてもよい。
【0031】
さらに、サーバー記憶部50Bは、監視プログラムPGを記憶している。監視プログラムPGは、コンピューターとしてのサーバー制御部50Aを、取得部11、登録部12、及び認証部13として機能させる。すなわち、サーバー制御部50Aは、コンピューターハードウエアとソフトウエアとの組み合わせによって実現される論理的装置として、取得部11、登録部12、及び認証部13を有している。
【0032】
取得部11は、登録部12によるユーザーの利用登録時に、ユーザー端末55からユーザーが所属する施設を識別する施設識別情報と、ユーザーを特定するユーザー特定情報とを取得する。一例として、ユーザー特定情報は、ユーザーの氏名、アカウント名、電話番号、及び社員番号等の、各ユーザーを特定できる情報である。ユーザーは、自らをシステムの利用者として登録するために、ユーザー端末55からクラウドサーバー50にアクセスする。そして、ユーザーは、施設ID、施設毎に設定されているパスワード、及びユーザー特定情報を入力する。そして、取得部11は、ユーザー端末55から入力されたこれらの情報を取得する。
【0033】
また、取得部11は、認証部13によるユーザー端末55の認証時に、ユーザー端末55から施設識別情報と個人識別情報とを取得する。一例として、ユーザーは、クラウドサーバー50にアクセスする際に、施設ID、個人ID、及び施設毎に設定されているパスワードを入力する。そして、取得部11は、ユーザー端末55から入力されたこれらの情報を取得する。
【0034】
登録部12は、利用登録するユーザーがユーザー端末55から施設識別情報とユーザー特定情報とを入力すると、施設の施設端末54にユーザー特定情報の承認要求を送信する。そして、登録部12は、施設端末54からユーザー特定情報の承認応答を受けることを条件として、ユーザーを識別する個人識別情報を、ユーザーが所属する施設の施設識別情報と紐づけて登録する。さらに、登録部12は、登録した個人識別情報をユーザー端末55に送信する。なお、利用登録する際、施設識別情報とユーザー特定情報と共に、登録要求がユーザー端末55からクラウドサーバー50に送信されてもよい。登録部12は、登録要求に応じて施設端末54に承認要求を送信する。
【0035】
一例として、登録部12は、利用登録が申請されたユーザーの名前を、当該ユーザーが入力した施設識別情報に紐づけられている施設端末54に送信する。または、登録部12は、ユーザー端末55から受信したユーザー特定情報の一部又は全部を施設端末54に送信する。各施設の管理者は、施設端末54において受信したユーザーの名前を確認して、利用登録を承認する。そして、管理者は、施設端末54から承認応答をクラウドサーバー50へ送信する。なお、承認応答は、登録部12が送信したユーザー特定情報と、管理記憶部54Bが記憶しているユーザー特定情報とが一致することを条件として、管理制御部54Aが自動的に行ってもよい。
【0036】
これにより、セキュリティを確保した上で、ユーザーは、院内及び院外から医療機器を遠隔監視できる。また、登録部12は、ユーザー端末55からアクセスされる度に、又は毎月等の定期的なタイミングに、施設端末54へ承認要求を送信してもよい。なお、施設端末54は、院内に設置されているサーバー装置、例えば、HIS(Hospital Information System)、RIS(Radiology Information System)、又はPACS(Picture Archiving and Communication System)であってもよい。また、施設端末54は、院外に設置されていてもよい。
【0037】
さらに登録部12は、施設端末54又は医療用装置56からの要求に応じて装置識別情報を登録する。一例として、取得部11は、医療用装置56の装置識別情報と、医療用装置56を管理する施設の施設識別情報とを取得する。そして、登録部12は、取得された装置識別情報を施設識別情報と紐づけて登録し、サーバー記憶部50Bに記憶させる。また、登録部12は、医療用装置56の製造番号及び製造業者名等の情報を、装置識別情報及び施設識別情報と紐づけてサーバー記憶部50Bに記憶させてもよい。
【0038】
ユーザー端末55を認証する認証部13は、取得部11によってユーザー端末55から取得された施設識別情報と個人識別情報とを用いて、ユーザー端末55を認証する。また、認証部13は、取得部11によってユーザー端末55から取得された施設識別情報に紐づけられている装置情報D2を、認証したユーザー端末55に送信する。具体的に、ユーザー端末55から病院Aの施設識別情報を取得した場合、認証部13は、病院Aが管理する医療用装置56の装置情報D2をユーザー端末55に送信する。すなわち、認証部13は、病院Aの施設識別情報に紐づけられている装置情報D2をユーザー端末55に送信する。例えば、認証部13は、ユーザー端末55からの取得要求に応じて装置情報D2をユーザー端末55に送信する。代替的に、認証部13は、ユーザー端末55がクラウドサーバー50にアクセスした時に、自動的に装置情報D2をユーザー端末55に送信してもよい。
【0039】
さらに、認証部13は、取得された施設識別情報に紐づけられている画像情報を、認証したユーザー端末55に送信してもよい。この画像情報は、医療用装置56に関連する画像であり、サーバー記憶部50Bが装置識別情報と施設識別情報とに紐づけて記憶している。
【0040】
また、認証部13は、認証したユーザー端末55から取得された個人識別情報に紐づけられている施設識別情報と同一の施設識別情報に、他のユーザーを識別する他の個人識別情報が紐づけられている場合、認証したユーザー端末55と当該他のユーザーが使用する他のユーザー端末との通信を許容する。具体的に、図3を参照して説明すると、遠隔監視システム100には、複数のユーザーが登録されている。そして、同じ施設(図3では病院A)に所属する複数のユーザーの個人識別情報は、同一の施設識別情報に紐づけられている。そのため、認証部13は、同一の施設識別情報に紐づけられている個人識別情報によって識別される複数のユーザーについては、ユーザー同士のユーザー端末55の間の通信を許容する。一例として、ユーザー端末55の間の通信は、移動体通信又はアクセスポイントを介した無線若しくは有線通信によって行われる。例えば、ユーザー同士による通信では、医療関連情報D1のやり取り、チャット、又はコメント入り画像の送受信等が行われる。
【0041】
また、施設内での通信においては、認証されたユーザー端末55から取得された施設識別情報と同一の施設識別情報に紐づけられている装置識別情報によって識別される医療用装置56と、認証されたユーザー端末55との通信が許容されてもよい。図3の例では、ユーザー端末55と医療用装置56との間の通信は、Wifi規格等を利用した無線通信によって行われる。例えば、医療用装置56は、LANを介してユーザー端末55に接続されおり、ユーザー端末55からの指示に従い所定の処理を行う。または、医療用装置56は、ユーザー端末55に対して装置情報D2を出力する。
【0042】
また、通信モジュール56Cはアクセスポイント機能を有していてもよい。図3に示す病院Aにおいては、ルーター53を介して、院内に設置されているサーバーユニット51、施設端末54、ユーザー端末55、及び医療用装置56がインターネットに接続されている。さらに、通信モジュール56Cがアクセスポイントとして機能する場合、複数のユーザー端末55は、通信モジュール56Cを介して相互に通信できる。
【0043】
以上説明した遠隔監視システム100によれば、第三者が医療関連情報D1にアクセスできないように、個人ID及びパスワードによるアクセス管理と、施設端末54からの承認応答による登録認証を組み合わせた、アクセス制限及び登録制限が行われる。すなわち、各施設を識別する施設IDの付加と、各施設に置かれた管理者による承認とに基づいて、施設IDに対して各医療用装置56を識別する装置IDが紐づけられる。そして、遠隔監視システム100に蓄積されているデータが、どこの施設のどの医療用装置56のデータであるのかが管理される。また、医療従事者についても、施設IDとユーザーの個人IDとが紐づけられ、個人IDの登録は、各施設に置かれた管理者よる承認を受ける。この施設IDがデータを共有できるグループを識別する識別情報となる。また、個人IDによる認証と、ユーザー登録時の承認との二段階認証となるため、第三者はグループ内のデータにアクセスできず、セキュリティを高めることができる。
【0044】
[登録処理]
図4を参照して遠隔監視システム100におけるユーザーの登録処理について説明する。まず、システムの利用登録を望むユーザーは、ユーザー端末55から自身が所属する施設を識別する施設識別情報と、自身を特定するユーザー特定情報とを入力してクラウドサーバー50へ送信する。そして、取得部11は、ユーザー端末55から施設識別情報とユーザー特定情報とを取得する(S101)。続いて、登録部12は、取得部11が取得した施設識別情報によって識別した施設の施設端末54にユーザー特定情報の承認要求を送信する(S102)。
【0045】
登録部12は、施設端末54からユーザー特定情報の承認応答を受けると(S103でYES)、ユーザーの個人識別情報を施設識別情報と紐づけて登録する(S104)。また、登録部12は、登録した個人識別情報をユーザー端末55に送信して(S105)、登録処理が終了する。これにより、ユーザーは、登録された個人識別情報を取得して、遠隔監視システム100を利用できるようになる。一方、ユーザーを登録すべきでない場合(S103でNO)、例えば、ユーザー特定情報によって特定されるユーザーが、管理者が管理する施設に所属していない場合、管理者はユーザー登録を承認しない操作を行う。
【0046】
そして、非承認を示す情報が施設端末54からクラウドサーバー50へ送信される(S105)。一例として、管理者が非承認ボタンを選択すると、非承認信号がクラウドサーバー50へ送信される。登録部12は、非承認を示す情報を受信すると、登録できない旨を示す情報をユーザー端末55に送信する。そして、登録処理が終了する。
【0047】
以上説明した遠隔監視システム100によれば、ユーザーは、セキュリティを確保した上で、院内及び院外から医療用装置56を遠隔監視できる。なお、各実施形態を参照して本発明について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明に反しない範囲で変更された発明、及び本発明と均等な発明も本発明に含まれる。また、各実施形態及び各変形形態は、本発明に反しない範囲で適宜組み合わせることができる。
【0048】
例えば、装置情報D2を記憶する記憶部が、クラウドサーバー50とは別に設けられていてもよい。また、登録部12又は認証部13の少なくとも一方が、各施設のサーバー又は施設端末54に設けられていてもよい。一例として、認証部13が施設端末54に設けられている場合、認証部13は、認証したユーザー端末55に認証トークンを送信する。そして、ユーザー端末55は、認証トークンによってクラウドサーバー50から装置情報D2を取得する。また、登録部12が施設端末54に設けられている場合、登録部12は、登録要求と共にユーザーの個人識別情報と施設識別情報をクラウドサーバー50へ送信する。そして、サーバー記憶部50Bが、施設識別情報と紐づけて個人識別情報を記憶する。
【符号の説明】
【0049】
11 :取得部
12 :登録部
13 :認証部
50B:サーバー記憶部(記憶部)
55 :ユーザー端末
56 :医療用装置、
100:遠隔監視システム
D2 :装置情報
図1
図2
図3
図4