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  • 特開-測定方法 図1
  • 特開-測定方法 図2
  • 特開-測定方法 図3
  • 特開-測定方法 図4A
  • 特開-測定方法 図4B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023030765
(43)【公開日】2023-03-08
(54)【発明の名称】測定方法
(51)【国際特許分類】
   G01H 9/00 20060101AFI20230301BHJP
   G01B 11/00 20060101ALI20230301BHJP
   G01M 99/00 20110101ALI20230301BHJP
【FI】
G01H9/00 Z
G01B11/00 H
G01M99/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021136078
(22)【出願日】2021-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】521373526
【氏名又は名称】松田 七海
(74)【代理人】
【識別番号】100187746
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 憲之
(74)【指定代理人】
【識別番号】313012431
【氏名又は名称】松田 憲之
(74)【指定代理人】
【識別番号】322008852
【氏名又は名称】松田 亜希子
(72)【発明者】
【氏名】松田 七海
【テーマコード(参考)】
2F065
2G024
2G064
【Fターム(参考)】
2F065FF04
2F065JJ19
2F065JJ26
2F065MM01
2F065QQ08
2F065QQ23
2F065QQ24
2F065QQ25
2F065QQ31
2G024CA13
2G024FA06
2G024FA11
2G064AB02
2G064BA02
2G064BC40
2G064DD02
(57)【要約】
【課題】力学的運動を行う一つまたは複数の物体を、コンピューターを用いて簡便に測定できるようにする。
【解決手段】コンピューターの画像センサーにより画像データを取得し、あらかじめX-Y座標中に設定された複数の領域毎に画像データの変化を判別して記録することで測定する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像センサーと、演算部と記憶部とを少なくとも有するコンピューターを用いた測定方法であって、前記測定方法は、
前記画像センサーにより画像データを取得し、前記演算部に前記画像データを転送するステップAと、
前記演算部において前記画像データにX-Y座標データを付与し、かつX-Y座標データ中にあらかじめ設定された1以上の複数の領域のデータに基づいて、前記あらかじめ設定された領域毎に新たなデータnとして前記記憶部に記録するステップBと、
前記演算部において、あらかじめ設定された領域毎に記録された前記新たなデータnと新規に得られたデータn+1とが両方前記記憶部に存在する場合には、前記新たなデータと前記新規に得られたデータとを同じ領域毎に読み出して比較するステップCと、
前記ステップCにおいて比較により得られた差があらかじめ設定された値未満である場合には、変化なしと前記演算部において判定して記憶部に記録し、
前記ステップCにおいて比較により得られた差があらかじめ設定された値以上である場合には、変化ありと前記演算部において判定して記憶部に記録するステップDと、
あらかじめ設定された領域毎に記録された前記新たなデータと新規に得られたデータのいずれかが前記記憶部に存在しない場合には、ステップAが実行された後あらかじめ設定された一定時間を経過した後に、前記画像センサーが新たに画像データを取得して前記演算部に転送するステップEと、
前記ステップEが実行された場合には、前記演算部においてX-Y座標データを得られた画像データに付与し、かつX-Y座標データ中にあらかじめ設定された1以上の複数の領域のデータに基づいて、前記あらかじめ設定された領域毎に新しく得られたデータn+1として記憶部に記録するステップFとを有し、
前記ステップAからステップFはあらかじめ設定された時間間隔で繰り返され、一回繰り返されるごとに前記データ番号nは1増大するように設定され、かつ前記ステップDにおいて前記演算部により、同じ領域内において連続して変化ありと判定された場合には、あらかじめ設定された時間内は前記記憶部に対して当該同じ領域については変化ありとの記録を行わないことを特徴とするコンピューターを用いた測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピューターを用いた測定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
振動、回転、往復、放物運動、加速、減衰運動等の力学的運動を行う物体、好ましくは振動、回転、往復運動等の周期的運動を行う物体の動作や変化を測定するには、例えば学校や家庭などにおいては簡便な測定手段がなく、企業などにおいても専用の高価な測定系等を構築あるいは購入する必要があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
解決しようとする問題点は、専用の高価な測定装置を構築、購入することなく、振動、回転、往復、放物運動、加速、減衰運動等の力学的運動を行う物体、好ましくは振動、回転、往復運動等の周期的運動を行う物体の動作や変化を測定する簡便な測定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者は前記課題に鑑み、画像センサーと、演算部と記憶部とを少なくとも有するコンピューターを用いた測定方法であって、前記測定方法は、
前記画像センサーにより画像データを取得し、前記演算部に前記画像データを転送するステップAと、
前記演算部において前記画像データにX-Y座標データを付与し、かつX-Y座標データ中にあらかじめ設定された1以上の複数の領域のデータに基づいて、前記あらかじめ設定された領域毎に新たなデータnとして前記記憶部に記録するステップBと、
前記演算部において、あらかじめ設定された領域毎に記録された前記新たなデータnと新規に得られたデータn+1とが両方前記記憶部に存在する場合には、前記新たなデータと前記新規に得られたデータとを同じ領域毎に読み出して比較するステップCと、
前記ステップCにおいて比較により得られた差があらかじめ設定された値未満である場合には、変化なしと前記演算部において判定して記憶部に記録し、
前記ステップCにおいて比較により得られた差があらかじめ設定された値以上である場合には、変化ありと前記演算部において判定して記憶部に記録するステップDと、
あらかじめ設定された領域毎に記録された前記新たなデータと新規に得られたデータのいずれかが前記記憶部に存在しない場合には、ステップAが実行された後あらかじめ設定された一定時間を経過した後に、前記画像センサーが新たに画像データを取得して前記演算部に転送するステップEと、
前記ステップEが実行された場合には、前記演算部においてX-Y座標データを得られた画像データに付与し、かつX-Y座標データ中にあらかじめ設定された1以上の複数の領域のデータに基づいて、前記あらかじめ設定された領域毎に新しく得られたデータn+1として記憶部に記録するステップFとを有し、
前記ステップAからステップFはあらかじめ設定された時間間隔で繰り返され、一回繰り返されるごとに前記データ番号nは1増大するように設定され、かつ前記ステップDにおいて前記演算部により、同じ領域内において連続して変化ありと判定された場合には、あらかじめ設定された時間内は前記記憶部に対して当該同じ領域については変化ありとの記録を行わないことを特徴とするコンピューターを用いた測定方法を提供することで、前記課題を解決できることを見出した。
【0005】
好ましくは前記コンピューターはさらに入力部と画像出力装置とを有し、より好ましくは前記コンピューターは持ち運び可能に構成されており、さらに好ましくは前記コンピューターはノートパソコンである。
好ましくは前記測定方法は、力学的運動を行う物体をコンピューターを用いて測定する方法であり、より好ましくは周期的運動を行う物体あるいは振動している物体をコンピューターを用いて測定する方法である。
好ましくは前記画像センサーはCCD, CMOSあるいはそれらの組み合わせからなる。
【発明の効果】
【0006】
本発明のコンピューターを用いた測定方法を用いる事により、専用の高価な測定装置を構築、購入することなく、既存のコンピューターを用いて、振動運動、放物運動、加速、減衰運動等の力学的運動を行う物体、好ましくは振動運動等の周期的運動を行う物体の動作や変化をより簡単に、かつ手作業を行うよりも正確に測定することが可能となる。好ましくはノートパソコンなどの持ち運び可能に構成された既存の安価なパソコンを用いて、誰でも簡便に測定を行うことが可能となる。また、測定された結果が測定に用いたパソコンの記憶部に格納されるため、Excelなどの既存のソフトを用いて読み出すことで簡単に測定結果の解析、評価を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は本発明の実施方法を示した説明図である。(実施例1)
図2図2は本発明の実施方法を示した別の説明図である。(実施例1)
図3図3は本発明の測定方法のフローチャート図である。(実施例1)
図4A図4Aは本発明の測定方法を用いた測定結果をグラフ化した図である。
図4B図4Bは本発明の測定方法を用いた測定結果をグラフ化した図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、画像センサーと、演算部と記憶部とを少なくとも有するコンピューターを用いた測定方法であって、前記測定方法は、
前記画像センサーにより画像データを取得し、前記演算部に前記画像データを転送するステップAと、
前記演算部において前記画像データにX-Y座標データを付与し、かつX-Y座標データ中にあらかじめ設定された1以上の複数の領域のデータに基づいて、前記あらかじめ設定された領域毎に新たなデータnとして前記記憶部に記録するステップBと、
前記演算部において、あらかじめ設定された領域毎に記録された前記新たなデータnと新規に得られたデータn+1とが両方前記記憶部に存在する場合には、前記新たなデータと前記新規に得られたデータとを同じ領域毎に読み出して比較するステップCと、
前記ステップCにおいて比較により得られた差があらかじめ設定された値未満である場合には、変化なしと前記演算部において判定して記憶部に記録し、
前記ステップCにおいて比較により得られた差があらかじめ設定された値以上である場合には、変化ありと前記演算部において判定して記憶部に記録するステップDと、
あらかじめ設定された領域毎に記録された前記新たなデータと新規に得られたデータのいずれかが前記記憶部に存在しない場合には、ステップAが実行された後あらかじめ設定された一定時間を経過した後に、前記画像センサーが新たに画像データを取得して前記演算部に転送するステップEと、
前記ステップEが実行された場合には、前記演算部においてX-Y座標データを得られた画像データに付与し、かつX-Y座標データ中にあらかじめ設定された1以上の複数の領域のデータに基づいて、前記あらかじめ設定された領域毎に新しく得られたデータn+1として記憶部に記録するステップFとを有し、
前記ステップAからステップFはあらかじめ設定された時間間隔で繰り返され、一回繰り返されるごとに前記データ番号nは1増大するように設定され、かつ前記ステップDにおいて前記演算部により、同じ領域内において連続して変化ありと判定された場合には、あらかじめ設定された時間内は前記記憶部に対して当該同じ領域については変化ありとの記録を行わないことを特徴とするコンピューターを用いた測定方法であることを特徴とする。
【0009】
プログラムへの条件設定、入力の容易さ、記録されたデータの確認、分析、加工の観点から、好ましくは前記コンピューターはさらに入力部と画像出力装置とを有し、簡便な持ち運びと測定のセッティングの容易さ、安価、簡単に入手可能な観点から、好ましくは前記コンピューターは持ち運び可能に構成されており、より好ましくは前記コンピューターはノートパソコンである。それらコンピュータとしては、市販のコンピューターが好適に使用可能である。
【0010】
好ましくは前記測定方法は、力学的運動を行う1つまたは2つ以上の物体をコンピューターとその画像センサーを用いて同時に測定する方法であり、より好ましくは周期的運動を行う物体、例えば振動、往復運動、回転している1つまたは2つ以上の物体をコンピューターとその画像センサーを用いて同時に測定する方法である。前記振動している物体とは例えば振り子、回転している物体としては例えば風力発電機の羽、電気製品の回転部などがあげられる。
本発明の方法を用いる事で、力学的運動を行う物体の周期、速度、振れ幅、それらの変化(例えば加速、減速)の状態をコンピューターにより簡便に測定して記録することが可能となる。
好ましくは前記画像センサーはCCD,CMOSあるいはそれらの組み合わせからなる。前記画像センサーはコンピューターに外付けされていてもよいが、内蔵されていることが簡便な持ち運び及び測定を行う観点からより好ましい。あるいは、画像センサー部を測定対象となる物体に応じて自在に配置する観点からは外付け画像センサーとすることが好ましい。
【0011】
本発明においては、X-Y座標データ中にあらかじめ1以上の複数の領域のデータを設定し、X-Y座標データ中にあらかじめ設定された1以上の複数の領域のデータに基づいて、その複数の領域毎に画像センサーにより取得した画像データを分割して記憶部に記録、演算部により読み出し、変化の判定を行うことにより、精度よく力学的運動を行う物体の周期、速度、振れ幅、それらの変化(例えば加速、減速)の状態をコンピューターにより簡便に測定して記録することが可能となる。
【0012】
本発明においては、ステップDにおいて前記演算部により、同じ領域内において連続して変化ありと判定された場合には、あらかじめ設定された時間内は前記記憶部に対して当該同じ領域については変化ありとの記録を行わないことにより、連続して記録されることによるノイズを低減し、精度の高い分析が可能となる。
【0013】
以下、実施例により本発明の具体的な例を説明するが、本発明は以下の実施例に特段限定されるものではない。
【実施例0014】
以下のものを準備し、図1に示すようにセッティングを行う。
スクラッチプログラム
ノートパソコン一台(東芝製ダイナブック)
屋内用鉄棒1つ
ビー玉2つ
タコ糸
ミシン糸
ビー玉を包むためのゴム2つ
ここで、前記ゴム中にビー玉をセットし、ミシン糸の一端を結び付けて振り子1,振り子2を作成し、屋内用鉄棒に張ったタコ糸にミシン糸の他端を長さが40センチメートルになるように結んで振り子装置を作成する。なお、振り子1、振り子2は力学的運動を行う1つまたは2つ以上の物体の一例であり、特に本実施例に特に限定されるものではない。
【0015】
ここで、あらかじめスクラッチプログラミングの拡張機能中のビデオモーションセンサー(指定したスプライト(自分が作った図形など)の中に動きがあると、反応するセンサー機能)を振り子の測定機として使用するため、図2に記載するように、複数のスプライト領域をX-Y座標データ中に設定しておく。
【0016】
本実施例では複数の振り子1,2の動作を同時に測定できるようにするため、スクラッチプログラムを用いて、図2に示すようにX-Y座標のY<0領域に複数のスプライト領域を並べて振り子1用のセンサー1とし、X-Y座標のY>0領域に複数のスプライト領域を並べて振り子2用のセンサー2とする。測定する対象物、対象物の運動、対象物の数に応じて、個々のスプライトのX-Y座標における範囲(大きさ)、スプライトの配置、複数のスプライトの集合からなるセンサーの数を自在に設定することができる。作成したスプライト、センサー領域のデータは保存しておく。
【0017】
次に、本実施例においてはスクラッチプログラムを用いて図3に示すようなステップのプログラムを作成して保存しておく。
なお、本発明においては簡便にプログラムを作成する観点からスクラッチプログラムを使用したが、特に言及するまでもなく、他の公知のコンピュータープログラムを用いて同様に作成しても良い。
【0018】
図1に示すようにセッティングが完了すると、プログラムを起動し、振り子1を揺らして振り子1及び振り子2の動きを計測する。計測された動きはノートパソコンの記憶部に格納される。
【0019】
計測が終了した後、ノートパソコンの記憶部に格納されている計測データのうち、0秒から25秒後までの振り子1及び振り子2の計測データをExcel&reg;を用いて読み出しグラフ化した。グラフ化した計測結果を図4A、Bに示す。図の横軸は計測秒、縦軸はX-Y座標のX座標中に配置されたストライプの番号である。なお、プログラムを作成時に、X=0に配置されたストライブに0,X座標のプラス側最初に配置されたストライプに1,X座標のプラス側に1の次に配置されたストライプに2、3,4,と順に番号を付与し、同様にX座標のマイナス側最初に配置されたストライプに-1,-1の次に配置されたストライプに-2、-3,-4,と順にあらかじめ番号を付与している。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明のコンピューターを用いた測定方法を用いる事により、専用の高価な測定装置を構築、購入することなく、既存のコンピューターを用いて、振動運動、放物運動、加速、減衰運動等の力学的運動を行う物体、好ましくは振動運動等の周期的運動を行う物体の動作や変化をより簡単に、かつ手作業を行うよりも正確に測定することが可能となる。
【符号の説明】
【0021】
図1
1.ノートパソコン
2.ノートパソコン内蔵カメラ
3.屋内用鉄棒
4.タコ糸
5.振り子1
6.振り子2
図2
10.スプライト(X-Y座標中にあらかじめ設定された領域のデータ)
20.複数のスプライト(複数の領域)からなるセンサー領域1
30.複数のスプライト(複数の領域)からなるセンサー領域2
40.振り子1(力学的運動(振動、往復運動)を行う物体)
50.振り子2(力学的運動(振動、往復運動)を行う物体)
図3
100.ステップA
200.ステップB
300.ステップC
400.ステップD
500.ステップE
600.ステップF
図1
図2
図3
図4A
図4B