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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023030826
(43)【公開日】2023-03-08
(54)【発明の名称】空気調和機及び空気調和機の制御方法
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/41 20180101AFI20230301BHJP
【FI】
F24F11/41 110
F24F11/41 220
F24F11/41 240
F24F11/41 250
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021136173
(22)【出願日】2021-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 和宏
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 俊太郎
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260AB02
3L260BA03
3L260BA32
3L260BA42
3L260CA32
3L260CB04
3L260CB13
3L260DA09
3L260FA02
3L260FA15
3L260FB02
3L260FB08
3L260FB09
3L260FB13
(57)【要約】
【課題】昇華除霜を可能にし、かつ使用者の快適性を保つ空気調和機を提供する。
【解決手段】空気調和機の冷媒回路は圧縮機と室内熱交換器と減圧器と流量制御器と第1熱交換器部と第2熱交換器部とを含む室外熱交換器とに冷媒を循環させ、第1熱交換器部に流れる冷媒の流れを切り替える第1流路切替器と、第2熱交換器部に流れる冷媒の流れを切り替える第2流路切替器とを有する。制御部は暖房運転時に室外空気の温度が氷点より低く室外熱交換器が着霜したと判定した場合、第1熱交換器部及び第2熱交換器部のいずれか一方に流れる冷媒の流れ方向が切り替わるよう第1流路切替器及び第2流路切替器のいずれかを切り替え、室外熱交換器の除霜運転を開始する。制御部は除霜運転において第1熱交換器部及び上記第2熱交換器部のいずれか一方に流れる冷媒の温度を室外空気の上記温度より高く氷点より低い温度に制御して室外熱交換器に付着した霜の昇華除霜を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機と、室内熱交換器と、減圧器と、流量制御器と、第1熱交換器部と前記第1熱交換器部に並列に接続された第2熱交換器部とを含む室外熱交換器とに冷媒を循環させ、前記第1熱交換器部に流れる前記冷媒の流れ方向を切り替える第1流路切替器と、前記第2熱交換器部に流れる前記冷媒の流れ方向を切り替える第2流路切替器とを有する冷媒回路と、
前記室外熱交換器に室外空気を送風する室外ファンと、
暖房運転時に、前記室外空気の温度が氷点より低く、前記室外熱交換器が着霜したと判定した場合、前記第1熱交換器部及び前記第2熱交換器部のいずれか一方に流れる前記冷媒の流れ方向が切り替わるよう前記第1流路切替器及び前記第2流路切替器のいずれかを切り替え、前記室外熱交換器の除霜運転を開始する制御部と
を備え、
前記制御部は、前記除霜運転において前記第1熱交換器部及び前記第2熱交換器部のいずれか一方に流れる前記冷媒の温度を前記室外空気の前記温度より高く氷点より低い温度に制御して、前記室外熱交換器に付着した霜の昇華除霜を行う
空気調和機。
【請求項2】
請求項1に記載された空気調和機であって、
前記制御部は、前記第1熱交換器部及び前記第2熱交換器部のいずれか一方の除霜運転を行った後、前記第1熱交換器部及び前記第2熱交換器部の他方の除霜運転を行う
空気調和機。
【請求項3】
請求項1または2に記載された空気調和機であって、
前記減圧器は、第1減圧器と第2減圧器を含み、
前記冷媒回路においては、
前記第1熱交換器部の昇華除霜時には、前記流量制御器が前記第1熱交換器部の上流側に配置され、前記第1減圧器が前記第1熱交換器部の下流側に配置され、前記第1熱交換器部が前記流量制御器と前記第1減圧器との間に配置され、前記第1流路切替器が前記第1熱交換器部と前記流量制御器との間に配置され、
前記第2熱交換器部の昇華除霜時には、前記流量制御器が前記第2熱交換器部の上流側に配置され、前記第2減圧器が前記第2熱交換器部の下流側に配置され、前記第2熱交換器部が前記流量制御器と前記第2減圧器との間に配置され、前記第2流路切替器が前記第2熱交換器部と前記流量制御器との間に配置され、
前記制御部は、
前記第1熱交換器部の昇華除霜を開始するときには、前記第1減圧器を予め全閉状態にし、前記流量制御器を開状態にして前記第1流路切替器を操作し、前記第1減圧器を開状態にして前記第1熱交換器部に流れる前記冷媒の流れ方向を切り替え、
前記第2熱交換器部の昇華除霜を開始するときには、前記第2減圧器を予め全閉状態にし、前記流量制御器を開状態にして前記第2流路切替器を操作し、前記第2減圧器を開状態にして前記第2熱交換器部に流れる前記冷媒の流れ方向を切り替える
空気調和機。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1つに記載された空気調和機であって、
前記制御部は、前記昇華除霜時、前記圧縮機の回転数、前記室外ファンの回転数、及び前記流量制御器の開度の少なくとも1つを制御して、前記第1熱交換器部及び前記第2熱交換器部のいずれか一方に流れる前記冷媒の温度を前記室外空気の温度より高く、氷点より低い温度に制御する
空気調和機。
【請求項5】
圧縮機と、室内熱交換器と、減圧器と、流量制御器と、並列に接続された複数の熱交換器部を含む室外熱交換器に冷媒を循環させ、前記複数の熱交換器部のそれぞれに流れる前記冷媒の流れ方向を切り替える流路切替器を複数備えた冷媒回路と、
前記室外熱交換器に室外空気を送風する室外ファンと、
暖房運転時に、前記室外空気の温度が氷点より低く、前記室外熱交換器が着霜したと判定した場合、前記複数の熱交換器部のいずれかに流れる前記冷媒の流れ方向を切り替える前記流路切替器を操作し、前記複数の熱交換器部のいずれかに流れる前記冷媒の流れ方向を切り替えて前記室外熱交換器の除霜運転を開始する制御部と
を備え、
前記制御部は、前記除霜運転において前記複数の熱交換器部のいずれかに流れる前記冷媒の温度を前記室外空気の前記温度より高く氷点より低い温度に制御して、前記室外熱交換器に付着した霜の昇華除霜を行う
空気調和機。
【請求項6】
圧縮機と、室内熱交換器と、減圧器と、流量制御器と、第1熱交換器部と前記第1熱交換器部に並列に接続された第2熱交換器部とを含む室外熱交換器とに冷媒を循環させ、前記第1熱交換器部に流れる前記冷媒の流れ方向を切り替える第1流路切替器と、前記第2熱交換器部に流れる前記冷媒の流れ方向を切り替える第2流路切替器とを有する冷媒回路と、前記室外熱交換器に室外空気を送風する室外ファンとを具備する空気調和機において、
暖房運転時に、前記室外空気の温度が氷点より低く、前記室外熱交換器が着霜したと判定した場合、前記第1熱交換器部及び前記第2熱交換器部のいずれか一方に流れる前記冷媒の流れ方向が切り替わるよう前記第1流路切替器及び前記第2流路切替器のいずれかを切り替え、前記室外熱交換器の除霜運転を行う場合、
前記第1熱交換器部及び前記第2熱交換器部のいずれか一方に流れる前記冷媒の温度を前記室外空気の前記温度より高く氷点より低い温度に制御して、前記室外熱交換器に付着した霜の昇華除霜を行う
空気調和機の制御方法。
【請求項7】
請求項6に記載された空気調和機の制御方法であって、
前記第1熱交換器部及び前記第2熱交換器部のいずれか一方の除霜運転を行った後、前記第1熱交換器部及び前記第2熱交換器部の他方の除霜運転を行う
空気調和機の制御方法。
【請求項8】
請求項6または7に記載された空気調和機の制御方法であって、
前記減圧器は、第1減圧器と第2減圧器を含み、
前記冷媒回路においては、
前記第1熱交換器部の昇華除霜時には、前記流量制御器が前記第1熱交換器部の上流側に配置され、前記第1減圧器が前記第1熱交換器部の下流側に配置され、前記第1熱交換器部が前記流量制御器と前記第1減圧器との間に配置され、前記第1流路切替器が前記第1熱交換器部と前記流量制御器との間に配置され、
前記第2熱交換器部の昇華除霜時には、前記流量制御器が前記第2熱交換器部の上流側に配置され、前記第2減圧器が前記第2熱交換器部の下流側に配置され、前記第2熱交換器部が前記流量制御器と前記第2減圧器との間に配置され、前記第2流路切替器が前記第2熱交換器部と前記流量制御器との間に配置され、
前記第1熱交換器部の昇華除霜を開始するときには、前記第1減圧器を予め全閉状態にし、前記流量制御器を開状態にして前記第1流路切替器を操作し、前記第1減圧器を開状態にして前記第1熱交換器部に流れる前記冷媒の流れ方向を切り替え、
前記第2熱交換器部の昇華除霜を開始するときには、前記第2減圧器を予め全閉状態にし、前記流量制御器を開状態にして前記第2流路切替器を操作し、前記第2減圧器を開状態にして前記第2熱交換器部に流れる前記冷媒の流れ方向を切り替える
空気調和機の制御方法。
【請求項9】
請求項6~8のいずれか1つに記載された空気調和機の制御方法であって、
前記昇華除霜時、前記圧縮機の回転数、前記室外ファンの回転数、及び前記流量制御器の開度の少なくとも1つを制御して、前記第1熱交換器部及び前記第2熱交換器部のいずれか一方に流れる前記冷媒の温度を前記室外空気の前記温度より高く、氷点より低い温度に制御する
空気調和機の制御方法。
【請求項10】
圧縮機と、室内熱交換器と、減圧器と、流量制御器と、並列に配置された複数の熱交換器部を含む室外熱交換器に冷媒を循環させ、前記複数の熱交換器部のそれぞれに流れる前記冷媒の流れ方向を切り替える流路切替器を複数備えた冷媒回路と、前記室外熱交換器に室外空気を送風する室外ファンとを具備する空気調和機において、
暖房運転時に、前記室外空気の温度が氷点より低く、前記室外熱交換器が着霜したと判定した場合、前記複数の熱交換器部のいずれかに流れる前記冷媒の流れ方向を切り替える前記流路切替器を操作し、前記複数の熱交換器部のいずれかに流れる前記冷媒の流れ方向を切り替えて、前記室外熱交換器の除霜運転を行う場合、
前記複数の熱交換器部のいずれかに流れる前記冷媒の温度を前記室外空気の前記温度より高く氷点より低い温度に制御して、前記室外熱交換器に付着した霜の昇華除霜を行う
空気調和機の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除霜運転が可能な空気調和機及び空気調和機の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の一般的な除霜は、冷却装置の熱交換器に付着した霜を、氷点以上に加熱し、融解により霜取りを行う。これに対し、霜を氷点未満に保って昇華現象を利用して霜取りを行う方法を昇華除霜という。この方法は、除霜時の融解水が発生しないので、機器の凍結による破損防止や凍結防止ヒータの消費電力の削減につながる。
【0003】
冷却装置の熱交換器に付着した霜を昇華除霜する技術として、加熱された噴流空気を熱交換器に衝突させて霜を昇華除霜するものがある(例えば、特許文献1参照)。または、熱源となる加熱昇温装置を設け、加熱された冷媒を熱交換器に供給して熱交換器の昇華除霜を行う技術がある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11-118302号公報
【特許文献2】国際公開2017/175411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に係る技術では、冷却面を加熱するヒータ、空気を噴出する噴出装置が必要になる。特許文献2に係る技術においても冷媒を加熱する加熱昇温装置が必要になる。従って、これまではこれらの装置部品を追加し、空気調和機を複雑な構造にしなければ昇華除霜を行うことができない。また、これらの装置部品を追加することからコスト増大を招いていた。
【0006】
また、上記の技術は、利用側の温湿度範囲の変動幅が比較的狭い冷凍装置に関する技術である。上記の技術を、温湿度範囲の変動幅が広い空気調和機にそのまま適用させることは難しい。
【0007】
また、除霜中は室内機が停止するため、室温が低下する。停止時間が長いほど、室温低下が発生しやすい。空気調和機に昇華除霜を適用した場合、霜の融解熱に加え蒸発熱を要することから除霜にかかる時間は、霜を融解させて除霜を行う通常の除霜方式よりも長くなる場合がある。従って、昇華除霜による除霜運転は、通常の除霜方式に比べて室温低下が起きやすく、使用者に対して不快感を招くおそれがある。
【0008】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、室外空気の温湿度範囲の変動幅が広い空気調和機でも昇華除霜を可能にし、更に、昇華除霜によって融解水を生じさせないことで、ベースヒータの消費電力の削減、凍結による機器の破損の防止、除霜によって室内機が止まることで生じる室温低下の抑制をし、使用者の快適性を保つ空気調和機及び空気調和機の制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る空気調和機は、冷媒回路と、室外ファンと、制御部とを備える。
上記冷媒回路は、圧縮機と、室内熱交換器と、減圧器と、流量制御器と、第1熱交換器部と上記第1熱交換器部に並列に接続された第2熱交換器部とを含む室外熱交換器とに冷媒を循環させ、上記第1熱交換器部に流れる上記冷媒の流れ方向を切り替える第1流路切替器と、上記第2熱交換器部に流れる上記冷媒の流れ方向を切り替える第2流路切替器とを有する。
上記室外ファンは、上記室外熱交換器に室外空気を送風する。
上記制御部は、暖房運転時に、上記室外空気の温度が氷点より低く、上記室外熱交換器が着霜したと判定した場合、上記第1熱交換器部及び上記第2熱交換器部のいずれか一方に流れる上記冷媒の流れ方向が切り替わるよう上記第1流路切替器及び上記第2流路切替器のいずれかを切り替え、上記室外熱交換器の除霜運転を開始する。
上記制御部は、上記除霜運転において上記第1熱交換器部及び上記第2熱交換器部のいずれか一方に流れる上記冷媒の温度を上記室外空気の上記温度より高く氷点より低い温度に制御して、上記室外熱交換器に付着した霜の昇華除霜を行う。
【0010】
このような空気調和機であれば、室外熱交換器の昇華除霜が可能となる。
【0011】
空気調和機においては、上記制御部は、上記第1熱交換器部及び上記第2熱交換器部のいずれか一方の除霜運転を行った後、上記第1熱交換器部及び上記第2熱交換器部の他方の除霜運転を行ってもよい。
【0012】
このような空気調和機であれば、室外熱交換器の昇華除霜がより確実に行われる。
【0013】
空気調和機においては、上記減圧器は、第1減圧器と第2減圧器を含み、
上記冷媒回路においては、
上記第1熱交換器部の昇華除霜時には、上記流量制御器が上記第1熱交換器部の上流側に配置され、上記第1減圧器が上記第1熱交換器部の下流側に配置され、上記第1熱交換器部が上記流量制御器と上記第1減圧器との間に配置され、上記第1流路切替器が上記第1熱交換器部と上記流量制御器との間に配置され、
上記第2熱交換器部の昇華除霜時には、上記流量制御器が上記第2熱交換器部の上流側に配置され、上記第2減圧器が上記第2熱交換器部の下流側に配置され、上記第2熱交換器部が上記流量制御器と上記第2減圧器との間に配置され、上記第2流路切替器が上記第2熱交換器部と上記流量制御器との間に配置され、
上記制御部は、
上記第1熱交換器部の昇華除霜を開始するときには、上記第1減圧器を予め全閉状態にし、上記流量制御器を開状態にして上記第1流路切替器を操作し、上記第1減圧器を開状態にして上記第1熱交換器部に流れる上記冷媒の流れ方向を切り替え、
上記第2熱交換器部の昇華除霜を開始するときには、上記第2減圧器を予め全閉状態にし、上記流量制御器を開状態にして上記第2流路切替器を操作し、上記第2減圧器を開状態にして上記第2熱交換器部に流れる上記冷媒の流れ方向を切り替えてもよい。
【0014】
このような空気調和機であれば、室外熱交換器の昇華除霜がより確実に行われる。
【0015】
空気調和機においては、上記制御部は、上記昇華除霜時、上記圧縮機の回転数、上記室外ファンの回転数、及び上記流量制御器の開度の少なくとも1つを制御して、上記第1熱交換器部及び上記第2熱交換器部のいずれか一方に流れる上記冷媒の温度を上記室外空気の温度より高く、氷点より低い温度に制御してもよい。
【0016】
このような空気調和機であれば、室外熱交換器の昇華除霜がより確実に行われる。
【0017】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る空気調和機は、冷媒回路と、室外ファンと、制御部とを備える。
上記冷媒回路は、圧縮機と、室内熱交換器と、減圧器と、流量制御器と、並列に接続された複数の熱交換器部を含む室外熱交換器に冷媒を循環させ、上記複数の熱交換器部のそれぞれに流れる上記冷媒の流れ方向を切り替える流路切替器を複数備える。
上記室外ファンは、上記室外熱交換器に室外空気を送風する。
上記制御部は、暖房運転時に、上記室外空気の温度が氷点より低く、上記室外熱交換器が着霜したと判定した場合、上記複数の熱交換器部のいずれかに流れる上記冷媒の流れ方向を切り替える上記流路切替器を操作し、上記複数の熱交換器部のいずれかに流れる上記冷媒の流れ方向を切り替えて上記室外熱交換器の除霜運転を開始する。
上記制御部は、上記除霜運転において上記複数の熱交換器部のいずれかに流れる上記冷媒の温度を上記室外空気の上記温度より高く氷点より低い温度に制御して、上記室外熱交換器に付着した霜の昇華除霜を行う。
【0018】
このような空気調和機であれば、室外熱交換器の昇華除霜が可能となる。
【0019】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る空気調和機の制御方法では、
圧縮機と、室内熱交換器と、減圧器と、流量制御器と、第1熱交換器部と上記第1熱交換器部に並列に接続された第2熱交換器部とを含む室外熱交換器とに冷媒を循環させ、上記第1熱交換器部に流れる上記冷媒の流れ方向を切り替える第1流路切替器と、上記第2熱交換器部に流れる上記冷媒の流れ方向を切り替える第2流路切替器とを有する冷媒回路と、上記室外熱交換器に室外空気を送風する室外ファンとを具備する空気調和機において、
暖房運転時に、上記室外空気の温度が氷点より低く、上記室外熱交換器が着霜したと判定した場合、上記第1熱交換器部及び上記第2熱交換器部のいずれか一方に流れる上記冷媒の流れ方向が切り替わるよう上記第1流路切替器及び上記第2流路切替器のいずれかを切り替え、上記室外熱交換器の除霜運転を行う場合、
上記第1熱交換器部及び上記第2熱交換器部のいずれか一方に流れる上記冷媒の温度を上記室外空気の上記温度より高く氷点より低い温度に制御して、上記室外熱交換器に付着した霜の昇華除霜を行う。
【0020】
このような空気調和機の制御方法であれば、室外熱交換器の昇華除霜を行う空気調和機の制御方法が提供される。
【0021】
空気調和機の制御方法においては、上記第1熱交換器部及び上記第2熱交換器部のいずれか一方の除霜運転を行った後、上記第1熱交換器部及び上記第2熱交換器部の他方の除霜運転を行ってもよい。
【0022】
このような空気調和機の制御方法であれば、より確実に室外熱交換器の昇華除霜を行う空気調和機の制御方法が提供される。
【0023】
空気調和機の制御方法においては、
上記減圧器は、第1減圧器と第2減圧器を含み、
上記冷媒回路においては、
上記第1熱交換器部の昇華除霜時には、上記流量制御器が上記第1熱交換器部の上流側に配置され、上記第1減圧器が上記第1熱交換器部の下流側に配置され、上記第1熱交換器部が上記流量制御器と上記第1減圧器との間に配置され、上記第1流路切替器が上記第1熱交換器部と上記流量制御器との間に配置され、
上記第2熱交換器部の昇華除霜時には、上記流量制御器が上記第2熱交換器部の上流側に配置され、上記第2減圧器が上記第2熱交換器部の下流側に配置され、上記第2熱交換器部が上記流量制御器と上記第2減圧器との間に配置され、上記第2流路切替器が上記第2熱交換器部と上記流量制御器との間に配置され、
上記第1熱交換器部の昇華除霜を開始するときには、上記第1減圧器を予め全閉状態にし、上記流量制御器を開状態にして上記第1流路切替器を操作し、上記第1減圧器を開状態にして上記第1熱交換器部に流れる上記冷媒の流れ方向を切り替え、
上記第2熱交換器部の昇華除霜を開始するときには、上記第2減圧器を予め全閉状態にし、上記流量制御器を開状態にして上記第2流路切替器を操作し、上記第2減圧器を開状態にして上記第2熱交換器部に流れる上記冷媒の流れ方向を切り替えてもよい。
【0024】
このような空気調和機の制御方法であれば、より確実に室外熱交換器の昇華除霜を行う空気調和機の制御方法が提供される。
【0025】
空気調和機の制御方法においては、上記昇華除霜時、上記圧縮機の回転数、上記室外ファンの回転数、及び上記流量制御器の開度の少なくとも1つを制御して、上記第1熱交換器部及び上記第2熱交換器部のいずれか一方に流れる上記冷媒の温度を上記室外空気の上記温度より高く、氷点より低い温度に制御してもよい。
【0026】
このような空気調和機の制御方法であれば、より確実に室外熱交換器の昇華除霜を行う空気調和機の制御方法が提供される。
【0027】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る空気調和機の制御方法では、
圧縮機と、室内熱交換器と、減圧器と、流量制御器と、並列に配置された複数の熱交換器部を含む室外熱交換器に冷媒を循環させ、上記複数の熱交換器部のそれぞれに流れる上記冷媒の流れ方向を切り替える流路切替器を複数備えた冷媒回路と、上記室外熱交換器に室外空気を送風する室外ファンとを具備する空気調和機において、
暖房運転時に、上記室外空気の温度が氷点より低く、上記室外熱交換器が着霜したと判定した場合、上記複数の熱交換器部のいずれかに流れる上記冷媒の流れ方向を切り替える上記流路切替器を操作し、上記複数の熱交換器部のいずれかに流れる上記冷媒の流れ方向を切り替えて、上記室外熱交換器の除霜運転を行う場合、
上記複数の熱交換器部のいずれかに流れる上記冷媒の温度を上記室外空気の上記温度より高く氷点より低い温度に制御して、上記室外熱交換器に付着した霜の昇華除霜を行う。
【0028】
このような空気調和機の制御方法であれば、室外熱交換器の昇華除霜を行う空気調和機の制御方法が提供される。
【発明の効果】
【0029】
以上述べたように、本発明によれば、室外空気の温湿度範囲の変動幅が広い空気調和機でも昇華除霜を可能にし、更に、昇華除霜によって融解水を生じさせないことで、ベースヒータの消費電力の削減、凍結による機器の破損の防止、除霜によって室内機が止まることで生じる室温低下の抑制をし、使用者の快適性を保つ空気調和機及び空気調和機の制御方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本実施形態の空調調和器の概要を示すブロック構成図である。
図2】本実施形態の空調調和器の概要を示すブロック構成図である。
図3】本実施形態の昇華除霜の概要を示すブロック構成図である。
図4】本実施形態の昇華除霜の概要を示すブロック構成図である。
図5】本実施形態の暖房運転から除霜運転に切り替えるときのフローチャートの例である。
図6】本実施形態の暖房運転から除霜運転に切り替えるときのフローチャートの例である。
図7】本実施形態の暖房運転から除霜運転に切り替えるときのフローチャートの例である。
図8】本実施形態の空調調和器の変形例を示すブロック構成図である。
図9】本実施形態の空調調和器の変形例を示すブロック構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。また、同一の部材または同一の機能を有する部材には同一の符号を付す場合があり、その部材を説明した後には適宜説明を省略する場合がある。また、以下に示す数値は例示であり、この例に限らない。
【0032】
(空気調和機の概要)
図1及び図2は、本実施形態の空調調和器の冷媒回路を示すブロック構成図である。図1には、一例として暖房運転時の空気調和機1Aが示される。図2には、一例として冷房運転時の空気調和機1Aが示される。
【0033】
図1を参照しながら、空気調和機1Aの概要について説明する。空気調和機1Aは、例えば、ヒートポンプ装置等の空気調和機である。空気調和機1Aは、室内機2と、室外機3とを備える。室内機2は、室内熱交換器4と、室内ファン21とを有する。室外機3は、室外熱交換器5と、圧縮機6と、減圧器7と、流路切替器80と、流路切替器81(第1流路切替器)と、流路切替器82(第2流路切替器)と、流量制御器10と、制御部11と、室外ファン20とを有する。
【0034】
室外熱交換器5は、熱交換器部(第1熱交換器部)51と、熱交換器部(第2熱交換器部)52とを含む。減圧器7は、減圧器70(第3減圧器)と、減圧器71(第1減圧器)と、減圧器72(第2減圧器)とを含む。制御部11は、室外機3に配置される。制御部11は、室内機2に配置されてもよく、室内機2及び室外機3のそれぞれに制御機能を分けて分割して配置されてもよい。また、図1において各部品を接続する実線は、空気調和機1Aの配管を示す。また、配管を示す実線には、配管を分岐する箇所に節点が記されている。実際の空気調和機ではこれらの接点には配管を分岐する分岐管が設けられる。
【0035】
空気調和機1Aにおいては、圧縮機6から吐出される冷媒を流路切替器80、室内熱交換器4、減圧器70、71、72、室外熱交換器5及び流路切替器81、82に配管を通じて循環させる冷媒回路1cが形成されている。
【0036】
空気調和機1Aにおいて、例えば、圧縮機6と流路切替器80とは、配管9aと配管9bとによって接続されている。配管9aは、圧縮機6側に配置され、配管9bは、流路切替器80側に配置され、それぞれが節点91を介して直列に接続されている。流路切替器80と室内熱交換器4とは、配管9cによって接続されている。室内熱交換器4と節点90とは、配管9dによって接続されている。配管9dの途中には、減圧器70が設けられている。
【0037】
熱交換器部51と節点90とは、配管9eによって接続されている。配管9eの途中には、減圧器71が設けられている。熱交換器部52と節点90とは、配管9hによって接続されている。配管9hの途中には、減圧器72が設けられている。熱交換器部51と流路切替器81とは、配管9fによって接続されている。熱交換器部52と流路切替器82とは、配管9iによって接続されている。流路切替器81と節点92とは、配管9gによって接続されている。流路切替器82と節点92とは、配管9jによって接続されている。
【0038】
節点92と節点93とは、配管9kで接続されている。節点93と圧縮機6とは、配管9mで接続されている。節点91と節点98とは、配管9nで接続されている。配管9nの途中には、流量制御器10が設けられている。流路切替器80と節点93とは、配管9pによって接続されている。流路切替器80と節点97とは、配管9qによって接続されている。配管9qには冷媒を流路切替器80から節点97の方向にだけ流すための逆止弁75が設けられている。節点97と流路切替器82とは、配管9rによって接続されている。節点97と節点98とは、配管9sによって接続されている。節点98と流路切替器81とは、配管9tで接続されている。
【0039】
空気調和機1Aにおいて、室内熱交換器4は、流路切替器80と減圧器70との間に配置される。また、空気調和機1Aでは、熱交換器部52は、熱交換器部51と並列に接続される。熱交換器部51は、減圧器71と流路切替器81との間に配置される。熱交換器部52は、減圧器72と流路切替器82との間に配置される。
【0040】
減圧器70、71、72は、例えば、電動弁である。減圧器70は、空気調和機1Aにおいて主たる減圧器として機能する。また、減圧器71と減圧器70との間、及び、減圧器72と減圧器70との間には、節点90がある。熱交換器部51は、配管9eを通じて減圧器71に接続される。熱交換器部52は、配管9hを通じて減圧器72に接続される。減圧器71は、減圧器70から配管9eを介して節点90から分岐され、減圧器72は、減圧器70から配管9hを介して節点90から分岐される。
【0041】
流路切替器80、81、82は、例えば、四方弁である。ここで、流路切替器80は、空気調和機1Aの暖房運転と冷房運転とを切り替える主たる流路切替器として機能する。例えば、流路切替器80は、空気調和機1Aが暖房運転から冷房運転、あるいは、冷房運転から暖房運転へと切り替えられる場合、冷媒回路1cにおける冷媒の流れの向きを変えることができる。また、流路切替器81は、冷媒回路1cが暖房運転の状態で熱交換器部51の昇華除霜を行うとき、熱交換器部51に流れる冷媒の流れ方向を切り替える機能を有する。また、流路切替器82は、冷媒回路1cが暖房運転の状態で熱交換器部52の昇華除霜を行うとき、熱交換器部52に流れる冷媒の流れ方向を切り替える機能を有する。
【0042】
また、空気調和機1Aには、圧縮機6と流路切替器81との間に、流路切替器80を介さずに、圧縮機6と流路切替器81とを接続する流量制御器10が設けられている。この流量制御器10は、圧縮機6と流路切替器82との間にも設けられ、流路切替器80を介さずに、流量制御器10によって圧縮機6と流路切替器82とが接続される。流量制御器10は、圧縮機6から流出し、節点91から分岐した冷媒の一部を流路切替器80を介さずに、流路切替器81または流路切替器82に流入させるバイパス用の弁として機能する。また、流量制御器10の開度を制御することにより、熱交換器部51または熱交換器部52に流す冷媒の流量が調整される。流量制御器10は、例えば、開度を調整することで流量を可変できる電動弁、または、開閉のみの電磁弁でもよい。
【0043】
例えば、流量制御器10がバイパス用の弁として機能しているとき(開状態のとき)、熱交換器部51は、流路切替器81を介して流量制御器10と減圧器71との間に配置されることになる。また、熱交換器部52は、流路切替器82を介して流量制御器10と減圧器72との間に配置されることになる。ここで、流路切替器81は、熱交換器部51と流量制御器10との間に配置される。流路切替器82は、熱交換器部52と流量制御器10との間に配置される。
【0044】
室外熱交換器5には、室外ファン20によって室外機3に取り込まれた空気(以下、室外空気とする)が送風され、室外空気が室外熱交換器5を流れる冷媒と熱交換を行う。室内熱交換器4には、室内ファン21によって室内機2に取り込まれた空気(室内空気)が送風され、室内空気が室内熱交換器4を流れる冷媒と熱交換を行う。
【0045】
また、暖房運転時、熱交換器部51の入口側に接続される配管9eには、冷媒の温度を検出する温度センサ251が設けられ、熱交換器部51の出口側に接続される配管9fには、冷媒の温度を検出する温度センサ261が設けられる。また、暖房運転時、熱交換器部52の入口側に接続される配管9hには、冷媒の温度を検出する温度センサ252が設けられ、熱交換器部52の出口側に接続される配管9iには、冷媒の温度を検出する温度センサ262が設けられる。
【0046】
本実施形態では、暖房運転時、熱交換器部51、52の入口の温度センサ251、252で検出された配管の温度を「配管温度」とする。但し、冷房運転時には、冷媒回路1cにおける冷媒の流れ方向が反転することから、熱交換器部51、52の入口の温度センサ261、262で検出された配管の温度を「配管温度」とする。配管温度は、冷媒温度に対応する。さらに、空気調和機1Aには、室外熱交換器5の周辺の室外空気の温度を測定する温度センサ27が設けられる。これらの温度センサは、例えば、サーミスタである。
【0047】
次に、空気調和機1Aにおける、暖房運転、冷房運転、及び除霜運転を説明する。暖房運転、冷房運転、及び除霜運転は、制御部11によって制御されている。図1に示す暖房運転から説明する。
【0048】
暖房運転時には、制御部11によって、流路切替器80はポートDとポートE、及び、ポートCとポートSがそれぞれ接続される。また、流路切替器81、82のそれぞれは、制御部11によってポートEとポートS、及び、ポートDとポートCが接続されている。また、流路切替器81、82のそれぞれのポートCは外部と接続されていない。暖房運転時には、圧縮機6は、ポートDとポートEが接続された流路切替器80を介して室内熱交換器4の上流に位置し、流路切替器81、82を介して、流路切替器80を経ずに室外熱交換器5の下流に位置する。また、流量制御器10は、全開状態よりも開度が小さい微開状態(わずかに冷媒が流れる程度の開度)にあることが望ましい。従って、圧縮機6から吐出された高温高圧の冷媒は、節点91を介して流路切替器80に流入するとともに、流量制御器10を介して配管9tおよび配管9rに流入することで流路切替器81、82のそれぞれのポートD側を高圧の状態に保つ。流路切替器81、82のそれぞれのポートD側が高圧の状態に保たれることで、流路切替器81、82の切り替えを確実に行うことができる。
【0049】
流路切替器80を通過した高温高圧の冷媒は、室内機2の室内熱交換器4に流入する。室内熱交換器4(凝縮器)に流入した高圧のガス冷媒は、室内空気と熱交換して室内空気に熱を放出し凝縮し液化する。その後、高圧の液冷媒は、室外機3の減圧器70を通過することによって減圧され、低温低圧の気液二相の冷媒となる。気液二相の冷媒の一部は、分岐点となる節点90から開状態である減圧器71を通過して、室外熱交換器5の熱交換器部51へ流入する。また、気液二相の冷媒の残りは、分岐点となる節点90から開状態である減圧器72を通過して、室外熱交換器5の熱交換器部52へ流入する。熱交換器部51、52(蒸発器)で室外空気と熱交換した冷媒は熱を受けて気化する。その後、熱交換器部51を通過した低圧の冷媒は、流路切替器81と、合流点となる節点92とを介して圧縮機6に吸入され圧縮され、熱交換器部52を通過した低圧の冷媒は、流路切替器82と、合流点となる節点92とを介して圧縮機6に吸入され圧縮される。冷媒回路1cにおける、この冷媒の流れを暖房サイクルとする。
【0050】
図2に示す冷房運転時の空気調和機1Aにおいては、制御部11によって、流路切替器80のポートDとポートCと、及び、ポートEとポートSとが接続される。また、流路切替器81、82のそれぞれでは、制御部11によってポートDとポートE、及び、ポートCとポートSとがそれぞれ接続されている。また、流路切替器81、82のそれぞれのポートCは外部と接続されていない。冷房運転時には、圧縮機6は、ポートDとポートCが接続された流路切替器80及び流路切替器81、82を介して室外熱交換器5の上流に位置し、ポートEとポートSが接続された流路切替器80を介して室内熱交換器4の下流に位置する。また、流量制御器10は、閉状態にある。圧縮機6から吐出した高温高圧の冷媒は、流量制御器10を介さずに、流路切替器80を介して流路切替器81、82のそれぞれに流入する。
【0051】
流路切替器81に流入した冷媒は、室外熱交換器5の熱交換器部51(凝縮器)に流入する。熱交換器部51に流入した高圧のガス冷媒は室外空気と熱交換して室外空気に熱を放出し凝縮して液化する。また、流路切替器82に流入した冷媒は、室外熱交換器5の熱交換器部52(凝縮器)に流入する。熱交換器部52に流入した高圧のガス冷媒は室外空気と熱交換して室外空気に熱を放出し凝縮して液化する。
【0052】
その後、熱交換器部51を通過した高圧の液冷媒は、開状態である減圧器71と合流点となる節点90を介して減圧器70を通過することによって減圧され、低温低圧の気液二相の冷媒となる。そして、この気液二相の冷媒の室内熱交換器4(蒸発器)へ流入する。一方、熱交換器部52を通過した高圧の液冷媒は、開状態である減圧器72と合流点となる節点90を介して減圧器70を通過することによって減圧され、低温低圧の気液二相の冷媒となる。そして、この気液二相の冷媒は、室内熱交換器4(蒸発器)へ流入する。室内熱交換器4では室内空気と熱交換した冷媒は熱を受けて気化する。その後、低圧のガス冷媒は、流路切替器80を介して圧縮機6に吸入され圧縮される。冷媒回路1cにおける、この冷媒の流れを冷房サイクルとする。なお、本実施形態においては、減圧器71、72の開状態とは、それぞれの減圧器を通過させるための全開の状態、及び、冷凍サイクルの状態によってそれぞれの減圧器を通過する冷媒を減圧させるための所定の開度(全開状態よりも開度が小さい開度)とする状態を含む。以下の説明における減圧器71、72の開状態も同様である。
【0053】
空気調和機1Aでは、暖房運転及び冷房運転のほかに、暖房運転時に室外熱交換器5に発生した霜を取り除く除霜運転が行われる。空気調和機1Aでは、暖房運転が選択されると、暖房運転の実行により室外熱交換器5に付着した霜を取り除くために、例えば暖房運転が所定の経過時間だけ継続すると暖房運転から除霜運転に切り替わり、その後、暖房運転と除霜運転とが交互に繰り返される。ここで、除霜運転は、霜を融解させて除霜を行うリバース除霜と、霜を昇華させて除霜を行う昇華除霜とがある。
【0054】
(リバース除霜)
リバース除霜では、暖房運転での冷媒回路1cにおける冷媒の流れの向きが流路切替器80によって切り替えられ、冷房サイクルとされる。例えば、リバース除霜では、外気温度が氷点より高く、室外熱交換器5が着霜したと判定された場合に、室外熱交換器5を氷点以上に維持するために、室外ファン20を停止、及び、圧縮機6を外気温等の条件によって決まる一定の回転数で回転させ、室外熱交換器5に付着した霜を融解させて除霜を行う。
【0055】
例えば、除霜運転時には、制御部11によって流路切替器80が操作され、冷媒回路1cが冷房サイクルとされる。圧縮機6から吐出される高温の冷媒は、熱交換器部51、52に向かうように流路切替器80が切り替えられる。熱交換器部51、52に高温の冷媒が流入すると、熱交換器部51、52に付着した霜は融解して水となる。
【0056】
(昇華除霜)
一方、本実施形態に係る昇華除霜では、制御部11によって外気温度が氷点未満で、室外熱交換器5が着霜したと判定された場合に、圧縮機6の回転数、室外ファン20の回転数、及び流量制御器10の開度の少なくとも1つを変えながら、霜を昇華させて除霜を行う。この場合、制御部11は、流路切替器81によって熱交換器部51に流れる冷媒の流れ方向を切り替え、熱交換器部51の除霜運転を開始したり、流路切替器82によって熱交換器部52に流れる冷媒の流れ方向を切り替え、熱交換器部52の除霜運転を開始したりする。なお、流路切替器80は、リバース除霜のように切り替えられることなく、暖房運転時の状態を維持する。
【0057】
すなわち、本実施形態では、外気温度が氷点より低い場合、暖房運転を継続しながら、熱交換器部51、52のいずれか一方の冷媒の流れ方向を変え、この流れ方向が変えられた熱交換器部51、52のいずれか一方に、外気温度より高く、且つ、氷点(0℃)より低い温度の冷媒を流すことで昇華除霜を行う。
【0058】
本実施形態の昇華除霜では、制御部11が暖房運転時に室外空気の温度が氷点より低く、室外熱交換器5が着霜したと判定した場合、制御部11は、熱交換器部51及び熱交換器部52のいずれか一方に流れる冷媒の流れ方向が切り替わるよう流路切替器81及び流路切替器82のいずれかを切り替えて、室外熱交換器5の除霜運転を開始する。そして、制御部11は、除霜運転において熱交換器部51及び熱交換器部52のいずれか一方に流れる冷媒の温度を室外空気の温度より高く氷点より低い温度に制御して、室外熱交換器5に付着した霜の昇華除霜を行う。
【0059】
また、制御部11は、熱交換器部51及び熱交換器部52のいずれか一方の除霜運転を行った後、熱交換器部51及び熱交換器部52の他方の除霜運転を行う。また、制御部11は、交互に熱交換器部51及び熱交換器部52の昇華除霜をする制御をしてもよい。昇華除霜では、外気温度が氷点未満であるため、熱交換器部51、52に付着した霜は水の状態を経ずに水蒸気となる(昇華)。これにより、熱交換器部51、52に付着した霜が取り除かれる。
【0060】
図3及び図4は、本実施形態の昇華除霜時の冷媒回路を示すブロック構成図である。図3には、熱交換器部51、52のうち、熱交換器部51を昇華除霜する場合の例が示される。また、図4には、熱交換器部51、52のうち、熱交換器部52を昇華除霜する場合の例が示される。熱交換器部51の昇華除霜時には、熱交換器部52において、温度センサ252から温度センサ262の方向に冷媒が流れるのに対して、熱交換器部51では、温度センサ261から温度センサ251の方向に冷媒が流れる。一方、熱交換器部52の昇華除霜時には熱交換器部51において、温度センサ251から温度センサ261の方向に冷媒が流れるのに対して、熱交換器部52では、温度センサ262から温度センサ252の方向に冷媒が流れる。
【0061】
熱交換器部51の昇華除霜時には(図3)、制御部11によって、流路切替器80のポートDとポートE、及び、ポートCとポートSがそれぞれ接続される。すなわち、流路切替器80は、暖房運転時の状態から切り替えられることなく、暖房運転時と同じ状態を維持する。また、流路切替器81では、制御部11によってポートDとポートE、及び、ポートSとポ-トCがそれぞれ接続されている。流路切替器82では、制御部11によってポートEとポートS、及び、ポートDとポートCがそれぞれ接続されている。また、流路切替器81、82のそれぞれのポートCは外部と接続されていない。熱交換器部51の昇華除霜時には、流量制御器10は、熱交換器部51の上流側に配置される。また、減圧器71は、熱交換器部51の下流側に配置される。流量制御器10は、開状態にある。
【0062】
圧縮機6から吐出された高温高圧の冷媒は、節点91において、流路切替器80へ流れる冷媒と、流量制御器10へ流れる冷媒とに分岐する。
【0063】
流路切替器80を通過した高圧のガス冷媒は、室内熱交換器4に流入する。室内熱交換器4(凝縮器)で室内空気と熱交換した高圧のガス冷媒は、室内空気に熱を放出し凝縮して液化する。その後、高圧の液冷媒は、減圧器70を通過することによって減圧され、低温低圧の気液二相の冷媒となる。気液二相の冷媒は、節点90を介して開状態である減圧器72を通過して、室外熱交換器5の熱交換器部52(蒸発器)へ流入する。
【0064】
一方、流量制御器10を通過した高圧のガス冷媒は、流路切替器81を介して、室外熱交換器5の熱交換器部51(凝縮器)へ流入する。熱交換器部51(凝縮器)で室外空気と熱交換した高圧のガス冷媒は、室外空気に熱を放出し凝縮して液化する。この際、熱交換器部51を流れる冷媒の温度が外気温度より高く、且つ、氷点(0℃)より低い温度に制御されて、熱交換器部51の昇華除霜が行われる。なお、冷媒の温度は、熱交換器部51の冷媒の入口となる温度センサ261によって検出される。その後、高圧の液冷媒は、減圧器71を通過することによって減圧され、低温低圧の気液二相の冷媒となる。この気液二相の冷媒は、合流点となる節点90を介して減圧器72を通過し、室外熱交換器5の熱交換器部52に流入する。
【0065】
室内熱交換器4と熱交換器部51とから熱交換器部52(蒸発器)に流入した冷媒は、室外空気から熱を受けて気化する。熱交換器部52を通過した低圧の冷媒は、流路切替器82を介して圧縮機6に吸入され圧縮される。熱交換器部51の昇華除霜時には、熱交換器部51が凝縮器として機能し、熱交換器部52が蒸発器として機能する。熱交換器部51の昇華除霜時には、室内熱交換器4が凝縮器として機能し、熱交換器部52が蒸発器として機能することから、圧縮機6が停止されることなく、熱交換器部51の昇華除霜がされながら暖房運転が継続される。
【0066】
一方、熱交換器部52の昇華除霜時には(図4)、制御部11によって、流路切替器80のポートDとポートE、及び、ポートCとポートSがそれぞれ接続される。すなわち、流路切替器80は、熱交換器部51の昇華除霜時から切り替えられることなく、暖房運転時と同じ状態を維持する。また、流路切替器81では、制御部11によってポートEとポートS、及び、ポートDとポートCがそれぞれ接続されている。流路切替器82では、制御部11によってポートDとポートE、及び、ポートSとポートCがそれぞれ接続されている。また、流路切替器81、82のそれぞれのポートCは外部と接続されていない。また、熱交換器部52の昇華除霜時には、流量制御器10は、熱交換器部52の上流側に配置される。減圧器72は、熱交換器部52の下流側に配置される。流量制御器10は、開状態にある。
【0067】
圧縮機6から吐出された高温高圧の冷媒は、節点91において、流路切替器80へ流れる冷媒と、流量制御器10へ流れる冷媒とに分岐する。
【0068】
流路切替器80を通過した高圧のガス冷媒は、室内熱交換器4に流入する。室内熱交換器4(凝縮器)で室内空気と熱交換した高圧のガス冷媒は、室内空気に熱を放出し凝縮して液化する。その後、高圧の液冷媒は、減圧器70を通過することによって減圧され、低温低圧の気液二相の冷媒となる。気液二相の冷媒は、節点90を介して開状態である減圧器71を通過して、室外熱交換器5の熱交換器部51(蒸発器)へ流入する。
【0069】
一方、流量制御器10を通過した高圧のガス冷媒は、流路切替器82を介して、室外熱交換器5の熱交換器部52(凝集器)へ流入する。熱交換器部52(凝縮器)で室外空気と熱交換した高圧のガス冷媒は、室外空気に熱を放出し凝縮して液化する。この際、熱交換器部52を流れる冷媒の温度が外気温度より高く、且つ、氷点(0℃)より低い温度に制御されて、熱交換器部52の昇華除霜が行われる。なお、冷媒の温度は、熱交換器部52の冷媒の入口となる温度センサ262によって検出される。その後、高圧の液冷媒は、減圧器72を通過することによって減圧され、低温低圧の気液二相の冷媒となる。この気液二相の冷媒は、合流点となる節点90を介して減圧器71を通過し、室外熱交換器5の熱交換器部51に流入する。
【0070】
室内熱交換器4と熱交換器部52とから熱交換器部51(蒸発器)に流入した冷媒は室外空気から熱を受けて気化する。熱交換器部51を通過した低圧の冷媒は、流路切替器81を介して圧縮機6に吸入され圧縮される。このように、熱交換器部52の昇華除霜時には、熱交換器部52が凝縮器として機能し、熱交換器部51が蒸発器として機能する。熱交換器部52の昇華除霜時には、室内熱交換器4が凝縮器として機能し、熱交換器部51が蒸発器として機能することから、圧縮機6が停止されることなく、熱交換器部52の昇華除霜がされながら暖房運転が継続される。
【0071】
室外熱交換器5の昇華除霜時に、リバース除霜方式と同様に室外ファン20を停止し、圧縮機6を外気温等の条件によって決まる一定の回転数にすると、冷媒の圧力が上がり、冷媒の温度が上昇し氷点を越えてしまう場合がある。この冷媒の圧力の上昇を抑えるために、本実施形態の昇華除霜では、圧縮機6の回転数、室外ファン20の回転数、及び流量制御器10の開度の少なくとも1つを制御することにより、熱交換器部51、52を流れる冷媒温度が外気温度より高く、且つ、氷点より低くなるように制御される。
【0072】
例えば、制御部11は、温度センサ27で検出した外気温度が氷点より低い場合に、熱交換器部51、52のいずれか一方に流れる冷媒の温度を外気温度より高く、且つ、氷点より低い温度になるように制御し、熱交換器部51、52のいずれか一方に付着した霜の昇華除霜を行う。ここで、制御部11は、圧縮機6の回転数、室外ファン20の回転数、及び流量制御器10の開度の少なくとも1つを制御して、熱交換器部51、52のいずれか一方に流れる冷媒の温度を外気温度より高く、且つ、氷点より低い温度になるように制御する。
【0073】
このような空気調和機1Aであれば、昇華除霜を行うための専用の装置や部品を要さない。これにより、昇華除霜が実行可能な空気調和機であっても空気調和機のコスト増大が抑えられる。
【0074】
また、空気調和機1Aでは、暖房運転時、室外熱交換器5を蒸発器として機能させ、室内熱交換器4を凝縮器として機能させる。これにより、暖房運転時には、凝縮器(室内熱交換器4)によって冷却された冷媒が蒸発器(室外熱交換器5)に流入する。ここで、熱交換器部51、52をともに蒸発器として機能させ、熱交換器部51、52に付着した霜を昇華させるには、熱交換器部51、52の双方において冷媒温度を室外空気の露点(室外空気が結露する温度)よりも高く、外気温度以下の温度に設定しなければならない。
【0075】
例えば、外気温度が-5.0℃で、湿度RH80%のとき、室外空気の露点は-7.6℃となる。この条件では、熱交換器部51、52のいずれかの温度が-7.6℃以下の時に室外熱交換器5が着霜する。このとき、熱交換器部51、52の双方を蒸発器として機能させてしまうと、冷媒が室外空気から熱を奪うことにより室外空気と冷媒とが熱交換をすることから、熱交換器部51、52の双方の温度が-5.0℃より低くなくてはならないことになる。これにより、熱交換器部51、52の双方を蒸発器として機能させ、熱交換器部51、52の昇華除霜を行うには、熱交換器部51、52の双方の温度を-7.6℃より高く-5.0℃未満の温度差2.6℃の温度範囲に制御することが要される。また、蒸発器の温度は、外気温や、その時に必要とされる能力にも起因するため、簡単に上げることができない。
【0076】
従って、冷却装置で採用されているような、蒸発器の昇華除霜を行う方法を空気調和機に取り入れると、上記のような狭い温度範囲での制御が必要になり、温度制御が困難になる。また、暖房サイクルのまま、上記の狭い温度範囲に冷媒温度を保つためには、温度センサのみならず、湿度センサが必要になる。
【0077】
これに対して、本実施形態では、熱交換器部51、52のいずれか一方を凝縮器として機能させて除霜運転を行うため、冷媒が凝縮器において室外空気に熱を放出することから、熱交換器部51、52のいずれか一方の温度を外気温度-5.0℃より高く制御することができる。このため、熱交換器部51、52の双方に流入させる冷媒の温度を-5.0℃より高く氷点未満の温度差5.0℃の温度範囲といった広い範囲で制御できることになる。
【0078】
さらに、水の昇華熱は融解熱に比べて大きい。このため、昇華除霜は、霜を融解する一般的なリバース除霜に比べると除霜時間が長くかかる場合がある。本実施形態では、昇華除霜中に制御部11が圧縮機6の回転数、室外ファン20の回転数、及び流量制御器10の開度の少なくとも1つを制御する。これにより、室外熱交換器5(熱交換器部51、52)における、冷媒の圧力を規定値以下に保つ、または冷媒の温度が必要以上に上昇することがなく、冷媒の温度が外気温度以上氷点未満の温度範囲内に適切に調整される。さらに、室外ファン20を回転させることで室外熱交換器5に付着した霜に風が当たり、霜の昇華が促進される。これにより、短時間での昇華除霜が可能になる。
【0079】
また、本実施形態では、室外熱交換器5を熱交換器部51と熱交換器部52とに分け、一方の熱交換器部を凝縮器として機能させて、この熱交換器部を昇華除霜しながら、他方の熱交換器部を蒸発器として機能させて、空気調和機1Aの暖房運転を継続する。これにより、比較的時間のかかる昇華除霜中でも暖房運転が継続されるため、暖房運転が停止することによる室温低下が抑制され、ユーザの不快感が抑制される。
【0080】
また、昇華除霜を採用すれば、室外熱交換器5(熱交換器部51、52)において霜が融解した融解水が発生しない。これにより、昇華除霜時には、融解水が室外熱交換器5で凍結して生じる機器の破損が防止される。また、凍結防止のために室外熱交換器5内に設置されたヒータ装置を動作させる必要がない。これにより、空気調和機1Aの消費電力が抑えられる。
【0081】
図5図7は、本実施形態の暖房運転から除霜運転に切り替えるときのフローチャートの例である。図5図7に示すフローチャートに従って、制御部11は、空気調和機1Aの昇華除霜を制御する。
【0082】
図5に示すように、制御部11によって空気調和機1Aの動作が開始されると、暖房運転が開始される(ステップS10)。次に、室外熱交換器5の配管温度Tが測定される(ステップS20)。室外熱交換器の配管温度Tは、温度センサ251および温度センサ252によって測定された配管温度の低い方の温度とされる。
【0083】
次に、制御部11によって、室外熱交換器5の除霜運転開始条件が成立しているか否かの判断がされる。例えば、除霜運転開始条件として、制御部11によって、配管温度Tが温度T以下であるか否かの判断がされる(ステップS30)。温度Tとしては、例えば、-10℃が用いられ、配管温度Tが-10℃よりも高ければ(ステップS30-NO)、除霜運転開始条件が成立していないとして、ステップS20からステップS30までのルーチンが繰り返される。
【0084】
一方、配管温度Tが温度T(例えば、-10℃)以下であれば(ステップS30-YES)、除霜運転開始条件が成立しているとしてステップS40に進む。そして、温度センサ27によって室外熱交換器5の周辺の外気温度Tが測定される(ステップS40)。
【0085】
次に、制御部11は、温度センサ27で検出した外気温度Tが予め定められた氷点より低い温度である温度、例えば、氷点(1気圧のもとでは0℃)未満に設定された閾値(例えば、-3℃)未満であるか否かの判断を行う(ステップS50)。
【0086】
ここで、外気温度Tが閾値未満であれば(ステップS50-YES)、制御部11は、熱交換器部51の昇華除霜運転を開始する(ステップS60)。また、昇華除霜運転時間tは、0(分)とされる。一方、外気温度Tが閾値以上であれば(ステップS50-NO)、制御部11は、熱交換器部51の昇華除霜運転を開始せずに、室外熱交換器5のリバース除霜運転が開始される(ステップS61)。この場合、熱交換器部51、52の双方のリバース除霜運転が開始される。
【0087】
室外熱交換器5のリバース除霜運転では、暖房運転での冷媒回路1cにおける冷媒の流れの向きが流路切替器80によって切り替えられ冷房サイクルとされる。また、リバース除霜運転では、室外ファン20が停止及び圧縮機6が外気温度等の条件によって決まる一定の回転数で回転する。
【0088】
しかし、室外熱交換器5の昇華除霜運転では、流路切替器80が制御部11によって操作されず、例えば、最初に熱交換器部51に流れる冷媒の向きが変えられて熱交換器部51の昇華除霜運転が実行され、次に、熱交換器部52に流れる冷媒の向きが変えられて熱交換器部52の昇華除霜運転が実行される。なお、昇華除霜運転を開始する順序は、熱交換器部52から開始してもよい。本実施形態では、一例として、熱交換器部51の昇華除霜運転から開始する例が示されている。
【0089】
先ず、熱交換器部51の昇華除霜運転が開始された場合は、圧縮機6の回転数及び室外ファン20の回転数、及び流量制御器10の少なくとも1つの初期値が設定される(ステップS70)。それぞれの初期値は、予め実験等によって決定された値である。ステップS70の「α>T>β」の意味については後述する。
【0090】
次に、制御部11は、熱交換器部51の昇華除霜を開始するために、熱交換器部51に流れる冷媒の流れ方向を切り替える(ステップS80)。熱交換器部51の昇華除霜を開始する場合には、制御部11は、図1に示された暖房運転の状態から減圧器71を一旦全閉状態にする。これにより、室内熱交換器4から熱交換器部51に流れていた冷媒は、減圧器71によって塞き止められる。
【0091】
次に、制御部11は、流量制御器10を予め決められた開度で開状態にして、流路切替器81を操作し、ポートDとポートE、及び、ポートSとポートCをそれぞれ接続する。次に、制御部11は、減圧器71を開状態にする。これにより、流量制御器10を通過した冷媒は、流路切替器81を介して熱交換器部51に流入する。この結果、熱交換器部51に流れる冷媒の流れ方向が暖房運転時とは逆方向に切り替えられる。
【0092】
このような手順で、減圧器71、流量制御器10、及び流路切替器81を操作することによって以下の作用効果が得られる。
【0093】
例えば、減圧器71を一旦全閉にすることで、熱交換器部51においては、逆方向に流れる暖房運転サイクルの冷媒(温度センサ251から温度センサ261の方向に流れる冷媒)と、除霜運転サイクルの冷媒(温度センサ261から温度センサ251の方向に流れる冷媒)とが互いに衝突することが回避される。
【0094】
ここで、逆方向に流れる冷媒が熱交換器部51で衝突すると、熱交換器部51の昇華除霜開始直後に熱交換器部51の冷媒温度が目標とする温度範囲から外れることで昇華除霜が行えなくなる現象が起き得る。上記手順で減圧器71、流量制御器10、及び流路切替器81を操作することによって、このような予期せぬ冷媒の温度変化が抑制され、熱交換器部51の昇華除霜が確実に遂行される。
【0095】
さらに、減圧器71を一旦全閉にすることで、暖房運転時に熱交換器部51に溜まった冷媒が低圧側(節点92の側)に引き抜かれ、熱交換器部51に溜まった冷媒が熱交換器部51の下流に流れ出る。これにより、暖房運転時に熱交換器部51に溜まった冷媒が熱交換器部51に溜めこまれたままの状態が回避され、暖房運転から除霜運転への円滑な切り替えを行うことができる。
【0096】
次に、図6に示すように、昇華除霜運転時間tの計時を開始する(ステップS90)。次に、昇華除霜運転時間tが圧縮機6、室外ファン20、及び流量制御器10の少なくとも1つを制御する予め定められた制御間隔tのn倍になっているか否かの判断がされる(ステップS100)。ここでnは自然数(1、2、3・・・)である。
【0097】
ここで、昇華除霜運転時間tが制御間隔tのn倍になっていれば(ステップS100-YES)、温度センサ27によって外気温度Tが測定される。そして、温度センサ261で測定された配管温度Tに応じて、制御部11は図示しない記憶部に記憶された制御テーブルを参照し、その制御テーブルに基づいて圧縮機6、室外ファン20、及び流量制御器10の少なくとも1つを制御する(ステップS110)。すなわち、制御部11によって、制御間隔tごとに圧縮機6の回転数、室外ファン20の回転数、及び流量制御器10の開度の少なくとも1つが調整されて、熱交換器部51に流れる冷媒の温度が外気温度Tより高く、且つ、氷点より低い温度に制御される。
【0098】
制御部11は、配管温度T及び外気温度Tの値に応じて配管温度Tの許容範囲の上限値を示すαと下限値を示す値βとを決定する。上限値αは、なるべく高い温度かつ、氷点を越えない温度に設定される。下限値βは、配管温度Tが確実に外気温度Tよりも高くなるような温度に設定する。
【0099】
例えば、上限値αとしては、-1.0℃が採用される。また、下限値βとしては、外気温度Tに1.0℃を加算した温度(例えば、Tが-5.0℃ならば下限値βは-4.0℃)が採用される。そして、αよりも小さくβよりも大きい範囲を許容範囲と定め、配管温度Tが許容範囲に収まるように制御するための、圧縮機6の回転数、室外ファン20の回転数、及び流量制御器10の開度制御パターンを制御テーブル化しておく。この制御テーブルは、予め実験、シミュレーション等によって求めておく。制御テーブルの例を次に説明する。
【0100】
【表1】
【0101】
例えば、圧縮機6の回転数が速いほど、流量制御器10を通過する冷媒の量が多くなる。表1は、圧縮機6の回転数を調整することによって、熱交換器部51に流れる冷媒の温度を外気温度Tより高く、且つ、氷点より低い温度に制御する制御テーブルの例である。例えば、配管温度Tが上限値α以上であれば、圧縮機6の回転数を下げ(A1)、配管温度Tが上限値αよりも小さく下限値βよりも大きければ、圧縮機6の回転数はそのまま維持され(A2)、配管温度Tが下限値β以下であれば、圧縮機6の回転数が上げられる(A3)。
【0102】
【表2】
【0103】
また、室外ファン10の回転数が速いほど、熱交換器部51と外気との熱交換が促進する。表2は、室外ファン20の回転数を調整することによって、熱交換器部51に流れる冷媒の温度を外気温度Tより高く、且つ、氷点より低い温度に制御する制御テーブルの例である。例えば、配管温度Tが上限値α以上であれば、室外ファン20の回転数を上げ(B1)、配管温度Tが上限値αよりも小さく下限値βよりも大きければ、室外ファン20の回転数はそのまま維持され(B2)、配管温度Tが下限値β以下であれば、室外ファン20の回転数が下げられる(B3)。
【0104】
但し、配管温度Tが下限値β以下の場合には、室外ファン20の回転数に閾値γを設け、室外ファン20の回転数を閾値γ以上とする。例えば、昇華除霜中の室外ファン20の回転数は、暖房運転を継続させている熱交換器部52の蒸発能力にも作用する。室外ファン20の回転数が下がりすぎると、蒸発器として機能している熱交換器部52が室外空気から熱を受けにくくなり、熱交換器部52の配管温度Tが下がりすぎる現象が起き得る。これにより、熱交換器部52が蒸発器として充分に発揮せず、熱交換器部52による暖房運転が充分に機能しなくなる。本実施形態では、閾値γを設けることで、この現象を回避する。
【0105】
【表3】
【0106】
また、流量制御器10の開度が大きいほど、流量制御器10を通過した後の冷媒の量が増加する。表3は、流量制御器10の開度を調整することによって、熱交換器部51に流れる冷媒の温度を外気温度Tより高く、且つ、氷点より低い温度に制御する制御テーブルの例である。例えば、配管温度Tが上限値α以上であれば、流量制御器10の開度を絞り(小さくし)(C1)、配管温度Tが上限値αよりも小さく下限値βよりも大きければ、流量制御器10の開度はそのまま維持され(C2)、配管温度Tが下限値β以下であれば、流量制御器10の開度が緩められる(大きくする)(C3)。
【0107】
【表4】
【0108】
表4は、圧縮機6の回転数及び室外ファン20の回転数を調整することによって、熱交換器部51に流れる冷媒の温度を外気温度Tより高く、且つ、氷点より低い温度に制御する制御テーブルの例である。例えば、配管温度Tが上限値α以上であれば、圧縮機6の回転数を下げ、室外ファン20の回転数を上げ(D1)、配管温度Tが上限値αよりも小さく下限値βよりも大きければ、圧縮機6の回転数及び室外ファン20の回転数はそのまま維持され(D2)、配管温度Tが下限値β以下であれば、圧縮機6の回転数が上げられ、室外ファン20の回転数が下げられる(D3)。但し、配管温度Tが下限値β以下の場合には、室外ファン20の回転数に閾値γを設け、室外ファン20の回転数を閾値γ以上とする。
【0109】
【表5】
【0110】
表5は、室外ファン20の回転数及び流量制御器10の開度を調整することによって、熱交換器部51に流れる冷媒の温度を外気温度Tより高く、且つ、氷点より低い温度に制御する制御テーブルの例である。例えば、配管温度Tが上限値α以上であれば、室外ファン20の回転数を上げ、流量制御器10の開度を絞り(E1)、配管温度Tが上限値αよりも小さく下限値βよりも大きければ、室外ファン20の回転数及び流量制御器10の開度はそのまま維持され(E2)、配管温度Tが下限値β以下であれば、室外ファン20の回転数が下げられ、流量制御器10の開度が緩められる(E3)。但し、配管温度Tが下限値β以下の場合には、室外ファン20の回転数に閾値γを設け、室外ファン20の回転数を閾値γ以上とする。
【0111】
【表6】
【0112】
表6は、圧縮機6の回転数及び流量制御器10の開度を調整することによって、熱交換器部51に流れる冷媒の温度を外気温度T0より高く、且つ、氷点より低い温度に制御する制御テーブルの例である。例えば、配管温度Tが上限値α以上であれば、圧縮機6の回転数を下げ、流量制御器10の開度を絞り(F1)、配管温度Tが上限値αよりも小さく下限値βよりも大きければ、圧縮機6の回転数及び流量制御器10の開度はそのまま維持され(F2)、配管温度Tが下限値β以下であれば、圧縮機6の回転数が上げられ、流量制御器10の開度が緩められる(F3)。
【0113】
【表7】
【0114】
例えば、表7は、圧縮機6の回転数、室外ファン20の回転数、及び流量制御器10の開度を調整することによって、熱交換器部51に流れる冷媒の温度を外気温度Tより高く、且つ、氷点より低い温度に制御する制御テーブルの例である。例えば、配管温度Tが上限値α以上であれば、圧縮機6の回転数を下げ、室外ファン20の回転数を上げ、流量制御器10の開度を絞り(G1)、配管温度Tが上限値αよりも小さく下限値βよりも大きければ、圧縮機6の回転数、室外ファン20の回転数、及び流量制御器10の開度はそのまま維持され(G2)、配管温度Tが下限値β以下であれば、圧縮機6の回転数が上げられ、室外ファン20の回転数が下げられ、流量制御器10の開度が緩められる(G3)。但し、配管温度Tが下限値β以下の場合には、室外ファン20の回転数に閾値γを設け、室外ファン20の回転数を閾値γ以上とする。
【0115】
次に、熱交換器部51の昇華除霜運転の終了条件が成立しているか否かの判断がされる。例えば、制御部11によって、昇華除霜運転時間tが熱交換器部51の昇華除霜が終了する経過時間tに達しているかの判断がされる(ステップS120)。経過時間tは、霜が昇華によってなくなる時間を予め実験、シミュレーション等によって求めておく。経過時間tは、図示しない記憶部に記憶されている。
【0116】
昇華除霜運転時間tが昇華除霜運転の終了条件となる経過時間tであれば(YES)、熱交換器部51の昇華除霜運転が終了する。一方、昇華除霜運転時間tが経過時間tでなければ(NO)、熱交換器部51の配管温度Tが外気温度Tより高く、且つ、氷点より低い温度になるように制御するためのステップS100からステップS120までのルーチンが繰り返される。
【0117】
なお、ステップS100からステップS120までのルーチンでは、圧縮機6、室外ファン20、及び流量制御器10の制御が制御間隔tごとに行われている。この制御が制御間隔tごとでなく連続的な制御となることを回避するために、ステップS100では昇華除霜運転時間tが制御間隔tのn倍でない場合(昇華除霜運転時間tが制御間隔tの途中である場合)、ステップS100において「No」と判断される。そして、ステップS120に進められて、昇華除霜運転時間tについてステップS120の判断がされる。
【0118】
このような制御で、熱交換器部51に付着した霜の昇華除霜が行われる。具体的には熱交換器部51に付着した霜のうち、熱交換器部51と接する部分の霜が昇華することで熱交換器部51と霜の間の付着力が弱まり、霜が剥離または剥落することで、熱交換器部51から霜が除去される。このとき、霜の剥離または剥落を促進するため、室外熱交換器5には機械的な振動などの外力が加えられてもよい。
【0119】
熱交換器部51の昇華除霜運転が終了した後には、図7に示すように、熱交換器部51を蒸発器として機能させる(ステップS200)。例えば、減圧器71を全閉状態にしてから、流路切替器81を切り替え、流路切替器81のポートEとポートS、及び、ポートDとポートCをそれぞれ接続する。そして、減圧器71は、全開状態にされる。これにより、室内熱交換器4を通過した冷媒が温度センサ251から熱交換器部51を通じて温度センサ261の方向に流れ、熱交換器部51による暖房運転が再開される。
【0120】
次に、熱交換器部52の昇華除霜運転が行われる。
【0121】
制御部11は、熱交換器部52の昇華除霜を開始するために、熱交換器部52に流れる冷媒の流れ方向を切り替える(ステップS210)。熱交換器部52の昇華除霜を開始する場合には、制御部11は、減圧器72を一旦全閉状態にする。これにより、室内熱交換器4から熱交換器部52に流れていた冷媒は、減圧器72によって塞き止められる。なお、流量制御器10は、開状態のままで維持される。
【0122】
次に、制御部11は、流路切替器82を操作し、ポートDとポートE、及び、ポートSとポートCをそれぞれ接続する。次に、制御部11は、減圧器72を開状態にする。これにより、流量制御器10を通過した冷媒は、流路切替器82を介して熱交換器部52に流入する。この結果、熱交換器部52に流れる冷媒の流れ方向が暖房運転時とは逆方向に切り替えられる。
【0123】
このような手順で、減圧器72及び流路切替器82を操作することにより、減圧器71、流量制御器10、及び流路切替器81を操作したときと同様の作用効果が得られる。
【0124】
例えば、減圧器72を一旦全閉にすることで、熱交換器部52においては、逆方向に流れる暖房運転サイクルの冷媒(温度センサ252から温度センサ262の方向に流れる冷媒)と、除霜運転サイクルの冷媒(温度センサ262から温度センサ252の方向に流れる冷媒)とが衝突することが回避される。ここで、逆方向に向かう冷媒が熱交換器部52で衝突すると、熱交換器部52の昇華除霜開始直後に熱交換器部52における冷媒の温度が目標とする温度範囲から外れることで昇華除霜が行えなくなる現象が起き得る。上記手順で減圧器72、流量制御器10、及び流路切替器82を操作することによって、このような予期せぬ温度変化が抑制され、熱交換器部52の昇華除霜が確実に遂行される。
【0125】
さらに、減圧器72を一旦全閉にすることで、暖房運転時に熱交換器部52に溜まった冷媒が低圧側(節点92の側)に引き抜かれ、熱交換器部52に溜まった冷媒が熱交換器部52の下流に流れ出る。
【0126】
次に、昇華除霜運転時間tの計時を開始する(ステップS220)。次に、昇華除霜運転時間tが圧縮機6、室外ファン20、及び流量制御器10の少なくとも1つを制御する制御間隔tのn倍になっているか否かの判断がされる(ステップS230)。ここでnは自然数(1、2、3・・・)である。
【0127】
ここで、昇華除霜運転時間tが制御間隔tのn倍になっていれば(ステップS230-YES)、温度センサ27によって外気温度Tが測定される。そして、温度センサ262で測定された配管温度Tに応じて、制御部11は図示しない記憶部に記憶された制御テーブルを参照し、その制御テーブルに基づいて圧縮機6、室外ファン20、及び流量制御器10の少なくとも1つを制御する(ステップS240)。すなわち、制御部11によって、制御間隔tごとに圧縮機6の回転数、室外ファン20の回転数、及び流量制御器10の開度の少なくとも1つが調整されて、熱交換器部52に流れる冷媒の温度が外気温度Tより高く、且つ、氷点より低い温度に制御される。
【0128】
次に、熱交換器部52の昇華除霜運転の終了条件が成立しているか否かの判断がされる。例えば、制御部11によって、昇華除霜運転時間tが熱交換器部52の昇華除霜が終了する経過時間tに達しているか否かの判断がされる(ステップS250)。
【0129】
昇華除霜運転時間tが昇華除霜運転の終了条件となる経過時間tであれば(ステップS250-YES)、熱交換器部52の昇華除霜運転が終了する。一方、昇華除霜運転時間tが経過時間tでなければ(ステップS250-NO)、熱交換器部52の配管温度Tが外気温度Tより高く、且つ、氷点より低い温度になるように制御するためのステップS230からステップS250までのルーチンが繰り返される。
【0130】
なお、ステップS230からステップS250までのルーチンでは、圧縮機6、室外ファン20、及び流量制御器10の制御が制御間隔tごとに行われている。この制御が制御間隔tごとでなく連続的な制御となることを回避するために、ステップS230では昇華除霜運転時間tが制御間隔tのn倍でない場合、「No」と判断される。そして、ステップS250に進められて、昇華除霜運転時間tについてステップS250の判断がされる。
【0131】
このような制御で、熱交換器部52に付着した霜の昇華除霜が行われる。この後、熱交換器部51、52をともに蒸発器とした暖房運転を行ってもよく、熱交換器部51と熱交換器部52との昇華除霜を交互に行ってもよい。
【0132】
(変形例1)
空気調和機1Aにおける室外熱交換器5に含まれる熱交換器部は、熱交換器部51、52に限らず、室外熱交換器5は、3個以上の熱交換器部を備えてもよい。この場合、複数の熱交換器部のそれぞれは、空気調和機1Aの冷媒回路1cにおいて並列に接続される。また複数の熱交換器部のそれぞれに流れる冷媒の流れ方向を切り替える流路切替器が複数配置される。
【0133】
制御部11は、暖房運転時に、室外空気の温度が氷点より低く、室外熱交換器5が着霜したと判定した場合、複数の熱交換器部のいずれかに流れる冷媒の流れ方向を切り替えて室外熱交換器の除霜運転を開始する。制御部11は、除霜運転において複数の熱交換器部のいずれかに流れる冷媒の温度を室外空気の温度より高く氷点より低い温度に制御して、複数の熱交換器部のいずれかに付着した霜の昇華除霜を行う。
【0134】
(変形例2)
図8及び図9は、本実施形態の空調調和器の変形例を示すブロック構成図である。図8には、一例として変形例の暖房運転時の空気調和機が示される。図9には、一例として変形例の熱交換器部51を昇華除霜しているときの空気調和機が示される。
【0135】
図8に示す空気調和機1Bにおいては、室外熱交換器5の昇華除霜を行うとき、熱交換器部51に流れる冷媒の流れ方向を変える流路切替器として流路切替器85が用いられ、熱交換器部52に流れる冷媒の流れ方向を変える流路切替器として流路切替器86が用いられている。流路切替器85は、電磁弁851と電磁弁852とを有する。流路切替器86は、電磁弁861と電磁弁862とを有する。
【0136】
空気調和機1Bにおいては、熱交換器部51と節点95とは、配管9fによって接続されている。熱交換器部52と節点96とは、配管9iによって接続されている。節点95と節点98とは、配管9tによって接続されている。配管9tの途中には、電磁弁851が設けられている。節点95と節点92とは、配管9gによって接続されている。配管9gの途中には、電磁弁852が設けられている。節点96と節点97とは、配管9rによって接続されている。配管9rの途中には、電磁弁861が設けられている。節点96と節点92とは、配管9jによって接続されている。配管9jの途中には、電磁弁862が設けられている。
【0137】
暖房運転時の冷媒の流れ方向で見ると、電磁弁851は、熱交換器部51から配管9fを介して節点95で分岐された配管9tに設けられ、電磁弁852は、熱交換器部51から配管9fを介して節点95で分岐された配管9gに設けられる。同様に暖房運転時の冷媒の流れ方向で見ると、電磁弁861は、熱交換器部52から配管9iを介して節点96で分岐された配管9rに設けられ、電磁弁862は、熱交換器部52から配管9iを介して節点96で分岐された配管9jに設けられる。
【0138】
空気調和機1Bにおいては、暖房運転時、流量制御器10、電磁弁851、及び電磁弁861が閉状態となり、電磁弁852及び電磁弁862が開状態となる。従って、暖房運転時、圧縮機6から吐出された高温高圧の冷媒は、節点91で分岐して流量制御器10方向に流れることなく、節点91を介して流路切替器80に流入する。
【0139】
流路切替器80を通過した高温高圧の冷媒は、室内熱交換器4に流入する。室内熱交換器4(凝縮器)で室内空気と熱交換した高圧のガス冷媒は、室内空気に熱を放出し凝縮して液化する。その後、高圧の液冷媒は、室外機3の減圧器70を通過することによって減圧され、低温低圧の気液二相の冷媒となる。気液二相の冷媒の一部は、分岐点となる節点90から開状態である減圧器71を通過して、熱交換器部51へ流入する。また、気液二相の冷媒の残りは、分岐点となる節点90から開状態である減圧器72を通過して、熱交換器部52へ流入する。
【0140】
熱交換器部51、52(蒸発器)で室外空気と熱交換した冷媒は熱を受けて気化する。その後、熱交換器部51を通過した低圧の冷媒は、節点95を介して電磁弁852を通過する。その後、冷媒は、合流点となる節点92を介して圧縮機6に吸入され圧縮される。また、熱交換器部52を通過した低圧の冷媒は、節点96を介して電磁弁862を通過する。その後、冷媒は、合流点となる節点92を介して圧縮機6に吸入され圧縮される。
【0141】
熱交換器部51、52のうち、熱交換器部51の昇華除霜を行うには、暖房運転時の状態から流量制御器10及び電磁弁851が開状態となり、電磁弁852が閉状態となる。これにより、図9に示すように、圧縮機6から吐出された高温高圧の冷媒は、節点91において、流路切替器80へ流れる冷媒と、流量制御器10へ流れる冷媒とに分岐する。
【0142】
流路切替器80を通過した高圧のガス冷媒は、室内熱交換器4に流入する。室内熱交換器4(凝縮器)で室内空気と熱交換した高圧のガス冷媒は、室内空気に熱を放出し凝縮して液化する。その後、高圧の液冷媒は、減圧器70を通過することによって減圧され、低温低圧の気液二相の冷媒となる。気液二相の冷媒は、節点90を介して開状態である減圧器72を通過して、熱交換器部52(蒸発器)へ流入する。
【0143】
一方、流量制御器10を通過した高圧のガス冷媒は、電磁弁851を介して、熱交換器部51(凝縮器)へ流入する。熱交換器部51(凝縮器)で室外空気と熱交換した高圧のガス冷媒は、室外空気に熱を放出し凝縮して液化する。この際、熱交換器部51を流れる冷媒の温度が外気温度より高く、且つ、氷点(0℃)より低い温度に制御されて、熱交換器部51の昇華除霜が行われる。冷媒の温度は、熱交換器部51の冷媒の入口となる温度センサ261によって検出される。その後、高圧の液冷媒は、減圧器71を通過することによって減圧され、低温低圧の気液二相の冷媒となる。この気液二相の冷媒は、合流点となる節点90を介して減圧器72を通過し、室外熱交換器5の熱交換器部52に流入する。
【0144】
室内熱交換器4と熱交換器部51とから熱交換器部52(蒸発器)に流入した冷媒は、室外空気から熱を受けて気化する。熱交換器部52を通過した低圧の冷媒は、電磁弁862を介して圧縮機6に吸入され圧縮される。空気調和機1Bにおいても、熱交換器部51の昇華除霜時には、熱交換器部51が凝縮器として機能し、熱交換器部52が蒸発器として機能する。熱交換器部51の昇華除霜時には、圧縮機6が停止されることなく、熱交換器部51の昇華除霜がされながら熱交換器部52による暖房運転が継続される。
【0145】
また、熱交換器部51、52のうち、熱交換器部52の昇華除霜を行うには、暖房運転時の状態から流量制御器10及び電磁弁861が開状態となり、電磁弁862が閉状態となる。これにより、熱交換器部51が蒸発器として機能し、熱交換器部52が凝縮器として機能する。熱交換器部52の昇華除霜時には、圧縮機6が停止されることなく、熱交換器部52の昇華除霜がされながら熱交換器部51による暖房運転が継続される。
【0146】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく種々変更を加え得ることは勿論である。各実施形態は、独立の形態とは限らず、技術的に可能な限り複合することができる。
【符号の説明】
【0147】
1A、1B…空気調和機
2…室内機
3…室外機
4…室内熱交換器
5…室外熱交換器
51、52…熱交換器部
6…圧縮機
7、70、71、72…減圧器
75…逆止弁
9a、9b、9c、9d、9e、9f、9g、9h、9i、9j、9k、9m、9n、9p、9q、9r、9s、9t…配管
10…流量制御器
11…制御部
20…室外ファン
21…室内ファン
27…温度センサ
80、81、82、85、86…流路切替器
851、852、861、862…電磁弁
90、91、92、95、96…節点
251、252、261、262…温度センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9