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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023030836
(43)【公開日】2023-03-08
(54)【発明の名称】ロータ、回転電機、および駆動装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/32 20060101AFI20230301BHJP
   H02K 1/28 20060101ALI20230301BHJP
   H02K 1/27 20220101ALI20230301BHJP
   H02K 9/19 20060101ALI20230301BHJP
【FI】
H02K1/32 Z
H02K1/28 A
H02K1/27 501Z
H02K1/27 501K
H02K1/27 501C
H02K9/19 A
H02K9/19 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021136197
(22)【出願日】2021-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】日本電産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】松崎 良亮
【テーマコード(参考)】
5H601
5H609
5H622
【Fターム(参考)】
5H601AA16
5H601BB20
5H601CC01
5H601CC15
5H601DD01
5H601DD09
5H601DD11
5H601DD25
5H601DD30
5H601DD32
5H601EE26
5H601GA02
5H601GA22
5H601GA24
5H601GE02
5H601GE11
5H601JJ05
5H609BB03
5H609PP02
5H609PP06
5H609PP07
5H609QQ05
5H609QQ10
5H609RR36
5H609RR48
5H609RR50
5H622AA06
5H622CA02
5H622CA05
5H622CA10
5H622CB03
5H622PP03
5H622PP16
(57)【要約】      (修正有)
【課題】流体の供給が不均一となることを抑制したロータを提供する。
【解決手段】ロータ30は、軸方向に延びるシャフト31と、軸方向に並ぶ複数のコアピース部を有し、シャフトを囲む環状のプレート50と、を備える。シャフトは、軸方向に延びる第1シャフト穴部33aと、開口部33cを有し、第1シャフト穴部に繋がる第2シャフト穴部33bと、を有する。プレートの軸方向一方側の面50aは、プレートの径方向内縁部に設けられ、周方向に延びる第1面51と、第1面よりも径方向外側に位置する第2面52と、を有する。プレートは、第2面に設けられ、周方向に間隔を空けて配置された複数のプレート貫通孔54と、第1面のうち径方向内縁よりも径方向外側に位置する部分から軸方向一方側に突出し、周方向に延びるプレート壁部59と、を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸を中心として回転可能なロータであって、
軸方向に延びるシャフトと、
軸方向に並ぶ複数のコアピース部を有し、前記シャフトの外周面に固定されたロータコアと、
軸方向に隣り合う前記コアピース部同士の間に配置され、前記シャフトを囲む環状のプレートと、
を備え、
前記シャフトは、
軸方向に延びる第1シャフト穴部と、
前記シャフトの外周面に開口する開口部を有し、前記第1シャフト穴部に繋がる第2シャフト穴部と、
を有し、
前記プレートの軸方向一方側の面は、
前記プレートの径方向内縁部に設けられ、周方向に延びる第1面と、
前記第1面よりも径方向外側に位置する第2面と、
を有し、
前記第1面および前記第2面は、前記プレートの軸方向一方側に位置する前記コアピース部から軸方向他方側に離れて配置され、
前記プレートは、
前記第2面に設けられ、周方向に間隔を空けて配置された複数のプレート貫通孔と、
前記第1面のうち径方向内縁よりも径方向外側に位置する部分から軸方向一方側に突出し、周方向に延びるプレート壁部と、
を有する、ロータ。
【請求項2】
前記開口部は、前記プレート壁部と対向している、請求項1に記載のロータ。
【請求項3】
前記プレート壁部は、前記シャフトを囲む環状である、請求項1または2に記載のロータ。
【請求項4】
前記第1面および前記第2面は、前記シャフトを囲む環状である、請求項1から3のいずれか一項に記載のロータ。
【請求項5】
前記開口部の周方向位置は、周方向に隣り合う前記プレート貫通孔同士の間における周方向位置である、請求項1から4のいずれか一項に記載のロータ。
【請求項6】
前記第2面は、前記第1面よりも軸方向一方側に突出した位置に配置され、
前記第1面と前記第2面とは、段差を介して径方向に繋がり、
前記プレート壁部は、前記段差によって構成されている、請求項1から5のいずれか一項に記載のロータ。
【請求項7】
前記第2面は、前記プレート壁部の軸方向一方側の端部よりも軸方向他方側に位置する、請求項1から5のいずれか一項に記載のロータ。
【請求項8】
前記プレートの軸方向一方側の面は、前記第2面の径方向外側に段差を介して繋がる第3面を有し、
前記第3面は、前記第2面よりも軸方向一方側に突出した位置に配置されている、請求項1から7のいずれか一項に記載のロータ。
【請求項9】
前記ロータコアは、軸方向に延び周方向に間隔を空けて配置された複数のコア穴部を有し、
前記複数のコア穴部は、前記複数のプレート貫通孔とそれぞれ繋がっている、請求項1から8のいずれか一項に記載のロータ。
【請求項10】
前記プレート貫通孔の全体は、軸方向に見て、前記コア穴部と重なっており、
前記プレート貫通孔は、軸方向に見て、前記コア穴部よりも小さい、請求項9に記載のロータ。
【請求項11】
周方向に間隔を空けて配置された複数の磁極部を備え、
前記プレート貫通孔の周方向位置および前記コア穴部の周方向位置は、周方向に隣り合う前記磁極部同士の間における周方向の中心位置を含む、請求項9または10に記載のロータ。
【請求項12】
前記コア穴部の周方向の寸法は、径方向外側に向かうに従って小さくなっており、
前記プレート貫通孔の周方向の寸法は、径方向外側に向かうに従って小さくなっている、請求項11に記載のロータ。
【請求項13】
前記磁極部は、マグネットが配置されるマグネット穴部を有し、
前記第2面は、前記マグネット穴部よりも径方向内側に位置する、請求項11または12に記載のロータ。
【請求項14】
前記プレート貫通孔の周方向の寸法は、周方向に隣り合う前記プレート貫通孔同士の間の周方向の距離よりも小さい、請求項1から13のいずれか一項に記載のロータ。
【請求項15】
前記プレートの軸方向他方側の面は、平坦な面である、請求項1から14のいずれか一項に記載のロータ。
【請求項16】
前記プレートを構成する材料は、非磁性体である、請求項1から15のいずれか一項に記載のロータ。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか一項に記載のロータと、
前記ロータと隙間を介して対向するステータと、
を備える、回転電機。
【請求項18】
請求項17に記載の回転電機と、
前記回転電機に接続されるギヤ機構と、
を備える、駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータ、回転電機、および駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ロータシャフトに、冷媒が供給される冷媒流路と、冷媒をロータコアに供給する冷媒供給部とが設けられた回転電機が知られている。例えば、特許文献1には、ロータシャフトの冷媒供給部とロータコアの内部を軸方向に延びる複数のコア内流路とを接続する接続流路が設けられた冷媒分配プレートを備える回転電機が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-161750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような回転電機においては、冷媒分配プレートを介して各コア内流路に供給される冷媒にバラつきが生じる場合がある。そのため、一部のコア内流路に供給される冷媒が少なくなり、ロータコアに対して好適に冷媒を供給できない恐れがあった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて、プレートを介したロータコアへの流体の供給が不均一となることを抑制できる構造を有するロータ、回転電機、および駆動装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの態様は、中心軸を中心として回転可能なロータであって、軸方向に延びるシャフトと、軸方向に並ぶ複数のコアピース部を有し、前記シャフトの外周面に固定されたロータコアと、軸方向に隣り合う前記コアピース部同士の間に配置され、前記シャフトを囲む環状のプレートと、を備える。前記シャフトは、軸方向に延びる第1シャフト穴部と、前記シャフトの外周面に開口する開口部を有し、前記第1シャフト穴部に繋がる第2シャフト穴部と、を有する。前記プレートの軸方向一方側の面は、前記プレートの径方向内縁部に設けられ、周方向に延びる第1面と、前記第1面よりも径方向外側に位置する第2面と、を有する。前記第1面および前記第2面は、前記プレートの軸方向一方側に位置する前記コアピース部から軸方向他方側に離れて配置されている。前記プレートは、前記第2面に設けられ、周方向に間隔を空けて配置された複数のプレート貫通孔と、前記第1面のうち径方向内縁よりも径方向外側に位置する部分から軸方向一方側に突出し、周方向に延びるプレート壁部と、を有する。
【0007】
本発明の回転電機の一つの態様は、上記のロータと、前記ロータと隙間を介して対向するステータと、を備える。
【0008】
本発明の駆動装置の一つの態様は、上記の回転電機と、前記回転電機に接続されるギヤ機構と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一つの態様によれば、プレートを介したロータコアへの流体の供給が不均一となることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、第1実施形態の駆動装置を模式的に示す断面図である。
図2図2は、第1実施形態のロータを示す斜視図である。
図3図3は、第1実施形態のロータを示す断面図であって、図2におけるIII-III断面図である。
図4図4は、第1実施形態のロータの一部を示す断面図である。
図5図5は、第1実施形態のシャフトの一部およびプレートを示す斜視図である。
図6図6は、第1実施形態のプレートを示す斜視図である。
図7図7は、第2実施形態のロータの一部を示す断面図である。
図8図8は、第3実施形態のロータの一部を示す断面図である。
図9図9は、第4実施形態のロータを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の説明では、実施形態の駆動装置が水平な路面上に位置する車両に搭載された場合の位置関係を基に、鉛直方向を規定して説明する。つまり、以下の実施形態において説明する鉛直方向に関する相対位置関係は、駆動装置が水平な路面上に位置する車両に搭載された場合に少なくとも満たしていればよい。
【0012】
図面においては、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。XYZ座標系において、Z軸方向は、鉛直方向である。+Z側は、鉛直方向上側であり、-Z側は、鉛直方向下側である。以下の説明では、鉛直方向上側を単に「上側」と呼び、鉛直方向下側を単に「下側」と呼ぶ。X軸方向は、Z軸方向と直交する方向であって駆動装置が搭載される車両の前後方向である。以下の実施形態において、+X側は、車両における前側であり、-X側は、車両における後側である。Y軸方向は、X軸方向とZ軸方向との両方と直交する方向であって、車両の左右方向、すなわち車幅方向である。以下の実施形態において、+Y側は、車両における左側であり、-Y側は、車両における右側である。前後方向および左右方向は、鉛直方向と直交する水平方向である。
【0013】
なお、前後方向の位置関係は、以下の実施形態の位置関係に限られず、+X側が車両の後側であり、-X側が車両の前側であってもよい。この場合には、+Y側は、車両の右側であり、-Y側は、車両の左側である。また、本明細書において、「平行な方向」は略平行な方向も含み、「直交する方向」は略直交する方向も含む。
【0014】
適宜図に示す中心軸Jは、鉛直方向と交差する方向に延びる仮想軸である。より詳細には、中心軸Jは、鉛直方向と直交するY軸方向、つまり車両の左右方向に延びている。以下の説明においては、特に断りのない限り、中心軸Jに平行な方向を単に「軸方向」と呼び、中心軸Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸Jを中心とする周方向、つまり中心軸Jの軸回りを単に「周方向」と呼ぶ。
【0015】
なお、以下の実施形態において、左側(+Y側)は「軸方向一方側」に相当し、右側(-Y側)は「軸方向他方側」に相当する。
【0016】
<第1実施形態>
図1に示す本実施形態の駆動装置100は、車両に搭載され、車軸64を回転させる駆動装置である。駆動装置100が搭載される車両は、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、電気自動車(EV)などのモータを動力源とする車両である。図1に示すように、駆動装置100は、回転電機10と、ハウジング80と、ギヤ機構60と、流路90と、を備える。回転電機10は、中心軸Jを中心として回転可能なロータ30と、ロータ30の径方向外側に位置するステータ40と、を備える。回転電機10の上記以外の構成については、後述する。
【0017】
ハウジング80は、回転電機10およびギヤ機構60を収容する。ハウジング80は、モータハウジング81と、ギヤハウジング82と、を有する。モータハウジング81は、ロータ30およびステータ40を内部に収容するハウジングである。モータハウジング81は、ギヤハウジング82の右側に繋がっている。モータハウジング81は、周壁部81aと、隔壁部81bと、蓋部81cと、を有する。周壁部81aと隔壁部81bとは、例えば、同一の単一部材の一部である。蓋部81cは、例えば、周壁部81aおよび隔壁部81bとは別体である。
【0018】
周壁部81aは、中心軸Jを囲み、右側に開口する筒状である。隔壁部81bは、周壁部81aの左側の端部に繋がっている。隔壁部81bは、モータハウジング81の内部とギヤハウジング82の内部とを軸方向に隔てている。隔壁部81bは、モータハウジング81の内部とギヤハウジング82の内部とを繋ぐ隔壁開口81dを有する。隔壁部81bには、ベアリング34が保持されている。蓋部81cは、周壁部81aの右側の端部に固定されている。蓋部81cは、周壁部81aの右側の開口を塞いでいる。蓋部81cには、ベアリング35が保持されている。
【0019】
ギヤハウジング82は、ギヤ機構60の後述する減速装置62および差動装置63と、オイルOとを内部に収容している。オイルOは、ギヤハウジング82内の下部領域に貯留されている。オイルOは、後述する流路90内を循環する。オイルOは、回転電機10を冷却する冷媒として使用される。また、オイルOは、減速装置62および差動装置63に対して潤滑油として使用される。オイルOとしては、例えば、冷媒および潤滑油の機能を奏するために、比較的粘度の低いオートマチックトランスミッション用潤滑油(ATF:Automatic Transmission Fluid)と同等のオイルを用いることが好ましい。
【0020】
ギヤ機構60は、回転電機10に接続され、ロータ30の回転を車両の車軸64に伝達する。本実施形態のギヤ機構60は、回転電機10に接続される減速装置62と、減速装置62に接続される差動装置63と、を有する。差動装置63は、リングギヤ63aを有する。リングギヤ63aには、回転電機10から出力されるトルクが減速装置62を介して伝えられる。リングギヤ63aの下側の端部は、ギヤハウジング82内に貯留されたオイルOに浸漬している。リングギヤ63aが回転することで、オイルOがかき上げられる。かき上げられたオイルOは、例えば、減速装置62および差動装置63に潤滑油として供給される。
【0021】
回転電機10は、駆動装置100を駆動する部分である。回転電機10は、例えば、ギヤ機構60の右側に位置する。本実施形態において回転電機10は、モータである。回転電機10のロータ30のトルクは、ギヤ機構60に伝達される。ロータ30は、中心軸Jを中心として軸方向に延びるシャフト31と、シャフト31の外周面に固定されたロータコア32と、を有する。図2に示すように、ロータ30は、ロータコア32に保持された複数のマグネット37と、ロータコア32の軸方向両側の端部にそれぞれ配置されたエンドプレート39と、プレート50と、を有する。
【0022】
図1に示すように、シャフト31は、中心軸Jを中心として回転可能である。シャフト31は、ベアリング34,35によって回転可能に支持されている。本実施形態においてシャフト31は、中空シャフトである。シャフト31は、内部に冷媒としてのオイルOが流通可能な筒状である。シャフト31は、モータハウジング81の内部とギヤハウジング82の内部とに跨って延びている。シャフト31の左側の端部は、ギヤハウジング82の内部に突出している。シャフト31の左側の端部には、減速装置62が接続されている。
【0023】
シャフト31は、軸方向に延びる第1シャフト穴部33aを有する。第1シャフト穴部33aの内部は、中空シャフトであるシャフト31の内部によって構成されている。本実施形態において第1シャフト穴部33aは、シャフト31を軸方向に貫通する穴であり、軸方向両側に開口している。本実施形態において第1シャフト穴部33aは、中心軸Jを中心とする円形状の穴である。
【0024】
シャフト31は、第1シャフト穴部33aに繋がる第2シャフト穴部33bを有する。第2シャフト穴部33bは、シャフト31の内周面からシャフト31の外周面までシャフト31の壁部を径方向に貫通する穴である。本実施形態において第2シャフト穴部33bは、円形状の穴である。図3および図4に示すように、第2シャフト穴部33bは、シャフト31の外周面に開口する開口部33cを有する。開口部33cの内径は、径方向外側に向かうに従って大きくなっている。図3に示すように、本実施形態において第2シャフト穴部33bは、周方向に沿って複数設けられている。複数の第2シャフト穴部33bは、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置されている。本実施形態において第2シャフト穴部33bは、4つ設けられている。各第2シャフト穴部33bの開口部33cの周方向位置は、周方向に隣り合う後述するプレート貫通孔54同士の間における周方向位置である。
【0025】
図2に示すように、ロータコア32は、軸方向に並ぶ複数のコアピース部36を有する。コアピース部36は、磁性体である。コアピース部36は、中心軸Jを中心とする筒状であり、本実施形態では円筒状である。コアピース部36の内周面は、圧入等によりシャフト31の外周面と固定される。コアピース部36とシャフト31とは、軸方向、径方向および周方向において相対移動不能に固定される。図示は省略するが、コアピース部36は、軸方向に重ねて配置される複数の電磁鋼板を有する。
【0026】
複数のコアピース部36は、複数の第1コアピース部36Aと、複数の第2コアピース部36Bと、を含む。複数の第1コアピース部36Aは、ロータコア32のうち右側(-Y側)の部分を構成している。軸方向に隣り合う第1コアピース部36A同士は、互いに接触している。複数の第2コアピース部36Bは、ロータコア32のうち左側(+Y側)の部分を構成している。軸方向に隣り合う第2コアピース部36B同士は、互いに接触している。複数の第1コアピース部36Aと複数の第2コアピース部36Bとの軸方向の間には、プレート50が配置されている。本実施形態において第1コアピース部36Aと第2コアピース部36Bとは、4つずつ設けられている。
【0027】
複数の第1コアピース部36Aは、プレート50から右側(-Y側)に離れるに従い周方向一方側(+θ側)にずらされて配置されている。なお、周方向一方側(+θ側)とは、周方向のうち右側(-Y側)から見て中心軸Jを中心として時計回りに進む側、すなわち図2に示す矢印θが向く側(+θ側)である。複数の第2コアピース部36Bは、プレート50から左側(+Y側)に離れるに従い周方向一方側(+θ側)にずらされて配置されている。すなわち本実施形態では、プレート50の右側に並んで配置された複数の第1コアピース部36Aのステップスキューのねじれの向きと、プレート50の左側に並んで配置された複数の第2コアピース部36Bのステップスキューのねじれの向きとが、互いに異なる。これにより、コギングトルクおよびトルクリプルを低減できるなどの効果が得られる。
【0028】
図3に示すように、ロータコア32は、複数のマグネット穴部36hを有する。複数のマグネット穴部36hは、例えば、ロータコア32を軸方向に貫通している。複数のマグネット穴部36hの内部には、複数のマグネット37がそれぞれ収容されている。マグネット穴部36h内におけるマグネット37の固定方法は、特に限定されない。複数のマグネット穴部36hは、一対の第1マグネット穴部36c,36dと、第2マグネット穴部36eと、を含む。
【0029】
複数のマグネット37の種類は、特に限定されない。マグネット37は、例えば、ネオジム磁石であってもよいし、フェライト磁石であってもよい。複数のマグネット37は、一対の第1マグネット穴部36c,36dにそれぞれ配置された一対の第1マグネット37c,37dと、第2マグネット穴部36eに配置された第2マグネット37eと、を含む。
【0030】
本実施形態において一対の第1マグネット穴部36c,36dと一対の第1マグネット37c,37dと第2マグネット穴部36eと第2マグネット37eとは、周方向に間隔を空けて複数ずつ設けられている。一対の第1マグネット穴部36c,36dと一対の第1マグネット37c,37dと第2マグネット穴部36eと第2マグネット37eとは、例えば、8つずつ設けられている。
【0031】
ロータ30は、周方向に間隔を空けて配置された複数の磁極部38を有する。磁極部38は、例えば、8つ設けられている。複数の磁極部38は、例えば、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置されている。複数の磁極部38は、ロータコア32の外周面における磁極がN極の磁極部38Nと、ロータコア32の外周面における磁極がS極の磁極部38Sと、を複数ずつ含む。磁極部38Nと磁極部38Sとは、例えば、4つずつ設けられている。4つの磁極部38Nと4つの磁極部38Sとは、周方向に沿って交互に配置されている。各磁極部38の構成は、ロータコア32の外周面の磁極が異なる点および周方向位置が異なる点を除いて、同様の構成である。
【0032】
磁極部38は、マグネット37と、マグネット37が配置されるマグネット穴部36hと、を有する。本実施形態において磁極部38は、一対の第1マグネット穴部36c,36dと、一対の第1マグネット37c,37dと、第2マグネット穴部36eと、第2マグネット37eと、を1つずつ有する。
【0033】
磁極部38において、一対の第1マグネット穴部36c,36dは、周方向に互いに間隔を空けて配置されている。第1マグネット穴部36cと第1マグネット穴部36dとは、磁極中心線Ldを周方向に挟んで配置されている。磁極中心線Ldは、磁極部38の周方向中心と中心軸Jとを通り、径方向に延びる仮想線である。磁極中心線Ldは、磁極部38ごとに設けられる。磁極中心線Ldは、軸方向に見て、ロータ30のd軸上を通っている。磁極中心線Ldが延びる方向は、ロータ30のd軸方向である。第1マグネット穴部36cと第1マグネット穴部36dとは、軸方向に見て、磁極中心線Ldに対して線対称に配置されている。
【0034】
一対の第1マグネット穴部36c,36dは、軸方向に見て径方向内側から径方向外側に向かうに従って互いに周方向に離れる方向に延びている。つまり、第1マグネット穴部36cと第1マグネット穴部36dとの間の周方向の距離は、径方向内側から径方向外側に向かうに従って大きくなっている。一対の第1マグネット穴部36c,36dは、軸方向に見て、径方向外側に向かうに従って周方向に広がるV字形状に沿って配置されている。一対の第1マグネット穴部36c,36dに配置された一対の第1マグネット37c,37dは、軸方向に見て、径方向外側に向かうに従って周方向に広がるV字形状に沿って配置されている。
【0035】
第2マグネット穴部36eは、一対の第1マグネット穴部36c,36dの径方向外側の端部同士の周方向の間に位置する。第2マグネット穴部36eは、例えば、軸方向に見て、径方向と直交する方向に略直線状に延びている。第2マグネット穴部36e、例えば、軸方向に見て、磁極中心線Ldと直交する方向に延びている。一対の第1マグネット穴部36c,36dと第2マグネット穴部36eとは、軸方向に見て、∇形状に沿って配置されている。一対の第1マグネット穴部36c,36dに配置された一対の第1マグネット37c,37dと第2マグネット穴部36eに配置された第2マグネット37eとは、軸方向に見て、∇形状に沿って配置されている。
【0036】
ロータコア32は、軸方向に延び周方向に間隔を空けて配置された複数のコア穴部37fを有する。複数のコア穴部37fは、軸方向に見て、それぞれ磁極間中心線Lq上に配置されている。磁極間中心線Lqは、周方向に隣り合う磁極部38同士の間における周方向中心と中心軸Jとを通り、径方向に延びる仮想線である。磁極間中心線Lqは、軸方向に見て、ロータ30のq軸上を通っている。磁極間中心線Lqが延びる方向は、ロータ30のq軸方向である。磁極間中心線Lqは、磁極部38同士の間ごとに設けられる。磁極中心線Ldが延びる方向と磁極間中心線Lqが延びる方向とは、互いに交差する方向である。磁極中心線Ldと磁極間中心線Lqとは、周方向に沿って交互に設けられる。上述したようにコア穴部37fが磁極間中心線Lq上に配置されているため、コア穴部37fの周方向位置は、周方向に隣り合う磁極部38同士の間における周方向の中心位置を含む。
【0037】
本実施形態においてコア穴部37fの周方向の寸法は、径方向外側に向かうに従って小さくなっている。本実施形態においてコア穴部37fは、軸方向に見て、角丸の略三角形状である。コア穴部37fの径方向外側部分は、周方向に隣り合う磁極部38のうち一方の磁極部38における第1マグネット穴部36cと、周方向に隣り合う磁極部38のうち他方の磁極部38における第1マグネット穴部36dとの周方向の間に位置する。コア穴部37fの径方向内側部分は、マグネット穴部36hよりも径方向内側に位置する。
【0038】
図4に示すように、コア穴部37fは、第1コア穴部37gと、第2コア穴部37hと、を含む。第1コア穴部37gは、ロータコア32のうちプレート50よりも右側(-Y側)に位置する部分に設けられている。第1コア穴部37gは、プレート50よりも右側に位置する複数の第1コアピース部36Aを軸方向に貫通している。第1コア穴部37gは、周方向に間隔を空けて複数配置されている。第2コア穴部37hは、ロータコア32のうちプレート50よりも左側(+Y側)に位置する部分に設けられている。第2コア穴部37hは、プレート50よりも左側に位置する複数の第2コアピース部36Bを軸方向に貫通している。第2コア穴部37hは、周方向に間隔を空けて複数配置されている。各第1コア穴部37gと各第2コア穴部37hとは、軸方向に見て、それぞれ重なる位置に配置されている。
【0039】
プレート50は、軸方向に隣り合うコアピース部36同士の間に配置されている。本実施形態においてプレート50は、第1コアピース部36Aと第2コアピース部36Bとの軸方向の間に位置する。プレート50は、プレート50を軸方向に挟むコアピース部36のそれぞれに接触している。図5に示すように、プレート50は、シャフト31を囲む環状である。より詳細には、プレート50は、中心軸Jを中心とする円環状である。プレート50は、板面が軸方向を向く板状である。プレート50を構成する材料は、非磁性体である。プレート50の外径は、ロータコア32の外径よりも僅かに小さい。
【0040】
プレート50の左側(+Y側)の面である左面50aは、第1面51と、第2面52と、第3面53と、を有する。本実施形態において第1面51、第2面52、および第3面53は、シャフト31を囲む環状である。つまり、第1面51、第2面52、および第3面53は、周方向に延びている。より詳細には、第1面51、第2面52、および第3面53は、中心軸Jを中心とする円環状である。本実施形態において第1面51、第2面52、および第3面53は、左側を向き、軸方向と直交する面である。
【0041】
第1面51は、プレート50の径方向内縁部に設けられている。第1面51の径方向内縁は、左面50aにおける径方向内縁である。本実施形態において第1面51は、左面50aのうちで最も右側(-Y側)に位置する面である。
【0042】
第2面52は、第1面51よりも径方向外側に位置する。本実施形態において第2面52は、第1面51の径方向外側に段差57を介して繋がっている。つまり、本実施形態において第1面51と第2面52とは、段差57を介して径方向に繋がっている。段差57は、第1面51から第2面52まで辿る際に左側(+Y側)に突出する段差である。第2面52は、第1面51よりも左側(+Y側)に突出した位置に配置されている。第2面52は、軸方向に見て、第1面51を囲んでいる。図3に示すように、第2面52は、マグネット穴部36hよりも径方向内側に位置する。
【0043】
第3面53は、第2面52の径方向外側に段差58を介して繋がっている。段差58は、第2面52から第3面53まで辿る際に左側(+Y側)に突出する段差である。第3面53は、第2面52よりも左側に突出した位置に配置されている。第3面53は、プレート50の径方向外縁部に設けられている。第3面53の径方向外縁は、左面50aにおける径方向外縁である。本実施形態において第3面53は、左面50aのうちで最も左側に位置する面である。第3面53には、周方向に延びる溝56が設けられている。溝56は、シャフト31を囲む円環状の溝である。プレート50を扱う作業者等は、溝56を視認することで、プレート50のいずれの面が、第1面51および第2面52が設けられた左面50aであるかを容易に把握できる。
【0044】
図4に示すように、第1面51および第2面52は、プレート50の左側(+Y側)に位置するコアピース部36から右側(-Y側)に離れて配置されている。プレート50の左側に位置するコアピース部36と第1面51との軸方向の間には、隙間G1が設けられている。プレート50の左側に位置するコアピース部36と第2面52との軸方向の間には、隙間G2が設けられている。隙間G1の軸方向の寸法は、隙間G2の軸方向の寸法よりも大きい。隙間G1,G2の軸方向の寸法は、開口部33cの軸方向の寸法、すなわち開口部33cの内径よりも小さい。隙間G1,G2は、開口部33cの軸方向の中央部と径方向に対向している。第3面53は、プレート50の左側に位置するコアピース部36に接触している。
【0045】
図6に示すように、本実施形態においてプレート50の右側(-Y側)の面である右面50bは、平坦な面である。つまり、左面50aと異なり、右面50bには段差が設けられていない。本実施形態において右面50bは、軸方向と直交する面である。図4に示すように、右面50bは、プレート50の右側に位置するコアピース部36に接触している。プレート50の右側に位置するコアピース部36と右面50bとの軸方向の間には、隙間が設けられていない。
【0046】
図5に示すように、プレート50は、第2面52に設けられた複数のプレート貫通孔54を有する。複数のプレート貫通孔54は、プレート50を軸方向に貫通している。複数のプレート貫通孔54は、周方向に間隔を空けて配置されている。より詳細には、複数のプレート貫通孔54は、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置されている。図3に示すように、複数のプレート貫通孔54は、軸方向に見て、それぞれ磁極間中心線Lqと重なる位置に配置されている。プレート貫通孔54の周方向位置は、周方向に隣り合う磁極部38同士の間における周方向の中心位置を含む。各プレート貫通孔54は、各第2シャフト穴部33bの開口部33cに対して周方向にずれて配置されている。
【0047】
複数のプレート貫通孔54は、軸方向に見て、複数のコア穴部37fのそれぞれと重なっている。本実施形態において各プレート貫通孔54の全体は、軸方向に見て、各コア穴部37fと重なっている。プレート貫通孔54は、軸方向に見て、コア穴部37fよりも小さい。本実施形態においてプレート貫通孔54の内縁の全体は、コア穴部37fの内縁から離れて配置されている。複数のプレート貫通孔54は、複数のコア穴部37fとそれぞれ軸方向に繋がっている。
【0048】
本実施形態においてプレート貫通孔54の周方向の寸法は、径方向外側に向かうに従って小さくなっている。プレート貫通孔54の周方向の寸法は、周方向に隣り合うプレート貫通孔54同士の間の周方向の距離よりも小さい。プレート貫通孔54は、軸方向に見て、略台形状である。プレート貫通孔54の径方向外縁は、第2面52の径方向外縁に位置する。
【0049】
図5に示すように、プレート50は、プレート壁部59を有する。プレート壁部59は、第1面51のうち径方向内縁よりも径方向外側に位置する部分から左側(+Y側)に突出する壁である。より詳細には、プレート壁部59は、第1面51の径方向外縁から左側に突出している。プレート壁部59は、周方向に延びている。本実施形態においてプレート壁部59は、シャフト31を囲む環状である。より詳細には、プレート壁部59は、中心軸Jを中心とする円環状である。本実施形態においてプレート壁部59は、第1面51と第2面52との間の段差57によって構成されている。プレート壁部59の径方向内側の面は、段差57における径方向内側を向く段差面である。図3および図4に示すように、プレート壁部59の一部は、開口部33cの径方向外側に間隔を空けて対向して配置されている。つまり、本実施形態において開口部33cは、プレート壁部59と対向している。
【0050】
図5に示すように、プレート50は、嵌合凸部55を有する。嵌合凸部55は、プレート50の径方向内縁に設けられている。嵌合凸部55は、径方向内側に突出する。嵌合凸部55は、シャフト31の外周面に設けられた嵌合凹部31aに嵌め合わされている。これにより、プレート50がシャフト31に対して周方向に位置決めされている。嵌合凹部31aは、軸方向に延びている。嵌合凸部55と嵌合凹部31aとは、中心軸Jを挟んで一対ずつ設けられている。
【0051】
図1に示すように、ステータ40は、ロータ30と径方向に隙間を介して対向する。ステータ40は、ロータ30を径方向外側から周方向全周に亘って囲んでいる。ステータ40は、モータハウジング81の内部に固定される。ステータ40は、ステータコア41と、コイルアセンブリ42と、を有する。
【0052】
ステータコア41は、回転電機10の中心軸Jを囲む環状である。ステータコア41は、例えば、電磁鋼板などの板部材が軸方向に複数積層されて構成されている。コイルアセンブリ42は、周方向に沿ってステータコア41に取り付けられる複数のコイル42cを有する。複数のコイル42cは、図示しないインシュレータを介してステータコア41の図示しない各ティースにそれぞれ装着されている。複数のコイル42cは、周方向に沿って配置されている。コイル42cは、ステータコア41から軸方向に突出する部分を有する。
【0053】
流路90は、ハウジング80内に設けられる。流路90には、流体としてのオイルOが流れる。流路90は、モータハウジング81の内部とギヤハウジング82の内部とに跨って設けられている。流路90は、ギヤハウジング82内に貯留されたオイルOがモータハウジング81内の回転電機10に供給されて再びギヤハウジング82内に戻る経路である。流路90には、ポンプ71と、クーラ72と、が設けられている。流路90は、第1流路部91と、第2流路部92と、第3流路部93と、流体供給部70と、シャフト内流路部95と、接続流路部94と、プレート流路部96と、ロータコア内流路部98と、ガイド流路部97と、を有する。
【0054】
第1流路部91、第2流路部92、および第3流路部93は、例えば、ギヤハウジング82の壁部に設けられている。第1流路部91は、ギヤハウジング82の内部のうちオイルOが貯留されている部分とポンプ71とを繋いでいる。第2流路部92は、ポンプ71とクーラ72とを繋いでいる。第3流路部93は、クーラ72と流体供給部70とを繋いでいる。本実施形態において第3流路部93は、流体供給部70の左側の端部、すなわち流体供給部70の上流側部分に繋がっている。
【0055】
流体供給部70は、ステータ40にオイルOを供給する。本実施形態において流体供給部70は、軸方向に延びる管状である。言い換えれば、本実施形態において流体供給部70は、軸方向に延びるパイプである。流体供給部70の軸方向両端部は、モータハウジング81に支持されている。流体供給部70の左側の端部は、例えば、隔壁部81bに支持されている。流体供給部70の右側の端部は、例えば、蓋部81cに支持されている。流体供給部70は、ステータ40の径方向外側に位置する。本実施形態において流体供給部70は、ステータ40の上側に位置する。
【0056】
流体供給部70は、ステータ40にオイルOを供給する供給口70aを有する。本実施形態において供給口70aは、流体供給部70内に流入したオイルOの一部を流体供給部70の外部に噴射させる噴射口である。供給口70aは、流体供給部70の壁部を内周面から外周面まで貫通する孔によって構成されている。供給口70aは、流体供給部70に複数設けられている。複数の供給口70aは、例えば、軸方向または周方向に互いに間隔をあけて配置される。
【0057】
接続流路部94は、流体供給部70とシャフト内流路部95とを繋いでいる。本実施形態において接続流路部94は、蓋部81cに設けられている。シャフト内流路部95は、中空のシャフト31の内部によって構成されている。シャフト内流路部95は、軸方向に延びている。シャフト内流路部95は、モータハウジング81の内部とギヤハウジング82の内部とに跨って配置されている。
【0058】
プレート流路部96は、シャフト内流路部95とロータコア内流路部98とを繋いでいる。図4に示すように、プレート流路部96は、プレート50とプレート50の左側(+Y側)に位置するコアピース部36とによって構成されている。プレート流路部96の内部は、プレート50とコアピース部36との軸方向の間に設けられた隙間G1,G2によって構成されている。プレート流路部96は、第2シャフト穴部33bを介して、シャフト内流路部95と繋がっている。
【0059】
ロータコア内流路部98は、複数のコア穴部37fのそれぞれによって構成されている。つまり、ロータコア内流路部98は、周方向に間隔を空けて複数設けられている。図1に示すように、ロータコア内流路部98は、プレート流路部96とガイド流路部97とを繋いでいる。図2に示すように、ガイド流路部97は、一対のエンドプレート39のそれぞれに設けられている。各エンドプレート39においてガイド流路部97は、周方向に間隔を空けて複数設けられている。各ガイド流路部97は、各コア穴部37fの軸方向端部にそれぞれ繋がっている。ガイド流路部97は、径方向に延びている。ガイド流路部97は、径方向外側に開口している。
【0060】
図1に示すように、ポンプ71が駆動されると、ギヤハウジング82内に貯留されたオイルOが第1流路部91を通って吸い上げられ、第2流路部92を通ってクーラ72内に流入する。クーラ72内に流入したオイルOは、クーラ72内で冷却された後、第3流路部93を通って、流体供給部70へと流れる。流体供給部70内に流入したオイルOの一部は、供給口70aから噴射されて、ステータ40に供給される。流体供給部70内に流入したオイルOの他の一部は、接続流路部94を通ってシャフト内流路部95に流入する。
【0061】
図4に示すように、シャフト内流路部95を流れるオイルOの一部は、第2シャフト穴部33bからプレート50とコアピース部36との隙間G1,G2、すなわちプレート流路部96に流入する。プレート流路部96内においてオイルOは、隙間G1から隙間G2へと流れる。プレート流路部96に流入したオイルOは、隙間G2からロータコア内流路部98に流入する。より詳細には、プレート流路部96に流入したオイルOの一部は、隙間G2からプレート貫通孔54を通り、ロータコア32のうちプレート50の右側(-Y側)に位置する部分に設けられた第1コア穴部37gの内部に流入する。プレート流路部96に流入したオイルOの他の一部は、隙間G2から、ロータコア32のうちプレート50の左側(+Y側)に位置する部分に設けられた第2コア穴部37hの内部に流入する。
【0062】
図1に示すように、ロータコア内流路部98に流入したオイルOは、ガイド流路部97を流れて、ステータ40に飛散する。シャフト内流路部95に流入したオイルOの他の一部は、シャフト31の左側の開口からギヤハウジング82の内部に排出され、再びギヤハウジング82内に貯留される。
【0063】
供給口70aからステータ40に供給されたオイルOは、ステータ40から熱を奪い、シャフト31内からロータ30およびステータ40に供給されたオイルOは、ロータ30およびステータ40から熱を奪う。ステータ40およびロータ30を冷却したオイルOは、下側に落下して、モータハウジング81内の下部領域に溜まる。モータハウジング81内の下部領域に溜ったオイルOは、隔壁部81bに設けられた隔壁開口81dを介してギヤハウジング82内に戻る。以上のようにして、流路90は、ギヤハウジング82内に貯留されたオイルOをロータ30およびステータ40に供給する。
【0064】
本実施形態によれば、プレート50は、第1面51のうち径方向内縁よりも径方向外側に位置する部分から左側(+Y側)に突出するプレート壁部59を有する。そのため、図3に示すように、プレート50の第1面51とコアピース部36との隙間G1に流入したオイルOの少なくとも一部は、径方向外側に流れて、プレート壁部59に当たる。プレート壁部59は周方向に延びているため、プレート壁部59に当たったオイルOは、プレート壁部59に沿って周方向に流れる。図3の例では、プレート壁部59に当たったオイルOは、プレート壁部59に沿って周方向両側に分岐して流れる。これにより、第2シャフト穴部33bから隙間G1に流入したオイルOを周方向に広げることができる。したがって、第1面51とコアピース部36との隙間G1から、第2面52とコアピース部36との隙間G2に流れたオイルOを、第2面52に周方向に間隔を空けて配置された複数のプレート貫通孔54に対して、バランスよく流入させることができる。つまり、複数のプレート貫通孔54に流れるオイルOの量がバラつくことを抑制できる。そのため、複数のプレート貫通孔54を介してロータコア32に供給されるオイルOの量が周方向でバラつくことを抑制できる。これにより、プレート50を介したロータコア32へのオイルOの供給が不均一となることを抑制できる。したがって、オイルOによって、ロータコア32およびマグネット37を好適に冷却できる。
【0065】
マグネット37を好適に冷却できることで、マグネット37の温度が高温になることを抑制でき、マグネット37が減磁することを好適に抑制できる。そのため、回転電機10の出力トルクが低下することを抑制できる。これにより、マグネット37として磁力が比較的小さい安価なマグネットを用いても、回転電機10の出力トルクを維持することが可能となる。したがって、駆動装置100の出力を維持しつつ、安価なマグネット37を用いて駆動装置100の製造コストを低減できる。
【0066】
また、本実施形態によれば、第2シャフト穴部33bの開口部33cは、プレート壁部59と対向している。そのため、開口部33cからプレート50とコアピース部36との隙間G1に流入したオイルOがプレート壁部59に当たりやすい。これにより、オイルOをプレート壁部59に沿って、より好適に周方向に広げることができる。したがって、複数のプレート貫通孔54を介してロータコア32に供給されるオイルOの量が周方向でバラつくことをより抑制できる。
【0067】
また、本実施形態によれば、プレート壁部59は、シャフト31を囲む環状である。そのため、開口部33cからプレート50とコアピース部36との隙間G1に流入したオイルOを、よりプレート壁部59に当てやすくできる。これにより、オイルOをプレート壁部59に沿って、より好適に周方向に広げることができる。
【0068】
また、本実施形態によれば、第1面51および第2面52は、シャフト31を囲む環状である。そのため、第1面51および第2面52に沿って、隙間G1,G2内のオイルOを周方向に流しやすくできる。これにより、オイルOをより好適に周方向に広げることができる。
【0069】
また、本実施形態によれば、開口部33cの周方向位置は、周方向に隣り合うプレート貫通孔54同士の間における周方向位置である。そのため、開口部33cから隙間G1に流入したオイルOが径方向外側に流れてそのままプレート貫通孔54に流入することを抑制できる。これにより、隙間G1に流入したオイルOをプレート壁部59などで好適に周方向に広げてから、プレート貫通孔54に流入させることができる。したがって、開口部33cから流入するオイルOが1つのプレート貫通孔54のみに流入することを抑制でき、複数のプレート貫通孔54に流れるオイルOの量がバラつくことをより抑制できる。
【0070】
また、本実施形態によれば、第2面52は、第1面51よりも左側(+Y側)に突出した位置に配置されている。第1面51と第2面52とは、段差57を介して径方向に繋がっている。プレート壁部59は、段差57によって構成されている。そのため、プレート壁部59によって周方向に広がって第2面52上に流れたオイルOを、そのまま第2面52上でさらに広げやすくできる。これにより、第2面52に設けられた各プレート貫通孔54のそれぞれに、オイルOをより好適に流入させやすくできる。
【0071】
また、本実施形態によれば、プレート50の左面50aは、第2面52の径方向外側に段差58を介して繋がる第3面53を有する。第3面53は、第2面52よりも左側に突出した位置に配置されている。そのため、第2面52とコアピース部36との隙間G2において径方向外側に流れるオイルOを段差58に当てて、周方向に広げることができる。これにより、第2面52上でオイルOをより周方向に広げやすくできる。
【0072】
また、本実施形態によれば、複数のコア穴部37fは、複数のプレート貫通孔54とそれぞれ繋がっている。そのため、各プレート貫通孔54内に流入したオイルOを各コア穴部37f内に流入させることができる。これにより、ロータコア32およびマグネット37をオイルOによってより好適に冷却できる。
【0073】
また、本実施形態によれば、プレート貫通孔54の全体は、軸方向に見て、コア穴部37fと重なっている。プレート貫通孔54は、軸方向に見て、コア穴部37fよりも小さい。このように各プレート貫通孔54を比較的小さくして各プレート貫通孔54内に流入するオイルOの量を絞ることで、各プレート貫通孔54内に流れるオイルOの量にバラつきが生じることをより抑制できる。また、プレート貫通孔54の全体が軸方向に見てコア穴部37fと重なることで、プレート貫通孔54に流入したオイルOの全てを好適にコア穴部37f内に流入させやすい。
【0074】
また、本実施形態によれば、プレート貫通孔54の周方向位置およびコア穴部37fの周方向位置は、周方向に隣り合う磁極部38同士の間における周方向の中心位置を含む。そのため、コア穴部37fを磁極部38において生じる磁束の流れに影響しにくい箇所に設けつつ、プレート貫通孔54からコア穴部37fにオイルOを流入させやすくできる。
【0075】
また、本実施形態によれば、コア穴部37fの周方向の寸法は、径方向外側に向かうに従って小さくなっている。そのため、コア穴部37fの周方向縁部をV字状に沿って配置された第1マグネット37cまたは第1マグネット37dに沿った形状にしやすい。これにより、コア穴部37fと第1マグネット37c,37dとの間に磁束を流しやすくでき、ロータコア32内において磁束を好適に流すことができる。また、プレート貫通孔54の周方向の寸法は、径方向外側に向かうに従って小さくなっている。そのため、プレート貫通孔54の形状を、コア穴部37fの形状に近い形状にしやすく、プレート貫通孔54の全体をコア穴部37fと軸方向に重ねて配置しやすい。
【0076】
また、本実施形態によれば、第2面52は、マグネット穴部36hよりも径方向内側に位置する。そのため、第2面52に設けられたプレート貫通孔54、および第2面52と第3面53との間に設けられた段差58をマグネット穴部36hよりも径方向内側に配置できる。これにより、プレート貫通孔54および段差58を、ロータコア32を流れる磁束に影響を与えにくい位置に設けることができる。
【0077】
また、本実施形態によれば、プレート貫通孔54の周方向の寸法は、周方向に隣り合うプレート貫通孔54同士の間の周方向の距離よりも小さい。そのため、プレート貫通孔54を比較的小さくできる。これにより、各プレート貫通孔54内に流入するオイルOの量をより好適に絞りやすく、各プレート貫通孔54内に流れるオイルOの量にバラつきが生じることをより抑制できる。
【0078】
また、本実施形態によれば、プレート50の右面50bは、平坦な面である。そのため、右面50bとプレート50の右側に位置するコアピース部36とを好適に接触させることができる。これにより、プレート50を構成する材料とコアピース部36を構成する材料とが異なる材料であっても、プレート50とコアピース部36とを好適に接触させて連結することができる。
【0079】
また、本実施形態によれば、プレート50を構成する材料は、非磁性体である。そのため、プレート50がロータコア32を流れる磁束に影響を与えることがない。これにより、プレート50によってロータコア32を流れる磁束を阻害することなく、プレート50によってロータコア32に供給されるオイルOが不均一になることを抑制できる。
【0080】
<第2実施形態>
以下、上述した実施形態と同様の構成については、適宜同一の符号を付すなどにより、説明を省略する場合がある。図7に示すように、本実施形態のロータ230において、第2シャフト穴部233bは、径方向に対して軸方向に斜めに傾いて延びている。第2シャフト穴部233bは、径方向外側に向かうに従って右側(-Y側)に位置する。第2シャフト穴部233bの開口部233cは、シャフト231の外周面に開口している。本実施形態において開口部233cの軸方向の寸法、すなわち開口部233cの内径は、隙間G1の軸方向の寸法よりも小さい。開口部233cの全体は、隙間G1に開口している。開口部233cは、プレート壁部59に対向する向きに開口している。ロータ230のその他の構成は、第1実施形態のロータ30のその他の構成と同様である。
【0081】
<第3実施形態>
以下、上述した実施形態と同様の構成については、適宜同一の符号を付すなどにより、説明を省略する場合がある。図8に示すように、本実施形態のロータ330のプレート350において、左面350aに設けられたプレート壁部359は、第1面51および第2面352から左側(+Y側)に突出している。図示は省略するが、プレート壁部359は、第1実施形態と同様に中心軸Jを中心とする円環状である。プレート壁部359の左側の端部は、第3面53よりも右側(-Y側)に位置する。
【0082】
第2面352は、プレート壁部359の左側(+Y側)の端部よりも右側(-Y側)に位置する。そのため、プレート壁部359を径方向外側に乗り越えて第2面352とコアピース部36との隙間に流れたオイルOが、第1面51とコアピース部36との間に逆流することを、プレート壁部359によって抑制できる。本実施形態において第2面352の軸方向位置は、第1面51の軸方向位置と同じである。なお、第2面352は、プレート壁部359の左側の端部より右側かつ第1面51より左側に位置してもよいし、第1面51より右側に位置してもよい。ロータ330のその他の構成は、第1実施形態のロータ30のその他の構成と同様である。
【0083】
<第4実施形態>
以下、上述した実施形態と同様の構成については、適宜同一の符号を付すなどにより、説明を省略する場合がある。図9に示すように、本実施形態のロータ430のプレート450において、プレート壁部459は、周方向に間隔を空けて複数配置されている。複数のプレート壁部459は、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置されている。各プレート壁部459は、周方向に延びる略円弧状である。プレート壁部459は、第1面51および第2面452から左側(+Y側)に突出している。
【0084】
本実施形態において第2面452は、周方向に隣り合うプレート壁部459同士の間にそれぞれ設けられている。各第2面452は、第1面51の径方向外側に段差なく繋がっている。各第2面452は、各プレート壁部459の左側(+Y側)の面よりも右側(-Y側)に位置する。各第2面452は、第1面51から径方向外側に突出している。各第2面452には、プレート貫通孔54が1つずつ設けられている。ロータ430のその他の構成は、第1実施形態のロータ30のその他の構成と同様である。
【0085】
本実施形態によれば、第2面452は、周方向に隣り合うプレート壁部459同士の間に位置し、かつ、第1面51の径方向外側に段差なく繋がっている。そのため、プレート壁部459によって周方向に広げられたオイルOを、プレート壁部459を径方向外側に乗り越えさせることなく、第2面452からプレート貫通孔54に流すことができる。これにより、オイルOをよりプレート貫通孔54に流しやすくできる。
【0086】
本発明は上述の実施形態に限られず、本発明の技術的思想の範囲内において、他の構成および他の方法を採用することもできる。プレートの軸方向一方側の面は、第1面および第2面を有するならば、どのような構成であってもよい。第1面と第2面との軸方向の相対位置関係は、特に限定されない。プレートの軸方向一方側の面は、第3面を有しなくてもよい。プレートの軸方向他方側の面は、どのような面であってもよい。プレートの軸方向他方側の面には、段差が設けられていてもよい。複数のプレート貫通孔は、どのような形状であってもよい。
【0087】
プレート壁部は、第1面のうち径方向内縁よりも径方向外側に位置する部分から軸方向一方側に突出し、周方向に延びているならば、どのような形状であってもよい。プレート壁部と第2シャフト穴部との周方向の相対位置関係は、特に限定されない。ロータコアなどに流体を供給する流路は、どのような構造であってもよい。流路を流れる流体は、どのような種類の流体であってもよい。ロータコアは、コア穴部を有しなくてもよい。ロータは、スキューが施されていないロータであってもよい。ロータは、プレートとコアピース部との軸方向に配置される別の部材を有してもよい。この場合、当該他の部材と第1面との軸方向の隙間、および当該他の部材と第2面との軸方向の隙間に、第2シャフト穴部から流体が流入してもよい。シャフトに設けられた第1シャフト穴部は、軸方向両側の少なくとも一方に底部を有する穴であってもよい。
【0088】
本発明が適用される回転電機は、モータに限られず、発電機であってもよい。回転電機の用途は、特に限定されない。回転電機は、車両以外の機器に搭載されてもよい。本発明が適用される駆動装置の用途は、特に限定されない。駆動装置は、例えば、車軸を回転させる用途以外の用途で車両に搭載されてもよいし、車両以外の機器に搭載されてもよい。回転電機、および駆動装置が用いられる際の姿勢は、特に限定されない。回転電機の中心軸は、鉛直方向と直交する水平方向に対して傾いていてもよいし、鉛直方向に延びてもよい。以上、本明細書において説明した構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0089】
10…回転電機、30,230,330,430…ロータ、31,231…シャフト、32…ロータコア、33a…第1シャフト穴部、33b,233b…第2シャフト穴部、33c,233c…開口部、36…コアピース部、36h…マグネット穴部、37…マグネット、37f…コア穴部、38,38N,38S…磁極部、40…ステータ、50,350,450…プレート、50a…左面(プレートの軸方向一方側の面)、50b…右面(プレートの軸方向他方側の面)、51…第1面、52,352,452…第2面、53…第3面、54…プレート貫通孔、57,58…段差、59,359,459…プレート壁部、60…ギヤ機構、100…駆動装置、J…中心軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9