(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023030883
(43)【公開日】2023-03-08
(54)【発明の名称】柑橘の維管束除去用カッター
(51)【国際特許分類】
A47J 17/04 20060101AFI20230301BHJP
【FI】
A47J17/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021136273
(22)【出願日】2021-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】502445844
【氏名又は名称】神谷 弘志
(72)【発明者】
【氏名】神谷 弘志
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明が解決しようとする課題は、大型及び中型柑橘のじょうのう袋球面部にある維管束を、維管束を含んだV字型の切込みを維管束に沿って入れることによってじょうのう袋より切り離し、これにより柑橘のじょうのう膜を砂じょうから容易且つきれいに剥ぎ取る事の出来る構造のカッターを提供することにある。
【解決手段】柑橘類のじょうのう袋の球面部の長手方向に在する維管束を切り取る為の維管束除去用カッター4であって、じょうのう袋の球面部の維管束に沿って長手側前方9から長手側後方10に移動させる本体11の下に、長手側前方9を峰12とし、長手側前方9から見てV字型になるよう2つの刃13を配置した構造と、短手方向14から見て2つの刃13-aと刃13-bは前後にずれ、前方の刃13-aがさらに前方に傾いて配置され、もう一方の刃13-bの先端と先端との間に隙間が生じるように配置されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
じょうのう袋球面部の維管束に沿って長手側前方から長手側後方に移動させる本体の下に、長手側前方を峰とし、長手側前方から見てV字型になるよう2つの刃を配置した構造且つ、短手方向から見て2つの刃は前後にずれ、前方の刃がさらに前方に傾いて配置され、もう一方の刃の先端と先端との間に隙間が生じるように配置された構造となっており、維管束を2つの刃の間に挟み込んでじょうのう袋球面部に差し込むことが出来ることを特徴とする柑橘の維管束除去用カッター。
【請求項2】
本体の任意の場所に、前項の刃を以て付けたじょうのう袋球面部の切込みに差し込み、切込みに沿って動かすことで、維管束を砂じょうから離すことのできる曲がりを有するへら状の鉤が配置されていることを特徴とする請求項1の柑橘の維管束除去用カッター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、大型及び中型柑橘類のじょうのう袋(1)球面部(2)にある維管束(3)を切り取るために使用する柑橘の維管束除去用カッター(4)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
柑橘類の皮剥き器は、種々の構造のものが知られており、基本的には外果皮(5)切断用の器具とじょうのう膜(6)切断用の器具とに分類される。特許文献1のように、大きな爪状突起で厚い外果皮(5)を切り、指を外果皮(5)とじょうのう袋(1)の間に挿し入れて外果皮(5)をはぎ、じょうのう袋(1)を房ごとに分けた後、じょうのう袋(1)腹部分(7)のじょうのう膜(6)を切断する事によって、砂じょう(8)とじょうのう膜(6)を手で剥きやすくする方法が一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録公報第2512907号 (柑橘類の皮剥き器)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の皮剥き器によれば、外果皮(5)の除去及びじょうのう袋(1)腹部(7)の切り開きを難なく行うことが出来るので、砂じょう(8)を包むじょうのう膜(6)を剥ぎ取りやすくなる。しかし、多くの柑橘類の砂じょう(8)及びじょうのう膜(6)はじょうのう袋(1)球面部(2)にある維管束(3)にむかって結合しており、この維管束(3)の存在が、じょうのう膜(6)を砂じょう(8)からきれいに剥ぎ取ることの妨げとなっていた。
【0005】
この維管束(3)が残ると、せっかく剥いた砂じょう(8)の外見及び食感が悪くなり、また無理に取り除こうとすると砂じょう(8)が崩れやすくなるという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、よりきれいに、より容易に、じょうのう膜(6)を剥ぎ取りやすくするために、じょうのう袋(1)球面部(2)にある維管束(3)を断ち切ることの出来る、
図1のような柑橘の維管束除去用カッター(4)を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るカッターは、柑橘類のじょうのう袋(1)球面部(2)の長手方向に在する維管束(3)を切り取る為の維管束除去用カッターであって、じょうのう袋(1)球面部(2)の維管束(3)に沿って長手側前方(9)から長手側後方(10)に移動させる本体(11)の下に、
図2のように長手側前方(9)を峰(12)とし、長手側前方(9)から見てV字型になるよう2つの刃(13)を配置した構造且つ、
図3のように短手方向(14)から見て2つの刃(13)は前後にずれ、前方の刃(13-a)がさらに前方に傾いて配置され、もう一方の刃(13-b)の先端と先端との間に隙間が生じるように配置された構造となっており、維管束(3)を2つの刃(13)の間に挟み込んでじょうのう袋(1)球面部(2)に差し込むことが出来る。
【0008】
更に、本体の任意の場所に、前記の刃(13)を以て付けたじょうのう袋(1)球面部(2)の切込み(15)に差し込み、切込み(15)に沿って動かすことで、維管束(3)を砂じょう(8)から離すことのできる曲がりを有するへら状の鉤(16)が配置されている。
【0009】
本発明品を使用する場合の手順は次のとおりである。
【0010】
図4のように、外果皮(5)を除去し、アルベド(17)を除いた柑橘において、じょうのう袋(1)を房ごとに分け、ハサミ、口、他の器具などでじょうのう袋(1)腹部(7)の切り開きを行う。
【0011】
図5のように、じょうのう袋(1)球面部(2)の長手側前方(9)付近の維管束(3)の下に入るように、前方の傾いた刃(13-a)を、刺し入れる。
【0012】
図6のように、先に刺し入れた刃(13-a)とで維管束(3)をまたぐように、もう一方の刃(13-b)をじょうのう袋(1)球面部(2)に刺し入れ、本体(11)を押し付ける。
【0013】
図7のように、柑橘の維管束除去用カッター(4)を長手側前方(9)から長手側後方(10)にのびる維管束(3)に沿って動かすと、長手側前方(9)からみてV字型に配置された刃(3)によって、じょうのう袋(1)球面部(2)に維管束(3)を中心に平行となるV字型の切込み(15)が入る。
【0014】
維管束(3)を中心に平行についた切込み(15)に、
図8のように鉤(16)の端部を差込み、切込み(15)に沿って動かすことで、維管束(3)の下で砂じょう(8)とつながっている部分が残っていればそれを断ち切り、維管束(3)が砂じょう(8)から離れることで、砂じょう(8)から切り離された維管束(3)を手などで簡単に取り除くことが出来る。
【0015】
維管束(3)の取り除かれたじょうのう袋(1)のじょうのう膜(6)を丁寧に剥くことで、形壊れが少なく維管束(3)のない砂じょう(8)を得る事が出来る。
【発明の効果】
【0016】
本発明品によれば、大型及び中型柑橘類のじょうのう袋(1)球面部(2)にある、砂じょう(8)と結合している維管束(3)に沿って、V字型の切込み(15)を入れることが出来き、また切込み(15)の部分に鉤(11)を差込み、切込み(15)に沿って動かすことで、未切断部分があればそれを断ち切り、維管束(3)が砂じょう(8)から離れることで、維管束(3)を容易に取り除く事が出来るようになる。これにより、じょうのう膜(6)を剥ぎ取りやすくなり、砂じょう(8)をじょうのう袋(1)からよりきれいに取り出すことが出来る。
【0017】
じょうのう袋(1)球面部(2)の形状や維管束(3)の付き方により、刃(3)の切込み(15)が維管束(3)よりずれ、部分的に維管束(3)が残ってしまう事があるが、維管束(3)と砂じょう(8)がある程度切り離されることにより、じょうのう膜(6)は切込みが無い場合と比べ格段に、砂じょう(8)から剥ぎ取りやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【発明を実施するための形態】
【0019】
図5、
図6、
図7、
図8は、本発明にかかる柑橘の維管束除去用カッター(4)の実施形態を示す。刃(13)はステンレスやセラミックなどの硬く鋭く錆びづらい材質を使用し、本体(11)下部はじょうのう袋(1)球面部(2)の上を安定的に移動できるよう、一定の面積を要す。
【符号の説明】
【0020】
1 じょうのう袋
2 球面部
3 維管束
4 柑橘の維管束除去用カッター
5 外果皮
6 じょうのう膜
7 腹部
8 砂じょう
9 長手側前方
10 長手側後方
11 本体
12 峰
13 刃
14 短手方向
15 切込み
16 鉤
17 アルベド