(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023030888
(43)【公開日】2023-03-08
(54)【発明の名称】双頭スパナ
(51)【国際特許分類】
B25B 13/02 20060101AFI20230301BHJP
B25F 1/00 20060101ALI20230301BHJP
【FI】
B25B13/02 A
B25B13/02 M
B25F1/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021136280
(22)【出願日】2021-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】591113459
【氏名又は名称】二幸電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124257
【弁理士】
【氏名又は名称】生井 和平
(72)【発明者】
【氏名】野口 博志
【テーマコード(参考)】
3C064
【Fターム(参考)】
3C064AA01
3C064AA20
3C064BA12
3C064CB61
(57)【要約】
【課題】工具を持ち替える必要がなく、異なる径のナットを締結及び解除することが可能であると共に、化粧パネルも取り外すことが可能な双頭スパナを提供する。
【解決手段】双頭スパナは、グリップ部10と、双頭口部20と、ヘラ部30とからなる。グリップ部10は細長板状のものである。双頭口部20は、グリップ部10の長手方向の一方の端部に設けられる。第1口部21と、異なる口径の第2口部22とを有する双頭口部20は、グリップ部10の板状面11に対して所定角度で屈曲されて延在する。ヘラ部30はm、グリップ部10の長手方向の他方の端部に設けられ、化粧パネルを取り外すために用いられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる径のナットを締結及び解除するのに用いられる双頭スパナであって、該双頭スパナは、
細長板状のグリップ部と、
前記グリップ部の長手方向の一方の端部に設けられ、グリップ部の板状面に対して所定角度で屈曲されて延在する双頭口部であって、第1口部と、第1口部と同一平面内に配置され第1口部とは異なる口径の第2口部とを有する、双頭口部と、
前記グリップ部の長手方向の他方の端部に設けられ、壁面側端子用の化粧パネルを取り外すために用いられる薄板状のヘラ部と、
を具備することを特徴とする双頭スパナ。
【請求項2】
請求項1に記載の双頭スパナにおいて、前記双頭口部は、第1口部及び第2口部がそれぞれコの字形状の開口を有し、該開口は、グリップ部の長手方向に対してY字状に離れる方向を向くことを特徴とする双頭スパナ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の双頭スパナにおいて、前記ヘラ部は、グリップ部の板状面に対して所定角度で屈曲されて延在することを特徴とする双頭スパナ。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れかに記載の双頭スパナにおいて、前記ヘラ部は、グリップ部の幅よりも狭いことを特徴とする双頭スパナ。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れかに記載の双頭スパナであって、さらに、未使用時に前記ヘラ部を覆う保護チューブを具備することを特徴とする双頭スパナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は双頭スパナに関し、特に、異なる径のナットを締結及び解除するのに用いられる双頭スパナに関する。
【背景技術】
【0002】
アンテナ装置と受信機器等の電子機器間は、電子機器や壁面に設けられるF型接栓と、これに螺合可能なF型コネクタを有する同軸ケーブルとを介して信号の入出力が可能なように構成されている。一般的に、同軸ケーブルのF型コネクタをF型接栓に螺合する際、経年変化で螺合が外れ、接続不良が生じることのないよう、スパナ等の工具を用いてナットを締めることで確実に固定されている。
【0003】
このようなF型コネクタをF型接栓に螺合する際に用いられるスパナとして、例えば特許文献1のものがある。これは、締め付け時にF型コネクタのナット部分から外れ難くすることで、締め付け時の作業性を向上したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、F型コネクタ及びF型接栓は、規格がいくつかあり、ナットのサイズが異なるものが存在する。具体的には、例えば屋内用F型コネクタに用いられることが多いナットは11mmであり、屋外用F型コネクタに用いられることが多いナットは12mmである。このように複数の規格が存在する現場では、それぞれのナットに合った口径のスパナを2本用意する必要があった。
【0006】
また、グリップ部の両端にそれぞれ口径の異なる口部を有する両口スパナも存在する。しかしながら、異なるナットを締結及び解除する際には、両口スパナを反対側に持ち替えて作業する必要がある。
【0007】
さらに、アンテナ装置から壁面に設けられるF型接栓への同軸ケーブルの接続の際には、壁面のF型接栓を覆う化粧パネルを取り外す必要がある。したがって、ナットに合った口径のスパナを2本用意するだけでなく、化粧パネルを取り外すための工具も必要となっていた。また、作業時には、2本のスパナからナットに合ったものをいちいち選択して持ち替えたり、化粧パネルを取り外すための工具に持ち替えたりといったことが必要となり、作業が非常に煩雑化していた。
【0008】
本発明は、斯かる実情に鑑み、工具を持ち替える必要がなく、異なる径のナットを締結及び解除することが可能であると共に、化粧パネルも取り外すことが可能な双頭スパナを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した本発明の目的を達成するために、本発明による双頭スパナは、細長板状のグリップ部と、グリップ部の長手方向の一方の端部に設けられ、グリップ部の板状面に対して所定角度で屈曲されて延在する双頭口部であって、第1口部と、第1口部と同一平面内に配置され第1口部とは異なる口径の第2口部とを有する、双頭口部と、グリップ部の長手方向の他方の端部に設けられ、壁面側端子用の化粧パネルを取り外すために用いられる薄板状のヘラ部と、を具備するものである。
【0010】
ここで、双頭口部は、第1口部及び第2口部がそれぞれコの字形状の開口を有し、該開口は、グリップ部の長手方向に対してY字状に離れる方向を向くものであれば良い。
【0011】
また、ヘラ部は、グリップ部の板状面に対して所定角度で屈曲されて延在するものであっても良い。
【0012】
また、ヘラ部は、グリップ部の幅よりも狭いものであれば良い。
【0013】
さらに、未使用時にヘラ部を覆う保護チューブを具備するものであっても良い。
【発明の効果】
【0014】
本発明の双頭スパナには、工具を持ち替える必要がなく、異なる径のナットを締結及び解除することが可能であると共に、化粧パネルも取り外すことが可能であるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本発明の双頭スパナを説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態を図示例と共に説明する。
図1は、本発明の双頭スパナを説明するための概略図であり、
図1(a)がその正面図、
図1(b)がその側面図である。図示の通り、本発明の双頭スパナは、グリップ部10と、双頭口部20と、ヘラ部30とから主に構成されている。
【0017】
グリップ部10は、細長板状の部分である。図示の通り、グリップ部10は、細長の板状面11から主に構成されている。グリップ部10は、例えばクロムモリブデン鋼やクロムバナジウム鋼等の鋼材からなるものであれば良い。なお、グリップ部10は、後述の双頭口部20やヘラ部30と共に一体成型されれば良い。本発明の双頭スパナが、F型コネクタ用のナットを締結及び解除するためのスパナであれば、それ程の締結力を要しない。したがって、グリップ部10の長さは、片手で握れる程度の長さがあれば足りる。具体的には、板状面11の長さは40mm-50mm程度であれば良い。また、板状面11の幅は16mm程度、厚みは2mm程度であれば良い。後述の双頭口部20やヘラ部30を含めた全体の長さが100mm程度あれば十分である。なお、具体的な寸法については、本発明はこれに限定されず、適宜変更可能である。
【0018】
双頭口部20は、グリップ部10の長手方向の一方の端部に設けられている。また、双頭口部20は、第1口部21と、第2口部22とを有するものである。第1口部21と第2口部22は、共に同一平面内に配置されており、異なる口径を有している。図示例では、第1口部21が11mmの口径を有し、第2口部22が12mmの口径を有しているものを示した。11mmのナットは、屋内用F型コネクタに用いられることが多く、12mmのナットは、屋外用F型コネクタに用いられることが多いためである。しかしながら、本発明はこれに限定されず、第1口部21と第2口部22の口径が異なるものであれば、他の口径であっても勿論良い。
【0019】
第1口部21及び第2口部22は、それぞれそれぞれコの字形状の開口を有している。この開口は、六角ナット用の形状を有している。しかしながら、本発明はこれに限定されず、締結及び解除対象となるナットの形状に合わせたものであれば良い。また、この開口は、グリップ部10の長手方向に対してY字状に離れる方向を向いている。即ち、第1口部21及び第2口部22の開口の向きがそれぞれ外側に向くように配置されている。
【0020】
そして、
図1(b)からも分かる通り、双頭口部20は、グリップ部10の板状面11に対して所定角度で屈曲されて延在している。即ち、双頭口部20は、グリップ部10から折り曲げられており、グリップ部10の板状面11から持ち上がるように延在している。壁面に設けられるF型接栓に対して同軸ケーブルのナット部分の締結及び解除作業を行う際には、壁面に沿って双頭スパナを用いるため、グリップ部10を握った手が壁面との間で邪魔にならない程度に屈曲されれば良い。具体的には、例えば双頭口部20の屈曲角度は、30度程度であれば良い。
【0021】
さらに、ヘラ部30が、グリップ部10の長手方向の他方の端部に設けられている。即ち、グリップ部10の双頭口部20が設けられている端部とは反対側の端部にヘラ部30が設けられている。ヘラ部30は、薄板状のものであり、壁面側端子用の化粧パネルを取り外すために用いられる。ヘラ部30は、グリップ部10の幅よりも狭いものであれば良い。なお、図示例では、ヘラ部30が2段階に細くなる例を示したが、本発明はこれに限定されず、1段階で細くなるものであっても良い。ヘラ部30は、化粧パネルの隙間に差し込み可能なように先端が薄く鋭利に構成されている。即ち、図示例のように、幅だけでなく厚みも薄くなっている。したがって、未使用時には、ヘラ部30を覆う保護チューブ31を設けても良い。保護チューブ31により先端を保護することで、ポケットに収納している双頭スパナを作業者が取り出す際等に怪我することを防止可能である。
【0022】
なお、図示例のヘラ部30は、グリップ部10の板状面11から真っ直ぐ延在する例を示したが、本発明はこれに限定されない。即ち、双頭口部20と同じように、ヘラ部30が、グリップ部10の板状面11に対して所定角度で屈曲されて延在するようにしても良い。屈曲方向は、双頭口部20が屈曲される側と同じ側に曲げても良いし、反対側に曲げても良い。
【0023】
このように構成される本発明の双頭スパナは、3つの機能、即ち、2つのサイズのスパナと化粧パネル取り外し用工具を有するものとしている。3つの機能を一体化した本発明の双頭スパナでは、壁面に設けられるF型接栓に対して同軸ケーブルのナット部分の締結及び解除作業を行う際に、異なる径のナットに対して作業する場合であっても双頭スパナとしたため、工具を持ち替える必要がない。そして、化粧パネルを取り外す際にも同じ工具を用いるため、別途工具を用意する必要もない。このため、作業が煩雑化することもない。さらに、双頭口部とヘラ部はグリップ部の両端部にそれぞれ設けられるため互いに邪魔にならず、従来の専用のスパナや専用の化粧パネル取り外し用工具と同様の作業性を実現できる。
【0024】
なお、本発明の双頭スパナは、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0025】
10 グリップ部
11 板状面
20 双頭口部
21 第1口部
22 第2口部
30 ヘラ部
31 保護チューブ