(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023030940
(43)【公開日】2023-03-08
(54)【発明の名称】ビタミンC高含有ハードキャンディ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A23G 3/34 20060101AFI20230301BHJP
A23L 33/15 20160101ALI20230301BHJP
【FI】
A23G3/34 101
A23L33/15
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021136366
(22)【出願日】2021-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】390020189
【氏名又は名称】ユーハ味覚糖株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177264
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 嘉秀
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【識別番号】100163577
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 正人
(72)【発明者】
【氏名】塚本 慎平
(72)【発明者】
【氏名】邑上 夏菜
(72)【発明者】
【氏名】上田 諭
(72)【発明者】
【氏名】増本 幸一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 潔
(72)【発明者】
【氏名】長田 健二
(72)【発明者】
【氏名】山田 泰正
【テーマコード(参考)】
4B014
4B018
【Fターム(参考)】
4B014GB06
4B014GG07
4B014GK03
4B014GL04
4B014GL10
4B014GL11
4B018LB01
4B018MD25
4B018MD28
4B018MD29
4B018MD30
4B018MD31
4B018MD33
4B018MD47
4B018ME09
(57)【要約】
【課題】ビタミンCを高配合しても、成形性がよく、吸湿を抑制し、表面がべたつかないハードキャンディを提供すること。
【解決手段】固形分としてビタミンC、平均分子量が1000以上の水溶性食物繊維及び平均分子量が550以下の糖質を含有するハードキャンディであって、ビタミンCの含有量が2~25重量%、平均分子量が1000以上の水溶性食物繊維の含有量が25~80重量%、平均分子量が1000以上の水溶性食物繊維と平均分子量が550以下の糖質との含有量の比率が84:16~26:74であり、水分値が6重量%未満であることを特徴とする、ビタミンC高含有ハードキャンディ。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固形分としてビタミンC、平均分子量が1000以上の水溶性食物繊維及び平均分子量が550以下の糖質を含有するハードキャンディであって、
ビタミンCの含有量が2~25重量%、
平均分子量が1000以上の水溶性食物繊維の含有量が25~80重量%、
平均分子量が1000以上の水溶性食物繊維と平均分子量が550以下の糖質との含有量の比率が85:15~25:75であり、
水分値が6重量%未満であることを特徴とする、ビタミンC高含有ハードキャンディ。
【請求項2】
前記平均分子量が1000以上の水溶性食物繊維が、難消化性デキストリン、イヌリン及びポリデキストロースから選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載のビタミンC高含有ハードキャンディ。
【請求項3】
前記平均分子量が550以下の糖質が、ぶどう糖、果糖、砂糖、麦芽糖、乳糖、パラチノース、ソルビトール、エリスリトール、マルチトール、還元パラチノース、ラクチトール、マンニトール、キシリトール、還元水飴及び還元麦芽糖水飴から選ばれる少なくとも1種以上である、請求項1又は2に記載のビタミンC高含有ハードキャンディ。
【請求項4】
ビタミンC高含有ハードキャンディが、ビタミンC、平均分子量が1000以上の水溶性食物繊維、平均分子量が550以下の糖質及び水を含有し、且つ、温度80℃で固形分80重量%に調整した粘度が100~550mPa・sであるキャンディ生地の成形物である、請求項1~3のいずれかに記載の高含有ビタミンCハードキャンディ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビタミンCが手軽に摂取できるハードキャンディに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、人生100年時代に突入しており、消費者はこれまで以上に「健康」を意識した生活を実践している。食品市場においては、健康食品だけではなく、一般食品の分野においても「健康」を求めるようになっている。その最中、新型コロナウィルス(COVID-19)の大流行により、これまで以上に、日常の食生活を見直し、健康の維持に努め、免疫力を高める必要を感じている。そのため、免疫力を高める栄養素として広く認知されているビタミンCが改めて注目されており、手軽に摂取できる商品のニーズが高まっている。
【0003】
手軽に摂取できる商品の代表格としては、ハードキャンディがある。ハードキャンディは菓子市場において、子どもから高齢者まで幅広い世代で喫食の経験があるという重要なカテゴリーである。一般的なハードキャンディは、砂糖や水飴を主成分としているか、又は糖アルコールを主成分としたノンシュガーと謳っている商品があり、いずれにせよ糖質に分類される原料で構成されている。さらに、ビタミンCやビタミンB1などのビタミン類や、鉄や亜鉛などのミネラル類、GABAやBCAAなどの機能性成分など、様々な栄養素を配合した商品が多く発売されている。
その中で、特にビタミンCに注目すると、ビタミンCが高配合されたハードキャンディとしては、例えば、「VC-3000のど飴(商品名、ノーベル(株)製)」や「マルチビタミンフルーツのど飴(商品名、(株)扇雀飴本舗)」や「高濃度ビタミンCのど飴(商品名、ユーハ味覚糖(株))」などが挙げられる。
【0004】
しかしながら、ハードキャンディにビタミンCを高配合すると種々の問題があった。第一に、ハードキャンディの吸湿による表面のべたつきである。ビタミンCの影響でpHが4.0を下回り、酸性領域となる。製造段階でキャンディ生地を酸性領域で加熱濃縮すると、配合した糖質が分解し、還元糖値が上昇する。還元糖値が高くなると、吸湿しやすい物性となり、ハードキャンディの表面がべたべたしてしまい、包装資材に付着するなど問題が生じやすい。第二に、糖アルコールを主原料にしたノンシュガーキャンディの場合、吸湿しやすくべたつきやすい。また、キャンディ生地の加熱濃縮時の温度が砂糖・水飴キャンディよりも高温となるため、ビタミンCが熱で分解されやすい。そのために、分解を考慮してビタミンCをキャンディ生地に多く配合するなどの対策を行うが、余計なコストとなる。第三に、ハードキャンディの粘度である。吸湿の抑制とビタミンCの分解を抑制するために、ハードキャンディ中の水分を低くすることが望ましい。しかしながら、水分を低くすればするほど、ハードキャンディの粘度は上昇する。ビタミンCの熱による分解を抑制するために、加熱濃縮時に配合するのではなく、加熱濃縮後に冷却しながらハードキャンディに分散させ、成形を行い、冷却することが望ましい。そのため、加熱濃縮後のハードキャンディの粘度が高すぎると、ビタミンCを均一に分散できず、品質が安定しない。
【0005】
すなわち、ハードキャンディにビタミンCを高配合するためには、種々の課題を解決する必要があり、様々な研究がなされている。例えば、特許文献1~3は、水素化澱粉加水分解物を使用し、重合度やその他糖組成を工夫することで、吸湿性や離型性を改善している。しかしながら、ビタミンCを高配合することで発生する課題に関しては、記載がない。特許文献4は、糖類及び糖アルコールから選ばれた少なくとも1種類の糖質と、還元ポリデキストロースとを主剤とするハードキャンディであり、保形性や吸湿性を改善している。さらに、果汁やクエン酸を配合した実施例もあるが、風味付けとしての配合比率であり、ビタミンCを高配合するための組成と大きく異なる。特許文献5は、水溶性食物繊維を固形分あたり80質量%以上含み、水分も6質量%以上あることを特徴としている。高い水分でも保形性があることを目的としているため、特にビタミンCの記載はない。特許文献5の水分では、ビタミンCの分解が発生しやすく、長期の賞味期限には不向きである。特許文献6は、ビタミンCの熱による分解を抑制するために、粉末状のビタミンCとブドウ糖とを混合して40~50℃に加温した粉末状混合物を、扁平状に引き伸ばした70~90℃の半流動状態にある飴により層状に包み込み、この外周に更に同じく扁平状に引き伸ばした半流動状態にある飴を巻付け、延伸・切断することで解決している。しかしながら、粉末状混合物部分は、ハードキャンディのような舐め心地はない。特許文献7は、食用油脂類を含む粘度低下剤を用いることで、製造時に発生するキシリトールキャンディの結晶化に伴う粘度上昇の課題を解決している。しかしながら、ビタミンCを高配合したものではない。以上のように、ビタミンCを高配合し、且つ吸湿を抑制したハードキャンディは見当たらない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公昭61-00826号公報
【特許文献2】特公昭62-24057号公報
【特許文献3】特許第2961566号公報
【特許文献4】特許第3199531号公報
【特許文献5】特許第6059843号公報
【特許文献6】特公昭60-36256号公報
【特許文献7】特許第4728678号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、ビタミンCを高配合しても、成形性がよく、吸湿を抑制し、表面がべたつかないハードキャンディを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、驚くべきことに、ビタミンC、水溶性食物繊維及び糖質を含有するハードキャンディにおいて、水溶性食物繊維の含有量、糖質の種類をそれぞれ特定することで、ハードキャンディにビタミンCを2.0重量%~25重量%という高含有にしても、成形性がよく、吸湿を抑制して、表面がべたつかないハードキャンディが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
本発明は、下記(1)~(4)の高含有ビタミンCキャンディを提供する。
(1)固形分としてビタミンC、平均分子量が1000以上の水溶性食物繊維及び平均分子量が550以下の糖質を含有するハードキャンディであって、
ビタミンCの含有量が2~25重量%、
平均分子量が1000以上の水溶性食物繊維の含有量が25~80重量%、
平均分子量が1000以上の水溶性食物繊維と平均分子量が550以下の糖質との含有量の比率が85:15~25:75であり、
水分値が6重量%未満であることを特徴とする、ビタミンC高含有ハードキャンディ。
(2)前記平均分子量が1000以上の水溶性食物繊維が、難消化性デキストリン、イヌリン及びポリデキストロースから選ばれる少なくとも1種である、前記(1)に記載のビタミンC高含有ハードキャンディ。
(3)前記平均分子量が550以下の糖質が、ぶどう糖、果糖、砂糖、麦芽糖、乳糖、パラチノース、ソルビトール、エリスリトール、マルチトール、還元パラチノース、ラクチトール、マンニトール、キシリトール、還元水飴及び還元麦芽糖水飴から選ばれる少なくとも1種以上である、前記(1)又は(2)に記載のビタミンC高含有ハードキャンディ。
(4)ビタミンC高含有ハードキャンディが、ビタミンC、平均分子量が1000以上の水溶性食物繊維、平均分子量が550以下の糖質及び水を含有し、且つ、温度80℃で固形分80重量%に調整した粘度が100~550mPa・sであるキャンディ生地の成形物である、前記(1)~(3)のいずれかに記載の高含有ビタミンCハードキャンディ。
【発明の効果】
【0010】
本発明のハードキャンディは、ビタミンCが高含有されているにも関わらず、製造時のキャンディ生地の粘度が工業的な製造に好適で成形性がよく、しかも吸湿を抑制し、表面がべたつかないため、手軽にビタミンCが摂取できる。また、本発明のハードキャンディは、水溶性食物繊維も配合しており、ビタミンCと食物繊維が同時に摂取できるため、ヘルシー・健康意識の高い消費者へ訴求することができ、ハードキャンディの新たな市場の開拓が期待できる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
【0012】
本発明のビタミンC高含有ハードキャンディ(以下単に「本発明のハードキャンディ」とも言う)は、)固形分としてビタミンC、平均分子量が1000以上の水溶性食物繊維及び平均分子量が550以下の糖質を含有するハードキャンディであって、
ビタミンCの含有量が2~25重量%、
平均分子量が1000以上の水溶性食物繊維の含有量が25~80重量%、
平均分子量が1000以上の水溶性食物繊維と平均分子量が550以下の糖質との含有量の比率が85:15~25:75であり、
水分値が6重量%未満であることを特徴とする。
【0013】
本発明に用いるビタミンCは、一般に知られているビタミンCを用いればよく、アスコルビン酸ナトリウムやアスコルビン酸2-グルコシドなどの誘導体を用いてもよい。これらは単独でも2種以上併用してもよい。
また、ビタミンCの粒度に制限はないが、舐め心地の観点から、20メッシュパス以下のものを使用することが好ましい。
【0014】
ビタミンCの含有量は、本発明のハードキャンディ中、2~25重量%である。前記含有量が2重量%未満であると、ビタミンCを手軽に摂取できる目的から外れる。前記含有量が25重量%より多いと、ビタミンC由来の酸味が強すぎて、不快となる。ビタミンCは、加熱濃縮時に入れることも可能だが、ビタミンCの熱による分解を抑制するために加熱濃縮工程後のキャンディ生地に添加することが好ましい。
【0015】
本発明に用いる平均分子量が1000以上の水溶性食物繊維は、ハードキャンディにおける吸湿を抑制するために使用するものである。
前記平均分子量が1000以上の水溶性食物繊維、人の消化酵素で消化されにくい物質であり、一般に知られている水溶性食物繊維を用いればよく、難消化性デキストリン、プルラン、ヒアルロン酸、ジェランガム、ペクチン、グルコマンナン、アルギン酸、アガロース、アガロペクチン、カラギーナン、アラビアガム、キサンタンガム、イヌリン、ポリデキストロース、難消化性澱粉、キシロオリゴ糖、ラクトオリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖、乳糖果糖オリゴ糖等が挙げられる。これらは単独でも2種以上併用してもよい。原料の価格、調達のしやすさ、工場での生産効率などを考慮すると、ポリデキストロース、イヌリン、難消化性デキストリンから選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
【0016】
なお、本発明において、平均分子量とは、重量平均分子量をいい、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定することができる。
【0017】
平均分子量が1000以上の水溶性食物繊維の含有量は、本発明のハードキャンディ中、25~80重量%である。前記含有量が25重量%未満では、ハードキャンディの吸湿性は改善されにくく、表面が一部溶解し、ベタつきが発生し、商品価値を低下させる。また、前記含有量が80重量%より多いと、水分値6重量%未満では製造工程中に粘度が高くなりすぎ、ビタミンCの分散性は悪く、成形性が悪くなる傾向がある。
【0018】
本発明に用いる平均分子量が550以下の糖質は、キャンディ生地の粘度を調整するために使用される。前記平均分子量が550以下の糖質としては、単糖類、二糖類及びそれらを還元した糖アルコール類、平均分子量が550以下の還元水飴及び還元麦芽糖水飴である。前記単糖類としては、ぶどう糖、果糖から選ばれる少なくとも1つであり、前記二糖類としては、砂糖、麦芽糖、乳糖、パラチノースから選ばれる少なくとも1つであり、前記糖アルコール類としては、ソルビトール、エリスリトール、マルチトール、還元パラチノース、ラクチトール、マンニトールから選ばれる少なくとも1つである。
中でも、前記平均分子量が550以下の糖質としては、キャンディ生地の粘度を調整し易い等の観点から、ぶどう糖、果糖、砂糖、麦芽糖、乳糖、パラチノース、ソルビトール、エリスリトール、マルチトール、還元パラチノース、ラクチトール、マンニトール、キシリトール、平均分子量が350以下の還元水飴及び還元麦芽糖水飴が好ましい。
これらは単独でも2種類以上を併用してもよい。
【0019】
なお、本発明のハードキャンディでは、物性に影響を与えない程度であれば、糖質として平均分子量が550を超える糖質を使用することはできるが、糖質が平均分子量が550を超える糖質のみであると、キャンディ生地の粘度が高くなり、成形性が悪化するため好ましくない。
【0020】
本発明のハードキャンディ中では、前記平均分子量が1000以上の水溶性食物繊維の含有量(X)と平均分子量が550以下の糖質の含有量(Y)との比率(X:Y、重量比)が85:15~25:75の範囲に調整されている。
前記平均分子量が1000以上の水溶性食物繊維の含有量が高く、前記数値範囲外である場合、キャンディ生地の粘度が高くなり、成形性が悪くなり、また、平均分子量が550以下の糖質の含有量が高く、前記数値範囲外である場合、吸湿性が高くなり、ハードキャンディが商品価値に悪影響がある。
【0021】
平均分子量が550以下の糖質の含有量は、本発明のハードキャンディ中、好ましくは15~71重量%であることで、キャンディ生地の粘度が好適に維持される。
【0022】
本発明の水分値は6重量%未満であり、好ましくは2~5重量%である。水分値が6重量部以上の場合、含有したビタミンCが経時的に分解されやすいため、商品価値が低下しやすい傾向があり、また、ハードキャンディが商品価値に悪影響があるくらい吸湿してしまう傾向がある。
【0023】
また、本発明のハードキャンディは、香料、甘味料、酸味料、食品素材等、ハードキャンディに通常用いられるその他の成分を目的に応じて適宜含有してもよい。例えば、風味を良くすることを目的に、レモンやみかんなどの柑橘由来の果汁やペースト、ピューレ、パウダーなどの素材を添加することができる。
前記その他の成分の含有量は、本発明の目的を著しく損なわない範囲であればよく、特に限定はない。
【0024】
本発明のハードキャンディは、前記ビタミンC、平均分子量が1000以上の水溶性食物繊維、平均分子量が550以下の糖質及び水、必要であれば、その他の成分を混合し、加熱溶解してキャンディ生地を作製した後、水分値6重量%未満になるように調整することで製造することができる。
【0025】
加熱溶解の手段については、通常のハードキャンディで使用できる手段であればよく、特に限定はない。
【0026】
中でも、本発明では、前記キャンディ生地の粘度を、温度80℃で固形分80重量%に調整した粘度が100~550mPa・sとなるように調整することでビタミンCを均一に分散しやすく、かつ、ハードキャンディの成形性がよく品質が安定するという利点がある。
前記のような粘度に調整するには、例えば、平均分子量が1000以上の水溶性食物繊維と平均分子量が550以下の糖質の種類と配合比率を調整する等が挙げられる。
なお、粘度測定は、常法により粘度計を用いて測定することができる。具体的には、後述する実施例に示す方法にて測定することができる。
【0027】
また、キャンディ生地の水分値を調整する手段については、所望の型にキャンディ生地を充填した後行えばよく、通常のハードキャンディで使用できる手段であればよく特に限定はない。
【0028】
以上のようにして得られる本発明のハードキャンディは、ビタミンCが高含有されているにも関わらず、製造時のキャンディ生地の粘度が工業的な製造に好適で成形性がよく、しかも吸湿を抑制し、表面がべたつかないため、手軽にビタミンCが摂取できるものである。
【実施例0029】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら制限されるものではない。なお、下記実施例及び比較例において、特に断らない限り、部及び%は、それぞれ、重量部及び重量%を示す。
【0030】
実施例1~6、比較例1~4
<サンプル調整>
表1に示す配合(重量部で表示)に従い、水溶性食物繊維と糖質を配合し、これに水を加えて混合し、表1の水分値になるように真空釜で加熱濃縮し、ハードキャンディベースを製造した。出来たハードキャンディベースに、ビタミンC、香料と甘味料を添加し、均一になるように混合してキャンディ生地を作製した。成型では、スタンピングにより直径17mm、一粒重量4~4.2gのキャンディサンプルを作製し、水分値、粘度、吸湿率、成形性を評価し、総合評価を行った。それぞれの結果を表1に示す。
【0031】
なお、実施例及び比較例における、水分値(%)、粘度、吸湿率の測定方法及び成形性評価方法、吸湿性評価方法は次の通りである。
【0032】
<水分値(水分含有量)>
水分値(重量%)は、減圧乾燥法により測定した。
【0033】
<粘度>
粘度は、B型粘度計(商品名:TVB-10形粘度計、東機産業社製)を使用した。
ハードキャンディを製造後、固形分80重量%になるように加水を行い調整した。調整した溶液は、温度80℃となるように保温した。H2ローターを使用して、回転数50rpmで3分後の測定値を粘度とした。具体的な測定方法は添付のマニュアルに準じた。粘度に基づいて、成形性の程度について、以下基準に従って評価をつけた。本発明では、「5」又は「4」となるものを合格とした。
【0034】
<5段階評価:成形性評価点>
5 100mPa・s以上、250mPa・s未満
4 250mPa・s以上、400mPa・s未満
3 400mPa・s以上、550mPa・s未満
2 550mPa・s以上、700mPa・s未満
1 700mPa・s以上、850mPa・s未満
【0035】
<吸湿率>
吸湿率については、直径17mm、単重4.0gに成形したハードキャンディを包装しないで、37℃、相対湿度80%の雰囲気で、2時間静置した後に吸湿率を測定した。
測定された吸湿率に基づいて、吸湿性の程度について、以下基準に従って評価をつけた。本発明では、「5」又は「4」となるものを合格とした。
吸湿率(%)=(2時間後の重量)-(2時間前の重量)/(2時間前の重量)
【0036】
<5段階評価:吸湿性評価点>
5 2.5%未満
4 2.5%以上、4.0%未満
3 4.0%以上、5.5%未満
2 5.5%以上、7.0%未満
1 7.0%以上
【0037】
総合評価は、本発明では、成形性評価点と吸湿性評価点の両項目で「5」又は「4」となるものを合格とした。
【0038】
【0039】
表1から分かるように、実施例1~6のハードキャンディは、ビタミンCを高配合しても、べたつきを抑制しつつ、製造しやすい粘度に調整することでき、成形性が優れたものであり、粘度(成形性評価点)と吸湿率(吸湿性評価点)の評価が共に高いものであった。
一方、水溶性食物繊維が低い比較例1では、吸湿率が高くべたつきやすい問題があった。水溶性食物繊維が高すぎる比較例2では、粘度が高すぎるために成形性が悪かった。水分値が高すぎる比較例3では、吸湿率が高くべたつきやすい問題があった。糖質の平均分子量の高い比較例4では、粘度が高すぎるために成形性が悪かった。