(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023030962
(43)【公開日】2023-03-08
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理装置の制御方法、情報処理装置の制御プログラム、及び配送システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/06 20120101AFI20230301BHJP
G06Q 10/083 20230101ALI20230301BHJP
G16Y 10/35 20200101ALI20230301BHJP
【FI】
G06Q50/06
G06Q10/08 300
G16Y10/35
【審査請求】有
【請求項の数】27
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021136392
(22)【出願日】2021-08-24
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.SWIFT
(71)【出願人】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】清水 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】山村 真規
(72)【発明者】
【氏名】吉原 千尋
(72)【発明者】
【氏名】劉 栩青
(72)【発明者】
【氏名】吉野 碧
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 保範
(72)【発明者】
【氏名】石田 淳
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 克樹
(72)【発明者】
【氏名】片岡 大翼
(72)【発明者】
【氏名】吉田 明広
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 開
(72)【発明者】
【氏名】田中 智
(72)【発明者】
【氏名】内海 志織
(72)【発明者】
【氏名】秦 希望
(72)【発明者】
【氏名】立岩 斉明
(72)【発明者】
【氏名】石倉 弘貴
(72)【発明者】
【氏名】八代 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】井手 綾乃
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA16
5L049CC06
(57)【要約】
【課題】効率のよい配送システムを提供すること
【解決手段】本発明の一実施形態に係る、需要家へのガスの配送に係る配送システムにおける情報処理装置は、需要家のガスの使用量に関する情報を取得する取得部、過去のガスの使用量から将来のガスの予測使用量を算出する予測部、予測使用量に基づいて、ガスの配送優先度が最も高い必須需要家と必須需要家よりもガスの配送優先度が低い準必須需要家とを含むグループを生成可能なグループ生成部、グループにおけるガスの配送順序を設定する配送順序設定部を備え、グループ生成部は、需要家が必須需要家となる第1転換日と、需要家が準必須需要家となる第2転換日とに基づいて、配送日におけるグループを生成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
需要家へのガスの配送に係る配送システムにおける情報処理装置であって、
前記需要家のガスの使用量に関する情報を取得する取得部と、
過去のガスの使用量から将来のガスの予測使用量を算出する予測部と、
前記予測使用量に基づいて、ガスの配送優先度が最も高い必須需要家と前記必須需要家よりもガスの配送優先度が低い準必須需要家とを含むグループを生成可能なグループ生成部と、
前記グループにおけるガスの配送順序を設定する配送順序設定部と、
を備え、
前記グループ生成部は、
需要家が前記必須需要家となる第1転換日と、需要家が前記準必須需要家となる第2転換日とに基づいて、配送日における前記グループを生成する、
情報処理装置。
【請求項2】
前記グループ生成部は、
前記配送日における前記必須需要家の数が配送上限数以下である場合に、前記必須需要家を含み、かつ、前記準必須需要家を含む前記グループを生成する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記予測部は、需要家ごとに、少なくとも、過去の所定期間にわたるガスの使用量に関するデータセットに基づいて、線形回帰又は非線形回帰を用いた機械学習によって予測モデルを生成し、前記予測モデルに基づいて、将来の所定期間にわたる前記予測使用量を前記需要家ごとに算出する、
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記予測部は、過去の第1日におけるガスの使用量を目的変数、前記過去の第1日より以前の所定期間にわたるガスの使用量、及び、少なくとも前記過去の第1日における天候に関する情報を説明変数とした前記機械学習によって、前記予測モデルを生成する、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記予測部は、将来の所定期間にわたる予測使用量の算出に、過去の使用量と、前記予測モデルによって予測した予測使用量とを用いるものであって、
前記グループ生成部は、前記予測モデルを用いて算出した、過去の時点における予測使用量である過去予測使用量と、当該過去の時点における実際のガスの使用量とに基づいて、前記予測モデルの予測精度情報を算出し、当該予測精度情報と、前記将来の予測使用量とに基づき、ガスの残量が第1閾値以下となる第1確率を算出し、前記第1確率が最初に第1基準値以上となる日を、前記第1転換日とする、
請求項3又は4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記グループ生成部において、前記第1転換日は、前記第1基準値が小さくなるにつれて、予測を実行した日に近く算出される、
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記グループ生成部は、ガスの残量が第2閾値以下となる第2確率をさらに算出し、当該第2確率が最初に第2基準値以上となる日を、前記第2転換日とし、前記第2転換日は、前記第2基準値が小さくなるにつれて、予測を実行した日に近く算出される、
請求項5又は6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記取得部は、前記ガスの使用量に関する情報を第1間隔で取得するものであって、
前記予測部は、一の需要家の連続する前記ガスの使用量に関する情報が取得された間隔が、前記第1間隔以上第2間隔未満の区間が存在する場合に、所定のアルゴリズムによって、前記第1間隔以上前記第2間隔未満の区間における前記ガスの使用量に関する情報を補完し、前記過去の所定期間にわたるガスの使用量に関するデータセットを生成する、
請求項3~7のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記予測部は、一の需要家の連続する前記ガスの使用量に関する情報が取得された間隔が、前記第2間隔以上の区間が存在する場合に、ガスの使用傾向が前記一の需要家のガスの使用傾向と類似する他の需要家を複数抽出し、当該複数の他の需要家のガスの使用量に関する情報を線形結合したデータセットを、前記過去の所定期間にわたるガスの使用量に関するデータセットとして用いて、前記一の需要家の将来の予測使用量を算出する、
請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記予測部は、一の需要家の連続する前記ガスの使用量に関する情報が取得された間隔が前記第2間隔以上の区間が存在し、かつ、前記一の需要家の日単位の使用量の第3四分位数が、複数の他の需要家の日単位の使用量の第3四分位数のうち最大のものより大きい場合に、前記一の需要家の過去の所定期間にわたるガスの使用量に関するデータセットを、前記一の需要家の日単位の使用量の第3四分位数で生成する、
請求項8又は9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記予測部は、前記予測モデルを、線形回帰(Linear Regression)、サポートベクトル回帰(Support Vector Regression)、ランダムフォレスト回帰(Random Forest regression)、勾配ブースティング回帰(Gradient Boosting Regression)、又は勾配ブースティング決定木(Gradient Boosting Decision Tree)を用いたアルゴリズムによって生成する、
請求項3~10のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記グループ生成部は、少なくとも、ガス容器の配送車両の配送容量に関する制約条件の下に、一のグループにおける前記必須需要家及び準必須需要家の配送領域が所定範囲内となるように、前記一のグループに含ませる前記準必須需要家を抽出する、
請求項1~11のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記グループ生成部は、少なくとも、ガス容器の配送車両の配送容量に関する制約条件の下に前記グループ生成部が前記必須需要家をグループ化した場合に、一のグループの配送領域に位置する前記準必須需要家を、前記一のグループに含ませる準必須需要家として抽出する、
請求項1~12のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記配送順序設定部によって設定される配送順序は、
前記グループ生成部によって生成された一のグループについて、前記一のグループに含まれる必須需要家のみを対象として、巡回セールスマン問題(TSP)によって必須需要家を巡回する配送順序を含む、
請求項1~13のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記配送順序設定部によって設定される配送順序は、
少なくとも配送員の勤務時間に関する制約条件の下に、前記グループ生成部によって生成された一のグループに含まれる必須需要家へ必ず配送した上で、前記一のグループに含まれる準必須需要家へ配送するガス容器数を最大にする第1数理モデルに基づいて設定された配送順序を含む、
請求項1~14のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項16】
前記配送順序設定部によって設定される配送順序は、
配送員の勤務時間に関する制約条件の下では、前記グループ生成部によって生成された一のグループに含まれる準必須需要家へ配送する配送順序が設定できない場合、前記一のグループに含まれる必須需要家へ配送する配送時間を最短にする第2数理モデルに基づいて設定された配送順序を含む、
請求項1~15のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項17】
前記配送順序設定部によって設定される配送順序は、
少なくとも配送員の勤務時間に関する制約条件の下に、前記グループ生成部によって生成された一のグループに含まれる必須需要家へ必ず配送した上で、前記一のグループに含まれる準必須需要家へガス容器を配送しない配送順序のうち、配送距離を最短にする第3数理モデルに基づいて設定された配送順序を含む、
請求項1~16のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項18】
前記配送順序設定部によって設定される配送順序は、
前記配送員の勤務時間に関する制約条件にて前記第1から第3数理モデルによる配送順序が設定不可能な場合に、前記制約条件によらず、前記一のグループに含まれる準必須需要家へガス容器を配送せず、前記一のグループに含まれる必須需要家へ、前記配送員の所定の勤務時間上限内に配送するように設定された配送順序を含む、
請求項17に記載の情報処理装置。
【請求項19】
前記配送順序設定部によって設定される配送順序は、
前記配送員の勤務時間に関する制約条件にて前記第1から第3数理モデルによる配送順序が設定不可能な場合に、前記制約条件によらず、前記一のグループに含まれる準必須需要家へガス容器を配送せず、前記一のグループに含まれる必須需要家のうち、前記配送員の所定の勤務時間上限内に配送するガス容器数を最大にする必須需要家への配送順序を含む、
請求項17に記載の情報処理装置。
【請求項20】
前記配送順序設定部は、前記グループ生成部によって生成されたグループに含まれる必須需要家へ配送すると、配送員の所定の勤務時間上限を超過する場合に、前記第1確率が低い順に、前記グループから前記必須需要家を削除し、前記所定の勤務時間上限内で配送可能な配送順序を設定する、
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項21】
前記配送順序設定部によって設定される配送順序は、
前記グループ生成部によって生成されたグループに含まれる必須需要家及び準必須需要家によって指定された配送時間に応じた、時間制約付き巡回セールスマン問題(TSP-TW)によって設定された配送順序を含む、
請求項1~20のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項22】
前記配送順序設定部は、前記時間制約付き巡回セールスマン問題によって設定された配送順序によっては、配送員の勤務時間上限内に配送不可能である場合に、前記一のグループに含まれる準必須需要家のうち、配送時間の低減に寄与する準必須需要家を間引いた配送順序に更新する、
請求項21に記載の情報処理装置。
【請求項23】
前記グループ生成部は、複数の需要家に対して、一のガス容器に関する情報が関連付けられている場合、前記複数の需要家について予測した前記予測使用量を合算して、前記第1閾値を算出する、
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項24】
前記配送順序設定部によって設定された配送順序に関する情報を、配送員の通信端末へ送信する通信部をさらに備える、
請求項1~23のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項25】
需要家へのガスの配送に係る配送システムにおける情報処理装置が、
前記需要家のガスの使用量に関する情報を取得するステップと、
過去のガスの使用量から将来のガスの予測使用量を算出するステップと、
前記予測使用量に基づいて、ガスの配送優先度が最も高い必須需要家と前記必須需要家よりもガスの配送優先度が低い準必須需要家とを含むグループを生成するステップと、
前記グループにおけるガスの配送順序を設定するステップと、
を実行し、
前記グループを生成するステップは、需要家が前記必須需要家となる第1転換日と、需要家が前記準必須需要家となる第2転換日とに基づいて、配送日における前記グループを生成する、情報処理装置の制御方法。
【請求項26】
需要家へのガスの配送に係る配送システムにおける情報処理装置に
前記需要家のガスの使用量に関する情報を取得する機能と、
過去のガスの使用量から将来のガスの予測使用量を算出する機能と、
前記予測使用量に基づいて、ガスの配送優先度が最も高い必須需要家と前記必須需要家よりもガスの配送優先度が低い準必須需要家とを含むグループを生成する機能と、
前記グループにおけるガスの配送順序を設定する機能と、
を実現させ、
前記グループを生成する機能は、需要家が前記必須需要家となる第1転換日と、需要家が前記準必須需要家となる第2転換日とに基づいて、配送日における前記グループを生成する、情報処理装置の制御プログラム。
【請求項27】
需要家へのガスの配送に係る配送システムであって、
前記需要家のガスの使用量に関する情報を取得する取得部と、
過去のガスの使用量から将来のガスの予測使用量を算出する予測部と、
前記予測使用量に基づいて、前記需要家について、ガスの配送優先度が最も高い必須需要家と前記必須需要家よりもガスの配送優先度が低い準必須需要家とを含むグループを生成可能なグループ生成部と、
前記グループにおけるガスの配送順序を設定する配送順序設定部と、
を備え、
前記グループ生成部は、需要家が前記必須需要家となる第1転換日と、需要家が前記準必須需要家となる第2転換日とに基づいて、配送日における前記グループを生成する、配送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理装置の制御方法、情報処理装置の制御プログラム、及び配送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、LPガスボンベ等の消費材の配送時期と、効率的な配送ルートとを含めた総合的な配送計画を自動的に生成する配送計画生成システムが提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一実施形態に係る、需要家へのガスの配送に係る情報処理装置は、需要家のガスの使用量に関する情報を取得する取得部と、過去のガスの使用量から将来のガスの予測使用量を算出する予測部と、予測使用量に基づいて、ガスの配送優先度が最も高い必須需要家と必須需要家よりもガスの配送優先度が低い準必須需要家とを含むグループを生成可能なグループ生成部と、グループにおけるガスの配送順序を設定する配送順序設定部と、を備え、グループ生成部は、需要家が必須需要家となる第1転換日と、需要家が準必須需要家となる第2転換日とに基づいて、配送日におけるグループを生成する。
【0005】
本発明の一実施形態に係る情報処理装置において、グループ生成部は、配送日における必須需要家の数が配送上限数以下である場合に、必須需要家を含み、かつ、準必須需要家を含むグループを生成してよい。
【0006】
本発明の一実施形態に係る情報処理装置において、予測部は、需要家ごとに、少なくとも、過去の所定期間にわたるガスの使用量に関するデータセットに基づいて、線形回帰又は非線形回帰を用いた機械学習によって予測モデルを生成し、予測モデルに基づいて、将来の所定期間にわたる予測使用量を需要家ごとに算出してよい。
【0007】
本発明の一実施形態に係る情報処理装置において、予測部は、過去の第1日におけるガスの使用量を目的変数、第1日より以前の所定期間にわたるガスの使用量、及び、少なくとも過去の第1日における天候に関する情報を説明変数とした機械学習によって、予測モデルを生成してよい。
【0008】
本発明の一実施形態に係る情報処理装置において、予測部は、将来の所定期間にわたる予測使用量の算出に、過去の使用量と、予測モデルによって予測した予測使用量とを用いるものであって、グループ生成部は、予測モデルを用いて算出した、過去の時点における予測使用量である過去予測使用量と、当該過去の時点における実際のガスの使用量とに基づいて、予測モデルの予測精度情報を算出し、当該予測精度情報と、将来の予測使用量とに基づき、ガスの残量が第1閾値以下となる第1確率を算出し、第1確率が最初に第1基準値以上となる日を、第1転換日としてよい。
【0009】
本発明の一実施形態に係る情報処理装置において、グループ生成部において、第1転換日は、第1基準値が小さくなるにつれて、予測を実行した日に近く算出されてよい。
【0010】
本発明の一実施形態に係る情報処理装置において、グループ生成部は、ガスの残量が第2閾値以下となる第2確率をさらに算出し、当該第2確率が最初に第2基準値以上となる日を、第2転換日とし、第2転換日は、第2基準値が小さくなるにつれて、予測を実行した日に近く算出されてよい。
【0011】
本発明の一実施形態に係る情報処理装置において、取得部は、ガスの使用量に関する情報を第1間隔で取得するものであって、予測部は、一の需要家の連続するガスの使用量に関する情報が取得された間隔が、第1間隔以上第2間隔未満の区間が存在する場合に、所定のアルゴリズムによって、第1間隔以上第2間隔未満の区間におけるガスの使用量に関する情報を補完し、過去の所定期間にわたるガスの使用量に関するデータセットを生成してよい。
【0012】
本発明の一実施形態に係る情報処理装置において、予測部は、一の需要家の連続するガスの使用量に関する情報が取得された間隔が、第2間隔以上の区間が存在する場合に、ガスの使用傾向が一の需要家のガスの使用傾向と類似する他の需要家を複数抽出し、当該複数の他の需要家のガスの使用量に関する情報を線形結合したデータセットを、過去の所定期間にわたるガスの使用量に関するデータセットとして用いて、一の需要家の将来の予測使用量を算出してよい。
【0013】
本発明の一実施形態に係る情報処理装置において、予測部は、一の需要家の連続するガスの使用量に関する情報が取得された間隔が第2間隔以上の区間が存在し、かつ、一の需要家の日単位の使用量の第3四分位数が、複数の他の需要家の日単位の使用量の第3四分位数のうち最大のものより大きい場合に、一の需要家の過去の所定期間にわたるガスの使用量に関するデータセットを、一の需要家の日単位の使用量の第3四分位数で生成してよい。
【0014】
本発明の一実施形態に係る情報処理装置において、予測部は、予測モデルを、線形回帰(Linear Regression)、サポートベクトル回帰(Support Vector Regression)、ランダムフォレスト回帰(Random Forest regression)、勾配ブースティング回帰(Gradient Boosting Regression)、又は勾配ブースティング決定木(Gradient Boosting Decision Tree)を用いたアルゴリズムによって生成してよい。
【0015】
本発明の一実施形態に係る情報処理装置において、グループ生成部は、少なくとも、ガス容器の配送車両の配送容量に関する制約条件の下に、一のグループにおける必須需要家及び準必須需要家の配送領域が所定範囲内となるように、一のグループに含ませる準必須需要家を抽出してよい。
【0016】
本発明の一実施形態に係る情報処理装置において、グループ生成部は、少なくとも、ガス容器の配送車両の配送容量に関する制約条件の下にグループ生成部が必須需要家をグループ化した場合に、一のグループの配送領域に位置する準必須需要家を、一のグループに含ませる準必須需要家として抽出してよい。
【0017】
本発明の一実施形態に係る情報処理装置において、配送順序設定部によって設定される配送順序は、グループ生成部によって生成された一のグループについて、一のグループに含まれる必須需要家のみを対象として、巡回セールスマン問題(TSP)によって必須需要家を巡回する配送順序を含んでよい。
【0018】
本発明の一実施形態に係る情報処理装置において、配送順序設定部によって設定される配送順序は、少なくとも配送員の勤務時間に関する制約条件の下に、グループ生成部によって生成された一のグループに含まれる必須需要家へ必ず配送した上で、一のグループに含まれる準必須需要家へ配送するガス容器数を最大にする第1数理モデルに基づいて設定された配送順序を含んでよい。
【0019】
本発明の一実施形態に係る情報処理装置において、配送順序設定部によって設定される配送順序は、配送員の勤務時間に関する制約条件の下では、グループ生成部によって生成された一のグループに含まれる準必須需要家へ配送する配送順序が設定できない場合、一のグループに含まれる必須需要家へ配送する配送時間を最短にする第2数理モデルに基づいて設定された配送順序を含んでよい。
【0020】
本発明の一実施形態に係る情報処理装置において、配送順序設定部によって設定される配送順序は、少なくとも配送員の勤務時間に関する制約条件の下に、グループ生成部によって生成された一のグループに含まれる必須需要家へ必ず配送した上で、一のグループに含まれる準必須需要家へガス容器を配送しない配送順序のうち、配送距離を最短にする第3数理モデルに基づいて設定された配送順序を含んでよい。
【0021】
本発明の一実施形態に係る情報処理装置において、配送順序設定部によって設定される配送順序は、配送員の勤務時間に関する制約条件にて第1から第3数理モデルによる配送順序が設定不可能な場合に、制約条件によらず、一のグループに含まれる準必須需要家へガス容器を配送せず、一のグループに含まれる必須需要家へ、配送員の所定の勤務時間上限内に配送するように設定された配送順序を含んでよい。
【0022】
本発明の一実施形態に係る情報処理装置において、配送順序設定部によって設定される配送順序は、配送員の勤務時間に関する制約条件にて第1から第3数理モデルによる配送順序が設定不可能な場合に、制約条件によらず、一のグループに含まれる準必須需要家へガス容器を配送せず、一のグループに含まれる必須需要家のうち、配送員の所定の勤務時間上限内に配送するガス容器数を最大にする必須需要家への配送順序を含んでよい。
【0023】
本発明の一実施形態に係る情報処理装置において、配送順序設定部は、グループ生成部によって生成されたグループに含まれる必須需要家へ配送すると、配送員の所定の勤務時間上限を超過する場合に、第1確率が低い順に、グループから必須需要家を削除し、所定の勤務時間上限内で配送可能な配送順序を設定してよい。
【0024】
本発明の一実施形態に係る情報処理装置において、配送順序設定部によって設定される配送順序は、グループ生成部によって生成されたグループに含まれる必須需要家及び準必須需要家によって指定された配送時間に応じた、時間制約付き巡回セールスマン問題(TSP-TW)によって設定された配送順序を含んでよい。
【0025】
本発明の一実施形態に係る情報処理装置において、配送順序設定部は、時間制約付き巡回セールスマン問題によって設定された配送順序によっては、配送員の勤務時間上限内に配送不可能である場合に、一のグループに含まれる準必須需要家のうち、配送時間の低減に寄与する準必須需要家を間引いた配送順序に更新してよい。
【0026】
本発明の一実施形態に係る情報処理装置において、グループ生成部は、複数の需要家に対して、一のガス容器に関する情報が関連付けられている場合、複数の需要家について予測した予測使用量を合算して、第1閾値を算出してよい。
【0027】
本発明の一実施形態に係る情報処理装置は、配送順序設定部によって設定された配送順序に関する情報を、配送員の通信端末へ送信する通信部をさらに備えてよい。
【0028】
本発明の一実施形態に係る情報処理装置の制御方法は、情報処理装置が、需要家のガスの使用量に関する情報を取得するステップと、過去のガスの使用量から将来のガスの予測使用量を算出するステップと、予測使用量に基づいて、ガスの配送優先度が最も高い必須需要家と必須需要家よりも配送優先度が低い準必須需要家とを含むグループを生成するステップと、グループにおけるガスの配送順序を設定するステップと、を実行し、グループ化するステップは、需要家が必須需要家となる第1転換日と、需要家が準必須需要家となる第2転換日とに基づいて、配送日におけるグループを生成する。
【0029】
本発明の一実施形態に係る情報処理装置の制御プログラムは、情報処理装置に、需要家のガスの使用量に関する情報を取得する機能と、過去のガスの使用量から将来のガスの予測使用量を算出する機能と、予測使用量に基づいて、ガスの配送優先度が最も高い必須需要家と必須需要家よりもガスの配送優先度が低い準必須需要家とを含むグループを生成する機能と、グループにおけるガスの配送順序を設定する機能と、を実現させ、グループを生成する機能は、需要家が必須需要家となる第1転換日と、需要家が準必須需要家となる第2転換日とに基づいて、配送日におけるグループを生成する。
【0030】
本発明の一実施形態に係る、需要家へのガスの配送に係る配送システムは、需要家のガスの使用量に関する情報を取得する取得部と、過去のガスの使用量から将来のガスの予測使用量を算出する予測部と、予測使用量に基づいて、ガスの配送優先度が最も高い必須需要家と必須需要家よりもガスの配送優先度が低い準必須需要家とを含むグループを生成可能なグループ生成部と、グループにおけるガスの配送順序を設定する配送順序設定部と、を備え、グループ生成部は、需要家が必須需要家となる第1転換日と、需要家が準必須需要家となる第2転換日とに基づいて、配送日におけるグループを生成する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明の一実施形態に係る配送システム構成の概略図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る配送システムにおいて記憶される需要家情報テーブルの一例である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る配送システムにおいて記憶される情報であって、(a)は配送員情報テーブル、(b)は配送車両情報テーブルの一例である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る配送システムの概要を説明する概略図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る配送システムにおけるアルゴリズムを説明する概略図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る配送システムで生成される配送リストの一例である。
【
図7】(a)、(b)は、本発明の一実施形態に係る配送システムにおいて、日数の経過に伴って必須需要家、準必須需要家が生じることを表す模式図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る予測モデル生成処理のフローチャートである。
【
図9】(a)、(b)は、本発明の一実施形態に係る配送システムにおいて記憶される情報の一例を示す図である。
【
図10】(a)、(b)は、本発明の一実施形態に係る配送システムにおける補完処理を説明する概略図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係る配送システムにおける補完処理を説明する概略図である。
【
図12】本発明の一実施形態に係る配送システムにおける補完処理を説明する概略図である。
【
図13】本発明の一実施形態に係る配送システムにおいて記憶される天候情報の一例を示す図である。
【
図14】本発明の一実施形態に係る配送システムにおいて記憶される予測モデル情報の一例を示す図である。
【
図15】本発明の一実施形態に係る配送システムにおける予測処理の概要を説明する概略図である。
【
図16】本発明の一実施形態に係る配送システムにおける予測処理に係るフローチャートの一例である。
【
図17】(a)、(b)は、本発明の一実施形態に係る配送システムにおける、一の需要家について、ガスの残量が所定の閾値以下となる確率を示す危険度関数をプロットした模式図である。
【
図18】(a)、(b)は、本発明の一実施形態に係る配送システムにおける、一の需要家について、ガスの残量が所定の閾値以下となる確率を示す危険度関数をプロットした模式図である。
【
図19】(a)~(c)は、本発明の一実施形態に係る配送システムにおける、グループ化を説明する概略図である。
【
図20】本発明の一実施形態に係る配送システムにおける、グループ化を説明する概略図である。
【
図21】(a)、(b)は、本発明の一実施形態に係る配送システムにおける、グループ化を説明する概略図である。
【
図22】本発明の一実施形態に係る配送システムにおける、グループ化を説明する概略図である。
【
図23】本発明の一実施形態に係る配送システムにおける、配送ルート処理の概要を説明する図である。
【
図24】本発明の一実施形態における、配送ルートに関するテーブルの一例である。
【
図25】本発明の一実施形態に係る配送システムにおける、配送順序設定処理に係るフローチャートの一例である。
【
図26】本発明の一実施形態に係る配送システムにおける、配送順序設定処理に係るフローチャートの一例である。
【
図27】本発明の一実施形態に係るサーバ100を実現可能なコンピュータのハードウェア構成例である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以降、図を用いて、本開示に係る発明(本発明ともいう)の一実施形態を説明する。なお、図は一例であって、本発明は図に示すものに限定されない。例えば、図示した配送システム、通信端末及び情報処理装置(サーバ)の構成図、メーター、通信装置、ガス容器の数、データセット(テーブル)、並びにフローチャートは一例であって、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0033】
<システム構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る配送システムの構成例を示す図である。配送システム800は、需要家へのガスの配送に係るシステムであってよい。例えば、配送システム800は、需要家が使用したガスの量に応じてガス容器の交換が行われるガス提供サービスにおいて、ガスを効率的に配送するためのシステムであってよい。ガスの効率的な配送とは、例えば、需要家1件あたりの交換頻度及び交換に要する時間を最小とし、配送員一人あたりのガスの配送量を最大とすることを目標としてよい。例えば、訪問したにもかかわらず、ガス残量が多くガス容器の交換が不要であった場合、交換頻度の増加につながり効率が悪い。また、各需要家への配送順序によっては、需要家間の移動に時間を要し効率が悪い。本発明の一実施形態によれば、ガス容器の効率的な配送のために、需要家のガス残量を精度よく予測し、各需要家へのガスの配送順序を適切に設定する配送システム800を実現することができる。
【0034】
配送システム800は、サーバ(演算処理サーバ)100と、管理サーバ210と、事業者DB(データベース)220と、外部DB 230と、ガス容器330A,330Bのメーター320に設置された通信装置310と、配送員500が所有する通信端末510とを含んでよい。
【0035】
メーター320は、通信装置310を備えるいわゆる「スマートメーター」であって、ガス容器330A,330Bに接続され、需要家のガスの使用量を測定してよい。通信装置310は、メーター320の検針値、ガス容器の交換に関する情報等、ガスに関する情報を管理サーバ210へ送信してよい。なお、通信装置310は、メーター320の検針値を、所定の間隔で管理サーバ210へ送信してよい。通信装置310は、例えば、1日1回設定された時間に、管理サーバ210へ検針データを送信してよい。また、通信装置310は、ガスに関する情報として、ガス漏れ、ガス切れ、ガス容器からの供給停止等、異常や警報に関する情報を、ネットワーク600を介して管理サーバ210へ送信してよい。なお、通信装置310は、メーター320の外側の入出力I/Fに接続されて、別個の通信装置としてメーター320の外部に備えられてもよい。すなわち、通信装置310は、メーター320に後付けされるものであってよい。また、通信装置310は、メーター320の製造時に組込まれて、メーター320と一体化されてもよい。あるいは、通信装置310は、メーター320の内部に、例えば通信ボードとして組み込まれていてもよい。
【0036】
管理サーバ210は、ネットワーク600を介して、各家庭、企業、施設等に設置されたメーター320からの情報を収集したり、メーター320の制御を遠隔で行ったりしてよい。すなわち、管理サーバ210は、通信装置310から送信された各メーター320の情報を処理し、図示しないメーターの管理者へ必要なデータを受け渡すIoT-PF(プラットフォーム)としての機能を有してもよい。管理サーバ210は、各メーターの検針データを格納(記憶)する検針データDB 212を備えてよい。なお、予測モデルDB 213については後述する。
【0037】
管理サーバ210と通信装置310との間のネットワーク600における通信方式は、例えば、LTE、LTE-Advanced、第4世代通信(4G)、第5世代通信(5G)、第6世代通信(6G)以降の通信方式、CDMA等であってよい。また、例えば、Category M, Category M1、NB-IoT(Narrow Band IoT)等のIoT向けの無線通信方式であり、LTEを拡張した通信方式であってよい。なお、通信方式は、これらの例に限られるものではない。
【0038】
なお、現在、スマートメーターの普及が進められているものの、通信装置を備えず、検針員440による定期的な検針を必要とする需要家も存在する。本明細書では、これ以降、通信装置310を備えるメーター320が設置された需要家を「設置需要家」、通信装置310のないメーター420が設置された需要家を「非設置需要家」と称する。非設置需要家のガスの使用量は、検針員440が例えば一カ月おきに、ガス容器430A,430Bに接続されたメーター420の検針値を確認し、例えば通信端末441によって管理サーバ210へ検針値を送信してもよい。なお、設置需要家と非設置需要家を特に区別する必要がない場合、それらをまとめて「需要家」と称することもある。また、
図1では、設置需要家、非設置需要家とも戸建て住宅で1件ずつ示してあるが、需要家としてはこれに限定されず、集合住宅、法人等であってよいし、それぞれ複数の設置需要家、非設置需要家が存在してよい。
【0039】
事業者DB 220は、ガス配送サービスを提供する事業者のデータベースであって、需要家情報DB 221、配送員情報DB 222、配送車両情報DB 223を備えてよい。
図2に、需要家情報DB 221に格納される需要家情報の一例を示す。需要家情報テーブルTB1は、各需要家を特定するための情報であって、各需要家を一意に識別する需要家ID(Identifier)(識別子の一例)に、メーターID、配送先ID、容量情報、配送指定情報等が関連付けられて記憶されてよい。なお、識別子は、付与された対象を一意に識別する情報であればその種類は問わない。
【0040】
需要家情報テーブルTB1を参照すると、需要家ID「CS0001」の需要家は、メーターID「mt0001」のメーターが設置され、配送先ID「LC0001」で識別される区域がガス容器の配送先であることがわかる。なお、配送先IDと区域(住所)とを関連付けて格納する配送先情報が図示しないデータベースとして記憶され、配送先IDから配送先の住所が判定されてよい。容量情報は、需要家に供給されたガス容器の総容量を示す情報であってよい。需要家ID「CS0001」の需要家の場合、ガス容器の容量は「50L」、ガス容器は「2本」であって、ガス容器の総容量は100Lとなる。また、配送指定情報は、配送に関して各需要家から指定された条件に関する情報であってよい。例えば、配送指定情報により、需要家ID「CS0001」の需要家は、ガス容器の配送を「月曜から木曜の16時以降」に指定していることが示されてよい。
【0041】
また、需要家情報テーブルTB1を参照すると、需要家ID「CS0005」の需要家は非設置需要家であって、メーターIDが関連付けられなくてよい。さらに、需要家ID「CS0015」、「CS0016」は、同一の配送先IDが「LC0040」が関連付けられている。これは、マンション、アパートといった集合住宅や、複数の法人が入居するビル等、一の住所に複数の需要家が存在する場合を示してよい。なお、この場合、容量情報は、一の配送先IDに設置されているガス容器の総容量を指すものであってよい。
【0042】
なお、
図2のテーブルTB1は一例であって、これに限られるものではない。例えば、容量情報は、ガス容器の総容量が判定できる情報であれば、図示した形式に限定されない。また、需要家情報は、複数のテーブルに分けて記憶されてよい。さらに、需要家情報テーブルTB1には、通信装置310の識別子、メーター320,420の設置日、ガス配送サービスの提供者(需要家が利用するサービス事業者)に関する情報、需要家の連絡先その他のデータが記憶されてもよい。
【0043】
図3(a)に、配送員情報DB 222に格納される配送員情報の一例を示す。配送員情報テーブルTB2は、各配送員を特定するための情報であって、各配送員を一意に識別する配送員IDに、勤務時間、勤務日、担当区域ID等が関連付けられて記憶されてよい。配送員情報テーブルTB2を参照すると、配送員ID「DP0001」の配送員は、勤務時間が「9:00-17:00」であって、担当区域ID「AR0100」で識別される区域が担当する配送区域であることがわかる。なお、担当区域IDと、上述した配送先IDとを関連付けた図示しないテーブルがさらに記憶されてよい。なお、配送員に担当区域がない場合、担当区域IDは記憶されなくてよい。また、配送員情報テーブルTB2には、配送員の体重、残業が可能な上限時間(例えば、勤務時間は17時までだが、20時までの残業が可能である等)がさらに格納されてよい。
【0044】
図3(b)に、配送車両情報DB 223に格納される配送車両情報の一例を示す。配送車両情報テーブルTB3は、各配送車両を特定するための情報であって、各配送車両を一意に識別する配送車両IDに、車両種別、最大積載量等が関連付けられて記憶されてよい。配送車両情報テーブルTB3を参照すると、配送車両ID「TR0001」の配送車両は、市車両種別が「大型」であって、最大積載量が「20000kg」であることがわかる。また、配送車両情報テーブルTB3には、最大積載容量や、次回の使用予定に関する情報であって、使用予定日、時間、配送員等に関する情報がさらに記憶されてもよい。なお、配送車両情報テーブルTB3は、事業者ごとに、各事業者が所有する配送車両について記憶されてよい。
【0045】
サーバ(演算処理サーバ)100は、配送システム800における各種演算処理を実行するサーバであって、通信部110、予測部120、グループ生成部130及び配送順序設定部140を備えてよい。
【0046】
ここで、本発明の一実施形態にかかる配送システム800の概要を説明する。
図4は、配送システム800の概要を説明する概略図である。配送システム800は、各需要家のガスの「残量予測」と、予測したガス残量に基づいてガスの配送先を設定する「配送リスト設定」と、設定された配送先の配送ルート(配送順序)を設定する「配送ルート設定」との3つのステップを経て、効率的なガス配送を行ってよい。
【0047】
各ステップについて簡単に説明する。「残量予測」ステップ10では、まず、需要家の過去の検針データを、必要に応じて所定の補完アルゴリズムで補完する。次に、需要家の過去の検針データと、過去の天候情報とによるデータセットに基づいて、機械学習によって、将来のガス使用量を予測する予測モデルを設定する。そして、設定した予測モデルと検針データとを用いて、将来のガス使用量に関する予測データを算出する。
【0048】
「配送リスト設定」ステップ20では、残量予測ステップ10で算出した将来のガス使用量の予測データと、需要家のガス容器の容量に関する情報とから、将来のガス残量を予測する。そして、予測されたガス残量から、ガス切れの危険度を算出し、危険度の高い需要家を、ガスの配送が必要な需要家とする配送リストを設定する。
【0049】
「配送ルート設定」ステップ30では、配送リストに含まれる需要家へ、効率よく配送するための配送順序を設定する。なお、配送順序の設定において、需要家の希望する配送時間帯、需要者間の移動時間、ガス容器の交換に要する時間、及び、配送員の勤務時間等が考慮されてよい。従って、設定された配送順序で配送する際の所有時間が、配送ルート設定ステップにおいて出力されてもよい。配送順序の設定において考慮される要素は、配送を効率化し得る要素であればよく、上記の例に限定されない。
【0050】
上記の3つのステップのうち「残量予測」及び「配送リスト設定」ステップは、多数存在する需要家それぞれに対して実行される。さらに、ガス切れの可能性を減らすため、上記3つのステップは、毎日検針されて管理サーバ210へ送信されるガスの検針値を用いて、日単位で実行されることが好ましい。すなわち、本発明の一実施形態による配送システム800は、多数の需要家についての大量のデータを用いた演算処理を実行するシステムであってよい。
【0051】
<配送システムにおけるアルゴリズム>
詳細は後述するが、
図5を用いて、上記3つのステップで用いられるアルゴリズムについて簡単に説明する。予測部120は、残量予測ステップ10を実行してよい。予測部120は、検針データDB 212から検針データを取得し、必要に応じて所定の補完アルゴリズム11で検針データを補完してよい。その後、過去の検針データを用いた教師ありの所定の機械学習の手法、又は、所定の近似手法を用いて、需要家ごとに、当該需要家の将来のガス使用量を予測する予測モデル12を生成してよい。所定の機械学習の手法とは、例えば、線形回帰(Linear Regression)、サポートベクトル回帰(Support Vector Regression:SVR)、ランダムフォレスト回帰(Random Forest regression)、又は勾配ブースティング回帰(Gradient Boosting Regression:GBT)、k最近傍法(k-Nearest Neighbor:kNN)、勾配ブースティング決定木(Gradient Boosting Decision Tree:GBDT)などであってよい。また、所定の近似手法として、TQ(Third Quartile)モデルが用いられてもよい。予測部120は、需要家ごとに、生成した予測モデルを用いて、将来の数日間にわたるガスの使用量を算出してよい。
【0052】
グループ生成部130は、配送リスト設定ステップ20を実行してよい。グループ生成部130は、予測部120による将来のガスの予測使用量から、ガス残量の予測値を算出してよい。
【0053】
ここで、需要家は、ガス配送の優先度に応じて、「必須配送需要家」、「準必須配送需要家」、「配送対象外需要家」の3つにカテゴリ分けされてよい。「必須配送需要家」とは、ガスの配送優先度が最も高い需要家を指してよい。例えば、「必須配送需要家」とは、ある配送日にガスの配送が必要な需要家を指してよい。具体的には、「必須配送需要家」とは、例えば、ガス残量の予測値が第1閾値以下である確率(後述する第1確率)が所定の基準値(第1基準値)以上である需要家を指してよい。また、「準必須配送需要家」とは、必須需要家よりもガス配送の優先度が低いが、配送対象外需要家よりもガス配送の優先度が高い需要家を指してよい。例えば、「準必須配送需要家」とは、ある配送日に配送しなくてもガス切れは起こらないが、その配送日以降、数日中(近い将来)には必須需要家となり得る需要家を指してよい。具体的には、「準必須配送需要家」とは、例えば、第1確率が第1基準値未満であり、かつ、ガス残量の予測値が第2閾値以下である確率(後述する第2確率)が所定の基準値(第2基準値)以上である需要家を指してよい。なお、これ以降、第1閾値を、ガス容器の5%以下に相当する値とし、第2閾値を、ガス容器の7%以下に相当する値として説明する。しかしながら、第1閾値及び第2閾値の値は、これらに限定されず、任意の値であってよい。また、「配送対象外需要家」とは、準必須配送需要家よりもガス配送の優先度が低い需要家を指してよい。例えば、「配送対象外需要家」とは、配送日に配送しなくてもガス切れは起こらず、その配送日以降、数日中(近い将来)においてもガス切れの可能性が低い需要家を指してよい。具体的には、「配送対象外需要家」とは、例えば、予測を実行した予測実行日には、ガス残量が十分にあり、ガス切れの可能性が低い需要家を指してよい。なお、これ以降、必須配送需要家を「必須需要家」、準必須配送需要家を「準必須需要家」とも称する。
【0054】
グループ生成部130は、配送日に配送する必須需要家、準必須需要家をトリップ分割する。トリップとは、ガス容器を積載する配送センターから出発して、配送先を回り、配送センターへ帰着する一回の配送を指してよい。すなわち、グループ生成部130は、一回の配送で配送する需要家を、所定の最適化問題の手法でグループ分けしてよい。所定の最適化問題の手法とは、例えば、グリーディ(Greedy)法などであってよい。なお、グループ生成部130は、まず必須需要家のみにトリップ分割を行ってよい。すなわち、グループ生成部130は、必須需要家への配送に必要な配送車両(トラック)の数を算出し、各必須需要家のガス容器を積載すべきトラックを算出してよい。また、グループ生成部130は、トリップ分割した需要家の情報を、例えば配送リストとして出力してよい。
図6に、配送リストの一例を示す。図のように、配送リストTB10は、トリップごとに、配送すべき需要家の情報が関連付けられたテーブルであってよい。なお、図は一例であって、配送すべき需要家がどのトリップに含まれるか、及び、準必須需要家であるか必須需要家であるかが識別可能な形式であれば、配送リストの形式はこれに限定されない。
【0055】
配送順序設定部140は、グループ生成部130によって生成された配送リストに従って配送する際の、需要家への配送順序を設定してよい。すなわち、配送順序設定部140は、所定の最適化問題の手法を用いて、例えば数理モデルによる解法によって、効率のよい配送順序を設定してよい。所定の最適化問題の手法としては、例えば、整数計画問題(integer program:IP)、巡回セールスマン問題(traveling salesman problem:TSP)等であってよい。
【0056】
<機能構成>
図1に戻り、サーバ100の各機能部の機能について簡単に説明する。サーバ100は、配送システム800における上述の演算処理を実行するサーバであって、通信部110、予測部120、グループ生成部130及び配送順序設定部140を備えてよい。なお、
図1では、予測部120、グループ生成部130及び配送順序設定部140を、1つのサーバ100における機能部として示してある。しかしながら、各機能部は、それぞれ別個のサーバやエンジンで実現されてもよい。また、サーバ100は、例えば、ネットワークを介して通信を行うことで協調動作する分散型サーバシステムでもよく、いわゆるクラウドサーバでもよい。すなわち、サーバ100は、物理的なサーバに限らず、ソフトウェアによる仮想的なサーバも含まれてよい。
【0057】
通信部110は、管理サーバ210から、需要家のガスの使用量に関する情報を取得してよい。需要家のガスの使用量に関する情報とは、通信装置310や検針員440の通信端末441から送信された各需要家のガスの使用量を示す情報であって、検針データDB 212に格納された情報であってよい。
【0058】
予測部120は、上述の残量予測ステップ10を実行する機能部であってよい。すなわち、予測部120は、過去のガスの使用量から、将来のガスの予測使用量を算出してよい。
【0059】
グループ生成部130は、上述の配送リスト設定ステップ20を実行する機能部であってよい。グループ生成部130は、予測部120によって算出された予測使用量に基づいて、ガスの配送優先度が最も高い必須需要家と、必須需要家よりもガスの配送優先度が低い準必須需要家とを含むグループを生成可能であってよい。グループ生成部130は、需要家について、ガス残量の予測値が第1閾値以下となる第1確率が第1基準値以上となって、ガス容器の配送優先度が最も高い必須需要家となる第1転換日を算出してよい。さらに、グループ生成部130は、複数の需要家について、ガス残量が第1閾値以下である第1確率が第1基準値未満であり、かつ、ガス残量が第1閾値よりも大きい第2閾値以下となる第2確率が第2基準値以上となって、ガス容器の配送優先度が2番目に高い準必須需要家となる第2転換日をさらに算出してよい。なお、第1基準値と第2基準値とは、異なる値であってもよいし、同一の値であってもよい。
【0060】
また、グループ生成部130は、需要家が必須需要家となる第1転換日と、需要家が準必須需要家となる第2転換日とに基づいて、配送日におけるグループを生成してよい。すなわち、グループ生成部130は、複数の需要家について、各需要家の第1転換日に基づいて抽出した、配送日における複数の必須需要家を、配送に関する所定の条件に基づいてグループ化してよい。なお、配送に関する所定の条件については後述する。また、グループ生成部130は、配送日における必須需要家の数が配送上限数以下である場合、第2転換日に基づいて抽出した準必須需要家を、さらにグループに含ませてグループ化してよい。なお、第1転換日及び第2転換日を算出する配送日は、次回の配送日であってもよいし、次々回以降、一週間後、一か月後等でもよい。すなわち、配送日は特に限定されない。
【0061】
配送順序設定部140は、上述の配送ルート設定ステップ30を実行する機能部であってよい。すなわち、配送順序設定部140は、グループ生成部130によってグループ化された各グループにおける、ガス容器の配送順序を設定してよい。
【0062】
ここで、
図7を用いて、必須需要家のみならず、準必須需要家を含ませてグループを生成する利点について説明する。本発明の一実施形態によれば、上述のように、グループ生成部130によって、複数の需要家から、ガス残量の予測値に応じて、必須需要家、準必須需要家が抽出される。
図7は、日数の経過に伴って必須需要家、準必須需要家が生じることを表す模式図である。なお、
図7において、上段は、必須需要家にのみ配送する場合、下段は、必須需要家のみならず、準必須需要家にも配送する場合を示す図である。
【0063】
まず、必須需要家にのみ配送する場合(上段)について説明する。1日目は全ての需要家が配送対象外需要家であって、配送は行われない(MD1)。2日目には、予測の結果準必須需要家が生じたものの、必須需要家は存在しないため、配送は行われない(MD2)。3日目には、新たに準必須需要家が生じるとともに、2日目の準必須需要家のうち何割かが必須需要家となった(MD3a)ため、必須需要家にのみ配送が行われる(MD3b)。このとき、必須需要家の割合は少ないため、配送量は少なく、配送員の負担は少なくてよい。しかしながら、4日目には、新たに準必須需要家が生じるとともに、3日目に配送されなかった準必須需要家の多数が必須需要家となり(MD4a)、配送量が3日目と比べて多くなる(MD4b)。すなわち、配送日によって配送員の負担が異なり、必須需要家が多数存在した場合に、勤務時間内に配送が完了しないおそれもある。すなわち、必須需要家にのみ配送を行うと、効率が低下する。
【0064】
これに対し、必須需要家のみならず、準必須需要家の一部にも配送する場合(下段)について説明する。上段の場合と同様に、1日目は全ての需要家が配送対象外需要家であって、配送は行われない(PD1)。2日目には、予測の結果準必須需要家が生じ(PD2a)、準必須需要家ではあるものの、一部への配送が行われる(PD2b)。すると、必須需要家にのみ配送する場合と比較して、3日目に必須需要家が減少し(PD3a)、配送が必須ではなくなる。しかしながらこのとき、準必須需要家の一部にも配送が行われてよい(PD3b)。これにより、4日目に必須需要家となる需要家を減らすことができ(PD4a)、次の配送日に配送すべき必須需要家の数を減らすことができる(PD4b)。
【0065】
本発明の一実施形態によれば、将来のガスの予測値に応じて、必須需要家及び準必須需要家が抽出される。そして、必須需要家のみならず、準必須需要家にもガスを配送することで、配送員の配送負担を平準化することができ、効率のよい配送システムを提供することが可能となる。
【0066】
<予測モデル生成処理>
ここで、
図8のフローチャートを用いて、本発明の一実施形態に係る予測モデルの生成処理について説明する。なお、
図8のフローチャートは、一の需要家ごとに実行されてよい。まず、予測部120は、一の需要家が、スマートメーターを設置した設置需要家あるか否かを判定してよい(ステップS10)。なお、設置需要家の場合、メーター320の検針値は、所定の第1間隔で取得され、通信装置310から管理サーバ210へ送信される。所定の第1間隔は、例えば、1日であってよい。すなわち、通信装置310から管理サーバ210へ、毎日所定の時刻に、検針値が送信されてよい。
【0067】
図9に、通信装置310から管理サーバ210へ送信される、ガスの使用量に関する情報の一例を示す。通信装置310から管理サーバ210へは、例えば、メーターID、検針日時、メーターの指針値に関する情報が送信されてよい。
図9(a)は、通信装置310から管理サーバ210へ検針値を送信する場合のデータテーブルTB4の一例である。さらに、ガス容器の交換がされたか否かを示す情報が、例えば交換された場合は「1」、未交換の場合は「0」とのフラグによって送信されてもよい。管理サーバ210では、
図9(b)に示すように、受信した検針値に基づいて、検針データDB 212に、各メーターの検針データテーブルTB5が記憶されてよい。
【0068】
一の需要家が設置需要家である場合(ステップS10でYES)、予測部120は、過去の所定期間にわたる検針データを参照し、一の需要家の連続するガスの使用量に関する情報が取得された間隔が、上述した第1間隔以上の区間が存在するか否か判定してよい(ステップS11)。これにより、なんらかの不具合により検針データが管理サーバ210へ到達せず、検針データが取得できなかった期間があるか否かが判定されてよい。
【0069】
なお、予測モデルの生成に第1間隔以上の区間が存在しない場合(ステップS11でNO)、検針データの補完は不要であって、予測モデルの作成へ進んでよい。第1間隔以上の区間が存在する場合(ステップS11でYES)、予測部120は、一の需要家の連続するガスの使用量に関する情報が取得された間隔が、第1間隔よりも大きい第2間隔以上の区間が存在するか否か判定してよい(ステップS12)。なお、第2間隔は、例えば、80日であってよいが、これに限定されない。第2間隔以上の区間が存在する場合(ステップS12でYES)、ステップS17へ進んでよい。第2間隔以上検針データが取得できていない場合、設置需要家ではなく、非設置需要家として扱ってよい。従って、ステップS12でYESの場合は、ステップS10で設置需要家ではないと判定された場合の処理が行われてよい。
【0070】
第2間隔以上の区間が存在しない、すなわち、一の需要家の連続するガスの使用量に関する情報が取得された間隔が、第1間隔以上第2間隔未満の区間が存在する場合(ステップS12でNO)、予測部120は、所定のアルゴリズムによって、第1間隔以上第2間隔未満の区間におけるガスの使用量に関する情報を補完し、過去の所定期間にわたるガスの使用量に関するデータセットを生成してよい(ステップS13)。
【0071】
図10~12を用いて、補完に用いるアルゴリズムについて説明する。例えば、ある需要家jについてある日付tからN日間、累積使用量x
i(i∈[t,t+N-1])が欠損し、予測モデルで使用する日単位のガス使用量{μ
j
t-1,μ
j
t,…,μ
j
t+N-1}の算出ができないとする。
【0072】
<線形補完(内挿)>
図10(a)は、線形補完のうち内挿補完を説明する図である。まず、欠損期間の累積使用量の差分D(t,t+N-1)を算出し、差分D(t,t+N-1)を欠損日数Nで割ることで欠損期間の平均日単位使用量μ1を算出する。さらに、算出した欠損期間の平均日単位使用量μ1を用いて欠損日i∈[t,t+N-1]の累積使用量を算出することができる。すなわち、欠損日の累積使用量は以下となる。
【0073】
【0074】
<線形補完(外挿)>
図10(b)は、線形補完のうち外挿補完を説明する図である。外挿補完の場合、補完対象需要家の平均日単位使用量μ2を算出し、算出した欠損期間の平均日単位使用量μ2を用いて欠損日i∈[t,t+N-1]の累積使用量を算出すればよい。すなわち、欠損日の累積使用量は以下となる。なお、平均日単位使用量ではなく、第3四分位数が用いられてもよい。
【0075】
【0076】
<類似需要家補完(内挿)>
図11は、複数の需要家から、検針データの傾向が欠損のある需要家と類似する類似需要家を抽出し、補完に用いる場合を説明する図である。まず、補完対象の需要家iに対して、Lという類似度関数を用いて類似度の高いK個の設置需要家を抽出し、集合N(K,L)を獲得する。そして、欠損期間中i∈[t-1,t+N-1]の日単位使用量を、以下の式を用いて、集合N(K,L)から算出する。
【0077】
【0078】
なお、累積使用量の単調性を担保するため、日単位使用量を以下の式で修正してよい。
【0079】
【0080】
そして、算出した欠損期間の日単位使用量μ*
iを用いて、欠損日i∈[t,t+N-1]の累積使用量を以下の式で算出してよい。
【0081】
【0082】
<類似需要家補完(外挿)>
図示しないが、類似需要家による外挿補完の場合は、上述した内挿の場合において、日単位使用量を修正せず、式(3)のμiを用いて、欠損日i∈[t,t+N-1]の累積使用量を以下の式で算出してよい。
【0083】
【0084】
<周期補完(内挿)>
図12は、一の需要家の検針データの周期性を利用して欠損データを補完する周期補完を説明する図である。日単位使用量の欠損日i∈[t-1,t+N-1]について、同じ曜日の日付集合をΛ
iとする。このとき、欠損日iの日単位使用量は、以下の式で表せる。
【0085】
【0086】
累積使用量の単調性の担保するため、日単位使用量を以下の式で修正する。
【0087】
【0088】
そして、算出した欠損期間の日単位使用量μ*
iを用いて、欠損日i∈[t,t+N-1]の累積使用量を以下の式で算出してよい。
【0089】
【0090】
<周期補完(外挿)>
図示しないが、一の需要家の検針データの周期性を利用した周期補完による外挿補完の場合は、上述した内挿の場合において、日単位使用量を修正せず、式(7)のμi用いて、欠損日i∈[t,t+N-1]の累積使用量を以下の式で算出してよい。
【0091】
【0092】
予測部120は、上述のように必要に応じて補完された過去の所定期間のデータセットに基づいて、線形回帰又は非線形回帰を用いた機械学習によって、将来のガス使用量を予測するための予測モデルを作成してよい(ステップS14)。
【0093】
本発明の一実施形態によれば、過去の所定期間の検針データに関するデータセットを用いて機械学習することにより、将来のガス使用量の予測モデルを生成する。従って、過去の検針データの欠損は、予測モデルの精度に影響を及ぼすため、検針値に欠損がある場合、欠損部分を補完してデータセットが生成される。これにより、予測モデルの精度を向上させることができる。
【0094】
<予測モデルの作成>
本発明の一実施形態による予測モデルの生成について説明する。予測部120は、過去の第1日におけるガスの使用量を目的変数、当該第1日より以前の所定期間にわたるガスの使用量及び天候に関する情報を説明変数とする機械学習によって、予測モデルを生成してよい。例えば、予測実行日をt、xiをi日目の日単位使用量、Kをモデルに入力する期間、Sをサンプル数とし、天候データについて、最高気温、最低気温、昼の天気概況、夜の天気概況をそれぞれwi
hight,wi
low,wi
daytime,wi
nightとする。このとき、一の需要家に対して予測モデルで学習に使用される説明変数行列Xと目的変数ベクトルYは、それぞれ以下の式で表すことができる。
【0095】
【0096】
予測部120は、上記の説明変数と目的変数とから、[Y]=f[X]を満たす予測モデルfを算出してよい。なお、天候情報は、外部DB 230の天候情報DB 231に記憶された情報を用いてよい。
図13に、天候情報テーブルTB6の一例を示す。天候情報テーブルTB6は、例えば市単位で記憶され、年月日、昼間、夜間の天気、最高気温、平均気温、最低気温などが記憶されてよい。なお、予測部120は、天候情報について、「快晴」、「晴」、「曇り」、「雨」、「大雨」、「霧」といったカテゴリ情報を式(11)の説明変数に入力するために、バイナリベクトルに変換してよい。なお、予測部120は、天候情報が「晴」、「曇り」、「雨」の場合はワンホットベクトル(One-hot vector)に変換し、それ以外の場合はゼロベクトルに変換してよい。
【0097】
本発明の一実施形態によれば、需要家ごとに、需要家自身の過去の使用量に応じた予測モデルが生成される。従って、需要家の使用傾向に則った精度のよい予測モデルを生成することができる。
【0098】
また、ガスの使用量に影響を及ぼす天候情報を含んだ説明変数によって予測モデルが生成されるため、精度のよい予測モデルを生成することができる。
【0099】
なお、予測部120は、予測モデルを、線形回帰(Linear Regression)、サポートベクトル回帰(Support Vector Regression)、ランダムフォレスト回帰(Random Forest regression)、又は勾配ブースティング回帰(Gradient Boosting Regression)、勾配ブースティング決定木(Gradient Boosting Decision Tree:GBDT)等を用いた既存のアルゴリズムによって生成してよい。これらの手法により、精度よく予測モデルを生成することができる。
【0100】
図8のフローチャートに戻る。ステップS14において予測部120によって生成された予測モデルは、例えば、管理サーバ210の予測モデルDB 213に記憶されてよい(ステップS15)。そして、予測モデルDB 213には、
図14に示すように、各需要家、すなわち各メーターに対応する予測モデルを関連付けて記憶する予測モデルテーブルTB7が記憶されてよい。予測モデルテーブルTB7には、需要家ごとに生成された予測モデルに関する情報が、需要家IDに関連付けられて記憶されてよい。なお、予測モデルの生成は日単位で実行されるため、生成日に関する情報がさらに記憶されてもよい。予測部120は、一の需要家について将来のガス使用量を予測する場合、予測モデルテーブルTB7を参照して、当該需要家の予測モデルを呼び出し、予測処理を行ってよい(ステップS16)。
【0101】
<非設置需要家>
本発明の一実施形態によれば、スマートメーターが設置されていない非設置需要家についても、将来のガス使用量を予測できてよい。これについて、引き続き
図8のフローチャートを用いて説明する。
【0102】
予測部120は、一の需要家について、ステップS10にてスマートメーターのない非設置需要家であると判定された場合、ステップS17へ進んでよい。なお、上述した設置需要家について、第2間隔以上連続して検針値が取得されていない場合(ステップS12でYES)も、ステップS17へ進んでよい。ステップS17において、予測部120は、一の需要家の過去の日単位の使用量の第3四分位数が、複数の他の需要家の過去の日単位の使用量の第3四分位数のうち最大のものより大きいか否かを判定してよい。この判定により、他の需要家の検針データの傾向と大きく異なる傾向を有する非設置需要家を抽出することができる。なお、過去の日単位の使用量の第3四分位数が、複数の他の需要家の過去の日単位の使用量の第3四分位数のうち最大のものより大きい需要家とは、例えば、コインランドリーや飲食店など、需要家全体の平均的なガス使用量と比較して、大量にガスを消費する需要家に相当する。
【0103】
一の需要家の過去の日単位の使用量の第3四分位数が、複数の他の需要家の過去の日単位の使用量の第3四分位数のうち最大のものより大きいと判定された場合(ステップS17でYES)、予測部120は、当該一の需要家の日単位使用量を、過去の日単位の使用量の第3四分位数で線形補完してよい(ステップS18)。また、予測部120は、需要家の日単位の予測使用量を過去の日単位の使用量の第3四分位数とするTQモデルを、予測モデルとして設定してよい(ステップS19)。ステップS19において予測部120によって生成された予測モデルは、予測モデルDB 213に記憶されてよい(ステップS15)。
【0104】
第3四分位数は、日単位のガス使用量の中で比較的大きい値となるため、ガス使用量が多い需要家に対して、後述するkNN補完アルゴリズムにおいて、類似する設置需要家の抽出が不要となる。従って、後述するkNN補完を用いるよりも、予測精度を向上させることができる。すなわち、ガス切れが生じる可能性を低減し得る。
【0105】
なお、一の需要家の過去の日単位の使用量の第3四分位数が、複数の他の需要家の過去の日単位の使用量の第3四分位数のうち最大のものより小さいと判定された場合(ステップS17でNO)、ステップS22へ進んでよい。ステップS22において、予測部120は、k最近傍法(k-Nearest Neighbor:kNN)アルゴリズムによってデータを補完してよい。kNNアルゴリズムにより、検針頻度の低い需要家の連続する2回の検針データから一定期間のガス使用量が分かる。従って、一定期間のガス使用量に近い設置需要家をK個抽出し、それらの線型結合により、検針頻度の低い需要家補完及び需要予測を行うことができる。
【0106】
すなわち、予測部120は、ガスの使用傾向が一の需要家のガスの使用傾向と類似する他の需要家を複数抽出し、当該複数の他の需要家のガスの使用量に関する情報を用いて、データを補完してよい(ステップS22)。また、当該複数の他の需要家のガスの使用量に関する情報を線形結合したデータセットを、過去の所定期間にわたるガスの使用量に関するデータセットとして用いて、一の需要家の将来の予測使用量を算出する予測モデルを設定してよい(ステップS23)。このように、本発明の一実施形態によれば、非設置需要家であっても、データを補完して予測モデルを生成することができる。なお、ステップS23において予測部120によって生成された予測モデルは、予測モデルDB 213に記憶されてよい(ステップS15)。
【0107】
なお、ステップS14において、例えば、学習の失敗等によって予測モデルが生成できない場合は、ステップS19へ進み、予測モデルとしてTQモデルを設定してもよい。また、ステップS19,S23において生成したモデルによっては予測の精度が出ない等、設定した予測モデルがうまく働かない現象も生じ得る。この場合、予測モデルとして、全ての需要家の平均使用量を予測値とする全平均モデルを設定してもよい。
【0108】
<予測処理>
次に、本発明の一実施形態における予測処理(ステップS16)について説明する。
図15は、予測処理の概要を説明する概略図である。また、
図16は、予測処理に係るフローチャートの一例である。
【0109】
予測部120は、予測を実行する需要家の予測モデルを、予測モデルDB 213から呼び出してよい(ステップT20)。次に、予測部120は、呼び出した予測モデルを用いて、予測実行日からL日間の予測使用量を算出してよい(ステップT21)。なお、予測部120は、将来の所定期間にわたる予測使用量の算出に、過去の使用量と、予測モデルによって予測した予測使用量とを用いてよい。
【0110】
図15を用いて説明する。予測モデルをf、予測実行日をt、日単位のガス使用量(実績値)をx
t、日単位のガス使用量(予測値)をx
*
t、予測モデルに入力する期間(過去の所定期間)をK、予測する期間をLとすると、予測実行日t日の日単位のガス使用量(予測値)は、以下の式で表される。
【0111】
【0112】
すなわち、
図15において、予測実行日「2/2」の日単位のガス使用量(予測値)は、直近のK日間「…、1/29、1/30、1/31、2/1」の日単位のガス使用量(実績値)を予測モデルに入力することによって算出される。
【0113】
しかしながら、予測実行日tの1日後、t+1日の日単位のガス使用量(予測値)は、以下の式となる。
【0114】
【0115】
すなわち、
図15において、予測実行日「2/2」の1日後「2/3」の日単位のガス使用量(予測値)は、直近のK日間「…、1/29、1/30、1/31、2/1」の日単位のガス使用量(実績値)と、「2/2」の日単位のガス使用量(予測値)とを予測モデルに入力することによって算出される。
【0116】
さらに、予測実行日tの2日後、t+2日の日単位のガス使用量(予測値)は、以下の式となる。
【0117】
【0118】
すなわち、
図15において、予測実行日「2/2」の2日後「2/4」の日単位のガス使用量(予測値)は、直近のK日間「…、1/29、1/30、1/31、2/1」の日単位のガス使用量(実績値)と、「2/2、2/3」の日単位のガス使用量(予測値)とを予測モデルに入力することによって算出される。
【0119】
上述のように、予測モデルに入力される数値には予測値が含まれるため、必須需要家、準必須需要家の抽出が、予測モデルの精度に左右され得る。このため、本発明の一実施形態によれば、予測の精度を加味して、ガス残量の閾値(第1閾値、第2閾値)を下回る確率(以降、「ガス切れの危険度」とも称する)を算出し、当該ガス切れの危険度を元に、必須需要家、準必須需要家が抽出されてよい。
【0120】
以下、詳細に説明する。グループ生成部130は、予測モデルを用いて算出した、過去の時点における予測使用量である過去予測使用量と、当該過去の時点における実際のガスの使用量とに基づいて、予測モデルの予測精度情報を算出してよい。すなわち、グループ生成部130は、過去のデータセットを予測モデルに入力して得られた出力値と、実測値との差から、予測モデルの精度を求めてよい。
【0121】
まず、i日目のガス使用量Xiに関する予測分布fiは、正規分布に従うと仮定し、点推定モデルの分散は学習データの予測値と正解値での不偏分散の値を使用すると、以下の式で表される。
【0122】
【0123】
1~n日間の合計ガス使用量Xに関する予測分布gnは、独立に同分布に従うならば、正規分布の再生性より、gnは下記の正規分布に従う。なお、独立に同分布に従わない場合は、gnのパラメタの表示が異なってくる。
【0124】
【0125】
上記の仮定をもとに,需要家h∈Hに関し、現在の残ガス量をz,ガス容器α%時の残ガス量をzαとすると、n日後の24:00にガスの残量がα%を下回る確率を返す危険度関数は、以下の式で定義することができる。
【0126】
【0127】
【0128】
上述の危険度関数を用いて、グループ生成部130は、予測の精度情報を加味して、ガスの残量が所定の閾値以下となる確率を算出してよい(ステップT22)。また、グループ生成部130は、算出した確率に基づいて、須需要家、準必須需要家となる日を算出してよい(ステップT23)。
【0129】
ステップT22,T23について、図を用いて説明する。
図17(a)は、横軸を予測日からの日数として、一の需要家について、ガスの残量が所定の閾値以下となる確率を示す危険度関数をプロットした模式図である。グループ生成部130は、必須需要家として判定される、ガスの残量が第1閾値以下となる第1確率を算出し、第1確率が最初に第1基準値以上となる日を、第1転換日としてよい。
図17(a)において、実線は、必須需要家を抽出するための第1閾値をガス容器の5%相当値とした場合の第1確率の推移を表す。ここで、所定の基準値を0.3とした場合、第1確率が最初に0.3以上となる日は、予測日から「t12日後」である。従って、一の需要家が必須需要家として判定されるのは、予測日から「t12日後」となる。
【0130】
また、グループ生成部130は、準必須需要家として判定される、ガスの残量が第2閾値以下となる第2確率をさらに算出し、当該第2確率が最初に第2基準値以上となる日を、第2転換日としてよい。
図17(a)における破線は、準必須需要家を抽出するための第2閾値をガス容器の7%相当値とした場合の第2確率の推移を表す。ここで、第2基準値を第1基準値と同様に0.3とした場合、第2確率が最初に0.3以上となる日は、予測日から「t11日後」である。従って、一の需要家が準必須需要家として判定されるのは、予測日から「t11日後」となる。
【0131】
例えば、2つの需要家について、それぞれの予測モデルを用いた予測の結果、予測ガス残量が同一であった場合、予測の精度が悪い需要家をより早く必須需要家として抽出し、早めにガスを配送することが、ガス切れを防止するとの観点から好ましい。本発明の一実施形態によれば、予測の精度を加味した危険度関数を導入し、精度の悪い予測モデルが設定された需要家ほど、危険度が高く(ガス切れの確率が高く)出力される。従って、ガス切れが生じる可能性を低減し、より効率的なガス配送が可能となる。
【0132】
なお、第1転換日は、所定の基準値が小さくなるにつれて、予測を実行した日に近く算出されてよい。このことを、
図17(b)を用いて説明する。
図17(b)において第1基準値を「0.3」から「0.2」とした場合、第1確率が最初に0.2以上となる日は、予測日から「t22日後」であって、第1基準値が「0.3」の場合よりも早くなる。従って、一の需要家が必須需要家として判定される日も同様に、第1基準値が「0.3」の場合よりも早くなる。このように、第1基準値の設定に応じて、必須需要家として抽出される日を設定することができる。このことは、以下のような場合に好適である。
【0133】
図18は、
図17の需要家とは異なる需要家について、横軸を予測日からの日数として、危険度関数をプロットした模式図である。
図18において、実線は、必須需要家を抽出するための第1閾値をガス容器の5%相当値とした場合の第1確率の推移、破線は、準必須需要家を抽出するための第2閾値をガス容器の7%相当値とした場合の第2確率の推移を表す。ここで、
図18において、N1~N3は、ガス容器の配送日を意味する。
図18(a)において、第1、第2基準値が「0.3」の場合、配送日N1,N2において、需要家は準必須需要家とも必須需要家とも判定されず、ガスが配送されない。予測日から「t31日後」に、第2確率が0.3を下回り、準必須需要家と判定され、予測日から「t32日後」に、第1確率が0.3を下回り、必須需要家と判定される。従って、予測日から「t32日後」よりも後の次の配送日N3の時点では、ガス残量がガス容器の5%を下回り、ガス切れの可能性が高くなり得る。
【0134】
上述の現象に対し、第1、第2閾値を「0.15」とした場合、
図18(b)に示すように、準必須需要家と判定される日は予測日から「t41日後」となって、第1、第2閾値が「0.3」の場合の「t31日後」よりも早くなる。同様に、必須需要家と判定される日は予測日から「t42日後」となって、第1、第2閾値が「0.3」の場合の「t32日後」よりも早くなる。これにより、配送日N2の時点で、需要家は必須需要家として判定され、ガスの配送先として抽出させることができる。
【0135】
すなわち、本発明の一実施形態によれば、ガス切れの可能性が高い需要家を早めに抽出して、ガスの配送を行うことができる。従って、ガス切れの可能性を低減し、ユーザビリティのよい配送システムを提供することができる。
【0136】
図16のフローチャートに戻る。グループ生成部130は、ステップT20~T23の処理を、全ての需要家について実行したか否か判定してよい(ステップT24)。全ての需要家について実行していない場合(ステップT24でNO)、次の需要家について、ステップT20~T23を実行してよい。全ての需要家について実行した場合(ステップT24でYES)、抽出された必須需要家及び準必須需要家について、トリップ分割処理を実行してよい(ステップT25)。
【0137】
<トリップ分割処理>
グループ生成部130は、配送に関する所定の条件に基づいて、必須需要家及び準必須需要家をグループ化(トリップ分割)してもよい。
図19~22を用いて、トリップ分割の各アルゴリズムについて説明する。
【0138】
<トリップ分割アルゴリズム>
トリップ分割アルゴリズムは、必須需要家にのみ配送することを考えた場合に、効率的なトリップを大まかに作成することを目的としてよい。このことを、
図19を用いて説明する。
図19(a)のように必須需要家群CON10が存在した場合、
図19(b)のようなトリップTR1,TR2のように、配送先の近い必須需要家群でまとまってトリップが作成されることが好ましい。これに対し、
図19(c)のようなトリップTR3,TR4は、必須需要家間の移動経路が長くなり効率が悪い。なお、トリップ分割アルゴリズムとしては、既存のビンパッキング問題のアルゴリズムであるNF(Next-Fit)法を改良したものを利用し、全ての必須需要家を対象とした最適化問題の手法で、最適解又は近似解を求めてよい。
【0139】
<グリーディアルゴリズム>
グリーディアルゴリズムは、上述のアルゴリズムでトリップ分割された必須需要家のトリップに、準必須需要家のうち危険度の高い需要家をできるだけ組み込むことを目的としてよい。グループ生成部130は、準必須需要家を危険度が高い順に並び替えて、準必須需要家の危険度の高い順から、各必須需要家のトリップごとに、配送車両(トラック)の積載重量及び積載空間を制約条件として、配送車両に積載可能か否かを算出してよい。
【0140】
<配送領域最小化アルゴリズム>
図20は、配送領域最小化アルゴリズムの概要を説明する概略図である。配送領域最小化アルゴリズムは、配送領域をできるだけ小さくして効率的な配送を目指しつつ、準必須需要家の一部へ配送することを目指すアルゴリズムであってよい。すなわち、グループ生成部130は、準必須需要家を抽出するための所定の条件として、少なくとも、ガス容器の配送車両の配送容量に関する制約条件の下に、一のグループにおける複数の必須需要家及び準必須需要家の配送領域が所定範囲内となるように、一のグループに含ませる準必須需要家を抽出してよい。
【0141】
例えば、
図20のように、需要家群CON11の中に、必須需要家C1、準必須需要家P1~P6が存在する場合を考える。なお図において、色の濃さは、上述したガス切れの危険度が高い需要家を示す。単純に危険度の高い需要家へ配送する場合、必須需要家C1、準必須需要家P1,P6を含む領域への配送が考えられるが、配送領域が広大となって需要家間の移動距離も長くなり効率的でない。配送領域最小化アルゴリズムによれば、必須需要家C1を含みつつ、準必須需要家を一部含む矩形領域を配送領域AR10とし、配送領域AR10内の需要家へガスを配送すればよい。
【0142】
配送領域AR10は、制約条件を定式化した数理最適化モデルを解くことによって算出されてよい。例えば、必須需要家へ必ず配送することと、配送車両の積載重量及び積載空間とを制約条件とし、配送領域AR10の短辺と長辺との和を最小化することの定式化によって最適化モデルを設定してよい。なお、準必須需要家、必須需要家に関するデータは、上述のステップT20~T24の処理結果から読み込むことができる。また、配送車両(トラック)の積載重量及び積載空間は、配送車両情報テーブルTB3から読み込むことができる。さらに、各需要家のガス容器の1本あたりの重量及び本数、各需要家の位置情報は、需要家情報テーブルTB1から読み込むことができる。グループ生成部130は、設定された最適化モデルから最適解又は近似解を求めてよい。
【0143】
本発明の一実施形態によれば、必須需要家の含む矩形領域を配送領域とし、当該配送領域内にある準必須需要家が抽出されるため、無駄な移動を減らし、効率のよい配送システムを実現することができる。
【0144】
<(複数日)配送領域最小化アルゴリズム>
(複数日)配送領域最小化アルゴリズムは、配送日における必須需要家の数を考慮し、配送日全体で配送領域を平準化することを目的としてよい。
図21を用いて説明する。
図21(a)は、需要家群CON12において、第1配送日の配送領域として、必須需要家を含む配送領域AR41が設定されたとする。その後、第1配送日に配送されなかった準必須需要家P1が必須需要家C1となり、その他の必須需要家も含めるため、第2配送日の配送領域として、配送領域AR42が設定されることになる。この場合、第2配送日の配送領域AR42が大きくなる。
【0145】
これに対し、複数日の配送領域最小化アルゴリズムによると、
図21(b)のように、第1配送日の配送領域として、必須需要家と、第2配送日には必須需要家となる準必須需要家P1とを含む配送領域AR43が設定されてガスが配送される。そのため、第2配送日の配送領域としては、配送領域AR42よりも小さい配送領域AR52が設定されることになる。このように、複数日の配送領域を最小化することで、配送日全体の配送領域を平準化し、効率のよい配送システムを提供することが可能となる。
【0146】
<獲得危険度最大化アルゴリズム>
図22は、獲得危険度最大化アルゴリズムの概要を説明する概略図である。獲得危険度最大化アルゴリズムは、必須需要家間の移動経路を短くし、必須需要家間の移動途中に準必須需要家が存在すれば配送を行うことを目指すアルゴリズムであってよい。すなわち、グループ生成部130は、所定の条件として、少なくとも、ガス容器の配送車両の配送容量に関する制約条件の下にグループ生成部が必須需要家をグループ化した場合に、一のグループの配送領域に位置する準必須需要家を、一のグループに含ませる準必須需要家として抽出してよい。
【0147】
例えば、
図22のように、需要家群CON13の中に、必須需要家C1~C4、準必須需要家P1~P5が存在する場合を考える。必須需要家C1~C4へ配送することを考えると、楕円の配送領域AR20~AR23を設定することができる。その際、配送領域AR20~AR22に含まれ、必須需要家間の移動経路に位置する準必須需要家P2,P3,P4は、配送先として設定されてもよい。しかしながら、配送車両の積載重量及び積載空間に関する制約条件から、準必須需要家P3については、配送先から除外されてもよい。すなわち、需要家群CON13において、配送領域から外れている準必須需要家P1,P5、及び、配送領域内にあるものの配送車両の制約から、準必須需要家P3を、配送先に含めなくてよい。
【0148】
なお、配送領域AR20~AR23(AR24)に含まれる準必須需要家は、上述した危険度が大きく、ガス切れの可能性が高い需要家である方が好ましい。従って、必須需要家へ必ず配送することと、配送車両の積載重量及び積載空間とを制約条件とし、それぞれの配送領域AR20~AR23に含まれる需要家の危険度を最大化することの定式化によって、最適化モデルを設定してよい。グループ生成部130は、設定された最適化モデルから最適解又は近似解を求めてよい。
【0149】
本発明の一実施形態によれば、必須需要家の配送領域内にある準必須需要家が抽出されるため、効率のよい配送システムを実現することができる。
【0150】
<配送ルート設定>
次に、本発明の一実施形態による配送ルート設定処理について説明する。配送ルート設定処理の概要を
図23に示す。配送ルート設定処理により、
図23(a)に示す、配送リスト設定処理によって算出された各トリップTP10,TP11を入力とし、
図23(b)に示すように、各トリップに含まれる必須需要家・準必須需要家への適切な配送ルートに関する情報が出力されてよい。
図24に、配送ルートに関するテーブルTB20の一例を示す。図のように、配送ルートに関する情報には、配送すべき各需要家への配送時間に関する情報が含まれてよい。
【0151】
なお、
図5に示すように、配送ルート設定ステップ30は、整数計画問題(integer program:IP)をベースとするアルゴリズム、又は、巡回セールスマン問題(traveling salesman problem:TSP)をベースとするアルゴリズムによって、グループ生成部130が生成したグループ内の配送ルートが設定されてよい。
【0152】
まず、整数計画問題をベースとするアルゴリズムについて、
図25を用いて説明する。
図25は、整数計画問題をベースとするアルゴリズムによる配送ルート設定処理のフローチャートである。
【0153】
まず、グループ生成部130によって生成された配送すべき需要家に関する配送リストが取得される。配送リストは、例えば翌日など、次の配送日に配送すべき需要家に関する情報であってよい。上述のように、配送リストには、各トリップに含まれる必須需要家、準必須需要家の情報が含まれてよい。グループ生成部130は、配送リストに含まれる需要家に関する情報から、需要家情報テーブルTB1を参照して、各需要家のガス容器の配置場所(配送場所)に関する情報を取得することができる。
【0154】
配送順序設定部140は、まず、グループ生成部130によって生成された一のグループについて、一のグループに含まれる必須需要家のみを対象として、既知の巡回セールスマン問題(TSP)によって必須需要家を巡回する配送順序を設定してよい(ステップP10)。巡回セールスマン問題とは、地点の集合と、各2点間の移動コスト(距離、時間など)が与えられた時、全ての地点をちょうど1度ずつ巡って出発点に戻る巡回路の中で、総移動コストが最小の経路を求める、組み合わせ最適化問題の一種である。これにより、配送順序の大まかな解(近似解)を得ることができ、他のアルゴリズムにおける入力データを得ることができる。
【0155】
<配送ボンベ数最大化>
ステップP10で、巡回セールスマン問題による解が見つかった場合、ステップP11へ進み、配送順序設定部140は、配送ボンベ数を最大とする配送順序を求めてよい。すなわち、配送順序設定部140は、少なくとも配送員の勤務時間に関する制約条件の下に、グループ生成部130によって生成された一のグループに含まれる必須需要家へ必ず配送した上で、一のグループに含まれる準必須需要家へ配送するガス容器数を最大にする第1数理モデルに基づいて、配送順序を設定してよい。なお、制約条件として、需要家が指定する配送時間に関する条件が追加されてもよい。
【0156】
配送順序設定部140は、例えば、一のトリップに含まれる需要家間、又は配送センターから需要家間の移動時間を与える関数を、所定のアプリケーションから取得してよい。さらに、配送順序設定部140は、配送員の勤務可能時間、需要家の配送指定時間等を、需要家情報DB 221、配送員情報DB 222から取得してよい。
【0157】
配送順序設定部140は、第1数理モデルとして、交換(配送)するガス容器の数を最大化することを目的に、少なくとも、一のトリップにおいて必須需要家を必ず通ること、勤務時間、配送指定時間に関する条件を制約条件として定式化し、混合整数最適化問題の手法によって、最適解又は近似解を求めてよい。
【0158】
<必須需要家のみ配送ボンベ数最大化>
ステップP15の、必須需要家のみ配送ボンベ数の最大化について説明する。ステップP15が適用される場合とは、ステップP10,P13,P14において、配送員の勤務時間に関する制約(例えば、
図3の配送員情報テーブルTB2に含まれる、配送員の勤務時間帯)を満足する解が得られない場合であってよい。この場合、ステップP15では残業時間の上限内でできるだけ必須需要家に配送することを目的としてよい。すなわち、配送順序設定部140は、配送員の勤務時間に関する制約条件を満足する配送順序が設定不可能な場合に、制約条件によらず、一のグループに含まれる準必須需要家へガス容器を配送せず、一のグループに含まれる必須需要家のうち、配送員の所定の勤務時間上限内に配送するガス容器数を最大にする必須需要家への配送順序を設定してよい。
【0159】
<勤務時間最小化>
勤務時間を最小化するアルゴリズムは、トリップ内に含まれる需要家への配送ルートを求める場合に、上述と同様に、配送員の勤務時間に関する制約を満足する解が得られない場合(残業が発生する場合)に実行されてよい。従って、勤務時間を最小化するとは、配送員の残業時間を最小化すると同義と考えてよい。勤務時間を最小化するためには、配送先を回る時間を最小化することを目的とした数理モデルの解を求めればよい。
【0160】
例えば、配送順序設定部140は、必須需要家のみを対象として、勤務時間を最小化にする配送順序を求めてよい(ステップP13)。すなわち、配送順序設定部140は、配送員の勤務時間に関する制約条件の下では、グループ生成部130によって生成された一のグループに含まれる準必須需要家へ配送する配送順序が設定できない場合、一のグループに含まれる必須需要家へ配送する配送時間を最短にする第2数理モデルに基づいて配送順序を設定してよい。
【0161】
又は、配送順序設定部140は、準必須需要家を対象に加えて、勤務時間を最小化する配送順序を求めてよい(ステップP12)。
【0162】
なお、ステップP13,P14によっては最適な解が得られない場合、配送リストに含まれる需要家のうち、必須需要家のみを対象として、上述した、配送ボンベ数の最大化が再度実行されてもよい。すなわち、配送順序設定部140は、配送員の勤務時間に関する制約条件によっては配送順序が設定不可能な場合に、制約条件によらず、一のグループに含まれる準必須需要家へガス容器を配送せず、一のグループに含まれる必須需要家へ、配送員の所定の勤務時間上限内に配送するように配送順序を設定してもよい。
【0163】
<必須のみTSP出力の間引き>
本アルゴリズムは、必須需要家のみを配送しても、残業可能な上限時間を超える場合、配送を完了する時間が、残業可能な上限時間より早くなるまで、必須需要家のうち危険度の低い需要家を、トリップから削除するものであってよい。すなわち、配送順序設定部140は、グループ生成部130によって生成されたグループに含まれる必須需要家へ配送すると、配送員の所定の勤務時間上限を超過する場合に、上述した第1確率が低い順に、グループから必須需要家を削除し、所定の勤務時間上限内で配送可能な配送順序を設定してよい。なお、配送員の所定の勤務時間上限とは、残業として勤務可能な時間の上限を指してよい。
【0164】
なお、
図25に示したフローチャートは一例であって、各アルゴリズムは、順番や位置が入れ替えられてもよい。
【0165】
次に、
図26を用いて、巡回セールスマン問題をベースとするアルゴリズムによる、配送ルート設定処理について説明する。なお、
図26のフローチャートにおいて、
図25と同一のものには同一の符号を付し、説明を省略する。
【0166】
<時間制約付きTSP(TSP-TW)>
時間制約付きTSPのアルゴリズム(ステップP20)は、TSPにおいて、各地点の到着時刻の制約を加えた問題を指す。すなわち、配送順序設定部140は、グループ生成部130によって生成されたグループに含まれる必須需要家及び準必須需要家によって指定された配送時間に応じた、時間制約付き巡回セールスマン問題(TSP-TW)による配送順序を設定してよい。なお、時間制約付きTSPの近似解法としては、蟻コロニー最適化(Ant Colony Optimization:ACO)といった既存の手法を用いてよい。これにより、配送ルート設定において、各需要家の配送時間指定への対応が可能となる。
【0167】
<配送リスト修正>
配送リスト修正のアルゴリズム(ステップP21)は、時間制約付きTSPのアルゴリズムによる最適解の場合、配送員の所定の勤務時間上限を超過する場合に、どの需要家を配送リストから外せば適当かを考える問題であってよい。すなわち、配送順序設定部140は、時間制約付きTSPによって設定された配送順序によっては、配送員の勤務時間上限内に配送不可能である場合に、一のグループに含まれる準必須需要家のうち、配送時間の低減に寄与する準必須需要家を間引いた配送順序に更新してよい。
【0168】
配送順序設定部140は、例えば、配送リストから準必須需要家を1件ずつ減らした場合に、削減できる時間を算出してよい。なお、削減できる時間としては、需要家間の移動時間と、ガス容器の交換に要する作業時間とが含まれてよい。あるいは、配送順序設定部140は、配送リストから、時間制約付きTSPの最適解として出力された、連続して配送すべき需要家を2件ずつ減らした場合に、削減できる時間を算出してもよい。
【0169】
上述のように、本発明の一実施形態によれば、配送員の勤務時間を考慮した、配送すべき需要家への配送ルートが算出される。従って、ガス供給サービスの提供側にとって、コストのよい効率的な配送サービスを提供することができる。
【0170】
なお、配送ルートに関する情報が、配送員に提供されてもよい。すなわち、通信部110は、配送順序設定部140によって設定された配送順序に関する情報を、配送員500の通信端末510へ送信してもよい。配送員500の通信端末510において、配送順序は、例えば、地図上に重畳して表示されてもよい。なお、配送順序に関する情報には、配送時刻に関する情報が含まれ、地図上、又はテキスト情報として、通信端末510で表示可能であってよい。これにより、配送員500は、配送順序を確認しながら配送作業を行うことができる。
【0171】
<ハードウェア構成>
サーバ100のハードウェア構成について説明する。
図22は、本実施形態におけるサーバ100を実現可能なコンピュータのハードウェア構成例である。サーバ100は、プロセッサ101と、ストレージ102と、メモリ103と、入出力インタフェース(入出力I/F)104と、通信インタフェース(通信I/F)105とを含む。各構成要素は、バスBを介して相互に接続される。サーバ100は、これら各構成要素の協働により、本実施形態に記載される機能や方法を実現する。例えば、サーバ100の各機能部をソフトウェアにより実現する場合、ストレージ102からメモリ103に読み込まれたプログラムに含まれる命令をプロセッサ101が実行することによって実現される。すなわち、本実施形態に係るサーバ100は、プロセッサ101がメモリ103上に読み込まれたプログラムを実行することにより、通信部110、予測部120、グループ生成部130及び配送順序設定部140として機能する。
【0172】
プロセッサ101は、例えば、中央処理装置(CPU)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、マイクロプロセッサ(microprocessor)、プロセッサコア(processor core)、マルチプロセッサ(multiprocessor)、ASIC(Application-Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等を含み、集積回路(IC(Integrated Circuit)チップ、LSI(Large Scale Integration))等に形成された論理回路(ハードウェア)や専用回路によって実現されてよい。なお、サーバ100は、上述の大量のデータを処理するための演算能力の高いプロセッサ101を有することが好ましい。
【0173】
通信I/F105は、ネットワークアダプタ等のハードウェアや通信用ソフトウェア、及びこれらの組み合わせとして実装され、外部装置と各種データの送受信を行う。当該通信は、有線、無線のいずれで実行されてもよく、互いの通信が実行できるのであれば、どのような通信プロトコルを用いてもよい。
【0174】
入出力I/F104は、サーバ100に対する各種操作を入力する入力装置、及び、サーバ100で処理された処理結果を出力する出力装置を含む。入力装置は、例えば、タッチパネル、タッチディスプレイ、キーボード等のハードウェアキーや、マウス等のポインティングデバイス、カメラ(画像を介した操作入力)、マイク(音声による操作入力)を含む。出力装置は、プロセッサ101で処理された処理結果を出力する。出力装置は、例えば、タッチパネル、スピーカ等を含む。
【0175】
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部、各ステップ等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部やステップ等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。また、上記実施の形態に示す構成を適宜組み合わせることとしてもよい。例えば、サーバ100が備えるとして説明した各構成部は、複数のサーバによって分散されて実現されてもよい。
【0176】
なお、一般に、集合住宅やビルなどでは、集合住宅又はビル全体に対して複数のガス容器がまとめて設置され、各需要家へのガスの共有が行われている。すなわち、複数の需要家で複数のガス容器を共有している。そして、需要家それぞれに対してメーターが設置され、それぞれの使用量が検針されている。従って、ガス容器が共有である場合、需要家それぞれのガスの使用量の予測モデルを算出し、各需要家の予測使用量を足し合わせて、共有する複数のガス容器のガス残量が予測されてよい。すなわち、グループ生成部130は、複数の需要家に対して、一のガス容器に関する情報が関連付けられている場合、複数の需要家について予測した予測使用量を合算して、上述した第1閾値を算出してよい。これにより、ガス容器が複数の需要家で共有されている場合でも、適切な交換時期を算出することができる。
【0177】
また、配送順序の設定において、道路に関する情報が用いられてもよい。例えば、道路が2車線であるか1車線であるかや、道路工事、また、駐車場の位置などは、ガス容器の配送の際、配送に要する時間に影響を及ぼし得る。従って、配送員の勤務時間を超過するか否かの判定に影響する。そのため、配送順序を設定する際の制約条件として、道路に関する情報を定式化してもよい。
【0178】
本開示の各実施形態のプログラムは、情報処理装置に読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供されてもよい。記憶媒体は、「一時的でない有形の媒体」に、プログラムを記憶可能である。プログラムは、例えば、ソフトウェアプログラムや情報処理装置プログラムを含む。情報処理装置としてのサーバ100の各機能部をソフトウェアにより実現する場合、サーバ100は、プロセッサがメモリ上にロードされたプログラムを実行することにより、通信部110、予測部120、グループ生成部130及び配送順序設定部140として機能する。
【0179】
記憶媒体は適切な場合、1つ又は複数の半導体ベースの、又は他の集積回路(IC)(例えば、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、特定用途向けIC(ASIC)等)、ハード・ディスク・ドライブ(HDD)、ハイブリッド・ハード・ドライブ(HHD)、光ディスク、光ディスクドライブ(ODD)、光磁気ディスク、光磁気ドライブ、フロッピィ・ディスケット、フロッピィ・ディスク・ドライブ(FDD)、磁気テープ、固体ドライブ(SSD)、RAMドライブ、セキュア・デジタル・カードもしくはドライブ、任意の他の適切な記憶媒体、又はこれらの2つ以上の適切な組合せを含むことができる。記憶媒体は、適切な場合、揮発性、不揮発性、又は揮発性と不揮発性の組合せでよい。
【0180】
また、本開示のプログラムは、当該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して、サーバ100に提供されてもよい。
【0181】
また、本開示の各実施形態は、プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0182】
なお、本開示のプログラムは、例えば、JavaScript(登録商標)、Python等のスクリプト言語、C言語、Go言語、Swift,Koltin、Java(登録商標)等を用いて実装されてよい。
【符号の説明】
【0183】
100 サーバ(演算処理サーバ)
110 通信部
120 予測部(残量予測エンジン)
130 グループ生成部(配送リスト設定エンジン)
140 配送順序設定部(配送ルート設定エンジン)
210 管理サーバ
212 検針データDB(データベース)
213 予測モデルDB
220 事業者DB
221 需要家情報DB
222 配送員情報DB
223 配送車両情報DB
230 外部DB
231 天候情報DB
232 道路情報DB
310 通信装置
320,420 メーター
330A,330B,430A,430B ガス容器
440 検針員
441 通信端末
500 配送員
510 通信端末
800 配送システム