IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東洋電装株式会社の特許一覧

特開2023-30985アクセルポジションセンサユニットおよびスロットルグリップ装置
<>
  • 特開-アクセルポジションセンサユニットおよびスロットルグリップ装置 図1
  • 特開-アクセルポジションセンサユニットおよびスロットルグリップ装置 図2
  • 特開-アクセルポジションセンサユニットおよびスロットルグリップ装置 図3
  • 特開-アクセルポジションセンサユニットおよびスロットルグリップ装置 図4
  • 特開-アクセルポジションセンサユニットおよびスロットルグリップ装置 図5
  • 特開-アクセルポジションセンサユニットおよびスロットルグリップ装置 図6
  • 特開-アクセルポジションセンサユニットおよびスロットルグリップ装置 図7
  • 特開-アクセルポジションセンサユニットおよびスロットルグリップ装置 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023030985
(43)【公開日】2023-03-08
(54)【発明の名称】アクセルポジションセンサユニットおよびスロットルグリップ装置
(51)【国際特許分類】
   F02D 11/02 20060101AFI20230301BHJP
   B62K 23/04 20060101ALI20230301BHJP
   F02B 61/02 20060101ALI20230301BHJP
【FI】
F02D11/02 R
B62K23/04
F02B61/02 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021136426
(22)【出願日】2021-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】000222934
【氏名又は名称】東洋電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【弁理士】
【氏名又は名称】別役 重尚
(74)【代理人】
【識別番号】100118278
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 聡
(72)【発明者】
【氏名】篠原 広廉
【テーマコード(参考)】
3D013
3G065
【Fターム(参考)】
3D013CH01
3G065BA01
3G065CA23
3G065DA15
3G065JA03
3G065JA09
(57)【要約】
【課題】ハンドルバーに対するアクセルポジションセンサユニットの位置決めを容易に行うことができるとともに、ハンドルバーに対してアクセルポジションセンサユニットを安定して固定することができることを目的とする。
【解決手段】アクセルポジションセンサユニット1は、筒状のハンドルバー11の中心軸O11の周りに、ハンドルバー11の外周面111に沿って回動可能な状態でハンドルバー11に支持されるスロットルパイプ12の回転角を検出するアクセルポジションセンサ本体3と、アクセルポジションセンサ本体3を収納するセンサケース4と、を備える。センサケース4は、中心軸O11方向に沿って延設された延設部53を有する。延設部53は、ハンドルバー11と、アクセルポジションセンサユニット1を覆うカバー7との間で挟持される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のハンドルバーの中心軸の周りに、前記ハンドルバーの外周面に沿って回動可能な状態で前記ハンドルバーに支持されるスロットルパイプの回転角を検出するアクセルポジションセンサ本体と、
前記アクセルポジションセンサ本体を収納するセンサケースと、を備え、
前記センサケースは、前記中心軸方向に沿って延設された延設部を有し、
前記延設部は、前記ハンドルバーと、前記アクセルポジションセンサユニットを覆うカバーとの間で挟持されるアクセルポジションセンサユニット。
【請求項2】
前記延設部は、前記中心軸方向から見たとき、円弧状をなす、請求項1に記載のアクセルポジションセンサユニット。
【請求項3】
前記延設部の中心角は、180度以下である、請求項2に記載のアクセルポジションセンサユニット。
【請求項4】
前記延設部の内周面の曲率は、前記ハンドルバーの外周面の曲率よりも小さい、請求項3に記載のアクセルポジションセンサユニット。
【請求項5】
前記カバーは、一対の半割体を組み立ててなるものであり、
前記延設部は、前記一対の半割体のうちの一方の半割体側に偏在する、請求項4に記載のアクセルポジションセンサユニット。
【請求項6】
前記延設部の円弧の中心は、前記一方の半割体と対をなす他方の半割体側に存在する、請求項5に記載のアクセルポジションセンサユニット。
【請求項7】
前記延設部は、前記中心軸の少なくとも一方側に向かって突出している、請求項1に記載のアクセルポジションセンサユニット。
【請求項8】
前記延設部は、前記カバーからは突出しない、請求項7に記載のアクセルポジションセンサユニット。
【請求項9】
電装品を操作するスイッチを有し、前記アクセルポジションセンサユニットに対して前記中心軸の一方側に隣接するスロットルグリップ装置が配設されており、
前記延設部は、前記カバーから突出し、前記ハンドルバーと前記スロットルグリップ装置との間で挟持される、請求項7に記載のアクセルポジションセンサユニット。
【請求項10】
筒状のハンドルバーと、
前記ハンドルバーの中心軸の周りに、前記ハンドルバーの外周面に沿って回動可能な状態で前記ハンドルバーに支持されるスロットルパイプの回転角を検出するアクセルポジションセンサ本体と、該アクセルポジションセンサ本体を収納するセンサケースと、を備えるアクセルポジションセンサユニットと、
前記アクセルポジションセンサユニットを覆うカバーと、を備え、
前記カバーには、電装品を操作するスイッチが設けられ、
前記センサケースは、前記中心軸方向に沿って延設された延設部を有し、
前記延設部は、前記ハンドルバーと前記カバーとの間で挟持されるスロットルグリップ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクセルポジションセンサユニットおよびスロットルグリップ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スロットルパイプは、一般に、車両のハンドルバーの外周に相対的に回動可能に支持される。また、スロットルパイプの回転角は、検出センサ(アクセルポジションセンサユニット)で検出される(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。特許文献1に記載の発明では、検出センサとしての開度センサが、ハンドルバーを挟持するセットプレートを介して、ハンドルバーに固定される。特許文献2に記載の発明では、検出センサとしてのスロットル操作量センサが、スロットル操作量センサを覆う取付け部材を介して、ハンドルバーに固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許6329573号公報
【特許文献2】特許4414389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1および特許文献2に記載の発明では、いずれも、検出センサは、ハンドルバーに直接的に固定されているのではなく、他の所定の部材を介して、ハンドルバーに対して固定されている。しかしながら、このような固定構成では、他の所定の部材を介する分、ハンドルバーに対する検出センサの正確な位置決めが行い辛くなる。また、スロットルパイプを操作した際、ぐらつき易くなる。その結果、正確なスロットルパイプの回転角検出が困難となる。
【0005】
本発明は、簡単な構成で、ハンドルバーに対するアクセルポジションセンサユニットの位置決めを容易に行うことができるとともに、ハンドルバーに対してアクセルポジションセンサユニットを安定して固定することができることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のアクセルポジションセンサユニットは、筒状のハンドルバーの中心軸の周りに、ハンドルバーの外周面に沿って回動可能な状態でハンドルバーに支持されるスロットルパイプの回転角を検出するアクセルポジションセンサ本体と、アクセルポジションセンサ本体を収納するセンサケースと、を備え、センサケースは、中心軸方向に沿って延設された延設部を有し、延設部は、ハンドルバーと、アクセルポジションセンサユニットを覆うカバーとの間で挟持される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、簡単な構成で、ハンドルバーに対するアクセルポジションセンサユニットの位置決めを容易に行うことができるとともに、ハンドルバーに対してアクセルポジションセンサユニットを安定して固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】スロットルグリップ装置の第1実施形態を示す斜視図である。
図2図1に示すスロットルグリップ装置の分解斜視図である。
図3図1に示すスロットルグリップ装置が有するアクセルポジションセンサユニットの分解斜視図である。
図4図1中のA-A線断面図(縦断面図)である。
図5図4中のB-B線断面図(横断面図)である。
図6】スロットルグリップ装置の第2実施形態を示す横断面図である。
図7】スロットルグリップ装置の第3実施形態を示す上面図である。
図8図7中のC-C線断面図(横断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の各実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。しかしながら、以下の各実施形態に記載されている構成はあくまで例示に過ぎず、本発明の範囲は各実施形態に記載されている構成によって限定されることはない。
【0010】
<第1実施形態>
以下、図1図5を参照して、第1実施形態について説明する。
【0011】
図1示すスロットルグリップ装置10は、例えば、ハンドルバーを備える自動二輪車等の各種の車体に適用可能である。なお、スロットルグリップ装置10は、自動二輪車に適用する場合に限らず、自動二輪車以外も含む鞍乗り型車両にも適用可能である。「鞍乗り型車両」とは、乗員が車体に跨って乗車する車両全般を含み、自動二輪車(原動機付き自転車も含む)のみならず、ATV(不整地走行車両)に分類される三輪車両や四輪車両、その他、スノーモービル等を含む車両である。また、スロットルグリップ装置10は、水上オートバイ(水上バイク)ク等の船舶にも適用可能である。本実施形態では、スロットルグリップ装置10の一例として、右側用のスロットルグリップ装置を例示する。なお、図1図4中、左方が車体中央側(-X側)、右方が車体外側(+X側)である。図2に示すように、スロットルグリップ装置10は、ハンドルバー11、ハンドルバー11に固定されるアクセルポジションセンサユニット(以下「APSユニット」と言う)1と、APSユニット1を覆うカバー7と、を有する。また、スロットルグリップ装置10は、APSユニット1の+X側に連結されるスロットルパイプ12と、スロットルパイプ12を覆うグリップ部材13と、をさらに有する。
【0012】
ハンドルバー11は、円筒状の部材で構成されている。ハンドルバー11は、本実施形態では直線状をなすが、これに限定されず、例えば、長手方向の途中が湾曲していてもよい。また、ハンドルバー11は、本実施形態では外径が一定であるが、これに限定されず、例えば、変化して、すなわち、拡径していたり、縮径していたりしてもよい。
【0013】
図4に示すように、スロットルパイプ12およびグリップ部材13は、それぞれ、ハンドルバー11と同様に、円筒状の部材で構成されており、ハンドルバー11の中心軸O11を中心として、ハンドルバー11と同心的に配置されている。スロットルパイプ12は、ハンドルバー11の中心軸O11の周りに、ハンドルバー11の外周面111に沿って回動可能な状態で、ハンドルバー11に支持されている。また、スロットルパイプ12の-X側の端部には、フランジ部121が形成されている。フランジ部121は、カバー7と係合して、スロットルパイプ12のハンドルバー11からの抜け止めとして機能する。これにより、スロットルパイプ12とAPSユニット1とが連結された状態が維持される。グリップ部材13は、スロットルパイプ12の外周側に連結、固定されている。グリップ部材13は、車体を運転する運転者に握られて、中心軸O11回りに回転操作されることにより、スロットルパイプ12とともに回転する。スロットルパイプ12の回転角は、後述のAPSユニット1で検出される。また、グリップ部材13の-X側の端部には、外径が-X側に向かって漸増したテーパ部131が形成されている。テーパ部131により、グリップ部材13とカバー7との間の段差(外径差)を低減することができる。
【0014】
図2図3に示すように、APSユニット1は、アクセルポジションセンサ本体(以下「APS本体」と言う)3と、APS本体3を収納するセンサケース4と、を有する。APS本体3は、スロットルパイプ12の-X側に連結されている。そして、運転者によってグリップ部材13ごとスロットルパイプ12が中心軸O11回りに回転操作された際には、APS本体3により、スロットルパイプ12の中心軸O11回りの回転角を検出することができる。そして、この回転角の大きさに応じて、車体のスロットルバルブ(図示せず)の開度が調整される。なお、APS本体3は、例えば、ホール素子を有する磁気センサ等で構成することができる。これにより、APS本体3での検出結果、すなわち、APS本体3で検出された回転角は、電気信号として、車体の制御系に送信される。
【0015】
図3に示すように、センサケース4は、ケース本体5と、ケース本体5に装着される蓋体6と、を有する。ケース本体5は、リング状をなすリング状部51と、リング状部51の縁部に沿って形成された側壁部52と、を有する。リング状部51の中央部に形成されている貫通孔511には、ハンドルバー11を挿通させることができる。また、側壁部52は、上方に向かって突出した突出部521と、下方に向かって突出した突出部522と、車体の前方に向かって突出した突出部523と、を有する。突出部521には、車体の前後方向に貫通する貫通孔524が形成されている。この貫通孔524には、後述するビス141が挿通する(図2参照)。突出部522には、車体の前後方向に貫通する貫通孔525が形成されている。この貫通孔525には、後述するビス142が挿通する(図2参照)。突出部523には、中心軸O11方向に貫通する貫通孔526が形成されている。この貫通孔525には、後述するビス143が挿通する。
【0016】
蓋体6は、リング状をなし、その中央部に形成されている貫通孔61にハンドルバー11を挿通させることができる。蓋体6は、その縁部に突出形成された係合片62および係合片63と、-X側に臨む面に突出形成されたボス64と、を有する。係合片62、係合片63、ボス64は、いずれも、-X側に向かって突出している。また、係合片62、係合片63、ボス64は、中心軸O11回りにほぼ等角度間隔に配置されている。係合片62は、ケース本体5の側壁部52に形成された凸部527に係合する。係合片63は、ケース本体5の側壁部52に形成された凸部528に係合する。ボス64には、雌ねじ641が形成されており、この雌ねじ641に、ケース本体5の貫通孔526を挿通したビス143が螺合する。このような係合および螺合により、ケース本体5の+X側から蓋体6を装着することができる。そして、ケース本体5と蓋体6とで囲まれた空間内に、APS本体3が収納、配置される。また、蓋体6には、電気端子を有するカプラ65が設けられている。カプラ65と車体側のカプラ(図示せず)とを接続することにより、APS本体3と車体の制御系とが電気的に接続される。
【0017】
APSユニット1は、カバー7に覆われている。これにより、APSユニット1を保護することができる。図2に示すように、カバー7は、車体の前後に分割可能な一対の半割体を組み立ててなるものである。以下、車体前方に位置する半割体を「半割体8」と言い、車体後方に位置する半割体を「半割体9」と言う。なお、カバー7は、本実施形態では車体の前後に分割可能な一対の半割体で構成されているが、これに限定されず、例えば、上下に分割可能な一対の半割体で構成されていてもよい。
【0018】
半割体8は、後方に向かって内部空間80が開放した中空体で構成されており、+X側に位置する先端壁部81と、-X側に位置する基端壁部82と、先端壁部81と基端壁部82とをつなぐ側壁部83と、を有する。一方、半割体9は、前方に向かって内部空間90が開放した中空体で構成されており、+X側に位置する先端壁部91と、-X側に位置する基端壁部92と、先端壁部91と基端壁部92とをつなぐ側壁部93と、を有する。図2に示すように、半割体8と半割体9とは、半割体8の側壁部83側から半割体9の側壁部93側に向かって挿入されるビス141およびビス142を介して、締結される。これにより、半割体8と半割体9とが組立状態となり、APSユニット1を覆うカバー7として機能する。また、このとき、ビス141がAPSユニット1の貫通孔524を挿通し、ビス142がAPSユニット1の貫通孔525を挿通する。これにより、APSユニット1とカバー7とが連結、固定される。
【0019】
半割体8の先端壁部81には、半円弧状の凹部811が形成されており、半割体9の先端壁部91には、半円弧状の凹部911が形成されている。そして、半割体8と半割体9と組み立てられた組立状態で、凹部811と凹部911とは、互いに対向して、ハンドルバー11がスロットルパイプ12ごと挿通する挿通孔71(図4参照)を構成する。これと同様に、半割体8の基端壁部82には、半円弧状の凹部821が形成されており、半割体9の基端壁部92には、半円弧状の凹部921が形成されている。そして、組立状態で、凹部821と凹部921とは、互いに対向して、ハンドルバー11が挿通する挿通孔72(図4参照)を構成する。
【0020】
図2に示すように、半割体8の凹部821には、ガイドピン822が設けられている。図4に示すように、ガイドピン822は、ハンドルバー11の管壁に貫通して形成されたガイド孔112に挿入され、嵌合する。これにより、カバー7は、APSユニット1とともに、中心軸O11回りの回転が規制される。このように、スロットルグリップ装置10では、ガイドピン822とガイド孔112とが、カバー7およびAPSユニット1の回り止めとして機能する。
【0021】
また、半割体8の先端壁部81には、スロットルパイプ12のフランジ部121が後方から係合する溝812が形成されている。一方、半割体9の先端壁部91にも、スロットルパイプ12のフランジ部121が前方から係合する溝912が形成されている。
【0022】
前述したように、APSユニット1は、ハンドルバー11に固定される。以下、この固定構造について説明する。
【0023】
図2図3に示すように、センサケース4のケース本体5は、円弧状のハンドルバー11の中心軸O11方向に沿って延設された延設部53を有する。延設部53は、ケース本体5の貫通孔511の縁部に、-X側(中心軸O11の一方側)に向かって突出して形成されている。図5に示すように、延設部53は、中心軸O11方向から見たとき、中心軸O11を中心とする円弧状をなす。そして、延設部53は、ハンドルバー11の外周面111と、カバー7を構成する半割体9の半円弧状の凹部921との間で挟持される。これにより、APSユニット1がハンドルバー11に対し直接的に固定される。
【0024】
このような固定構造は、例えばAPSユニット固定用の部材を介して、APSユニット1をハンドルバー11に対して固定する場合に比べて、APSユニット1を安定して固定することができる。これにより、例えばグリップ部材13とともにスロットルパイプ12を操作した際のAPSユニット1のぐらつきを十分に抑制することができ、よって、APSユニット1によるスロットルパイプ12の正確な回転角検出を正確に行うことができる。また、延設部53に作用する半割体9からの押し付け力(挟持力)を、延設部53よりも剛性が高いハンドルバー11で受けることができる。これにより、APSユニット1のより安定した固定が可能となる。また、APSユニット1がハンドルバー11に対し直接的に固定されるため、例えば前記のようにAPSユニット固定用の部材を用いる場合に比べて、ハンドルバー11に対するAPSユニット1の正確な位置決めが可能となる。以上のように、スロットルグリップ装置10では、延設部53をハンドルバー11とカバー7との間で挟持するという簡単な構成で、ハンドルバー11に対してAPSユニット1を安定して固定することができる。また、ハンドルバー11に対するAPSユニット1の位置決めを容易に行うことができる。
【0025】
延設部53の中心角θ53(図5参照)は、例えば、180度以下が好ましく、90度以上180度以下がより好ましい。例えば延設部53が中心軸O11を中心とする円形の場合、延設部53の曲率とハンドルバー11の曲率との誤差の程度によっては、延設部53とハンドルバー11との間に隙間が生じて、ハンドルバー11とカバー7とで延設部53を十分に挟持することが困難となるおそれがある。しかしながら、延設部53を中心角θ53が上記数値範囲内にある円弧状とすることにより、誤差があったとしても、延設部53をハンドルバー11とカバー7との間で十分に挟持することができる。
【0026】
また、延設部53は、半割体8および半割体9のうち、半割体9(一方の半割体)側に偏在する。例えば延設部53が半割体8および半割体9の双方にまたがって配置されている場合、半割体8および半割体9にそれぞれ延設部53を挟持する部分を形成する必要がある。しかしながら、延設部53が半割体9側に偏在して配置されているため、半割体9の方にのみ、延設部53を挟持する部分を形成すればよく、半割体8の方には、当該部分の形成を省略することができる。これにより、カバー7の設計が容易となる。なお、延設部53は、本実施形態では半割体9側に1つ配置されているが、これに限定されず、例えば、複数配置されていてもよい。
【0027】
延設部53は、前述したように-X側に向かって突出して形成されているが、カバー7からは突出しない(図1図4参照)。これにより、スロットルグリップ装置10の見栄えがよくなるとともに、APSユニット1の小型化に寄与する。また、カバー7によって延設部53が保護されることとなり、延設部53での破損等を防止することができる。なお、延設部53は、本実施形態では-X側に突出して形成されているが、これに限定されず、+X側にも突出していてもよい。
【0028】
また、延設部53は、ハンドルバー11の外周面111に当接する内周面531や、半割体9の凹部921に当接する外周面532に、粗面加工による微小な凹凸が形成されていてもよい。
【0029】
また、カバー7には、車体に搭載されている電装品(例えば方向指示器等)を操作するスイッチ(図示せず)が設けられていてもよい。
【0030】
<第2実施形態>
以下、図6を参照して、第2実施形態について説明する。
【0031】
図6に示すように、本実施形態では、延設部53の内周面531の曲率は、ハンドルバー11の外周面111の曲率よりも小さい。従って、延設部53の円弧の中心O53は、半割体9と対をなす半割体8(他方の半割体)側に存在する。これにより、延設部53の周方向の中央部をハンドルバー11に優先的に当接させることができる。よって、延設部53を変形させずにハンドルバー11とカバー7との間で挟持することができ、APSユニット1がより安定して固定される。
【0032】
<第3実施形態>
以下、図7および図8を参照して、第3実施形態について説明する。
【0033】
図7に示すように、本実施形態では、APSユニット1に対して-X側(中心軸O11の一方側)には、スイッチ本体15(スロットルグリップ装置10)が隣接して配設されている。スイッチ本体15は、車体に搭載されている電装品(例えば方向指示器等)を操作するスイッチ(図示せず)を有する。スイッチ本体15は、当該スイッチが設けられるカバー151を有する。
【0034】
また、延設部53は、カバー7からカバー151に向かって、すなわち、-X側に突出している。そして、図8に示すように、延設部53は、ハンドルバー11とスイッチ本体15のカバー151との間で挟持される。これにより、延設部53は、ハンドルバー11とカバー7との間で挟持されるとともに、ハンドルバー11とスイッチ本体15のカバー151との間でも挟持された状態となる。よって、延設部53に対する挟持力が増加して、APSユニット1がより強固に固定され、さらにAPSユニット1とスイッチ本体15との相対的な位置決めをすることができる。
【0035】
なお、カバー151は、カバー7と同様に、一対の半割体を組み立ててなるものであるのが好ましい。この場合、カバー151を構成する一対の半割体のうち、図8中、車体前方に位置する半割体を「半割体152」と言い、車体後方に位置する半割体を「半割体153」と言う。延設部53は、半割体153に挟持される。カバー151は、本実施形態では車体の前後に分割可能な一対の半割体で構成されているが、これに限定されず、例えば、上下に分割可能な一対の半割体で構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0036】
1 アクセルポジションセンサユニット(APSユニット)
3 アクセルポジションセンサ本体(APS本体)
4 センサケース
7 カバー
8 半割体
9 半割体
10 スロットルグリップ装置
11 ハンドルバー
O11 中心軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8