(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023030992
(43)【公開日】2023-03-08
(54)【発明の名称】フィンスタビライザー装置、船舶及びフィンスタビライザー装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
B63B 39/06 20060101AFI20230301BHJP
【FI】
B63B39/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021136434
(22)【出願日】2021-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】518022743
【氏名又は名称】三菱造船株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】日向 泰彦
(57)【要約】
【課題】フィンスタビライザーを備えた船舶の航行を、効率良く行い、かつ乗員の作業負担を軽減することができる。
【解決手段】フィンスタビライザー装置は、船体から外方に向けて出没可能に備えられたフィンスタビライザー本体と、フィンスタビライザー本体を船体に対して出没させるスタビライザー駆動部と、船体の航行速度を取得する速度取得部と、船体の横揺れ、上下動の少なくとも一方の動揺を取得する動揺取得部と、速度取得部で取得された航行速度、及び動揺取得部で取得された船体の動揺、の少なくとも一方に基づいて、スタビライザー駆動部を駆動する制御装置と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船体から外方に向けて出没可能なフィンスタビライザー本体と、
前記フィンスタビライザー本体を前記船体に対して出没させるスタビライザー駆動部と、
前記船体の航行速度の情報を取得する速度取得部と、
前記船体の横揺れ、上下動の少なくとも一方の動揺の情報を取得する動揺取得部と、
前記速度取得部で取得された前記航行速度、及び前記動揺取得部で取得された前記船体の動揺、の少なくとも一方の情報に基づいて、前記スタビライザー駆動部を駆動する制御装置と、を備えるフィンスタビライザー装置。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記船体に対して前記フィンスタビライザー本体が収容された状態で、且つ前記速度取得部で取得された前記航行速度が、予め定められた速度基準を超えた場合に、前記スタビライザー駆動部を駆動して前記フィンスタビライザー本体を前記船体から突出させる
請求項1に記載のフィンスタビライザー装置。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記船体に対して前記フィンスタビライザー本体が突出した状態で、且つ前記速度取得部で取得された前記航行速度が、予め定められた速度下限基準を下回った場合に、前記スタビライザー駆動部を駆動して前記フィンスタビライザー本体を前記船体内に収容させる
請求項2に記載のフィンスタビライザー装置。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記船体に対して前記フィンスタビライザー本体が突出した状態で、且つ前記動揺取得部で取得された前記船体の動揺が、予め定められた動揺下限基準を下回った場合に、前記スタビライザー駆動部を駆動して前記フィンスタビライザー本体を前記船体内に収容させる
請求項2に記載のフィンスタビライザー装置。
【請求項5】
前記制御装置は、
前記船体に対して前記フィンスタビライザー本体が収容された状態で、前記速度取得部で取得された前記航行速度が、予め定められた速度基準を超え、且つ、前記動揺取得部で取得された前記船体の動揺が、予め定められた動揺基準を超えた場合に、前記スタビライザー駆動部を駆動して前記フィンスタビライザー本体を前記船体から突出させる
請求項1に記載のフィンスタビライザー装置。
【請求項6】
前記船体の位置を取得する位置取得部をさらに備え、
前記制御装置は、
前記船体に対して前記フィンスタビライザー本体が突出した状態で、且つ前記位置取得部で取得された前記船体の位置が、予め設定された設定エリア内にある場合、前記スタビライザー駆動部を駆動して前記フィンスタビライザー本体を前記船体内に収容させる
請求項1から5の何れか一項に記載のフィンスタビライザー装置。
【請求項7】
前記船体の下方位置における水深を取得する水深取得部をさらに備え、
前記制御装置は、
前記船体に対して前記フィンスタビライザー本体が突出した状態で、且つ前記水深取得部で取得された水深が、予め設定された水深下限基準を下回った場合に、前記スタビライザー駆動部を駆動して前記フィンスタビライザー本体を前記船体内に収容させる
請求項1から6の何れか一項に記載のフィンスタビライザー装置。
【請求項8】
請求項1から7の何れか一項に記載のフィンスタビライザー装置を備えた船舶。
【請求項9】
請求項1から7の何れか一項に記載のフィンスタビライザー装置の制御方法であって、
前記船体の航行速度、及び前記船体の横揺れ、上下動の少なくとも一方の動揺を取得するステップと、
前記フィンスタビライザー本体が前記船体から突出した状態であるときに、前記航行速度、及び前記船体の動揺の少なくとも一つが予め定められた条件を満たした場合、前記フィンスタビライザー本体を前記船体内に収容させるステップと、を含む
フィンスタビライザー装置の制御方法。
【請求項10】
前記船体の位置を取得するステップと、
前記フィンスタビライザー本体が前記船体から突出した状態であるときに、前記船体の位置が予め定められた条件を満たした場合、前記フィンスタビライザー本体を前記船体内に収容させるステップと、を含む
請求項9に記載のフィンスタビライザー装置の制御方法。
【請求項11】
前記船体の下方位置における水深を取得するステップと、
前記フィンスタビライザー本体が前記船体から突出した状態であるときに、前記船体の下方位置における水深が予め定められた条件を満たした場合、前記フィンスタビライザー本体を前記船体内に収容させるステップと、を含む
請求項9又は10に記載のフィンスタビライザー装置の制御方法。
【請求項12】
前記船体に対して前記フィンスタビライザー本体が収容された状態で、且つ前記船体の航行速度が、予め定められた速度基準を超えた場合に、前記フィンスタビライザー本体を前記船体から突出させるステップを含む
請求項9から11の何れか一項に記載のフィンスタビライザー装置の制御方法。
【請求項13】
前記船体に対して前記フィンスタビライザー本体が収容された状態で、前記船体の航行速度が、予め定められた速度基準を超え、且つ、前記船体の動揺が、予め定められた動揺基準を超えた場合に、前記フィンスタビライザー本体を前記船体から突出させるステップを含む
請求項9から11の何れか一項に記載のフィンスタビライザー装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、フィンスタビライザー装置、船舶及びフィンスタビライザー装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、フィンスタビライザー装置を備えた船舶が開示されている。フィンスタビライザー装置は、航行中にフィン翼に揚力を発生させることで、船体の横揺れを抑えるよう構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、フィンスタビライザー装置のフィンスタビライザー本体(フィン翼)は、船体から斜め下方に突出している。そのため、港湾施設への着岸や浅瀬の通過の際には、フィンスタビライザー本体の損傷を避けるため、フィンスタビライザー本体を船体内に収容する場合がある。また、フィンスタビライザー本体で発生する揚力は、船舶の航行に対する抵抗となる。そのため、船舶の航行速度が低い状態では、フィンスタビライザー本体で発生する揚力による横揺れ抑制効果よりも、船舶の航行に対する抵抗による燃料消費率増加等のデメリットの方が大きくなることがある。そのため、乗員は、様々な状況に応じ、フィンスタビライザー本体の船体内への収容、フィンスタビライザー本体の船体からの突出、といった操作を行わなければならず、乗員の作業負担が増加するという課題が有る。
【0005】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、船舶の航行を、効率良く行い、かつ乗員の作業負担を軽減することができるフィンスタビライザー装置、船舶及びフィンスタビライザー装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示に係るフィンスタビライザー装置は、フィンスタビライザー本体と、スタビライザー駆動部と、速度取得部と、動揺取得部と、制御装置と、を備える。前記フィンスタビライザー本体は、前記船体から外方に向けて出没可能に備えられている。前記スタビライザー駆動部は、前記フィンスタビライザー本体を前記船体に対して出没させる。前記速度取得部は、前記船体の航行速度を取得する。前記動揺取得部は、前記船体の横揺れ、上下動の少なくとも一方の動揺を取得する。前記制御部は、前記速度取得部で取得された前記航行速度、及び前記動揺取得部で取得された前記船体の動揺、の少なくとも一方に基づいて、前記スタビライザー駆動部を駆動する。
【0007】
本開示に係る船舶は、上記フィンスタビライザー装置を備える。
【0008】
本開示に係るフィンスタビライザー装置の制御方法は、上記したフィンスタビライザー装置の制御方法である。このフィンスタビライザー装置の制御方法は、前記船体の航行速度、及び前記船体の横揺れ、上下動の少なくとも一方の動揺を取得するステップと、前記フィンスタビライザー本体が前記船体から突出した状態であるときに、前記航行速度、及び前記船体の動揺の少なくとも一つが予め定められた条件を満たした場合、前記フィンスタビライザー本体を前記船体内に収容させるステップと、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本開示のフィンスタビライザー装置、船舶及びフィンスタビライザー装置の制御方法によれば、船舶の航行を、効率良く行い、かつ乗員の作業負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の実施形態に係る船舶の概略構成を示す図であり、船舶を船首尾方向から見た断面図である。
【
図2】本開示の実施形態に係るフィンスタビライザー装置の制御装置のハードウェア構成を示す図である。
【
図3】本開示の実施形態に係る制御装置の機能ブロック図である。
【
図4】本開示の実施形態に係るフィンスタビライザー装置の制御方法の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態に係るフィンスタビライザー装置、船舶及びフィンスタビライザー装置の制御方法について、
図1~
図4を参照して説明する。
(船舶の構成)
図1に示すように、この実施形態のフィンスタビライザー装置100は、船舶1に装備される。なお、船舶1の船種は、特定のものに限られない。
【0012】
(船体の構成)
図1に示すように、船体2は、その外殻をなす、一対の舷側3A,3Bと、船底4と、を有している。舷側3A,3Bは、左右舷側をそれぞれ形成する一対の舷側外板を備える。船底4は、これら舷側3A,3Bを接続する船底外板を備える。これら一対の舷側3A,3B及び船底4により、船体2の外殻は、船首尾方向に直交する断面において、U字状を成している。
【0013】
(フィンスタビライザー装置)
フィンスタビライザー装置100は、フィンスタビライザー本体5と、スタビライザー駆動部7と、制御装置6と、を少なくとも備えている。
フィンスタビライザー本体5は、船舶1の船底4の船幅方向Wの両側にそれぞれ設けられている。各フィンスタビライザー本体5は、船底4から、船幅方向Wの外側に向かって斜め下方に突出するように設けられている。フィンスタビライザー本体5は、船舶1の航行によって生じる水流に応じた揚力を発生させ、船体2の横揺れを抑える。フィンスタビライザー本体5は、フィン軸5sを有している。フィンスタビライザー本体5は、フィン軸5s周りに回動可能とされている。フィンスタビライザー本体5は、フィンスタビライザー制御部(図示せず)の制御により、フィン軸5s周りに回動し、フィンスタビライザー本体5の角度(フィン翼角)が調整可能とされている。フィンスタビライザー本体5は、フィン軸5s周りの角度(フィン翼角)を調整することで、発生する揚力の大きさを調整出来るようになっている。
【0014】
フィンスタビライザー本体5は、船体2の内外に出没可能に設けられている。スタビライザー駆動部7は、後述する制御装置6の制御指令に従って、上記フィンスタビライザー本体5を、船体2に対して出没させる。スタビライザー駆動部7は、複数のフィンスタビライザー本体5のそれぞれに一つずつ設けられている。スタビライザー駆動部7は、フィンスタビライザー本体5が船体2から外方に突出した突出状態と、フィンスタビライザー本体5が船体2内に収容された収容状態との間で、フィンスタビライザー本体5を進退駆動させる。スタビライザー駆動部7は、例えば油圧シリンダー、モーター等を駆動源とすることができる。
【0015】
この実施形態で例示するフィンスタビライザー装置100は、速度取得部11と、動揺取得部12と、位置取得部13と、水深取得部14と、を備えている。
速度取得部11は、船体2の航行速度の情報を取得する。速度取得部11で取得する航行速度の情報は、船舶1に装備された対水速度を検出するドップラーソナー、対地速度を検出するGPS(Global Positioning System)等から取得することができる。なお、速度取得部11の取得する航行速度の情報の一例としてGPSにて検出される航行速度の情報を用いる場合を示したが、GNSS(Global Navigation Satellite System)であれば同様に採用可能である(以下のGPSも同様)。
【0016】
動揺取得部12は、船体2の横揺れ(言い換えれば、ロール)、上下動(言い換えれば、ヒーブ)の少なくとも一方の動揺を取得する。動揺取得部12で取得する動揺の情報は、例えば、船舶1に装備された傾斜角計、及び加速度計(図示せず)の少なくとも
一方から取得することができる。
【0017】
位置取得部13は、船体2の現在の位置の情報を取得する。位置取得部13で取得する船体2の現在の位置は、例えば、GPSで検出した位置の情報と、電子海図とを組み合わせることで求めることができる。
【0018】
水深取得部14は、船体2の下方位置における水深を取得する。水深取得部14で取得する水深の情報は、例えば、船舶1の船底に装備されたエコーサウンダー(音響測深機)等から取得することができる。
速度取得部11と、動揺取得部12と、位置取得部13と、水深取得部14とにより取得した各情報は、制御装置6へ入力される。なお、速度取得部11と、動揺取得部12と、位置取得部13と、水深取得部14とは、制御装置6に設けられていてもよい。
【0019】
(手動操作装置)
フィンスタビライザー装置100は、手動操作装置20を備えている。手動操作装置20は、スタビライザー駆動部7の駆動を、乗員による手動操作によって行うための装置である。手動操作装置20は、乗員が所定の操作入力を行った場合、操作入力に応じた操作信号を制御装置6に送信する。
【0020】
(ハードウェア構成図)
図2に示すように、制御装置6は、CPU61(Central Processing Unit)、ROM62(Read Only Memory)、RAM63(Random Access Memory)、HDD64(Hard Disk Drive)、信号受信モジュール65等を備えるコンピュータである。
【0021】
(機能ブロック図)
図3に示すように、制御装置6のCPU61は、予めROM62やHDD64等に記憶されたプログラムを実行することにより、入力部70、スタビライザー出没制御部71、記憶部72、速度判定部73、動揺判定部74、位置判定部75、水深判定部76、出力部77の各機能構成を実現する。
入力部70は、信号受信モジュール65を介して、速度取得部11、動揺取得部12、位置取得部13、水深取得部14からの信号を受信する。また、入力部70は、手動操作装置20に対して乗員が所定の操作入力を行った場合、手動操作装置20から操作入力に応じた操作信号を受信する。
【0022】
スタビライザー出没制御部71は、船体2の航行速度、船体2の動揺、船体2の位置、船体2の下方位置における水深等の各情報に基づいて、スタビライザー駆動部7の駆動を制御する。また、スタビライザー出没制御部71は、入力部70で手動操作装置20からの操作信号を受信した場合、受信した操作信号に基づいて、スタビライザー駆動部7の駆動を制御する。
【0023】
記憶部72は、上述したROM62やHDD64等であり、制御装置6でスタビライザー駆動部7の駆動を制御するために用いる各種の閾値(速度基準、下限速度基準、動揺基準、動揺下限基準、水深基準、下限水深基準等)や、位置取得部13で用いられる電子海図のデータ等が記憶されている。なお、記憶部72は、ROM62やHDD64に限られない。
【0024】
速度判定部73は、航行中に、入力部70で受信した速度取得部11からの検出値に基づき、船体2の航行速度を監視する。速度判定部73は、フィンスタビライザー本体5が船体2内に収容されている収容状態のときに、速度取得部11で取得された航行速度が予め定められた速度基準を超えているか否かを監視している。速度判定部73は、フィンスタビライザー本体5が船体2から突出している突出状態のときに、速度取得部11で取得された航行速度が、予め定められた速度下限基準を下回っているか否かを監視している。
【0025】
動揺判定部74は、航行中、入力部70で受信した動揺取得部12からの情報に基づき、船体2の動揺を監視する。動揺判定部74は、フィンスタビライザー本体5が船体2内に収容されている収容状態で、動揺取得部12で取得された船体2の動揺が予め定められた動揺基準を超えているか否かを監視している。動揺判定部74は、フィンスタビライザー本体5が船体2から突出している突出状態で、動揺取得部12で取得された船体2の動揺が、予め定められた動揺下限基準を下回っているか否かを監視している。ここで、動揺下限基準は、動揺基準よりも小さい値に設定されている。
【0026】
動揺基準は、例えば、船体2が、船体2に乗船した人が船酔いしやすい状態とならないように設定することができる。船体2の横揺れしたときの周期、及び上下方向の加速度、横揺れ角度、横方向の加速度が大きくなると、人が船酔いやすくなることが知られている。そのため、船体2の横揺れの周期、上下方向の加速度、横揺れ角度、横方向加速度が一定以上となる条件を、動揺基準として適宜設定することができる。船体2の横揺れの周期、上下方向の加速度についての動揺基準の設定には、例えば、O’Hanlon等の実験結果(O’Hanlon, J.F& McCauley, M.E:Motion Sickness lncidence as a Function of the Vertical Sinusoidal Motion,Aerospace Medicine, 1974)に基づく、嘔吐率と、横揺れの周期と、上下方向の加速度との相関を用いることができる。
【0027】
位置判定部75は、航行中、入力部70で受信した位置取得部13からの信号に基づき、船体2の位置を監視する。位置判定部75は、位置取得部13で取得された船体2の位置が、電子海図に予め設定された設定エリア内にあるか否かを判定している。ここで、設定エリアは、例えば、浅瀬や港湾等に設定される。
【0028】
水深判定部76は、航行中、入力部70で受信した水深取得部14からの信号に基づき、船体2の下方位置における水深を監視する。水深判定部76は、水深取得部14で取得された船体2の下方位置における水深が、予め設定された水深下限基準を下回っているか否かを監視している。
【0029】
(フィンスタビライザー装置の制御方法の手順)
図4に示すように、本開示の実施形態に係る船舶1におけるフィンスタビライザー本体5の制御方法S10は、少なくとも船体2の航行速度の情報と船体2の横揺れ、上下動の少なくとも一方の動揺の情報を取得するステップS11と、フィンスタビライザー本体5が収容されているか否かを判定するステップS12と、フィンスタビライザー本体5を突出させる条件を満たしているか否かを判定するステップS13と、フィンスタビライザー本体5を突出させるステップS14と、フィンスタビライザー本体5を船体2内に収容させる条件を満たしているか否かを判定するステップS15と、フィンスタビライザー本体5を船体内に収容するステップS16と、を少なくとも含む。上記ステップS11~S16は、船舶1が出港してから入港するまでの間、繰り返し実行される。船舶1の出航時、フィンスタビライザー本体5は、船体2内に収容されている。
【0030】
ステップS11では、速度取得部11で船体2の航行速度を取得する。
また、ステップS11では、動揺取得部12で船体2の動揺を取得する。
また、ステップS11では、位置取得部13で、船体2の位置を取得する。
また、ステップS11では、水深取得部14で、船体2の下方における水深を取得する。
【0031】
フィンスタビライザー本体5が収容されているか否かを判定するステップS12では、フィンスタビライザー本体5が船体2内に収容されているか否かを判定する。フィンスタビライザー本体5が船体2内に収容された収容状態である場合、ステップS13に進む。フィンスタビライザー本体5が船体2内に収容されておらず、船体2から突出した突出状態である場合、ステップS15に進む。この実施形態において、船舶1の出航時、フィンスタビライザー本体5は船体2内に収容されているので、出港直後の1回目の処理において、ステップS12の判定では、ステップS13に進む。出港後、2回目以降の処理においては、その時点でのフィンスタビライザー本体5の状態に応じて、ステップS13又はS15に進む。
【0032】
フィンスタビライザー本体5を突出させる条件を満たしているか否かを判定するステップS13は、フィンスタビライザー本体5が船体2内に収容されている場合に実行される。フィンスタビライザー本体5を突出させる条件を満たしているか否かを判定するステップS13では、速度判定部73が、速度取得部11で取得された航行速度が予め定められた速度基準を超えているか否かを判定する(条件S13a)。
また、ステップS13では、動揺判定部74が、動揺取得部12で取得された船体2の動揺が予め定められた動揺基準を超えているか否かを判定する(条件S13b)。
また、ステップS13では、位置判定部75において、位置取得部13で取得された船体2の位置が、電子海図に予め設定された設定エリア外にあるか否かを判定する(条件S13c)。
ステップS13では、水深判定部76において、水深取得部14で取得された船体2の下方位置における水深が、予め設定された水深下限基準を上回っている否かを判定する(条件S13d)。
ステップS13では、上記の条件S13a~S13dの全てを満足している場合に、ステップS14に進む。条件S13a~S13dの何れか一つでも満足しない場合には、ステップS11に戻り、上述した処理を繰り返す。
【0033】
フィンスタビライザー本体5を突出させるステップS14では、スタビライザー出没制御部71に所定の通知信号を出力する。スタビライザー出没制御部71は、通知信号を受信すると、フィンスタビライザー本体5を船体2の外方に突出させる指令を、出力部77からスタビライザー駆動部7に出力する。スタビライザー駆動部7は、スタビライザー出没制御部71からの指令に基づき、フィンスタビライザー本体5を船体2の外方に突出させる。そして、フィンスタビライザー本体5を突出させた後、ステップS11に戻り、上述した処理を繰り返す。
【0034】
フィンスタビライザー本体5を船体2内に収容させる条件を満たしているか否かを判定するステップS15は、フィンスタビライザー本体5が船体2から突出した突出状態である場合に実行される。
フィンスタビライザー本体5を船体2内に収容させる条件を満たしているか否かを判定するステップS15では、速度判定部73において、速度取得部11で取得された航行速度が、予め定められた速度下限基準を下回っているか否かを判定する(条件S15a)。
ステップS15では、動揺判定部74において、動揺取得部12で取得された船体2の動揺が予め定められた動揺下限基準を下回っているか否かを判定する(条件S15b)。
ステップS15では、位置判定部75において、位置取得部13で取得された船体2の位置が、電子海図に予め設定された設定エリア内にあるか否かを判定する(条件S15c)。
ステップS15では、水深判定部76において、水深取得部14で取得された船体2の下方位置における水深が、予め設定された水深下限基準を下回っているか否かを判定する(S15d)。
その結果、条件S15a~S15dの少なくとも一つを満足する場合、ステップS16に進む。条件S15a~S15dの全てを満足しない場合には、ステップS11に戻り、上述した処理を繰り返す。
【0035】
フィンスタビライザー本体5を船体内に収容するステップS16では、スタビライザー出没制御部71が、フィンスタビライザー本体5を船体2内に収容させる指令を、出力部77からスタビライザー駆動部7に出力する。スタビライザー駆動部7は、スタビライザー出没制御部71からの指令に基づき、フィンスタビライザー本体5を船体2内に収容させる。そして、フィンスタビライザー本体5を船体2内に収容させた後、ステップS11に戻り、上述した処理を繰り返す。
【0036】
上記一連の処理を、船舶1の出航から入港まで繰り返すことで、船体2の航行速度、船体2の動揺、船体2の位置、船体2の下方位置における水深に応じ、フィンスタビライザー本体5を自動的に出没させる。
【0037】
なお、上記したような一連の処理を制御装置6が実行している途中であっても、乗員が手動操作装置20に対して所定の操作入力を行った場合、制御装置6は、一連の自動処理を中断し、手動操作装置20から受信した操作信号に基づき、スタビライザー駆動部7の駆動を制御し、フィンスタビライザー本体5の出没を行うようにしてもよい。
【0038】
(作用効果)
上記実施形態のフィンスタビライザー装置100では、速度取得部11で取得された船体2の航行速度や、動揺取得部12で取得された船体2の動揺に基づいて、制御装置6の制御によりスタビライザー駆動部7を駆動する。これにより、船体2の航行速度や動揺に応じて、フィンスタビライザー本体5を自動的に出没させることができる。したがって、フィンスタビライザー本体5を備えた船舶1の航行を、効率良く、かつ容易に行うことができる。
【0039】
また、上記実施形態では、船体2に対してフィンスタビライザー本体5が収容された状態で、航行速度が速度基準を上回った場合に、フィンスタビライザー本体5を船体2から突出させている。これにより、出港後等に、航行速度が速度基準を超え、フィンスタビライザー本体5による揚力による船体2の横揺れ抑制効果が得られる速度領域で、フィンスタビライザー本体5を突出させて航行を行うことで、船体2の横揺れを抑えつつ、安定した航行を行うことができる。
【0040】
また、上記実施形態では、船体2に対してフィンスタビライザー本体5が突出した状態で、航行速度が速度下限基準を下回った場合に、フィンスタビライザー本体5を船体2内に収容させている。
これにより、フィンスタビライザー本体5の揚力による船体2の横揺れ抑制効果が得られにくい低速領域では、フィンスタビライザー本体5を船体2内に収容することで、フィンスタビライザー本体5による抵抗を抑え、効率の良い航行を行うことができる。
【0041】
また、上記実施形態では、航行速度が速度基準を上回り、且つ船体2の動揺が動揺基準を超えた場合に、フィンスタビライザー本体5を船体2から突出させている。
このようにすることで、出港後等に、航行速度が速度基準を超え、フィンスタビライザー本体5による揚力による船体2の横揺れ抑制効果が得られる速度領域で、且つ横揺れが大きいときに、フィンスタビライザー本体5を船体2から突出させることができる。したがって、フィンスタビライザー本体5による横揺れ抑制効果を有効に発揮することができる。
【0042】
また、上記実施形態では、船体2に対してフィンスタビライザー本体5が突出した状態で、船体2の動揺が動揺下限基準を下回った場合に、フィンスタビライザー本体5を船体2内に収容させている。
このように、船体2の動揺が小さい場合には、フィンスタビライザー本体5を船体2内に収容することで、フィンスタビライザー本体5による抵抗を抑え、効率の良い航行を行うことができる。
【0043】
また、上記実施形態では、動揺下限基準は、動揺基準よりも小さい値に設定されている。
これにより、フィンスタビライザー本体5の出没が頻繁に生じないようにすることができる。
【0044】
また、上記実施形態では、船体2に対してフィンスタビライザー本体5が突出した状態で、船舶1の位置が設定エリア内にある場合、フィンスタビライザー本体5を船体2内に収容させている。
これにより、例えば港湾や浅瀬のある場所を、予め設定エリアとして設定しておくことで、港湾や浅瀬ではフィンスタビライザー本体5を船体2に収容することができる。これにより、フィンスタビライザー本体5が損傷することが抑えられる。
【0045】
また、上記実施形態では、船体2に対してフィンスタビライザー本体5が突出した状態で、水深が水深下限基準を下回った場合に、フィンスタビライザー本体5を船体2内に収容させている。
これにより、水深が浅い場所で、フィンスタビライザー本体5が損傷することを抑えることができる。
【0046】
また、上記実施形態の船舶1におけるフィンスタビライザー本体5の制御方法では、フィンスタビライザー本体5が船体2から突出した突出状態であるときに、航行速度、船体2の動揺、船体2の位置、船体2の下方位置における水深、の少なくとも一つが予め定められた条件を満たした場合、フィンスタビライザー本体5を船体2内に収容させている。
これにより、フィンスタビライザー本体5を突出させているとデメリットがあるような状態のときには、フィンスタビライザー本体5を船体2に収容することで、フィンスタビライザー本体5を備えた船舶1の航行を、効率良く、かつ容易に行うことができる。
【0047】
(その他の実施形態)
以上、本開示の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
なお、上記実施形態では、船舶1におけるフィンスタビライザー装置100の制御方法の手順を示したが、上記の手順は適宜順番を入れ替えることが可能である。
また、フィンスタビライザー本体5を船体2から突出させるための条件、フィンスタビライザー本体5を船体2内に収容する為の条件は、適宜変更することができる。
例えば、上記実施形態では、船体2の航行速度、動揺、位置、水深の4条件を用い、フィンスタビライザー本体5の船体2からの突出、フィンスタビライザー本体5の船体2内への収容の判定を行うようにしたが、これに限らない。本開示の主旨の範囲内で、これらの4条件から適宜取捨選択してもよいし、上記実施形態で示した以外の条件を加え、フィンスタビライザー本体5の船体2からの突出、フィンスタビライザー本体5の船体2内への収容の判定を行うようにしてもよい。さらに、フィンスタビライザー本体5を船体2から突出させる場合と、フィンスタビライザー本体5を船体2内に収容する場合とで、判定基準となる条件の数や内容が異なるようにしてもよい。
【0048】
<付記>
実施形態に記載のフィンスタビライザー装置100、フィンスタビライザー装置100の制御方法は、例えば以下のように把握される。
【0049】
(1)第1の態様に係るフィンスタビライザー装置100は、船体2から外方に向けて出没可能に備えられたフィンスタビライザー本体5と、前記フィンスタビライザー本体5を前記船体2に対して出没させるスタビライザー駆動部7と、前記船体2の航行速度の情報を取得する速度取得部11と、前記船体2の横揺れ、上下動の少なくとも一方の動揺の情報を取得する動揺取得部12と、前記速度取得部11で取得された前記航行速度、及び前記動揺取得部12で取得された前記船体2の動揺、の少なくとも一方の情報に基づいて、前記スタビライザー駆動部7を駆動する制御装置6と、を備える。
【0050】
このフィンスタビライザー装置100は、速度取得部11で取得された船体2の航行速度や、動揺取得部12で取得された船体2の動揺の情報に基づいて、制御装置6の制御によりスタビライザー駆動部7を駆動する。これにより、船体2の航行速度や動揺に応じて、フィンスタビライザー本体5を自動的に出没させることができる。したがって、フィンスタビライザー本体5を備えた船舶1の航行を、効率良く行い、かつ乗員の作業負担を軽減することができる。
【0051】
(2)第2の態様に係るフィンスタビライザー装置100は、(1)のフィンスタビライザー装置100であって、前記制御装置6は、前記船体2に対して前記フィンスタビライザー本体5が収容された状態で、且つ前記速度取得部11で取得された前記航行速度が、予め定められた速度基準を超えた場合に、前記スタビライザー駆動部7を駆動して前記フィンスタビライザー本体5を前記船体2から突出させる。
【0052】
これにより、出港後等に、航行速度が速度基準を超え、フィンスタビライザー本体5の揚力による船体2の横揺れ抑制効果が得られる速度領域で、フィンスタビライザー本体5を突出させて航行を行うことで、船体2の横揺れを抑えつつ、安定した航行を行うことができる。
【0053】
(3)第3の態様に係るフィンスタビライザー装置100は、(2)のフィンスタビライザー装置100であって、前記制御装置6は、前記船体2に対して前記フィンスタビライザー本体5が突出した状態で、且つ前記速度取得部11で取得された前記航行速度が、予め定められた速度下限基準を下回った場合に、前記スタビライザー駆動部7を駆動して前記フィンスタビライザー本体5を前記船体2内に収容させる。
【0054】
このようにフィンスタビライザー本体5の揚力による船体2の横揺れ抑制効果が得られにくい低速領域では、フィンスタビライザー本体5を船体2内に収容することで、フィンスタビライザー本体5による抵抗を抑え、効率の良い航行を行うことができる。
【0055】
(4)第4の態様に係るフィンスタビライザー装置100は、(2)のフィンスタビライザー装置100であって、前記制御装置6は、前記船体2に対して前記フィンスタビライザー本体5が突出した状態で、且つ前記動揺取得部12で取得された前記船体2の動揺が、予め定められた動揺下限基準を下回った場合に、前記スタビライザー駆動部7を駆動して前記フィンスタビライザー本体5を前記船体2内に収容させる。
【0056】
このように船体2の動揺が小さい場合には、フィンスタビライザー本体5を船体2内に収容することで、フィンスタビライザー本体5による抵抗を抑え、効率の良い航行を行うことができる。
【0057】
(5)第5の態様に係るフィンスタビライザー装置100は、(2)のフィンスタビライザー装置100であって、前記制御装置6は、前記船体に対して前記フィンスタビライザーが収容された状態で、前記速度取得部で取得された前記航行速度が、予め定められた速度基準を超え、且つ、前記動揺取得部12で取得された前記船体2の動揺が、予め定められた動揺基準を超えた場合に、前記スタビライザー駆動部7を駆動して前記フィンスタビライザー本体5を前記船体2から突出させる。
【0058】
このようにすることで、出港後等に、航行速度が速度基準を超え、フィンスタビライザー本体5による揚力による船体2の横揺れ抑制効果が得られる速度領域で、且つ横揺れが大きいときに、フィンスタビライザー本体5を船体2から突出させることで、フィンスタビライザー本体5による横揺れ抑制効果を有効に発揮することができる。
【0059】
(6)第6の態様に係るフィンスタビライザー装置100は、(1)から(5)の何れか一つのフィンスタビライザー装置100であって、前記船体2の位置を取得する位置取得部13をさらに備え、前記制御装置6は、前記位置取得部13で取得された前記船体2の位置が、予め設定された設定エリア内にある場合、前記スタビライザー駆動部7を駆動して前記フィンスタビライザー本体5を前記船体2内に収容させる。
【0060】
例えば港湾や浅瀬のある場所を、予め設定エリアとして設定しておくことで、港湾や浅瀬ではフィンスタビライザー本体5を船体2に収容することができる。これにより、フィンスタビライザー本体5が損傷することが抑えられる。
【0061】
(7)第7の態様に係るフィンスタビライザー装置100は、(1)から(6)の何れか一つのフィンスタビライザー装置100であって、前記船体2の下方位置における水深を取得する水深取得部14をさらに備え、前記制御装置6は、前記水深取得部14で取得された水深が、予め設定された水深下限基準を下回った場合に、前記スタビライザー駆動部7を駆動して前記フィンスタビライザー本体5を前記船体2内に収容させる。
【0062】
これにより、水深が浅い場所では、フィンスタビライザー本体5を船体2に収容することができる。これにより、フィンスタビライザー本体5が損傷することが抑えられる。
【0063】
(8)第8の態様に係るフィンスタビライザー装置100の制御方法は、(1)から(7)の何れか一つのフィンスタビライザー装置の制御方法S10であって、前記船体2の航行速度、及び前記船体2の横揺れ、上下動の少なくとも一方の動揺の情報を取得するステップS11と、前記フィンスタビライザー本体5が前記船体2から突出した状態であるときに、航行速度、及び前記船体2の動揺の少なくとも一つが予め定められた条件を満たした場合、前記フィンスタビライザー本体5を前記船体2内に収容させるステップS16と、を含む。
【0064】
例えばフィンスタビライザー本体5を突出させているとデメリットがあるような状態のときには、フィンスタビライザー本体5を船体2に収容することで、フィンスタビライザー本体5を備えた船舶1の航行を、効率良く、かつ容易に行うことができる。
【0065】
(9)第9の態様に係るフィンスタビライザー装置100の制御方法は、(8)の船舶1におけるフィンスタビライザー装置100の制御方法S10であって、前記船体2の位置を取得するステップS11と、前記フィンスタビライザー本体5が前記船体2から突出した状態であるときに、前記船体2の位置が予め定められた条件を満たした場合、前記フィンスタビライザー本体5を前記船体2内に収容させるステップS16と、を含む。
【0066】
例えば港湾や浅瀬ではフィンスタビライザー本体5を船体2に収容することで、フィンスタビライザー本体5が損傷することが抑えられる。
【0067】
(10)第10の態様に係るフィンスタビライザー装置100の制御方法は、(8)又は(9)のフィンスタビライザー装置100の制御方法S10であって、前記船体2の下方位置における水深を取得するステップS11と、前記フィンスタビライザー本体5が前記船体2から突出した状態であるときに、前記船体2の下方位置における水深が予め定められた条件を満たした場合、前記フィンスタビライザー本体5を前記船体2内に収容させるステップS16と、を含む。
【0068】
これにより、例えば水深が浅い場所では、フィンスタビライザー本体5を船体2に収容することで、フィンスタビライザー本体5が損傷することが抑えられる。
【0069】
(11)第11の態様に係るフィンスタビライザー装置100の制御方法S10は、(8)から(10)の何れか一つのフィンスタビライザー装置100の制御方法S10であって、前記船体に対して前記フィンスタビライザー本体が収容された状態で、且つ前記船体の航行速度が、予め定められた速度基準を超えた場合に、前記フィンスタビライザー本体を前記船体から突出させるステップを含む。
【0070】
これにより、出港後等に、航行速度が速度基準を超え、フィンスタビライザー本体5の揚力による船体2の横揺れ抑制効果が得られる速度領域で、フィンスタビライザー本体5を突出させて航行を行うことができるため、船体2の横揺れを抑えつつ、安定した航行を行うことができる。
【0071】
(12)第12の態様に係るフィンスタビライザー装置100の制御方法S10は、(8)から(10)の何れか一つのフィンスタビライザー装置100の制御方法S10であって、前記船体に対して前記フィンスタビライザー本体が収容された状態で、前記船体の航行速度が、予め定められた速度基準を超え、且つ、前記船体の動揺が、予め定められた動揺基準を超えた場合に、前記フィンスタビライザー本体を前記船体から突出させるステップを含む。
【0072】
このようにすることで、出港後等に、航行速度が速度基準を超え、フィンスタビライザー本体5の揚力による船体2の横揺れ抑制効果が得られる速度領域で、且つ横揺れが大きいときに、フィンスタビライザー本体5を船体2から突出させることで、フィンスタビライザー本体5による横揺れ抑制効果を有効に発揮することができる。
【0073】
1…船舶
2…船体
3A、3B…舷側
4…船底
5…フィンスタビライザー本体
5s…フィン軸
6…制御装置
7…スタビライザー駆動部
11…速度取得部
12…動揺取得部
13…位置取得部
14…水深取得部
15…ドップラーソナー
20…手動操作装置
61…CPU
62…ROM
63…RAM
64…HDD
65…信号受信モジュール
70…入力部
71…スタビライザー出没制御部
72…記憶部
73…速度判定部
74…動揺判定部
75…位置判定部
76…水深判定部
77…出力部
100…フィンスタビライザー装置