(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023030994
(43)【公開日】2023-03-08
(54)【発明の名称】包装材シートのシールアンドカットユニット
(51)【国際特許分類】
B65B 51/10 20060101AFI20230301BHJP
B65B 51/22 20060101ALI20230301BHJP
【FI】
B65B51/10 W
B65B51/22 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021136436
(22)【出願日】2021-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】391024744
【氏名又は名称】不双産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098936
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 晃司
(74)【代理人】
【識別番号】100098888
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 明子
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 保彦
【テーマコード(参考)】
3E094
【Fターム(参考)】
3E094AA12
3E094BA06
3E094CA22
3E094DA06
3E094FA13
3E094HA08
3E094HA10
(57)【要約】
【課題】受け部材がシール機能とカット機能の両方を担っており、シール強度を高めるとその分だけカットの切れ味が鈍ってカット面が綺麗な断面にならない。
【解決手段】超音波ホーン13と受け部材、例えば受けロール15の対向面とで構成される受入れ口35では、受けロール15を偏位させることでシールが開始する位置から最接近してカットする位置までのカット前シール実施距離(L1)が確保されている。また、超音波ホーン13に対して受けロール15が包装材シートSを挟み込む方向に相対的に移動する。従って、十分なシール強度と共に、カットの際にはカットが優先されて綺麗なカット面が得られる。また、包装材シートSの溶解により、のりのカス(N)が生じて溜まっていくが、受けロール15は回転しているため、異物であるのりのカス(N)は増長する前の軽い段階でその回転に沿って、払出し側に飛ばされていくので、のりのカス(N)の生成に伴うシール不良の発生を阻止できる。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波ホーンと受け部材を備え、前記超音波ホーンと対向する前記受け部材の対向面との間で扁平に重ね合わせた包装材シートを相対的に送り込むと、送り込み方向先側から受入れてシールアンドカットを施した後に払出すことで前記包装材シートをシールすると共にカットする包装材シートのシールアンドカットユニットにおいて、
前記超音波ホーンと前記対向面とで構成される受入れ口では、前記超音波ホーンと前記対向面が対向してシールが開始する位置から最接近してカットする位置までのカット前シール実施距離が確保されており、且つ
前記超音波ホーンに対して前記対向面が前記包装材シートを挟み込む方向に相対的に移動することで、前記対向面に連続した対向可能面が次の対向面になることを特徴とするシールアンドカットユニット。
【請求項2】
請求項1に記載した包装材シートのシールアンドカットユニットにおいて、
扁平に重ね合わせた包装材シートを静止させ、且つ張った状態で保持する押え部を備え、
超音波ホーンまたは受け部材の一方または両方が移動することで、前記包装材シートを前記超音波ホーンと前記受け部材の対向面との間に相対的に送り込むことを特徴とするシールアンドカットユニット。
【請求項3】
請求項1または2に記載した包装材シートのシールアンドカットユニットにおいて、
横シールアンドカットユニットとして設けられることを特徴とするシールアンドカットユニット。
【請求項4】
請求項3に記載した包装材シートのシールアンドカットユニットにおいて、
縦型製袋充填包装装置における横シールアンドカットユニットとして設けられることを特徴とするシールアンドカットユニット。
【請求項5】
請求項3または4に記載した包装材シートのシールアンドカットユニットにおいて、
受け部材は受けロールにより構成され、超音波ホーンの軸線方向より偏位した位置に前記受けロールの軸心は位置しており、受入れ口を払出し口より大きく設定することでカット前シール実施距離が確保されており、且つ
前記受けロールの軸周りの回転により、前記超音波ホーンに対して対向可能面が包装材シートを挟み込む方向に移動することを特徴とするシールアンドカットユニット。
【請求項6】
請求項5に記載した包装材シートのシールアンドカットユニットにおいて、
超音波ホーンと受けロールはヒートアンドシール可能な対向状態を維持しながら往復走行しており、
往路走行の際にシールアンドカットを実施することを特徴とするシールアンドカットユニット。
【請求項7】
請求項6に記載した包装材シートのシールアンドカットユニットにおいて、
復路走行による戻りでは受けロールは回転しないことを特徴とするシールアンドカットユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装材シートに対してシールアンドカットを施すユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ティーバッグ等の抽出バッグは、包装材シートを製袋化する工程のなかで、茶葉等の内容物を充填し、開口を封止する製袋充填包装装置により製造されており、製袋充填包装装置が縦型の場合には、筒状になった包装材に対して横シールを施す際にカットも施して、後続の包装材シートから分離させている。
このシールアンドカットは、加圧下で超音波ホーンに超音波振動を起こさせて溶着・溶断させる超音波方式が現在のところ主流になっており、特許文献1に記載のように、筒状の包装材シートを扁平に重ね合わせた状態に保持し、これを挟んで超音波ホーンとロール状の受け部材を正対させながら、横断方向に走行させて包装材シートをシールアンドカットしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
最近では、更に、シール強度を高めつつ、同時にカット面を綺麗にしたいとの要求が高まっているが、超音波ホーンと受け部材が一対一対応して、受け部材がシール機能とカット機能の両方を担っており、シール強度を高めるとその分だけカットの切れ味が鈍ってカット面が綺麗な断面にならない。
その一方で、受け部材が両機能を担っていることにより、ユニットの構造を単純化でき、メンテナンスや交換も容易になっている。
【0005】
本発明は上記従来の問題点に着目してなされたものであり、シールアンドカットユニットにおいて、ユニットの構造の単純化のメリットをそのまま享受しつつ、シール強度を高めながら、同時にカット面を綺麗にしたいとの要求を満たせる、新規且つ有用な超音波方式のシールアンドカットユニットを提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、請求項1の発明は、超音波ホーンと受け部材を備え、前記超音波ホーンと対向する前記受け部材の対向面との間で扁平に重ね合わせた包装材シートを相対的に送り込むと、送り込み方向先側から受入れてシールアンドカットを施した後に払出すことで前記包装材シートをシールすると共にカットする包装材シートのシールアンドカットユニットにおいて、前記超音波ホーンと前記対向面とで構成される受入れ口では、前記超音波ホーンと前記対向面が対向してシールが開始する位置から最接近してカットする位置までのカット前シール実施距離が確保されており、且つ前記超音波ホーンに対して前記対向面が前記包装材シートを挟み込む方向に相対的に移動することで、前記対向面に連続した対向可能面が次の対向面になることを特徴とするシールアンドカットユニットである。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載した包装材シートのシールアンドカットユニットにおいて、扁平に重ね合わせた包装材シートを静止させ、且つ張った状態で保持する押え部を備え、超音波ホーンまたは受け部材の一方または両方が移動することで、前記包装材シートを前記超音波ホーンと前記受け部材の対向面との間に相対的に送り込むことを特徴とするシールアンドカットユニットである。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載した包装材シートのシールアンドカットユニットにおいて、横シールアンドカットユニットとして設けられることを特徴とするシールアンドカットユニットである。
【0009】
請求項4の発明は、請求項3に記載した包装材シートのシールアンドカットユニットにおいて、縦型製袋充填包装装置における横シールアンドカットユニットとして設けられることを特徴とするシールアンドカットユニットである。
【0010】
請求項5の発明は、請求項3または4に記載した包装材シートのシールアンドカットユニットにおいて、受け部材は受けロールにより構成され、超音波ホーンの軸線方向より偏位した位置に前記受けロールの軸心は位置しており、受入れ口を払出し口より大きく設定することでカット前シール実施距離が確保されており、且つ前記受けロールの軸周りの回転により、前記超音波ホーンに対して対向可能面が包装材シートを挟み込む方向に移動することを特徴とするシールアンドカットユニットである。
【0011】
請求項6の発明は、請求項5に記載した包装材シートのシールアンドカットユニットにおいて、超音波ホーンと受けロールはヒートアンドシール可能な対向状態を維持しながら往復走行しており、往路走行の際にシールアンドカットを実施することを特徴とするシールアンドカットユニットである。
【0012】
請求項7の発明は、請求項6に記載した包装材シートのシールアンドカットユニットにおいて、復路走行による戻りでは受けロールは回転しないことを特徴とするシールアンドカットユニットである。
【発明の効果】
【0013】
本発明のシールアンドカットユニットでは、超音波ホーンと受け部材が一対一対応しているが、包装材シートのシール強度を高めつつ、同時にカット面を綺麗にしたいとの要求を満たせている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】横シールアンドカットユニットの斜視図である。
【
図3】
図2の受けロールを支持する支持プレートを中心とした部分斜視図である。
【
図4】
図1の超音波ホーンと受けロールの側方から見た配置関係図である。
【
図6】シールアンドカットの実施の際の、
図4、
図5の位置における包装材シートの状態図である。
【
図7】シールアンドカットの実施の際の、
図4、
図5の位置における包装材シートの状態図である。
【
図8】
図7で包装材シートに形成された横シール部と切込みのイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態は、縦型製袋充填包装装置に関するものである。
縦型製袋充填包装装置では、特許文献1に記載のように、下方に向かって送られてくる連続した包装材シートの幅方向両縁が縦シールユニットによって縦シールされて筒状に成形され、更に横シールアンドカットユニットによってその筒状体に対して横シールされると共にその横シール部の中間でカットされることで袋体に成形され、後続の包装材シート側から分離される。横シール部が先行の袋体の天部と後続の袋体の底部を構成しており、横シールの合間に茶葉等の被充填物が充填される。
本発明の実施の形態に係る横シールアンドカットユニット1は、この縦型製袋充填包装装置に適用される。
包装材シートは、ポリエチレン繊維製不織布等の熱溶着可能なものの使用が想定されており、シールアンドカットは、加圧下で超音波振動により摩擦熱を生じさせることにより、溶着・溶断させる超音波方式が採用されている。
【0016】
図1、
図2に示すように、横シールアンドカットユニット1では、一対のユニット壁3A、3Bが対向しながら立った状態で、縦型製袋充填包装装置の装置本体に固定されている。このユニット壁3A、3Bの間には、一対のガイドシャフト5A、5Bが水平方向で平行に渡設されている。ガイドシャフト5A、5Bには一対の摺動ブロック7A、7Bがそれぞれ摺動自在に支持されている。摺動ブロック7A、7Bの上面には連結板9の板面が固定されており、摺動ブロック7A、7Bはこの連結板9を介して連結されている。従って、一対の摺動ブロック7A、7Bは、一対のユニット壁3A、3B間で一対のガイドシャフト5A、5Bにガイドされながら、同期して摺動するようになっている。
また、ユニット壁3Aには、シリンダ式直動機構11の本体11aが固定されており、そのロッド11bの先端側が連結板9に固定されている。ロッド11bの伸縮方向はガイドシャフト5A、5Bの軸方向と平行になっている。
【0017】
摺動ブロック7Aの下側に、超音波溶着溶断装置の超音波ホーン13が固定されている。超音波ホーン13は同軸円筒状で、その軸方向はガイドシャフト5Aの軸方向と直交した状態で配置されており、その先端開口13aはガイドシャフト5Bに向かって突出している。
超音波ホーン13の先端開口13aには受けロール15の外周面16が対向している。この受けロール15は摺動ブロック7B側に設けられている。
【0018】
摺動ブロック7Bの下側には複数の中継部材を介して支持プレート17が取り付けられており、この支持プレート17の下面に受けロール15が軸周りに回転可能に支持されている。また、支持プレート17の下面には軸受17aを介して軸19が支持されており、この軸19の一端側にラックアンドピニオン機構21のピニオンギア21aが取り付けられている。一対のユニット壁3A、3Bは穴開きのベースプレート23と一体化されている。このベースプレート23のガイドシャフト5B側の縁にラックギア21bが歯面を上方に向けた状態で取り付けられており、このラックギア21bにピニオンギア21aが噛合している。ピニオンギア21aの噛合移動方向はガイドシャフト5A、5Bの軸方向と平行になっている。
【0019】
図3に示すように、軸19の他端側には歯車機構25のベベルギア25aが取り付けられている。支持プレート17の下面に回転可能に支持されたベベルギア25b等により、ベベルギア25a~ベベルギア25b~連結ギア25c~アイドラギア25d~従動ギア25eと噛合回転する。従動ギア25eと受けロール15は同軸で支持されており、従動ギア25eに対して受けロール15が連れ回転する。従動ギア25eと受けロール15の外周面の一部は支持プレート17の縁を超えて摺動ブロック7A側に突出している。また、受けロール15は従動ギア25eよりも径が大きくなっており、受けロール15の外周面16は従動ギア25eの歯面よりも外方にある。
軸19の一端側の軸19aと他端側の軸19bは軸受17a内でワンウエイクラッチ(図示省略)を介して連結されている。
従って、シリンダ駆動により、超音波ホーン13と受けロール15が対向状態を維持しながら往復走行し、且つ、往路走行のときには、受けロール15が軸周りに回転し、復路走行のときには、受けロール15は回転しない。
【0020】
符号29は押え部を示し、この押え部29は一対の横長の圧接板29A、29Bを備えている。この圧接板29A、29Bにはそれぞれ横に長い長穴29a、29bが形成されており、板面を対向した状態で立っている。
ユニット壁3Aに連結された取付板4に、シリンダ式直動機構31の本体31aが固定されており、そのロッド31bの先端側が圧接板29Aに固定されている。また、圧接板29Aはリンク機構33を介して圧接板29Bと連結されている。従って、ロッド31bの伸長により圧接板29A、29Bは互いに接近し、最接近時には筒状になった包装材シートを扁平に重ね合わせた状態で圧接する。また、ロッド31bの縮退により圧接板29A、29Bは互いに離間して、圧接状態を解除する。押え部29は上下方向には動かないので、静止状態で包装材シートを保持する。
超音波ホーン13と支持プレート17は、上記した圧接による押え状態でも解除状態でも、圧接板29A、29Bからそれぞれ長穴29a、29bを通り抜けて突出して対向している。
【0021】
超音波ホーン13と受けロール15は長穴29a、29bの横方向の範囲内で横方向に往復走行する。筒状になった包装材シートを扁平に重ね合わせた状態の幅寸法は、長穴29a、29bの横寸法よりも短く、横方向の両端側で超音波ホーン13と受けロール15が対向したときには、包装材シートSよりも外方に位置するので、包装材シートをその幅方向で横断し切ることが可能になっている。
【0022】
次に、超音波ホーン13と受けロール15の位置関係について、
図4、
図5に従って詳述する。
超音波ホーン13は上記したように同軸円筒状になっており、この超音波ホーン13の円形の先端開口13aの口縁は軸方向に直交する端面で構成されている。
受けロール15は、円盤状になっており、外周面16が軸方向に同軸の真円状になっている。この外周面16がカットアンドシール面になっている。外周面16は、軸方向に平行な方向から見ると、径方向外方に膨らんだ凸状になっている。頂部がR面16aになっており、その両側は傾斜面16b、16cになっている。この傾斜面16b、16cはいずれもほぼ同じ角度の直線的な勾配を有する。但し、R面16aが傾斜面16b側に偏位しているので、傾斜面16bの面積は傾斜面16cの面積よりも小さくなっている。
【0023】
この縦型製袋充填包装装置では、超音波ホーン13の軸方向が水平方向になり、受けロール15の軸方向が上下方向になるように配置されている。受けロール15側は傾斜面16bが傾斜面16cより上側に位置している。
また、超音波ホーン13の軸線(x2)から偏位した位置に受けロール15の軸心(C)は位置しており、軸心(C)を通って軸線(x2)を平行に延びた平行線(x1)は、軸線(x2)との間に間隔ができている。
動作との関係で言えば、太い矢印に示す往路走行の際に、後側になる位置に、受けロール15は偏位している。また、受けロール15は往路走行の際には、細い矢印に示すように反時計回りに回転している。
【0024】
受入れ口35と払出し口37は、それぞれ、包装材シートSを受入れ、払い出す部位であり、超音波ホーン13の先端開口13aと外周面16の間の隙間で構成されている。
受入れ口35の範囲は、平行線(x1)と、往路走行先側の超音波ホーン13の先端開口13aの縁までの間であり、払出し口37の範囲は、平行線(x1)と、往路走行後側の超音波ホーン13の先端開口13aの縁までの間になっている。
シールは、超音波ホーン13の先端開口13aと対向する外周面16との間の距離が有る程度以下になると開始し、カットは、超音波ホーン13の先端開口13aと対向する外周面16の間の距離が最も近くなるときに実施される。
受入れ口35はこのシール開始位置からカットする位置までに相当する。
【0025】
超音波ホーン13と受けロール15が上記した位置関係で受入れ口35が払出し口37より大きくなるよう設定されている。従って、払出し口37の構成要素となる距離L2が短くなって、その分だけ、受入れ口35の構成要素となる距離L1が長くなっており、カット前にシール実施距離が確保されている。
横シールアンドカットユニット1は、上記のように構成されており、その動作について以下で説明する。
縦型製袋充填包装装置の動作中に、筒状の包装材シートSの下方への送りが停止されると、押え部29の一対の圧接板29A、29Bが互いに接近して超音波ホーン13と受けロール15の対向した部位の上側と下側で押え状態になり、対向する長穴29a、29bの間から露出する包装材シートSも扁平で張った状態になっている。
【0026】
この状態で、往路走行の際には、
図6、
図7に示すように、包装材シートSから見ると、超音波ホーン13と受けロール15に向かって送り込まれていき、超音波ホーン13の先端開口13aと受けロール15の外周面16の間に幅方向一端側から超音波ホーン13と受けロール15の間に受け入れられ、シールアンドカットを施された後に払い出される。
図8は下送りされていく包装材シートSが横断方向にシールアンドカットされている状態をイメージしたものであるが、この図に示すように、横シール部Yの形成が先行し、その後にカットされて切込みKが形成されていくので、シール強度は確保されており、カットの際にはカットが最優先されて綺麗なカット面が得られる。
【0027】
受けロール15の外周面16は全周が連続した対向可能面になっており、その一部の円弧部分が、受入れ口35、払出し口37を構成する対向面を構成している。受けロール15の軸周りの回転により受入れ口35、払出し口37を構成する対向面は順次遷移していき、後続の対向可能面が包装材シートSの挟み込み方向に向かって移動して対向面になっていく。
往路走行でシールアンドカットが包装材シートSに対して施される際には、受けロール15は上記のように動作する。
この回転動作により、受入れ口35側の対向面上に乗った異物への払出し方向側への飛出しが誘導される。
【0028】
包装材シートSの重ね合わせ側の内面が超音波振動により溶解すると、
図7に示すように、のりのカス(N)が生じて溜まっていくが、上記のしくみでシール強度を確保しているので、受入れ口35側にはのりのカス(N)が特に溜まり易い。このまま放置すると、のりのカス(N)が増長していく。増長したのりのカス(N)が包装材シートSのこれからシールすべき部分に張り付けば、その部分がシール不良となってしまい、そのシール不良故に、かえってシール強度が落ちてしまう危険性がある。
しかしながら、受けロール15が回転しているため、異物であるのりのカス(N)は増長する前の軽い段階でその回転に沿って、矢印に示すように、払出し側に飛ばされていく。のりのカス(N)の生成は防げないが、大きく増長する前に既にシールが完了した側に飛ばされるので、のりのカス(N)の生成に伴うシール不良の発生を阻止できる。
【0029】
従って、本発明の横シールアンドカットユニット1で包装材シートSに対してシールアンドカットを施せば、適度なシール強度を安定して確保しつつ、同時に綺麗な断面のカット面が得られる。
この横シールアンドカットユニット1では、超音波ホーン13と受けロール15との特徴的な対向状態が、往路走行の際にのみ利用可能になっている。復路走行の際でも、超音波ホーン13と受けロール15との対向状態はそのまま維持しながら走行するが、往路走行を終えた時点で、押え部29による保持は解除されており、解除の時点で、カットされた先行する袋体は分離して落下している。この状態で復路走行するので、往路走行の際のようなシールアンドカットは施されない。
【0030】
往復走行の後の待機位置、すなわち長穴29a、29bの一端側で超音波ホーン13と受けロール15が対向しているときに、包装材シートSが下方に送られていくので、超音波ホーン13と受けロール15はシールアンドカット可能に対向しているが、その下送りは干渉しない。
【0031】
受けロール15が回転すると復路走行する際には往路走行の際の回転方向とは逆回転になるので、往路走行でシールアンドカットする際に超音波ホーン13の先端開口13aと対向する対向面を構成する外周面16の円弧範囲は常に同じになってしまい、局所的な摩耗が進む。
しかしながら、この横シールアンドカットユニット1では、復路走行する際には受けロール15が回転しないので、往路走行でシールアンドカットする際に外周面16の全周を万遍なく利用することができる。従って、外周面16の全周で少しずつ摩耗していくことになり、受けロール15の交換頻度が低くなる。
【0032】
以上、本発明の実施の形態について詳述してきたが、具体的構成は、この実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計の変更などがあっても発明に含まれる。
例えば、本発明は、超音波方式のシールアンドカットユニットに関するものであり、上記の実施の形態では横シールアンドカットユニット1として縦型製袋充填包装装置に組み込まれていたが、製袋充填包装装置の一つのユニットとしての利用には限定されない。
また、超音波ホーン13の軸線(x2)に対する受けロール15の軸心(C)の偏位の度合いは一定ではなく、受けロール15の径等を考慮して最適に調整されるものであり、本発明のアイデアを基にすれば、その調整は当業者が適宜行うことができる。
【符号の説明】
【0033】
1…横シールアンドカットユニット 3A、3B…ユニット壁
4…取付板 5A、5B…ガイドシャフト 7A、7B…摺動ブロック
9…連結板 11…シリンダ式直動機構 11a…本体
11b…ロッド 13…超音波ホーン 13a…先端開口
15…受けロール 16…外周面 16a…R面
16b、16c…傾斜面 17…支持プレート
17a…軸受 19…軸 19a…一端側の軸
19b…他端側の軸 21…ラックアンドピニオン機構
21a…ピニオンギア 21b…ラックギア
23…ベースプレート 25…歯車機構
25a…ベベルギア 25b…ベベルギア 25c…連結ギア
25d…アイドラギア 25e…従動ギア 29…押え部
29A、29B…圧接板 29a、29b…長穴
31…シリンダ式直動機構 31a…本体 31b…ロッド
33…リンク機構 35…受入れ口 37…払出し口
x1、x2…線 C…軸心 L1、L2…距離
Y…横シール部 K…切込み N…のりのカス