特開 2023-31024 電動アクチュエータ

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2023031024

(43)【公開日】2023-03-08

(54)【発明の名称】電動アクチュエータ

(51)【国際特許分類】

   H02K 7/116 20060101AFI20230301BHJP

   F16H 61/32 20060101ALI20230301BHJP

   F16H 63/30 20060101ALI20230301BHJP

【ＦＩ】

H02K7/116

F16H61/32

F16H63/30

【審査請求】未請求

【請求項の数】10

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2021136478

(22)【出願日】2021-08-24

(71)【出願人】

【識別番号】000220505

【氏名又は名称】日本電産トーソク株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100141139

【弁理士】

【氏名又は名称】及川 周

(74)【代理人】

【識別番号】100188673

【弁理士】

【氏名又は名称】成田 友紀

(74)【代理人】

【識別番号】100179833

【弁理士】

【氏名又は名称】松本 将尚

(74)【代理人】

【識別番号】100189348

【弁理士】

【氏名又は名称】古都 智

(72)【発明者】

【氏名】白井 寛

(72)【発明者】

【氏名】佐藤 倫紀

【テーマコード（参考）】

3J067

5H607

【Ｆターム（参考）】

3J067AA21

3J067AB23

3J067BA56

3J067BA58

3J067DA04

3J067DB32

3J067FA56

3J067FA63

3J067FA84

3J067FB45

3J067GA01

5H607BB01

5H607DD04

5H607DD07

5H607EE34

5H607GG08

(57)【要約】      （修正有）

【課題】モータシャフトと出力シャフトとが互いに傾くことを抑制する。
【解決手段】電動アクチュエータは、中空のモータシャフト２３と、モータシャフト２３の内部に通された出力シャフト４１と、出力シャフト４１に固定された対向部材４４と、第１転がり部材６０ａと、第１保持部材６１と、を備える。第１保持部材６１は、収容穴６１ｄを有する収容部６１ａと、保持穴６１ｅを有し、収容部６１ａに軸方向に繋がる保持部６１ｆと、を有する。収容穴６１ｄの軸方向端部は、保持穴６１ｅに繋がっている。保持穴６１ｅは、収容穴６１ｄの軸方向端部から径方向内側に延びている。第１転がり部材６１ａは、保持穴６１ｅの径方向内側部分に配置されている。第１保持部材６１がモータシャフト２３に対して組み付けられていない状態において、収容穴６１ｄは、第１転がり部材６０ａを軸方向に移動可能な状態で収容可能である。
【選択図】図３

【特許請求の範囲】

【請求項1】

モータ軸を中心として回転可能な中空のモータシャフトを有するモータと、
前記モータシャフトの軸方向一方側に連結された伝達機構と、
前記モータシャフトの軸方向に延び、前記モータシャフトの内部に通されて前記モータシャフトよりも軸方向他方側に突出する出力シャフトと、
前記出力シャフトのうち前記モータシャフトよりも軸方向他方側に突出した部分の外周面に固定された対向部材と、
前記モータ軸を囲んで配置された３つ以上の第１転がり部材を含み、前記モータシャフトの軸方向他方側の端部と前記対向部材との軸方向の間に位置する第１転がり部材群と、
前記第１転がり部材が回転可能な状態で前記第１転がり部材群を保持する第１保持部材と、
を備え、
前記対向部材は、
前記第１転がり部材群の軸方向他方側に位置する第１対向壁部と、
前記第１対向壁部から軸方向一方側に突出し、前記第１転がり部材群の径方向外側に位置する第２対向壁部と、
を有し、
前記モータシャフトと前記対向部材とは、前記第１転がり部材群を介して互いに軸方向および径方向に支持され、
前記第１保持部材は、
周方向に沿って間隔を空けて配置された３つ以上の収容穴を有し、前記モータシャフトを囲む環状の収容部と、
周方向に沿って間隔を空けて配置された３つ以上の保持穴を有し、前記収容部の軸方向他方側に繋がる保持部と、
を有し、
各前記収容穴は、軸方向に延び、かつ、軸方向他方側および径方向内側に開口し、
各前記収容穴の軸方向他方側の端部は、各前記保持穴にそれぞれ繋がり、
各前記保持穴は、各前記収容穴の軸方向他方側の端部のそれぞれから径方向内側に延び、
各前記第１転がり部材は、各前記保持穴の径方向内側部分にそれぞれ配置され、
前記第１保持部材が前記モータシャフトに対して組み付けられていない状態において、各前記収容穴のそれぞれは、各前記第１転がり部材のそれぞれを軸方向に移動可能な状態で収容可能であり、
前記保持穴のうち前記収容穴に繋がる部分から前記第１転がり部材が配置される部分までにおける周方向の寸法は、前記第１転がり部材の周方向の寸法以上である、電動アクチュエータ。

【請求項2】

前記収容穴の内面における径方向外端部と前記モータシャフトの外周面との間の径方向の距離は、前記第１転がり部材の径方向の寸法よりも小さい、請求項１に記載の電動アクチュエータ。

【請求項3】

前記第２対向壁部の軸方向一方側の端部における径方向内側面は、前記収容穴の内面における径方向外端部と前記モータシャフトの外周面との間の径方向中心よりも径方向外側に位置し、かつ、前記収容穴の内面における径方向外端部よりも径方向内側に位置する、請求項１または２に記載の電動アクチュエータ。

【請求項4】

前記対向部材は、軸方向他方側から前記第１保持部材に接触している、請求項１から３のいずれか一項に記載の電動アクチュエータ。

【請求項5】

前記収容部の径方向内側には、前記モータシャフトが圧入されている、請求項１から４のいずれか一項に記載の電動アクチュエータ。

【請求項6】

前記保持穴のうち前記収容穴に繋がる部分の内面は、前記保持穴の内部を周方向に挟んで配置された一対の傾斜面を有し、
前記一対の傾斜面は、径方向内側に向かうに従って互いに周方向に離れている、請求項１から５のいずれか一項に記載の電動アクチュエータ。

【請求項7】

前記モータシャフトの軸方向他方側の端面は、軸方向他方側かつ斜め径方向外側を向く第１接触面を有し、
前記対向部材は、前記第１対向壁部の軸方向一方側の面と前記第２対向壁部の径方向内側面とによって構成され軸方向一方側かつ斜め径方向内側を向く第２接触面を有し、
前記第１転がり部材は、前記第１接触面と前記第２接触面との間に位置し、かつ、前記第１接触面および前記第２接触面に接触している、請求項１から６のいずれか一項に記載の電動アクチュエータ。

【請求項8】

前記第１接触面および前記第２接触面は、前記第１転がり部材の表面に沿った形状である、請求項７に記載の電動アクチュエータ。

【請求項9】

前記モータ軸を囲んで配置された３つ以上の第２転がり部材を含む第２転がり部材群を備え、
前記モータシャフトと前記出力シャフトとは、前記第２転がり部材群を介して互いに軸方向および径方向に支持され、
前記モータは、前記モータシャフトの外周面に固定されたロータ本体を有し、
前記第１転がり部材群は、前記ロータ本体よりも軸方向他方側に位置し、
前記第２転がり部材群は、前記ロータ本体よりも軸方向一方側に位置する、請求項１から８のいずれか一項に記載の電動アクチュエータ。

【請求項10】

前記第２転がり部材が回転可能な状態で前記第２転がり部材群を保持する第２保持部材を備える、請求項９に記載の電動アクチュエータ。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、電動アクチュエータに関する。

【背景技術】

【0002】

伝達機構によって連結されたモータシャフトと出力シャフトとを備える電動アクチュエータが知られている。例えば、特許文献１には、車両の自動変速機のシフトを切り替えるシフトバイワイヤシステムの動力源として適用される回転式アクチュエータが記載されている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】特開２０１６－１０９２２６号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

上記のような電動アクチュエータにおいては、モータシャフトと出力シャフトとの一方が他方に対して傾く恐れがあった。

【0005】

本発明は、上記事情に鑑みて、モータシャフトと出力シャフトとが互いに傾くことを抑制できる構造を有する電動アクチュエータを提供することを目的の一つとする。

【課題を解決するための手段】

【0006】

本発明の電動アクチュエータの一つの態様は、モータ軸を中心として回転可能な中空のモータシャフトを有するモータと、前記モータシャフトの軸方向一方側に連結された伝達機構と、前記モータシャフトの軸方向に延び、記モータシャフトの内部に通されて前記モータシャフトよりも軸方向他方側に突出する出力シャフトと、前記出力シャフトのうち前記モータシャフトよりも軸方向他方側に突出した部分の外周面に固定された対向部材と、前記モータ軸を囲んで配置された３つ以上の第１転がり部材を含み、前記モータシャフトの軸方向他方側の端部と前記対向部材との軸方向の間に位置する第１転がり部材群と、前記第１転がり部材が回転可能な状態で前記第１転がり部材群を保持する第１保持部材と、を備える。前記対向部材は、前記第１転がり部材群の軸方向他方側に位置する第１対向壁部と、前記第１対向壁部から軸方向一方側に突出し、前記第１転がり部材群の径方向外側に位置する第２対向壁部と、を有する。前記モータシャフトと前記対向部材とは、前記第１転がり部材群を介して互いに軸方向および径方向に支持されている。前記第１保持部材は、周方向に沿って間隔を空けて配置された３つ以上の収容穴を有し、前記モータシャフトを囲む環状の収容部と、周方向に沿って間隔を空けて配置された３つ以上の保持穴を有し、前記収容部の軸方向他方側に繋がる保持部と、を有する。各前記収容穴は、軸方向に延び、かつ、軸方向他方側および径方向内側に開口している。各前記収容穴の軸方向他方側の端部は、各前記保持穴にそれぞれ繋がっている。各前記保持穴は、各前記収容穴の軸方向他方側の端部のそれぞれから径方向内側に延びている。各前記第１転がり部材は、各前記保持穴の径方向内側部分にそれぞれ配置されている。前記第１保持部材が前記モータシャフトに対して組み付けられていない状態において、各前記収容穴のそれぞれは、各前記第１転がり部材のそれぞれを軸方向に移動可能な状態で収容可能である。前記保持穴のうち前記収容穴に繋がる部分から前記第１転がり部材が配置される部分までにおける周方向の寸法は、前記第１転がり部材の周方向の寸法以上である。

【発明の効果】

【0007】

本発明の一つの態様によれば、電動アクチュエータにおいて、モータシャフトと出力シャフトとが互いに傾くことを抑制できる。

【図面の簡単な説明】

【0008】

【図1】図１は、一実施形態の電動アクチュエータを示す断面図である。

【図2】図２は、一実施形態の電動アクチュエータの一部を示す分解斜視図である。

【図3】図３は、一実施形態のモータシャフトの一部、出力シャフトの一部、第１転がり部材群、第１保持部材、対向部材、およびセンサマグネットを示す断面図である。

【図4】図４は、一実施形態のモータシャフトの一部、出力シャフトの一部、第２転がり部材群、および第２保持部材を示す断面図である。

【図5】図５は、一実施形態の伝達機構を上側から見た図である。

【図6】図６は、一実施形態のモータシャフトの一部、第１転がり部材群、および第１保持部材を示す斜視図である。

【図7】図７は、一実施形態の第１保持部材の一部を示す斜視図である。

【図8】図８は、一実施形態の第２転がり部材群および第２保持部材を示す斜視図である。

【図9】図９は、一実施形態における第１転がり部材群の組み付け手順の一部を示す断面図である。

【図10】図１０は、一実施形態における第１転がり部材群の組み付け手順の他の一部を示す断面図である。

【図11】図１１は、一実施形態における第１転がり部材群の組み付け手順のさらに他の一部を示す断面図である。

【図12】図１２は、一実施形態における第１転がり部材群の組み付け手順のまたさらに他の一部を示す断面図である。

【発明を実施するための形態】

【0009】

各図においてＺ軸方向は、正の側（＋Ｚ側）を上側とし、負の側（－Ｚ側）を下側とする上下方向である。各図に適宜示すモータ軸Ｊ１の軸方向は、Ｚ軸方向、すなわち上下方向と平行である。以下の説明においては、モータ軸Ｊ１の軸方向と平行な方向を単に「軸方向」と呼ぶ。また、モータ軸Ｊ１を中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、モータ軸Ｊ１を中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。

【0010】

本実施形態において、下側は「軸方向一方側」に相当し、上側は「軸方向他方側」に相当する。なお、上下方向、上側、および下側とは、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。

【0011】

図１に示す本実施形態の電動アクチュエータ１００は、車両に取り付けられる。より詳細には、電動アクチュエータ１００は、例えば、車両の運転者のシフト操作に基づいて駆動されるパーク・バイ・ワイヤ方式のアクチュエータ装置に搭載される。図１に示すように、電動アクチュエータ１００は、ケース１０と、モータ２０と、伝達機構３０と、出力部４０と、第１ベアリング５１と、第２ベアリング５２と、第３ベアリング５３と、基板８０と、回転センサ８１と、センサマグネット４５と、仕切部材９０と、を備える。第１ベアリング５１、第２ベアリング５２、および第３ベアリング５３は、例えば、ボールベアリングである。

【0012】

ケース１０は、モータ２０および伝達機構３０を含む電動アクチュエータ１００の各部を内部に収容している。ケース１０は、ケース本体１１と、カバー１２と、を有する。ケース本体１１は、上側に開口している。ケース本体１１は、例えば、モータ軸Ｊ１を中心とする円筒状である。ケース本体１１は、モータ収容部１１ａと、基板収容部１１ｂと、を有する。

【0013】

モータ収容部１１ａは、例えば、ケース本体１１の下側部分である。モータ収容部１１ａは、下側に位置する底部１１ｃと、底部１１ｃの径方向外縁部から上側に延びる筒部１１ｄと、を有する。底部１１ｃは、底部１１ｃを軸方向に貫通する孔部１１ｅを有する。孔部１１ｅは、例えば、モータ軸Ｊ１を中心とする円形状の孔である。孔部１１ｅの上側部分は、第１ベアリング５１を内部に保持する第１ベアリング保持部１１ｆを構成している。第１ベアリング５１は、第１ベアリング保持部１１ｆの内部に保持されることで、ケース本体１１に保持されている。第１ベアリング５１の外輪は、例えば、第１ベアリング保持部１１ｆの内周面に嵌め合わされている。

【0014】

基板収容部１１ｂは、例えば、ケース本体１１の上側部分である。基板収容部１１ｂは、モータ収容部１１ａの上側に繋がっている。基板収容部１１ｂは、上側に開口する筒状である。基板収容部１１ｂの内径は、モータ収容部１１ａの内径よりも大きい。基板収容部１１ｂの外径は、モータ収容部１１ａの外径よりも大きい。基板収容部１１ｂの下端部は、例えば、筒部１１ｄの上端部の径方向外縁部に繋がっている。基板収容部１１ｂの内周面には、上側を向く段差面１１ｇを有する段差が設けられている。段差面１１ｇは、例えば、軸方向と直交する面である。

【0015】

段差面１１ｇには、基板８０が固定されている。基板８０は、板面が軸方向を向く板状であり、径方向に広がっている。基板８０の径方向外縁部は、例えば、段差面１１ｇにネジで固定されている。基板８０は、基板収容部１１ｂの内部に収容されている。基板８０は、後述するロータ本体２４よりも上側に位置する。基板８０は、基板８０を軸方向に貫通する貫通孔８０ａを有する。貫通孔８０ａは、例えば、モータ軸Ｊ１を中心とする円形状の孔である。貫通孔８０ａには、後述する出力シャフト４１のうち上側の部分が軸方向に通されている。基板８０の板面には、図示しないプリント配線が設けられている。図示は省略するが、基板８０には、例えば、モータ２０に電力を供給するインバータ回路が設けられている。

【0016】

基板８０には、回転センサ８１が取り付けられている。回転センサ８１は、後述する出力シャフト４１の回転を検出可能なセンサである。本実施形態において回転センサ８１は、磁気センサである。回転センサ８１は、例えば、ホールＩＣなどのホール素子である。回転センサ８１は、例えば、周方向に沿って複数ずつ設けられていてもよい。本実施形態において回転センサ８１は、基板８０の上側の面うち貫通孔８０ａの周縁部に取り付けられている。

【0017】

カバー１２は、ケース本体１１に固定されている。カバー１２の径方向外縁部は、例えば、基板収容部１１ｂの上側の端部にネジで固定されている。カバー１２は、ケース本体１１の上側の開口を塞いでいる。カバー１２は、ケース本体１１の上側の開口を覆うカバー本体１２ａと、カバー本体１２ａから下側に突出する第２ベアリング保持部１２ｂと、を有する。第２ベアリング保持部１２ｂは、例えば、モータ軸Ｊ１を中心とし、下側に開口する円筒状である。第２ベアリング保持部１２ｂの内部には、第２ベアリング５２が保持されている。これにより、第２ベアリング５２は、カバー１２に保持されている。第２ベアリング５２の外輪は、例えば、第２ベアリング保持部１２ｂの内周面に嵌め合わされている。

【0018】

モータ２０は、ロータ２１と、ステータ２２と、を有する。ロータ２１は、中空のモータシャフト２３と、モータシャフト２３の外周面に固定されたロータ本体２４と、を有する。つまり、モータ２０は、モータシャフト２３と、ロータ本体２４と、を有する。モータシャフト２３は、モータ軸Ｊ１を中心として回転可能である。モータシャフト２３は、中空シャフトである。モータシャフト２３は、例えば、モータ軸Ｊ１を中心として軸方向に延びる円筒状である。モータシャフト２３は、軸方向の両側に開口している。モータシャフト２３は、モータ収容部１１ａの内部から上側に延びて、基板収容部１１ｂの内部に突出している。モータシャフト２３は、本体部２３ａと、偏心軸部２３ｂと、を有する。

【0019】

本体部２３ａは、ロータ本体２４が固定された部分である。本体部２３ａの上側の端部は、モータシャフト２３の上側の端部である。本体部２３ａの上側の端部は、基板収容部１１ｂの内部に位置する。本体部２３ａのうち上側の端部を除いた部分は、モータ収容部１１ａの内部に位置する。

【0020】

図２および図３に示すように、本体部２３ａの上側の端面、すなわちモータシャフト２３の上側の端面は、第１接触面２３ｈを有する。本実施形態においては、本体部２３ａの上側の端面は、第１接触面２３ｈからなる。第１接触面２３ｈは、モータ軸Ｊ１を囲む円環状である。第１接触面２３ｈは、上側かつ斜め径方向外側を向いている。第１接触面２３ｈの軸方向に沿った断面形状は、下側かつ斜め径方向内側向きに凹となる円弧状である。第１接触面２３ｈは、後述する第１転がり部材群６０Ｇａに含まれた第１転がり部材６０ａの表面に沿った形状である。第１接触面２３ｈは、径方向外側に向かうに従って下側に位置する。

【0021】

図１に示すように、偏心軸部２３ｂは、本体部２３ａの下側に繋がっている。偏心軸部２３ｂは、モータ収容部１１ａの内部に位置する。偏心軸部２３ｂの下側の端部は、モータシャフト２３の下側の端部である。偏心軸部２３ｂは、モータ軸Ｊ１に対して偏心した偏心軸Ｊ２を中心とする部分である。偏心軸Ｊ２は、モータ軸Ｊ１と平行である。偏心軸部２３ｂには、第３ベアリング５３の内輪が嵌め合わされて固定されている。これにより、第３ベアリング５３は、モータシャフト２３に固定されている。

【0022】

図４に示すように、偏心軸部２３ｂの内径は、本体部２３ａの内径よりも大きい。偏心軸部２３ｂの内周面は、モータ軸Ｊ１を中心とする円筒状である。本体部２３ａの内周面と偏心軸部２３ｂの内周面との軸方向の間には、第１段差部２３ｃが設けられている。第１段差部２３ｃは、下側を向く第１段差面２３ｄを有する。つまり、モータシャフト２３の内周面には、下側を向く第１段差面２３ｄを有する第１段差部２３ｃが設けられている。第１段差面２３ｄは、モータ軸Ｊ１を囲む円環状である。第１段差面２３ｄは、平坦面２３ｅ，２３ｇと、第３接触面２３ｆと、を有する。

【0023】

平坦面２３ｅ，２３ｇは、軸方向と直交し、モータ軸Ｊ１を囲む円環状の平坦面である。平坦面２３ｅは、本体部２３ａの内周面における下側の端部に繋がっている。平坦面２３ｇは、偏心軸部２３ｂの内周面における上側の端部に繋がっている。平坦面２３ｇは、平坦面２３ｅよりも径方向外側かつ下側に位置する。

【0024】

第３接触面２３ｆは、平坦面２３ｅの径方向外周縁部と平坦面２３ｇの径方向内周縁部とを繋いでいる。第３接触面２３ｆは、下側かつ斜め径方向内側を向いている。第３接触面２３ｆの軸方向に沿った断面形状は、上側かつ斜め径方向外側向きに凹となる円弧状である。第３接触面２３ｆは、後述する第２転がり部材群６０Ｇｂに含まれた第２転がり部材６０ｂの表面に沿った形状である。第３接触面２３ｆは、径方向外側に向かうに従って下側に位置する。

【0025】

図１に示すように、ロータ本体２４は、本体部２３ａの外周面、すなわちモータシャフト２３の外周面に固定されている。ロータ本体２４は、本体部２３ａの外周面における下側部分に固定されている。ロータ本体２４は、モータ収容部１１ａの内部に収容されている。ロータ本体２４は、モータシャフト２３の外周面に固定された円筒状のロータコア２４ａと、ロータコア２４ａに固定されたロータマグネット２４ｂと、を有する。

【0026】

ステータ２２は、ロータ２１と隙間を介して径方向に対向している。ステータ２２は、ロータ２１の径方向外側に位置する。ステータ２２は、モータ収容部１１ａの内部に収容されている。ステータ２２は、ロータ本体２４の径方向外側を囲む環状のステータコア２２ａと、ステータコア２２ａに装着されたインシュレータ２２ｂと、インシュレータ２２ｂを介してステータコア２２ａに装着された複数のコイル２２ｃと、を有する。ステータコア２２ａの外周面は、例えば、筒部１１ｄの内周面に固定されている。

【0027】

伝達機構３０は、モータ収容部１１ａの内部においてロータ本体２４およびステータ２２の下側に位置する。本実施形態において伝達機構３０は、モータシャフト２３の回転を減速して出力シャフト４１に伝達する減速機構である。伝達機構３０は、外歯ギア３１と、内歯ギア３２と、出力フランジ部４２と、複数の突出部４３と、を有する。

【0028】

外歯ギア３１は、偏心軸部２３ｂの偏心軸Ｊ２を中心として、軸方向と直交する平面に沿って広がる略円環板状である。図５に示すように、外歯ギア３１の径方向外側面には、複数の歯部３１ａによって構成された歯車部が設けられている。図１に示すように、外歯ギア３１は、偏心軸部２３ｂに第３ベアリング５３を介して連結されている。これにより、伝達機構３０は、モータシャフト２３の下側に連結されている。本実施形態において伝達機構３０は、モータシャフト２３の下側の端部に連結されている。外歯ギア３１は、第３ベアリング５３の外輪に径方向外側から嵌め合わされている。これにより、第３ベアリング５３は、モータシャフト２３と外歯ギア３１とを、偏心軸Ｊ２回りに相対的に回転可能に連結している。

【0029】

外歯ギア３１は、外歯ギア３１の下側の面から上側に窪む複数の穴部３１ｂを有する。本実施形態において穴部３１ｂは、外歯ギア３１を軸方向に貫通している。図５に示すように、複数の穴部３１ｂは、モータ軸Ｊ１を囲んで配置されている。より詳細には、複数の穴部３１ｂは、偏心軸Ｊ２を中心とする周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置されている。穴部３１ｂは、例えば、８つ設けられている。穴部３１ｂの軸方向に沿って見た形状は、例えば、円形状である。穴部３１ｂの内径は、突出部４３のうち穴部３１ｂに挿入された部分の外径よりも大きい。

【0030】

内歯ギア３２は、外歯ギア３１の径方向外側を囲み、外歯ギア３１と噛み合っている。内歯ギア３２は、モータ軸Ｊ１を中心とする円環状である。図１に示すように、本実施形態において内歯ギア３２は、ケース１０に固定されている。内歯ギア３２の外周面は、モータ収容部１１ａの内周面に嵌め合わされて固定されている。図５に示すように、内歯ギア３２の内周面には、複数の歯部３２ａを有する歯車部が設けられている。内歯ギア３２の歯車部は、外歯ギア３１の歯車部と噛み合っている。より詳細には、内歯ギア３２の歯車部は、外歯ギア３１の歯車部と周方向の一部において噛み合っている。

【0031】

出力フランジ部４２は、出力部４０の一部である。図１に示すように、出力フランジ部４２は、外歯ギア３１の下側に対向して配置されている。出力フランジ部４２と外歯ギア３１との軸方向の間には隙間が設けられている。出力フランジ部４２は、例えば、モータ軸Ｊ１を中心として径方向に広がる円環板状である。出力フランジ部４２は、後述する出力シャフト４１のうちモータシャフト２３よりも下側に位置する部分から径方向外側に広がっている。

【0032】

突出部４３は、出力フランジ部４２から外歯ギア３１に向かって上側に突出している。本実施形態において突出部４３と出力フランジ部４２とは、同一の単一部材の一部である。図５に示すように、複数の突出部４３は、円柱状である。複数の突出部４３は、モータ軸Ｊ１を囲んで配置されている。複数の突出部４３は、例えば、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置されている。突出部４３は、例えば、８つ設けられている。

【0033】

図１に示すように、複数の突出部４３は、複数の穴部３１ｂのそれぞれに下側から挿入されている。突出部４３のうち穴部３１ｂ内に挿入された部分の外径は、穴部３１ｂの内径よりも小さい。突出部４３の外周面は、穴部３１ｂの内周面と内接している。複数の突出部４３は、穴部３１ｂの内周面を介して、外歯ギア３１をモータ軸Ｊ１回りに揺動可能に支持している。

【0034】

出力部４０は、電動アクチュエータ１００の駆動力を出力する部分である。出力部４０には、伝達機構３０を介してモータシャフト２３の回転が伝達される。出力部４０は、出力シャフト４１と、出力フランジ部４２と、を有する。つまり、電動アクチュエータ１００は、出力シャフト４１と、出力フランジ部４２と、を備える。本実施形態において出力シャフト４１と出力フランジ部４２とは、互いに別体である。なお、出力シャフト４１と出力フランジ部４２とは、同一の単一部材の一部であってもよい。

【0035】

出力シャフト４１は、モータシャフト２３の軸方向に延びている。出力シャフト４１は、モータシャフト２３と同軸に配置されている。つまり、出力シャフト４１は、モータ軸Ｊ１を中心として回転可能である。出力シャフト４１の少なくとも一部は、モータシャフト２３の内部に位置する。本実施形態において出力シャフト４１は、下側からモータシャフト２３の内部に通されてモータシャフト２３よりも上側に突出している。出力シャフト４１は、モータシャフト２３よりも軸方向両側に突出している。本実施形態において出力シャフト４１の外周面とモータシャフト２３の内周面との間には、全周に亘って隙間が設けられている。出力シャフト４１の外周面とモータシャフト２３の内周面とは、互いに接触していない。出力シャフト４１の外周面とモータシャフト２３の内周面との径方向の隙間には、例えば、潤滑油が設けられていてもよい。出力シャフト４１は、第１ベアリング５１および第２ベアリング５２によって回転可能に支持されている。出力シャフト４１は、連結部４１ａと、延伸部４１ｂと、を有する。

【0036】

連結部４１ａは、出力シャフト４１の下側部分である。連結部４１ａの下側の端部は、出力シャフト４１の下側の端部である。連結部４１ａの下側の端部は、孔部１１ｅの内部に挿入されている。連結部４１ａの下側の端部は、例えば、孔部１１ｅの下側の端部と同じ軸方向位置にある。連結部４１ａの上側の端部は、偏心軸部２３ｂの内部に挿入されている。連結部４１ａの外径は、延伸部４１ｂの外径よりも大きい。連結部４１ａは、第１ベアリング５１によってモータ軸Ｊ１回りに回転可能に支持されている。これにより、第１ベアリング５１は、出力シャフト４１のうちモータシャフト２３よりも下側に位置する部分を回転可能に支持している。

【0037】

連結部４１ａは、連結部４１ａの下側の端面から上側に窪む連結凹部４１ｃを有する。連結凹部４１ｃは、下側に開口し、ケース１０の外部に露出している。連結凹部４１ｃは、例えば、下側から見てモータ軸Ｊ１を中心とする円形状である。連結凹部４１ｃが設けられていることで、連結部４１ａは、モータ軸Ｊ１を中心とし、下側に開口する円筒状となっている。

【0038】

連結凹部４１ｃの内周面には、スプライン溝が設けられている。連結凹部４１ｃの内部には、下側から被駆動シャフトＤＳが挿入されて連結される。これにより、連結部４１ａには、被駆動シャフトＤＳが連結される。より詳細には、被駆動シャフトＤＳの外周面に設けられたスプライン部が、連結凹部４１ｃの内周面に設けられたスプライン溝に嵌め合わされることで、出力シャフト４１と被駆動シャフトＤＳとが連結される。被駆動シャフトＤＳには、出力シャフト４１を介して電動アクチュエータ１００の駆動力が伝達される。これにより、電動アクチュエータ１００は、被駆動シャフトＤＳをモータ軸Ｊ１回りに回転させる。

【0039】

延伸部４１ｂは、出力シャフト４１の上側部分である。延伸部４１ｂの上側の端部は、出力シャフト４１の上側の端部である。延伸部４１ｂは、連結部４１ａの上側の端部における径方向の中央部から上側に延びている。延伸部４１ｂは、モータ軸Ｊ１を中心として軸方向に延びる円柱状である。延伸部４１ｂの軸方向の寸法は、連結部４１ａの軸方向の寸法よりも大きい。延伸部４１ｂは、中空シャフトであるモータシャフト２３の内部に通されている。延伸部４１ｂは、モータシャフト２３の下側からモータシャフト２３の内部に挿入され、モータシャフト２３よりも上側に突出している。延伸部４１ｂは、基板８０の貫通孔８０ａに軸方向に通されている。延伸部４１ｂの上側の端部は、第２ベアリング５２によってモータ軸Ｊ１回りに回転可能に支持されている。これにより、第２ベアリング５２は、出力シャフト４１のうちモータシャフト２３よりも上側に位置する部分を回転可能に支持している。

【0040】

図２に示すように、出力シャフト４１の外周面には、第２段差部４１ｄが設けられている。第２段差部４１ｄは、連結部４１ａと延伸部４１ｂとの軸方向の間に設けられている。第２段差部４１ｄは、上側を向く第２段差面４１ｅを有する。第２段差面４１ｅは、モータ軸Ｊ１を囲む円環状である。図４に示すように、第２段差面４１ｅは、第１段差面２３ｄの下側に位置する。第２段差面４１ｅは、平坦面４１ｆと、第４接触面４１ｇと、を有する。平坦面４１ｆは、軸方向と直交し、モータ軸Ｊ１を囲む円環状の平坦面である。平坦面４１ｆは、第２段差面４１ｅの径方向外周縁部である。

【0041】

第４接触面４１ｇは、平坦面４１ｆの径方向内周縁部と延伸部４１ｂの外周面とを繋いでいる。第４接触面４１ｇは、上側かつ斜め径方向外側を向いている。第４接触面４１ｇの軸方向に沿った断面形状は、下側かつ斜め径方向内側向きに凹となる円弧状である。第４接触面４１ｇは、後述する第２転がり部材群６０Ｇｂに含まれた第２転がり部材６０ｂの表面に沿った形状である。第４接触面４１ｇは、径方向内側に向かうに従って上側に位置する。第４接触面４１ｇは、第３接触面２３ｆの下側かつ斜め径方向内側に位置する。

【0042】

図１に示すように、出力部４０は、出力シャフト４１のうちモータシャフト２３よりも上側に突出した部分の外周面に固定された対向部材４４を有する。つまり、電動アクチュエータ１００は、対向部材４４を備える。出力シャフト４１と対向部材４４とは、互いに別体である。対向部材４４は、延伸部４１ｂのうちモータシャフト２３よりも上側に位置する部分に固定されている。本実施形態において対向部材４４は、出力シャフト４１にセンサマグネット４５を取り付けるための取付部材である。対向部材４４は、例えば、金属製である。対向部材４４の下側の端部は、基板８０の貫通孔８０ａ内に位置する。図３に示すように、対向部材４４は、固定筒部４４ａと、対向部４４ｂと、を有する。つまり、出力シャフト４１は、固定筒部４４ａと、対向部４４ｂと、を有する。

【0043】

固定筒部４４ａは、モータ軸Ｊ１を中心とし、軸方向両側に開口する円筒状である。固定筒部４４ａは、延伸部４１ｂの外周面に嵌め合わされて固定されている。固定筒部４４ａは、例えば、圧入により延伸部４１ｂに固定されている。固定筒部４４ａの外周面には、センサマグネット４５が固定されている。固定筒部４４ａの外周面には、モータ軸Ｊ１を囲む円環状の環状溝４４ｄが設けられている。環状溝４４ｄには、例えば、センサマグネット４５を固定する接着剤が充填されている。

【0044】

センサマグネット４５は、モータ軸Ｊ１を囲む円環状である。センサマグネット４５は、固定筒部４４ａの外周面に嵌め合わされている。センサマグネット４５は、例えば、接着剤によって固定筒部４４ａの外周面に固定されている。センサマグネット４５の下側の面は、対向部４４ｂの上側の面に接触している。センサマグネット４５は、対向部材４４よりも径方向外側に突出している。図１に示すように、センサマグネット４５の径方向外縁部は、回転センサ８１の上側に対向して配置されている。センサマグネット４５の磁界は、回転センサ８１によって検出される。本実施形態において回転センサ８１は、センサマグネット４５の磁界を検出することでセンサマグネット４５の回転を検出し、出力シャフト４１の回転を検出する。

【0045】

図３に示すように、対向部４４ｂは、固定筒部４４ａの下側の端部から径方向外側に突出している。対向部４４ｂは、モータシャフト２３の上側に対向して配置されている。対向部４４ｂは、第１対向壁部４４ｅと、第２対向壁部４４ｆと、を有する。つまり、対向部材４４は、第１対向壁部４４ｅと、第２対向壁部４４ｆと、を有する。第１対向壁部４４ｅは、固定筒部４４ａの下側の端部から径方向外側に広がっている。第１対向壁部４４ｅは、モータ軸Ｊ１を囲む円環状である。第１対向壁部４４ｅは、後述する第１転がり部材群６０Ｇａの上側に位置する。第２対向壁部４４ｆは、第１対向壁部４４ｅの径方向外周縁部から下側に突出している。第２対向壁部４４ｆは、モータ軸Ｊ１を囲む円筒状である。第２対向壁部４４ｆは、後述する第１転がり部材群６０Ｇａの径方向外側に位置する。第２対向壁部４４ｆの下側の端部と第１接触面２３ｈの径方向外周縁部との間の距離Ｌ１は、後述する第１転がり部材６０ａの外径Ｄよりも小さい。

【0046】

対向部材４４は、下側かつ斜め径方向内側を向く第２接触面４４ｃを有する。第２接触面４４ｃは、第１対向壁部４４ｅの下側の面と第２対向壁部４４ｆの径方向内側面とによって構成されている。第２接触面４４ｃの軸方向に沿った断面形状は、上側かつ斜め径方向外側向きに凹となる円弧状である。第２接触面４４ｃは、後述する第１転がり部材群６０Ｇａに含まれた第１転がり部材６０ａの表面に沿った形状である。第２接触面４４ｃは、径方向外側に向かうに従って下側に位置する。第２接触面４４ｃは、第１接触面２３ｈの上側かつ斜め径方向外側に位置する。

【0047】

図２に示すように、電動アクチュエータ１００は、モータ軸Ｊ１を囲んで配置された３つ以上の第１転がり部材６０ａを含む第１転がり部材群６０Ｇａと、モータ軸Ｊ１を囲んで配置された３つ以上の第２転がり部材６０ｂを含む第２転がり部材群６０Ｇｂと、を備える。本実施形態において第１転がり部材６０ａおよび第２転がり部材６０ｂは、球体である。第１転がり部材６０ａおよび第２転がり部材６０ｂは、例えば、金属製である。３つ以上の第１転がり部材６０ａは、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置されている。本実施形態において第１転がり部材群６０Ｇａは、６つの第１転がり部材６０ａを含んでいる。３つ以上の第２転がり部材６０ｂは、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置されている。本実施形態において第２転がり部材群６０Ｇｂは、６つの第２転がり部材６０ｂを含んでいる。本実施形態において各第１転がり部材６０ａと各第２転がり部材６０ｂとは、それぞれ互いに同じ形状および同じ大きさである。

【0048】

図１に示すように、第１転がり部材群６０Ｇａは、ロータ本体２４よりも上側に位置する。図３に示すように、第１転がり部材群６０Ｇａは、モータシャフト２３の上側の端部と対向部材４４との軸方向の間に位置する。第１転がり部材群６０Ｇａは、第１接触面２３ｈと第２接触面４４ｃとの間に位置する。本実施形態において第１転がり部材群６０Ｇａの各第１転がり部材６０ａは、第１接触面２３ｈと第２接触面４４ｃとによって、軸方向に対して径方向に４５°傾いた方向に挟まれている。第１転がり部材群６０Ｇａは、第１対向壁部４４ｅとモータシャフト２３との軸方向の間に位置する。第１転がり部材群６０Ｇａは、延伸部４１ｂと第２対向壁部４４ｆとの径方向の間に位置する。第１転がり部材群６０Ｇａに含まれた第１転がり部材６０ａは、第１接触面２３ｈおよび第２接触面４４ｃに接触している。これにより、モータシャフト２３と対向部材４４とは、第１転がり部材群６０Ｇａを介して互いに軸方向および径方向に支持されている。出力シャフト４１に固定された対向部材４４が第１転がり部材群６０Ｇａを介してモータシャフト２３に対して軸方向および径方向に支持されることで、モータシャフト２３と出力シャフト４１とが第１転がり部材群６０Ｇａを介して互いに軸方向および径方向に支持されている。

【0049】

図１に示すように、第２転がり部材群６０Ｇｂは、ロータ本体２４よりも下側に位置する。図４に示すように、第２転がり部材群６０Ｇｂは、第３接触面２３ｆと第４接触面４１ｇとの間に位置する。本実施形態において第２転がり部材群６０Ｇｂの各第２転がり部材６０ｂは、第３接触面２３ｆと第４接触面４１ｇとによって、軸方向に対して径方向に４５°傾いた方向に挟まれている。第２転がり部材群６０Ｇｂは、第１段差面２３ｄと第２段差面４１ｅとの軸方向の間に位置する。第２転がり部材群６０Ｇｂは、延伸部４１ｂと偏心軸部２３ｂとの径方向の間に位置する。第２転がり部材群６０Ｇｂに含まれた第２転がり部材６０ｂは、第３接触面２３ｆおよび第４接触面４１ｇに接触している。これにより、モータシャフト２３と出力シャフト４１とは、第２転がり部材群６０Ｇｂを介して互いに軸方向および径方向に支持されている。このように本実施形態では、モータシャフト２３と出力シャフト４１とは、第１転がり部材群６０Ｇａと第２転がり部材群６０Ｇｂとの２つの転がり部材群を介して互いに軸方向および径方向に支持されている。

【0050】

図２に示すように、電動アクチュエータ１００は、第１保持部材６１と、第２保持部材６２と、を備える。第１保持部材６１は、第１転がり部材６０ａが回転可能な状態で第１転がり部材群６０Ｇａを保持する部材である。第２保持部材６２は、第２転がり部材６０ｂが回転可能な状態で第２転がり部材群６０Ｇｂを保持する部材である。本実施形態において第１保持部材６１および第２保持部材６２は、樹脂製である。

【0051】

図６に示すように、第１保持部材６１は、モータ軸Ｊ１を囲む円環状の部材である。第１保持部材６１は、収容部６１ａと、保持部６１ｆと、を有する。収容部６１ａは、モータシャフト２３を囲む環状である。本実施形態において収容部６１ａは、モータ軸Ｊ１を中心とする円筒状である。図３に示すように、収容部６１ａの内周面は、モータシャフト２３における本体部２３ａの外周面に接触している。本実施形態において収容部６１ａの径方向内側には、モータシャフト２３が圧入されている。より詳細には、収容部６１ａの径方向内側には、モータシャフト２３の本体部２３ａが軽圧入されている。収容部６１ａの上側の端部は、モータシャフト２３の上側の端部よりも下側に位置する。本実施形態において収容部６１ａの上側の端部における軸方向位置は、第１接触面２３ｈの径方向外周縁部における軸方向位置と同じである。収容部６１ａの径方向外側面は、第２対向壁部４４ｆの径方向外側面よりも径方向外側に位置する。

【0052】

収容部６１ａは、周方向に沿って間隔を空けて配置された３つ以上の収容穴６１ｄを有する。本実施形態において３つ以上の収容穴６１ｄは、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置されている。収容穴６１ｄは、第１転がり部材群６０Ｇａに含まれた第１転がり部材６０ａの数と同じ数だけ設けられている。つまり、本実施形態において収容穴６１ｄは、６つ設けられている。図３、図６、および図７に示すように、複数の収容穴６１ｄのそれぞれは、軸方向に延び、かつ、上側および径方向内側に開口している。収容穴６１ｄは、収容部６１ａの上側の面から下側に窪み、下側に底部を有する穴である。収容穴６１ｄは、軸方向に見て、径方向外側に凸となる略半円形状である。

【0053】

図７に示すように、第１保持部材６１がモータシャフト２３に対して組み付けられていない状態において、各収容穴６１ｄのそれぞれは、各第１転がり部材６０ａのそれぞれを軸方向に移動可能な状態で収容可能である。

【0054】

なお、本明細書において「第１保持部材がモータシャフトに対して組み付けられていない状態」とは、電動アクチュエータが組み立てられる前において第１保持部材がモータシャフトに対して組み付けられる前の状態であってもよいし、電動アクチュエータが組み立てられた後に電動アクチュエータが分解されて第１保持部材が取り外された状態であってもよい。また、「第１保持部材がモータシャフトに対して組み付けられていない状態において収容穴が第１転がり部材を収容可能である」とは、少なくとも第１保持部材を単体で扱う際に、収容穴に第１転がり部材が収容可能となっていればよく、第１保持部材がモータシャフトに対して組み付けられた状態において収容穴が第１転がり部材を収容可能であることを排除しない。また、「収容穴に第１転がり部材が収容される」とは、第１転がり部材の全体が収容穴の内部に位置する必要はなく、第１転がり部材の一部が収容穴の外部に位置してもよい。

【0055】

本実施形態において収容穴６１ｄに収容された状態の第１転がり部材６０ａの径方向内端部は、収容穴６１ｄの径方向内側の開口部６１ｇを介して、収容部６１ａの内周面よりも径方向内側に突出している。つまり、収容穴６１ｄに収容された状態の第１転がり部材６０ａの径方向内端部は、収容穴６１ｄの外部に位置する。開口部６１ｇの周方向の寸法は、第１転がり部材６０ａの周方向の寸法、すなわち第１転がり部材６０ａの外径Ｄよりも小さい。そのため、収容穴６１ｄに収容された第１転がり部材６０ａが開口部６１ｇから径方向内側に抜け出ることが抑制される。図３に示すように、開口部６１ｇは、モータシャフト２３の外周面によって塞がれている。

【0056】

収容穴６１ｄの内面における径方向外端部は、第２対向壁部４４ｆの径方向外側面よりも僅かに径方向外側に位置する。収容穴６１ｄの内面における径方向外端部は、径方向に間隔を空けてモータシャフト２３の外周面と対向している。収容穴６１ｄの内面における径方向外端部とモータシャフト２３の外周面との間の径方向の距離Ｌ２は、第１転がり部材６０ａの径方向の寸法、すなわち第１転がり部材６０ａの外径Ｄよりも小さい。本実施形態において距離Ｌ２は、収容穴６１ｄの径方向の寸法と等しい。

【0057】

収容穴６１ｄの内面における径方向外端部とモータシャフト２３の外周面との間の径方向中心は、第２対向壁部４４ｆの下側の端部よりも径方向内側に位置する。つまり、本実施形態において第２対向壁部４４ｆの下側の端部における径方向内側面は、収容穴６１ｄの内面における径方向外端部とモータシャフト２３の外周面との間の径方向中心よりも径方向外側に位置する。第２対向壁部４４ｆの下側の端部における径方向内側面は、収容穴６１ｄの内面における径方向外端部よりも径方向内側に位置する。

【0058】

図３においては、収容穴６１ｄの内面における径方向外端部とモータシャフト２３の外周面との間の径方向中心を、軸方向に延びる仮想線ＩＬで示している。本実施形態において収容穴６１ｄの内面における径方向外端部とモータシャフト２３の外周面との間の径方向中心は、収容穴６１ｄの径方向中心である。つまり、図３において、仮想線ＩＬは、収容穴６１ｄの径方向中心を通っている。

【0059】

図７に示すように、保持部６１ｆは、収容部６１ａの上側に繋がっている。保持部６１ｆは、収容部６１ａの外周面よりも径方向内側に位置する。保持部６１ｆは、収容部６１ａの内周面よりも径方向内側に突出している。保持部６１ｆは、周方向に沿って間隔を空けて配置された３つ以上の保持穴６１ｅを有する。本実施形態において３つ以上の保持穴６１ｅは、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置されている。保持穴６１ｅは、第１転がり部材群６０Ｇａに含まれた第１転がり部材６０ａの数と同じ数だけ設けられている。つまり、本実施形態において保持穴６１ｅは、６つ設けられている。保持穴６１ｅは、保持部６１ｆを軸方向および径方向に貫通している。本実施形態において保持穴６１ｅは、軸方向に見て、径方向に長い略長円形状である。

【0060】

各保持穴６１ｅは、各収容穴６１ｄの上側の端部のそれぞれから径方向内側に延びている。各保持穴６１ｅの径方向外側部分は、各収容穴６１ｄの上側に位置し、各収容穴６１ｄに繋がっている。つまり、各収容穴６１ｄの上側の端部は、各保持穴６１ｅにそれぞれ繋がっている。図６に示すように、各保持穴６１ｅの径方向内側部分には、各第１転がり部材６０ａがそれぞれ配置されている。各第１転がり部材６０ａは、モータシャフト２３の第１接触面２３ｈに下側から支持された状態で各保持穴６１ｅ内に配置されている。保持穴６１ｅの軸方向の寸法は、第１転がり部材６０ａの軸方向の寸法、すなわち第１転がり部材６０ａの外径Ｄよりも小さい。各保持穴６１ｅ内に配置された各第１転がり部材６０ａは、各保持穴６１ｅよりも上側に突出している。

【0061】

以下の説明においては、保持穴６１ｅの径方向外側部分、すなわち保持穴６１ｅのうち収容穴６１ｄに繋がる部分を、外側穴部６１ｊと呼ぶ場合がある。保持穴６１ｅの径方向内側部分、すなわち保持穴６１ｅのうち第１転がり部材６０ａが配置される部分を、内側穴部６１ｋと呼ぶ場合がある。内側穴部６１ｋは、外側穴部６１ｊの径方向内側に繋がっている。内側穴部６１ｋは、収容部６１ａよりも径方向内側に位置する。

【0062】

保持穴６１ｅのうち収容穴６１ｄに繋がる外側穴部６１ｊから第１転がり部材６０ａが配置される内側穴部６１ｋまでにおける周方向の寸法は、第１転がり部材６０ａの周方向の寸法、すなわち外径Ｄ以上である。そのため、例えば図６に示すように対向部材４４が設けられていない状態であれば、保持穴６１ｅ内において第１転がり部材６０ａは、径方向に移動可能である。本実施形態において外側穴部６１ｊから内側穴部６１ｋまでにおける周方向の寸法は、第１転がり部材６０ａの周方向の寸法よりも大きい。

【0063】

なお、本明細書において「保持穴のうち収容穴に繋がる部分から第１転がり部材が配置される部分までにおける周方向の寸法は、第１転がり部材の周方向の寸法以上である」とは、保持穴のうち収容穴に繋がる部分から第１転がり部材が配置される部分までの間において、第１転がり部材が配置可能となっていればよい。

【0064】

保持穴６１ｅの径方向外側の端部における周方向の寸法、および保持穴６１ｅの径方向内側の端部における周方向の寸法は、第１転がり部材６０ａの周方向の寸法よりも小さい。そのため、保持穴６１ｅに配置された第１転がり部材６０ａが保持穴６１ｅから径方向に抜け出ることが抑制される。

【0065】

図７に示すように、本実施形態において保持穴６１ｅのうち収容穴６１ｄに繋がる外側穴部６１ｊの内面は、保持穴６１ｅの内部を周方向に挟んで配置された一対の傾斜面６１ｈを有する。一対の傾斜面６１ｈは、外側穴部６１ｊの径方向内側部分における内面に設けられている。一対の傾斜面６１ｈは、径方向内側に向かうに従って互いに周方向に離れている。一対の傾斜面６１ｈの径方向内端部は、内側穴部６１ｋの内面に繋がっている。

【0066】

本実施形態において保持部６１ｆは、複数の保持穴６１ｅによって、周方向に沿って複数の部分に分断されている。保持穴６１ｅによって周方向に分断された各部は、基部６１ｂと、仕切部６１ｃと、をそれぞれ有する。基部６１ｂは、収容部６１ａの上側に繋がる部分である。基部６１ｂの周方向の寸法は、径方向内側に向かうに従って小さくなっている。基部６１ｂの周方向側面は、第１転がり部材６０ａの表面に沿う円弧形状である。基部６１ｂの周方向側面は、外側穴部６１ｊの内面を構成している。基部６１ｂの周方向側面には、傾斜面６１ｈが設けられている。図３に示すように、基部６１ｂの径方向外周縁部における上側の面には、第２対向壁部４４ｆの下側の端部が接触している。これにより、対向部材４４は、上側から第１保持部材６１に接触している。

【0067】

図６に示すように、仕切部６１ｃは、基部６１ｂから径方向内側に突出する部分である。仕切部６１ｃの軸方向の寸法は、基部６１ｂの軸方向の寸法よりも大きい。仕切部６１ｃは、基部６１ｂよりも上側に突出している。仕切部６１ｃは、周方向に間隔を空けて複数設けられている。複数の仕切部６１ｃは、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置されている。本実施形態において仕切部６１ｃは、６つ設けられている。各仕切部６１ｃは、周方向に隣り合う第１転がり部材６０ａ同士の間に位置する。仕切部６１ｃの周方向側面は、仕切部６１ｃと周方向に隣り合って配置された第１転がり部材６０ａの表面に沿った円弧形状である。仕切部６１ｃの周方向側面は、内側穴部６１ｋの内面を構成している。仕切部６１ｃの周方向の寸法は、径方向外側の端部から径方向の中央部に向かうに従って小さくなり、径方向の中央部から径方向内側の端部に向かうに従って大きくなっている。

【0068】

図８に示すように、第２保持部材６２は、モータ軸Ｊ１を囲む円環状の部材である。第２保持部材６２の軸方向の寸法は、第２転がり部材６０ｂの外径よりも小さい。第２保持部材６２は、押さえ部６２ａと、仕切部６２ｂと、を有する。本実施形態において押さえ部６２ａは、モータ軸Ｊ１を囲む円環状である。押さえ部６２ａは、第２転がり部材６０ｂの径方向外側に位置する。図８に示す例では、押さえ部６２ａは、第２転がり部材群６０Ｇｂに含まれた各第２転がり部材６０ｂの下側部分の径方向外側に位置する。

【0069】

本実施形態において仕切部６２ｂは、押さえ部６２ａの内周面から径方向内側に突出している。仕切部６２ｂは、周方向に間隔を空けて複数設けられている。複数の仕切部６２ｂは、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置されている。本実施形態において仕切部６２ｂは、６つ設けられている。各仕切部６２ｂは、周方向に隣り合う第２転がり部材６０ｂ同士の間に位置する。本実施形態において仕切部６２ｂは、押さえ部６２ａよりも上側に突出している。仕切部６２ｂの周方向側面は、仕切部６２ｂと周方向に隣り合って配置された第２転がり部材６０ｂの表面に沿った円弧形状である。仕切部６２ｂの周方向の寸法は、径方向外側の端部から径方向の中央部に向かうに従って小さくなり、径方向の中央部から径方向内側の端部に向かうに従って大きくなっている。

【0070】

周方向に隣り合う一対の仕切部６２ｂと当該一対の仕切部６２ｂの径方向外端部同士を繋ぐ押さえ部６２ａの一部とによって、第２転がり部材群６０Ｇｂに含まれた第２転がり部材６０ｂをそれぞれ内側に保持する保持穴６２ｃが構成されている。保持穴６２ｃは、周方向に沿って一周に亘って等間隔に複数配置されている。本実施形態において保持穴６２ｃは、６つ設けられている。保持穴６２ｃは、第２保持部材６２を軸方向に貫通している。保持穴６２ｃは、軸方向に見て円形状である。軸方向に見て、保持穴６２ｃの内径は、第２転がり部材６０ｂの外径よりも大きい。保持穴６２ｃの径方向内側の端部は、径方向内側に開口している。各保持穴６２ｃの内周面は、各第２転がり部材６０ｂを囲んで配置されている。

【0071】

図４に示すように、第２保持部材６２は、第１段差面２３ｄと第２段差面４１ｅとの軸方向の間に位置する。第２保持部材６２は、延伸部４１ｂと偏心軸部２３ｂとの径方向の間に位置する。図４に示す例において第２保持部材６２は、第２段差面４１ｅによって下側から支持されている。第２保持部材６２は、例えば、第１段差面２３ｄと第２段差面４１ｅとの軸方向の間に、軸方向に移動可能に配置されている。

【0072】

図１に示すように、仕切部材９０は、ステータ２２と伝達機構３０との軸方向の間に位置する。仕切部材９０は、モータ軸Ｊ１を囲んでいる。仕切部材９０は、仕切部材本体９１と、周縁壁部９２と、を有する。仕切部材本体９１は、例えば、モータ軸Ｊ１を中心とする円環状である。仕切部材本体９１は、板面が軸方向を向く板状である。仕切部材本体９１の径方向内縁部は、インシュレータ２２ｂの径方向内縁部よりも径方向外側に位置する。周縁壁部９２は、仕切部材本体９１の径方向外縁部から上側に突出している。周縁壁部９２は、例えば、モータ軸Ｊ１を中心とする円筒状である。周縁壁部９２は、モータ収容部１１ａの内周面に嵌め合わされて固定されている。周縁壁部９２の上側の端部は、ステータコア２２ａの下側の端面における径方向外縁部に接触している。

【0073】

モータ２０に電力が供給されてモータシャフト２３がモータ軸Ｊ１回りに回転されると、偏心軸部２３ｂは、モータ軸Ｊ１を中心として周方向に公転する。偏心軸部２３ｂの公転は第３ベアリング５３を介して外歯ギア３１に伝達され、外歯ギア３１は、穴部３１ｂの内周面と突出部４３の外周面との内接する位置が変化しつつ、揺動する。これにより、外歯ギア３１の歯車部と内歯ギア３２の歯車部とが噛み合う位置が、周方向に変化する。したがって、内歯ギア３２に、外歯ギア３１を介してモータシャフト２３の回転力が伝達される。

【0074】

ここで、本実施形態では、内歯ギア３２はケース１０に固定されているため回転しない。そのため、内歯ギア３２に伝達される回転力の反力によって、外歯ギア３１が偏心軸Ｊ２回りに回転する。このとき外歯ギア３１の回転する向きは、モータシャフト２３の回転する向きと反対向きとなる。外歯ギア３１の偏心軸Ｊ２回りの回転は、穴部３１ｂと突出部４３とを介して、出力フランジ部４２に伝達される。これにより、出力シャフト４１がモータ軸Ｊ１回りに回転する。このようにして、出力シャフト４１には、伝達機構３０を介してモータシャフト２３の回転が伝達される。減速機構としての伝達機構３０の構造が上述したような複数の突出部４３を介して回転を伝達する構造となっていることで、モータシャフト２３の回転に対する出力シャフト４１の回転の減速比を比較的大きくできる。そのため、出力シャフト４１の回転トルクを比較的大きくできる。

【0075】

本実施形態の電動アクチュエータ１００において、モータシャフト２３と出力シャフト４１とを組み立てる作業者等は、まず出力シャフト４１に対して第２保持部材６２を組み付ける。このとき、延伸部４１ｂは第２保持部材６２の内側に通され、第２保持部材６２は第２段差面４１ｅによって下側から支持される。作業者等は、出力シャフト４１に組み付けられた第２保持部材６２の保持穴６２ｃのそれぞれに対して、上側から第２転がり部材６０ｂを挿入し、保持させる。作業者等は、モータシャフト２３を出力シャフト４１に上側から近づけて、出力シャフト４１をモータシャフト２３の内部に通す。これにより、第２保持部材６２に保持された第２転がり部材群６０Ｇｂが第３接触面２３ｆと第４接触面４１ｇとに挟まれた状態となる。第３接触面２３ｆと第４接触面４１ｇとに挟まれることで、第２転がり部材群６０Ｇｂがモータシャフト２３および出力シャフト４１に対して外れることが抑制される。なお、このとき、モータシャフト２３には、例えば、ロータ本体２４が固定された状態となっている。作業者等は、モータシャフト２３を出力シャフト４１に組み付けた後にロータ本体２４をモータシャフト２３に固定してもよい。

【0076】

次に、作業者等は、図９に示すように、モータシャフト２３から上側に突出した出力シャフト４１の部分に上側から第１保持部材６１を近づけて、第１保持部材６１の内側に出力シャフト４１を通していく。このとき、第１保持部材６１の各収容穴６１ｄには、予め各第１転がり部材６０ａが収容された状態になっている。各収容穴６１ｄに収容された各第１転がり部材６０ａは、各収容穴６１ｄの底部に接触し、径方向内端部が収容穴６１ｄから径方向内側に突出した状態となっている。

【0077】

作業者等は、出力シャフト４１を内側に通した第１保持部材６１をモータシャフト２３に上側から近づけ、図１０に示すように、第１保持部材６１の収容部６１ａにおける下側部分の内側にモータシャフト２３の上側の端部を軽圧入する。作業者等は、収容穴６１ｄの底面が第１接触面２３ｈよりも下側になるまで、第１保持部材６１をモータシャフト２３に対して下側に押し込む。ここで、上述したように、収容穴６１ｄの内面における径方向外端部とモータシャフト２３の外周面との間の径方向の距離Ｌ２は、第１転がり部材６０ａの外径Ｄよりも小さい。そのため、収容穴６１ｄの底面が第１接触面２３ｈよりも下側になると、モータシャフト２３の上側の端部における径方向外周縁部、すなわち第１接触面２３ｈの径方向外周縁部によって、第１転がり部材６０ａが収容部６１ａに対して相対的に上側に持ち上げられる。言い換えれば、収容部６１ａをモータシャフト２３に対して下側に押し込む際、第１転がり部材６０ａが第１接触面２３ｈの径方向外周縁部に引っ掛かるため、収容部６１ａが第１転がり部材６０ａに対して相対的に下側に移動する。作業者等は、例えば、第１転がり部材６０ａのうち軸方向の半分以上の部分が収容穴６１ｄ内に位置する範囲内で、第１保持部材６１をモータシャフト２３に対して下側に押し込む作業を終了する。これにより、第１保持部材６１が図１０に示すような状態でモータシャフト２３に仮固定される。

【0078】

次に、作業者等は、対向部材４４を出力シャフト４１に上側から近づけて、対向部材４４の内側に出力シャフト４１を圧入して通しつつ、対向部材４４を出力シャフト４１に対して下側に押し下げていく。対向部材４４を出力シャフト４１に対して下側に移動させていくと、図１１に示すように、対向部材４４のうち第２対向壁部４４ｆの下側の端部が、第１保持部材６１の基部６１ｂに接触する。作業者等は、この状態で、さらに対向部材４４を出力シャフト４１に対して下側に押し込んでいく。これにより、対向部材４４に押されて、第１保持部材６１もモータシャフト２３に対して下側に移動させられる。第１保持部材６１がモータシャフト２３に対して下側に移動すると、第１転がり部材６０ａが第１接触面２３ｈの径方向外周縁部から上側向きの力を受けて、第１保持部材６１に対して相対的に上側に移動する。つまり、第１転がり部材６０ａは、第１保持部材６１が下側に移動すると共に、収容穴６１ｄ内を相対的に上側に移動していく。

【0079】

対向部材４４を出力シャフト４１に対してさらに下側に押し込んでいくと、図１２に示すように、第２対向壁部４４ｆの下側の端部が第１転がり部材６０ａの径方向外側部分に上側から接触する。このとき、第１転がり部材６０ａは、上側部分が保持穴６１ｅの外側穴部６１ｊに挿入され、かつ、下側部分が収容穴６１ｄに収容された状態となっている。この状態で、対向部材４４を出力シャフト４１に対してさらに下側に押し込むと、第１転がり部材６０ａの径方向内側部分は第１接触面２３ｈの径方向外周縁部から上側向きの力を受け、かつ、第１転がり部材６０ａの径方向外側部分は第２対向壁部４４ｆから下側向きの力を受ける。これにより、第１転がり部材６０ａには上側かつ斜め径方向内側向きの力が加えられ、第１転がり部材６０ａは、第１保持部材６１および対向部材４４に対して上側かつ斜め径方向内側に相対移動する。

【0080】

対向部材４４を図３に示す位置まで出力シャフト４１に対して下側に押し込むと、第１転がり部材６０ａが保持穴６１ｅの内側穴部６１ｋまで移動し、第１接触面２３ｈと第２接触面４４ｃとに挟まれた状態となる。第１接触面２３ｈと第２接触面４４ｃとに挟まれることで、第１転がり部材群６０Ｇａがモータシャフト２３および出力シャフト４１に対して外れることが抑制される。また、図３に示す状態において、保持部６１ｆにおける仕切部６１ｃは、例えば、第１接触面２３ｈに接触する。仕切部６１ｃは、第１接触面２３ｈと僅かな隙間を介して対向して配置されてもよい。第１保持部材６１は、モータシャフト２３に軽圧入されつつ、仕切部６１ｃが第１接触面２３ｈに上側から引っ掛かり、かつ、基部６１ｂが第２対向壁部４４ｆによって上側から押さえられることで、モータシャフト２３に対して固定された状態となる。

【0081】

このようにして、第１転がり部材群６０Ｇａ、第１保持部材６１、および対向部材４４が組み付けられる。上述したように、本実施形態では、各第１転がり部材６０ａが収容穴６１ｄに保持された状態の第１保持部材６１をモータシャフト２３に仮固定した後に、対向部材４４を出力シャフト４１の所定の位置に固定する作業を行うことのみで、各第１転がり部材６０ａを各収容穴６１ｄから各保持穴６１ｅの径方向内側部分へと自動的に移動させることができ、第１転がり部材群６０Ｇａの組み付け作業も完了させることができる。対向部材４４が出力シャフト４１に固定された後、作業者等は、対向部材４４に対してセンサマグネット４５を固定する。なお、作業者等は、出力シャフト４１に対して対向部材４４を固定する前に、対向部材４４にセンサマグネット４５を固定してもよい。

【0082】

なお、本明細書において「作業者等」とは、各作業を行う作業者および組立装置等を含む。各作業は、作業者のみによって行われてもよいし、組立装置のみによって行われてもよいし、作業者と組立装置とによって行われてもよい。

【0083】

本実施形態によれば、電動アクチュエータ１００は、モータ軸Ｊ１を囲んで配置された３つ以上の第１転がり部材６０ａを含む第１転がり部材群６０Ｇａを備える。第１転がり部材群６０Ｇａは、モータシャフト２３の上側の端部と対向部材４４との軸方向の間に位置する。モータシャフト２３と対向部材４４とは、第１転がり部材群６０Ｇａを介して互いに軸方向および径方向に支持されている。そのため、第１転がり部材群６０Ｇａを介して、モータシャフト２３と、対向部材４４が固定された出力シャフト４１と、を互いに径方向および軸方向に相対的に位置決めすることができる。これにより、モータシャフト２３と出力シャフト４１とが互いに傾くことを抑制できる。また、モータシャフト２３および出力シャフト４１が軸方向および径方向にガタつくことを抑制できる。

【0084】

また、第１転がり部材群６０Ｇａによって、モータシャフト２３の内周面と出力シャフト４１の外周面とが接触することを抑制できる。そのため、モータシャフト２３の内周面と出力シャフト４１の外周面とが擦れることを抑制できる。これにより、モータシャフト２３と出力シャフト４１とがモータ軸Ｊ１回りに相対的に回転する際に生じる損失を低減できる。一方、第１転がり部材群６０Ｇａに含まれた３つ以上の第１転がり部材６０ａが回転することで、モータシャフト２３と出力シャフト４１との相対的なモータ軸Ｊ１回りの回転を、損失を抑制しつつ好適に許容することができる。これにより、モータシャフト２３から出力シャフト４１への回転の伝達効率を向上できる。また、モータシャフト２３と出力シャフト４１との間にボールベアリングのような転がり軸受を使用する場合に比べて、電動アクチュエータ１００が大型化することを抑制でき、かつ、電動アクチュエータ１００の製造コストを低減できる。

【0085】

また、本実施形態によれば、電動アクチュエータ１００は、第１転がり部材６０ａが回転可能な状態で第１転がり部材群６０Ｇａを保持する第１保持部材６１を備える。そのため、モータシャフト２３と出力シャフト４１とを組み立てる際に、第１転がり部材６０ａが脱落するなどの不具合が生じることを、第１保持部材６１によって抑制できる。これにより、モータシャフト２３と出力シャフト４１との組立を容易にできる。

【0086】

また、本実施形態によれば、第１保持部材６１は、周方向に沿って間隔を空けて配置された３つ以上の保持穴６１ｅを有する保持部６１ｆを有する。各第１転がり部材６０ａは、各保持穴６１ｅにそれぞれ配置されている。そのため、各第１転がり部材６０ａをそれぞれ保持することができ、第１転がり部材６０ａ同士の相対位置が変化することを抑制できる。これにより、第１転がり部材群６０Ｇａにおいて第１転がり部材６０ａ同士が周方向に近づくことを抑制でき、第１転がり部材６０ａの周方向位置が偏ることを抑制できる。したがって、第１転がり部材６０ａを介してモータシャフト２３と出力シャフト４１とが互いに支持された状態を好適に維持できる。また、第１転がり部材６０ａを周方向に敷き詰める必要がないため、第１転がり部材６０ａの数を少なくできる。そのため、電動アクチュエータ１００の部品点数を低減でき、電動アクチュエータ１００の製造コストを低減できる。

【0087】

また、本実施形態によれば、第１保持部材６１は、モータシャフト２３を囲む環状の収容部６１ａを有する。収容部６１ａは、周方向に沿って間隔を空けて配置された３つ以上の収容穴６１ｄを有する。各収容穴６１ｄは、軸方向に延び、かつ、上側および径方向内側に開口している。第１保持部材６１がモータシャフト２３に対して組み付けられていない状態において、各収容穴６１ｄのそれぞれは、各第１転がり部材６０ａのそれぞれを軸方向に移動可能な状態で収容可能である。そのため、図９に示すように、第１保持部材６１を組み付ける前の状態において各収容穴６１ｄに各第１転がり部材６０ａを収容して保持させることができる。これにより、第１保持部材６１に対して第１転がり部材群６０Ｇａを好適に保持させた状態のまま、第１保持部材６１の組み付け作業を行っていくことができる。

【0088】

具体的には、例えば、上述したように、第１保持部材６１をモータシャフト２３の上端部に仮固定した図１０に示す状態においても、第１転がり部材６０ａの少なくとも一部を収容穴６１ｄ内に収容して保持しておくことができる。そのため、第１保持部材６１をモータシャフト２３に対して仮固定した状態においても、第１保持部材６１に対して第１転がり部材群６０Ｇａを好適に保持させておくことができる。したがって、モータシャフト２３と出力シャフト４１とを組み立てる際に、第１転がり部材６０ａが脱落するなどの不具合が生じることをより抑制できる。これにより、モータシャフト２３と出力シャフト４１との組立をより容易にできる。

【0089】

特に、第１転がり部材群６０Ｇａを組み付ける際に、ロータ本体２４がモータシャフト２３に対してすでに組み付けられている場合、ロータ本体２４のロータマグネット２４ｂによって、第１転がり部材６０ａは、ロータマグネット２４ｂに引き寄せられる向きの磁力を受ける。そのため、例えば、第１保持部材６１が上述した第２保持部材６２のような形状である場合には、モータシャフト２３の上側に第１保持部材６１および第１転がり部材群６０Ｇａを配置した際、対向部材４４を取り付ける前に、第１転がり部材６０ａがロータマグネット２４ｂに引き寄せられて、第１保持部材６１から脱落する恐れがある。これに対して、本実施形態によれば、上述したように、第１転がり部材６０ａを収容可能な収容穴６１ｄが設けられているため、第１転がり部材６０ａがロータマグネット２４ｂから磁力を受けても、第１転がり部材６０ａが第１保持部材６１から脱落することを抑制できる。

【0090】

また、本実施形態によれば、各収容穴６１ｄの上側の端部は、各保持穴６１ｅにそれぞれ繋がっている。各保持穴６１ｅは、各収容穴６１ｄの上側の端部のそれぞれから径方向内側に延びている。各第１転がり部材６０ａは、各保持穴６１ｅの径方向内側部分にそれぞれ配置されている。保持穴６１ｅのうち収容穴６１ｄに繋がる部分から第１転がり部材６０ａが配置される部分までにおける周方向の寸法は、第１転がり部材６０ａの周方向の寸法以上である。そのため、第１保持部材６１は、収容穴６１ｄに軸方向に移動可能に収容されていた第１転がり部材６０ａを、収容穴６１ｄから保持穴６１ｅに移動させることが可能で、かつ、保持穴６１ｅ内を径方向に移動させることが可能な構成となっている。これにより、例えば、上述したような組み付け方法によって第１転がり部材６０ａを収容穴６１ｄから保持穴６１ｅの径方向内側部分へと移動させることで、収容穴６１ｄに収容されていた第１転がり部材６０ａをモータシャフト２３と出力シャフト４１とを共に支持可能となる保持穴６１ｅの径方向内側部分へと移動させることができる。したがって、組み付けていく際、一時的に収容穴６１ｄによって第１転がり部材群６０Ｇａの脱落を抑制しつつ、第１転がり部材群６０Ｇａを好適な箇所へと組み付けることが可能である。

【0091】

また、本実施形態によれば、収容穴６１ｄの内面における径方向外端部とモータシャフト２３の外周面との間の径方向の距離Ｌ２は、第１転がり部材６０ａの径方向の寸法、すなわち外径Ｄよりも小さい。そのため、上述したように、第１保持部材６１の内側にモータシャフト２３を通していくと、モータシャフト２３の上側の端部における径方向外周縁部に第１転がり部材６０ａが当たり、第１転がり部材６０ａを収容穴６１ｄ内において相対的に上側に移動させていくことができる。これにより、第１保持部材６１をモータシャフト２３に対して下側に移動させていくことで、第１転がり部材６０ａを、収容穴６１ｄから、収容穴６１ｄの上側に繋がる保持穴６１ｅへと容易に移動させることができる。したがって、例えば、上述したように、対向部材４４を介して第１保持部材６１を下側に押していけば、対向部材４４で第１転がり部材６０ａを上側から覆いつつ、第１転がり部材６０ａを収容穴６１ｄから保持穴６１ｅへと移動させることができる。これにより、第１転がり部材６０ａが収容穴６１ｄから保持穴６１ｅへと移動する際に、第１転がり部材６０ａが脱落することを抑制できる。

【0092】

また、本実施形態によれば、第２対向壁部４４ｆの下側の端部における径方向内側面は、収容穴６１ｄの内面における径方向外端部とモータシャフト２３の外周面との間の径方向中心よりも径方向外側に位置し、かつ、収容穴６１ｄの内面における径方向外端部よりも径方向内側に位置する。そのため、図１２に示すように、対向部材４４を第１保持部材６１に近づけていくと、第２対向壁部４４ｆの下側の端部が第１転がり部材６０ａの径方向外側部分に上側から接触する。これにより、第２対向壁部４４ｆを第１転がり部材６０ａに対して押し下げることで、第２対向壁部４４ｆによって第１転がり部材６０ａを径方向内側に押し込むことができる。したがって、対向部材４４を出力シャフト４１に対して下側に移動させて出力シャフト４１に取り付ける作業を行うことで、第１転がり部材６０ａを保持穴６１ｅにおいて径方向内側に移動させることができる。そのため、第１転がり部材６０ａを保持穴６１ｅの径方向内側部分に好適かつ容易に移動させて保持させることができる。

【0093】

また、本実施形態によれば、対向部材４４は、上側から第１保持部材６１に接触している。そのため、対向部材４４を出力シャフト４１に対して下側に移動させることで、対向部材４４によって第１保持部材６１をモータシャフト２３に対して下側に移動させることができる。これにより、対向部材４４を出力シャフト４１に対して取り付ける作業を行うことによって、第１保持部材６１をモータシャフト２３に対して押し下げて、第１転がり部材６０ａを相対的に上側に移動させることができると共に、上側に相対的に移動させた第１転がり部材６０ａを第２対向壁部４４ｆによって径方向内側に移動させて、保持穴６１ｅの径方向内側部分に保持させることができる。したがって、第１転がり部材群６０Ｇａの組み付けをより容易にできる。

【0094】

また、本実施形態によれば、収容部６１ａの径方向内側には、モータシャフト２３が圧入されている。そのため、図１０に示すように、モータシャフト２３の上側の端部に、第１保持部材６１を容易に仮固定しておくことができる。

【0095】

また、本実施形態によれば、保持穴６１ｅのうち収容穴６１ｄに繋がる部分の内面は、保持穴６１ｅの内部を周方向に挟んで配置された一対の傾斜面６１ｈを有する。一対の傾斜面６１ｈは、径方向内側に向かうに従って互いに周方向に離れている。そのため、一対の傾斜面６１ｈによって、第１転がり部材６０ａを保持穴６１ｅ内において径方向内側に導きやすくできる。これにより、収容穴６１ｄから保持穴６１ｅに移動した第１転がり部材６０ａを径方向内側に移動させやすくでき、第１転がり部材６０ａをより好適に保持穴６１ｅの径方向内側部分に保持させやすくできる。

【0096】

また、本実施形態によれば、モータシャフト２３の上側の端面は、上側かつ斜め径方向外側を向く第１接触面２３ｈを有する。対向部材４４は、第１対向壁部４４ｅの下側の面と第２対向壁部４４ｆの径方向内側面とによって構成され下側かつ径方向内側を向く第２接触面４４ｃを有する。第１転がり部材６０ａは、第１接触面２３ｈと第２接触面４４ｃとの間に位置し、かつ、第１接触面２３ｈおよび第２接触面４４ｃに接触している。このように軸方向に対して径方向に斜めに傾く第１接触面２３ｈおよび第２接触面４４ｃに第１転がり部材６０ａが接触することで、第１転がり部材６０ａをモータシャフト２３と対向部材４４との両方に軸方向および径方向に接触させることができる。これにより、第１転がり部材６０ａを介して、モータシャフト２３と、対向部材４４が固定された出力シャフト４１と、を容易に軸方向および径方向に互いに支持させることができる。

【0097】

また、本実施形態によれば、第１接触面２３ｈおよび第２接触面４４ｃは、第１転がり部材６０ａの表面に沿った形状である。そのため、第１転がり部材６０ａの表面を第１接触面２３ｈと第２接触面４４ｃとに好適に接触させることができる。これにより、第１転がり部材群６０Ｇａを介して、モータシャフト２３と出力シャフト４１とをより好適に軸方向および径方向に互いに支持することができる。

【0098】

また、本実施形態によれば、電動アクチュエータ１００は、モータ軸Ｊ１を囲んで配置された３つ以上の第２転がり部材６０ｂを含む第２転がり部材群６０Ｇｂを備える。モータシャフト２３と出力シャフト４１とは、第２転がり部材群６０Ｇｂを介して互いに軸方向および径方向に支持されている。第１転がり部材群６０Ｇａは、ロータ本体２４よりも上側に位置する。第２転がり部材群６０Ｇｂは、ロータ本体２４よりも下側に位置する。そのため、第１転がり部材群６０Ｇａと第２転がり部材群６０Ｇｂとの２つの転がり部材群によって、モータシャフト２３と出力シャフト４１とを互いに軸方向および径方向に好適に支持することができる。これにより、モータシャフト２３と出力シャフト４１とが互いに傾くことをより抑制できる。また、モータシャフト２３および出力シャフト４１が軸方向および径方向にガタつくことをより抑制できる。また、モータシャフト２３の内周面と出力シャフト４１の外周面とが擦れることをより抑制でき、モータシャフト２３から出力シャフト４１への回転の伝達効率をより向上できる。

【0099】

また、本実施形態によれば、モータシャフト２３の内周面には、下側を向く第１段差面２３ｄを有する第１段差部２３ｃが設けられている。出力シャフト４１の外周面には、上側を向き第１段差面２３ｄの下側に位置する第２段差面４１ｅを有する第２段差部４１ｄが設けられている。第１段差面２３ｄは、下側かつ斜め径方向内側を向く第３接触面２３ｆを有する。第２段差面４１ｅは、上側かつ斜め径方向外側を向く第４接触面４１ｇを有する。第２転がり部材６０ｂは、第３接触面２３ｆと第４接触面４１ｇとの間に位置し、かつ、第３接触面２３ｆおよび第４接触面４１ｇに接触している。このように軸方向に対して径方向に斜めに傾く第３接触面２３ｆおよび第４接触面４１ｇに第２転がり部材６０ｂが接触することで、第２転がり部材６０ｂをモータシャフト２３と出力シャフト４１との両方に軸方向および径方向に接触させることができる。これにより、第２転がり部材６０ｂを介して、モータシャフト２３と出力シャフト４１とを容易に軸方向および径方向に互いに支持させることができる。

【0100】

また、本実施形態によれば、第３接触面２３ｆおよび第４接触面４１ｇは、第２転がり部材６０ｂの表面に沿った形状である。そのため、第２転がり部材６０ｂの表面を第３接触面２３ｆと第４接触面４１ｇとに好適に接触させることができる。これにより、第２転がり部材群６０Ｇｂを介して、モータシャフト２３と出力シャフト４１とをより好適に軸方向および径方向に互いに支持することができる。

【0101】

また、本実施形態によれば、電動アクチュエータ１００は、第２転がり部材６０ｂが回転可能な状態で第２転がり部材群６０Ｇｂを保持する第２保持部材６２を備える。そのため、第２保持部材６２によって、モータシャフト２３と出力シャフト４１とを組み立てる際に、第２転がり部材６０ｂが脱落するなどの不具合が生じることを抑制できる。これにより、モータシャフト２３と出力シャフト４１との組立を容易にできる。また、第２保持部材６２によって第２転がり部材６０ｂを保持できるため、第２転がり部材６０ｂ同士の相対位置が変化することを抑制できる。これにより、第２転がり部材群６０Ｇｂにおいて第２転がり部材６０ｂ同士が周方向に近づくことを抑制でき、第２転がり部材６０ｂの周方向位置が偏ることを抑制できる。したがって、第２転がり部材６０ｂを介してモータシャフト２３と出力シャフト４１とが互いに支持された状態を好適に維持できる。また、第２転がり部材６０ｂを周方向に敷き詰める必要がないため、第２転がり部材６０ｂの数を少なくできる。そのため、電動アクチュエータ１００の部品点数を低減でき、電動アクチュエータ１００の製造コストを低減できる。

【0102】

また、本実施形態によれば、第２保持部材６２は、第２転がり部材６０ｂの径方向外側に位置する押さえ部６２ａと、周方向に隣り合う第２転がり部材６０ｂ同士の間に位置する仕切部６２ｂと、を有する。そのため、押さえ部６２ａによって第２転がり部材６０ｂが第２保持部材６２から径方向外側に外れて脱落することを抑制できる。これにより、モータシャフト２３と出力シャフト４１との組立をより容易にできる。また、仕切部６２ｂによって周方向に隣り合う第２転がり部材６０ｂ同士の位置が変化することを抑制できる。これにより、第２転がり部材群６０Ｇｂにおいて第２転がり部材６０ｂ同士が周方向に近づくことをより好適に抑制でき、第２転がり部材６０ｂの周方向位置が偏ることをより好適に抑制できる。

【0103】

また、本実施形態によれば、第１保持部材６１および第２保持部材６２は、樹脂製である。そのため、モータシャフト２３と出力シャフト４１とがモータ軸Ｊ１回りに相対回転する際に、第１保持部材６１と第２保持部材６２との少なくとも一方がモータシャフト２３または出力シャフト４１に擦れる場合であっても、各シャフトと各保持部材との間に生じる摩擦力を低減できる。これにより、モータシャフト２３と出力シャフト４１との相対回転が第１保持部材６１および第２保持部材６２によって阻害されることを抑制できる。

【0104】

本発明は上述の実施形態に限られず、本発明の技術的思想の範囲内において、他の構成および方法を採用することもできる。第１転がり部材の数および第２転がり部材の数は、３つ以上であれば、特に限定されない。第１転がり部材の数と第２転がり部材の数とは、互いに異なっていてもよい。第１転がり部材の大きさと第２転がり部材の大きさとは、互いに異なっていてもよい。第１転がり部材および第２転がり部材は、例えば、円柱状または円筒状の部材であってもよい。第２転がり部材群は、設けられなくてもよい。

【0105】

第１保持部材は、収容部と保持部とを有し、第１転がり部材が回転可能な状態で第１転がり部材群を保持可能であれば、どのような形状であってもよい。第２保持部材は、第２転がり部材が回転可能な状態で第２転がり部材群を保持できるならば、どのような形状であってもよい。第１保持部材を構成する材料および第２保持部材を構成する材料は、特に限定されない。第１保持部材および第２保持部材は、例えば、金属製であってもよい。第２保持部材は、設けられなくてもよい。この場合、例えば、粘性の比較的高いグリースなどで第２転がり部材群に含まれる複数の第２転がり部材を保持した状態で、第２転がり部材群を組み付けてもよい。

【0106】

収容穴の内面における径方向外端部とモータシャフトの外周面との間の径方向の距離は、第１転がり部材の径方向の寸法以上であってもよい。この場合、第１保持部材をモータシャフトに対して取り付けて軸方向に移動させても第１転がり部材が収容穴内で軸方向に移動しない場合が考えられる。その場合には、例えば、収容穴の底部に貫通孔を設けて、貫通孔から棒状の部材などを差し込み、モータシャフトに対する第１保持部材の軸方向への移動に伴って第１転がり部材を当該棒状の部材などで押し上げることで、第１転がり部材を収容穴から保持穴へと移動させてもよい。

【0107】

第２対向壁部の軸方向一方側（下側）の端部における径方向内側面の径方向位置は、特に限定されない。この場合、第２対向壁部によって第１転がり部材を径方向内側に移動させることができない場合が考えられる。その場合には、例えば、対向部材と第１保持部材との軸方向に径方向外側から棒状の部材などを差し込んで第１転がり部材を径方向内側へと移動させてもよい。また、上述したように収容穴の底部に設けた貫通孔に差し込んだ棒状の部材などで第１転がり部材を軸方向に移動させる場合には、当該棒状の部材などで第１転がり部材を径方向内側へと押して移動させてもよい。

【0108】

収容部の内周面は、モータシャフトの外周面から離れて配置されてもよい。保持穴のうち収容穴に繋がる部分の内面は、保持穴の内部を周方向に挟んで配置された一対の傾斜面を有しなくてもよい。

【0109】

対向部材は、第１対向壁部と第２対向壁部とを有するならば、どのような形状であってもよい。対向部材は、センサマグネットを取り付けるための取付部材でなくてもよい。対向部材は、第１保持部材と軸方向に接触しなくてもよい。

【0110】

伝達機構は、モータシャフトの回転を出力シャフトに伝達できるならば、特に限定されない。伝達機構は、増速機構であってもよいし、モータシャフトの回転を変速しない機構であってもよい。伝達機構が減速機構である場合、減速機構の構造は、特に限定されない。複数の突出部は外歯ギアに設けられ、複数の穴部は出力フランジ部に設けられてもよい。この場合、突出部は、外歯ギアから出力フランジ部に向かって突出し、穴部に挿入される。

【0111】

本発明が適用される電動アクチュエータの用途は、特に限定されない。電動アクチュエータは、運転者のシフト操作に基づいて駆動されるシフト・バイ・ワイヤ方式のアクチュエータ装置に搭載されてもよい。また、電動アクチュエータは、車両以外の機器に搭載されてもよい。なお、以上に、本明細書において説明した各構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。

【符号の説明】

【0112】

２０…モータ、２１…ロータ、２３…モータシャフト、２３ｈ…第１接触面、２４…ロータ本体、３０…伝達機構、４１…出力シャフト、４４…対向部材、４４ｃ…第２接触面、４４ｅ…第１対向壁部、４４ｆ…第２対向壁部、６０ａ…第１転がり部材，６０ｂ…第２転がり部材、６０Ｇａ…第１転がり部材群，６０Ｇｂ…第２転がり部材群、６１…第１保持部材、６１ａ…収容部、６１ｄ…収容穴、６１ｅ…保持穴、６１ｆ…保持部、６１ｈ…傾斜面、６２…第２保持部材、１００…電動アクチュエータ、Ｊ１…モータ軸

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】