(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023031038
(43)【公開日】2023-03-08
(54)【発明の名称】充填包装機
(51)【国際特許分類】
B65B 7/18 20060101AFI20230301BHJP
【FI】
B65B7/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021136505
(22)【出願日】2021-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】000180298
【氏名又は名称】四国化工機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直都
(74)【代理人】
【識別番号】100079038
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 彰
(74)【代理人】
【識別番号】100199369
【弁理士】
【氏名又は名称】玉井 尚之
(72)【発明者】
【氏名】澁野 武志
(72)【発明者】
【氏名】西内 和正
(72)【発明者】
【氏名】近藤 光
【テーマコード(参考)】
3E049
【Fターム(参考)】
3E049AA03
3E049BA01
3E049CA05
3E049DB01
3E049DB04
3E049FA08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】容器の上部に確実に折り癖を付けておくことにより、形成される内容物充填容器に角部の成形不良が生じない充填包装機を提供する。
【解決手段】充填包装機は、上部開口を有するカートンC1よりなる複数の容器C1を1列または左右複数列に並んだ状態で搬送する搬送経路Rの所定箇所に、封止前の容器の上部に折り罫に沿って折り癖を付けるトップブレーカ部6を備えている。トップブレーカ部は、容器の列毎に、容器の隣り合う側壁によって形成された4つの角部が直角となるように容器を側方から支持する左右1対のガイド部材61L、61Rと、両ガイド部材によって支持された容器の上部を押圧して折り曲げる折り曲げ部材62B、62F、63とを備え、左右ガイド部材は、容器と干渉しない退避位置と容器を支持する支持位置との間で揺動させられるようになっている。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部開口を有するカートンよりなる複数の容器を前後方向にのびる搬送経路に沿って1列または左右複数列に並んだ状態で搬送しながら前記容器への内容物の充填および前記上部開口の封止を順次行うことにより内容物充填容器を形成する充填包装機であって、
前記容器は、平坦なスリーブ状に折り畳まれたカートンブランクを角筒状となるように折り曲げるとともにその一方の端部を内側に折り曲げて封止することにより形成されたものであって、前後左右の4つの側壁を有しており、前記4つの側壁の上部に所定形状に折り曲げるための折り罫が形成されており、
前記搬送経路の所定箇所に、封止前の前記容器の上部に前記折り罫に沿って折り癖を付けるトップブレーカ部が設けられており、
前記トップブレーカ部は、前記容器の列毎に、前記容器の隣り合う側壁によって形成されている4つの角部が直角となるように前記容器を側方から支持する1対のガイド部材と、前記1対のガイド部材によって支持された前記容器の上部を押圧して折り曲げる折り曲げ部材とを備えており、
前記1対のガイド部材は、前記容器と干渉しない退避位置と前記容器を支持する支持位置との間で移動させられるようになっている、充填包装機。
【請求項2】
前記1対のガイド部材は、前後両端部のうち所定の一方の端部を揺動中心として前記退避位置と前記支持位置との間で揺動させられる左ガイド部材と、前後両端部のうち前記左ガイド部材の揺動中心と反対側の端部を揺動中心として前記退避位置と前記支持位置との間で揺動させられる右ガイド部材とで構成されており、
前記左ガイド部材および前記右ガイド部材は、前記支持位置において前記容器の左右各側壁外面に当接させられる垂直な第1支持面と、前記左ガイド部材および前記右ガイド部材の先端部に前記第1支持面と直角をなすように設けられかつ前記退避位置から前記支持位置に向かって揺動させられた際に前記容器の前記4つの角部のうち前記カートンブランクの両折り畳み縁部に対応する2つの角部に係り合わせられて同2つの角部を前記第1支持面と協働して直角に矯正する角部矯正部とを有している、請求項1の充填包装機。
【請求項3】
前記折り曲げ部材は、前記容器の上部を前後両側から押圧して折り曲げる前後1対の第1折り曲げ部材を含んでおり、
前記容器の左右各側壁の上部に、その幅全体に亘って横方向にのびる上部横折り罫と、前記上部横折り罫を下辺とする三角形を形成するように前記上部横折り罫の前後端から斜め上方にのびる2つの上部斜め折り罫とが形成され、前記上部横折り罫および前記2つの上部斜め折り罫によって囲まれた三角形の部分が、前記前後1対の第1折り曲げ部材によって前記容器の上部が折り曲げられた際に左右方向外方に倒れる上部三角パネル部となされており、
前記左ガイド部材および前記右ガイド部材は、前記支持位置において、前記第1支持面の上側縁が前記上部横折り罫に沿わされるようになっている、請求項2の充填包装機。
【請求項4】
前記左ガイド部材および前記右ガイド部材は、前記第1支持面の上側縁に連なりかつ前記前後1対の第1折り曲げ部材によって前記容器の上部が折り曲げられた際に左右方向外方に倒れた前記上部三角パネル部の外面に当接させられる第2支持面をさらに有している、請求項3の充填包装機。
【請求項5】
前記左ガイド部材および前記右ガイド部材は、これらの揺動中心が、前記搬送経路と直角をなす左右方向において、前記支持位置における前記第1支持面から前記容器と反対側に距離をおいて位置させられているとともに、前記搬送経路と平行な前後方向において、前記第1支持面の前後両端のうち角部矯正部から遠い方の端から前記第1支持面と反対側に距離をおいて位置させられている、請求項2~4のいずれか1つの充填包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、充填包装機に関し、より詳細には、カートンよりなる複数の容器を所定の搬送経路に沿って搬送しながら容器内に飲料、食品等の内容物を充填して密封包装することにより内容物充填容器を形成する充填包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の充填包装機に用いられる容器としては、紙を主体とするカートンブランクを有底角筒状に成形してなるカートンが一般に知られている。この容器は、例えば、平坦なスリーブ状に折り畳まれたカートンブランクを角筒状となるように折り曲げた後、その一方の端部を内側に折り曲げて封止することにより、上部開口を有する有底角筒状に形成される。
そして、形成された複数の容器を、充填包装機において搬送コンベアで所定方向に搬送しながら、内容物の充填および容器の上部開口の封止等を順次行うことにより、内容物充填容器が形成される。
ここで、容器の4つの側壁の上部には、上部開口を封止する際に所定形状に折り曲げるための折り罫が形成されている。但し、容器の材料として用いられるカートンブランクは、ある程度の可撓性を有するものであるため、折り曲げ加工後のスプリングバック作用により折り曲げの角度が不十分となり、容器の上部開口の封止に支障を来たす場合がある。
【0003】
そこで、上記のような問題を解消する手段として、搬送コンベア上の所定箇所に容器の上部に予め折り癖を付けるトップブレーカ部を設けた充填包装機が提案されている。具体的には、充填包装機のトップブレーカ部として、例えば以下に示すものが知られている。
まず、下記の特許文献1には、容器の上部を切妻屋根状に折り曲げるためのトップブレーカ部であって、容器の上方開口に臨むように昇降自在に設けられかつ下降時に容器の搬送方向と平行をなす前後方向両側の側壁上部を内側に折り曲げる逆V形の折り曲げプレートと、容器の搬送方向と直角をなす左右方向両側に左右揺動自在に設けられかつ容器の上部を左右両側から押圧することにより容器の上部を切妻屋根状に折り曲げる左ウイングおよび右ウイングとを備えたものが開示されている。
また、下記の特許文献2には、容器の上部を左右両側に張り出したフラップが形成されるように平坦に折り曲げるためのトップブレーカ部であって、容器の搬送方向と直角をなす左右方向に容器が入り込みうる間隔をあけて所定高さ位置に水平に配置された左右1対の固定挟圧片と、容器の搬送方向と平行をなす前後方向両側に前後揺動自在に設けられかつ容器の上部を前後両側から押圧することにより固定挟圧片と協働して容器の上部を左右両側に広がるように平坦に折り畳む前後1対の可動挟圧片(ウイング)とを備えたものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭62-191602号公報
【特許文献2】特開昭63-125105号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、カートンブランクから形成される有底角筒状の容器にあっては、平坦なスリーブ状に折り畳まれたカートンブランクの形態に戻ろうとするスプリングバック作用により、隣り合う側壁によって形成された4つの角部が直角になっていない、すなわち、同カートンブランクの両側の折り畳み縁部に対応する2つの角部が鋭角となり、残りの2つの角部が鈍角となっている場合がある。
このように角部が変形した状態の容器の上部に対して、特許文献1,2記載のような従来のトップブレーカ部によって折り癖を付けようとする場合、容器の上部の折り曲げが不十分となり、製品として得られる内容物充填容器に角部の成形不良が生じるおそれがあった。
また、特許文献2記載のトップブレーカ部の場合、角部が変形した状態の容器が左右1対の固定挟圧片の間を通らず、充填包装機の運転に支障を来すおそれがあった。
【0006】
この発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、カートンよりなる有底角筒状の容器を用いて内容物充填容器を形成するに当たり、容器の上部に確実に折り癖を付けておくことにより、形成される内容物充填容器に角部の成形不良が生じない充填包装機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、上記の目的を達成するために、以下の態様からなる。
【0008】
1)上部開口を有するカートンよりなる複数の容器を前後方向にのびる搬送経路に沿って1列または左右複数列に並んだ状態で搬送しながら前記容器への内容物の充填および前記上部開口の封止を順次行うことにより内容物充填容器を形成する充填包装機であって、
前記容器は、平坦なスリーブ状に折り畳まれたカートンブランクを角筒状となるように折り曲げるとともにその一方の端部を内側に折り曲げて封止することにより形成されたものであって、前後左右の4つの側壁を有しており、前記4つの側壁の上部に所定形状に折り曲げるための折り罫が形成されており、
前記搬送経路の所定箇所に、封止前の前記容器の上部に前記折り罫に沿って折り癖を付けるトップブレーカ部が設けられており、
前記トップブレーカ部は、前記容器の列毎に、前記容器の隣り合う側壁によって形成されている4つの角部が直角となるように前記容器を側方から支持する1対のガイド部材と、前記1対のガイド部材によって支持された前記容器の上部を押圧して折り曲げる折り曲げ部材とを備えており、
前記1対のガイド部材は、前記容器と干渉しない退避位置と前記容器を支持する支持位置との間で移動させられるようになっている、充填包装機。
【0009】
2)前記1対のガイド部材は、前後両端部のうち所定の一方の端部を揺動中心として前記退避位置と前記支持位置との間で揺動させられる左ガイド部材と、前後両端部のうち前記左ガイド部材の揺動中心と反対側の端部を揺動中心として前記退避位置と前記支持位置との間で揺動させられる右ガイド部材とで構成されており、
前記左ガイド部材および前記右ガイド部材は、前記支持位置において前記容器の左右各側壁外面に当接させられる垂直な第1支持面と、前記左ガイド部材および前記右ガイド部材の先端部に前記第1支持面と直角をなすように設けられかつ前記退避位置から前記支持位置に向かって揺動させられた際に前記容器の前記4つの角部のうち前記カートンブランクの両折り畳み縁部に対応する2つの角部に係り合わせられて同2つの角部を前記第1支持面と協働して直角に矯正する角部矯正部とを有している、1)の充填包装機。
【0010】
3)前記折り曲げ部材は、前記容器の上部を前後両側から押圧して折り曲げる前後1対の第1折り曲げ部材を含んでおり、
前記容器の左右各側壁の上部に、その幅全体に亘って横方向にのびる上部横折り罫と、前記上部横折り罫を下辺とする三角形を形成するように前記上部横折り罫の前後端から斜め上方にのびる2つの上部斜め折り罫とが形成され、前記上部横折り罫および前記2つの上部斜め折り罫によって囲まれた三角形の部分が、前記前後1対の第1折り曲げ部材によって前記容器の上部が折り曲げられた際に左右方向外方に倒れる上部三角パネル部となされており、
前記左ガイド部材および前記右ガイド部材は、前記支持位置において、前記第1支持面の上側縁が前記上部横折り罫に沿わされるようになっている、2)の充填包装機。
【0011】
4)前記左ガイド部材および前記右ガイド部材は、前記第1支持面の上側縁に連なりかつ前記前後1対の第1折り曲げ部材によって前記容器の上部が折り曲げられた際に左右方向外方に倒れた前記上部三角パネル部の外面に当接させられる第2支持面をさらに有している、3)の充填包装機。
【0012】
5)前記左ガイド部材および前記右ガイド部材は、これらの揺動中心が、前記搬送経路と直角をなす左右方向において、前記支持位置における前記第1支持面から前記容器と反対側に距離をおいて位置させられているとともに、前記搬送経路と平行な前後方向において、前記第1支持面の前後両端のうち角部矯正部から遠い方の端から前記第1支持面と反対側に距離をおいて位置させられている、2)~4)のいずれか1つの充填包装機。
【発明の効果】
【0013】
上記1)の充填包装機によれば、トップブレーカ部において、各列の容器の上部が、その4つの角部が直角となるように1対のガイド部材によって支持された状態で、折り曲げ部材によって折り曲げられるようになっているので、容器の上部に折り罫に沿って確実に折り癖を付けることができ、ひいては、製品として形成される内容物充填容器に角部の成形不良が生じるのを確実に回避することができる。
また、上記1)の充填包装機によれば、1対のガイド部材は、退避位置と支持位置との間で移動可能となされているので、搬送中の容器と干渉するおそれがなく、運転を支障なく継続することができる。
【0014】
上記2)の充填包装機によれば、1対のガイド部材が、揺動可能な左ガイド部材および右ガイド部材よりなり、これらが退避位置から支持位置に向かって揺動させられると、左右各ガイド部材の第1支持面および角部矯正部によって、容器の4つの角部のうちカートンブランクの両折り畳み縁部に対応する2つの鋭角な角部が押圧されて直角に矯正されるので、容器の上部をその4つの角部が直角となる適正な状態で支持することがより確実に行われ、ひいては、製品として形成される内容物充填容器に角部の成形不良が生じるのがより確実に回避される。
【0015】
上記3)の充填包装機によれば、左右各ガイド部材は、支持位置において、その第1支持面の上側縁が容器の左右各側壁の上部横折り罫に沿わされるようになっているので、左右各側壁の上部三角パネル部が上部横折り罫の位置で左右方向外方に倒れるように確実に折り癖を付けることができる。
【0016】
上記4)の充填包装機によれば、各容器の上部の左右方向外方に折り曲げられた部分を、左右ガイド部材の第2支持面と前後1対の第1折り曲げ部材とによって挟圧することができるので、容器の上部に折り癖を付けるのがより一層確実に行われる。
【0017】
上記5)の充填包装機によれば、左右各ガイド部材の揺動中心を上記のように設定することで、容器の4つの角部のうちカートンブランクの両折り畳み縁部に対応する2つの鋭角な角部を、より確実に直角に矯正することができる。
また、上記5)の充填包装機によれば、退避位置に揺動させられた左右各ガイド部材が容器と干渉するのをより確実に回避することができる。
さらに、上記5)の充填包装機によれば、容器が左右複数列で搬送される場合において、隣り合う列の容器を支持する左右ガイド部材どうしが干渉し難くなるので、容器の列の間隔を小さくして充填包装機をコンパクトにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】この発明の実施形態に係る充填包装機の全体構成を示す側面図である。
【
図2】同充填包装機の搬送コンベアの一部を示す側面図である。
【
図3】(a)は同搬送コンベアの一部を示す平面図であり、(b)は同搬送コンベアの一部を示す正面図である。
【
図4】同搬送コンベアに用いられる第1保持プレートおよび第2保持プレートを示すものであって、(a)は第1保持プレートの正面図、(b)は第1保持プレートの側面図、(c)は第2保持プレートの側面図、(d)は第2保持プレートの正面図である。
図4(c)中、二点鎖線の円Eで囲まれた部分は、二点鎖線の円eで囲まれた部分の断面を拡大して示したものである。
【
図5】同充填包装機に使用される有底角筒状の容器を形成するための初期形態のカートンブランクを示す正面図である。
【
図6】同初期形態のカートンブランクを平坦なスリーブ状とした2次形態のカートンブランクを示すものであって、(a)は正面図、(b)は平面図であり、(b)には同カートンブランクが角筒状に折り曲げられる工程を併せて示している。
【
図7】有底角筒状の容器を示すものであって、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は平面図である。
【
図8】同容器の角部が変形している状態を示す平面図である。
【
図9】同充填包装機のトップシール部において上部開口が封止された状態の内容物充填容器を示すものであって、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は平面図である。
【
図10】同充填包装機のフラップシール部においてフラップが容器表面にシールされた完成状態の内容物充填容器を示すものであって、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は平面図である。
【
図11】同充填包装機のトップブレーカ部を示す側面図である。
【
図15】同トップブレーカ部の左右ガイド部材を示す平面図である。
【
図17】同トップブレーカ部による容器上部の折り曲げ工程を順次示す部分拡大側面図である。
【
図18】同トップブレーカ部に設けられる左ガイド部材のガイド本体を示すものであって、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)は背面図である。
【
図19】同トップブレーカ部に設けられる右ガイド部材のガイド本体を示すものであって、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)は背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
この発明の実施形態に係る充填包装機について、
図1~
図19を参照しながら以下に説明する。
以下の説明において、
図1の右を「前」、同左を「後」といい、また、左右は前から見た場合の左右をいうものとする。
また、
図1、
図2、
図11および
図17は、充填包装機の全体または一部の側面を、チャンバの手前側の側壁を省略して示したものである。
【0020】
この実施形態の充填包装機(1)は、カートンよりなる容器(C1)に飲料、食品等の内容物を充填して封止することにより、内容物充填容器(C2)を形成するためのものである。
図1に示すように、充填包装機(1)は、前後に長い密閉型(箱型)のチャンバ(2)を有している。チャンバ(2)の前端壁(23)にカートンブランク入口(201)が設けられ、チャンバ(2)の頂壁(21)後端部に内容物充填容器出口(202)が設けられている。
【0021】
チャンバ(2)の前端部(2a)には、角筒状に折り曲げられたカートンブランク(CB12)の一方の端部を封止して底部を成形することにより有底角筒状の容器(カートン)(C1)を形成するボトム成形部(3)が設けられている。
ボトム成形部(3)には、放射状の複数のカートンホルダ(30a)を有するタレット(30)が水平軸周りに回転自在に設けられているとともに、タレット(30)の回転方向(
図1の反時計回り方向)に沿って、カートンブランク入口(201)から導入された角筒状カートンブランク(CB12)をカートンホルダ(30a)にセットする受入部(31)、カートンブランク(CB12)の一方の端部を加熱するボトム加熱部(32)、カートンブランク(CB12)の一方の端部を内側に折り込んで折り癖を付けるボトムブレーカ部(33)、カートンブランク(CB12)の一方の端部を封止することにより有底角筒状の容器(C1)を形成するボトムシール部(34)、形成された容器(C1)をカートンアンローダ(35a)により次工程に移送する移送部(35)が順次設けられている。
受入部(31)には、カートンマガジンからピッカーによって引き抜かれて角筒状となされたカートンブランク(CB12)が、カートンローダ(36)によりカートンブランク入口(201)を通じて送られるようになっている。
図示の充填包装機(1)の場合、ボトム成形部(3)が設けられているチャンバ(2)の前端部(2a)は、側面より見て前斜め上方に傾斜した両屋根型の形状を有している。同形状によって、チャンバ(2)の前端部(2a)の高さが抑えられている。
【0022】
また、チャンバ(2)内には、ボトム成形部(3)の後側(下流側)から後端部までのトンネル状部分(2b)に、複数の容器(C1)を、これらの開口が上向きとなる状態で、後方にのびる水平な搬送経路(R)に沿って搬送する搬送コンベア(4)が設けられている。
そして、搬送経路(R)上に、上流側(前側)から下流側(後側)に向かって、容器(C1)上部を予備的に折り込む予備ブレーカ部(5)、容器(C1)に折り癖を付けるトップブレーカ部(6)、容器(C1)を殺菌する殺菌部(7)、容器(C1)に内容物を充填する充填部(8)、容器(C1)上部を封止するトップシール部(9)、封止に伴い内容物充填容器(C2)上部に形成されたフラップ(C21)を折り込んで同容器(C2)の表面にシールするフラップシール部(10)、および、内容物充填容器(C2)をチャンバ(2)外に排出させる排出部(11)が順次設けられている。
【0023】
上記の基本構成を有する充填包装機(1)において、チャンバ(2)内には、所定の複数箇所からクリーンエアが吹出供給されるとともに、チャンバ(2)内を流通したクリーンエアが所定の複数箇所から吸引排出されるようになっている。これにより、チャンバ(2)内は、クリーンエア吸引排出エリアを除いて、そのほぼ全体がクリーンエアによって陽圧に保持され、無菌状態が保持される。
より詳細には、チャンバ(2)内の殺菌部(7)、充填部(8)およびトップシール部(9)には、特に高い無菌性が要求されることから、ULPAフィルタ(F)(JIS Z8122:2000に規定する定格流量で粒径が0.15μmの粒子に対して99.9995%以上の粒子捕集率を持ち、かつ初期圧力損失が245Pa以下の性能を持つエアフィルタ)により清浄化されたクリーンエアが、給気配管(P1)を通してクリーンエア吹出口(AB1)(AB2)から吹出供給される。
また、チャンバ(2)内における殺菌部(7)、充填部(8)およびトップシール部(9)以外の箇所、例えばフラップシール部(10)に設けられた熱風吹出口(101)(
図1参照)やボトム成形部(3)に設けられた熱風吹出口(図示略)には、そこまで高い清浄度が要求されないことから、HEPAフィルタ(JIS Z8122:2000に規定する定格流量で粒径が0.3μmの粒子に対して99.97%以上の粒子捕集率を持ち、かつ初期圧力損失が245Pa以下の性能を持つエアフィルタ)により清浄化されたクリーンエアが供給される。
チャンバ(2)内を流通したクリーンエアの排出は、チャンバ(2)内の所定の複数箇所に設けられかつ排気配管を通じて排気ファンに接続されたクリーンエア吸込口から吸引排出されるようになっている。
図1に示すように、チャンバ(2)におけるボトム成形部(3)およびフラップシール部(10)の上方の頂壁(21)部分に設けられたクリーンエア吸込口(AS1)(AS2)は、排気配管(P2)を通じて排気ファン(E)に接続されている。排気配管(P2)の途中には、バタフライバルブ(V)等の流量調整弁が設けられており、チャンバ(2)内からのクリーンエアの排出流量を調整できるようになっている。
【0024】
チャンバ(2)内は、その全体を洗浄(CIP)および滅菌(SIP)できるように構成されている。洗浄時は、チャンバ(2)のカートンブランク入口(201)および内容物充填容器出口(202)が閉じられ、所定の複数箇所に設けられた洗浄ノズル(12)からアルカリ性溶液、酸性溶液等の洗浄剤が噴射供給された後、すすぎが行われるようになっている。同様に、滅菌時も、チャンバ(2)のカートンブランク入口(201)および内容物充填容器出口(202)が閉じられ、所定の複数箇所から滅菌剤が供給されて、滅菌が行われるようになっている。
【0025】
図2~
図4に詳しく示すように、搬送コンベア(4)は、4列1ピッチ送りの構成を有するものであって、搬送経路(R)の左右両側に配置されて前後のスプロケット(41)に巻き掛けられたエンドレス状の左右2本のコンベアチェーン(42)と、左右のコンベアチェーン(42)間に搬送経路(R)に沿って互いに平行に配置されかつ容器(C1)の底部を支持する4本のボトムレール(43)と、両コンベアチェーン(42)の左右に向かい合うリンク間に架設されかつ4本のボトムレール(43)上で容器(C1)を開口が上向きとなるように保持する多数の容器ホルダ(44)とを備えている。
容器(C1)は、搬送コンベア(4)の前端部において、ボトム成形部(3)の移送部(35)からカートンアンローダ(35a)によって容器ホルダ(44)に順次移送される(
図1参照)。
【0026】
各容器ホルダ(44)は、左右方向にのびる長い垂直板材よりなりかつ両コンベアチェーン(42)のリンク(421)に渡し止められた前後1対の第1保持プレート(441)と、前後方向にのびる短い垂直板材よりなりかつ前後の第1保持プレート(441)の所定の長さ方向複数箇所に介在固定された左右2枚で対をなす計4対の第2保持プレート(442)とを有している。
そして、前後2枚の第1保持プレート(441)によって、4本のボトムレール(43)で底部が支持された4つの容器(C1)の前後側壁が保持されているとともに、4対それぞれの左右2枚の第2保持プレート(442)によって、4つの容器(C1)それぞれの左右側壁が保持されている。つまり、対をなす前後2枚の第1保持プレート(441)および4対それぞれの左右2枚の第2保持プレート(442)により、容器(C1)を前後左右から取り囲んで保持する保持部(440)が形成されている。容器ホルダ(44)を上記のような第1保持プレート(441)および第2保持プレート(442)によって構成すれば、チャンバ(2)内における上下方向のクリーンエアの流れが妨げられず、クリーンエアの流れを下向きの安定した流れとする整流効果が得られ易くなる。
対をなす前後2枚の第1保持プレート(441)は、これらの左右両端部が、左右のコンベアチェーン(42)における互いに向かい合うリンク(421)の内側面に、垂直板状のブロック(45)を介して取り付けられている。そして、コンベアチェーン(42)のリンク(421)のピッチが、搬送コンベア(4)による容器(C1)の搬送ピッチ(P)に相当するようになされている(
図2参照)。
各第1保持プレート(441)および各第2保持プレート(442)には、容器(C1)の側壁外面と点接触させられる半球状突起(441a)(442a)が形成されている。これらの半球状突起(441a)(442a)の存在により、容器(C1)の側壁外面が各第1保持プレート(441)および各第2保持プレート(442)の内側面と密着するのが回避されるので、殺菌部(7)において、殺菌剤の噴霧による容器(C1)の側壁外面の殺菌が確実に行われる。
各第1保持プレート(441)の上縁部には、容器(C1)を保持する部分に、他の部分よりも上方に突出した上方凸部(441b)が設けられている。これらの上方凸部(441b)により、容器(C1)をより安定して保持することが可能となり、また、上方凸部(441b)以外の第1保持プレート(441)上縁部の高さが抑えられることで、トップブレーカ部(6)等における容器(C1)上部への加工が支障なく行われる。各上方凸部(441b)の先端部分は、カートンアンローダ(35a)により容器(C1)を保持部(440)へ移送する際のガイドとなるように、前後方向外方に向かって斜め上方に傾斜させられている。
前後1対の第1保持プレート(441)のうち後側の第1保持プレート(441)の上縁部には、上方凸部(441b)どうしの間の部分に、後方に向かって水平状に折り曲げられた後方凸部(441c)が設けられている。これらの後方凸部(441c)によって、前後に隣り合う容器ホルダ(44)どうしの隙間のうち容器(C1)が存在しない部分が塞がれるので、クリーンエアの流通を容器(C1)の周辺に集中させることができる。
【0027】
図5は、容器(C1)の材料として用いられる初期形態のカートンブランク(CB10)を示したものである。このカートンブランク(CB10)は、紙を主体とする積層体を所定形状に打ち抜くことにより形成されたものであって、その内外両面は熱可塑性樹脂層により構成されている。また、上記積層体には、必要に応じて、その厚さ中間にアルミニウム箔等よりなるバリア層が設けられている。上記構成の積層体よりなるカートンブランク(CB10)は、折り曲げて所定形状に成形することが可能であるが、若干の可撓性を有するものであるため、折り曲げ加工後にスプリングバックが生じることがある。
図5に示すように、カートンブランク(CB10)は、やや横長の方形状のものであって、所定形状に折り曲げるための複数の折り罫が形成されている。
具体的には、まず、カートンブランク(CB10)には、同カートンブランク(CB10)を角筒状に折り曲げるための第1~第4縦折り罫(FR11)(FR12)(FR13)(FR14)が、左右方向に所定間隔おきに形成されている。
図5の左端の第1縦折り罫(FR11)および左から3番目の第3縦折り罫(FR13)は、全長に亘って一直線状のものであるが、左から2番目の第2縦折り罫(FR12)は長さ中間部分に縦長平行四辺形の部分(FR121)を有し、右端の第4縦折り罫(FR14)は長さ中間部分に縦長六角形の部分(FR141)を有している。これらの部分(FR121)(FR141)により、製品である内容物充填容器(C2)の2つの角部に縦長平行四辺形および縦長六角形の面取部(
図7~
図10では省略)が形成され、内容物充填容器(C2)が手で持ち易いものとなされる。なお、面取部を構成する部分の折り罫の形状は上記に限定されず、例えば平行四辺形以外の四角形や楕円形等の曲線形状であってもよい。また、面取部が形成されない場合もある。
また、カートンブランク(CB10)には、第1~第4縦折り罫(FR11)(FR12)(FR13)(FR14)によって区画された部分を、さらに頂壁形成部(CB101)、側壁形成部(CB102)および底壁形成部(CB103)に区画して折り曲げるための第1上部横折り罫(FR21)および第1下部横折り罫(FR23)が形成されている。第1上部横折り罫(FR21)は、第1および第2縦折り罫(FR11)(FR12)間の部分が左方に向かってやや斜め上向きに傾斜した斜直線状となされ、第3および第4縦折り罫(FR13)(FR14)間の部分が右方に向かってやや斜め上向きに傾斜した斜直線状となされている。
カートンブランク(CB10)の底壁形成部(CB103)のうち第1および第2縦折り罫(FR11)(FR12)間の部分および第3および第4縦折り罫(FR13)(FR14)間の部分には、それぞれ、第1下部横折り罫(FR23)を上辺とする2等辺三角形を形成するように2本の下部斜め折り罫(FR32)が形成され、また、上記各2本の下部斜め折り罫(FR32)の交点どうしを結ぶように左右方向にのびる第2下部横折り罫(FR24)が形成され、さらに、上記各交点からカートンブランク(CB10)の下端縁まで短くのびる下部縦折り罫(FR42)が形成されている。
カートンブランク(CB10)の頂壁形成部(CB101)には、その上端縁よりやや下方位置に、カートンブランク(CB10)の横幅全体に亘って左右方向にのびる第2上部横折り罫(FR22)が形成されている。カートンブランク(CB10)のうち第2上部横折り罫(FR22)よりも上方部分は、有底角筒状容器(C1)の上部開口(C10)を封止する際のシール代となされる。頂壁形成部(CB101)のうち第1および第2縦折り罫(FR11)(FR12)間の部分および第3および第4縦折り罫(FR13)(FR14)間の部分には、それぞれ、第1上部横折り罫(FR21)を下辺とする三角形を形成するように2本の上部斜め折り罫(FR31)が形成されている。第1上部横折り罫(FR21)および2本の上部斜め折り罫(FR31)によって囲まれた各部分は、後述するように容器(C1)の上部が折り曲げられた際に左右方向外方に倒れる上部三角パネル部(C14)を形成する(
図5~
図7参照)。上記各2本の上部斜め折り罫(FR31)の交点は、第2上部横折り罫(FR22)上に位置している。また、上記各交点からカートンブランク(CB10)の上端縁まで短くのびるように、上部縦折り罫(FR41)が形成されている。頂壁形成部(CB101)のうち第2および第3縦折り罫(FR12)(FR13)間の部分には、円形状の口栓取付部(CB104)が形成されている。
【0028】
上述した初期形態のカートンブランク(CB10)は、容器(C1)内面を構成する面どうしが重なるように第1および第3縦折り罫(FR11)(FR13)の箇所で封筒状に折り畳まれるとともに、左右側縁部どうしがオーバーラップさせられて接着やヒートシール等により接合されることにより、
図6に示す平坦なスリーブ状に折り畳まれた第2形態のカートンブランク(CB11)となされ、この形態でカートンマガジンに多数枚積み重ねられてストックされる。
次いで、この第2形態のカートンブランク(CB11)が、前述の通りカートンマガジンからピッカーによって1枚ずつ引き抜かれると、第1~第4縦折り罫(FR11)(FR12)(FR13)(FR14)に沿って略直角に折り曲げられて横断面四角形の角筒状のカートンブランク(CB12)となされ(
図6(b)参照)、カートンローダ(36)によりボトム成形部(3)の受入部(31)へと送られる。
そして、この角筒状カートンブランク(CB12)の一方の端部(底壁形成部(CB103))が、ボトム加熱部(32)において所定温度に加熱され、次いで、ボトムブレーカ部(33)において第1下部横折り罫(FR23)、2つの下部斜め折り罫(FR32)、第2下部横折り罫(FR24)および下部縦折り罫(FR42)に沿って内側に折り曲げられて折り癖を付けられた後、ボトムシール部(34)において超音波シールやヒートシール等により封止される。これにより、有底角筒状の容器(C1)が形成される。
【0029】
図7に示すように、容器(C1)は、方形状の底壁(C11)と、底壁(C11)の4辺から上方にのびる前後左右の4つの側壁(C121)(C122)(C123)(C124)とを備えており、4つの側壁(C121)(C122)(C123)(C124)の上端縁によって上部開口(C10)が形成されている。底壁(C11)は、図示のような正方形となされる他、長方形であってもよく、その場合、4つの側壁(C121)(C122)(C123)(C124)の横断面も同じ長方形となる。また、4つの側壁(C121)(C122)(C123)(C124)は、第1上部横折り罫(FR21)よりも下方部分が内容物充填容器(C2)の側壁を形成する側壁形成部(CB102)となされ、同上方部分が内容物充填容器(C2)の頂壁を形成する頂壁形成部(CB101)となされる。
容器(C1)の4つの角部(C131)(C132)(C133)(C134)は、少なくとも底壁(C11)に近い下部においては、いずれもほぼ直角となされているが、その上部においては、直角とならずに変形している場合がある。より具体的に言うと、
図8に示すように、容器(C1)の上部は、カートンブランク(CB10)の第1および第3縦折り罫(FR11)(FR13)に対応する第1および第3角部(C131)(C133)が鋭角となり、第2および第4縦折り罫(FR12)(FR14)に対応する第2および第4角部(C132)(C134)が鈍角となるように変形していることがある。これは、カートンブランク(CB10)を構成している積層体が有する可撓性に起因して、容器(C1)の4つの側壁(C121)(C122)(C123)(C124)に、
図6に示す第2形態のカートンブランク(CB11)の形状、すなわち、折り畳まれた平坦なスリーブ形状に戻ろうとするスプリングバック作用が生じ、それによって角部(C131)(C132)(C133)(C134)に変形が生じるものである。
この実施形態の充填包装機(1)では、上記のような容器(C1)上部の変形を考慮して、トップブレーカ部(6)を後述するような特徴的な構成態様としている。
【0030】
充填部(8)において上部開口(C10)を通じて内容物が充填された容器(C1)は、充填部(8)の下流側のトップシール部(9)において、前後左右の側壁(C121)(C122)(C123)(C124)の上部が第1上部横折り罫(FR21)、上部斜め折り罫(FR31)、第2上部横折り罫(FR22)および上部縦折り罫(FR41)に沿って左右方向外方に広がるように折り曲げられるとともに、それによって上部開口(C10)に形成された前後縁部(第2上部横折り罫(FR22)よりも上方部分)どうしが重ね合わせられてシールされる。これにより、
図9に示すような左右方向に長いフラップ(C21)を上部に有する内容物充填容器(C2)が形成される。
上記の内容物充填容器(C2)は、次のフラップシール部(10)において、フラップ(C21)の左右両側部が、下方に折り込まれて左右側壁の上部表面にシールされることにより、
図10に示すような略直方体状の最終形態となされる。
なお、図示の内容物充填容器(C2)は、その頂壁が後方に向かって斜め下向きに傾斜したものとなされているが、頂壁が水平である内容物充填容器を形成する場合にも、この発明による充填包装機を同様に適用できる。
【0031】
図11~
図19は、トップブレーカ部(6)およびその構成部材の詳細構造を示したものである。トップブレーカ部(6)に関する以下の説明において、「前」は
図11,17の各左および
図13,15の各下をいい、「後」は
図11,17の各右および
図13,15の各上をいい、また、「左右」は前から見た場合の左右、すなわち
図12,13,15,16の各左右をいうものとする。
これらの図に示すように、トップブレーカ部(6)は、容器(C1)の列毎に、容器(C1)をその第1~第4角部(C131)(C132)(C133)(C134)が直角となるように側方から支持する1対のガイド部材(61L)(61R)と、1対のガイド部材(61L)(61R)によって支持された容器(C1)の上部を押圧して折り曲げる折り曲げ部材とを備えている。
折り曲げ部材は、容器(C1)の上部を前後両側から押圧して折り曲げる前後1対の第1折り曲げ部材(62F)(62B)と、容器(C1)の上方に昇降自在に設けられかつ容器(C1)内に進入して左右側壁(C123)(C124)の上部を左右方向外方に広がるように押圧して折り曲げる第2折り曲げ部材(63)よりなる。
【0032】
対をなすガイド部材(61L)(61R)は、容器(C1)と干渉しない退避位置と容器(C1)を支持する支持位置との間で往復移動させられるようになっている。
より詳細には、対をなすガイド部材は、前端部を揺動中心として退避位置と支持位置との間で揺動させられる左ガイド部材(61L)と、後端部を揺動中心として退避位置と支持位置との間で揺動させられる右ガイド部材(61R)とで構成されている。左ガイド部材(61L)および右ガイド部材(61R)は、トップブレーカ部(6)において、各列の容器(C1)の左右両側に配置されるように、容器(C1)の列と同数対(図では4対)が設けられている。
【0033】
左ガイド部材(61L)は、ベースプレート(611L)と、ベースプレート(611L)の上面に取り付けられたガイド本体(612L)とを有している。ベースプレート(611L)は、前端部が左方に短く折れ曲がった略L形板片よりなる。ベースプレート(611L)の前端部には、左ガイド部材(61L)を揺動させるための回動シャフト(641)の下端部が接続されており、同前端部が左ガイド部材(61L)の揺動中心(610)となされている(
図15参照)。
同様に、右ガイド部材(61R)も、ベースプレート(611R)と、ベースプレート(611R)の上面に取り付けられたガイド本体(612R)とを有している。ベースプレート(611R)は、後端部が右方に短く折れ曲がった略L形板片よりなる。ベースプレート(611R)の後端部には、右ガイド部材(61R)を揺動させるための回動シャフト(641)の下端部が接続されており、同後端部が右ガイド部材(61R)の揺動中心(610)となされている(
図15参照)。
対をなす左ガイド部材(61L)および右ガイド部材(61R)の揺動中心(610)は、容器の中心に対して点対称に配置されている。
各回動シャフト(641)は、その上端部がチャンバ(2)の頂壁(21)を貫通して上方に突出させられているとともに、その垂直軸線を中心として回動自在となされている。また、各回動シャフト(641)は、その長さ中間部が、左右方向にのびかつチャンバ(2)の頂壁(21)に垂下ロッド(642)を介して吊り下げされた水平なガイド保持バー(643)を緩く貫通させられており、このガイド保持バー(643)によっても回動自在に保持されている。
【0034】
チャンバ(2)の頂壁(21)上面におけるトップブレーカ部(6)の上方部分には、各回動シャフト(641)を回動させて左右各ガイド部材(61L)(61R)を揺動させるためのガイド揺動ユニット(65)が設けられている。この実施形態のガイド揺動ユニット(65)は、動力源である流体圧シリンダ(651)と、流体圧シリンダ(651)の駆動力を各回動シャフト(641)に伝達するリンク機構(652)とを備えてなる。
リンク機構(652)は、計8本の回動シャフト(641)の上端部にそれぞれ接続された8個のアームリンク(652a)(652b)と、左ガイド部材(61L)を揺動させるための前列4本の回動シャフト(641)に接続された4個のアームリンク(652a)(652b)を相対回動自在に連結している前連結リンク(652c)と、右ガイド部材(61R)を揺動させるための後列4本の回動シャフト(641)に接続された4個のアームリンク(652a)(652b)を相対回動自在に連結している後連結リンク(652c)と、前列の所定位置(図では右端)の回動シャフト(641)に接続されたアームリンク(652a)と後列の所定位置(図では右から2番目)の回動シャフト(641)に接続されたアームリンク(652a)とを相対回動自在に連結している中間連結リンク(652d)とを備えている。中間連結リンク(652d)によって連結された2つのアームリンク(652a)は、それぞれ二股状となされていて、これらの中心部が回動シャフト(641)の上端部に接続され、同一方の端部が前または後連結リンク(652c)にそれぞれ接続され、同他方の端部が中間連結リンク(652d)の前または後端部にそれぞれ接続されている。
流体圧シリンダ(651)は、例えばエアシリンダや油圧シリンダ等よりなり、往復動可能なピストンロッド(651a)を有している。この流体圧シリンダ(651)は、所定位置(図では後列の左端)の回動シャフト(641)に接続されたアームリンク(652a)に近接するようにチャンバ(2)の頂壁(21)上面に設置されている。流体圧シリンダ(651)に近接するアームリンク(652a)は、二股状となされていて、その中心部が回動シャフト(641)の上端部に接続され、同一方の端部が前または後連結リンク(652c)(図では後連結リンク(652c))に接続され、同他方の端部が流体圧シリンダ(651)のピストンロッド(651a)の先端部に接続されている。二股状のアームリンク(652a)以外のアームリンク(652b)は、短冊状のものであって、その一方の端部が回動シャフト(641)の上端部に接続され、同他方の端部が前または後連結リンク(652c)に接続されている。
【0035】
流体圧シリンダ(651)のピストンロッド(651a)を進退駆動させると、リンク機構(652)を介して全ての回動シャフト(641)が同一方向に同一角度だけ同時に回動させられる。これにより、全対の左ガイド部材(61L)および右ガイド部材(61R)が退避位置と支持位置との間で同時に揺動させられる。
より詳細に言うと、搬送コンベア(4)により容器(C1)が搬送されている間は、全対の左ガイド部材(61L)および右ガイド部材(61R)が退避位置(
図15に二点鎖線で示す位置)に配置されている。そして、容器(C1)がトップブレーカ部(6)で一時的に停止すると、流体圧シリンダ(651)が作動して、全対の左ガイド部材(61L)および右ガイド部材(61R)が退避位置から支持位置(
図15に実線で示す位置)に向かって同時に揺動させられ、各対の左右ガイド部材(61L)(61R)により、各列の容器(C1)がその4つの角部(C131)(C132)(C133)(C134)が直角となされた状態で支持される。次いで、第1折り曲げ部材(62F)(62B)および第2折り曲げ部材(63)により容器(C1)の上部に所定の折り癖が付けられた後、流体圧シリンダ(651)が作動して、全対の左ガイド部材(61L)および右ガイド部材(61R)が支持位置から退避位置に向かって同時に揺動させられ、左右ガイド部材(61L)(61R)が退避位置まで戻ると、癖折り加工された容器(C1)が搬送コンベア(4)により次工程の殺菌部(7)に向かって送り出されるとともに、癖折り加工前の容器(C1)がトップブレーカ部(6)に送り込まれて、上記の癖折り加工が行われる。
なお、左右各ガイド部材(61L)(61R)を揺動させる手段は、上記構成には限定されず、その他の手段を用いてもよいが、上記構成を用いた場合、装置構成が比較的単純なものとなるので、設置スペースが小さくなり、コストも抑えられる。また、上記構成によれば、左右各ガイド部材(61L)(61R)の揺動位置や揺動角度等の調整も容易に行える。
【0036】
図18は左ガイド部材(61L)のガイド本体(612L)を示したものであり、
図19は右ガイド部材(61R)のガイド本体(612R)を示したものである。
図18に示すように、左ガイド部材(61L)のガイド本体(612L)は、平面より見て前後に長い略長方形をした平坦な水平板部(612a)と、水平板部(612a)の上面中央部付近から上方に突出した平面より見て略三角形の上方凸部(612b)と、水平板部(612a)の後端部分から右方に向かって突出した側方凸部(612c)とを備えている。水平板部(612a)の右側面の後部は後端に向かって斜め左向きに傾斜させられている。上方凸部(612b)の右側面は、水平板部(612a)の右側面の直線部分と連続した垂直面を構成している。この垂直面が、支持位置において容器(C1)の左側壁(C123)外面に当接させられる第1支持面(613)となされている。左ガイド部材(61L)は、支持位置において、その第1支持面(613)の上側縁(613u)が、容器(C1)の左側壁(C123)の第1上部横折り罫(FR21)に沿わされるようになっている。第1支持面(613)の前後幅は、容器(C1)の左側壁(C123)の横幅と同じかそれよりもやや大きくなされている。
上方凸部(612b)の後端部分は、水平板部(612a)の後端に向かって畝状にのびるように細幅に形成されている。側方凸部(612c)は、その前側面が第1支持面(613)と直角をなすように形成されている。この側方凸部(612c)が、左ガイド部材(61L)が退避位置から支持位置に向かって
図15の時計回り方向に揺動させられた際に、第2形態のカートンブランク(CB11)の一方の折り畳み縁部に対応する容器(C1)の第3角部(C133)に係り合わせられて同角部(C133)を第1支持面(613)と協働して直角に矯正する角部矯正部(614)となされている。角部矯正部(614)を構成する側方凸部(612c)は、その突出長さが長い程、容器(C1)の鋭角に変形した第3角部(C133)をより確実に直角に矯正できるが、その反面、左右各ガイド部材(61L)(61R)が支持位置と退避位置との間を揺動する距離が長くなるので、これらのバランスを考慮して突出長さを設定するのが好ましい。側方凸部(612c)の先端部は、左ガイド部材(61L)が退避位置から支持位置へ揺動させられる際に、容器(C1)の第3角部(C133)と接触するのを回避するためアールが付けられている。
また、上方凸部(612b)は、第1支持面(613)の上側縁(613u)に連なる頂面を有している。この頂面が、前後1対の折り曲げ部材(62F)(62B)および第2折り曲げ部材(63)によって容器(C1)の上部が折り曲げられた際に左方に倒れた左側壁(C123)の上部三角パネル部(C14)の外面に当接させられる第2支持面(615)となされている。この第2支持面(615)は、ガイド本体(612L)の右側面から見て第1支持面(613)の上側縁(613u)(すなわち、容器(C1)の第1上部横折り罫(FR21))と平行になるように傾斜しているとともに、ガイド本体(612L)の背面から見て折曲げ時に左方に倒れた容器(C1)の左側壁(C123)の上部三角パネル部(C14)と平行になるように傾斜させられている(
図16および
図17(b)等参照)。ガイド本体(612L)の背面から見た場合の第2支持面(615)の傾斜角度は、0~45°であるのが好ましく、より好ましくは15~20°である。
図19に示すように、右ガイド部材(61R)のガイド本体(612R)は、向きが左右逆である点を除いて、
図18に示す左ガイド部材(61L)のガイド本体(612L)と実質的に同一であるので、同一の機能を奏する箇所に同一符号を付して詳しい説明は省略する。
【0037】
図15に示すように、各左ガイド部材(61L)は、その揺動中心(610)が、搬送経路(R)と直角をなす左右方向において、支持位置における第1支持面(613)から容器(C1)と反対側(すなわち左側)に所定距離をおいて位置させられているとともに、搬送経路(R)と平行な前後方向において、第1支持面(613)の前後両端のうち角部矯正部(614)から遠い方の端(すなわち前端)から第1支持面(613)と反対側(すなわち前側)に所定距離をおいて位置させられている。
各右ガイド部材(61R)は、その揺動中心(610)が、搬送経路(R)と直角をなす左右方向において、支持位置における第1支持面(613)から容器(C1)と反対側(すなわち右側)に所定距離をおいて位置させられているとともに、搬送経路(R)と平行な前後方向において、第1支持面(613)の前後両端のうち角部矯正部(614)から遠い方の端(すなわち後端)から第1支持面(613)と反対側(すなわち後側)に所定距離をおいて位置させられている。
左右各ガイド部材(61L)(61R)の配置や移動範囲は、退避位置において搬送中の容器(C1)と干渉せず、支持位置において容器(C1)を第1~第4角部(C131)(C132)(C133)(C134)が直角となるように支持できれば特に制限されるものではない。但し、左右ガイド部材(61L)(61R)の揺動中心(610)を上記位置に設定すれば、以下のような作用効果が奏される。すなわち、左ガイド部材(61L)を退避位置から
図15の時計回り方向に揺動させると、その第1支持面(613)および角部矯正部(614)によって、容器(C1)の左後に位置する鋭角に変形した第3角部(C133)を、右斜め前方に向かって押すことができ、それによって、第3角部(C133)を確実に直角に矯正できる(
図15の右端の左ガイド部材(61L)参照)。同様に、右ガイド部材(61R)を退避位置から
図15の時計回り方向に揺動させると、その第1支持面(613)および角部矯正部(614)によって、容器(C1)の右前に位置する鋭角に変形した第1角部(C131)を、左斜め後方に向かって押すことができ、それによって、第1角部(C131)を確実に直角に矯正できる(
図15の右端の右ガイド部材(61R)参照)。第1および第3角部(C131)(C133)が上記のように直角に矯正されると、それに伴い鈍角に変形していた第2および第4角部(C132)(C134)も直角となるように変形させられ、全ての角部(C131)(C132)(C133)(C134)が直角となされる。また、左右各ガイド部材(61L)(61R)の揺動中心(610)は、前後方向において、支持位置にある第1支持面(613)から所定距離だけ離れているため、第1支持面(613)が容器(C1)の左右各側壁(C123)(C124)の外面をその横幅全体に亘って支持できるものであるにもかかわらず、退避位置において左右各ガイド部材(61L)(61R)が容器(C1)と干渉するのが確実に回避される。なお、左右方向における左右各ガイド部材(61L)(61R)の揺動中心(610)と支持位置の第1支持面(613)との距離は、大きくなる程、角部矯正部(614)の揺動半径が大きくなって、退避位置における左ガイド部材(61L)の角部矯正部(614)がより後方に位置し、右ガイド部材(61R)の角部矯正部(614)がより前方に位置するので、容器(C1)の第1および第3角部(C131)(C133)を押圧して変形させる上では有利であるが、隣接する列の容器(C1)を支持する左または右ガイド部材(61L)(61R)と干渉しないようする必要がある。この実施形態では、全対の左右ガイド部材(61L)(61R)を同一方向に揺動させるとともに、左右各ガイド部材(61L)(61R)の揺動中心(610)をガイド本体(612L)(612R)の外に位置させて、ガイド本体(612L)(612R)のサイズを小さくすることにより、隣接する列の容器(C1)を支持する左右ガイド部材(61l)(61R)どうしが干渉し難くなり、容器(C1)の列の間隔を小さくすることができ、ひいては充填包装機(1)がコンパクトなサイズに抑えられるようになっている。
なお、この実施形態では、搬送コンベア(4)により搬送される各列の容器(C1)の右前および左後に位置する第1および第3角部(C131)(C133)が鋭角に変形しており、それに応じて左右各ガイド部材(61L)(61R)の向きおよび揺動方向が上記のように設定されているが、容器(C1)の左前および右後に位置する第2および第4角部(C132)(C134)が鋭角となされている場合には、左右各ガイド部材(61L)(61R)の向きおよび揺動方向を上記と逆に設定すれば、同様に適用可能である。
【0038】
前後1対の第1折り曲げ部材(62F)(62B)は、左右に長い板状体よりなりかつ各列の容器(C1)の上部を前後両側から押圧しうるように前後揺動自在に設けられた前ウイング(62F)および後ウイング(62B)によって構成されている。また、第2折り曲げ部材(63)は、各列の容器(C1)にその上部開口(C10)を通じて挿入されて容器(C1)の上部を左右方向外方に広げうるように昇降自在に設けられた垂直な折り曲げプレート(63)によって構成されている。これらの前ウイング(62F)および後ウイング(62B)ならびに折り曲げプレート(63)は、全体が1つの折り曲げユニット(60)として昇降自在となされている。
より詳細には、4列の容器(C1)の上方に位置するように左右方向にのびた水平板状のブラケット(661)が、チャンバ(2)の頂壁(21)を貫通した左右2本の第1昇降シャフト(662)の下端部に接続されて保持されている。
ブラケット(661)の左右各端部には、U形プレート(663)がこれらの前後端部を下向きにして取り付けられている。また、左右のU形プレート(663)の前端部に前ウィング支持バー(664F)が水平に架設され、左右のU形プレート(663)の後端部に後ウィング支持バー(664B)が水平に架設されている。前ウィング支持バー(664F)および後ウイング支持バー(664B)は、これらの左右端部に設けられた水平な連結軸(664a)が、左右のU形プレート(663)の前後端部に緩く挿通されて相対回動自在となされている。前ウィング支持バー(664F)および後ウィング支持バー(664B)の対向面には、4列の容器(C1)に対応する箇所に、それぞれ4つの前ウイング(62F)および後ウイング(62B)が取り付けられている。前後ウイング(62F)(62B)は、容器(C1)の上部を前後両側から押圧して左右方向外方に折り曲げた際に、左右方向外方に広がった部分を含めた容器(C1)の上部全体を押圧しうるような左右長さを有している。また、前ウイング(62F)は、容器(C1)の前側壁(C121)における第1上部横折り罫(FR21)と第2上部横折り罫(FR22)との間隔にほぼ等しい上下幅を有しており、後ウイング(62R)は、容器(C1)の後側壁(C122)における第1上部横折り罫(FR21)と第2上部横折り罫(FR22)との間隔にほぼ等しい上下幅を有している。
また、ブラケット(661)下面の前後幅中央部には、各列の容器(C1)の上部開口(C10)に臨むように4つの折り曲げプレート(63)が垂下状に取り付けられている。各折り曲げプレート(63)は、容器(C1)の上部開口(C10)の左右幅よりもやや短い水平直線状の下辺部(631)と、下辺部(631)の左右両端から左右方向外方に向かって斜め上方にのびる左右2つの傾斜辺部(632)とを有している。折り曲げプレート(63)が下降させられると、左右の傾斜辺部(632)が、容器(C1)の左右側壁(C123)(C124)の上縁部、より詳細には同上縁部の上部縦折り罫(FR41)が形成されている部分に当接して、左右側壁(C123)(C124)を左右方向外方に押し広げるように下向きに押圧するようになされている。
各第1昇降シャフト(662)は、チャンバ(2)の頂壁(21)に貫通状に取り付けられた垂直スリーブ(665)に上下スライド自在に挿通されている。各垂直スリーブ(665)の上端部にはリング状のストッパ(665a)が設けられている。また、左右2本の第1昇降シャフト(662)は、これらの上部が左右方向にのびる水平な上部バー(666)の長さ中間部を緩く貫通させられているとともに、これらの上端部に上部バー(666)の抜け止め部(662a)が設けられている。各第1昇降シャフト(662)には、垂直スリーブ(665)と上部バー(666)との間の所定長さ位置にリング状のカラー(667)が取り付けられているとともに、上部バー(666)とカラー(667)との間に介在されるようにスプリング(668)が設けられている。
上部バー(666)の左右両端寄り部分には、第2昇降シャフト(671)の上端部が固定状に接続されている。各第2昇降シャフト(671)は、チャンバ(2)の頂壁(21)を緩く貫通させられて、その下端部がブラケット(661)の左右各端部における幅中央付近の上方に臨まされている。そして、左右いずれか一方(図では左側)の第2昇降シャフト(671)の下端部が前ウィング支持バー(664F)の一端部(図では左端部)にリンク機構(672)を介して連結され、同他方(図では右側)の第2昇降シャフト(671)の下端部が後ウィング支持バー(664B)の一端部(図では右端部)にそれぞれリンク機構(672)を介して連結されている。リンク機構(672)は、上端部が各第2昇降シャフト(671)の下端部に相対回動自在に連結された上リンク(672a)と、一端部が上リンク(672a)の下端部に相対回動自在に連結されかつ他端部が前ウィング支持バー(664F)、後ウイング支持バー(664B)それぞれの所定の端部の連結軸(664a)に接続された下リンク(672b)とよりなる。
上部バー(666)の左右両端部には、折り曲げユニット(60)を昇降させるための昇降駆動装置(68)が接続されている。より詳細には、昇降駆動装置(68)は、チャンバ(2)の一方の側壁(22)(図では右側壁(22))に近接して配置されかつモータ等の水平な駆動軸に取り付けられて回転させられる垂直な板カム(図示略)と、板カムと連動して上部バー(666)を昇降させることにより、折り曲げユニット(60)全体を昇降させるリンク機構(681)とよりなる。
リンク機構(681)は、チャンバ(2)の頂壁(21)上面に左右方向にのびかつ軸線を中心として回動自在に設けられた水平回動軸(681a)と、長さ中間部が水平回動軸(681a)の一端部(図では右端部)に接続された第1中間リンク(681b)と、上端部が上部バー(666)の一端部(図では右端部)に連結されかつ下端部が第1中間リンク(681b)の一端部(図では後端部)に連結された第1上リンク(681c)と、上端部が第1中間リンク(681b)の他端部(図では前端部)に連結されかつ下端部が板カムのカム面に当接しうるように設けられて昇降駆動させられる垂直な下リンク(681d)と、一端部(図では前端部)が水平回動軸(681a)の他端部(図では左端部)に接続された第2中間リンク(681e)と、上端部が上部バー(666)の他端部(図では左端部)に連結されかつ下端部が第2中間リンク(681e)の他端部(図では後端部)に連結された第2上リンク(681f)とよりなる。
【0039】
折り曲げユニット(60)は、板カムの回転に伴い、容器(C1)と干渉しない上方の退避位置と、容器(C1)の上部を折り曲げて折り癖を付けるための折り曲げ位置との間で昇降させられるようになっている。
より具体的に言うと、各列の容器(C1)が搬送コンベア(4)により搬送されている間は、上部バー(666)ならびに各2本の第1昇降シャフト(662)および第2昇降シャフト(671)によって支持された折り曲げユニット(60)全体が、容器(C1)と干渉しない上方の退避位置まで上昇させられている。
次いで、各列の容器(C1)がトップブレーカ部(6)に到来して一時的に停止させられると、上部バー(666)ならびに各2本の第1昇降シャフト(662)および第2昇降シャフト(671)が下降させられ、これに伴い折り曲げユニット(60)も下降する。折り曲げユニット(60)の下降に伴い、各列の容器(C1)にその上部開口(C10)から折り曲げプレート(63)が挿入され、容器(C1)の左右側壁(C123)(C124)の上部が左右方向外方に折り曲げられる。
そして、2本の第1昇降シャフト(662)のカラー(667)が垂直スリーブ(665)のストッパ(665a)に当接した時点で折り曲げユニット(60)の下降は停止し、前ウィング(62F)および後ウイング(62B)が容器(C1)の前後側壁(C121)(C122)の上部に近接して配置される。
折り曲げユニット(60)が下降を停止した後も、上部バー(666)は、スプリング(668)を押し縮めながら引き続き下降し、それに伴って2本の第2昇降シャフト(671)も下降する。2本の第2昇降シャフト(671)の下降に連動して、リンク機構(672)の上リンク(672a)および下リンク(672b)が揺動し、それによって前ウイング(62F)および後ウイング(62B)が、前後方向内方に向かって揺動させられ、容器(C1)の前後側壁(C121)(C122)の上部を押圧する。これにより、容器(C1)の上部が第1上部横折り罫(FR21)、上部斜め折り罫(FR31)、第2上部横折り罫(FR22)および上部縦折り罫(FR41)に沿って折り曲げられる。
この際、容器(C1)は第1~第4角部(C131)(C132)(C133)(C134)が直角となるように左右ガイド部材(61L)(61R)によって支持されており、かつ左右各ガイド部材(61L)(61R)の第1支持面(613)の上側縁(613u)が容器(C1)の左右各側壁(C123)(C124)の第1上部横折り罫(FR21)に沿わされるので、第1上部横折り罫(FR21)に沿って確実に折り癖が付けられる。容器(C1)上部の折り曲げが
図17(a)に示す第1段階から
図17(b)に示す第2段階に差し掛かると、容器(C1)の左右側壁(C123)(C124)の上部三角パネル部(C14)が倒れて左右ガイド部材(61L)(61R)の第2支持面(615)に当接させられるとともに、左右側壁(C123)(C124)の上部三角パネル部(C14)およびその前後両側部分が前後ウイング(62F)(62B)および第2支持面(615)によって挟圧されるので、2つの上部斜め折り罫(FR31)に沿って折り癖が確実に付けられるようになっている。
なお、左右ガイド部材(61L)(61R)の第1支持面(613)の上側縁(613u)が容器(C1)の左右各側壁(C123)(C124)の第1上部横折り罫(FR21)よりも上方に位置すると、上部三角パネル部(C14)の折り曲げが良好に行われないおそれがある。そのため、容器(C1)毎に第1上部横折り罫(FR21)の高さ位置にバラツキが生じる場合には、第1支持面(613)の上側縁(613u)が第1上部横折り罫(FR21)よりもやや下方に位置するように左右各ガイド部材(61L)(61R)の高さを調整し、第1支持面(613)の上側縁(613u)が第1上部横折り罫(FR21)よりも上方に位置することがないようにすればよい。
【0040】
また、この実施形態では、第2支持面(615)が左右ガイド部材(61L)(61R)に一体的に設けられているので、第2支持面(615)を容器(C1)の左右側壁(C123)(C124)の上部三角パネル部(C14)に密着させて支持することができ、上部三角パネル部(C14)の下辺を構成している第1上部横折り罫(FR21)が図示とは逆に前方に向かって斜め下向きに傾斜している場合でも、左右ガイド部材(61L)(61R)を、容器(C1)の搬送時に左右方向外向きに折り曲げられた上部三角パネル部(C14)と干渉しないように確実に退避させることができる。
左右ガイド部材(61L)(61R)は、搬送コンベア(4)の容器ホルダ(44)と干渉しないように、その第1支持面(613)の下側縁が少なくとも容器ホルダ(44)の第1保持プレート(441)の上縁部よりも上方に位置するように設置する必要がある。また、左右ガイド部材(61L)(61R)の第1支持面(613)の上側縁(613u)の高さは、トップブレーカ部(6)の折り曲げユニット(60)と干渉しない位置が上限となる。第1支持面(613)の上下幅は、広くすればする程、容器(C1)を安定して支持できるが、上記の制限内で設定する必要がある。
【0041】
なお、上記の実施形態では、この発明を、カートンよりなる容器(C1)の上部を左右両側に張り出したフラップ(C21)が形成されるように平坦に折り曲げるためのトップブレーカ部(6)を備えた充填包装機(1)に適用しているが、その他、例えば特許文献1記載の充填包装機のように、カートンよりなる容器の上部を切妻屋根状に折り曲げるためのトップブレーカ部を備えた充填包装機についても、この発明を適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
この発明は、カートンよりなる複数の容器を所定の搬送経路に沿って搬送しながら容器内に飲料、食品等の内容物を充填して密封包装することにより内容物充填容器を形成する充填包装機であって、容器の上部に予め折り癖を付けるトップブレーカ部を備えた充填包装機として好適に用いられる。
【符号の説明】
【0043】
(1):充填包装機
(2):チャンバ
(4):搬送コンベア
(6)トップブレーカ部
(61L):左ガイド部材
(61R):右ガイド部材
(610):揺動中心
(613):第1支持面
(613u):第1支持面の上側縁
(614):角部矯正部
(615):第2支持面
(62F)(62B):前後1対の第1折り曲げ部材
(63):第2折り曲げ部材
(8):充填部
(9):トップシール部
(10):フラップシール部
(11):排出部
(CB11):平坦なスリーブ状に折り畳まれたカートンブランク
(C1):容器(カートン)
(C10):上部開口
(C121):前側壁
(C122):後側壁
(C123):左側壁
(C124):右側壁
(C131):第1角部
(C132):第2角部
(C133):第3角部
(C134):第4角部
(C14):上部三角パネル部
(FR21):第1上部横折り罫(上部横折り罫)
(FR31):上部斜め折り罫
(C2):内容物充填容器
(R):搬送経路