(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023031041
(43)【公開日】2023-03-08
(54)【発明の名称】骨盤整形器具
(51)【国際特許分類】
A61F 2/32 20060101AFI20230301BHJP
【FI】
A61F2/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021136510
(22)【出願日】2021-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】591141784
【氏名又は名称】学校法人大阪産業大学
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100125704
【弁理士】
【氏名又は名称】坂根 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100187931
【弁理士】
【氏名又は名称】澤村 英幸
(72)【発明者】
【氏名】花之内 健仁
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA04
4C097BB01
4C097CC01
4C097CC05
4C097CC15
4C097DD01
4C097DD08
4C097DD09
(57)【要約】
【課題】 大腿骨の骨頭を安定して被覆する骨盤整形器具を提供する。
【解決手段】 骨盤整形器具は、複数のネジ部材10,10A~10Cからなり、複数のネジ部材10,10A~10Cそれぞれは、一端に骨盤B1に挿入されて固定される固定部が形成され、他端に骨盤B1から突出する補助部が形成されており、複数のネジ部材10,10A~10Cそれぞれの固定部が骨盤に固定された状態で複数のネジ部材10,10A~10Cそれぞれの補助部は骨盤B1から延びる面の一部を形成する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の棒材からなる骨盤整形器具であって、
複数の前記棒材それぞれは、一端に骨盤に挿入されて固定される固定部が形成され、他端に骨盤から突出する補助部が形成されており、
複数の前記棒材それぞれの前記固定部が骨盤に固定された状態で複数の前記棒材それぞれの前記補助部は骨盤から延びる面の一部を形成する、骨盤整形器具。
【請求項2】
複数の前記棒材は、寛骨臼の端部に沿って骨盤に配置される、請求項1に記載の骨盤整形器具。
【請求項3】
前記固定部は、ブラスト処理加工および/またはハイドロキシアパタイト処理加工される、請求項1または2に記載の骨盤整形器具。
【請求項4】
前記補助部は、前記固定部よりも柔らかい素材で形成される、請求項1~3のいずれかに記載の骨盤整形器具。
【請求項5】
前記補助部と骨盤との間に配置され、前記補助部を上方から支持する支持部材を、さらに備えた請求項1~4のいずれかに記載の骨盤整形器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、股関節変形症の治療に用いられる骨盤整形器具に関する。
【背景技術】
【0002】
股関節は、骨盤と大腿骨とが接続される関節である。股関節は、骨盤に形成された寛骨臼と大腿骨の先端の骨頭との組み合わせからなり、寛骨臼と大腿骨との間には軟骨が配置される。正常な股関節では、寛骨臼が骨頭の約4/5を包み込むことで関節が安定するが、股関節に加わる力を支えられるよう、股関節は筋肉や腱などで全体が覆われている。
【0003】
寛骨臼が生まれつき形成不全となる先天性の病気が知られており、寛骨臼形成不全症と言われる。この寛骨臼形成不全症の患者は、長年の間に体重の負荷で軟骨がすり減ることにより、骨頭と寛骨臼とがこすれて、痛みや運動障害が出る変形性股関節症という病気になる場合がある。
【0004】
寛骨臼形成不全症の患者に対して、棚形成術という手術が行われている場合がる。この手術は、骨盤に寛骨臼を延長するための骨を移植することにより、寛骨臼の面積を広げるための棚が形成される。これにより、大腿骨頭の局所の荷重負担を、荷重分散によって防がれる。例えば、特表2020-530313号公報に棚形成術が記載されている。
【0005】
しかしながら、大腿骨の骨頭が球状であることからその形状に合わせた形状の骨を大腿骨に移植するのが困難である。棚形成術により移植される骨の幅は2-3cm程度であるため、大腿骨の骨頭を完全に被覆するのが困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明の目的の1つは、大腿骨の骨頭を安定して被覆する骨盤整形器具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明のある局面によれば、骨盤整形器具は、複数の棒材からなる骨盤整形器具であって、複数の棒材それぞれは、一端に骨盤に挿入されて固定される固定部が形成され、他端に骨盤から突出する補助部が形成されており、複数の棒材それぞれの固定部が骨盤に固定された状態で複数の棒材それぞれの補助部は骨盤から延びる面の一部を形成する。
【0009】
この局面に従えば、複数の棒材それぞれの固定部が骨盤に固定されると、複数の棒材それぞれの補助部が骨盤から延びる面の一部を形成する。このため、複数の棒材が、大腿骨の骨頭から受ける力の一部を受け止める。したがって、寛骨臼が大腿骨の骨頭から受ける力を少なくできる。その結果、大腿骨の骨頭を安定して被覆する骨盤整形器具を提供することができる。
【0010】
複数の棒材は、寛骨臼の端部に沿って骨盤に配置されてもよい。
【0011】
この局面に従えば、複数の棒材と大腿骨の骨頭との距離のばらつきを抑えることができる。
【0012】
固定部は、ブラスト処理加工および/またはハイドロキシアパタイト処理加工されてもよい。
【0013】
この局面に従えば、固定部が、ブラスト処理加工されるので固定部と骨盤との結合力が向上し、固定部がハイドロキシアパタイト処理加工されるので、骨盤との親和性が向上する。
【0014】
補助部は、固定部よりも柔らかい素材で形成されてもよい。
【0015】
この局面に従えば、補助部は、固定部よりも柔らかい素材で形成されるので、補助部が、大腿骨の骨頭から受ける圧力により弾性変形し、大腿骨の骨頭に加わる力を低減することができる。
【0016】
補助部と骨盤との間に配置され、補助部を上方から支持する支持部材を、さらに備えてもよい。
【0017】
この局面に従えば、補助部と骨盤との間に、補助部を上方から支持する支持部材が配置されるので、補助部が大腿骨の骨頭から圧力を受ける場合に固定部と骨盤との間に働く力を分散することができる。このため、骨盤に単位面積当たりに働く力を小さくできるとともに、補助部の変形を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施の形態の1つに係るネジ部材の外観斜視図である。
【
図5】骨盤整形器具が骨盤に装着される様子の一例を示す斜視図である。
【
図9】第1の変形例におけるネジ部材の側面図である。
【
図10】第1の変形例におけるネジ部材の断面図である。
【
図11】第2の変形例における骨盤整形器具が装着された左股関節の状態を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態に係る骨盤整形器具について、図面を参照しながら説明する。以下の説明では同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
【0020】
本実施の形態における骨盤整形器具1は、複数のネジ部材10を含む。ここでは、骨盤整形器具1が4つのネジ部材10を含む例を説明する。
図1は、本発明の実施の形態の1つに係るネジ部材の外観斜視図であり、
図2は、
図1のネジ部材の側面図である。
図1および
図2を参照して、ネジ部材10は、円柱形状の棒材であり、固定部11と、補助部13とを含む。固定部11は、ネジ部材10の一端に形成され、骨盤に挿入されて固定される部分である。固定部11は、ネジ山が形成される。補助部13は、ネジ部材10の他端に形成され、骨盤から突出する部分である。補助部13の端面に、手術用の工具が挿入される溝13aが形成されている。工具が溝13aに係合した状態で、工具の回転に伴ってネジ部材10が回転中心軸を中心に回転する。これによって、ネジ部材10の固定部11が骨盤にねじ込まれる。
【0021】
ネジ部材10は、骨との親和性の高い材料により形成されることが好ましい。ネジ部材10は、限定するものではないが、炭素繊維強化複合材などの複合材、または、生体活性をもつ人工骨で形成される。人工骨の一例としては、ハイドロキシアパタイト、β-リン酸三カルシウム(β-TCP)などがある。なお、金属または樹脂等の他の材料によりネジ部材10が形成されてもよい。
【0022】
固定部11は、骨に対する固定力を向上させるために、ブラスト処理加工が施されるのが好ましい。
【0023】
ネジ部材10の長さは、8.5~15mm、固定部11の長さは3.5~5mm、補助部13の長さは、3.5~5mmである。
【0024】
ここで、股関節およびその周辺部について説明する。
図3は、左右の股関節を含む骨格を示す。
図4は、左股関節の拡大図である。
図3に示すように、骨盤B1と左大腿骨B2との間に左股関節J1があり、骨盤B1と右大腿骨B3との間に右股関節J2がある。以下、代表的に左股関節J1について説明する。
【0025】
図4に示すように、左股関節J1は、骨盤B1の寛骨臼B11および左大腿骨B2の大腿骨頭B21により構成される。寛骨臼B11の辺縁に関節唇31がある。左股関節J1内には、軟骨33等の他の種々の組織がある。左股関節J1は、関節包35により包まれている。
【0026】
図5は、骨盤整形器具が骨盤に装着される様子の一例を示す斜視図である。
図5においては、骨盤の左股関節J1周辺を左斜め前方および斜め上方から見た図である。
図5において、骨盤B1の左股関節J1側の左側面に4つのネジ部材10が位置決めされ、埋め込まれる方向が矢印で示される。骨盤B1に4つの穴14,14A~14Cが形成され、形成された4つの穴14,14A~14Cに、ネジ部材10、10A~10Cがそれぞれ工具によりねじ込まれることにより、ネジ部材10、10A~10Cそれぞれが骨盤B1に埋め込まれる。ネジ部材10、10A~10Cそれぞれは、骨盤B1に埋め込まれた状態で固定部11が骨盤B1に固定される。骨盤B1にネジ部材10、10A~10Cが埋め込まれた状態で、ネジ部材10、10A~10Cそれぞれの補助部13は、骨盤B1から延びる面の一部を形成する。
【0027】
以下、人の前後方向をY方向、人の左右方向をX方向、人の上下方向をZ方向という。また、Y方向に平行なY軸、X方向に平行なX軸、およびZ方向に平行なZ軸を定める。X軸、Y軸およびZ軸は、互いに直行する。
【0028】
図6~
図8は、骨盤に骨盤整形器具が装着された状態における左股関節周辺を模式的に示す図である。
図6は、左股関節J1の左側面図であり、
図7は、左股関節J1のXZ平面における断面図であり、
図8は、左股関節J1のXY平面における断面図である。XZ平面は、X軸およびZ軸に平行な面である。XY平面はX軸およびY軸に平行な面である。
【0029】
図6および
図8に示すように、4つのネジ部材10,10A~10Cは、前方から順に間隔を空けて配置される。4つのネジ部材10,10A~10Cが配置される間隔は、例えば、5mm~10mmである。4つのネジ部材10,10A~10Cが配置される間隔は等間隔であってもよい。
【0030】
4つのネジ部材10,10A~10Cは、骨盤B1の寛骨臼B11の端部に沿って配置される。以下、具体的に説明する。
【0031】
図6に示すように、YZ平面において骨盤B1の寛骨臼B11の端部は、上に凸の曲線となっている。このため、4つのネジ部材10,10A~10CはY方向に異なる位置に配置されるが、Z方向に異なる位置に配置される。具体的には、ネジ部材10はネジ部材10Aよりも下方に配置され、ネジ部材10Aはネジ部材10Bよりも下方に配置され、ネジ部材10Bはネジ部材10Cよりも上方に配置される。左大腿骨B2の大腿骨頭B21はYZ平面において上に凸の曲線であるため、YZ平面において左大腿骨B2の大腿骨頭B21から4つのネジ部材10,10A~10Cそれぞれまでの距離がほぼ同じになるように、配置される。このため、複数のネジ部材10,10A~10Cと大腿骨頭B21との間の距離のばらつきを抑えることができる。
【0032】
図7に示すように、ネジ部材10は、骨盤B1に斜め上方に向けて埋め込まれる。換言すれば、ネジ部材10の固定部11側の端部が補助部13側の端部よりも上側に位置するように、骨盤B1に埋め込まれる。このため、ネジ部材10の補助部13は、XZ平面において、骨盤B1の寛骨臼B11の端部で寛骨臼B11の曲線に接する直線とほぼ平行な方向にとなる。左大腿骨B2の大腿骨頭B21はXZ平面において上に凸の曲線であるため、骨盤B1に斜め上方に向けて埋め込まれることにより、ネジ部材10の補助部13の固定部11と反対側の端部と、左大腿骨B2の大腿骨頭B21との間の距離をできるだけ小さくできる。
【0033】
図8に示すように、XY平面において、骨盤B1の寛骨臼B11の端部は、右に凹の曲線となっている。4つのネジ部材10,10A~10Cは骨盤B1に垂直となるように配置される。このため、ネジ部材10,10A~10Cそれぞれにおいて、骨盤B1に斜めに埋め込まれる場合よりも、埋め込まれる固定部11と骨盤B1との接触面積が大きくなる。しがって、ネジ部材10,10A~10Cそれぞれを骨盤B1により確実に固定することができる。なお、ネジ部材10,10A~10Cそれぞれは、XY平面において、X方向に平行になるように骨盤B1に配置されてもよい。
【0034】
図8に点線で示される領域Sは、ネジ部材10,10A~10Cと接する面であり、骨盤B1から延びる。
図7に示されるように、左大腿骨B2の大腿骨頭B21を上方に押し上げる力は、骨盤B1の寛骨臼B11と、領域Sに加わる。領域Sは、上方でネジ部材10,10A~10Cと接する。
【0035】
ネジ部材10,10A~10Cと左大腿骨B2の大腿骨頭B21との間には、関節唇31と関節包35とが存在する。このため、左大腿骨B2の大腿骨頭B21から領域Sに加わる力は、関節唇31と関節包35を介して、または、関節包35を介してネジ部材10,10A~10Cに加わる。このため、左大腿骨B2の大腿骨頭B21を上方に押し上げる力の一部が、ネジ部材10,10A~10Cに加わる。
【0036】
したがって、ネジ部材10,10A~10Cを骨盤B1に装着する場合は、大腿骨頭B21を上方に押し上げる力が寛骨臼B11および領域Sに加わるので、装着しない場合に比較して寛骨臼B11に加わる力が小さくなる。このため、寛骨臼B11と大腿骨頭B21との間にある軟骨33の損傷が少なくなる。
【0037】
<第1の変形例>
第1の変形例における骨盤整形器具1は、ネジ部材10を変更したものである。
図9は、第1の変形例におけるネジ部材の側面図である。
図10は、第1の変形例におけるネジ部材の断面図である。
図9および
図10を参照して、第1の変形例におけるネジ部材10は、ネジ部21と、被覆部材23と、を含む。被覆部材23は、中空円筒形状である。被覆部材23の内径はネジ部21の直径と同じかやや大きい。被覆部材23をネジ部21が貫通することにより、ネジ部21と被覆部材23とが結合し、一体となる。ネジ部21が被覆部材23によって覆われる部分が補助部13であり、ネジ部21の被覆部材23によって覆われていない部分が固定部11である。
【0038】
ネジ部21は、溝13aが形成される側の端部から所定の長さのネジ頭の径が他の部分の径よりも大きい。これにより、ネジ部21の固定部11が骨盤B1に固定された状態で、被覆部材23の一端は骨盤B1に当接し、他端はネジ頭に当接し、被覆部材23は骨盤B1とネジ部21のネジ頭とにより挟まれる。このため、被覆部材23とネジ部21との相対的な移動が規制される。
【0039】
ネジ部21の材質は、金属である。被覆部材23は、炭素繊維強化複合材などの複合材、または、人工骨で形成される。人工骨の一例としては、ハイドロキシアパタイト、β-リン酸三カルシウム(β-TCP)などがある。
【0040】
このため、被覆部材23は、ネジ部21よりも柔らかい素材で形成される。このため、被覆部材23が、左大腿骨B2の大腿骨頭B21から受ける圧力により弾性変形し、大腿骨頭B21に加わる力を低減することができる。
【0041】
ネジ部21の固定部11は、ネジ山が形成されている。ネジ部21の固定部11は、骨に対する固定力を向上させるために、ブラスト処理加工が施されるのが好ましい。また、ネジ部21の固定部11は、骨との親和性を向上させるために、ハイドロキシアパタイト処理加工が施されてもよい。
【0042】
なお、ネジ部21を被覆部材23に貫通させるのに代えて、ネジ部21を覆うように加工されることにより被覆部材23がネジ部21と一体となるようにネジ部材10Aが形成されてもよい。
【0043】
<第2の変形例>
第2の変形例における骨盤整形器具1は、4つのネジ部材10,10A~10Cそれぞれを支持する支持部材15を有する。ここでは、ネジ部材10を支持する支持部材15について説明する。
【0044】
図11は、第2の変形例における骨盤整形器具が装着された左股関節の状態を、模式的に示す図である。
図11は、左股関節J1のXZ平面における断面図である。
図11に示すように、ネジ部材10の寛骨臼B11と反対側に接するように支持部材15が配置される。支持部材15は、三角形の平板であり、一辺がネジ部材10に接し、他の一辺が骨盤B1に接するように配置される。支持部材15は、ネジ部材10に嵌合してもよいし、ネジ部材10と一体に形成されてもよい。支持部材15は、ネジ部材10の上方に位置するので、ネジ部材10を上方から支持する。このため、ネジ部材10が下方から力を受ける場合に、ネジ部材10が上方に傾かないようにできる。
【0045】
上述したように本実施の形態における骨盤整形器具1は、骨盤整形器具1は、複数のネジ部材10,10A~10Cからなる。複数のネジ部材10,10A~10Cそれぞれは、一端に骨盤B1に挿入されて固定される固定部11が形成され、他端に骨盤B1から突出する補助部13が形成されており、複数のネジ部材10,10A~10Cそれぞれの固定部11が骨盤B1に固定された状態で複数のネジ部材10,10A~10Cそれぞれの補助部13は骨盤B1から延びる面の一部を形成する。このため、複数のネジ部材10,10A~10Cそれぞれの固定部11が骨盤B1に固定されると、複数のネジ部材10,10A~10Cそれぞれの補助部13が骨盤B1から延びる面の一部を形成する。このため、寛骨臼B11に加えて複数のネジ部材10,10A~10Cが大腿骨頭B21から受ける圧力の一部を受け止める。したがって、寛骨臼B11が大腿骨頭B21から受ける力を低減することができる。
【0046】
また、複数のネジ部材10,10A~10Cは、寛骨臼B11の端部に沿って骨盤B1に配置されてもよい。このため、複数のネジ部材10,10A~10Cと大腿骨頭B21との間の距離のばらつきを抑えることができる。
【0047】
また、固定部11は、ブラスト処理加工および/またはハイドロキシアパタイト処理加工されてもよい。ブラスト処理加工された固定部11と骨盤との結合力を向上させることができる。また、ハイドロキシアパタイト処理加工された固定部11と骨盤との親和性を向上させることができる。
【0048】
第1の変形例における補助部13は、固定部11よりも柔らかい素材で形成される。このため、補助部13が、大腿骨頭B21から受ける圧力により弾性変形し、大腿骨頭B21に加わる力を低減することができる。
【0049】
第2の変形例における骨盤整形器具1は、補助部13の寛骨臼B11と反対側の面と骨盤B1との間に配置され、補助部13を支持する支持部材15を備える。このため、補助部13が大腿骨頭B21から圧力を受ける場合に固定部11と骨盤B1との間に働く力を分散することができる。骨盤B1に単位面積当たりに働く力を小さくできるとともに、補助部13の変形を少なくすることができる。
【0050】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0051】
1 骨盤整形器具、10,10A~10C ネジ部材、11 固定部、13 補助部、13a 溝、14 穴、15 支持部材、21 ネジ部、23 被覆部材、31 関節唇、33 軟骨、35 関節包、B1 骨盤、B11 寛骨臼、B2 左大腿骨、B21 大腿骨頭、B3 右大腿骨、J1 左股関節、J2 右股関節、S 領域。