(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023031057
(43)【公開日】2023-03-08
(54)【発明の名称】栽培システム及び栽培構造体
(51)【国際特許分類】
A01G 9/12 20060101AFI20230301BHJP
A01G 24/35 20180101ALI20230301BHJP
A01G 24/44 20180101ALI20230301BHJP
A01G 9/00 20180101ALI20230301BHJP
【FI】
A01G9/12 A
A01G24/35
A01G24/44
A01G9/00 C
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021136529
(22)【出願日】2021-08-24
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】300011092
【氏名又は名称】▲吉▼坂包装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】上田 泰
【テーマコード(参考)】
2B022
2B023
2B327
【Fターム(参考)】
2B022BA23
2B022BB02
2B023AA01
2B023AC03
2B023AE10
2B023AH10
2B327NC24
2B327NC36
2B327NC39
2B327NC56
2B327ND15
2B327TA04
2B327TA24
2B327TA27
2B327TC07
2B327TC09
2B327UA04
2B327UA08
2B327UA26
(57)【要約】
【課題】蔓植物の気根に灌水することができ、蔓植物の育成スピードを促進することができる栽培システム及び栽培構造体を提供する。
【解決手段】蔓植物を栽培可能な栽培システムは、培地と、ケースと、支持部材と、を備える。培地は、水を保持可能である。ケースは、培地を収容可能である。支持部材は、ケースを、当該栽培システムの設置面よりも高い位置で支持可能である。ケースは、蔓植物の気根は進入可能であって培地の移動が制限される複数の貫通孔を有する。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蔓植物を栽培可能な栽培システムであって、
水を保持可能な培地と、
前記培地を収容可能なケースと、
前記ケースを、当該栽培システムの設置面よりも高い位置で支持可能な支持部材と、を備え、
前記ケースは、前記蔓植物の気根は進入可能であって前記培地の移動が制限される複数の貫通孔を有する、栽培システム。
【請求項2】
請求項1に記載の栽培システムであって、
前記ケースは、前記ケースの外部から前記ケースの内部に収容された前記培地へ水を導入可能な導入口を有しており、
空中に存在する水滴を捕集し、捕集された水を前記導入口に案内する案内部を更に備える、栽培システム。
【請求項3】
請求項2に記載の栽培システムであって、
前記案内部は、板状の部材であって、主たる面が鉛直方向に対して角度を有するように配置される、栽培システム。
【請求項4】
請求項3に記載の栽培システムであって、
前記案内部は、上側が凸となるように湾曲している、栽培システム。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載の栽培システムであって、
前記案内部は、上側の面に、水が前記導入口に向かって流れるように形成された溝状の流路を有する、栽培システム。
【請求項6】
請求項2から請求項5までのいずれか1項に記載の栽培システムであって、
前記導入口は、前記ケースの上側に設けられる、栽培システム。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の栽培システムであって、
前記培地は、前記培地の上側の端部における少なくとも一部が圧縮された状態で前記ケースに収容される、栽培システム。
【請求項8】
請求項7に記載の栽培システムであって、
前記培地の上側の端部における一部である第1部分と、前記培地の上側の端部における前記第1部分とは異なる第2部分と、では、圧縮率が異なり、前記第1部分と前記第2部分とは交互に配置される、栽培システム。
【請求項9】
請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の栽培システムであって、
前記支持部材は、前記設置面から鉛直方向に延びる部分を有する、栽培システム。
【請求項10】
水を保持可能な培地と、
前記培地を収容するケースと、を備え、
前記ケースは、蔓植物の気根は進入可能であって前記培地の移動が制限される複数の貫通孔を有している、栽培構造体。
【請求項11】
請求項10に記載の栽培構造体であって、
前記ケースは、外部から前記培地へ水を導入可能な導入口を有しており、
前記ケースは、前記ケースから延び出す板状の案内部を有しており、
前記案内部は、空中に存在する水滴を捕集し、捕集された水を前記導入口に案内する、栽培構造体。
【請求項12】
請求項11に記載の栽培構造体であって、
前記複数の貫通孔は、少なくとも前記ケースの第1方向の側面に設けられており、
前記導入口は、前記第1方向と直交する第2方向の端部に形成され、
前記案内部の主たる面は、前記第2方向に対して角度を有する、栽培構造体。
【請求項13】
請求項12に記載の栽培構造体であって、
前記培地は、前記培地の前記第2方向の端部における少なくとも一部が圧縮された状態で前記ケースに収容される、栽培構造体。
【請求項14】
請求項10から請求項13までのいずれか1項に記載の栽培構造体であって、
前記ケースは、網目状又は格子状の壁を有し、
前記貫通孔は、前記壁が有する隙間部分である、栽培構造体。
【請求項15】
請求項14に記載の栽培構造体であって、
前記壁の裏面には、前記培地に接触する突起部を備える、栽培構造体。
【請求項16】
請求項10から請求項15までのいずれか1項に記載の栽培構造体であって、
前記蔓植物の蔓を束ねるための補助クリップを更に備える、栽培構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、栽培システム及び栽培構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、蔓植物を案内する面状案内体が記載されている。この面状案内体は、蔓植物の茎から生じる気根が付着可能な帯状粗面を面状案内体の表面の下側から上側に向かうように備え、この帯状粗面以外の表面には蔓植物が付着不可能な平滑面を備える。これにより、蔓植物は気根の付着し易い帯状粗面に沿って生長するため、蔓植物の生長の向きを制御することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、蔓植物の気根は、付着手段だけでなく、水を吸収する役割も果たしている。気根を有する植物は、地面から根を介して吸水することに加え、生長する蔓の先端に近い部分に水を送りやすくするため気根からも吸水する。蔓植物は生長するにつれ、根から株の先端の成長点への距離が長くなるため、根から水を運ぶ距離が長くなり、水を供給する能力が低下する。そのため、蔓植物は生長と共に気根を生やし、着生すると共に、先端への水の供給を行っている。しかしながら、特許文献1の面状案内体では、蔓植物の生長の向きを制御できても、気根に灌水することができず、蔓植物の育成スピードを促進することができなかった。
【0005】
本開示の一局面は、蔓植物の気根に灌水することができ、蔓植物の育成スピードを促進することができる栽培システム及び栽培構造体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、蔓植物を栽培可能な栽培システムであって、培地と、ケースと、支持部材と、を備える。培地は、水を保持可能である。ケースは、培地を収容可能である。支持部材は、ケースを、当該栽培システムの設置面よりも高い位置で支持可能である。ケースは、蔓植物の気根は進入可能であって培地の移動が制限される複数の貫通孔を有する。
【0007】
このような構成によれば、蔓植物は培地に着生することができる。また、ケースを設置面に配置する場合よりも高い位置にある培地から、蔓植物の気根が水を吸収することができる。よって、栽培システムは、高い位置に延びる蔓植物の気根に灌水することができる。したがって、蔓植物の育成スピードを促進することができる。また、複数の貫通孔は、培地の移動が制限されるよう構成されている。このような構成によれば、栽培システムを鉛直方向や水平方向に設置したとしても、ケースから培地が脱落しない。よって、ケースを任意の方向に向けて設置することができる。
【0008】
上述した栽培システムにおいて、ケースは、ケースの外部からケースの内部に収容された培地へ水を導入可能な導入口を有していてもよい。また、空中に存在する水滴を捕集し、捕集された水を導入口に案内する案内部を更に備えてもよい。このような構成によれば、ケースの内部、つまり培地に水を導きやすくなる。よって、栽培システムは、培地に効率よく水を供給することができる。
【0009】
上述した栽培システムにおいて、案内部は、板状の部材であって、主たる面が鉛直方向に対して角度を有するように配置されてもよい。このような構成によれば、案内部は鉛直方向に対して傾斜して設置されている。そのため、案内部が直立した状態よりも水平方向に広がるため上方からの水を捕捉しやすく、また傾斜しているため捕捉した水が流れやすい。よって、外部の水を導入口に、より案内しやすくなる。
【0010】
上述した栽培システムにおいて、案内部は、上側が凸となるように湾曲していてもよい。このような構成によれば、同じ長さの湾曲しない案内部と比較して、水平方向の広がりを大きくすることができる。よって、外部の水をより多く導入口に、案内しやすくなる。
【0011】
上述した栽培システムにおいて、案内部は、上側の面に、水が導入口に向かって流れるように形成された溝状の流路を有してもよい。このような構成によれば、流路に沿って水を導入口まで流すことができる。よって、外部の水を導入口に、より案内しやすくなる。
【0012】
上述した栽培システムにおいて、導入口は、ケースの上側に設けられてもよい。このような構成によれば、例えばケースの外部の水をケースの上部から捕集するため、培地の上部に水を導入することができ、培地全体に効率よく水を行き渡らせることができる。
【0013】
上述した栽培システムにおいて、培地は、培地の上側の端部における少なくとも一部が圧縮された状態でケースに収容されてもよい。このような構成によれば、培地が圧縮された状態になっているため、その部分を水が流れやすくなる。その結果、培地に多くの水が流れることになる。よって、培地が圧縮されない状態でケースに収容されている場合と比較して、培地が水を吸収しやすくなる。
【0014】
上述した栽培システムにおいて、培地の上側の端部における一部である第1部分と、培地の上側の端部における第1部分とは異なる第2部分と、では、圧縮率が異なり、第1部分と第2部分とは交互に配置されてもよい。このような構成によれば、相対的に培地が水を吸収しやすい箇所と、相対的に培地が水を吸収しにくい箇所とが交互に配置されることになる。よって、全体的に見れば、培地が水を吸収しやすい箇所が一箇所に集まることなく、培地はバランスよく水を吸収することができる。
【0015】
上述した栽培システムにおいて、支持部材は、設置面から鉛直方向に延びる部分を有してもよい。このような構成によれば、ケースを高い位置で支持することができる。
本開示の一態様は、栽培構造体であって、培地と、ケースと、を備える。培地は、水を保持可能である。ケースは、培地を収容する。また、ケースは、蔓植物の気根は進入可能であって培地の移動が制限される複数の貫通孔を有している。
このような構成によれば、蔓植物の気根は、貫通孔から培地が保持する水を吸収することができる。よって、栽培構造体は、蔓植物の気根に灌水することができる。
【0016】
上述した栽培構造体において、ケースは、外部から培地へ水を導入可能な導入口を有していてもよい。また、ケースは、ケースから延び出す板状の案内部を有していてもよい。案内部は、空中に存在する水滴を捕集し、捕集された水を導入口に案内してもよい。このような構成によれば、ケースの内部、つまり培地に水を導きやすくなる。よって、栽培構造体は、培地に効率よく水を供給することができる。
【0017】
上述した栽培構造体において、複数の貫通孔は、少なくともケースの第1方向の側面に設けられていてもよい。導入口は、第1方向と直交する第2方向の端部に形成されてもよい。案内部の主たる面は、第2方向に対して角度を有してもよい。このような構成によれば、案内部は第2方向に対して傾斜して設置されている。よって、第2方向の端部に形成される導入口に、外部の水をより案内しやすくなる。
【0018】
上述した栽培構造体において、培地は、培地の第2方向の端部における少なくとも一部が圧縮された状態でケースに収容されてもよい。このような構成によれば、培地が圧縮された状態になっているため、その部分を水が流れやすくなる。その結果、培地に多くの水が流れることになる。よって、培地が圧縮されない状態でケースに収容されている場合と比較して、培地が水を吸収しやすくなる。
【0019】
上述した栽培構造体において、ケースは、網目状又は格子状の壁を有してもよい。貫通孔は、壁が有する隙間部分であってもよい。このような構成によれば、蔓植物の気根は、隙間部分から培地が保持する水を吸収することができる。また、壁によって培地の脱落を抑制することができる。
【0020】
上述した栽培構造体において、壁の裏面には、培地に接触する突起部を備えてもよい。このような構成によれば、外部の水が突起部を伝って培地へ到達しやすくなる。よって、培地に効率よく水を供給することができる。
【0021】
上述した栽培構造体において、蔓植物の蔓を束ねるための補助クリップを更に備えてもよい。このような構成によれば、蔓植物の育成方向を好適に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】第1実施形態における栽培システムの概略を示す概略図である。
【
図3】
図3Aは第1実施形態における第1ハウジングの模式図であり、
図3Bは
図3AのIIIB-IIIB断面図であり、
図3Cは栽培構造体の上面部であり、
図3Dは栽培構造体の側面図である。
【
図5】第1実施形態における第1ハウジングの斜視図である。
【
図6】第1実施形態における栽培構造体を上方から見たときの断面図の分解図である。
【
図7】
図7Aは第1実施形態における案内部を除く栽培構造体の上面図であり、
図7Bはケースに挟み込まれた培地を説明するための説明図であり、
図7Cは培地を第2ハウジングに押し込むときの説明図である。
【
図8】第1実施形態における図であって、
図8Aは突起部を側面からみたときの模式図であり、
図8Bは第1ハウジングの背面図の一部の模式図であり、
図8Cはワイヤを上方から見たときの断面図である。
【
図10】第2実施形態における栽培構造体の斜視図であって、ケースを裏側から見たときの図である。
【
図11】第2実施形態における栽培構造体の斜視図であって、ケースを表側から見たときの図である。
【
図12】第2実施形態における図であって、組み合わせたときに内側から見た壁部材の斜視図である。
【
図13】第2実施形態における壁部材を表側から見たときの斜視図である。
【
図14】
図14A,Bは第2実施形態における補助クリップの斜視図である。
【
図15】変形例における栽培システムの概略を示す概略図である。
【
図16】変形例における栽培システムを側面から見たときの断面図である。
【
図19】変形例における栽培構造体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本開示の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
[1.第1実施形態]
[1-1.全体構成]
図1に示す栽培システム1は、蔓植物10を栽培可能なシステムである。本実施形態において蔓植物10とは、他の物体を支えにすることで高いところへ茎を伸ばす植物のことである。栽培システム1は、例えば、バニラの栽培に好適に使用され得るが、他の蔓植物10に使用されてもよい。自然界において、蔓植物10は着生木へ気根を用いて茎を保持し、吸水も行っている。栽培システム1は、これを人工的に行うものである。栽培システム1は、例えば農業用ハウス内に設置して使用される。栽培システム1は、栽培構造体2と、支持部材3と、ミスト供給装置4と、鉢5と、を備える。
【0024】
[1-2.栽培構造体]
栽培構造体2は、鉢5から伸びる蔓植物10が着生する壁であるとともに、蔓植物10に灌水する装置でもある。
図2,
図3A,3Bに示すように、栽培構造体2は、培地21と、ケース22と、案内部23と、を備える。以下、栽培構造体2の説明において、ケース22の長手方向を左右方向とし、短手方向を上下方向とし、厚さ方向を前後方向とするが、これらの方向は説明の便宜上用いているに過ぎず、本開示の実施の態様について何ら限定するものではない。
【0025】
[1-2-1.培地]
図4に示す培地21は、水を保持可能な部材である。培地21は、正面視で略矩形の、板状の部材である。ここで、板状とは、平たいものであればよく、厚さが一定であっても一定でなくてもよい。本実施形態では、培地21として人工培地が用いられる。
【0026】
例えば、ラテックス樹脂、あるいはエチレン樹脂やプロピレン樹脂やスチロール樹脂やウレタン樹脂やフェノール樹脂、酢酸セルロース等を発泡させた各種発泡樹脂材で構成したものを、人工培地として用いてもよい。また例えば、ピートモスなどの有機質培土材を圧縮成形したもの、セルロースなどの繊維状成形物、セラミックなどの無機質発泡物、通常培土として用いられる各種の土壌を樹脂バインダーや接着剤等を用いて成形して、人工培地として用いてもよい。また例えば、バーク堆肥やピートモス、腐葉土などの有機質培土材を混合したものを、例えばポリエーテルポリオール(ポリオール成分)とポリイソシアネート(イソシアネート成分)とを反応させて得られる親水性ウレタンプレポリマーによって固結成形により一体成形し、多孔質で弾力を有した状態に形成して、人工培地として用いてもよい。また例えば、土をそのまま(樹脂と混合して一体成形することなく)用いる場合には、その形状が崩れないように、スポンジや不織布などの透水性を有するものによって周囲を包むことにより、人工培地として用いてもよい。また例えば、ヤシの繊維をマット状にしたものや、不織布をマット状にしたものを人工培地として用いてもよい。
【0027】
[1-2-2.ケース]
図3A,
図5,
図6に示すように、ケース22は、培地21を収容可能な部材である。ケース22は一例として、プラスチックで形成されるが、ケース22の素材はこれに限定されるものではない。例えばケース22は金属製であってもよい。ケース22は、第1ハウジング31と、第2ハウジング32と、を備える。
【0028】
第1ハウジング31と第2ハウジング32とは同一の形状である。そのため、以下では第1ハウジング31について説明し、第2ハウジング32の記載は省略する。
第1ハウジング31は、開口37を有する、正面視で略矩形の枠体36である。枠体36を組み合わせることで略箱型となる。第1ハウジング31は、培地21よりも上下方向の幅及び左右方向の幅が若干大きくなっている。開口37にはメッシュ38が設けられている。第1ハウジング31の左右の端部には、外側に延び出す板状の取付部41が形成されている。
【0029】
[1-2-3.培地のケースへの収容]
第1ハウジング31と第2ハウジング32は、培地21を挟み込む。このとき、第1ハウジング31の裏面と第2ハウジング32の裏面とが培地21を挟んで対向する。第1ハウジング31の取付部41と第2ハウジング32の取付部41とが当接したときに、収容可能な空間が形成され、その中に培地21が収容される。第1ハウジング31と第2ハウジング32の固定方法は特に限定されない。例えば、
図3Aに示される、取付部41に設けられた穴部411にボルトを挿入し、ナットと嵌合することで固定してもよい。また、図示しないビスによる固定やクリップによる固定、又は一方を他方に差し込んで固定する構成であってもよい。第1ハウジング31と第2ハウジング32とが固定されることで、培地21が挟み込まれる。このとき、挟み込まれた培地21は、第1ハウジング31と第2ハウジング32とにより厚さ方向に圧縮されていてもよいし、圧縮されていなくてもよい。
【0030】
図7Aに示すように、導入口33は、第1ハウジング31の裏面と第2ハウジング32の裏面とを対向させて当接させたときに、上部に導入口33が形成される。導入口33は、外部から培地21へ水を導入可能な開口である。導入口33からは、培地21が露出している。
【0031】
図7B,
図7Cを用いて、導入口33付近の培地21の状態について説明する。第2ハウジング32の上側の端部には、
図7Cに示されるように、前方側に水平に延び出す水平部321が形成されている。水平部321の端部には、下方側へ延び出す下垂部322が形成されている。つまり、第2ハウジング32の上側の端部は、開口が下側に形成されるように折り曲げられている。第2ハウジング32の下垂部322の端部には、縁部323が形成されている。縁部323は正面視で波形の形状となっている。培地21は、縁部323の下方側から縁部323に向かって押し込まれた状態となる。言い換えると、培地21に、縁部323がめり込んだ状態となる。つまり、培地21は、培地21の上側の端部が圧縮された状態でケース22に収容される。また、縁部323の凸となる部分に接する培地21の部分である凸当接部と、縁部323の凹となる部分に接する培地21の部分である凹当接部とでは、培地21の圧縮率が異なる。縁部323の凸となる部分と縁部323の凹となる部分とは交互に配置されるため、凸当接部と凹当接部とも交互に配置される。図示しないが、第1ハウジング31の上側の端部も、第2ハウジング32の上側の端部と同様の構成となっている。
【0032】
図5に示すように、第1ハウジング31及び第2ハウジング32の主たる面には、メッシュ38が張り掛けられており、そのメッシュ38の隙間が複数の貫通孔34である。複数の貫通孔34は、蔓植物10の気根が進入可能な孔である。また、複数の貫通孔34は、培地21の移動が制限されるよう構成されている。本実施形態では、ワイヤ35をメッシュ状に張り巡らせて、複数の貫通孔34を形成している。複数の貫通孔34は、複数のワイヤ35の隙間部分である。複数の貫通孔34は第1ハウジング31及び第2ハウジング32に形成される。
【0033】
なお、メッシュ38及びワイヤ35の具体的な形状は特に限定されないが、
図8A~
図8Cに示すように構成されていてもよい。すなわち、第1ハウジング31及び第2ハウジング32の裏面であって、ワイヤ35とワイヤ35との交点には、突起部351が設けられていてもよい。突起部351は、培地21に接触している。ワイヤ35は、前方から後方に向かって左右の幅が広くなっていく。つまり、培地21に近くなるにつれ、左右の幅が広くなっていく。
【0034】
[1-2-4.案内部]
図3C,
図3Dに示す案内部23は、空中に存在する水滴を捕集し、捕集された水を導入口33に案内する。案内部23は、プラスチック又は金属で形成された板であり、ミスト供給装置4から噴霧された水滴が表面に付着する。案内部23は、第2ハウジング32の上側の端部に設けられる。案内部23は、主たる面が鉛直方向に対して角度を有しているため、表面に付着した水は下方に流れる。案内部23は、上側が凸となるように湾曲している。そのため、水平方向に関し、広い範囲の水滴を捕集できる。なお、案内部23は、スプリンクラー等により散布された水を捕集してもよい。また、栽培システム1が屋外に設置される場合、案内部23は、雨水を捕集してもよい。また、捕集する水には、液体肥料や消毒液、殺虫剤等が含まれていてもよい。
【0035】
なお、案内部23は、上側に凸ではなく、平らな板状の部材であってもよい。また、表面に付着した水が集まって導入口33に向かって流れるように形成された溝状の流路を備えていてもよい。例えば、案内部23は、
図9Aに示すように、断面が波型の形状であってもよいし、
図9Bに示すように、断面がのこぎり歯型の形状であってもよい。
【0036】
[1-2-5.支持部材]
図2に示すように、支持部材3は、支持部材3が設置される設置面6にケースを置いた場合よりも貫通孔34が高い位置に来るようにケース22を支持可能な部材である。支持部材3は、一例として金属製のパイプであるが、支持部材3の素材はこれに限定されるものではない。例えば、木や塩化ビニル等のプラスチック製の柱であってもよい。また支持部材3はパイプや柱に限定されるものではなく、例えば断面が一定の形状に成形されたアングルが用いられてもよい。支持部材3は、地面よりも貫通孔34が高い位置に来るように栽培構造体2を支持する。支持部材3は、側面視で下側に開口を有するU字型の形状である。支持部材3は、地面から鉛直方向に延びる棒状の部分である棒状部44を、前後に1つずつ有する。また、それら棒状部44の上端同士を繋ぐ棒状の部分である天面部45を上端に有する。本実施形態では、1組の支持部材3で、3つの栽培構造体2を支持する。言い換えると、3つの栽培構造体2が一対の支持部材の間に挟まれて支持される。栽培構造体2は、2つの栽培構造体2は、棒状部44に支持される。1つの栽培構造体2は、天面部45に支持される。棒状部44に支持された栽培構造体2は、第1ハウジング31及び第2ハウジング32の主たる面が鉛直になるように設置される。天面部45に支持された栽培構造体2は、第1ハウジング31及び第2ハウジング32が水平になるように設置される。
【0037】
なお、図示されていないが、取付部41は、支持部材3に栽培構造体2を取り付けるための部材でもある。具体的には、穴部411と、支持部材3に設けられた図示しない穴部とにボルトを挿入し、ナットと嵌合する。
【0038】
[1-3.ミスト供給装置]
ミスト供給装置4は、ミスト状の水を噴射する装置である。栽培構造体2よりも上部に設けられるミストチューブは、通水されるチューブの管壁に取り付けられた複数個のノズルを備え、ポンプ等によってチューブに通水される圧力を調節することによりノズルから水が噴霧されるように構成されている。ミスト供給装置4によりミスト状の水が供給されるため、ミストが葉や茎にも付着することから、蔓植物10は、根以外の部分からも吸水することができる。特に、湿度を好むバニラ等の植物に対して好適に水を供給することができる。なお、栽培システム1は、水道管からチューブを介して培地21に直接水を供給してもよい。この場合でも、蔓植物10は培地21に着生する気根から吸水することができる。
【0039】
[1-4.効果]
以上詳述した第1実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1a)支持部材3は、ケース22を、栽培システム1の設置面6よりも高い位置で支持可能である。ここで、一般的にバニラの栽培においては、屋外で栽培され、バニラを着生させるための他の木が支持部材3として用いられている。しかし、有機物である木を用いると、虫が付いたりウイルス等の病気が発生したりすることがある。ハウス栽培では、一般的にパイプ等で棚を組み、棚に蔓を絡めて栽培する。しかし、この場合、パイプに気根が着生できなかったり、蔓植物10は気根に直に付着した水しか吸水できなかったりするという問題があった。そこで栽培システム1では、複数の貫通孔34は、蔓植物10の気根が進入可能に構成されている。このような構成によれば、蔓植物10は培地21に着生することができる。また、ケースを設置面6に配置する場合よりも高い位置にある培地21から、蔓植物10の気根が水を吸収することができる。よって、栽培システム1は、蔓植物10の気根に灌水することができる。したがって、栽培システム1は、蔓植物10の育成スピードを促進し、効率的に蔓植物10を栽培することができる。
【0040】
また、複数の貫通孔34は、培地21の移動が制限されるよう構成されている。このような構成によれば、栽培構造体2を鉛直方向や水平方向に設置したとしても、貫通孔34から培地21が脱落しない。よって、栽培構造体2を任意の方向に設置することができる。
【0041】
(1b)栽培システム1は、空中に存在する水滴を捕集し、捕集された水を導入口33に案内する案内部23を備える。このような構成によれば、培地21に効率よく水を供給することができる。
【0042】
(1c)案内部23は、板状の部材であって、鉛直方向に対して角度を有する。このような構成によれば、案内部23は鉛直方向に対して傾斜して設置されている。そのため、案内部23が直立した状態よりも水平方向に広がるため上方からの水を捕捉しやすく、また傾斜しているため捕捉した水が流れやすい。よって、傾斜面を水が伝うことにより、外部の水を導入口33に、より案内しやすくなる。
【0043】
(1d)案内部23は、上側が凸となるように湾曲している。このような構成によれば、同じ長さの湾曲しない案内部と比較して、水平方向の広がりを大きくすることができる。よって、外部の水を導入口33に、より案内しやすくなる。
【0044】
また、例えば案内部が湾曲しておらず角が立っている場合、角の部分で蔓植物10の茎が傷ついてしまう可能性がある。よって、湾曲していることで、蔓植物10が案内部23に沿って生長しやすくなり、茎が傷つきにくくなる。
【0045】
(1e)案内部23は、水が流れる流路を有していてもよい。このような構成によれば、流路に沿って水を導入口33まで流すことができる。よって、外部の水を導入口33に、より案内しやすくなる。
【0046】
(1f)導入口33は、ケース22の上側に設けられる。このような構成によれば、例えば外部の水をケースの上部から捕集するため、培地21の上部に水を導入することができ、培地21全体に効率よく水を行き渡らせることができる。
【0047】
(1g)培地21は、培地21の上側の端部が圧縮された状態でケース22に収容される。このような構成によれば、培地21が圧縮された状態になっているため、培地21の繊維の隙間が細くなる。よって、毛細管現象がより強く働くため、その部分を水が流れやすくなる。その結果、培地21に多くの水が流れることになる。よって、培地21が圧縮されない状態でケースに収容されている場合と比較して、培地21が水を吸収しやすくなる。
【0048】
(1h)凸当接部と凹当接部とでは、圧縮率が異なり、凸当接部と凹当接部とは交互に配置される。このような構成によれば、相対的に培地21が水を吸収しやすい箇所と、相対的に培地21が水を吸収しにくい箇所とが交互に配置されることになる。よって、全体的に見れば、培地21が水を吸収しやすい箇所が一箇所に集まることなく、培地21はバランスよく水を吸収することができる。
【0049】
(1i)支持部材3は、地面から鉛直方向に延びる棒状の部分を有する。このような構成によれば、高い位置で栽培構造体2を支持することができる。
(1j)ワイヤ35とワイヤ35との交点には、突起部351が設けられる。このような構成によれば、外部の水が突起部351を伝って培地21へ到達しやすくなる。よって、培地21に効率よく水を供給することができる。
【0050】
(1k)ワイヤ35は、前方から後方に向かって左右の幅が広くなっていく。このような構成によれば、培地21側よりも外部に接する側の方が、ワイヤ35が細くなっている。よって、外部の水が進入しやすくなる。また、蔓植物10の気根も進入しやすくなる。
【0051】
[1-5.対応関係]
凸当接部が第1部分に相当し、凹当接部が第2部分に相当し、前方が第1方向に相当し、上方が第2方向に相当する。
【0052】
[2.第2実施形態]
[2-1.第1実施形態との相違点]
第2実施形態の栽培構造体101は、ケース22に替えて、ケース120を備える点で、第1実施形態と相違する。なお、第2実施形態の栽培構造体101における他の部分は、第1実施形態と同様の構成を有する。以下では、第2実施形態の栽培構造体101における第1実施形態との相違点について説明する。
【0053】
図10及び
図11に示すように、栽培構造体101は、培地110と、ケース120と、案内部130と、補助クリップ140,150と、を備える。
培地110は、第1実施形態の培地21と同様に、水を保持可能な部材である。
【0054】
ケース120は、同一の構造を有する一対の壁部材121を組み合わせて構成されている。
図12に、組み合わせたときに内側から見た壁部材121を示す。
【0055】
壁部材121は、略矩形の主板310と、主板310の1辺に設けられる第1耳部320と、上記1辺と対向する辺に設けられる第2耳部330と、を備える。主板310と、第1耳部320及び第2耳部330とは、主板310の厚さ方向にずれた位置にある。以下、主板310から見て第1耳部320又は第2耳部330の位置する側を内側と記載する。
【0056】
主板310は、左右方向に4列、上下方向に4列、計16の開口部410を有している。その結果、主板310は、枠体に格子状に柱を掛けた形状となっている。すなわち、主板310は、外側の枠420に加え、縦又は横に延びるように設けられた複数の柱430を有する。なお、上下方向の中央に設けられた中央柱430aは、他の柱よりも太い。
【0057】
複数の柱430の交差する位置のうちの4箇所には、内側に突出する突起450が設けられている。これは、培地110に食い込むことで培地110の脱落を抑制する。
枠420の上下と中央柱430aには、複数の貫通孔460がある。貫通孔460は、補助クリップ140,150を固定する際に用いられる。
【0058】
枠420の上下には、3つずつ、板保持部470が設けられている。これは、案内部130を固定する際に用いられる。
第1耳部320には、3つの挿入部510と、2つの第1スリット520と、が形成されている。第2耳部330には、3つの被挿入部530と、2つの第2スリット540と、が形成されている。
【0059】
ケース120を構成する一対の壁部材121は、第1耳部320と第2耳部330とが重なるように組み合わせられる。第1耳部320と第2耳部330とを組み合わせるとき、挿入部510が被挿入部530に挿入され固定される。また、組み合わせると、第1スリット520と第2スリット540とは重なって1つの貫通孔を形成する。
【0060】
このように組み合わせると、一対の壁部材121による2つの主板310の間には空間が形成され、その間に培地110が挟まれて保持される。
案内部130は、
図13に示すように、水受け部610と、突出片620と、を備える。
【0061】
水受け部610は、複数の溝630が形成された、波打った形状である。
突出片620は、板保持部470に差し込んで係止可能である。これらは互いに係止され抜け止めが為される、いわゆるスナップフィット機構を有する。
【0062】
図14A,Bに示すように、補助クリップ140,150は、差込片710と、クランプ部720と、を備える。差込片710は、貫通孔460に差込可能である。クランプ部720は、蔓植物10が鉢5から栽培構造体101に至るまでに着生する棒状の部材を固定することができる。また、クランプ部720は、蔓植物10の蔓を束ねて固定することができる。
【0063】
[2-2.効果]
以上詳述した第2実施形態によれば、第1実施形態の効果に加え、以下の効果が得られる。
【0064】
(2a)ケース120、外側の枠420及び複数の柱430は、同一の部材で構成されている。このような構成によれば、好適に強度を保つことができる。
(2b)栽培構造体101は、蔓植物10の蔓を束ねるための補助クリップ140,150を備える。このような構成によれば、蔓植物10の育成方向を好適に誘引することができる。
【0065】
[3.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0066】
(3a)第1実施形態では、2つの栽培構造体2が棒状部44に支持され、1つの栽培構造体2が天面部45に支持される構成を例示したが、栽培構造体2が設置される位置や個数はこれに限定されるものではない。例えば、
図15に示すように、栽培構造体2は、上下方向に並んで設置されてもよい。また、
図16に示すように、天面部45に栽培構造体2を配置しなくてもよい。また、
図17に示すように、設置される栽培構造体2の個数は、支持部材800ごとに異なっていてもよい。また、
図18に示すように、天面部45だけでなく、下方部46にも栽培構造体2を設置してもよい。なお、下方部46とは、棒状部44を上端よりも下方で繋ぐ棒状の部分である。
また、上記実施形態では、栽培構造体2が設置面6よりも上部に設置される構成を例示したが、栽培構造体2は設置面6と同じ高さに設置されてもよい。
【0067】
(3b)第1実施形態では、第2ハウジング32の上部に案内部23が設置される構成を例示したが、案内部23が設置される位置はこれに限定されるものではない。例えば、
図15及び
図16に示すように、案内部23は、第2ハウジング32の下部に設置されてもよい。具体的には、案内部23は、鉢5の上部に置いて、上側に凹となるように設置されていてもよい。このような構成によれば、下側のケース22の案内部23の凹面に貯留した水が、鉢5に流れ込みやすくなる。すなわち、案内部23を培地に導入する以外の用途でも利用できる。また、特に上側のケース22の案内部23の凸面に沿って、蔓植物10が生長しやすくなる。
【0068】
また例えば、案内部23は、支持部材3に設置されてもよい。また、案内部23はケース22と別体に構成されていてもよいし、ケース22の一部であってもよい。また、栽培システムにおいて案内部23は設けられていなくてもよい。
【0069】
(3c)第1実施形態では、ワイヤ35をメッシュ状に張り巡らせて貫通孔34を形成する構成を例示したが、貫通孔34を形成する構成はこれに限定されるものではない。例えば、ワイヤ35を縦方向又は横方向に、ストライプ状に張り巡らせてもよい。また例えば、板状の部材に、スリットが複数形成されていてもよい。また例えば、ネットが用いられてもよい。また、第1ハウジング31及び第2ハウジング32に多数の丸孔や角孔が形成されていてもよい。
【0070】
(3d)上記実施形態では、案内部23,130が鉛直方向に対して角度を有しており、湾曲している構成を例示したが、案内部23,130の形状はこれに限定されるものではない。例えば、案内部23,130は、傾斜せずに、鉛直方向に設置されていてもよい。また例えば、案内部23,130は、上側に凸となるように湾曲していなくてもよく、下側に凸となるように湾曲していてもよい。
【0071】
(3e)第1実施形態では、導入口33がケース22の上側に設けられる構成を例示したが、導入口33が設けられる位置はこれに限定されるものではない。例えば、導入口33は、ケース22の中間部に設けられてもよい。また例えば、導入口33は設けられず、貫通孔34を介して水が培地21に送り込まれる構成であってもよい。
【0072】
(3f)第1実施形態では、培地21に、縁部323がめり込んだ状態となる構成を例示したが、培地21の挟み込み方はこれに限定されるものではない。例えば、培地21に縁部323をめり込ませることなく、第1ハウジング31と第2ハウジング32とで培地21を挟み込んでもよい。
また、上記実施形態では、凸当接部と凹当接部とでは、培地21の圧縮率が異なる構成を例示したが、培地21の圧縮率は同じであってもよい。
【0073】
(3g)上記実施形態では、支持部材3が地面から鉛直方向に延びる棒状の部分を有する構成を例示したが、支持部材3の形状は、設置面6から鉛直方向に延びる部分を有していれば、これに限定されるものではない。例えば、支持部材3は、地面から鉛直方向に延びる板状の形状であってもよい。また例えば、支持部材3には、ブロックが用いられてもよい。また例えば、支持部材3は、これらの部材を組み合わせて用いられてもよい。また例えば、支持部材3は、リング状の部材を組み合わせて用いられてもよい。
【0074】
(3h)第1実施形態では、第1ハウジング31及び第2ハウジング32は、正面視で略矩形であり、組み合わせることでの略箱型となる構成を例示したが、ケース22の形状はこれに限定されるものではない。例えば、ケース22は正面視で略円形であってもよいし、第1ハウジング31及び第2ハウジング32は、略箱型とならない板状の部材であってもよい。また、
図19に示すように、ケース22は表面の大部分がメッシュ38で構成されていてもよい。この場合、図示しないケーブル等を介して、ケース22を木や柱等にぶら下げて使用することもできる。なお、メッシュ38は金属製であってもよい。メッシュ38が十分な強度を有する場合、
図19に示すような枠体22aを有していなくてもよい。
【0075】
(3i)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。
【符号の説明】
【0076】
1,100…栽培システム、2,101…栽培構造体、3,800…支持部材、4…ミスト供給装置、5…鉢、6…設置面、10…蔓植物、21,110…培地、22,120…ケース、23,130…案内部、31…第1ハウジング、32…第2ハウジング、33…導入口、34…貫通孔、35…ワイヤ、22a,36…枠体、37…開口、38…メッシュ、41…取付部、44…棒状部、45…天面部、46…下方部、121…壁部材、140,150…補助クリップ、310…主板、320…第1耳部、321…水平部、322…下垂部、323…縁部、330…第2耳部、351…突起部、410…開口部、411…穴部、420…枠、430…柱、430a…中央柱、450…突起、460…貫通孔、470…板保持部、510…挿入部、520…第1スリット、530…被挿入部、540…第2スリット、610…水受け部、620…突出片、630…溝、710…差込片、720…クランプ部。
【手続補正書】
【提出日】2022-09-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蔓植物を栽培可能な栽培システムであって、
支持部材と、
水を保持可能な培地と、
前記培地を収容可能なケースと、
を備え、
前記支持部材は、下端部が設置面に載置可能であり、前記設置面から上方側に間隔を空けた位置で前記ケースを支持可能であり、
前記ケースは、前記蔓植物の気根は進入可能であって前記培地の移動が制限される複数の貫通孔を有し、
前記ケースの外部から前記培地へ水を案内する、又は、前記培地から前記ケースの外部に水を案内する、板状の案内部を更に備え、
前記案内部は、前記ケースに沿って、主たる面が前記ケースに対して角度を有するように配置され、かつ、前記ケースから離れるにつれて、一方向に凸となるように湾曲している、栽培システム。
【請求項2】
請求項1に記載の栽培システムであって、
前記ケースは、前記ケースの外部から前記培地へ水を導入可能な導入口を有しており、
前記案内部は、空中に存在する水滴を捕集し、捕集された水を前記導入口に案内する、栽培システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の栽培システムであって、
前記案内部は、前記案内部が前記ケースから延びる方向に沿って形成された溝状の流路を有する、栽培システム。
【請求項4】
請求項2に記載の栽培システムであって、
前記導入口は、前記ケースの端部に設けられる、栽培システム。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の栽培システムであって、
前記培地は、前記培地の端部における少なくとも一部が圧縮された状態で前記ケースに収容される、栽培システム。
【請求項6】
請求項5に記載の栽培システムであって、
前記培地の端部における一部である第1部分と、前記培地の端部における前記第1部分とは異なる第2部分と、では、圧縮率が異なり、前記第1部分と前記第2部分とは交互に配置される、栽培システム。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の栽培システムであって、
前記支持部材は、前記設置面から鉛直方向に延びる部分を有する、栽培システム。
【請求項8】
水を保持可能な培地と、
前記培地を収容するケースと、を備え、
前記ケースは、蔓植物の気根は進入可能であって前記培地の移動が制限される複数の貫通孔を有しており、
前記ケースの外部から前記培地へ水を案内する、又は、前記培地から前記ケースの外部に水を案内する、板状の案内部を更に備え、
前記案内部は、前記ケースに沿って、主たる面が前記ケースに対して角度を有するように配置され、かつ、前記ケースから離れるにつれて、一方向に凸となるように湾曲している、栽培構造体。
【請求項9】
請求項8に記載の栽培構造体であって、
前記ケースは、外部から前記培地へ水を導入可能な導入口を有しており、
前記案内部は、空中に存在する水滴を捕集し、捕集された水を前記導入口に案内する、栽培構造体。
【請求項10】
請求項9に記載の栽培構造体であって、
前記複数の貫通孔は、少なくとも前記ケースの第1方向の側面に設けられており、
前記導入口は、前記第1方向と直交する第2方向の端部に形成され、
前記案内部の主たる面は、前記第2方向に対して角度を有する、栽培構造体。
【請求項11】
請求項10に記載の栽培構造体であって、
前記培地は、前記培地の前記第2方向の端部における少なくとも一部が圧縮された状態で前記ケースに収容される、栽培構造体。
【請求項12】
請求項8から請求項11までのいずれか1項に記載の栽培構造体であって、
前記ケースは、網目状又は格子状の壁を有し、
前記貫通孔は、前記壁が有する隙間部分である、栽培構造体。
【請求項13】
請求項12に記載の栽培構造体であって、
前記壁の裏面には、前記培地に接触する突起部を備える、栽培構造体。
【請求項14】
請求項8から請求項13までのいずれか1項に記載の栽培構造体であって、
前記蔓植物の蔓を束ねるための補助クリップを更に備える、栽培構造体。
【手続補正書】
【提出日】2022-11-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バニラを栽培可能な栽培システムであって、
支持部材と、
水を保持可能な培地と、
前記培地を収容可能なケースと、
を備え、
前記支持部材は、下端部が設置面に載置可能であり、前記設置面から上方側に間隔を空けた位置で前記ケースを支持可能であり、
前記ケースは、前記バニラの気根は進入可能であって前記培地の移動が制限される複数の貫通孔を有し、
前記ケースは、略箱型の形状を有し、
前記ケースの外部から前記培地へ水を案内する、又は、前記培地から前記ケースの外部に水を案内する、板状の案内部を更に備え、
前記案内部には、第1案内部と、第2案内部と、が含まれ、
前記ケースを構成する面は、最も広さを有する面である一対の最大面を有し、
前記第1案内部は、前記一対の最大面のうちの一方の最大面に沿って、前記ケースの端部から延び、
前記第2案内部は、前記一方の最大面に沿って、前記第1案内部が延びる端部とは反対側の、前記ケースの端部から延び、
前記第1案内部及び前記第2案内部は、前記ケースに沿って、主たる面が前記ケースに対して角度を有するように配置され、かつ、前記ケースから離れるにつれて、前記一対の最大面のうちの、前記一方の最大面に対向する他方の最大面側に凸となるように一方向に湾曲している、栽培システム。
【請求項2】
請求項1に記載の栽培システムであって、
前記ケースは、前記ケースの外部から前記培地へ水を導入可能な導入口を有しており、
前記案内部は、空中に存在する水滴を捕集し、捕集された水を前記導入口に案内する、栽培システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の栽培システムであって、
前記案内部は、前記案内部が前記ケースから延びる方向に沿って形成された溝状の流路を有する、栽培システム。
【請求項4】
請求項2に記載の栽培システムであって、
前記導入口は、前記一対の最大面が前記設置面に対して垂直になるように配置されたときに、前記ケースの上側の端部に設けられる、栽培システム。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の栽培システムであって、
前記培地は、前記一対の最大面が前記設置面に対して垂直になるように配置されたときに、前記培地の上側の端部における少なくとも一部が圧縮された状態で前記ケースに収容される、栽培システム。
【請求項6】
請求項5に記載の栽培システムであって、
前記培地の端部における一部である第1部分と、前記培地の端部における前記第1部分とは異なる第2部分と、では、圧縮率が異なり、前記第1部分と前記第2部分とは交互に配置される、栽培システム。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の栽培システムであって、
前記支持部材は、前記設置面から鉛直方向に延びる部分を有する、栽培システム。
【請求項8】
水を保持可能な培地と、
前記培地を収容するケースと、を備え、
前記ケースは、バニラの気根は進入可能であって前記培地の移動が制限される複数の貫通孔を有しており、
前記ケースは、略箱型の形状を有し、
前記ケースの外部から前記培地へ水を案内する、又は、前記培地から前記ケースの外部に水を案内する、板状の案内部を更に備え、
前記案内部には、第1案内部と、第2案内部と、が含まれ、
前記ケースを構成する面は、最も広さを有する面である一対の最大面を有し、
前記第1案内部は、前記一対の最大面のうちの一方の最大面に沿って、前記ケースの端部から延び、
前記第2案内部は、前記一方の最大面に沿って、前記第1案内部が延びる端部とは反対側の、前記ケースの端部から延び、
前記第1案内部及び前記第2案内部は、前記ケースに沿って、主たる面が前記ケースに対して角度を有するように配置され、かつ、前記ケースから離れるにつれて、前記一対の最大面のうちの、前記一方の最大面に対向する他方の最大面側に凸となるように一方向に湾曲している、栽培構造体。
【請求項9】
請求項8に記載の栽培構造体であって、
前記ケースは、外部から前記培地へ水を導入可能な導入口を有しており、
前記案内部は、空中に存在する水滴を捕集し、捕集された水を前記導入口に案内する、栽培構造体。
【請求項10】
請求項9に記載の栽培構造体であって、
前記複数の貫通孔は、少なくとも前記ケースの第1方向の側面に設けられており、
前記導入口は、前記第1方向と直交する第2方向の端部に形成され、
前記案内部の主たる面は、前記第2方向に対して角度を有する、栽培構造体。
【請求項11】
請求項10に記載の栽培構造体であって、
前記培地は、前記培地の前記第2方向の端部における少なくとも一部が圧縮された状態で前記ケースに収容される、栽培構造体。
【請求項12】
請求項8から請求項11までのいずれか1項に記載の栽培構造体であって、
前記ケースは、網目状又は格子状の壁を有し、
前記貫通孔は、前記壁が有する隙間部分である、栽培構造体。
【請求項13】
請求項12に記載の栽培構造体であって、
前記壁の裏面には、前記培地に接触する突起部を備える、栽培構造体。
【請求項14】
請求項8から請求項13までのいずれか1項に記載の栽培構造体であって、
前記バニラの蔓を束ねるための補助クリップを更に備える、栽培構造体。