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特開2023-31085ジュン菜の包装方法及び包装されたジュン菜
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023031085
(43)【公開日】2023-03-08
(54)【発明の名称】ジュン菜の包装方法及び包装されたジュン菜
(51)【国際特許分類】
   A23B 7/157 20060101AFI20230301BHJP
   A23B 7/015 20060101ALI20230301BHJP
   A23B 7/10 20060101ALI20230301BHJP
   A23B 7/152 20060101ALI20230301BHJP
【FI】
A23B7/157
A23B7/015
A23B7/10 Z
A23B7/152
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021136574
(22)【出願日】2021-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】597059247
【氏名又は名称】株式会社佐藤運送
(74)【代理人】
【識別番号】110003225
【氏名又は名称】弁理士法人豊栖特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 東洋彦
【テーマコード(参考)】
4B169
【Fターム(参考)】
4B169AA04
4B169AB04
4B169HA01
4B169HA20
4B169KA01
4B169KA07
4B169KB04
4B169KB06
4B169KC04
4B169KC24
4B169KC34
4B169KD10
(57)【要約】
【課題】ジュン菜に珍重されている独特の風味と食感を失うことなく緑化し、殺菌し、酵母臭を脱臭して高品質なジュン菜として包装する。
【解決手段】ジュン菜を20℃以下の金属酵母液に浸漬して緑化した後、緑化されたジュン菜を処理液に浸漬し、処理液にオゾン空気のナノバブルを供給してオゾン殺菌した後、容器に充填して密閉する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジュン菜の包装方法であって、
ジュン菜を20℃以下の金属酵母液に浸漬して緑化した後、
緑化されたジュン菜を処理液に浸漬し、
前記処理液に、オゾン空気のナノバブルを供給してオゾン殺菌し、
オゾン殺菌されたジュン菜を容器に充填して容器を密閉するジュン菜の包装方法。
【請求項2】
請求項1に記載のジュン菜の包装方法であって、
前記処理液でジュン菜をオゾン殺菌した後、さらにジュン菜に紫外線を照射して殺菌するジュン菜の包装方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のジュン菜の包装方法であって、
金属酵母液で緑化したジュン菜を水晒しし、
水晒ししたジュン菜をオゾン殺菌するジュン菜の包装方法。
【請求項4】
請求項3に記載のジュン菜の包装方法であって、
ジュン菜を有機酸を含む保存液と共に容器に充填するジュン菜の包装方法。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか一に記載の方法で包装されたジュン菜。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジュン菜独特の風味と食感を保持しながら綺麗な緑色に保持して包装できる包装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ジュン菜は、つるつるした厚いヌメリで覆われた、独特の風味と食感のある高級食材で、ヌルヌルしてツルンとしたのどごしが命である。ジュン菜は、ヌメリが多いほど食感がよく、日本料理に高級食材として使用されている。つるつるしたヌメリは、寒天質の粘液からなる多糖類であって、コアたんぱく質に糖鎖が結合した糖類で、分子量が100万~1000万である糖を多量に含む粘液糖タンパク質の水溶性食物繊維である。
【0003】
ジュン菜は、採取された状態では綺麗な薄緑色をしているが、時間が経過すると自然な緑色が退色して商品価値が低下する。退色したジュン菜の緑色を復元する方法は開発されている。(特許文献1、2参照)
特許文献1と2の緑化方法は、金属イオンで葉緑素の緑色を復元してジュン菜を緑化する。この方法は、水にCu含有酵母とZn含有酵母を添加して、Cu含有酵母からはCuイオンを、Zn含有酵母からはZnイオンを放出させて、CuイオンとZnイオンとを含むイオン水とし、このイオン水にジュン菜を浸漬して緑化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-314300号公報
【特許文献2】特開2016-220563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上の緑化方法は、金属イオンの作用でジュン菜を緑化できるが、ジュン菜の命であるつるつるしたヌメリによる食感を低下させることなく緑化するのが難しく、高級食材であるジュン菜の商品価値が低下する欠点がある。また、ジュン菜を金属酵母で緑化するので酵母独特の酵母臭がジュン菜の風味を低下する弊害もある。
【0006】
本発明は、以上の欠点を解消することを目的として開発されたもので、ジュン菜を被覆しているツルツルしたヌメリを消失することなく、特有の風味と食感を保持して、綺麗な緑色としながら、殺菌し、脱臭して包装できるジュン菜の包装方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0007】
本発明のジュン菜の包装方法は、ジュン菜を20℃以下の金属酵母液に浸漬して緑化した後、金属酵母液で緑化されたジュン菜を処理液に浸漬し、処理液に、オゾン空気のナノバブルを供給してオゾン殺菌して容器に充填して密閉する。
【0008】
以上のジュン菜の処理方法は、天然ジュン菜の表面を被覆しているムコ多糖のツルツルしたヌメリを消失せず、ジュン菜の命である独特の風味と食感を保持しながら殺菌して包装でき、さらにジュン菜に特有の綺麗な緑色に保持して包装でき、さらにまたオゾン空気のナノバブルでジュン菜を殺菌できると共に、オゾン空気のオゾンで金属酵母に特有の酵母臭を脱臭して包装できる特長がある。
【0009】
本発明の他の実施形態にかかるジュン菜の包装方法は、処理液でオゾン殺菌したジュン菜に、さらに紫外線を照射して殺菌する。紫外線殺菌は、容器に入れる前工程で、あるいは容器に入れながら、あるいは又は容器に入れた状態でジュン菜に紫外線を照射して殺菌することができる。この方法は、オゾン空気のナノバブル液でジュン菜を殺菌し、さらにジュン菜を紫外線で殺菌するので、より確実にジュン菜を殺菌して長期保存できる特長がある。
【0010】
本発明の他の実施形態にかかるジュン菜の包装方法は、金属酵母液に浸漬して緑化されたジュン菜を水晒しし、水晒ししたジュン菜をオゾン殺菌することができる。この方法は、水晒ししてジュン菜を膨潤し、さらにオゾン殺菌して酵母臭を少なくできるので、ジュン菜の食感と風味を向上できる特長がある。
【0011】
本発明の他の実施形態にかかるジュン菜の包装方法は、ジュン菜を有機酸を含む保存液と共に容器に充填することができる。この包装方法は、殺菌されたジュン菜が有機酸を含む保存液に浸漬されて保存されるので、腐食をさらに防止して保存できる特長がある。
【0012】
本発明の一実施態様にかかる包装されたジュン菜は、以上に記載のいずれかの包装方法で包装されている。
【0013】
以上のジュン菜は、天然ジュン菜の表面を被覆しているムコ多糖のツルツルしたヌメリが消失することなく、ジュン菜の命である独特の食感を保持しながら殺菌して包装されており、さらにジュン菜に特有の綺麗な緑色に保持しながら、ジュン菜を緑化する金属酵母に特有の酵母臭が脱臭されて優れた風味を実現できる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。以下に示す実施形態は、本発明の技術思想の具体例を示すものであって、本発明を以下に限定するものではない。また、以下に記載されている材料や条件など特定的な記載がない限り、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、例示することを意図したものである。また、一の実施の形態、実施例において説明する内容は、他の実施の形態、実施例にも適用可能である。
【0015】
本発明の実施態様のジュン菜の包装方法は、ジュン菜の命であるつるつるしたヌメリを失うことなく優れた食感を維持し、さらに綺麗な緑色としながら、金属酵母に独特の酵母臭を脱臭しながら殺菌して包装できる。ジュン菜は、金属酵母液に浸漬して緑化するが、この工程は、ジュン菜のヌメリを消失しないように、浸漬する金属酵母液の温度を、20℃以下の低温とする。さらに、ジュン菜は、好ましくは、緑化する前工程で脱水して速やかに緑化できる。脱水されたジュン菜が、金属酵母液を速やかに内部移行させて金属イオンで速やかに緑化するからである。ただし、本発明は必ずしもジュン菜を脱水することなく、金属酵母に浸漬して緑化できるので、ジュン菜の脱水は本発明において必ずしも必要な処理ではない。
【0016】
[ジュン菜の緑化工程]
収穫したジュン菜は、熱湯処理した後、冷水に1日以上浸漬してあく抜きして使用する。本発明の実施態様の包装方法は、好ましくは、あく抜きしたジュン菜を、有機酸液に浸漬して脱水した後、金属酵母液に浸漬して速やかに緑化できる。脱水されたジュン菜は、金属酵母液の金属イオンを含む水分を速やかに内部移行して速やかに緑化する。ジュン菜を緑化する金属酵母液は、加熱によるジュン菜のダメージ、とくにジュン菜の命であるツルツルしたヌメリによる独特の食感を保持するために、液温を20℃以下、好ましくは10℃~18℃に設定する。
【0017】
ジュン菜の脱水は、酢酸、クエン酸、リンゴ酸などの有機酸を精製水に添加している有機酸液に浸漬して実現する。有機酸液は、ジュン菜に含まれる水分を浸透圧の作用で外部に移行させて脱水する。ジュン菜は脱水されて重量が15~20%減量する。有機酸液がジュン菜を脱水する作用は、有機酸のモル濃度に比例して大きくなるが、モル濃度はpHを低くして高くできるので、有機酸液はpHを、好ましくは3.5~3.8に調整してジュン菜を脱水する。
【0018】
脱水工程において、ジュン菜は内部の水分が外部に排出されるが、外部に排出される水分量は時間が経過するに従って次第に少なくなる。ジュン菜を有機酸液に浸漬する時間が短すぎると、充分に脱水されないので、ジュン菜を有機酸液に浸漬して脱水する時間は、好ましくは3時間以上、好ましくは5時間以上、最適には5~16時間とする。ジュン菜を有機酸液に浸漬する時間を長くして脱水される水分量は増加するが、浸透圧による水分の移行は、次第に減少して平衡状態となるので、浸漬時間は長すぎると能率よく包装できなくなるので、ジュン菜の脱水工程は、ジュン菜の重量が、例えば80%に減少するように、有機酸液のpHと浸漬時間を設定することができる。
【0019】
ジュン菜を金属酵母液に浸漬して緑化する。金属酵母液は、葉緑素に作用して緑化する金属イオンを含む全ての金属酵母液、例えば、葉緑素を緑化する作用のある、Zn、Cu、Fe、Mg、Mnのいずれかの緑化金属を含む酵母液が使用できる。金属酵母液は、例えば、金属イオン濃度を1ppm以上、好ましくは3ppm以上としてジュン菜を緑化できる。金属イオン濃度が1ppmよりも低くなるとジュン菜の緑色が薄くなって商品価値が低下する。金属酵母液は、例えば金属イオン濃度を1ppm~50ppmの範囲とする。金属酵母液は、金属イオン濃度を高くしてジュン菜の緑色を濃くできるが、全ての緑化金属において、50ppmを超える領域から緑色の濃度変化は減少し、さらに酵母臭も増加するので、金属酵母液の金属イオン濃度は、経済効果も考慮して、高くても100ppm以下に設定する。
【0020】
金属酵母液は、含有する金属イオンの種類と濃度を調整して、緑化するジュン菜の色を調整できる。たとえば、Feイオンを含む金属酵母液は、CuイオンやZnイオンの金属酵母液に比較して緑色が暗色に近く、Znイオンの金属酵母液は淡い緑色となり、Cuイオンは濃い緑色となる。金属酵母液は、異なる金属を含む複数の金属酵母を混合して、緑化するジュン菜の色彩を調整できる。したがって、金属酵母液は、含有する複数の金属イオンの混合比率を調整して、ジュン菜の緑色をより自然の緑色に調整する。たとえば、Zn含有酵母とCu含有酵母の両方を使用して、収穫時のジュン菜に近い緑色にすることができる。
【0021】
金属酵母液にビタミンCを添加して、ジュン菜を緑化をすることもできる。金属酵母液は、ビタミンCの添加量を多くしてジュン菜を速やかに緑化できるが、添加量が多いと表面のツルツルしたヌメリが減量するので、ビタミンCの添加量は、例えば0.001重量%以上であって0.05重量%以下、好ましくは0.01重量%以上であって0.01重量%以下とする。
【0022】
緑化されたジュン菜は、水晒しして風味をコントロールしながら膨潤できる。水晒しは、ジュン菜の表面を包囲している独特のツルツルしたヌメリを膨潤して、ジュン菜の風味と食感を向上しながら重量も増加する。従って、緑化後に水晒しする方法は、ジュン菜の命であるツルツルしたヌメリを増加させて、全体の重量を増加して商品価値の高いジュン菜に処理できる特長を実現する。
【0023】
水晒しは、金属酵母液で緑化したジュン菜を、金属酵母液から取り出し、水道水又は地下水に5~6時間浸漬する。水晒しは、ジュン菜表面のツルツルしたヌメリを増加し、緑化後に含有する有機酸濃度を調製し、さらに酵母臭を脱水して、食感と風味をコントロールする。水晒しは、例えば0~20℃、好ましくは10~16℃の水道水、又は地下水にジュン菜を浸漬する。
【0024】
以上の工程の後、ジュン菜をオゾン殺菌する。オゾン殺菌はジュン菜を浸漬している処理液にオゾン空気のナノバブルを供給して実現する。オゾン殺菌の処理液は、ジュン菜の水晒し水を使用し、あるいは水晒し水から取り出して、別に用意した水道水や地下水を使用できる。処理液のオゾン濃度は、高すぎるとジュン菜の風味が低下し、反対に低すぎると確実な殺菌が難しくなるので、例えば0.8~1.5ppmとする。ジュン菜を浸漬する状態における処理液の温度は、高すぎるとジュン菜の食感が低下すので、例えば0~20℃、好ましくは10~17℃に保持する。ジュン菜を処理液に浸漬する時間は、長くして確実に殺菌できるが、浸漬時間が長くなると、ジュン菜が酸化されて風味が低下し、短すぎると確実な殺菌が難しくなるので、例えば30秒~5分、好ましくは30秒~2分とする。
【0025】
処理液は、好ましくは、ジュン菜の水晒し水を使用するが、水晒ししない方法にあっては、ジュン菜の緑化に使用した金属酵母液を使用することもできる。水晒し水を処理液に使用してジュン菜をオゾン殺菌する方法は、水晒しが終了した後、水晒した水にナノバブルを供給して殺菌できる。緑化した金属酵母液を処理液に使用してジュン菜をオゾン殺菌する方法は、緑化したジュン菜を金属酵母液から取り出すことなく、まは水晒しすることなく、金属酵母液にナノバブルを供給してジュン菜をオゾン殺菌する。
【0026】
ナノバブルのオゾン空気は、空気中に一対の電極を対向して配置し、電極間に高電圧を印可して火花放電させて生成できる。オゾン空気をナノバブルの発生装置に供給して、発生装置でオゾン空気をナノバブルとして液中に供給する。ナノバブルは、微細な気泡で液中の浮上速度を遅くして滞在時間を長くして、効率よくオゾン殺菌できる。ナノバブルの発生装置は、現在市販されている発生装置を使用でき、またこれから開発される発生装置も使用できる。
【0027】
オゾン殺菌したジュン菜は、処理液を水切りして、保存液と一緒に容器に充填する。容器は、ジュン菜と保存液を充填して密閉する。保存液は、蒸留水などの精製水に、酢酸を添加して、好ましくはpHを3.7~3.9に調整して調合する。保存液とジュン菜の比率は、例えば80重量%のジュン菜と、20重量%の保存液とする。容器は、保存液とジュン菜を一緒に充填して密閉する。容器は、充填しているジュン菜を外部から観察できるように、好ましくは透明容器、さらに好ましくは紫外線を透過できる透明のガラス容器を使用する。容器は、紫外線を透過できるガラス容器が最適であるが、透明のプラスチック容器や透光性のプラスチック袋も使用できる。ジュン菜は保存液に入れた状態で、紫外線を照射して殺菌することで、オゾン空気のナノバブル、紫外線の両方でより確実に殺菌できる。紫外線殺菌は、好ましくは222nmの波長の紫外線を照射してジュン菜と保存液を殺菌する。紫外線殺菌は、容器に充填する前工程で、あるいは容器に入れて密閉した状態で殺菌できるが、好ましくは、容器に入れて密閉した状態で殺菌して、より確実な殺菌ができる。ジュン菜を入れた状態で紫外線殺菌する方法は、容器に紫外線を透過する容器を使用し、容器を密閉した状態で紫外線殺菌する。容器に充填する前工程でジュン菜を殺菌して容器に充填する方法は、紫外線を透過しない容器に充填して密閉できる。
【0028】
以上の方法で得られる包装されたジュン菜は、ジュン菜表面には十分なヌメリがあって独特の風味と食感があり、高級食材の状態を保持するので、包装されて販売されるジュン菜として極めて高い経済効果がある。ジュン菜の重量を減少することなく高級食材として販売価格を高くできるからである。
【実施例0029】
[実施例1]
収穫したジュン菜を水洗いして原料のジュン菜とする。原料のジュン菜を、脱水工程の後、緑化工程で緑化する。
1.原料のジュン菜を有機酸液に浸漬する工程(脱水工程)
この工程において、原料のジュン菜を、pHを3.5、20℃の有機酸液に浸漬する。ジュン菜の浸漬時間を1日として脱水ジュン菜とする。
【0030】
2.ジュン菜を金属酵母液に浸漬する工程(緑化工程)
ジュン菜を浸漬する金属酵母液は以下の工程で調整する。金属酵母には、5重量%のZnを含有するZn含有酵母を使用する。Zn含有酵母には、例えば、「米国 Grow Company,Inc.製」を使用するが、Zn含有酵母には、Znを含有する他の金属酵母も使用できる。金属酵母に有機酸を含まない水を添加し、さらに0.0075重量%のビタミンCを添加して、Znイオン濃度を5ppmとする金属酵母液を調整する。この金属酵母液60mLに、水切りした100gの脱水ジュン菜を混合してプラスチック袋に入れて密閉する。金属酵母液と一緒に袋詰めしたジュン菜を、水温が13~16℃の地下水に6時間浸漬して緑化する。緑化されたジュン菜は、袋から取り出して、金属酵母液を水切りし、地下水又は水道水に浸漬して水晒しする。水晒しは、1Lの地下水又は水道水に、ジュン菜を6時間浸漬する。
【0031】
3.殺菌工程
水晒しされたジュン菜をオゾン空気のナノバブルで殺菌する。この工程は、処理液の水晒し水にジュン菜を浸漬する状態で、オゾン空気のナノバブルを供給してジュン菜をオゾン殺菌する。この工程は、ジュン菜を水晒した後、水晒し水を処理液に使用してオゾン殺菌するので、水晒しした処理液を地下水などの処理液に入れ替えることく、能率よくジュン菜をオゾン殺菌できる。オゾン殺菌は、処理液のオゾン濃度を0.8~1.5ppmとし、ジュン菜の浸漬時間を1分としてジュン菜を殺菌する。
【0032】
4.包装工程
オゾン殺菌された80重量部のジュン菜と、20重量部の保存液を一緒に容器に入れて密閉する。保存液は、蒸留水に酢酸を添加し、pH3.6~4.0に調整した溶液を使用する。容器は、充填しているジュン菜の状態が外部から観察できるように透明のガラス瓶を使用する。ガラス瓶は、開口部と蓋との間にパッキンを挟んで気密に密閉する。
【0033】
以上の方法で包装されたジュン菜は、容器を開封することなく冷蔵庫で半年保存した後、開封して取り出すと、綺麗な緑色に保持されて、表面のヌメリは減少することがなく、優れた食感と風味があって、極めて商品価値の高い状態に保持された。
【0034】
[実施例2]
実施例1の方法で、ジュン菜を容器に充填する直前の前工程で、ジュン菜に紫外線を照射して殺菌しながら容器に充填する以外、実施例1と同様の方法でジュン菜を包装する。紫外線の照射には、波長222nmの紫外線を放射するとするエキシマランプを使用する。ジュン菜の紫外線殺菌は、容器に充填する前工程で、ジュン菜に紫外線を照射し、あるいは容器に入れながらジュン菜と保存液の両方に紫外線を照射する。
【0035】
以上の方法で包装されたジュン菜は、実施例1のジュン菜と同様に、容器を開封することなく冷蔵庫で半年保存した後、開封して取り出すと、綺麗な緑色に保持されて、表面のヌメリは減少することがなく、好ましい食感と風味があって、商品価値の高い状態に保持された。
【0036】
以上の包装方法は、ジュン菜を容器に入れる前工程で、あるいは容器に入れながら紫外線殺菌するが、ジュン菜の紫外線殺菌は、保存液とジュン菜を容器に入れて密閉した後、容器の外部から紫外線を照射して実現することもできる。この方法は、容器に紫外線を透過する容器を使用して、内部のジュン菜を紫外線殺菌する。ジュン菜を充填している容器の外側から、紫外線殺菌する方法は、容器を密閉した状態で紫外線殺菌するので、容器に入れたジュン菜の密閉後の細菌の汚染をより確実に防止できる。この方法は、容器に紫外線の透過率の高いガラスを使用して効率よく殺菌できる。
【0037】
以上の包装方法は、以上の実施例によらず、収穫したジュン菜を脱水し、あるいは脱水することなく20℃の金属酵母液に浸漬して緑化し、さらに緑化したジュン菜を地下水、水道水、水晒し水、金属酵母液等の処理液に浸漬してオゾン殺菌し、その後、紫外線殺菌し、あるいは紫外線殺菌することなく密閉容器に充填して包装することで、容器を開封することなく冷蔵庫で3ヶ月以上保存した後、開封して取り出すと、綺麗な緑色に保持されて、表面のヌメリは減少することがなく、好ましい食感と風味があって、商品価値の高い状態に保持される。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、ヌメリがあり、自然の緑色で、殺菌されて酵母臭のないジュン菜を包装して、商品価値の高い商品として消費者に提供できる。