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特開2023-31158塩の包装体、塩の包装体の製造方法、塩の成形器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023031158
(43)【公開日】2023-03-08
(54)【発明の名称】塩の包装体、塩の包装体の製造方法、塩の成形器
(51)【国際特許分類】
   A47G 33/00 20060101AFI20230301BHJP
   B65D 77/00 20060101ALI20230301BHJP
【FI】
A47G33/00 Z
B65D77/00 C
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021136684
(22)【出願日】2021-08-24
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-10-11
(71)【出願人】
【識別番号】513324859
【氏名又は名称】株式会社未来造形
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【弁理士】
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】廣橋 州三
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067AB22
3E067BA01A
3E067BB14A
3E067BC01A
3E067BC07A
3E067EA17
3E067EB15
3E067EB27
3E067FA01
3E067FC01
3E067GD10
(57)【要約】
【課題】盛り塩を簡易かつ迅速に成形することができ、盛り塩を交換するたびに成形作業をする必要がなく、成形した盛り塩を皿に載せる必要もない、塩の包装体を提供する。
【解決手段】本発明の塩の包装体1は、錐形の収容空間を有し、当該収容空間の底面が開口面111となった容器本体11と、開口面111を塞ぐように容器本体11に取り付けられ、容器本体11に取り付けられる側が載置面121となった皿形状を有する容器蓋体12と、容器本体11に収容される盛り塩用の塩Sと、を備える。容器蓋体12の載置面121には、塩Sに接触する接触面1221を有する押圧部122が形成されており、容器蓋体12の押圧部122が、開口面111から容器本体11に嵌合することによって、容器蓋体12が容器本体11に取り付けられる。容器蓋体12を容器本体11に取り付けた状態において、容器蓋体12の押圧部122の接触面1221が、容器本体11の開口面111よりも容器本体11の内側方向に位置する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
錐形の収容空間を有し、該収容空間の底面が開口面となった容器本体と、
前記開口面を塞ぐように前記容器本体に取り付けられ、前記容器本体に取り付けられる側が載置面となった皿形状を有する容器蓋体と、
前記容器本体に収容される盛り塩用の塩と、を備え、
前記容器蓋体の前記載置面には、前記塩に接触する接触面を有する押圧部が形成されており、
前記開口面を構成する前記容器本体の縁端部が係合する環状の係合部が、前記容器蓋体の前記押圧部の周囲に設けられており、
前記容器本体の前記縁端部が前記容器蓋体の前記係合部に係合することによって、前記容器蓋体が前記容器本体に取り付けられ、
前記容器蓋体を前記容器本体に取り付けた状態において、前記容器蓋体の前記押圧部の前記接触面が、前記容器本体の前記開口面よりも前記容器本体の内側方向に位置することを特徴とする、塩の包装体。
【請求項2】
前記押圧部が前記容器蓋体の前記載置面の中心付近に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の塩の包装体。
【請求項3】
前記容器本体の前記縁端部の外周面には、外側に向かって張り出した嵌合部が形成されており、
前記容器蓋体の前記係合部には、内側に向かって開口した嵌合溝が形成されており、
前記嵌合溝に前記嵌合部が嵌合することにより、前記容器本体の前記縁端部が前記容器蓋体の前記係合部に係合することを特徴とする、請求項1又は2に記載の塩の包装体。
【請求項4】
前記容器本体の前記縁端部の外周面には、前記嵌合部が複数形成されており、
前記容器蓋体の前記係合部には、前記嵌合溝が、複数の前記嵌合部の数及び位置に対応して複数形成されていることを特徴とする、請求項3に記載の塩の包装体。
【請求項5】
前記嵌合溝には、前記容器蓋体の前記載置面の裏側へと貫通するスリットが形成されていることを特徴とする、請求項3又は4に記載の塩の包装体。
【請求項6】
錐形の収容空間を有し、該収容空間の底面が開口面となった容器本体と、前記開口面を塞ぐように前記容器本体に取り付けられ、前記容器本体に取り付けられる側が載置面となった皿形状を有する容器蓋体であって、前記載置面に押圧部が形成された容器蓋体と、前記容器本体に収容される盛り塩用の塩とを備えた塩の包装体の製造方法であって、
前記容器本体に前記塩を充填し、
前記押圧部が前記塩に接するように、前記容器蓋体を前記容器本体に充填した前記塩の上に載せ、
前記押圧部を前記容器本体の内側方向に押し込みながら、前記押圧部の周囲に設けられている環状の係合部に、前記容器本体の端縁部を係合させて、前記容器蓋体を前記容器本体に取り付けることを特徴とする、塩の包装体の製造方法。
【請求項7】
盛り塩を成形する塩の成形器であって、
錐形の収容空間を有し、該収容空間の底面が開口面となった容器本体と、
前記開口面を塞ぐように前記容器本体に取り付けられ、前記容器本体に取り付けられる側が載置面となった皿形状を有する容器蓋体と、を備え、
前記容器蓋体の前記載置面には、前記容器本体に収容された塩に接触する接触面を有する押圧部が形成されており、
前記開口面を構成する前記容器本体の縁端部が係合する環状の係合部が、前記容器蓋体の前記押圧部の周囲に設けられており、
前記容器本体の前記縁端部が前記容器蓋体の前記係合部に係合することによって、前記容器蓋体が前記容器本体に取り付けられ、
前記容器蓋体を前記容器本体に取り付けた状態において、前記容器蓋体の前記押圧部の前記接触面が、前記容器本体の前記開口面よりも前記容器本体の内側方向に位置することを特徴とする、塩の成形器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、盛り塩用の塩を容器に収容した塩の包装体とその製造方法、及び盛り塩を成形する塩の成形器に関する。
【背景技術】
【0002】
盛り塩は、縁起担ぎや厄除け等のために、塩を角錐状あるいは円錐状に盛り、一般家庭や事務所の玄関先や店先、神棚、あるいは神社等に置かれるものである。一般に盛り塩は、塩を皿に盛ってから人の手で形を整えるか、特許文献1に開示されているような成形器に塩を入れ、ヘラで押し固めながら成形される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実登第3082332号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、塩を手で錐形に成形する場合、見栄え良く一定形状に成形することが難しく、慣れるまでは成形に時間も要する。また手が汚れてしまうこともあって、だんだんと盛り塩を交換することが面倒になってしまうという問題があった。成形器を用いることによって、見栄え良く一定形状に成形することは可能となるが、盛り塩を交換するたびに作業を行う必要があることは変わらず、作業時に手に塩が付着したり、周りに塩が散乱したりすることもある。また、成形器で成形した盛り塩を皿に載せるとき、盛り塩がうまく押し固められていないと崩れてしまうこともある。加えて、盛り塩に使う袋入りの塩は、一度開封してしまうと湿気で固まりやすく、管理が面倒であるという問題もある。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、盛り塩を簡易かつ迅速に成形することができ、盛り塩を交換するたびに成形作業をする必要がなく、成形した盛り塩を皿に載せる必要もない、塩の包装体を提供することを目的とする。また、本発明は、盛り塩を簡易かつ迅速に成形することができ、盛り塩を交換するたびに成形作業をする必要がなく、成形した盛り塩を皿に載せる必要もない、塩の包装体が製造できる、塩の包装体の製造方法を提供することを目的とする。さらに、本発明は、盛り塩を簡易かつ迅速に成形することができ、成形した盛り塩を皿に載せる必要もない、塩の成形器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、第一に、錐形の収容空間を有し、該収容空間の底面が開口面となった容器本体と、前記開口面を塞ぐように前記容器本体に取り付けられ、前記容器本体に取り付けられる側が載置面となった皿形状を有する容器蓋体と、前記容器本体に収容される盛り塩用の塩と、を備え、前記容器蓋体の前記載置面には、前記塩に接触する接触面を有する押圧部が形成されており、前記開口面を構成する前記容器本体の縁端部が係合する環状の係合部が、前記容器蓋体の前記押圧部の周囲に設けられており、前記容器本体の前記縁端部が前記容器蓋体の前記係合部に係合することによって、前記容器蓋体が前記容器本体に取り付けられ、前記容器蓋体を前記容器本体に取り付けた状態において、前記容器蓋体の前記押圧部の前記接触面が、前記容器本体の前記開口面よりも前記容器本体の内側方向に位置することを特徴とする、塩の包装体を提供する(発明1)。
【0007】
かかる発明(発明1)によれば、押圧部の接触面が開口面よりも容器本体の内側方向に位置するように容器蓋体を容器本体に取り付けることにより、容器本体に充填された塩が、押圧部によって押し固められて容器本体に収容された状態となっている。そして容器蓋体が、容器本体に取り付けられる側が載置面となった皿形状を有しているため、容器蓋体を下にした状態で塩の包装体から容器本体を取り外すだけで、見栄え良く一定形状に成形された盛り塩を皿形状の容器蓋体の上に簡易かつ迅速に成形することができ、成形した盛り塩を皿に載せる必要もない。また、盛り塩を一回分ずつ個包装にすることにより、盛り塩を交換するたびに成形作業を行う必要がなく、作業時に手に塩が付着したり、周りに塩が散乱したりすることもない。さらに、大袋に入った塩を小分けにして使用するわけではないため、開封後に湿気を気にする必要もなくなる。
【0008】
上記発明(発明1)においては、前記押圧部が前記容器蓋体の前記載置面の中心付近に形成されていることが好ましい(発明2)。
【0009】
かかる発明(発明2)によれば、塩の包装体から容器本体を取り外した際に、皿形状の容器蓋体の中心付近に成形した盛り塩ができるため、見映えよく皿に載せた盛り塩を成形することができる。
【0010】
上記発明(発明1、2)においては、前記容器本体の前記縁端部の外周面には、外側に向かって張り出した嵌合部が形成されており、前記容器蓋体の前記係合部には、内側に向かって開口した嵌合溝が形成されており、前記嵌合溝に前記嵌合部が嵌合することにより、前記容器本体の前記縁端部が前記容器蓋体の前記係合部に係合することが好ましい(発明3)。また、上記発明(発明3)においては、前記容器本体の前記縁端部の外周面には、前記嵌合部が複数形成されており、前記容器蓋体の前記係合部には、前記嵌合溝が、複数の前記嵌合部の数及び位置に対応して複数形成されていてもよい(発明4)。
【0011】
上記発明(発明3、4)においては、前記嵌合溝には、前記容器蓋体の前記載置面の裏側へと貫通するスリットが形成されていることが好ましい(発明5)。
【0012】
容器本体に容器蓋体を取り付ける際、容器本体に収容した塩が押圧部に押されて嵌合溝に入り込んでしまい、嵌合部を嵌合溝に嵌合させようとしても、嵌合溝に入り込んだ塩が噛んでしまうことがある。かかる発明(発明5)によれば、嵌合溝に入り込んだ塩はスリットから容器蓋体の外側へと排出されるため、嵌合溝に入り込んだ塩が噛んでしまうこともなく、嵌合部を嵌合溝に嵌合させることができる。
【0013】
本発明は、第二に、錐形の収容空間を有し、該収容空間の底面が開口面となった容器本体と、前記開口面を塞ぐように前記容器本体に取り付けられ、前記容器本体に取り付けられる側が載置面となった皿形状を有する容器蓋体であって、前記載置面に押圧部が形成された容器蓋体と、前記容器本体に収容される盛り塩用の塩とを備えた塩の包装体の製造方法であって、前記容器本体に前記塩を充填し、前記押圧部が前記塩に接するように、前記容器蓋体を前記容器本体に充填した前記塩の上に載せ、前記押圧部を前記容器本体の内側方向に押し込みながら、前記押圧部の周囲に設けられている環状の係合部に、前記容器本体の端縁部を係合させて、前記容器蓋体を前記容器本体に取り付けることを特徴とする、塩の包装体の製造方法を提供する(発明6)。
【0014】
本発明は、第三に、盛り塩を成形する塩の成形器であって、錐形の収容空間を有し、該収容空間の底面が開口面となった容器本体と、前記開口面を塞ぐように前記容器本体に取り付けられ、前記容器本体に取り付けられる側が載置面となった皿形状を有する容器蓋体と、を備え、前記容器蓋体の前記載置面には、前記容器本体に収容された塩に接触する接触面を有する押圧部が形成されており、前記開口面を構成する前記容器本体の縁端部が係合する環状の係合部が、前記容器蓋体の前記押圧部の周囲に設けられており、前記容器本体の前記縁端部が前記容器蓋体の前記係合部に係合することによって、前記容器蓋体が前記容器本体に取り付けられ、前記容器蓋体を前記容器本体に取り付けた状態において、前記容器蓋体の前記押圧部の前記接触面が、前記容器本体の前記開口面よりも前記容器本体の内側方向に位置することを特徴とする、塩の成形器を提供する(発明7)。
【発明の効果】
【0015】
本発明の塩の包装体によれば、盛り塩を簡易かつ迅速に成形することができ、盛り塩を交換するたびに成形作業をする必要がなく、成形した盛り塩を皿に載せる必要もない。また、本発明の塩の包装体の製造方法によれば、盛り塩を簡易かつ迅速に成形することができ、盛り塩を交換するたびに成形作業をする必要がなく、成形した盛り塩を皿に載せる必要もない塩の包装体が製造できる。さらに、本発明の塩の成形器によれば、盛り塩を簡易かつ迅速に成形することができ、成形した盛り塩を皿に載せる必要もない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る塩の包装体の全体概要図である。
図2】同実施形態に係る塩の包装体の構造を示す断面説明図である。
図3】同実施形態に係る容器本体の断面構造と、容器本体と容器蓋体との対応関係を示した説明図である。
図4】同実施形態に係る容器蓋体の構造を示す説明図であり、(a)は断面図、(b)は斜視図である。
図5】同実施形態に係る塩の包装体から容器本体を外す様子を示す説明図である。
図6】同実施形態に係る塩の包装体から容器本体を外した状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本実施形態に係る塩の包装体1の全体概要図であり、図2は塩の包装体1の構造を示す断面説明図である。本実施形態に係る塩の包装体1は、図1に示すように、全体が略円錐形状を有する容器本体11に、皿形状を有する容器蓋体12が取り付けられ、容器本体11と容器蓋体12とによって構成される容器の内部に盛り塩用の塩Sが収容されたものである。
【0018】
容器本体11は、図3に示すように、略円錐形状の収容空間を有し、その収容空間の底面、すなわち容器本体の上端面には開口面111が設けられており、製造時にはその開口面111から収容される盛り塩用の塩Sが容器本体11へと充填される。
【0019】
本実施形態の容器本体11は、例えばポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタラート(PET)等の樹脂製であるが、木材や陶器、金属、紙等の材料から製造されたものでもよい。容器本体11の材質は、収容空間への湿気の侵入を防ぐ性質を有することが好ましい。また、容器本体11の収容空間は、盛り塩の型枠として適切な錐形であれば円錐形状である必要はなく、例えば三角錐や四角錐、五角錐、八角錐等の角錐形状であってもよいし、錐体から頂点を共有し相似に縮小した錐体を取り除いた錐台形状であってもよい。さらに容器本体11は、収容空間の形状に合わせた錐形の外形形状を有している必要はなく、錐形の収容空間を有し、当該収容空間の底面が開口面となっていれば、円柱形状、角柱形状、あるいは何らかの物(例えば人形や動物等)を模した形状等、どのような外形形状を有していてもよい。
【0020】
容器本体11の開口面111側には、後述する容器蓋体12の係合部123に係合する円筒形状の端縁部112が形成されており、端縁部112の外周面には外側に向かって張り出した嵌合部113が形成されている。開口面111はこの端縁部112の上端面に位置している。
【0021】
嵌合部113は、端縁部112の外周面上に周方向に沿ってレール状に延設されており、本実施形態においては、端縁部112の外周の長さの1/9程度の長さの嵌合部113が等間隔に3つ配置されている。
【0022】
容器蓋材12は、容器本体11の開口面111を塞ぐように容器本体11に取り付けられるものであり、図4(a)及び(b)に示すように、容器本体11に取り付けられる側が載置面121となった皿形状を有する。盛り塩の見映えを考えると、容器蓋材12は平面視正円形状や平面視正六角形状、平面視正八角形状を有することが好ましく、周縁部が若干立ち上げられた浅皿形状を有することが好ましい。
【0023】
本実施形態の容器蓋体12は、例えばポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタラート(PET)等の樹脂製であり、白色に着色されているが、木材や陶器、金属、紙等の材料から製造されたものでもよく、その色も問わない。容器蓋体12の材質は、容器本体11の収容空間への湿気の侵入を防ぐ性質を有することが好ましい。
【0024】
容器蓋体12の載置面121の中心付近には、塩Sに接触する接触面1221を有する略球欠形状の押圧部122が形成されている。押圧部122は載置面121の中心部分を容器本体11が取り付けられる方向に平面視円形状に膨らませて突出させることによって形成されており、押圧部122を周囲には容器本体11の端縁部112が係合する環状の係合部123が立設されている。係合部123には、内側に向かって開口した嵌合溝124が形成されている。
【0025】
嵌合溝124は、図4(a)に示すように、溝上面1241、溝側面1242及び溝底面1243の三つの面によって構成されており、本実施形態においては、図3及び図4(b)に示すように、容器本体11の端縁部112の外周面に3つの嵌合部113が配置されていることに対応して、3つの嵌合溝124が、3つの嵌合部113に対応する位置に形成されている。このように、容器本体11の嵌合部113を容器蓋体12に設けられた嵌合溝124に嵌合させる構造とすることで、容器本体11への容器蓋体12の取り付けが容易かつ迅速にできるようになる。また、容器本体11や容器蓋体12に何らかのデザイン(例えばマークや文字、模様、図柄、等)を施した商品にする場合、この嵌合部113や嵌合溝124の形状や数、配置を工夫することにより、容器本体11への容器蓋体12の取り付け時の位置決めが容易になり、商品のデザイン性を高めることができるようになる。
【0026】
嵌合溝124の溝上面1241には、容器蓋体12の載置面121の裏側へと貫通するスリット125が形成されている。容器本体11に容器蓋体12を取り付ける際、容器本体11に収容した塩Sが押圧部122に押されて嵌合溝124に入り込んでしまい、嵌合部113を嵌合溝124に嵌合させようとしても、嵌合溝124に入り込んだ塩Sが噛んでしまうことがある。嵌合溝124の溝上面1241にスリット125を設けることにより、嵌合溝124に入り込んだ塩Sはスリット125から容器蓋体12の外側へと排出されるため、嵌合溝124に入り込んだ塩Sが噛んでしまうこともなく、嵌合部113を嵌合溝124に嵌合させることができる。
【0027】
係合部123の内径は容器本体11の端縁部112の外径に対応しており、係合部123に形成された嵌合溝124に、端縁部112に形成された嵌合部113が嵌合することによって、容器本体11の縁端部112が容器蓋体12の係合部123に係合することになり、容器蓋体12が容器本体11に取り付けられる。
【0028】
押圧部122の形状は塩Sに当接する接触面1221を有する形状であれば略球欠形状(半球形状)に限られるものではなく、例えば円柱形状や角柱形状であってもよいし、さらには接触面1221が曲面や平面でなく凹凸のある面であってもよい。
【0029】
容器本体11に収容される塩Sは、例えば海水から製造された天然粗塩等、押し固めたときにある程度形状を維持できる盛り塩用の塩である。盛り塩に適用できる塩であれば、岩塩や化学的に精製された塩、添加物が添加された塩であってもよいし、塩の粒径や色等によって限定されることもない。
【0030】
本実施形態においては、図2に示すように、容器蓋体12を容器本体11に取り付けた状態において、押圧部122の接触面1221が容器本体11の開口面111よりも容器本体11の内側方向に位置している。
【0031】
上述の本実施形態の塩の包装体1の製造工程を説明する。まず、容器本体11に塩Sを充填する。このとき、塩Sを容器本体11の開口面111まで充填し、あとで容器蓋体12を容器本体11に取り付ける際、容器蓋体12の押圧部122が塩Sを上から押し付けることで、塩Sが容器本体11の収容空間の形状に合わせて押し固められ、容器本体11の収容空間が盛り塩の型枠として機能するようにする。容器本体11に充填される塩Sの量は、塩Sの種類や押圧部122の大きさ等によって適宜調整される。
【0032】
続いて、容器蓋材12を、押圧部122の接触面1221が塩Sに接するように、容器本体11に充填した塩Sの上に載せ、押圧部122を容器本体11の内側方向に押し込みながら容器蓋材12を容器本体11に対して回転させて、容器蓋体12を容器本体11に取り付ける。このとき、嵌合部113を嵌合溝124へとスライド挿入させて嵌合させることによって、容器蓋体12が容器本体11に取り付けられる。
【0033】
本実施形態の塩の包装体1を使用するときは、図5に示すように、容器蓋材12を下にして、容器本体11を回して容器蓋材12から取り外す。容器本体11を塩の包装体1から取り外すだけで、図6に示すように、容器本体11の収容空間で押し固められ、盛り塩に適した形状に整形された塩Sが、容器蓋材12の載置面121上に載置された状態となる。
【0034】
本実施形態の塩の包装体1は、図2に示すように、押圧部122の接触面1221が開口面111よりも容器本体11の内側方向に位置するように容器蓋体12を容器本体11に取り付けることにより、容器本体11に充填された塩Sが、押圧部122によって押し固められて容器本体11に収容された状態となっている。そして容器蓋体12が、容器本体11に取り付けられる側が載置面121となった皿形状を有しているため、容器蓋体12を下にした状態で塩の包装体1から容器本体11を取り外すだけで、見栄え良く一定形状に成形された盛り塩を皿形状の容器蓋体12の上に簡易かつ迅速に成形することができ、成形した盛り塩を皿に載せる必要もない。また、盛り塩を一回分ずつ個包装にすることにより、盛り塩を交換するたびに成形作業を行う必要がなく、作業時に手に塩が付着したり、周りに塩が散乱したりすることもない。さらに、大袋に入った塩を小分けにして使用するわけではないため、開封後に湿気を気にする必要もなくなる。
【0035】
また、本実施形態の塩の包装体1は、端縁部112の嵌合部113と嵌合部123の嵌合溝124とが嵌合することによって、容器蓋体12が容器本体11に取り付けられる構造を有しているため、盛り塩用の塩Sを充填した容器本体11に容器蓋体12を簡単に取り付けることができ、さほど力を入れることなく容易に容器本体11に充填された塩Sを押圧部122によって押し固めることができる。また、さほど力を入れることなく容器本体11を回しながら容器蓋体12から取り外すことができるので、成形された盛り塩が崩れることなく容易に塩の包装体1から容器本体11を取り外すことができる。
【0036】
本実施形態の塩の包装体1では、押圧部122が容器蓋体12の載置面121の中心付近に形成されていることにより、塩の包装体1から容器本体11を取り外した際に、皿形状の容器蓋体12の中心付近に成形した盛り塩ができるため、見映えよく皿に載せた盛り塩を成形することができる。
【0037】
なお、上述の容器本体11と容器蓋体12とを、盛り塩を成形する塩の成形器として用いることもできる。この場合、使用者が容器本体11に盛り塩用の塩を自ら収容し、容器蓋体12を上から容器本体11に取り付けることにより、収容した塩を押し固め、容器蓋体12を下にした状態で、容器本体11を取り外すことにより、皿形状の容器蓋体12の上に盛り塩を成形することができる。
【0038】
以上、本発明に係る塩の包装体、塩の包装体の製造方法及び塩の成形器について図面に基づいて説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、種々の変更実施が可能である。例えば、容器蓋体を容器本体に取り付けるために、容器本体の端縁部に爪状の構造物を形成し、容器蓋体の係合部に当該爪状の構造物を係合させる取付孔を設けた構造を採用してもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 塩の包装体
11 容器本体
111 開口面
112 端縁部
113 嵌合部
12 容器蓋体
121 載置面
122 押圧部
1221 接触面
123 係合部
124 嵌合溝
1241 溝上面
1242 溝側面
1243 溝底面
125 スリット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2022-08-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
錐形の収容空間を有し、該収容空間の底面が開口面となった容器本体と、
前記開口面を塞ぐように前記容器本体に取り付けられ、前記容器本体に取り付けられる側が載置面となった皿形状を有する容器蓋体と、
前記容器本体に収容される盛り塩用の塩と、を備え、
前記容器蓋体の前記載置面には、前記塩に接触する接触面を有する押圧部が形成されており、
前記開口面を構成する前記容器本体の縁端部が係合する環状の係合部が、前記容器蓋体の前記押圧部の周囲に設けられており、
前記容器本体の前記縁端部が前記容器蓋体の前記係合部に係合することによって、前記容器蓋体が前記容器本体に取り付けられ、
前記容器蓋体を前記容器本体に取り付けた状態において、前記容器蓋体の前記押圧部の前記接触面が、前記容器本体の前記開口面よりも前記容器本体の内側方向に位置しており、
前記容器本体の前記縁端部の外周面には、外側に向かって張り出した嵌合部が形成されており、
前記容器蓋体の前記係合部には、内側に向かって開口した嵌合溝が形成されており、
前記嵌合溝に前記嵌合部が嵌合することにより、前記容器本体の前記縁端部が前記容器蓋体の前記係合部に係合し、
前記嵌合溝には、前記容器蓋体の前記載置面の裏側へと貫通するスリットが形成されていることを特徴とする、塩の包装体。
【請求項2】
前記押圧部が前記容器蓋体の前記載置面の中心付近に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の塩の包装体。
【請求項3】
前記容器本体の前記縁端部の外周面には、前記嵌合部が複数形成されており、
前記容器蓋体の前記係合部には、前記嵌合溝が、複数の前記嵌合部の数及び位置に対応して複数形成されていることを特徴とする、請求項に記載の塩の包装体。
【請求項4】
盛り塩を成形する塩の成形器であって、
錐形の収容空間を有し、該収容空間の底面が開口面となった容器本体と、
前記開口面を塞ぐように前記容器本体に取り付けられ、前記容器本体に取り付けられる側が載置面となった皿形状を有する容器蓋体と、を備え、
前記容器蓋体の前記載置面には、前記容器本体に収容された塩に接触する接触面を有する押圧部が形成されており、
前記開口面を構成する前記容器本体の縁端部が係合する環状の係合部が、前記容器蓋体の前記押圧部の周囲に設けられており、
前記容器本体の前記縁端部が前記容器蓋体の前記係合部に係合することによって、前記容器蓋体が前記容器本体に取り付けられ、
前記容器蓋体を前記容器本体に取り付けた状態において、前記容器蓋体の前記押圧部の前記接触面が、前記容器本体の前記開口面よりも前記容器本体の内側方向に位置しており、
前記容器本体の前記縁端部の外周面には、外側に向かって張り出した嵌合部が形成されており、
前記容器蓋体の前記係合部には、内側に向かって開口した嵌合溝が形成されており、
前記嵌合溝に前記嵌合部が嵌合することにより、前記容器本体の前記縁端部が前記容器蓋体の前記係合部に係合し、
前記嵌合溝には、前記容器蓋体の前記載置面の裏側へと貫通するスリットが形成されていることを特徴とする、塩の成形器。