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特開2023-31162ゴムロールおよびそれを用いた積層ラベルの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023031162
(43)【公開日】2023-03-08
(54)【発明の名称】ゴムロールおよびそれを用いた積層ラベルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   F16C 13/00 20060101AFI20230301BHJP
   B29C 63/02 20060101ALI20230301BHJP
【FI】
F16C13/00 A
B29C63/02
F16C13/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021136691
(22)【出願日】2021-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】000166649
【氏名又は名称】五洋紙工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100182084
【弁理士】
【氏名又は名称】中道 佳博
(74)【代理人】
【識別番号】100076820
【弁理士】
【氏名又は名称】伊丹 健次
(72)【発明者】
【氏名】森田 佳邦
(72)【発明者】
【氏名】梅本 俊一
(72)【発明者】
【氏名】白川 千尋
【テーマコード(参考)】
3J103
4F211
【Fターム(参考)】
3J103AA02
3J103AA14
3J103AA38
3J103AA41
3J103AA51
3J103AA72
3J103AA85
3J103BA41
3J103CA27
3J103DA03
3J103FA30
3J103GA02
3J103GA23
3J103GA27
3J103HA04
3J103HA05
3J103HA12
3J103HA15
3J103HA19
3J103HA33
3J103HA37
3J103HA44
3J103HA52
3J103HA53
3J103HA55
4F211AD06
4F211AD08
4F211AG01
4F211AG03
4F211AJ05
4F211AJ09
4F211SA09
4F211SC06
4F211SG01
4F211SP04
(57)【要約】
【課題】 剥離後の基材のカールを低減することができ、かつ易剥離性に優れた積層ラベルを得ることができる、ゴムロールおよびそれを用いた積層ラベルの製造方法を提供すること。
【解決手段】 本発明のゴムロールは、軸周りに回転可能なロール本体と、該ロール本体の外周りに配置された円筒状の被覆部とを備える。被覆部はゴムマトリックスと該ゴムマトリックス内に分散した複数のゴム芯材とを含み、被覆部の外表面は、ゴムマトリックスで構成されるマトリックス面とゴム芯材で構成される切削面とを含む。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸周りに回転可能なロール本体と、該ロール本体の外周りに配置された円筒状の被覆部とを備えるゴムロールであって、
該被覆部がゴムマトリックスと該ゴムマトリックス内に分散した複数のゴム芯材とを含み、該被覆部の外表面が、該ゴムマトリックスで構成されるマトリックス面と該ゴム芯材で構成される切削面とを含む、ゴムロール。
【請求項2】
前記マトリックス面と前記切削面とが互いに異なる表面硬度を有する、請求項1に記載のゴムロール。
【請求項3】
前記マトリックス面と前記切削面とは略面一である、請求項1または2に記載のゴムロール。
【請求項4】
前記ゴム芯材が略球状でありかつ3mm~8mmの平均直径を有する、請求項1から3のいずれかに記載のゴムロール。
【請求項5】
前記ゴムマトリックスの前記マトリックス面と、前記ゴム芯材の前記切削面との間のデュロメータA硬度試験(JIS K 6253-1997)による表面硬度の差異の絶対値が5~20である、請求項1から4のいずれかに記載のゴムロール。
【請求項6】
前記ゴム芯材の前記切削面の表面硬度が、前記ゴムマトリックスの前記マトリックス面の表面硬度よりも大きい、請求項1から5のいずれかに記載のゴムロール。
【請求項7】
前記ゴム芯材がシリコーンゴムで構成されている、請求項1から6のいずれかに記載のゴムロール。
【請求項8】
前記ゴムマトリックスがシリコーンゴムで構成されている、請求項1から7のいずれかに記載のゴムロール。
【請求項9】
積層ラベルの製造方法であって、
基材と溶融樹脂層とを請求項1から8のいずれかのゴムロールで押圧する工程を含む、方法。
【請求項10】
前記基材が紙である、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴムロールおよびそれを用いた積層ラベルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、様々な紙が製造されている。これらは単一葉で用いられるだけでなく、多種の紙や樹脂層、粘着剤層などと組み合わせた積層シートの形態で種々の用途に使用されている。これらの中でも、感熱紙と通常の紙との積層、感熱紙と複写用カーボン紙との積層、感熱紙と粘着剤層および/または樹脂層との積層、あるいは感熱紙と粘着剤層および/または樹脂層と複写用紙との積層によって得られる積層ラベル(例えば積層シート)は、例えばラベルとして宅配用または配送用伝票用紙に汎用されている。
【0003】
このような特徴ある様々な材料の積層のために、積層ラベルの製造に使用される積層ラインのゴムロール(例えばピンチロール)の表面は生産効率や製品の特性上極めて重要である。
【0004】
例えば、特許文献1では、ロール本体にゴム材を被覆する際にゴム材の中に熱可塑性の樹脂中空粒子を分散させ、この分散粒子を開口させて表面を面一にしたフィルム用ゴムロールを開示している。このようなロールは樹脂製フィルムを製造する工程でのフィルムのスリップ性、製造されるフィルムにかかる張力の吸収調整のためには有効である。
【0005】
しかし、これを例えば樹脂フィルムと紙などの基材とを積層する、剥離が容易な(以下、易剥離性ともいう)積層ラベルの製造に利用しても、得られる積層ラベルから基材を剥離した際に、剥離した基材がカールすることがある。例えば、この積層ラベルを配送用伝票用紙として使用した場合、配送業者は顧客の受領証明のためにこの剥離した側の基材を持ち帰ることになるが、カールによって記載情報の読み取りが困難になったり、嵩張って管理上不便を来すことがある。
【0006】
一方、特許文献2には、ロール表面に多数の凹凸を設けることにより、挟圧時の圧力に強弱の変化を提供し、得られる積層ラベル内の接着強度の変化を与えて剥離後の基材のカールを抑えることが提案されている。
【0007】
しかし、凹凸表面を有するロールを用いても、剥離後の基材のカール抑制の効果が未だ満足し得るとは言い難く、さらなる技術開発が所望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2015-093759号公報
【特許文献2】特開2018-124450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記問題の解決を課題とするものであり、その目的とするところは、剥離後の基材のカールを低減することができ、かつ易剥離性に優れた積層ラベルを得ることができる、ゴムロールおよびそれを用いた積層ラベルの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、軸周りに回転可能なロール本体と、該ロール本体の外周りに配置された円筒状の被覆部とを備えるゴムロールであって、
該被覆部がゴムマトリックスと該ゴムマトリックス内に分散した複数のゴム芯材とを含み、該被覆部の外表面が、該ゴムマトリックスで構成されるマトリックス面と該ゴム芯材で構成される切削面とを含む、ゴムロールである。
【0011】
1つの実施形態では、上記マトリックス面と上記切削面とは互いに異なる表面硬度を有する。
【0012】
1つの実施形態では、上記マトリックス面と上記切削面とは略面一である。
【0013】
1つの実施形態では、上記ゴム芯材は略球状でありかつ3mm~8mmの平均直径を有する。
【0014】
1つの実施形態では、上記ゴムマトリックスの上記マトリックス面と、上記ゴム芯材の上記切削面との間のデュロメータA硬度試験(JIS K 6253-1997)による表面硬度の差異の絶対値は5~20である。
【0015】
1つの実施形態では、上記ゴム芯材の上記切削面の表面硬度は、上記ゴムマトリックスの上記マトリックス面の表面硬度よりも大きい。
【0016】
1つの実施形態では、上記ゴム芯材はシリコーンゴムで構成されている。
【0017】
1つの実施形態では、上記ゴムマトリックスはシリコーンゴムで構成されている。
【0018】
本発明はまた、積層ラベルの製造方法であって、
基材と溶融樹脂層とを上記ゴムロールで押圧する工程を含む、方法である。
【0019】
1つの実施形態では、上記基材は紙である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、剥離後の基材のカールを低減することができ、かつ易剥離性に優れた積層ラベルを簡便に作製することができる。カールが低減した基材は、基材表面に記載された情報の読み取りが容易となり、カールによる嵩張りから生じる管理上の不便からも解放される。このため、得られた積層ラベルは宅配便用送り状ラベルなどの配送用ラベルとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明のゴムロールの一例を示す当該ロールの斜視図である。
図2図1に示すゴムロールの軸方向断面図である。
図3図2に示すゴムロールの外表面の例を示す拡大断面図であって、(a)は略面一の外表面を有する当該ゴムロールの拡大断面図であり、(b)はゴム芯材の切削面とゴムマトリックスのマトリックス面との間で微小の凹凸が形成されている当該ゴムロールの拡大断面図である。
図4】本発明のゴムロールを用いた積層ラベルの製造装置の一例を示す模式図である。
図5図4に示す積層ラベルの製造装置を用いて基材および溶融樹脂層から積層ラベルを作製する状態を説明するための模式断面図である。
図6図2に示すゴムロールを用いて作製された積層ラベルを模式的に表した図である。
図7】実施例1で作製したゴムロールで押圧して得られた感圧紙の変色状態を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(ゴムロール)
本発明のゴムロールを、添付の図面を参照して説明する。なお、以下のすべての図面に共通して同様の参照番号を付した構成は、他の図面に示したものと同様である。
【0023】
図1に示すように、本発明のゴムロール100は、ロール本体102と、円筒状の被覆部104とを備える。
【0024】
ロール本体102は、図1に示すような軸106周りに回転可能となるように配置されている。ロール本体102を構成する材料は特に限定されないが、高剛性のものであることが好ましく、例えばスチール、ステンレススチール、アルミニウム合金、ハステロイなどの金属;ポリアセタール樹脂などの樹脂;炭素繊維、繊維強化プラスチック(FRP)などの繊維または繊維強化複合材料;ならびにそれらの組み合わせ;が挙げられる。例えば、ロール本体102を構成する材料にステンレススチールが使用される場合、耐久性および/または防腐性を高めるために表面にクロムメッキなどの表面処理が施されていてもよい。ロール本体102は複数の部品を組み合わせて構成されるものであってもよい。
【0025】
被覆部104は、上記ロール本体102の外回りに配置されている。
【0026】
被覆部104は、ゴムマトリックス112と複数のゴム芯材114とで構成されている。また、ゴム芯材114はゴムマトリックス112内に分散して配置されている。
【0027】
図2は、図1に示すゴムロール100の軸方向断面図である。
【0028】
図2において、被覆部104に含まれるゴム芯材114は例えば小塊状(例えば、略球状、略楕円球状、またはそれらの一部が削り取られた形状)の形態を有する。小塊状のゴム芯材114の平均直径は、特に限定されないが、好ましくは1mm~12mm、より好ましくは3mm~8mmである。小塊状のゴム芯材114の平均直径が1mmを下回ると、得られるゴムロールを用いて基材と溶融樹脂層とを押圧した際に当該基材と溶融樹脂層との密着が強くなりすぎて易剥離性を有する積層ラベルを得ることが困難になることがある。また、こうした積層ラベルは、基材を剥離した際に当該基材にカールが発生し易くなるおそれがある。一方、小塊状のゴム芯材114の平均直径が12mmを上回ると、得られるゴムロールを用いて基材と溶融樹脂層とを押圧した際に当該基材と溶融樹脂層との密着が弱くなりすぎて、基材が自然に(すなわち、手を触れない状態でそれ自体が)剥がれ易くなり、積層ラベルとしての所定の形態を保持することが困難となることがある。ここで、本明細書中に用いられる用語「ゴムロールを用いた基材と溶融樹脂層との押圧」とは、基材および溶融樹脂層の重ね合わせをゴムロールと冷却ロールとの間の間隙に通して所定の圧力で挟圧することを包含して言う。
【0029】
本発明のゴムロール100における被覆部104の外表面120は、ゴムマトリックス112で構成されるマトリックス面122とゴム芯材114の表面(例えば、ゴム芯材114の外側表面を構成する少なくとも一部の点を包含する)および/または切削面124とで構成されており、好ましくはゴムマトリックス112で構成されるマトリックス面122とゴム芯材114で構成される切削面124とを含む。ゴム芯材114はゴムマトリックス112内で分散して配置されているため、ゴム芯材114の切削面124は、外表面120に現れる場合は、ゴムマトリックス112内のゴム芯材114の位置に依存して様々な大きさを有する。
【0030】
例えば、図2に示すような小塊状のうち略球状のゴム芯材114が使用される場合、外表面120に現れ得るゴム芯材114の切削面124は、外表面120の円柱側面に沿って例えば円形または楕円形の形態を有する。外表面120に切削面124が円形の形状で現れる場合、その切削面124の平均直径は、被覆部104に含まれる小塊状のゴム芯材114の平均直径に依存し、例えば12mm以下、好ましくは8mm以下である。
【0031】
本発明において、被覆部104の外表面120を構成するゴムマトリックス112で構成されるマトリックス面122とゴム芯材114の表面および/または切削面124とは互いに異なる表面硬度を有する。特にマトリックス面122と切削面124とは互いに異なる表面硬度を有することが好ましい。ゴムマトリックス112で構成されるマトリックス面122とゴム芯材114の表面および/または切削面124との間の表面硬度の相違によって、本発明のゴムロール100は、基材と溶融樹脂層とを押圧する際に当該基材と溶融樹脂層との間の密着度合いの相違を生じ、得られる積層ラベルに対してそれ自体は自然に剥がれることがなく、かつ易剥離性を発揮する。すなわち、手を使ってより少ない力で基材を当該積層ラベル(または溶融樹脂層より得られる樹脂層)から簡便に引き剥がすことができる。当該積層ラベルは易剥離性に優れていることから、基材を引き剥がす際に当該基材に対して過剰な力をかける必要がなく、基材が所望でないカールを引き起こすことも回避できる。
【0032】
また、1つの実施形態ではゴムマトリックス112のマトリックス面122のデュロメータA硬度試験(JIS K 6253-1997)(タイプAのデュロメータを使用した硬度試験)による表面硬度(HDM)とゴム芯材114の表面および/または切削面124の当該デュロメータA硬度試験による表面硬度(HDG)との間の差異の絶対値(|HDM―HDG|)が好ましくは1~30の範囲内に保持されている。あるいは、1つの実施形態では、ゴムマトリックス112のマトリックス面122のデュロメータA硬度試験による表面硬度(HDM)とゴム芯材114の切削面124の当該デュロメータA硬度試験による表面硬度(HDG)との間の差異の絶対値(|HDM―HDG|)は好ましくは5~20、より好ましくは10~18である。デュロメータA硬度試験で得られるこれらの面の表面硬度の際の絶対値が5を下回ると、得られるゴムロールを用いて基材と溶融樹脂層とを押圧した際にマトリックス面からの押圧力と切削面からの押圧力との間の差異が小さくなり、結果として易剥離性に優れた積層ラベルを得ることが困難となることがある。一方、デュロメータA硬度試験で得られるこれらの面の表面硬度の際の絶対値が20を上回ると、ゴム芯材とマトリックス面の境界が剥がれ易くなることがある。
【0033】
さらに本発明の1つの実施形態では、ゴム芯材114の表面および/または切削面124の上記表面硬度がゴムマトリックス112のマトリックス面122の上記表面硬度よりも大きい。あるいは、本発明の別の実施形態では、ゴムマトリックス112のマトリックス面122の上記表面硬度がゴム芯材114の表面および/または切削面124の上記表面硬度よりも大きい。これにより、ゴムロールを用いて基材と溶融樹脂層とを押圧する際の当該押圧の差を当該ゴム芯材114の表面および/または切削面124およびマトリックス面122のそれぞれに提供することができる。
【0034】
被覆部104におけるゴムマトリックス112およびゴム芯材114を構成する材料はいずれも、例えば非架橋または架橋されたゴムである。このようなゴムとしては、例えば、表面硬度の低硬度ゴム(デュロメータA試験の硬度が1~20のゴム)、一般硬度ゴム(デュロメータA試験の硬度が30~70のゴム)、および高硬度ゴム(デュロメータA試験の硬度が80~90のゴム)が挙げられる。
【0035】
ゴムマトリックス112およびゴム芯材114を構成する材料のさらに具体的な例としては、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム、エピクロロヒドリンゴム、フッ素ゴム、エチレン・プロピレンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、およびそれらの組み合わせが挙げられる。耐熱性および耐摩耗性に優れているとの理由から、ゴムマトリックス112および/またはゴム芯材114はシリコーンゴムで構成されていることが好ましい。本発明においては、上記理由とともに互いの密着性が良好であるとの理由から、ゴムマトリックス112および/またはゴム芯材114はともにシリコーンゴムで構成されていることがさらに好ましい。
【0036】
ゴムマトリックス112およびゴム芯材114を構成する材料としていずれもシリコーンゴムが使用される場合、ゴムマトリックス112またはゴム芯材114の一方に使用され得るシリコーンゴムの例としては、デュロメータA試験の硬度が例えば40~75であるシリコーンゴムが挙げられ、他方のゴムマトリックス112またはゴム芯材114に使用され得るシリコーンゴムとしてはデュロメータA試験の硬度が例えば30~50であるシリコーンゴムが挙げられる。
【0037】
デュロメータA試験の硬度が40~75であるシリコーンゴムの具体的な例としては、信越化学株式会社より1液型シリコーンゴム(オキシム縮合方式のKE-40RTV(硬度60)、および付加型硬化方式のFE-57(硬度60))、ならびに2液型シリコーンゴム(KE-66(硬度40)、KE-1012-A/B(硬度50)、KE-1285-A/B(硬度56)、KE-971T-U(硬度71)、KE-552-U(硬度52)、およびKE-153-U(硬度53))が市販されている。なお、これらの括弧内の硬度はカタログ値である。
【0038】
デュロメータA試験の硬度が30~50であるシリコーンゴムの具体的な例としては、信越化学株式会社より1液型シリコーンゴム(アルコール縮合方式のKE-4895(硬度40)、付加型硬化方式のKE-1830(硬度40)、アルコール縮合方式のKE4897(硬度40)、アルコール縮合方式のKE-4898(硬度40)、および付加硬化方式のKE-1820(硬度45))、ならびに2液型シリコーンゴム(KE-66(硬度40))が市販されている。なお、これらの括弧内の硬度はカタログ値である。
【0039】
ゴムマトリックス112およびゴム芯材114を構成する材料として使用され得る架橋ゴムとしては、例えば、架橋成分として硫黄を使用した加硫ゴムおよび架橋成分として過酸化物を使用した化学架橋ゴムが挙げられる。ゴムマトリックス112および/またはゴム芯材114に使用され得る上記表面硬度の低硬度ゴムの例としては、化学架橋シリコーンゴムが挙げられる。ゴムマトリックス112および/またはゴム芯材114に使用され得る上記表面硬度の高硬度ゴムの例としては加硫ゴム(例えば、クロロスルホン化ポリエチレン)が挙げられる。クロロスルホン化ポリエチレンは、例えばデュポン社よりハイパロンの商品名で市販されている。
【0040】
ゴムマトリックス112および/またはゴム芯材はまた、上述したようなゴムに加えて、被覆部104の外表面120の表面硬度、耐熱性および/または耐摩耗性を損なわない範囲において他の添加剤を含有していてもよい。
【0041】
このような他の添加剤の例としては、必ずしも限定されないが、紫外線吸収剤(例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤および/またはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤);帯電防止剤(例えば、アニオン系活性剤、カチオン系活性剤、非イオン系活性剤、および/または両性活性剤);透明化剤(例えば、カルボン酸金属塩、ソルビトール類、および/またはリン酸エステル金属塩類);滑剤(例えば、炭化水素系滑剤、脂肪酸系滑剤、高級アルコール系滑剤、脂肪酸アミド系滑剤、金属石ケン系滑剤、および/またはエステル系滑剤);難燃剤(例えば、有機系難燃剤および/または無機系難燃剤);および可塑剤(例えば、エポキシ化植物油、フタル酸エステル類、および/またはポリエステル系可塑剤);ならびにそれらの組み合わせ;が挙げられる。ゴムマトリックス112および/またはゴム芯材に含有され得る上記他の添加剤の含有量は、特に限定されず、当業者によって任意の量が選択され得る。
【0042】
図3は、図2に示すゴムロールの外表面の例を示す拡大断面図である。
【0043】
本発明の1つの実施形態では、図3の(a)に示すように、被覆部の外表面120を構成するマトリックス面112と切削面124とが「面一」または略「面一」である(すなわち、図3の(a)における被覆部104の厚み方向におけるマトリックス面112と切削面124との差異Tが略0μmである)。マトリックス面112と切削面124とが面一であることにより、後述するように、得られるゴムロールを用いて基材と溶融樹脂層とを押圧した際にマトリックス面からの押圧力と切削面からの押圧力との両方を当該基材および溶融樹脂層に効果的に伝えることができる。
【0044】
あるいは、本発明の1つの実施形態では、図3の(b)に示すように被覆部の外表面120を構成するゴムマトリックス112と切削面124とが図3の(b)の被覆部104の厚み方向において微小な窪みにより構成される段差Tを有していてもよい。この段差Tは例えば1μm以下であり、好ましくは0.1μm以下である。ゴムマトリックス112およびゴム芯材が上記ゴムで構成されているため、被覆部104の外表面120に段差Tに相当する窪みを生じていたとしても、得られるゴムロールを用いて基材と溶融樹脂層とを押圧した際にマトリックス面からの押圧力と切削面からの押圧力との両方を当該基材および溶融樹脂層に伝えることができる。
【0045】
再び図2を参照すると、ゴムロール100を構成する被覆部104の厚みは、ロール本体102の厚みにも関係するため必ずしも限定されないが、好ましくは0.3mm~20mm、より好ましくは1mm~10mmである。被覆部104がこのような範囲内の厚みを有していることにより、マトリックス面122からの押圧力とゴム芯材114の表面および/または切削面124からの押圧力との両方を効率良く基材および溶融樹脂層に伝えることができる。
【0046】
さらに、図2に示す実施形態では、被覆部104とロール本体102の外表面との間に中間層105が設けられている。中間層105は図2に示すように1層で構成されていてもよく、あるいは複数の層を積層して構成されていてもよい。中間層105は、例えば弾性材料で構成されており、被覆部104とロール本体102との接着性を向上させることができる。中間層105を構成し得る弾性材料の例としては、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム、エピクロロヒドリンゴム、フッ素ゴム、エチレン・プロピレンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0047】
中間層の(合計の)厚みは、ロール本体102の厚みにも関係するため必ずしも限定されないが、好ましくは0.1mm~20mm、より好ましくは1mm~10mmである。中間層105の厚みがこのような範囲を満たしていることにより被覆部104とロール本体102との間の接着性を向上させることができる。
【0048】
(積層ラベルの製造方法)
積層ラベルは、基材と溶融樹脂層とを上記ゴムロールで押圧することにより製造することができる。このような積層ラベルの製造方法について図面を用いて説明する。
【0049】
図4は、本発明のゴムロールを用いた積層ラベルの製造装置の一例を示す模式図である。
【0050】
図4に示すように、積層ラベルの製造装置500は、図2に示す本発明のゴムロール100と冷却ロール300とが例えば90~120μmの間隙(エアギャップ)kを空けて配置されている。ゴムロール100の背後にはバックアップロール380が当該ゴムロール100と接触して設けられている。なお、冷却ロール300およびバックアップロール380の内部には、当業者に周知の手段を用いて水が通されており、それぞれ所定の温度を有するように冷却されている。
【0051】
このような製造装置500において、ゴムロール100と冷却ロール300との間隙kには、基材310とTダイ390から送り出された溶融樹脂層320とが重ね合わせて供給される。基材310および溶融樹脂層320の重ね合わせが間隙kを通過する際、これらはゴムロール100と冷却ロール370との間で挟圧(ゴムロールによる押圧)され、積層ラベル350に成形される。得られた積層ラベル350は冷却ロール300の周りを移動して図示しない別のロールに巻き取られる。
【0052】
図5は、図4に示す積層ラベルの製造装置を用いて基材および溶融樹脂層から積層ラベルを作製する状態を説明するための模式断面図である。
【0053】
図5において、ゴムロール100の軸106を回転させると、基材310と溶融樹脂層320は、ゴムロール100と冷却ロール300との間の間隙kを通って送り出される。
【0054】
その際、基材310と溶融樹脂層320とは、ゴムロール100の被覆部104を構成するゴム芯材114およびゴムマトリックス112により押圧され、一方で冷却ロール300によっても押圧される。これにより、基材310と溶融樹脂層320とは、ゴムロール100と冷却ロール300とで挟圧される。ここで、基材310は、被覆部104におけるゴム芯材114の切削面124とゴムマトリックス112のマトリックス面122と直接接する。また、上記の通りゴムロール100におけるマトリックス面122と切削面124とは互いに異なる表面硬度を有するので、ゴム芯材114の切削面124を通じて基材310を押圧する圧力P1a、P1b、P1c、P1d、P1eおよびP1f(白矢印)と、ゴムマトリックス112のマトリックス面122を通じて基材310を押圧する圧力P(黒矢印)は異なるものとなる。これにより、基材310と溶融樹脂層320との重ね合わせには、所々でゴムロール100から押圧差を生じ、基材310と溶融樹脂層320とが強固に押圧された部分と、比較的弱くまたは若干弱く押圧される部分とに分かれる。
【0055】
その結果、図6に示すように、上記で得られた積層ラベル350は、その表面がゴム芯材114の切削面124で押圧された部分360とゴムマトリックス112のマトリックス面122で押圧された部分370とを有し、これらの部分360、370の両方を備えることにより、当該積層ラベル350に対して易剥離性と挟圧差とによるこれら部分360、370の間の接着強度の不均一状態を提供することができる。
【0056】
積層ラベルを構成する基材の例としては、印刷や筆記が可能な紙、合成樹脂等が挙げられる。得られる積層ラベルを例えば、宅配用または配送用伝票のラベルとして使用できる点から、感熱紙またはインクジェット紙であることが好ましい。
【0057】
感熱紙は熱に反応し、例えば黒色などの所定色彩を発色するように加工された印刷用紙であり、印字が簡単であり広範に用いられている。本発明では市販の感熱紙を使用することができる。代表的な感熱紙としては、日本製紙株式会社製のFI紙、王子製紙株式会社製のDL82ASなどが挙げられる。インクジェット紙はインクジェット印刷がし易く、インクの発色が良くなるように表面にインクが配置し易くインクの吸収が良く乾燥が速くなるように表面加工されたものである。市販のインクジェット紙が使用できる。
【0058】
積層ラベルを構成する樹脂層または溶融樹脂層の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂等の熱可塑性樹脂で構成されるフィルムが挙げられる。汎用性に富み、ヒートシール性が良好であるという理由からポリエチレン樹脂フィルムであることが好ましい。溶融樹脂層より得られる樹脂層の厚みは必ずしも限定されないが、例えば5μm~25μmである。
【0059】
樹脂層に用いられるポリエチレン樹脂は、包装材として使用されるクラフト紙などに塗布された粘着剤への密着性を高め、配送品の配達時には感熱紙の剥離を可能にし、表面に印刷などで記載された感熱紙部分を受領書として利用させるものである。ポリエチレン樹脂としては、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、その他変性ポリエチレンなど市販の樹脂が使用され得る。上記基材に対して適度な密着性を有し、かつ良好な剥離性が得られるという理由から中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、または超低密度ポリエチレンであることが好ましい。
【0060】
樹脂層はまた、得られる積層ラベルを包装材等の被着体への貼着を容易にするために、樹脂層と基材との重ね合わせ面とは反対の面に粘着剤層を有していてもよい。粘着剤層は通常の粘着剤を塗布したり、押出ラミネート塗工によって設けることができる。粘着剤の例としては、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤などが挙げられる。ゴム系粘着剤は粘着力が安定し、得られる積層ラベルを広範な被着体に貼着することができる点で好ましい。
【0061】
例えば、配達用伝票の用紙は、感熱紙(基材)にポリエチレン(樹脂層)をラミネートして、更にポリエチレン側表面に接着剤を塗布し、感熱紙表面には送付先などが印字され、ラベルのサイズに合わせて切り目を入れ、ラベルサイズに切り離されて、1枚ずつ接着面を配送品の段ボール箱表面に貼着して用いられる。宛名等の印字された感熱紙あるいはその一部は配送の控えとして配送人によって複数枚束にして持ち帰られる。この配送の控えが複数枚となってそれぞれ1枚1枚がカールすることはその束が嵩張り、煩わしいものになる。
【0062】
本発明によればこのような嵩張る感熱紙のカールを抑えた積層ラベルを製造することができる。当該積層ラベルにおいて、基材と樹脂層との間が所定の接着強度(あるいは剥離強度)を有していることが重要である。本発明により得られた積層ラベルは、例えば、0.30~0.40N/50mm、好ましくは0.30~0.32N/50mm、より好ましくは0.31~0.32N/50mmの接着強度を有する。積層ラベルの接着強度が0.30N/50mm未満では、得られた積層ラベルについて、所望の伝票用紙となるように所定のサイズに切れ目を入れ、打ち抜きする際に基材と樹脂層との間の剥離(浮き)を生じることがある。積層ラベルの接着強度が0.4N/50mmを上回ると、積層ラベルを伝票として使用する際、基材を剥離するときに当該基材が破れ易くなり、剥離後のカールが激しくなることがある。
【0063】
上記によって得られた積層ラベルは、基材を容易に樹脂層から剥離することができ、例えば宅配便などの伝票用紙として使用できる。具体的には、配達時に配送人が積層ラベル(易剥離性ラベル)の基材を剥がして配送確認の確認証として使用するとともに、残存する樹脂層を受取人の包装材に残留させることができる。
【実施例0064】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0065】
(作製例1:球状のゴム芯材の作製)
大橋鋼球株式会社への委託により、シリコーンゴムコンパウンド(信越化学工業株式会社製KE-971T-U)100質量部に、硬化剤(信越化学株式会社製C-8)2質量部を配合し、1次加硫によってシート状とし、次いで金型を用いて2次加硫し球状粒子にし、その後分級することにより、デュロメータA試験の硬度が70であり、かつ3mmの平均直径を有する球状のゴム芯材を作製した。
【0066】
(実施例1:ゴム芯材を用いるゴムロール(E1)の作製)
軸受けに取り付け可能な両端部を有するステンレススチール製の円筒状のロール本体(芯金)(外径250mm,面長400mm)の表面をブラスト処理した後、アクリル系接着剤を塗布し、これにアクリロニトリル・ブタジエンゴム(NBRゴム)100質量部、酸化亜鉛5質量部、ステアリン酸1質量部、シリカ60質量部、フタル酸エステル系可塑剤(DOP)40質量部、酸化防止剤(ブチル化ヒドロキシトルエン;BHT)1質量部、加硫促進剤(N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド;CBS)1質量部、および硫黄1.5質量部から構成されるNBRゴム材を塗布し、加硫処理を行うことにより、ロール本体の軸周りに、デュロメータA試験の硬度が70でありかつ5mmの厚さを有するNBRゴム層を形成した。次いで、このNBRゴム層の表面を、シリコーンゴム(信越化学工業株式会社製KE-153-U)で被覆し、加硫処理を行うことにより、デュロメータA試験の硬度が50でありかつ5mmの厚さを有するシリコーンゴム層を形成した。
【0067】
さらに、このシリコーンゴム層の表面に、作製例1で得られた球状のゴム芯材50質量部と、2液型液状シリコーンゴム(信越化学工業株式会社製KE-153-U)50質量部との割合で含有しかつこれらが略均一に分散する組成物を塗布し、当該組成物が硬化した後、その表面を切削することにより、5mmの厚さを有しかつ表面が略面一である被覆部を形成した。被覆部の表面において、ゴム芯材の切削面のデュロメータA試験の硬度は70であり、かつ2液型液状シリコーンゴムが硬化したゴムマトリックスのマトリックス面のデュロメータA試験の硬度は50であった。このようにしてゴムロール(E1)を作製した。
【0068】
このゴムロール(E1)と冷却ロールとを僅かな間隙をあけて平行に配置し、当該間隙に感圧紙(大王製紙株式会社製ロール状感熱紙DL82AS(目付:40g,幅400mm)を通して当該感圧紙を押圧した。得られた感圧紙の写真を図7に示す。
【0069】
図7に示すように、押圧後の感圧紙には、ゴムロール(E1)の被覆部を構成するゴム芯材の切削面を通じて押圧された部分が様々な大きさの円形状に変色し、当該被覆部を構成するゴムマトリックスのマトリックス面を通じて押圧された部分は特に変色していなかった。このことから、実施例1で作製されたゴムロール(E1)は、被覆部を構成するゴム芯材の切削面を通じて押圧される部分と、ゴムマトリックスのマトリックス面を通じて押圧される部分とでは、押圧の差を生じさせるものであったことがわかる。
【0070】
(実施例2:ゴム芯材を用いるゴムロール(E2)の作製)
シリコーンゴム層の表面に、作製例1で得られた球状のゴム芯材40質量部と、2液型液状シリコーンゴム(信越化学工業株式会社製KF1091)60質量部との割合で含有する組成物を用いて被覆部を形成したこと以外は、実施例1と同様にしてゴムロール(E2)を作製した。ゴムロール(E2)の被覆部の表面において、ゴム芯材の切削面のデュロメータA試験の硬度は50であり、かつ2液型液状シリコーンゴムが硬化したゴムマトリックスのマトリックス面のデュロメータA試験の硬度は70であった。
【0071】
(実施例3:ゴム芯材を用いるゴムロール(E3)の作製)
シリコーンゴム層の表面に、作製例1で得られた球状のゴム芯材30質量部と、2液型液状シリコーンゴム(信越化学工業株式会社製KF1091)70質量部との割合で含有する組成物を用いて被覆部を形成したこと以外は、実施例1と同様にしてゴムロール(E3)を作製した。ゴムロール(E3)の被覆部の表面において、ゴム芯材の切削面のデュロメータA試験の硬度は50であり、かつ2液型液状シリコーンゴムが硬化したゴムマトリックスのマトリックス面のデュロメータA試験の硬度は70であった。
【0072】
(比較例1:ゴム芯材を用いないゴムロール(C1)の作製)
実施例1と同様にして表面のブラスト処理を行ったロール本体に、クロロスルホン化ポリエチレン(デュポン社製ハイパロン)100質量部、加硫促進剤(ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド)0.5質量部、加硫促進剤(ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド)2質量部、補強剤(カーボンブラック)40質量部、加硫助剤(酸化鉛(90%))27.8質量部を用いて、加硫温度150℃にて加硫圧力0.4MPaでロール芯の表面にゴム層を設けることにより、ゴム芯材を含んでいないクロロスルホン化ポリエチレン製のゴムロール(C1)を作製した。得られたゴムロール(C1)について、その表面のデュロメータA試験の硬度は81であり、直径は265mmであり、有効幅400mmであった。
【0073】
(実施例4:積層ラベル(LE1)の作製)
実施例1で作製したゴムローム(E1)を、図4に示す積層ラベルの製造装置500に組み込んで以下のようにして積層ラベルを作製した。
【0074】
実施例1で作製したゴムロール(E1)と直径400mmを有する冷却ロールとの間隙に、感圧紙(大王製紙株式会社製ロール状感熱紙DL82AS(目付:40g,幅400mm)、および低密度ポリエチレン(日本ユニカー株式会社製NUC-8009)をダイス温度280℃かつ厚さ18μmにて押出機でラミネートしたものを通して挟圧(プレス圧力:0.6MPa)することにより積層ラベル(LE1)を得た。
【0075】
(実施例5:積層ラベル(LE2)の作製)
実施例1のゴムロール(E1)の代わりに実施例2で作製したゴムロール(E2)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、挟圧の際のプレス圧力を0.6MPaに保持したまま積層ラベル(LE2)を得た。
【0076】
(実施例6:積層ラベル(LE3)の作製)
実施例1のゴムロール(E1)の代わりに実施例3で作製したゴムロール(E3)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、挟圧の際のプレス圧力を0.6MPaに保持したまま積層ラベル(LE3)を得た。
【0077】
(実施例7:積層ラベル(LE4)の作製)
実施例1のゴムロール(E1)の代わりに実施例2で作製したゴムロール(E2)を用い、挟圧の際のプレス圧力を0.7MPaに変更したこと以外は実施例1と同様にして、積層ラベル(LE4)を得た。
【0078】
(実施例8:積層ラベル(LE5)の作製)
実施例1のゴムロール(E1)の代わりに実施例3で作製したゴムロール(E3)を用い、挟圧の際のプレス圧力を0.7MPaに変更したこと以外は実施例1と同様にして、積層ラベル(LE5)を得た。
【0079】
(比較例2:積層ラベル(LC1)の作製)
実施例1のゴムロール(E1)の代わりに比較例1で作製したゴムロール(C1)を用い、挟圧の際のプレス圧力を0.55MPaに変更したこと以外は実施例1と同様にして、積層ラベル(LC1)を得た。
【0080】
(比較例3:積層ラベル(LC2)の作製)
実施例1のゴムロール(E1)の代わりに比較例1で作製したゴムロール(C1)を用い、挟圧の際のプレス圧力を0.6MPaに変更したこと以外は実施例1と同様にして、積層ラベル(LC2)を得た。
【0081】
(接着強度の測定)
実施例4~8で得られた積層ラベル(LE1)~(LE4)ならびに比較例2および3で得られた積層ラベル(LC1)および(LC2)の基材(感熱紙)と樹脂層(ポリエチレン層)との間の接着強度を以下のようにして測定した。
【0082】
各積層ラベルの中央部分を切り出し、押し出し機械方向に長いMD150mm、幅方向TD50mmの短冊状MD方向試験用サンプルを作製した。同様にして、幅方向に長いTD150mm、機械方向50mmのTD方向用短冊状試験サンプルを作製した。これら試験用サンプルについて、JIS K6854-1977に準拠して接着強度(N/50mm)の試験を行った。結果を表1に示す。
【0083】
(カール高さの測定)
実施例4~8で得られた積層ラベル(LE1)~(LE4)ならびに比較例2および3で得られた積層ラベル(LC1)および(LC2)のカール高さを以下のようにして測定した。
【0084】
各積層ラベルの中央部を切り出し、押し出し機械方向(MD)が152mm、幅方向(TD)が103mmの短冊状のカール評価用サンプルを作製した。評価用積層サンプルを、テスター産業株式会社製高速剥離試験機を用いて剥離し、剥離した感熱紙を短冊状サンプルの中心点から対角線上4方向にカッターナイフで中心点から50mmずつ切込みを入れて、木製の板の上で、23℃かつ50%相対湿度で2分間放置して中心点部分4点のカールによる紙の立ち上がり高さを測定し、4点の測定値の平均値をカール高さとした。結果を表1に示す。
【0085】
【表1】
【0086】
表1に示すように、実施例1~3で作製したゴムロール(E1)~(E3)を用いて得られた積層ラベル(LE1)~(LE5)はいずれも、比較例1で作製したゴムロール(C1)を用いて得られた積層ラベル(LC1)および(LC2)と比較して、接着強度およびカール高さの両方に優れていることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明によれば、例えば、配達用伝票の作製に関連する樹脂成形分野および機械分野や当該配達用伝票を使用する各種ロジスティクス分野において有用である。
【符号の説明】
【0088】
100,200 ゴムロール
102 ロール本体
104,204 被覆部
105 中間層
106 軸
112 ゴムマトリックス
114,214 ゴム芯材
120 外表面
122 マトリックス面
124,224 切削面
300 冷却ロール
310 基材
320 溶融樹脂層
350 積層ラベル
360 切削面で押圧された部分
370 マトリックス面で押圧された部分
380 バックアップロール
390 Tダイ
500 積層ラベルの製造装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7