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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023031166
(43)【公開日】2023-03-08
(54)【発明の名称】シート化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/73 20060101AFI20230301BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20230301BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20230301BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20230301BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20230301BHJP
【FI】
A61K8/73
A61K8/02
A61Q19/00
A61K8/86
A61K8/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021136714
(22)【出願日】2021-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】390011442
【氏名又は名称】株式会社マンダム
(72)【発明者】
【氏名】石井 さやか
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA112
4C083AB032
4C083AB051
4C083AC102
4C083AC112
4C083AC122
4C083AC132
4C083AC172
4C083AC182
4C083AC432
4C083AC902
4C083AD042
4C083AD091
4C083AD201
4C083AD202
4C083AD212
4C083AD282
4C083AD332
4C083AD351
4C083AD352
4C083AD432
4C083AD572
4C083CC07
4C083DD12
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE12
4C083FF04
(57)【要約】
【課題】保湿剤を比較的多く配合するにもかかわらず使用後の肌におけるべたつきが少なく、優れた保湿感となめらかさを付与することができるシート化粧料を提供すること。
【解決手段】本発明のシート化粧料は、シート基材と、前記シート基材に含浸された化粧料組成物とを含むシート化粧料であって、前記化粧料組成物が、下記成分A:ビオサッカリドガム、成分B:オキシアルキレンの重合度が5~30のポリオキシアルキレンメチルグルコシド、成分C:成分B以外の保湿剤、及び成分D:水を含有し、化粧料組成物中の成分Aの含有割合が0.001~0.1質量%、前記成分Bの含有割合が0.3~5.0質量%、前記成分Cの含有割合が15~50質量%である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート基材と、前記シート基材に含浸された化粧料組成物とを含むシート化粧料であって、
前記化粧料組成物が、下記成分A、下記成分B、下記成分C、及び下記成分Dを含有し、化粧料組成物中の成分Aの含有割合が0.001~0.1質量%、前記成分Bの含有割合が0.3~5.0質量%、前記成分Cの含有割合が15~50質量%である、シート化粧料。
成分A:ビオサッカリドガム
成分B:オキシアルキレンの重合度が5~30のポリオキシアルキレンメチルグルコシド
成分C:成分B以外の保湿剤
成分D:水
【請求項2】
前記化粧料組成物が、さらに、下記成分Eを含有し、化粧料組成物中の成分Eの含有割合が0.05~3.0質量%である請求項1に記載のシート化粧料。
成分E:カルボキシビニルポリマー及び/又はアルキル変性カルボキシビニルポリマー
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚などに潤い及び保湿感を与える化粧料として、シート化粧料が知られている。シート化粧料は、織布又は不織布などからなるシート基材に化粧料組成物を含浸させたシート形状の化粧料である(特許文献1及び2参照)。
【0003】
特に、顔用のシート化粧料(所謂フェイスマスク、シートマスク等)は、例えば、顔の形に適合するよう成型されたシート基材に、保湿、肌荒れ改善、及び美白等の機能を有する化粧水、乳液、又は美容液等の化粧料組成物を含浸させたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-43428号公報
【特許文献2】特開2011-105665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、顔用のシート化粧料に求められる機能は多様化しており、保湿剤を比較的多く配合することで使用後の肌に保湿感を付与することが求められる一方、使用後の肌におけるべたつきが少なく、なめらかさも付与できるシート化粧料も求められている。
【0006】
従って、本発明の目的は、保湿剤を比較的多く配合するにもかかわらず使用後の肌におけるべたつきが少なく、優れた保湿感となめらかさを付与することができるシート化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、シート基材と、上記シート基材に含浸された化粧料組成物とを含むシート化粧料であって、上記化粧料組成物が、成分A:ビオサッカリドガム、成分B:オキシアルキレンの重合度が5~30のポリオキシアルキレンメチルグルコシド、成分C:成分B以外の保湿剤、及び成分D:水を含有し、化粧料組成物中の成分Aの含有割合が0.001~0.1質量%、上記成分Bの含有割合が0.3~5.0質量%、上記成分Cの含有割合が15~50質量%である、シート化粧料によれば、保湿剤を比較的多く配合するにもかかわらず使用後の肌におけるべたつきが少なく、優れた保湿感となめらかさを付与することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち本発明は、
〔1〕シート基材と、上記シート基材に含浸された化粧料組成物とを含むシート化粧料であって、
上記化粧料組成物が、下記成分A、下記成分B、下記成分C、及び下記成分Dを含有し、化粧料組成物中の成分Aの含有割合が0.001~0.1質量%、上記成分Bの含有割合が0.3~5.0質量%、上記成分Cの含有割合が15~50質量%である、シート化粧料。
成分A:ビオサッカリドガム
成分B:オキシアルキレンの重合度が5~30のポリオキシアルキレンメチルグルコシド
成分C:成分B以外の保湿剤
成分D:水
〔2〕上記化粧料組成物が、さらに、下記成分Eを含有し、化粧料組成物中の成分Eの含有割合が0.05~3.0質量%である〔1〕に記載のシート化粧料、に関する。
成分E:カルボキシビニルポリマー及び/又はアルキル変性カルボキシビニルポリマー
【発明の効果】
【0009】
本発明のシート化粧料によれば、保湿剤を比較的多く配合するにもかかわらず使用後の肌におけるべたつきが少なく、優れた保湿感となめらかさを付与することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のシート化粧料は、シート基材と、上記シート基材に含浸された化粧料組成物とを含む。なお、本明細書において、本発明のシート化粧料を構成する上記化粧料組成物を「本発明の化粧料組成物」と称する場合がある。本発明のシート化粧料は、上記シート基材及び上記シート基材に含浸された上記化粧料組成物以外の構成成分を含んでいてもよい。
【0011】
<化粧料組成物>
本発明の化粧料組成物は、ビオサッカリドガム、オキシアルキレンの重合度が5~30のポリオキシアルキレンメチルグルコシド、オキシアルキレンの重合度が5~30のポリオキシアルキレンメチルグルコシド以外の保湿剤、及び水を少なくとも含む。なお、本明細書において、ビオサッカリドガムを「成分A」、オキシアルキレンの重合度が5~30のポリオキシアルキレンメチルグルコシドを「成分B」、オキシアルキレンの重合度が5~30のポリオキシアルキレンメチルグルコシド以外の保湿剤を「成分C」、水を「成分D」とそれぞれ称する場合がある。
【0012】
本発明の化粧料組成物は、さらに、カルボキシビニルポリマー及び/又はアルキル変性カルボキシビニルポリマーを含有することが好ましい。なお、本明細書において、カルボキシビニルポリマー及び/又はアルキル変性カルボキシビニルポリマーを「成分E」と称する場合がある。
【0013】
すなわち、本発明の化粧料組成物は、成分A、成分B、成分C、及び成分Dを少なくとも含む。本発明の化粧料組成物は、さらに成分Eを含むことが好ましい。本発明の化粧料組成物は、上記成分A~E以外の成分を含んでいてもよい。また、本発明の化粧料組成物に含まれる各成分、例えば、成分A、成分B、成分C、成分D、成分E、及び他の成分などの各成分は、それぞれ、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0014】
[成分A]
成分Aは、ビオサッカリドガムである。成分Aを含むことにより、本発明のシート化粧料の使用後の肌のべたつきを抑制することができ、さらに使用後の肌表面になめらかな薄膜が形成された感覚、すなわち優れたなめらかさを付与することができる。成分Aは、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0015】
成分Aとしては、ビオサッカリドガム-1、ビオサッカリドガム-2、ビオサッカリドガム-4を例示することができる。成分Aの市販品としては、例えば、商品名「FUCOGEL 1.5P(ビオサッカリドガム-1)」(ソラビア社製)、商品名「RHAMNOSOFT HP 1.5P(ビオサッカリドガム-2)」(ソラビア社製)、商品名「Glycofilm 1.5P(ビオサッカリドガム-4)」(ソラビア社製)等が挙げられる。
【0016】
本発明の化粧料組成物中の成分Aの含有割合は、0.001~0.1質量%であり、好ましくは0.005~0.05質量%である。上記含有割合が0.001質量%以上であることにより、使用後の肌のべたつきを抑制することができ、さらに優れたなめらかさを付与することができる。上記含有割合が0.1質量%を超えると、使用後の肌にべたつきや、つっぱり感が感じられる。上記成分Aの含有割合は、本発明の化粧料組成物中の全ての成分Aの含有割合の合計である。
【0017】
[成分B]
成分Bは、オキシアルキレンの重合度が5~30のポリオキシアルキレンメチルグルコシドである。成分Bを含むことにより、本発明のシート化粧料の使用後の肌のべたつきを抑制することができ、さらに肌に優れたなめらかさ、及び優れた保湿感を付与することができる。成分Bは、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0018】
成分Bにおけるオキシアルキレンの重合度は、5~30であり、好ましくは5~20である。上記重合度が5以上であることにより、使用後の肌のべたつきを抑制することができ、さらに優れたなめらかさを付与することができる。上記重合度が30を超えると、使用後の肌につっぱり感が感じられる。また、成分Bにおけるオキシアルキレンを構成するアルキレンは、エチレンまたはプロピレンが好ましい。
【0019】
成分Bとしては、ポリオキシプロピレンメチルグルコシド、ポリオキシエチレンメチルグルコシドを例示することができる。成分Bの市販品としては、例えば、商品名「マクビオブライドMG-10P(オキシアルキレンの重合度が10のポリオキシプロピレンメチルグルコシド)」(日油株式会社製)、商品名「マクビオブライドMG-20P(オキシアルキレンの重合度が20のポリオキシプロピレンメチルグルコシド)」(日油株式会社製)、商品名「マクビオブライドMG-10E(オキシアルキレンの重合度が10のポリオキシエチレンメチルグルコシド)」(日油株式会社製)、商品名「マクビオブライドMG-20E(オキシアルキレンの重合度が20のポリオキシエチレンメチルグルコシド)」(日油株式会社製)等が挙げられる。
【0020】
本発明の化粧料組成物中の成分Bの含有割合は、0.3~5.0質量%であり、好ましくは0.5~3.0質量%、より好ましくは0.7~2.0質量%である。上記含有割合が0.3質量%以上であることにより、使用後の肌のべたつきを抑制することができ、さらに優れたなめらかさを付与することができる。上記含有割合が5.0質量%を超えると、使用後の肌につっぱり感が感じられる。上記成分Bの含有割合は、本発明の化粧料組成物中の全ての成分Bの含有割合の合計である。
【0021】
[成分C]
成分Cは、成分B以外の保湿剤である。成分Cを含むことにより、本発明のシート化粧料の使用後の肌に優れた保湿感を付与することができる。成分Cは、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0022】
成分Cとしては、化粧品原料の保湿剤として用いられている公知乃至慣用の多価アルコールおよび糖類から選ばれる少なくとも1種を使用することができる。成分Cの具体例としては、例えば、グリセリン、濃グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオールなどの多価アルコール、グルコース、マルトース、マルチトール、スクロース、マンニトール、ソルビトール、トレハロース、エリスリトール、アラビトール、リビトール、キシリトール、ガラクチトールなどの糖類が挙げられる。
【0023】
成分Cとしては、使用後の肌のべたつきが少ない観点から、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール及びポリエチレングリコールからなる群より選択される1以上の保湿剤(「成分C1」と称する場合がある)が好ましい。また、成分Cとしては、使用後の肌の保湿感がよりいっそう優れる観点から、グリセリン、濃グリセリン、ジグリセリン、及びポリグリセリンからなる群より選択される1以上の保湿剤(「成分C2」と称する場合がある)が好ましい。
【0024】
また、上記ポリエチレングリコールとしては、数平均分子量が200~3000のポリエチレングリコールが好ましく、より好ましくは数平均分子量が250~2000のポリエチレングリコールである。上記数平均分子量が上記範囲内であることにより、使用後の肌のべたつきをより抑制することができる。
【0025】
本発明の化粧料組成物中の成分Cの含有割合は、15.0~50.0質量%であり、好ましくは25.0~40.0質量%である。上記含有割合が15.0質量%以上であると、使用後の肌に優れた保湿感を付与することができる。上記含有割合が50.0質量%以下であると、使用後の肌のべたつきを抑制することができる。上記成分Cの含有割合は、本発明の化粧料組成物中の全ての成分Cの含有割合の合計である。
【0026】
本発明の化粧料組成物中の成分C1の含有割合は、特に限定されないが、10.0~45.0質量%が好ましく、より好ましくは15.0~35.0質量%である。上記含有割合が10.0質量%以上であると、使用後の肌によりいっそう高い保湿感を付与することができる。上記含有割合が45.0質量%以下であると、使用後の肌のべたつきをより抑制することができる。
【0027】
[成分D]
成分Dは水であり、特に限定されないが、精製水が好ましい。本発明の化粧料組成物中の成分Dの含有割合は、特に限定されないが、40.0~84.0質量%が好ましい。
【0028】
[成分E]
成分Eは、カルボキシビニルポリマー及び/又はアルキル変性カルボキシビニルポリマーである。すなわち、成分Eは、カルボキシビニルポリマー及びアルキル変性カルボキシビニルポリマーのうちの、いずれか一方又は両方である。成分Eは、一種のみを用いてもよいし、二種以上を用いてもよい。
【0029】
成分Eを含むと、本発明のシート化粧料の使用時にシート基材から化粧料組成物が垂れ落ちるのを抑制することができる。また、使用後の肌に皮膜が形成された感触を付与し、いっそう高い保湿感を付与することができる。
【0030】
カルボキシビニルポリマーとは主としてアクリル酸の重合体であるものをいい、アルキル変性カルボキシビニルポリマーとは主としてアクリル酸とメタクリル酸アルキル(例えば炭素数が10~30(C10~C30))の共重合体であるものをいう。上記カルボキシビニルポリマーとしては、特に限定されないが、INCI名で「CARBOMER(カルボマー)」と表記される化合物が挙げられる。上記アルキル変性カルボキシビニルポリマーとしては、特に限定されないが、INCI名「ACRYLATES/C10-30 ALKYL ACRYLATE CROSSPOLYMER((アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー)」と表記される化合物が挙げられる。
【0031】
上記カルボキシビニルポリマーの市販品としては、例えば、商品名「Carbopol 934 Polymer」、商品名「Carbopol 940 Polymer」、商品名「Carbopol 941 Polymer」、商品名「Carbopol 980 Polymer」、商品名「Carbopol 981 Polymer」、商品名「Carbopol 1342 Polymer」、商品名「Carbopol 2984 Polymer」、商品名「Carbopol Ultrez 10 Polymer」、商品名「Carbopol ETD 2050 Polymer」(以上、Lubrizol Advanced Materials社製)、商品名「AQUPEC HV-501」、商品名「AQUPEC HV-504」、商品名「AQUPEC HV-505」(以上、住友精化株式会社製)、商品名「ハイビスワコー104」、商品名「ハイビスワコー105」(以上、富士フイルム和光純薬株式会社製)などが挙げられる。
【0032】
上記アルキル変性カルボキシビニルポリマーの市販品としては、例えば、商品名「PEMULEN TR-1」、商品名「PEMULEN TR-2」、商品名「Carbopol ETD 2020 Polymer」、商品名「Carbopol ULTREZ 20 Polymer」、商品名「Carbopol ULTREZ 21 Polymer」、商品名「Carbopol SC-200 Polymer」(以上、Lubrizol Advanced Materials社製)などが挙げられる。
【0033】
成分Eは、特に限定されないが、塩基性物質で中和されているか、又は塩基性物質で中和して用いられてもよい。上記塩基性物質としては、例えば、トリエタノールアミンやモノエタノールアミン等のアルカノールアミン類、アンモニア、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等の無機塩基、アルギニン等の塩基性アミノ酸などが挙げられる。また、上記塩基性物質の添加量は、充分に中和された成分Eとなる量であるか又は成分Eを中和するのに充分な量であり、成分E及び上記塩基性物質の種類や成分Eの使用量に応じて適宜配合すればよい。
【0034】
本発明の化粧料組成物中の成分Eの含有割合は、特に限定されないが、本発明の化粧料組成物100質量%に対し、0.05~3.0質量%が好ましく、より好ましくは0.1~2.0質量%、さらに好ましくは0.1~0.5質量%である。上記含有割合が0.05質量%以上であると、本発明のシート化粧料の使用時にシート基材から化粧料組成物が垂れ落ちるのをより抑制することができる。また、いっそう高い保湿感を付与することができる。上記含有割合が3.0質量%以下であると、使用後の肌におけるつっぱり感が抑制される。上記成分Eの含有割合は、本発明の化粧料組成物中の全ての成分Eの含有割合の合計である。
【0035】
[その他の成分]
本発明の化粧料組成物は、本発明の目的を阻害しない範囲内で、上記成分A~E以外の成分(その他の成分)を含んでいてもよい。上記その他の成分しては、特に限定されず、例えば、化粧品や医薬部外品に通常用いられる成分などが挙げられる。具体的には、例えば、エタノール等の低級アルコール;油脂、高級アルコール、エステル油、植物油、炭化水素油等の油性成分;界面活性剤;ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、多糖増粘剤等の成分E以外の増粘剤;殺菌剤;パール化剤;スクラブ剤;グリチルリチン酸及びその塩等の抗炎症剤;メントール等の清涼剤;リン酸及びその塩類、クエン酸及びその塩類、乳酸及びその塩類、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン等のpH調整剤;香料;紫外線吸収剤;酸化防止剤;金属イオン封鎖剤(キレート剤);成分A、成分B及び成分E以外の皮膜形成性高分子化合物;粉体;色素;顔料;ビタミン類;アミノ酸類;収斂剤;美白剤;動植物抽出物;酸;アルカリ、繊維状セルロースなどが挙げられる。
【0036】
<シート基材>
本発明のシート化粧料におけるシート基材は、本発明の化粧料組成物を含浸可能なシート状の支持体である。
【0037】
上記シート基材としては、特に限定されないが、例えば、紙、織布、不織布などが挙げられる。上記シート基材は、積層体(すなわち、積層シート)であってもよく、例えば、織布の積層体、不織布の積層体、織布と不織布の積層体などであってもよい。上記シート基材は、使用感、加工のし易さ等の観点から、不織布を含むシート基材であることが好ましく、より好ましくは不織布である。上記不織布としては、スパンボンド不織布、スパンレース不織布、サーマルボンド不織布、ニードルパンチ不織布、スティッチボンド不織布などが挙げられる。
【0038】
上記織布や不織布を構成する繊維としては、特に限定されないが、例えば、天然繊維、合成繊維、半天然繊維などが挙げられる。上記天然繊維としては、綿、パルプ、シルク、セルロース、麻、リンター、カポックなどが挙げられる。上記合成繊維としては、ナイロン繊維、ポリエステル繊維(例えば、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維等)、アクリル繊維、ポリオレフィン繊維(例えば、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維等)などが挙げられる。上記半天然繊維としては、レーヨン、アセテートなどが挙げられる。上記繊維は、一種のみを用いてもよいし、二種以上を用いてもよい。また、二種以上の上記繊維からなる混紡繊維を用いてもよい。
【0039】
上記シート基材は、エンボス加工処理が施されていてもよい。上記エンボス加工処理としては、特に限定されないが、例えば、裏面を押し上げて浮かす(したがって裏面は凹む)方式や、表面に特殊なインクを付着することで凸部を形成する(裏面は凹まない)方式などが挙げられる。
【0040】
上記シート基材の目付は、特に限定されないが、10~100g/m2が好ましく、より好ましくは20~80g/m2である。上記目付が10g/m2以上であると、化粧料組成物を充分に含浸させることができる。上記目付が100g/m2以下であると、使用時の肌への密着感が特に優れる。
【0041】
上記シート基材は、織布や不織布等の種類に応じて、公知乃至慣用の製造方法により製造することができる。また、上記シート基材は市販品を用いることもできる。市販品としては、特に限定されないが、例えば、商品名「RH」、商品名「AS」(以上、ダイワボウポリテック株式会社製)、商品名「TCF」(フタムラ化学株式会社製)、商品名「コットエース」(ユニチカ株式会社製)、商品名「クラフレックス」(株式会社クラレ製)、商品名「ベンリーゼ」(旭化成株式会社製)、商品名「サンモア」(三昭紙業株式会社製)などが挙げられる。
【0042】
<シート化粧料>
本発明のシート化粧料における、含浸された本発明の化粧料組成物の質量割合(含浸量)は、特に限定されないが、シートの濡れ性及び密着性の観点から、上記シート基材100質量部に対して、800~2000質量部が好ましく、より好ましくは1000~1800質量部である。
【0043】
本発明のシート化粧料の形状はシート状である。これにより、使用時の簡便性に優れ、携帯性にも優れる。シートの平面形状は、特に限定されないが、例えば、顔型;四角形(例えば、正方形、長方形など)、三角形等の多角形;円形、楕円形、半円形;三日月形;樽形;鼓形、キャラクターの形状などが挙げられる。本発明のシート化粧料には、切れ込み部、くり抜き部、凹凸部などの成型が施されていてもよい。特に、本発明のシート化粧料が顔用のシート化粧料である場合、上記シート化粧料は、目、鼻、口に相当する部位に切れ込み又はくり抜き部が設けられた略円形又は略楕円形であってもよい。本発明のシート化粧料のシートの片面の面積は、特に限定されないが、使用性、携帯性、及び包装性に優れることから、5~600cm2が好ましく、より好ましくは10~500cm2である。
【0044】
本発明のシート化粧料は、上記シート基材に本発明の化粧料組成物を含浸させることにより製造することができる。上記シート基材に本発明の化粧料組成物を含浸させる方法は、特に限定されず、例えば、折りたたんだ状態及び/又は重ね合わせた状態の上記シート基材に本発明の化粧料組成物を注入し含浸させる方法、上記シート基材に本発明の化粧料組成物をスプレーする方法、印刷法を用いて上記シート基材に本発明の化粧料組成物を含浸させる方法、本発明の化粧料組成物中に上記シート基材を浸す方法などが挙げられる。
【0045】
なお、本発明の化粧料組成物は、特に限定されず、公知乃至慣用の方法により製造することができる。例えば、化粧料組成物に配合する各成分を混合し、ホモミキサー、パドルミキサーなどで攪拌して製造することができる。
【0046】
<シート化粧料製品>
本発明のシート化粧料は、外出時の携帯性、使用時の取り扱い性などの観点から、容器(包装容器)に収納して、シート化粧料製品とすることが好ましい。本発明のシート化粧料製品は、容器と、上記容器内に収容された本発明のシート化粧料とを少なくとも含む。
本発明のシート化粧料は、防腐性、含浸量の均一性の観点などから、1枚ごとに個別包装されていることが好ましいが、生産コスト、生産効率などの観点からは、複数枚の本発明のシート化粧料が同一容器内に収納されていてもよい。
【0047】
複数枚の本発明のシート化粧料を同一容器内に収納する場合、1つの容器内に収納される本発明のシート化粧料の枚数は、特に限定されないが、2枚以上が好ましく、より好ましくは5枚以上、より好ましくは10枚以上、さらに好ましくは20枚以上である。当該構成によると、持ち運び時に場所を取らず携帯性に優れ、何度も取り出して使用できるという利点を有する。携帯性に優れることから、1つの容器内に収容されるシート化粧料の枚数の上限は、50枚以下であることが好ましい。
【0048】
本発明のシート化粧料製品において、シート化粧料は、二つ折り、三つ折り、四つ折りなどに折り畳んで包装容器に収納されていることが好ましい。
【0049】
上記容器としては、例えば、袋体(包装袋)、箱状容器などが挙げられる。上記容器は、本発明の化粧料組成物の揮発を抑制できるものが好ましい。上記容器の材質としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などの樹脂;アルミニウムなどの金属などが挙げられる。上記容器としては、軽量であり優れた揮発防止効果を有することから、金属(特に、アルミニウム)層と樹脂層とが積層(例えば、ラミネート又は蒸着)された材質の包装容器(特に、包装袋)が好ましい。
【0050】
本発明のシート化粧料及びシート化粧料製品の用途は、特に限定されないが、皮膚化粧料が好ましく、より具体的には、例えば、スキンケア化粧料である。上記スキンケア化粧料としては、例えば、保湿化粧料、美白化粧料、アクネケア用化粧料、アンチエージング化粧料(しわ抑制、たるみ抑制などを目的とする化粧料)などが挙げられる。本発明のシート化粧料及びシート化粧料製品は、化粧品、医薬部外品、医薬品、雑貨などいずれであってもよい。
【0051】
本発明のシート化粧料を適用する部位としては、特に限定されないが、例えば、顔(例えば、額、目元、目じり、頬、口元等)、腕、肘、手の甲、指先、足、膝、かかと、首、脇、背中などが挙げられる。中でも、本発明のシート化粧料は、使用後の肌におけるべたつきが少なく、優れた保湿感となめらかさを付与することができる観点から、顔用のシート化粧料(所謂、フェイスマスク、シートマスク等)であることが好ましい。本発明のシート化粧料は、特に顔全体を覆う顔用のシート化粧料として好ましく用いることができる。
【0052】
本発明のシート化粧料の使用方法としては、例えば、皮膚表面の所望の部位に貼り付ける方法、皮膚の所望の部位を拭くことによりシート基材に含浸した本発明の化粧料組成物を皮膚に塗布する方法などが挙げられる。中でも、本発明のシート化粧料は、使用後の肌におけるべたつきが少なく、優れた保湿感となめらかさを付与することができる観点から、皮膚表面の所望の部位に貼り付ける方法が好ましい。すなわち、本発明のシート化粧料は、貼り付ける方法で用いられる、貼り付け用のシート化粧料(所謂、パック化粧料)であることが好ましく、より好ましくは顔面(特に顔全体)への貼り付け用のシート化粧料(所謂、フェイスマスク、シートマスク等)である。上記顔面への貼り付け用のシート化粧料は、顔面上にシート化粧料を密着するように貼り付けて用いられる。本発明のシート化粧料を顔面上に貼り付ける時間は、皮膚の乾燥状態に応じて、例えば、5~20分が好ましい。そして、本発明のシート化粧料の使用後は、シート化粧料を剥がし、手でなじませることで、べたつきが少なく、適度に皮膜が形成された感覚が得られ、肌に保湿感及び適度ななめらかさが得られる。本発明のシート化粧料の使用後は、洗い流しを行っても行わなくてもよいが、保湿感及び適度ななめらかさを維持する観点から、洗い流しを行わない方が好ましい。
【0053】
本発明のシート化粧料は、化粧料組成物がシート基材に含浸されており、上記化粧料組成物は、水(成分D)を媒体とする組成物において、ビオサッカリドガム(成分A)、特定のポリオキシアルキレンメチルグルコシド(成分B)、及び成分B以外の保湿剤(成分C)をそれぞれ特定割合で組み合わせて用いることで、成分Cを比較的多く配合するにもかかわらず使用後の肌におけるべたつきが少なく、優れた保湿感となめらかさを付与することができる。成分A及び成分Bを配合せず成分Cを多量に配合すると、使用後の肌におけるべたつきを抑制することができない。また、優れたなめらかさを付与することもできない。
【実施例0054】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。なお、表に記載の配合量は、各成分の配合量(すなわち、各原料中の有効成分の配合量。所謂純分)であり、特記しない限り「質量%」で表す。また、水酸化カリウムは、化粧料組成物のpHが6.7となるように添加した。
【0055】
実施例及び比較例
表1に記した組成に従い、実施例及び比較例の各化粧料組成物を常法により調製した。
次に、シート基材(スパンレース不織布、構成繊維:パルプ/レーヨン/ポリエチレンテレフタレート繊維の混紡繊維、形状:略楕円状、目付:60g/m2、面積:約400cm2)1枚を四つ折りにした後、包装袋(長さ約10cm×幅約15cm)に入れた。上記包装袋中に、各化粧料組成物を注入することより、各化粧料組成物を包装袋内のシート基材に含浸させて、実施例及び比較例の各シート化粧料を作製した。なお、上記各実施例及び比較例では、シート基材100質量部に対して、各化粧料組成物を約1100質量部含浸させた。
【0056】
表に記載の各成分の詳細は、以下の通りである。
【0057】
<成分A>
ビオサッカリドガム-1:商品名「FUCOGEL 1.5P」(ソラビア社製)
【0058】
ビオサッカリドガム-2:商品名「RHAMNOSOFT HP 1.5P」(ソラビア社製)
ビオサッカリドガム-4:商品名「Glycofilm 1.5P」(ソラビア社製)
<成分B>
ポリオキシプロピレンメチルグルコシド:商品名「マクビオブライド MG-10P」(日油株式会社製)、ポリオキシアルキレンの重合度:10
ポリオキシエチレンメチルグルコシド:商品名「マクビオブライド MG-20E」(日油株式会社製)、ポリオキシアルキレンの重合度:20
<成分C>
ポリエチレングリコール:商品名「PEG#1500」(日油株式会社製)、数平均分子量:1500
<成分E>
アルキル変性カルボキシビニルポリマー:商品名「PEMLEN TR-1」(Lubrizol Advanced Materials社製)、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体
【0059】
(評価)
実施例及び比較例で得られた各シート化粧料について以下の通り評価した。評価結果は表に記載した。
【0060】
各実施例及び各比較例で得られた各シート化粧料を、手の甲に貼付した。次いで、各シート化粧料を3分間手の甲に貼付した後、各シート化粧料を剥離し、手の甲に付着している化粧料組成物を手でなじませた。化粧料組成物をなじませた直後に、下記基準で「べたつきのなさ」を判定し、その10分後に、下記基準で「なめらかさ」及び「保湿感」を判定した。なお、下記評価は、3人の専門評価員が実施した。
[べたつきのなさの評価基準]
A(優れる):べたつきがほぼ感じられない
B(良好):少しべたつきを感じるが、実用上許容できる
C(不良):べたつき強すぎて不快
[なめらかさの評価基準]
A(優れる):肌表面になめらかな薄膜が形成された感覚がある
B(良好):Aには劣るが、なめらかな薄膜が形成された感覚がある
C(不良):なめらかな薄膜が感じられない
[保湿感の評価基準]
A(優れる):しっとりとした保湿感が充分に感じられる
B(良好):しっとりとした保湿感が少し感じられる
C(不良):保湿感が感じられない
【0061】
【表1】
【0062】
さらに、以下に本発明のシート化粧料の処方例を示す。
【0063】
[処方例1~6:シートマスク]
表2に示す化粧料組成物1~6をシート基材100質量部に対して、1100質量部含侵させ、それぞれを処方例1~6とした。なお、処方例1~3はシート基材1(スパンレース不織布、構成繊維:パルプ/レーヨン/ポリエチレンテレフタレート繊維の混紡繊維、形状:略楕円状、目付:60g/m2、面積:約400cm2)を、処方例4~6はシート基材2(スパンレース不織布、構成繊維:再生セルロース/レーヨン/高密度ポリエチレン繊維/ポリプロピレン繊維の混紡繊維、形状:略楕円状、目付:35g/m2、面積:約400cm2)を用いた。
【0064】
【表2】