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特開2023-31167芝管理サーバ、芝管理方法及び芝管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023031167
(43)【公開日】2023-03-08
(54)【発明の名称】芝管理サーバ、芝管理方法及び芝管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20230301BHJP
   G06Q 50/02 20120101ALI20230301BHJP
   A01G 7/00 20060101ALI20230301BHJP
   A01G 20/10 20180101ALI20230301BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20230301BHJP
   G16Y 20/10 20200101ALI20230301BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q50/02
A01G7/00 603
A01G20/10
G06T7/00 600
G16Y20/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021136715
(22)【出願日】2021-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】399035766
【氏名又は名称】エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青砥 正英
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 彩
(72)【発明者】
【氏名】川本 祐輝
(72)【発明者】
【氏名】常 小青
【テーマコード(参考)】
2B022
5L049
5L096
【Fターム(参考)】
2B022AA01
2B022AB01
5L049CC01
5L049CC18
5L096BA03
5L096BA18
5L096DA03
5L096GA51
(57)【要約】
【課題】芝管理者が、芝管理のための複数の種別のデータを簡易に確認することができる。
【解決手段】芝管理システムの芝管理サーバ50は、ドローン、定点カメラ或いはハンディカメラを用いて撮影された芝領域の画像及び芝領域のNDVIデータ5212と、芝領域に対して設置されたセンサーによる検出データ523とを取得するデータ取得部531と、管理者端末の画面に、芝領域の画像または芝領域のNDVIデータ5212に基づくNDVI画像と、検出データ523に基づく芝の状態に関するデータとを、重畳表示させる芝状態可視化部534と、を有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
芝の状態を管理する芝管理サーバであって、
ドローン、定点カメラ或いはハンディカメラを用いて撮影された芝領域の画像及び前記芝領域の植生指標データと、前記芝領域に対して設置されたセンサーによる検出データとを取得する取得部と、
芝管理者が有する管理者端末の画面に、前記芝領域の画像または前記芝領域の植生指標データに基づく植生指標画像と、前記検出データに基づく芝の状態に関するデータとを、重畳表示させる可視化部と、
を有することを特徴とする芝管理サーバ。
【請求項2】
前記植生指標データまたは前記検出データが所定の閾値を超えた場合、前記管理者端末或いは前記芝管理者が携帯する携帯端末に、前記植生指標データまたは前記検出データが前記所定の閾値を超えた旨を示す情報を通知する通知部
をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の芝管理サーバ。
【請求項3】
前記芝領域の画像、前記芝領域の植生指標データ、及び、前記検出データを基に、前記芝領域のうち芝の状態が異常であるおそれがある異常領域を識別する識別部
をさらに有することを特徴とする請求項1または2に記載の芝管理サーバ。
【請求項4】
前記可視化部は、前記異常領域を示す情報を、前記管理者端末の画面に表示させることを特徴とする請求項3に記載の芝管理サーバ。
【請求項5】
前記可視化部は、前記管理者端末の画面に、前記芝領域の画像または前記植生指標画像に、前記異常領域を重畳表示させることを特徴とする請求項3に記載の芝管理サーバ。
【請求項6】
前記取得部は、ドローン、定点カメラ或いはハンディカメラを用いて撮影された芝領域の水分量計測値データを取得することを特徴とする請求項1~5のいずれか一つに記載の芝管理サーバ。
【請求項7】
前記検出データは、前記芝領域の、土壌水分量、電気伝導度、土壌温度、外気の温湿度、暑さ指数、風速、日照量、硫化水素量、日照時間、芝領域を撮像した画像データ、使用者の位置データ、使用者の利用時間、使用者の加速度データ、または、使用者のバイタルデータであることを特徴とする請求項1~6のいずれか一つに記載の芝管理サーバ。
【請求項8】
芝の状態を管理する芝管理サーバが実行する芝管理方法であって、
ドローン、定点カメラ或いはハンディカメラを用いて撮影された芝領域の画像及び前記芝領域の植生指標データと、前記芝領域に対して設置されたセンサーによる検出データとを取得する工程と、
芝管理者が有する管理者端末の画面に、前記芝領域の画像または前記芝領域の植生指標データに基づく植生指標画像と、前記検出データに基づく芝の状態に関するデータとを、重畳表示させる工程と、
を含んだことを特徴とする芝管理方法。
【請求項9】
ドローン、定点カメラ或いはハンディカメラを用いて撮影された芝領域の画像及び前記芝領域の植生指標データと、前記芝領域に対して設置されたセンサーによる検出データとを取得するステップと、
芝管理者が有する管理者端末の画面に、前記芝領域の画像または前記芝領域の植生指標データに基づく植生指標画像と、前記検出データに基づく芝の状態に関するデータとを、重畳表示させるステップと、
をコンピュータに実行させるための芝管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芝管理サーバ、芝管理方法及び芝管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
土壌センサー等のIoT(Internet of Things)を活用したセンサデータの収集や、ドローン空撮による画像の取得などが、芝管理や農場管理のために活用されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】株式会社A・R・P,土壌水分センサー WD-3 WD-5シリーズ, [online],[令和3年8月20日検索],インターネット<URL:http://www.arp-id.co.jp/hp/Soil_Moisture_Sensor.pdf>
【非特許文献2】ドローンプラットフォーム docomo sky, [online],[令和3年8月20日検索],インターネット<URL:https://www.docomosky.jp/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
芝管理の場合、芝管理者は、各種センサデータやドローン画像を取得するために、各種センサーやドローンの選定及び導入を行い、各種センサデータ及びドローン画像を、それぞれ対応する別々のインタフェースで確認するという煩雑な処理を行う必要がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、芝管理者が、芝管理のための複数の種別のデータを簡易に確認することができる芝管理サーバ、芝管理方法及び芝管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の芝管理サーバは、芝の状態を管理するサーバ装置であって、ドローン、定点カメラ或いはハンディカメラを用いて撮影された芝領域の画像及び芝領域の植生指標データと、芝領域に対して設置されたセンサーによる検出データとを取得する取得部と、管理者端末の画面に、芝領域の画像または芝領域の植生指標データに基づく植生指標画像と、検出データに基づく芝の状態に関するデータとを、重畳表示させる可視化部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、芝管理者が、芝管理のための複数の種別のデータを簡易に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施の形態における芝管理システムの構成を説明する図である。
図2図2は、管理対象のグラウンドの空撮画像の一例を示す図である。
図3図3は、管理対象のグラウンドの芝領域の植生指標(NDVI:Normalized Difference Vegetation Index)画像の一例を示す図である。
図4図4は、図1に示す芝管理サーバの構成の一例を示すブロック図である。
図5図5は、管理者端末の画面の一例を示す図である。
図6図6は、管理者端末の画面の一例を示す図である。
図7図7は、管理者端末の画面の一例を示す図である。
図8図8は、管理者端末の画面の一例を示す図である。
図9図9は、管理者端末の画面の一例を示す図である。
図10図10は、図4に示す芝管理サーバによる管理者端末に対する芝状態可視化処理の処理手順を示すフローチャートである。
図11図11は、図4に示す芝管理サーバによる管理者端末に対するアラート通知処理の処理手順を示すフローチャートである。
図12図12は、プログラムを実行するコンピュータを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願に係る芝管理サーバ、芝管理方法及び芝管理プログラムの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態により本願に係る芝管理サーバ、芝管理方法及び芝管理プログラムが限定されるものではない。
【0010】
以下の実施の形態では、実施の形態における芝管理システム及び芝管理システムにおける処理の流れを順に説明し、最後に実施の形態による効果を説明する。
【0011】
[実施の形態]
まず、実施の形態について説明する。実施の形態では、競技(ラグビー、サッカー等)を行うグラウンドの芝領域の状態を管理する芝管理システムを例として説明する。
【0012】
実施の形態における芝管理システムでは、芝管理サーバが、ドローン空撮による芝領域の画像及び芝領域の植生指標データと、芝領域に対して設置された各種センサーによる検出データとを一元管理する。そして、芝管理サーバは、芝管理者が有する管理者端末に、芝領域の画像または芝領域の植生指標データと、各種検出データとを、ダッシュボードを介して、可視化して提供する。芝管理者は、ダッシュボードで表示された、各種データを一つにまとめた画面を視認するだけで、芝管理のための複数の種別のデータを簡易に確認することができる。
【0013】
[芝管理システム]
次に、芝管理システムについて説明する。図1は、実施の形態における芝管理システムの構成を説明する図である。
【0014】
図1に示すように、実施の形態に係る芝管理システム100は、ドローンプラットフォームのドローン管理サーバ10とグラウンド管理プラットフォームの使用者データ管理サーバ20とグラウンドに設置されたセンサー群31と通信を行うIoT GW(ゲートウェイ)30及び撮像装置40と接続する芝管理プラットフォームの芝管理サーバ50と、芝管理者が有する管理者端末60とを有する。
【0015】
ドローン管理サーバ10は、グラウンドを空撮するドローン11の飛行処理及び撮像処理を制御する。図2は、管理対象のグラウンドの空撮画像の一例を示す図である。ドローン11は、図2に示すルートRaに沿って飛行し、ルートRa上に設定された撮像ポイント(例えば、撮像ポイントPa)で停止し、グラウンドを空撮する。ドローン11は、グラウンドの芝領域の画像及び芝領域のNDVIデータを取得する。また、ドローン11は、グラウンドの芝領域の水分量計測値データを取得する。ドローン管理サーバ10は、ドローン11が取得した芝領域の画像、NDVIデータ、水分量計測値データをグラウンドの座標と対応付けたドローン取得データを芝管理サーバ50に送信する。
【0016】
使用者データ管理サーバ20は、グラウンドを使用する使用者が装着するウェアラブルデバイス21から、使用者に関するデータを取得する。ウェアラブルデバイス21は、グラウンドの各使用者がそれぞれ装着するデバイスである。ウェアラブルデバイス21は、装着した使用者の位置データ、利用時間、加速度データまたはバイタルデータを検出し、計測した時系列データを、使用者データ管理サーバ20に送信する。使用者データ管理サーバ20は、受信した各種検出データと、各使用者の識別情報とを対応付けて、芝管理サーバ50に送信する。なお、バイタルデータは、例えば、心拍数、体温、血流または呼吸数である。
【0017】
グラウンドには、各種データを検出するIoTデバイスであるセンサー群31、IoT GW30及び撮像装置40が設置されている。IoT GW30は、センサー群31から、センサー群31による検出データを受信し、受信した各種検出データを芝管理サーバ50に送信する。撮像装置40は、グラウンドの芝領域を撮像し、芝領域の画像データを芝管理サーバ50に送信する。センサー群31は、芝領域の、土壌水分量、電気伝導度、土壌温度(地温)、外気の温湿度、暑さ指数(WBGT(Wet Bulb Globe Temperature:湿球黒球温度))、風速、日照量、硫化水素量、または、日照時間を検出する。
【0018】
芝管理サーバ50は、ドローン管理サーバ10から送信されたドローン取得データ、使用者データ管理サーバ20から送信された使用者データ、IoT GW30から送信された検出データ、及び、撮像装置40から送信された画像データを受信し、芝領域に関するこれらのデータを一元管理する。芝管理サーバ50は、管理者端末60に、グラウンドの芝の状態に関する芝状態データを送信する。
【0019】
具体的には、芝管理サーバ50は、芝管理者が有する管理者端末60に、芝領域の画像または芝領域のNDVIデータと、各種検出データとを、ダッシュボードを介して、可視化して提供する。管理者端末60の画面に、芝領域の画像または芝領域のNDVIデータに基づくNDVI画像と、検出データに基づく芝の状態に関するデータとを、重畳表示させる。図3は、管理対象のグラウンドの芝領域のNDVI画像の一例を示す図である。図3では、グラウンドの空撮画像Gsに芝領域のNDVI画像Gnを重畳して表示する。図3に示すように、NDVI画像Gnは、各ポイントでドローン11が取得したNDVIデータを並べて、生育状態をヒートマップ表示させた画像である。
【0020】
そして、芝管理サーバ50は、NDVIデータまたは検出データが所定の閾値を超えた場合、管理者端末60に、NDVIデータまたは検出データが所定の閾値を超えた旨を示す情報を通知する。また、芝管理サーバ50は、芝領域の画像、芝領域のNDVIデータ、及び、検出データを基に、芝領域のうち芝の状態が異常である異常領域を識別し、異常領域を示す情報を、管理者端末60の画面に表示させる。
【0021】
芝管理者の管理者端末60は、ダッシュボードを介して、芝領域の画像または芝領域のNDVIデータと、各種検出データとを一つにまとめた画面を表示する。管理者端末60の画面に表示されるデータの組み合わせは複数あり、芝管理者が適宜切り替え可能である。芝管理者は、管理者端末60の画面を視認することで、芝管理のための複数の種別のデータを簡易に確認することができ、芝の補修やメンテナンスに各種データを活用することができる。
【0022】
また、管理者端末60には、NDVIデータまたは検出データが閾値を超えた旨を示す情報を通知される。芝管理者は、管理者端末60への通知を確認することで、芝状態の異常の有無を認識することができる。管理者端末60の画面には、芝領域のうち芝の状態が異常である異常領域を示す情報が表示される。芝管理者は、自身がグラウンドの芝の状態を直接確認せずとも、管理者端末60の画面を確認するだけで異常領域の場所を認識することができるため、補修やメンテナンスを的確かつ迅速に行うことができる。
【0023】
[芝管理サーバ]
続いて、芝管理サーバ50について説明する。図4は、図1に示す芝管理サーバ50の構成の一例を示すブロック図である。図4に示すように、芝管理サーバ50は、通信部51、記憶部52及び制御部53を有する。
【0024】
通信部51は、無線または有線にて他の装置との間で通信を行う。通信部51は、ネットワーク等を介して接続された他の装置との間で、各種情報を送受信する通信インタフェースである。通信部51は、NIC(Network Interface Card)等で実現され、LAN(Local Area Network)やインターネットなどの電気通信回線を介した他の装置と制御部53(後述)との間の通信を行う。例えば、通信部51は、ドローン管理サーバ10から送信されたドローン取得データ、使用者データ管理サーバ20から送信された使用者データ、IoT GW30から送信された検出データ、及び、撮像装置40から送信された画像データを受信する。また、通信部51は、管理者端末60に、グラウンドの芝の状態に関する芝状態データを送信する。
【0025】
記憶部52は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、光ディスク等の記憶装置である。なお、記憶部52は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ、NVSRAM(Non Volatile Static Random Access Memory)等のデータを書き換え可能な半導体メモリであってもよい。記憶部52は、芝管理サーバ50で実行されるOS(Operating System)や各種プログラムを記憶する。さらに、記憶部52は、プログラムの実行で用いられる各種情報を記憶する。記憶部52は、ドローン取得データ521、使用者データ522、検出データ523、画像データ524及びフィードバックデータ525を有する。
【0026】
ドローン取得データ521は、座標と各データとが対応付けられた、ドローン画像データ5211、NDVIデータ5212及び水分量計測データ5213を含む。ドローン画像データ5211は、カラー画像である。NDVIデータ5212は、R(赤)光と近赤外光とを用いて撮影された画像データを基に、吸収帯域である赤色の波長域と、吸収しにくい近赤外線の波長域の相関関係に基づいて計算される。NDVIデータ5212から、芝領域の生育の状態に関するデータが取得できる。
【0027】
使用者データ522は、使用者の位置データ、利用時間、加速度データまたはバイタルデータの時系列データである。使用者の位置データ、利用時間、加速度データから、芝領域の使用時間や使用頻度が検出できる。使用者は、グラウンドで競技を行う競技者のほか、グラウンドの芝を補修、メンテナンスする芝管理者も含む。
【0028】
検出データ523は、センサー群31による検出データを受信し、受信した各種検出データを芝管理サーバ50に送信する。検出データ523は、センサー群31による、グラウンドの芝領域における、土壌の水分量データ5231、土壌温度及び外気の温湿度を含む温湿度データ5232、電気伝導度データ5233、暑さ指数、風速、日照量、硫化水素量、または、日照時間の検出データを含む。検出データ523から、芝の生育状態に関するデータが取得できる。
【0029】
画像データ524は、撮像装置40によって撮像された、グラウンドの芝領域の画像データである。画像データ524から芝の使用頻度(踏まれ具合)、日照時間などのデータが取得できる。
【0030】
フィードバックデータ526は、芝の使用者によってフィードバックされた、けがの発生ポイント、芝のディボットポイントを示すデータであり、フィードバック時間と対応付けて登録される。
【0031】
制御部53は、芝管理サーバ50全体を制御する。制御部53は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等の電子回路や、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路である。また、制御部53は、各種の処理手順を規定したプログラムや制御データを格納するための内部メモリを有し、内部メモリを用いて各処理を実行する。また、制御部53は、各種のプログラムが動作することにより各種の処理部として機能する。制御部53は、データ取得部531(取得部)、可視化依頼受付部532、識別部533、芝状態可視化部534(可視化部)、通知部535及びフィードバック部536を有する。
【0032】
データ取得部531は、ドローン空撮による芝領域の画像及び芝領域のNDVIデータと、芝領域に対して設置されたセンサー群31による検出データとを取得する。データ取得部531は、ドローン管理サーバ10から送信されたドローン取得データ、使用者データ管理サーバ20から送信された使用者データ、IoT GW30から送信された検出データ、及び、撮像装置40から送信された画像データを取得する。
【0033】
可視化依頼受付部532は、管理者端末60の画面に表示された、芝領域に関する各種データを閲覧可能であるダッシュボードを介して、管理者端末60から、芝状態に関する各種データの可視化依頼を受け付ける。
【0034】
識別部533は、芝領域の画像、芝領域のNDVIデータ、及び、検出データを基に、芝領域のうち芝の状態が異常であるおそれがある異常領域を識別する。例えば、識別部533は、芝領域の画像データを解析し、ディボットがある異常領域を識別する。また、識別部533は、芝領域の画像データに、芝領域のNDVIデータ及び検出データの異常データをマッピングすることによって、異常領域として、芝の生育不良が生じている領域を識別する。
【0035】
例えば、識別部533は、使用者の位置データ、利用時間、加速度データから、芝領域の使用時間や使用頻度を検出し、検出データ523から、芝の生育状態に関するデータを取得し、画像データ524から芝の使用頻度(踏まれ具合)、日照時間などのデータを取得する。
【0036】
そして、識別部533は、検出データのうち、NDVIデータにおいて芝の生育が標準より悪い領域、使用者による使用頻度が他の領域よりも高い領域、日照時間が他の領域よりも少ない領域、土壌水分量が他の領域よりも少ない領域、電気伝導度が他の領域よりも高い領域、または、温湿度が他の領域と所定以上の差がある領域を抽出し、抽出した領域を異常領域として識別する。日照時間が他の領域よりも少ない領域は、芝の生育が他の領域よりも悪いと考えられるためである。使用者による使用頻度が他の領域よりも高い領域は、芝のダメージが他の領域よりも高いと考えられるためである。また、温湿度が他の領域と所定以上の差がある領域は、他の領域と比して、芝の生育に差が生じると考えられるためである。
【0037】
芝状態可視化部534は、管理者端末60の画面に、芝領域の画像または芝領域のNDVIデータに基づくNDVI画像と、検出データ523に基づく芝の状態に関するデータとを、重畳表示させる。
【0038】
図5は、管理者端末60の画面の一例を示す図である。図5に示すように、芝管理者は、芝領域に関する各種データを、ダッシュボードを介して閲覧可能である。例えば、芝管理者による管理者端末60の操作によって、ダッシュボードのうち、所定の日時でグラウンドAの土壌情報が選択された場合、可視化依頼受付部532は、この日時のグラウンドAの土壌情報の可視化依頼を受け付ける。そして、芝状態可視化部534は、管理者端末60に、図5の画面M1に示すように、グラウンドAの空撮画像に、グラウンドAに設置された土壌センサー1,2,3の設置位置に対応させて、指定された日時の土壌温度、土壌の電気伝導度、土壌水分量を示す吹き出しE1~E3を重畳表示させる。この際、参考のために、芝状態可視化部534は、指定された日時の、気象情報、湿度、風速を画面M1の枠W1に表示させる。
【0039】
芝状態可視化部534は、識別部533が識別した異常領域を示す情報を、管理者端末60の画面に表示させる。芝状態可視化部534は、管理者端末60の画面に、芝領域の画像またはNDVI画像に、異常領域を重畳表示させる。図6図8は、管理者端末60の画面の一例を示す図である。
【0040】
例えば、芝管理者による管理者端末60の操作によって、ダッシュボードのうち、グラウンドAのディボット情報が選択された場合、可視化依頼受付部532は、グラウンドAのディボット情報の可視化依頼を受け付ける。芝状態可視化部534は、図6の画面M2に示すように、グラウンドAの空撮画像を格子状に区切る。そして、芝状態可視化部534は、識別部533による識別結果を基に、図6の画面M2に示すように、グラウンドAの各領域のうち、領域K2にディボットがあることを示すコメントC21を、管理者端末60に表示させる。これとともに、芝状態可視化部534は、空撮写真の領域K2を、例えば、赤で示す異常領域を重畳表示させる。
【0041】
または、芝状態可視化部534は、図7の画面M3に示すように、グラウンドAのNDVI画像を格子状に区切り、NDVIデータとともに、領域K2にディボットがあることを示すコメントC31を、管理者端末60に表示させてもよい。
【0042】
また、識別部533によって、複数の領域で異常領域が識別された場合には、異常領域と、その異常内容とともに、修復の優先順位を表示してもよい。
【0043】
例えば、芝状態可視化部534は、図8の画面M4に示すように、コメントC41、コメントC42及びコメントC43を表示させる。コメントC41は、領域K2にディボットがあることを示す。コメントC42は、領域D3に日照時間不足による芝の生育不良が生じているおそれがあることを示す。コメントC43は、領域L2に使用頻度が他の領域よりも高いため、芝の状態不良があるおそれがあることを示す。そして、芝状態可視化部534は、格子状に区切ったグラウンドAのNDVI画像の各領域K2,D3,L2上に、修復の優先順位を重複表示させる。この優先順位は、例えば、予め設定されたルールにしたがって決定される。
【0044】
通知部535は、NDVIデータまたは検出データが所定の閾値を超えた場合、管理者端末60或いは管理者が携帯する携帯端末に、NDVIデータまたは検出データが所定の閾値を超えた旨を示すアラート情報を通知する。例えば、通知部535は、管理者端末60のダッシュボード画面にアラートコメントを表示させる。閾値は、検出データの種別ごとに設定される。そして、閾値は、季節や地域に応じて設定される。通知部535は、NDVIデータ及び検出データのいずれか一つのデータが所定の閾値を超えた場合にアラート情報を通知するほか、所定数のデータがそれぞれ対応する閾値を超えた場合にアラート情報を通知してもよい。
【0045】
図9は、管理者端末60の画面の一例を示す図である。土壌温度の閾値が0℃である場合、通知部535は、図9の画面M5に示すように、グラウンドAの空撮画像に、土壌センサー1,2,3の設置位置に対応させて、土壌温度、土壌の電気伝導度、土壌水分量を示し吹き出しを重畳表示させた上で、グラウンドの土壌温度が氷点下であることを示すコメントC51を管理者端末60に表示させる。また、通知部535は、アラート情報を、管理者端末60等を介して、芝管理者が携帯する携帯端末にメールで通知してもよい。
【0046】
なお、通知部535は、センサー群31によって検出された温湿度や使用者のバイタルデータ等を基に、体調不良が発生するおそれがあると判定した場合、体調不良が発生するおそれがあることを示すアラートを、使用者のウェアラブルデバイス21や使用者を監督する監督者の携帯端末に通知し、使用者に休憩や作業停止を促してもよい。
【0047】
フィードバック部536は、芝の使用者による怪我の発生ポイント、芝管理者による芝の状態を示すデータ等のフィードバックを受け付け、フィードバック時間と対応付けてフィードバックデータ525に登録する。芝状態可視化部534は、フィードバックデータ525として登録された各種データを、芝領域の画像またはNDVI画像とともに、管理者端末60に表示してもよい。
【0048】
[芝管理サーバの処理]
次に、芝管理サーバ50の処理について説明する。図10は、図4に示す芝管理サーバ50による管理者端末60に対する芝状態可視化処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0049】
芝管理サーバ50は、ドローン空撮による芝領域の画像及び芝領域のNDVIデータと、芝領域に対して設置されたセンサー群31による検出データとを取得する(ステップS1)。芝管理サーバ50は、芝状態に関する各種データの可視化依頼を受け付けると(ステップS2)、芝領域の画像、芝領域のNDVIデータ、及び、検出データを基に、芝領域のうち芝の状態が異常であるおそれがある異常領域を識別する(ステップS3)。
【0050】
そして、芝管理サーバ50は、芝状態データの可視化を管理者端末60に指示し(ステップS4)、管理者端末60の画面に、芝領域の画像または芝領域のNDVIデータに基づくNDVI画像と、検出データ523に基づく芝の状態に関するデータとを、重畳表示させる。この際、芝管理サーバ50は、ステップS3において識別した異常領域を示す情報の表示指示を管理者端末60に指示し、異常領域を示す情報を、管理者端末60の画面に表示させてもよい。
【0051】
[アラート通知処理]
次に、芝管理サーバ50のアラート通知処理について説明する。図11は、図4に示す芝管理サーバ50による管理者端末60に対するアラート通知処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0052】
図11に示すように、芝管理サーバ50は、芝領域のNDVIデータと、芝領域に対して設置されたセンサー群31による検出データとを取得する(ステップS11)。芝管理サーバ50は、NDVIデータまたは検出データのうち、所定の核閾値を超えたデータあるか否かを判定する(ステップS12)。NDVIデータ及び検出データにおいて、所定の各閾値を超えたデータがない場合(ステップS12:No)、芝管理サーバ50は、ステップS11に戻り、データ取得を継続する。
【0053】
NDVIデータまたは検出データにおいて、所定の各閾値を超えたデータがある場合(ステップS12:Yes)、芝管理サーバ50は、管理者端末60に、NDVIデータまたは検出データが所定の閾値を超えた旨を示すアラート情報を通知する(ステップS13)。
【0054】
[実施の形態の効果]
実施の形態における芝管理サーバ50は、ドローン空撮による芝領域の画像及び芝領域のNDVIデータと、芝領域に対して設置された各種センサーによる検出データとを取得して一元管理し、管理者端末60に、ダッシュボードを介して、芝領域の画像または芝領域のNDVI画像と、各種検出データとを重畳表示させる。
【0055】
例えば、芝管理サーバ50は、管理者端末60に、センサー群31による検出データを一覧表示させ、或いは、複数の画像データをレイヤ表示もしくは一覧表示させることで、単独画像からは判別できなかった芝の状態を複合的に可視化する。芝管理サーバ50は、検出データや使用者からの情報を芝生の位置にマッピングし、画像とデータとの両面からの生育状況を可視化する。このため、実施の形態によれば、芝管理者は、ダッシュボードで表示された、各種データを一つにまとめた画面を視認するだけで、芝管理のための複数の種別のデータを簡易に確認することができる。
【0056】
そして、芝管理サーバ50は、NDVIデータまたは検出データが所定の閾値を超えた場合、管理者端末60に、NDVIデータまたは検出データが所定の閾値を超えた旨を示す情報を通知する。また、芝管理サーバ50は、芝領域の画像、芝領域のNDVIデータ、及び、検出データを基に、芝領域のうち芝の状態が異常である異常領域を識別し、異常領域を示す情報を、管理者端末60の画面に表示させる。
【0057】
これによって、芝管理者は、自身がグラウンドの芝の状態を直接確認せずとも、管理者端末60の画面を確認するだけで異常領域の場所を認識することができるため、補修やメンテナンスを的確かつ迅速に行うことができる。したがって、実施の形態によれば、芝の損傷場所等に対する捜索時間の削減と捜索漏れの削減とによる芝管理者の稼動削減を図ることができるとともに、芝の品質、芝の管理品質の向上を図ることができる。
【0058】
なお、本実施の形態に係る芝管理システム100は、グラウンドの芝の管理に限らず、ゴルフ場等に敷かれた芝の管理に対しても適用可能である。また、芝管理システム100は、芝管理に限らず農業地の農作物の生育状況の管理にも適用可能である。また、本実施の形態では、ドローン空撮によって芝領域の画像、芝領域のNDVIデータ及び芝領域の水分量計測値データを取得する場合を例に説明したが、管理者等が有するハンディカメラ、或いは、定点カメラ等を用いて、芝領域の画像、芝領域のNDVIデータ及び芝領域の水分量計測値データを取得してもよい。
【0059】
[システム構成等]
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUやGPU及び当該CPUやGPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0060】
また、本実施形態において説明した各処理のうち、自動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を手動的におこなうこともでき、あるいは、手動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的におこなうこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0061】
[プログラム]
また、上記実施の形態において説明した芝管理サーバ50が実行する処理をコンピュータが実行可能な言語で記述したプログラムを作成することもできる。例えば、実施の形態における芝管理サーバ50が実行する処理をコンピュータが実行可能な言語で記述したプログラムを作成することもできる。この場合、コンピュータがプログラムを実行することにより、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、かかるプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータに読み込ませて実行することにより上記実施形態と同様の処理を実現してもよい。
【0062】
図12は、プログラムを実行するコンピュータを示す図である。図12に例示するように、コンピュータ1000は、例えば、メモリ1010と、CPU1020と、ハードディスクドライブインタフェース1030と、ディスクドライブインタフェース1040と、シリアルポートインタフェース1050と、ビデオアダプタ1060と、ネットワークインタフェース1070とを有し、これらの各部はバス1080によって接続される。
【0063】
メモリ1010は、図12に例示するように、ROM(Read Only Memory)1011及びRAM1012を含む。ROM1011は、例えば、BIOS(Basic Input Output System)等のブートプログラムを記憶する。ハードディスクドライブインタフェース1030は、図12に例示するように、ハードディスクドライブ1090に接続される。ディスクドライブインタフェース1040は、ディスクドライブ1100に接続される。例えば磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能な記憶媒体が、ディスクドライブ1100に挿入される。シリアルポートインタフェース1050は、例えばマウス1110、キーボード1120に接続される。ビデオアダプタ1060は、例えばディスプレイ1130に接続される。
【0064】
ここで、図12に例示するように、ハードディスクドライブ1090は、例えば、OS1091、アプリケーションプログラム1092、プログラムモジュール1093、プログラムデータ1094を記憶する。すなわち、上記の、プログラムは、コンピュータ1000によって実行される指令が記述されたプログラムモジュールとして、例えばハードディスクドライブ1090に記憶される。
【0065】
また、上記実施形態で説明した各種データは、プログラムデータとして、例えばメモリ1010やハードディスクドライブ1090に記憶される。そして、CPU1020が、メモリ1010やハードディスクドライブ1090に記憶されたプログラムモジュール1093やプログラムデータ1094を必要に応じてRAM1012に読み出し、各種処理手順を実行する。
【0066】
なお、プログラムに係るプログラムモジュール1093やプログラムデータ1094は、ハードディスクドライブ1090に記憶される場合に限られず、例えば着脱可能な記憶媒体に記憶され、ディスクドライブ等を介してCPU1020によって読み出されてもよい。あるいは、プログラムに係るプログラムモジュール1093やプログラムデータ1094は、ネットワーク(LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等)を介して接続された他のコンピュータに記憶され、ネットワークインタフェース1070を介してCPU1020によって読み出されてもよい。
【0067】
上記の実施形態やその変形は、本願が開示する技術に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0068】
10 ドローン管理サーバ
11 ドローン
20 使用者データ管理サーバ
21 ウェアラブルデバイス
30 IoT GW
31 センサー群
40 撮像装置
50 芝管理サーバ
51 通信部
52 記憶部
53 制御部
521 ドローン取得データ
522 使用者データ
523 検出データ
524 画像データ
525 フィードバックデータ
5211 ドローン画像データ
5212 NDVIデータ
5213 水分量計測データ
5231 水分量データ
5232 温湿度データ
5233 電気伝導度データ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12