(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023031179
(43)【公開日】2023-03-08
(54)【発明の名称】液溜め機能を有する布地およびそれを備えるズボン
(51)【国際特許分類】
A61F 13/66 20060101AFI20230301BHJP
A61F 13/74 20060101ALI20230301BHJP
A61F 13/72 20060101ALI20230301BHJP
【FI】
A61F13/66
A61F13/74 100
A61F13/72 100
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021151968
(22)【出願日】2021-09-17
(31)【優先権主張番号】202110974470.8
(32)【優先日】2021-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】521154958
【氏名又は名称】レジーナ ミラクル インターナショナル(グループ)リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Regina Miracle International (Group) Limited
【住所又は居所原語表記】Unit 1003-1010,10/F,Tower A,Regent Centre,63 Wo Yi Hop Road,Kwai Chung,New Territories,Hong Kong
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】劉 震強
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200AA03
3B200BA01
3B200BB06
3B200BB09
3B200BB20
3B200CA03
3B200CB03
3B200DC02
3B200DC07
3B200DD02
3B200DD07
3B200DE03
3B200DE09
(57)【要約】 (修正有)
【課題】液溜め機能を有する布地およびそれを備えるズボンを提供する。
【解決手段】液体を貯蔵するための液溜め布と、前記液溜め布の下方に位置する防水フィルムとを備える液溜め機能を有する布地であって、前記布地は、前記液溜め布の縁部を封止する封止部を更に備える。前記布地は、液溜め機能を有するとともに、前記封止部により、貯蔵された液体が横漏れすることを防止することができる。更に、生理用ナプキンの粘着テープがパンツの空洞部に収容されるので、生理用ナプキンの粘着テープがパンツから露出することがなく、プライバシーを確保することができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を貯蔵するための液溜め布(101)と、前記液溜め布(101)の下方に位置する防水フィルム(102)とを備える液溜め機能を有する布地(100)であって、
前記液溜め布(101)の縁部を封止する封止部を更に備えることを特徴とする、布地(100)。
【請求項2】
前記封止部は、
前記防水フィルム(102)が折り返された部分によって前記液溜め布(101)の縁部を封止して形成される折り返し部(300)、および/または
前記液溜め布(101)の縁部で折り畳まれ、前記液溜め布(101)の縁部を封止する防水布(103)によって形成されることを特徴とする、請求項1に記載の布地(100)。
【請求項3】
前記防水布(103)が前記布地(100)の前端及び後端のそれぞれに設けられ、
前記折り返し部(300)が前記布地(100)の両側に設けられることを特徴とする、請求項2に記載の布地(100)。
【請求項4】
前記折り返し部(300)は、前記防水フィルム(102)が少なくとも2回折り返された部分によって構成されることを特徴とする、請求項2に記載の布地(100)。
【請求項5】
前記布地(100)は、導水布(104)を更に備え、
前記導水布(104)は、一方向導通構造のニット構成布地であり、
前記導水布(104)は、前記液溜め布(101)の上方に設けられることを特徴とする、請求項1に記載の布地(100)。
【請求項6】
前記布地(100)は、接着シール(105)を更に備え、
前記接着シール(105)は、前記導水布(104)と前記防水フィルム(102)との間に設けられ、かつ
前記接着シール(105)は、前記布地(100)の縁部に設けられることを特徴とする、請求項5に記載の布地(100)。
【請求項7】
前記布地(100)は、接着リング(106)を更に備え、
前記接着リング(106)は、密閉領域を形成するように前記導水布(104)と前記液溜め布(101)との間に装着されることを特徴とする、請求項5に記載の布地(100)。
【請求項8】
前記布地(100)は、表布(107)とミシン糸(108)とを更に備え、
前記表布(107)は、前記防水フィルム(102)の下方に設けられ、
前記表布(107)の縁部は、前記防水フィルム(102)の縁部と共に折り返され、折り返し部(300)が形成され、
前記折り返し部(300)は、前記ミシン糸(108)によって前記導水布(104)に接続され、且つ
前記ミシン糸(108)は、前記折り返し部(300)に内蔵されることを特徴とする、請求項5に記載の布地(100)。
【請求項9】
ズボンであって、
前記ズボンは、請求項1~8のいずれか一項に記載の布地(100)を備え、
前記布地(100)は、ズボンの股部に装着されることを特徴とする、ズボン。
【請求項10】
前記布地(100)は、ズボンの股部に接着剤によって貼り付けられることを特徴とする、請求項9に記載のズボン。
【請求項11】
前記布地(100)の一部と前記ズボンとの間に、生理用ナプキンの粘着テープを収容するための空洞部が形成されることを特徴とする、請求項9に記載のズボン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、布地の技術分野に関し、特に、液溜め機能を有する布地およびそれを備えるズボンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、吸水及び貯水機能を有する布地は知られている。例えば、吸水及び貯水機能を有する布地をパンツに適用して女性の生理中に月経血を吸収することで、優れた効果を得ることができる。しかし、従来の布地は、吸水及び貯水機能を有するが、布地が貯水された後に、布地の上下左右の各側面から貯蔵された液が漏れ出す横漏れが発生し易い。即ち、従来の布地は、ある程度の貯水及び吸水の機能を有する構造であるが、貯水後の横漏れを完全に解決することはできず、横漏れの問題は着用者に迷惑をかけることになるため、解決すべき課題となっている。
【0003】
また、従来の生理用パンツは、吸水及び貯水機能を有する布地を単にパンツに取り付けるだけである。着用するときに、この布地を生理用ナプキンと一緒に使うことに慣れている女性もいる。しかし、生理用ナプキンの着用中には、その両側の粘着テープを用いてパンツの股部に固着する必要があるため、着用中に生理用ナプキンの粘着テープがパンツの外に露出し、不要な気まずい思いをすることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の液溜め機能を有する布地の横漏れ課題を解決するために、本発明の一方面の目的は、液溜め機能を有する布地およびそれを備えるズボンを提供することにある。本発明の他の方面の目的は、生理用ナプキンの粘着テープがパンツから露出するのを避けることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る布地は、液体を貯蔵するための液溜め布と、前記液溜め布の下方に位置する防水フィルムとを備える液溜め機能を有する布地であって、前記布地は、前記液溜め布の縁部を封止する封止部を更に備える。
【0006】
本発明の更なる改善として、前記封止部は、前記防水フィルムが折り返された部分によって前記液溜め布の縁部を封止して形成される折り返し部、および/または前記液溜め布の縁部で折り畳まれ、前記液溜め布の縁部を封止する防水布によって形成される。
【0007】
本発明の更なる改善として、前記防水布が前記布地の前端及び後端のそれぞれに設けられ、前記折り返し部が前記布地の両側に設けられる。
【0008】
本発明の更なる改善として、前記折り返し部は、前記防水フィルムが少なくとも2回折り返された部分によって構成される。
【0009】
本発明の更なる改善として、前記布地は、導水布を更に備え、前記導水布は、一方向導通構造のニット構成布地であり、前記導水布は、前記液溜め布の上方に設けられる。
【0010】
本発明の更なる改善として、前記布地は、接着シールを更に備え、前記接着シールは、前記導水布と前記防水フィルムとの間に設けられ、かつ前記接着シールは、前記布地の縁部に設けられる。
【0011】
本発明の更なる改善として、前記布地は、接着リングを更に備え、前記接着リングは、密閉領域を形成するように前記導水布と前記液溜め布との間に装着される。
【0012】
本発明の更なる改善として、前記布地は、表布とミシン糸とを更に備え、前記表布は、前記防水フィルムの下方に設けられ、前記表布の縁部は、前記防水フィルムの縁部と共に折り返され、折り返し部が形成され、前記折り返し部は、前記ミシン糸によって前記導水布に接続され、且つ前記ミシン糸は、前記折り返し部に内蔵される。
【0013】
本発明に係るズボンは、本発明に係る布地を備え、前記布地は、ズボンの股部に装着されることを特徴とする。
【0014】
本発明の更なる改善として、前記布地は、ズボンの股部に接着剤によって貼り付けられる。
【0015】
本発明の更なる改善として、前記布地の一部と前記ズボンとの間に、生理用ナプキンの粘着テープを収容するための空洞部が形成される。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る布地は、液溜め機能を有するとともに、封止部により、貯蔵された液体が横漏れすることを防止することができ、極めて優れた効果を得ることができる。更に、本発明では、生理用ナプキンの粘着テープがパンツの空洞部に収容されるので、生理用ナプキンの粘着テープがパンツから露出することがなく、プライバシーを確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、布地の積層構造を分離する概略図である。
【
図4】
図4は
図3のA-A線に沿う断面図(布地の左から右への断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1に示すように、本発明に係る液溜め機能を有する布地100は、液体を貯蔵するための液溜め布101と、前記液溜め布101の下方に位置する防水フィルム102と、を備える。該布地100は、前記液溜め布101の縁部を封止する封止部を更に備える。
【0019】
封止部により、液溜め布101の縁部を封止し、液溜め布101からの液漏れを防止することができる。
【0020】
本発明において、封止部は、防水フィルム102が折り返された部分によって液溜め布101の縁部を封止して形成される折り返し部300によって形成される構造であり、又は、例えばV字状に折り畳まれた防水布103で液溜め布101の縁部を封止して形成される構造である。
【0021】
本発明において、前記封止部は、折り返し部300と防水布103との両方で形成されてもよい。例えば、本発明の好ましい実施例として、前記防水布103が前記布地100の前端及び後端のそれぞれに設けられ、前記折り返し部300が前記布地100の両側に設けられる。
【0022】
本発明の更なる改善として、折り返し部300は防水フィルム102が少なくとも2回折り返される部分によって構成される。防水フィルム102を2回折り返すことで、高さを上げることができ、保護の形状を保持し、横漏れを防止するように凸状のエッジを形成することができる。
【0023】
該布地100は、液溜め布101の上方に設けられた導水布104を更に備える。前記導水布104は、一方向導通構造のニット構成布地である。
【0024】
本発明に係る布地100は、ズボン、おむつ、かばん、トラベルバッグ、雑巾、毛布、ペット用毛布、携帯用毛布、テーブルクロス等の吸水機能が求められる、あらゆる製品に適用することができる。
【0025】
本発明は、本発明の布地100を備えるズボンを更に開示した。前記布地100は、ズボンの股部に装着され、ズボンの股部に固定的に接続されてもよく、ズボンの股部に着脱可能に接続されてもよい。これらの構成はいずれも本発明の保護範囲内である。
【0026】
本発明に係るズボンとしては、長ズボン、半ズボン及び
図2に示すパンツ200などを含む。本発明のズボンは、産婦、高齢者、子供、生理期の女性などに利用されることができる。
【0027】
布地100がパンツ200の股部に適用される場合、布地100の導水及び水分保持構造により、導水・吸水することが可能となり、着用者の使用感を高めることができ、また、パンツ200の股部は、良好な吸水・水分保持・水分の逆流及び漏れ防止という効果を有する。女性生理期の後の懸念を効果的に解決することができ、パンツ200と体との間の湿気及び蒸れを減少して、さらさらで清新な感覚を保持することができる。更に、水を例えば層間に保持することで、逆流・漏れを防止し、衣類やシーツを汚すことを防止することができる。
【0028】
図3から
図5に示すように、該布地100は、接着シール105を更に備える。接着シール105は、導水布104と防水フィルム102との間に設けられ、且つ接着シール105は、布地100の縁部に設けられる。接着シール105は、パンツ200が変形しにくいように所定の補強構造に形成される。一方、接着シール105は、布地100の縁部に設けられたため、パンツ200が包装されやすく、太ももの内側の動きに柔軟に適応させ、生理用ナプキンをより丈夫に固定することができる。
【0029】
防水フィルム102は、撥水処理剤または撥水膜が設けられた綿糸によって織られた織物である。これにより、月経血が外部に多量に漏れることを防止することができる。
【0030】
導水布104は、一方向導通構造のニット構成布地であるため、月経血を速やかに吸収するとともに、逆流や二次汚染を防止することができる。導水布104は、複数層設けられてもよい。
【0031】
該布地100は、接着リング106を更に備える。前記接着リング106は、密閉領域を形成するように前記導水布104と前記液溜め布101との間に装着される。接着リング106が囲んで形成する密閉領域は、月経血が主に発生する領域を縁取るため、月経血の拡散方向を段階的に制御することで、布地100の全体は、より均一的に吸水することができ、パンツ200の一側のみで吸水することを回避することができる。
【0032】
前記布地100は、表布107とミシン糸108とを更に備える。前記表布107は、前記防水フィルム102の下方に設けられ、前記表布107の縁部は、前記防水フィルム102の縁部と共に折り返され、折り返し部300を形成する。前記折り返し部300は、前記ミシン糸108によって前記導水布104に接続され、且つ前記ミシン糸108は、前記折り返し部300に内蔵される。内蔵のミシン糸108により、異なる積層の布の間の構造が固定される一方、縫い位置による肌への刺激が低減され、布地100全体の見栄えも向上する。表布107は、吸水性・排汗性・ドライ性を有する素材である。
【0033】
布地100とズボンの股部とを接続する形態は、種々の形態がある。例えば、接着や糸による接続がある。接続領域は、全部で接続されてもよく、一部で接続されてもよい。本発明の好ましい実施例として、前記布地100は、ズボンの股部に接着剤で貼り付けられる。接着剤で貼り付けられることにより、丈夫だけでなく、糸がないので、着用者の着用感をより向上させることができる。
【0034】
布地100とズボンの股部とが部分的に接着されることにより、布地100の一部とズボンとの間に空洞部が形成される。着用者は、生理用ナプキンを着用する時、生理用ナプキンを布地100の上に装着して、生理用ナプキンの粘着テープを空洞部に粘着することができる。これにより、丈夫だけでなく、プライバシーを確保することができる。
【0035】
生理用ナプキンをよりよく装着するために、本発明の布地100は、生理用ナプキンの形状に適合するように形成してもよい。
【0036】
本発明の布地100は、液溜め機能を有するだけでなく、封止部により貯蔵された液体の横漏れ防止できる。これにより、優れた技術的効果を得ることができる。
【0037】
以上、好ましい実施形態に基づき本発明を更に詳細に説明したが、本発明の具体的な実施はこれらの説明に限定されるものではない。本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の思想から逸脱することなく、様々な簡単な変更や置換を行うことができ、これらのいずれも本発明の保護範囲に属すると見なされるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2022-12-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を貯蔵するための液溜め布(101)と、前記液溜め布(101)の下方に位置する防水フィルム(102)とを備える液溜め機能を有する布地(100)であって、
前記液溜め布(101)の縁部を封止する封止部を更に備え、
前記布地(100)は、導水布(104)、接着シール(105)、表布(107)及びミシン糸(108)を更に備え、
前記導水布(104)は、一方向導通構造のニット構成布地であり、前記液溜め布(101)の上方に設けられ、
前記接着シール(105)は、前記導水布(104)と前記防水フィルム(102)との間に設けられ、かつ、前記布地(100)の縁部に設けられ、
前記表布(107)は、前記防水フィルム(102)の下方に設けられ、前記表布(107)の縁部は、前記防水フィルム(102)の縁部と共に折り返され、折り返し部(300)が形成され、
前記ミシン糸(108)は、前記折り返し部(300)と前記導水布(104)を接続し、前記折り返し部(300)に内蔵され、
前記接着シール(105)により、液体が前記導水布(104)の縫い穴から下に漏れることを防ぐことができる、ことを特徴とする、布地(100)。
【請求項2】
前記封止部は、
前記防水フィルム(102)が折り返された部分によって前記液溜め布(101)の縁部を封止して形成される前記折り返し部(300)、および/または
前記液溜め布(101)の縁部で折り畳まれ、前記液溜め布(101)の縁部を封止する防水布(103)によって形成されることを特徴とする、請求項1に記載の布地(100)。
【請求項3】
前記防水布(103)が前記布地(100)の前端及び後端のそれぞれに設けられ、
前記折り返し部(300)が前記布地(100)の両側に設けられることを特徴とする、請求項2に記載の布地(100)。
【請求項4】
前記折り返し部(300)は、前記防水フィルム(102)が少なくとも2回折り返された部分によって構成されることを特徴とする、請求項2に記載の布地(100)。
【請求項5】
前記布地(100)は、接着リング(106)を更に備え、
前記接着リング(106)は、密閉領域を形成するように前記導水布(104)と前記液溜め布(101)との間に装着されることを特徴とする、請求項1に記載の布地(100)。
【請求項6】
ズボンであって、
前記ズボンは、請求項1~5のいずれか一項に記載の布地(100)を備え、
前記布地(100)は、ズボンの股部に装着されることを特徴とする、ズボン。
【請求項7】
前記布地(100)は、ズボンの股部に接着剤によって貼り付けられることを特徴とする、請求項6に記載のズボン。
【請求項8】
前記布地(100)の一部と前記ズボンとの間に、生理用ナプキンの粘着テープを収容するための空洞部が形成されることを特徴とする、請求項6に記載のズボン。