(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023031183
(43)【公開日】2023-03-08
(54)【発明の名称】スクリューコンベアーの中間軸受け
(51)【国際特許分類】
B65G 33/14 20060101AFI20230301BHJP
B65G 33/26 20060101ALI20230301BHJP
【FI】
B65G33/14
B65G33/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021157256
(22)【出願日】2021-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】391015753
【氏名又は名称】小松 幸雄
(72)【発明者】
【氏名】小松 幸雄
【テーマコード(参考)】
3F040
【Fターム(参考)】
3F040AA10
3F040BA01
3F040EA01
3F040FA05
(57)【要約】
【課題】 円筒形の搬送管と同じ中心軸を持つスクリューを内蔵したスクリューコンベアーにおいて、粉粒体の長距離搬送管路を構築する際、スクリュー軸の撓みによるスクリュー羽根と搬送管内径との接触や搬送物の噛みこみによる搬送物の破砕等の弊害が起きるのでスクリュー軸の撓みを最小限に抑えるために適当な間隔でスクリュー軸を支える中間軸受けが必要とされる。
【解決手段】 上記搬送管内のスクリューの撓みによる弊害が起こらない長さの単位長さのスクリューコンベアーを製作し、スクリュー軸の円滑な回転、スクリュー軸回転部分に防塵防水対策を施し、組付け分解を容易にした
図1のような中間軸受けユニットを連結してスクリューコンベアーによる長距離搬送管路の構築を可能にした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒体を搬送するスクリューコンベアーの中間軸受けにおいて、搬送管の中心軸に合わせて設置するベアリングハウスの形状は紡錘形としその両端にスクリュー軸に固定されスクリューと共に回転できる漏斗形をした円錐カバーをベアリングハウス両端の円錐部に接触しない程度に近接して配置し円錐カバーとベアリングハウスとの空間にベアリングハウスを支持するステムの空気孔を通じて搬送管外部より大気圧より高い空気を充満させるいわゆるエアーパージ方式を採用して回転部に塵埃等の異物または水分の混入を防ぐ構造の中間軸受け。
【請求項2】
前記1項に記載の中間軸受けにおいて、中間軸受部と搬送管を連結するアダプターに関して、アダプターの一方の外径は中間軸受外周リングの外径と同じであり他方は搬送管の外径と同じである、このため搬送管アダプターは両端の外径の差により円錐形の一部を切り取った形状の傾斜部が生じる、この傾斜部の傾斜角度はベアリングハウスの両端及び円錐カバーの傾斜角度と同じにして搬送物を円滑に送る構造の中間軸受け。
【請求項3】
前記1項または2項に記載の中間軸受けにおいて、ベアリングハウスを支持するステムはエアーパージ用の空気または洗浄時の高圧空気を送るための空気孔を備えるとともにその断面形状は変形した菱形とし搬送物の流れ抵抗を減少した形状のステムを持つ中間軸受け。
【請求項4】
前記1項ないし3項の中間軸受けにおいて、ベアリングハウスと円錐カバーの間にエアーパージの空気洩れを防ぐために円錐カバーの開口部にOリングを装着してエアーパージの空気圧200KPaの圧力を保持するが、水洗による洗浄作業時時には0.5MPa程度の空気圧を与えOリングを越して外部に空気を噴射して洗浄効果を高める、一般的なOリングは高い圧力での気密性を保つために内径と外径を圧縮してその目的を達成するが、200KPaで洩れがなく0.5MPaで洩れを起こすOリングの圧縮比を持った構造の中間軸受け。
【請求項5】
前記1項ないし3項の中間軸受けにおいて、ベアリングハウスを搬送管内部で固定するステムの関係で連続したスクリューの構築が不可能となりスクリュー軸方向の推進力が減少する、これを補うために上流または下流の円錐カバーの並行部外周に上流または下流スクリューの捻じれ角と同じ捻じれ角を持った補助翼を1ピッチ分取り付けた構造の中間軸受け。
【請求項6】
前記1項ないし3項の中間軸受けにおいて、粉粒体の長距離搬送を可能にするためスクリュー軸を継足して必要とする長さを確保する、継足しはベアリングハウス内のボールベアリング内輪部分でネジ継ぎとし、ボールベアリング内輪とスクリュー軸とのハメアイはスクリュー軸をf公差いわゆるすきまばめとしてボールベアリングとスクリュー軸の着脱を容易にし、ボールベアリング内輪とスクリュー軸の固定はネジ継ぎの締結力でボールベアリングの内輪を挟むようにしてボールベアリング内輪とスクリュー軸を固定する構造の中間軸受け。
【請求項7】
前記1項ないし3項の中間軸受けにおいて、ベアリングハウス内のボールベアリング外輪とベアリングハウスのハメアイはH公差とし、ベアリング外輪を把持するハウジングは複数個のボールベアリング巾の合計値より5mm程度広くとりスクリュー軸の伸び縮みに対応できる構造の中間軸受け。
【請求項8】
粉粒体を搬送するスクリューコンベアーにおいて、中間軸受部の構成は中間軸受部、上流搬送管アダプター、下流搬送管アダプターの三つのブロックよりなり各部ブロックはヘルールにより締結する構造の中間軸受で、これらの構成された中間軸受を一つのユニットとして各搬送管外径サイズA40~A400に対応した標準規格で提供する中間軸受け。
【発明の詳細な説明】
【技術の分野】
【0001】
本発明は粉粒体を搬送するスクリューコンベアーに関し、スクリューコンベアーによる長距離搬送を可能にするための中間軸受けに関する。
【0002】
軸に縦横比の大きい薄い帯状の板をある特定間隔のピッチで巻き付け固着した螺旋状の構造物をスクリューと呼び、軸だけの呼称をスクリュー軸と呼び、巻きつけた板状物の呼称はスクリュー羽根と呼ぶ、スクリューを内蔵するための筐体はスクリューの中心軸と同じ中心軸を持った円筒管を搬送管と呼ぶ、
搬送管にセットされたスクリューの回転駆動装置を持った構造物をスクリューコンベアーと呼ぶ。
【0003】
搬送管内で回転するスクリューは穀類などの搬送物の場合スクリュー羽根の外径と搬送管の内径との間隙が半径方向において搬送物の長径の1.5倍以下になると噛みこみ現象が起きて搬送物を破壊したりスクリュー回転を停止したりする、スクリューの長さが4m以下の場合はスクリュー軸の撓みによるが間隙の減少も少なく問題にならないが6mを越すとスクリュー軸の撓みによる間隙の減少は無視できなくなる、一方搬送管に使用するステンレス鋼管の市販されている長さは最長で6mである、搬送管はもとよりスクリューも6m単位で製作するほうが輸送上も経済性からも適している、
以上の理由から6mを越す長距離搬送を可能にするためにはスクリュー軸を何段も継足して実現するがスクリュー軸の撓みを最小限にするためにはスクリュー軸の中間軸受けを必要とする。
【背景技術】
【0004】
現在のところ粉粒体の長距離輸送の主流は空気輸送である、長所としては管路の経路が自由に選択できる、長い管路の構築ができる、密閉管路の構造であるため輸送物の飛散がなくまた外部からの異物の混入もない、短所としては、動力消費が他の輸送装置に較べてきわめて大きくランニングコストを大きく押し上げる、
輸送のための空気の流速は最低でも15m/secと速く輸送物の破砕を起こしたり管路の屈曲部においては著しい摩耗が生じる、
輸送用空気の発生源であるブロワーの容量も付随する電動機の容量も250Kwを越すことも珍しくなくすべてが特注品になることが多い、
粉粒体を輸送管に送り込むためにロータリポンプとか排出部においては固気分離のためにサイクロンのような付帯設備を必要とする、設計に当たっては複雑な計算を数多くしなければならず容易ではない。
【0005】
本発明の基となっているスクリューコンベアー(円筒形の搬送管にスクリューを内蔵した構造の搬送装置)の長距離輸送の実用例はほとんどなくスクリューコンベアーの実用例の多くはU字形のトラフにスクリューを組み込んだものである、この種のコンベアーの用途は多岐にわたり業界も土木・食品・農業等でコンベアーの長さほとんど5m未満のものが多い、
提案するスクリューコンベアーの長所は、密閉管路ため空気輸送と同じく搬送物の飛散がなく外部からの異物の混入もない、搬送物が管路に充満して搬送するため搬送速度は空気輸送の最低15m/sec比べてきわめて遅く、したがって管路の摩耗や搬送物の破砕がない、最大の長所は搬送に要する動力が極めてすくなく2005年近畿大学工業高等専門学校機械システム工学科粉粒体工学研究班の卒研データによれば、高吸水性ポリマーの搬送において同一距離・同一搬送量の条件で消費電力を比較したところスクリュー搬送は空気輸送の1/20で済むという報告がなされている。
スクリューコンベアーは空気輸送のように供給側でロータリポンプや排出側でサイクロンのような特別な装置を必要としない。
管路設計に当たって搬送量の計算は次式で示すような簡単な計算で済む、
搬送量は=管路の有効断面積xスクリューピッチxカサ密度x回転数x効率
有効断面積=搬送管の内断面積―スクリューシャフトの断面積
【先行技術文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6-201517号 公報 スクリューコンベアの軸受け装置
この提案は、滑り軸受けにおいて摺動部に常時高圧空気を送りこんで摺動部に粉材がはり込むのを防止するという趣旨のものでエアーパージ方式とは設計思想が違うものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
粉粒体の搬送において、スクリューコンベアーの長所を活用して長距離搬送を可能するためには6m前後の長さの単体のスクリューコンベアーを何本もつぎ足して必要とする長さを確保することになるが、前述のように単にスクリュー軸を継ぎ足すだけではスクリュー軸の撓みに対処できないので単位長さのスクリューコンベアー毎にスクリュー軸を支える中間軸受けを必要とする。
中間軸受に要求される機能としては、スクリュー軸が円滑に回転できること、軸受け回転部分に塵芥や水分が入り込まないこと、搬送管路に組み立てた状態で水洗できること、中間軸受部において構造上起こる搬送物の移動抵抗の増大に対して軽減する補償がなされていること、組み立て分解が容易にできること等である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
スクリュー軸の円滑な回転を図るために軸受部にボールベアリング5を採用
【0009】
軸受回転部分に塵芥や水分が入り込まないためには、
ボールベアリング5の外輪を把持するベアリングハウス7は紡錘形としその両端に位置する箇所にスクリュー軸に固着してスクリュー軸と同一回転できる円錐カバー12を、ベアリングハウス7の円錐部と円錐カバー12の内側が接触しないように0.5~1mmの間隙を保って取り付ける、
円錐カバー12の開口部12-aにはOリング18を配置しベアリングハウス7の外周と円錐がバー12の内側にエアーパージ用の空気を充満した際洩れがないようにする、
エアーパージ用の空気の供給はベアリングハウスを外周リングと連結する4個のステム10の空気孔23を通して外周リング11のエアーパージ用空気供給口22より取り入れベアリングハウス7の円錐部と円錐カバー12の内側との間に送る、
エアーパージ用の空気圧は外気より高い200KPa以上にして円錐カバー12の開口部12-aの圧力差によって塵芥や水分の侵入を防止する。
【0010】
中間軸受けを搬送管路で組み込まれた状態で水洗する際、特に塵芥が溜まりやすい円錐カバー開口部12-aとステム10の間で水洗洗浄能力を向上させるために、通常運転時にはエアーパージ用の空気圧は200~250KPaであるが洗浄時には0.5MPa以上の高圧の空気をエアーパージ用の空気経路と同じ経路で供給し円錐カバー開口部12-aにあるOリング18を越して噴出させる、
Oリングの一般的な使用目的は気密を保つことであるためOリングの内周と外周との間に圧力かけ圧縮した状態で使用する、
Oリング18の圧縮の度合いについて、ここで要求される圧縮の度合いは200~250KPの圧力では気密を保ち0.5MPa以上では洩れが起きる圧縮度が要求される。
【0011】
中間軸受のベアリングハウス7を搬送管の内部に設置することにより搬送物の移動抵抗増大に対する対策、
ベアリングハウス7の設置により搬送管の内断面積の減少を補うため、ベアリングハウス7を支える外周リング11の直径を大きくしベアリングハウス7と外周リング11間の断面積を搬送管部分の断面積に等しいかまたはそれ以上にする、
ベアリングハウス7の形状は、両端部を円錐形とした全体では紡錘形で、この形状に沿うように取り付ける円錐カバー12の一端も円錐形として粉粒体の移動抵抗を緩和する、
中間軸受の構造上連続したスクリュー羽根の構築ができないためスクリュー羽根の欠損部分が生じる、この欠損部分は搬送物の軸方向の推進力がないためこれを補う方法として、円錐カバー12の平行部の外周に補助羽根20を取付け軸方向の推進力を確保した。
【0012】
中間軸受を含めて搬送管路全体の取付け取り外しがが容易なこと、
例として6mの搬送管を連結して組み立てる際、搬送管を連結してからスクリューを取付けることを想定したとき搬送管の端部より挿入することになりそのため少なくとも6.5m以上の余裕地が必要となる、この作業方法を避けるため搬送管にスクリューを挿入した状態で連結作業を行う、
上述の作業を可能にするため中間軸受ユニットは上流搬送管アダプター+中間軸受部+下流搬送管アダプターの三つのブロックより構成され各ブロックは着脱容易なヘルール13,14で締結する、
最初に組み立てる際にはまずベアリングハウス7のキャップ8を取り付けてない状態でキャップ8の装着側よりベアリング5及びオイルシール4,6を装着部分のH公差に加工された穴に専用工具を用いて嵌めこむ、次にデスタンスカラー21を挿入しキャップ8を取り付けた後Oリング18を取り付ける、
下流搬送管に下流搬送管アダプターを取り付けた状態で下流スクリュー2の締結ネジ3側を下流搬送管アダプターより円錐カバー12が取付けられる距離まで引出し円錐カバー12を取り付ける、次に下流スクリュー軸のネジ方向をベアリングハウス内にベアリング側面によって停止するまで挿入する、下流スクリュー軸のベアリング内輪の固定部分はf7のすき間嵌めに加工し抜き差しを容易にする、ベアリング内輪と下流スクリュー軸との固定は上流スクリュー軸1を締結するときベアリング内輪の側面を挟むことで固定する、
上流スクリュー軸も下流スクリュー軸と同様にネジ部を円錐カバーが取り付けられる距離まで引出し円錐カバー12を取り付けた後下流スクリュー軸と締結する、スクリュー軸の締結に当たってはいわゆるインロー構造1-aとして軸芯の一致を図る、
中間軸受用ヘルール締結用クランプによって上下流の搬送管を締結する、分解作業は組み立て作業の逆の手順で行う、
【0013】
スクリューコンベアーの中間軸受をユニット化
図1して汎用性を持たせる、上流搬送管アダプター16+中間軸受部+下流搬送管アダプター17を一組としてユニット化し搬送管規格40A~400Aまでを標準化した。
【発明の効果】
【0014】
本発明により粉粒体の搬送において、動力損出が少なく、搬送部物の破砕がなく、管路の摩耗も少ないスクリューコンベアーによる長距離管路の構築が可能になった。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明のスクリューコンベアーの中間軸受けの断面図
【
図2】本発明のスクリューコンベアーの中間軸受エアーパージ用空気孔
【発明を実施するための形態】
【0016】
(提案する中間軸受の全体)
提案する中間軸受の全体は、
図1に示したように 上流搬送管アダプター + 中間軸受部 + 下流搬送管アダプター の三つのブロックより形成し各ブロックの締結は作業上煩雑なボルト・ナットによる締結でなく着脱容易なヘルールによる締結とし全体をユニット化した。
【0017】
(防塵防水対策)
1図及び2図に示したようにボールベアリング5やオイルシール4,6の回転部分に塵埃や水分が侵入しないように大気圧より高い空気を送り込んだエアーパージ方式を採用した、詳細に説明すると、ベアリングの外輪を保持するベアリングハウス7は両端が円錐形をした紡錘形としその両端部にスクリュー軸に固着したスクリュー軸と同じ回転をする円錐カバー12の内側がベアリングハウスの外周に接触しないように配置した、
エアーパージ用または洗浄時に使用する圧縮空気は
図2のエアーパージ用空気供給口22より供給し、ステム10のエアーパージ用空気孔23を経由してベアリングハウス7の両端の円錐部より円錐カバー12の内部に送る、
円錐カバーの開口部12-a部分にベアリングハウスの外周と円錐カバーの内側との間にOリング18を配置してエアーパージ時の空気漏れを防ぐ、
ここでOリング18の圧縮度について、Oリング18の圧縮度はエアーパージ操作中は洩れがなく水洗時にはエアーパージ用の空気経路に高圧空気を送り込み円錐カバー12の開口部12-aよりステム10方向に噴出させるため高圧空気では洩れを起こす二つの条件を満たす圧縮度とした。
【0018】
(スクリュー軸の締結とボールベアリングのハメアイ)
スクリュー軸の締結はボールベアリング設置部分でネジ継ぎとし軸芯を合わせるため
図1のようにインロー構造1-aの継手方式を採用した、ボールベアリング内輪とスクリュー軸のハメアイ部2-aはすきまばめとし組み立て分解時の着脱を容易にした、ボールベアリング内輪とスクリュー軸との固定は軸締結のネジ3の締めつけによるボールベアリング内輪を挟むことで可能にした。
【符号の説明】
【0019】
1 上流スクリュー
1-a インロー凹
2 下流スクリュー
2-a ボールベアリング内輪ハメアイ部
3 スクリュー軸締結ネジ
4 シール 1
5 ボールベアリング
5-a ボールベアリング外輪ハメアイ部
6 シール 2
7 ベアリングハウス
8 キャップ
9 キャップ取付けネジ
10 ステム
11 外周リング
12 円錐カバー
12-a 円錐カバー開口部
13 中間軸受用ヘルール
14 搬送管用ヘルール
15 上流搬送管
16 上流搬送管用アダプター
17 下流搬送管用アダプター
18 Oリング
19 サラ小ネジ
20 補助羽根
21 デスタンスカラー
22 エアーパージ用空気供給口
23 エアーパージ用空気孔
24 キャップ締付用雌ネ2