(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023031198
(43)【公開日】2023-03-08
(54)【発明の名称】ラミネートシステム、フィルム貼合カット装置、ラミネート方法、及びラミネート形成物の製造方法
(51)【国際特許分類】
B29C 63/02 20060101AFI20230301BHJP
【FI】
B29C63/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021199423
(22)【出願日】2021-12-08
(62)【分割の表示】P 2021135903の分割
【原出願日】2021-08-23
(71)【出願人】
【識別番号】594185097
【氏名又は名称】伸和コントロールズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100164688
【弁理士】
【氏名又は名称】金川 良樹
(72)【発明者】
【氏名】高山 蹊男
(72)【発明者】
【氏名】森宗 歩
(72)【発明者】
【氏名】池田 陽介
【テーマコード(参考)】
4F211
【Fターム(参考)】
4F211AD08
4F211AG01
4F211AG03
4F211SA07
4F211SC06
4F211SD01
4F211SP05
4F211SP36
4F211SP41
4F211SW23
(57)【要約】
【課題】ラミネート処理を経て形成されるラミネート形成物の良品率を向上できるラミネートシステムの提供。
【解決手段】一実施の形態に係るラミネートシステムは、ロールから繰り出されるフィルムFをワークWに貼り合わせ、ワークWと重ならない位置でフィルムFをカットするフィルム貼合カット装置1と、フィルム貼合カット装置1から送り出されたワークWを受け入れ、ワークWに貼り合わされたフィルムFをワークWに加圧して接合するラミネータ4と、を備える。フィルム貼合カット装置1は、フィルムFのカット前に、ワークW又はフィルムFを空気により冷却する冷却部2Sを備える。また、ラミネートシステムは、ラミネータ4から送り出されるワークW上のフィルムFに空気を供給してフィルムFを冷却する冷却装置6と、ワークW上のフィルムFから一部の層を剥離するフィルム剥離装置と、をさらに備えてもよい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロールから繰り出されるフィルムをワークに貼り合わせ、前記ワークと重ならない位置で前記フィルムをカットするフィルム貼合カット装置と、
前記フィルム貼合カット装置から送り出された前記ワークを受け入れ、前記ワークに貼り合わされた前記フィルムを前記ワークに加圧して接合するラミネータと、を備えるラミネートシステムであって、
前記フィルム貼合カット装置による前記フィルムのカットの前に、前記ワーク又は前記フィルムを空気により冷却する冷却装置を備え、
前記冷却装置は、前記フィルム貼合カット装置における前記フィルムの貼合位置に至る前の前記ワークに空気を供給して前記ワークを冷却するか、又は、前記ワークに貼り合わせる前の前記フィルムに空気を供給して前記フィルムを冷却する、ラミネートシステム。
【請求項2】
ロールから繰り出されるフィルムをワークに貼り合わせ、前記ワークと重ならない位置で前記フィルムをカットするフィルム貼合カット装置であって、
前記フィルムのカットの前に、前記ワーク又は前記フィルムを空気により冷却する冷却部を備え、
前記冷却部は、前記フィルムの貼合位置に至る前の前記ワークに空気を供給して前記ワークを冷却するか、又は、前記ワークに貼り合わせる前の前記フィルムに空気を供給して前記フィルムを冷却する、フィルム貼合カット装置。
【請求項3】
ロールから繰り出されるフィルムをワークに貼り合わせ、前記ワークと重ならない位置で前記フィルムをカットするフィルム貼合カット工程と、
前記フィルム貼合カット工程後に送り出された前記ワークを受け入れ、前記ワークに貼り合わされた前記フィルムを前記ワークに加圧して接合するラミネート工程と、を備える、ラミネート方法であって、
前記フィルム貼合カット工程における前記フィルムのカットの前に、前記ワーク又は前記フィルムを空気により冷却する冷却工程を備え、
前記冷却工程では、前記フィルム貼合カット工程における前記フィルムの貼合位置に至る前の前記ワークに空気を供給して前記ワークを冷却するか、又は、前記ワークに貼り合わせる前の前記フィルムに空気を供給して前記フィルムを冷却する、ラミネート方法。
【請求項4】
ロールから繰り出されるフィルムをワークに貼り合わせ、前記ワークと重ならない位置で前記フィルムをカットするフィルム貼合カット工程と、
前記フィルム貼合カット工程後に送り出された前記ワークを受け入れ、前記ワークに貼り合わされた前記フィルムを前記ワークに加圧して接合するラミネート工程と、を備える、ラミネート形成物の製造方法であって、
前記フィルム貼合カット工程における前記フィルムのカットの前に、前記ワーク又は前記フィルムを空気により冷却する冷却工程を備え、
前記冷却工程では、前記フィルム貼合カット工程における前記フィルムの貼合位置に至る前の前記ワークに空気を供給して前記ワークを冷却するか、又は、前記ワークに貼り合わせる前の前記フィルムに空気を供給して前記フィルムを冷却する、ラミネート形成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、例えば配線基板を絶縁性の樹脂フィルムでラミネートするラミネートシステム、及びフィルム貼合カット装置に関する。また、本発明の実施の形態は、ラミネート方法、及びラミネート形成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
真空ラミネータを備えるラミネートシステムが従来から知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
例えば真空ラミネータを備えるラミネートシステムでは、まず、配線基板等のワークに、ロールから繰り出されたフィルムが仮貼りされる。次いで、ロールとワークとの間に延びるフィルムがカットされ、仮貼りされたフィルムがロールから分離される。その後、フィルム付きのワークは、真空ラミネータが備える真空チャンバに搬送される。
【0004】
上記真空チャンバの内部は、ワーク搬送後に真空状態に制御され、その後、気圧差を形成してダイヤフラム等の加圧手段によりフィルムが加熱されながらワークに押し付けられる。その後、加圧手段がフィルムから引き離される。このようなラミネート処理では、フィルムとして、ワークに接合される接合層と、接合層を支持する支持層とを有するフィルムが用いられる場合がある。この場合、加圧手段がフィルムから引き離された後、通常、フィルムから支持層を剥離する工程が行われる。
【0005】
真空ラミネータは、ワークとフィルムとの間の空気を脱気し、ラミネートを行う。これにより、ワークとフィルムとの間の気泡の噛み込みを抑えることができる。気泡の噛み込みが抑えられる場合、気泡が後工程で悪影響を及ぼす事象を回避できる。また、ラミネート処理を経て形成されるラミネート形成物の仕上がりが良好となり、歩留まりを向上できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したラミネートシステムの処理では、フィルム又はワークの状態に応じて、フィルムが適正にカットされなかったり、二層構造のフィルムにおける一つの層が適正に剥離されなかったりする場合がある。
【0008】
例えば、フィルムがワークに仮貼りされた後にカットされる際においては、環境温度やワークの温度に応じて、フィルムの一部が溶融したり、全体が軟化したりする場合がある。この場合、フィルムのカット面が粗くなったり、フィルムに皺や伸びが生じたりすることがある。
【0009】
また、真空ラミネート後のフィルム及びワークは高温になり、二層構造のフィルムの層間の粘着性が低下する場合がある。この状態で剥離を行うと、剥離された層に、ワーク側の層の一部が付着して引き剥がされ、ワーク側の層の表面が粗くなる場合がある。ワークが配線基板であり、ラミネートされた層が絶縁層である場合に、絶縁層の表面が粗くなると、短絡が生じやすくなる虞がある。また、配線基板が多層基板に組み込まれる場合に、多層基板が不良になる虞がある。
【0010】
また、真空ラミネート後のフィルム及びワークは高温になり膨張している。この場合、フィルムの線膨張係数とワークの線膨張係数との違いにより、反りが生じることがある。このような反りが生じた場合には、歩留まりが低下する。
【0011】
本発明の課題は、ラミネート処理を経て形成されるラミネート形成物の良品率を向上できるラミネートシステム、フィルム貼合カット装置、ラミネート方法、及びラミネート形成物の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一実施の形態に係るラミネートシステムは、
ロールから繰り出されるフィルムをワークに貼り合わせ、前記ワークと重ならない位置で前記フィルムをカットするフィルム貼合カット装置と、
前記フィルム貼合カット装置から送り出された前記ワークを受け入れ、前記ワークに貼り合わされた前記フィルムを前記ワークに加圧して接合するラミネータと、を備えるラミネートシステムであって、
前記フィルム貼合カット装置による前記フィルムのカットの前に、前記ワーク又は前記フィルムを空気により冷却する冷却装置を備え、
前記冷却装置は、前記フィルム貼合カット装置における前記フィルムの貼合位置に至る前の前記ワークに空気を供給して前記ワークを冷却するか、又は、前記ワークに貼り合わせる前の前記フィルムに空気を供給して前記フィルムを冷却する、ラミネートシステムである。
本発明の一実施の形態に係るフィルム貼合カット装置は、
ロールから繰り出されるフィルムをワークに貼り合わせ、前記ワークと重ならない位置で前記フィルムをカットするフィルム貼合カット装置であって、
前記フィルムのカットの前に、前記ワーク又は前記フィルムを空気により冷却する冷却部を備え、
前記冷却部は、前記フィルムの貼合位置に至る前の前記ワークに空気を供給して前記ワークを冷却するか、又は、前記ワークに貼り合わせる前の前記フィルムに空気を供給して前記フィルムを冷却する、フィルム貼合カット装置である。
本発明の一実施の形態に係るラミネート方法は、
ロールから繰り出されるフィルムをワークに貼り合わせ、前記ワークと重ならない位置で前記フィルムをカットするフィルム貼合カット工程と、
前記フィルム貼合カット工程後に送り出された前記ワークを受け入れ、前記ワークに貼り合わされた前記フィルムを前記ワークに加圧して接合するラミネート工程と、を備える、ラミネート方法であって、
前記フィルム貼合カット工程における前記フィルムのカットの前に、前記ワーク又は前記フィルムを空気により冷却する冷却工程を備え、
前記冷却工程では、前記フィルム貼合カット工程における前記フィルムの貼合位置に至る前の前記ワークに空気を供給して前記ワークを冷却するか、又は、前記ワークに貼り合わせる前の前記フィルムに空気を供給して前記フィルムを冷却する、ラミネート方法である。
本発明の一実施の形態に係るラミネート形成物の製造方法は、
ロールから繰り出されるフィルムをワークに貼り合わせ、前記ワークと重ならない位置で前記フィルムをカットするフィルム貼合カット工程と、
前記フィルム貼合カット工程後に送り出された前記ワークを受け入れ、前記ワークに貼り合わされた前記フィルムを前記ワークに加圧して接合するラミネート工程と、を備える、ラミネート形成物の製造方法であって、
前記フィルム貼合カット工程における前記フィルムのカットの前に、前記ワーク又は前記フィルムを空気により冷却する冷却工程を備え、
前記冷却工程では、前記フィルム貼合カット工程における前記フィルムの貼合位置に至る前の前記ワークに空気を供給して前記ワークを冷却するか、又は、前記ワークに貼り合わせる前の前記フィルムに空気を供給して前記フィルムを冷却する、ラミネート形成物の製造方法である。
本発明の一実施の形態に係るラミネートシステムは、ロールから繰り出されるフィルムをワークに貼り合わせ、前記ワークと重ならない位置で前記フィルムをカットするフィルム貼合カット装置と、前記フィルム貼合カット装置から送り出された前記ワークを受け入れ、前記ワークに貼り合わされた前記フィルムを前記ワークに加圧して接合するラミネータと、を備えるラミネートシステムであって、
前記フィルム貼合カット装置による前記フィルムのカットの前に、前記ワーク又は前記フィルムを空気により冷却する冷却装置を備える。
冷却装置は、前記フィルム貼合カット装置における前記フィルムの貼合位置に至る前の前記ワークに空気を供給して前記ワークを冷却するか、又は、前記ワークに貼り合わせる前の前記フィルムに空気を供給して前記フィルムを冷却するか、又は、前記フィルム貼合カット装置における前記フィルムの貼合位置と前記フィルムのカット位置との間で前記ワーク上の前記フィルムに空気を供給して前記フィルムを冷却してもよい。
【0013】
本発明の一実施の形態に係るラミネートシステムは、
支持層と接合層とを有するフィルムが貼り合わされたワークであって、前記接合層が前記ワークに直接的に接した状態のワークを真空チャンバ内に受け入れ、前記真空チャンバを真空状態にして、前記フィルムを加熱しながら前記ワークに加圧して接合する真空ラミネータと、
前記真空ラミネータから送り出された前記ワーク上の前記フィルムに空気を供給して前記フィルムを冷却する冷却装置と、
前記冷却装置から送り出された前記ワーク上の前記フィルムから前記支持層を剥離するフィルム剥離装置と、を備え、
前記冷却装置は、前記ワークの搬送パターン及び/又は前記ワーク上の前記フィルムの状態に応じて、前記空気の供給量を変化させる。
【0014】
本発明の一実施の形態に係る基板ラミネートシステム用冷却装置は、
フィルムが重ねられる前の又はフィルムが重ねられた後のワークの入口と、前記ワークの出口とを備え、
前記入口と前記出口との間で、前記フィルムが重ねられる前の前記ワーク又は前記フィルムが重ねられた後の前記ワーク上の前記フィルムに空気を供給して冷却し、
前記ワークの搬送パターン、前記ワークの状態、及び前記ワーク上の前記フィルムの状態のうちの少なくともいずれかに応じて、前記空気の供給量を変化させる。
【0015】
本発明の一実施の形態に係るフィルム貼合カット装置は、
ロールから繰り出されるフィルムをワークに貼り合わせ、前記ワークと重ならない位置で前記フィルムをカットするフィルム貼合カット装置であって、
前記フィルムのカットの前に、前記ワーク又は前記フィルムを空気により冷却する冷却部を備える。
冷却部は、前記フィルムの貼合位置に至る前の前記ワークに空気を供給して前記ワークを冷却するか、又は、前記ワークに貼り合わせる前の前記フィルムに空気を供給して前記フィルムを冷却するか、又は、前記フィルムの貼合位置と前記フィルムのカット位置との間で前記ワーク上の前記フィルムに空気を供給して前記フィルムを冷却してもよい。
【0016】
本発明の一実施の形態に係るフィルム剥離装置は、
支持層と接合層とを有するフィルムが接合されたワークであって、前記接合層が前記ワークに直接的に接合された状態のワーク上の前記フィルムから前記支持層を剥離するフィルム剥離装置であって、
前記支持層の剥離の前に、前記ワーク上の前記フィルムに空気を供給して前記フィルムを冷却する冷却部を備え、
前記冷却部は、前記ワークの搬送パターン及び/又は前記ワーク上の前記フィルムの状態に応じて、前記空気の供給量を変化させる。
【0017】
本発明の一実施の形態に係るラミネート方法は、ロールから繰り出されるフィルムをワークに貼り合わせ、前記ワークと重ならない位置で前記フィルムをカットするフィルム貼合カット工程と、前記フィルム貼合カット工程後に送り出された前記ワークを受け入れ、前記ワークに貼り合わされた前記フィルムを前記ワークに加圧して接合するラミネート工程と、を備える、ラミネート方法であって、
前記フィルム貼合カット工程における前記フィルムのカットの前に、前記ワーク又は前記フィルムを空気により冷却する冷却工程を備える。
冷却工程では、前記フィルム貼合カット工程における前記フィルムの貼合位置に至る前の前記ワークに空気を供給して前記ワークを冷却するか、又は、前記ワークに貼り合わせる前の前記フィルムに空気を供給して前記フィルムを冷却するか、又は、前記フィルム貼合カット工程における前記フィルムの貼合位置と前記フィルムのカット位置との間で前記ワーク上の前記フィルムに空気を供給して前記フィルムを冷却してもよい。
また、本発明の一実施の形態に係るラミネート形成物の製造方法は、
ロールから繰り出されるフィルムをワークに貼り合わせ、前記ワークと重ならない位置で前記フィルムをカットするフィルム貼合カット工程と、
前記フィルム貼合カット工程後に送り出された前記ワークを受け入れ、前記ワークに貼り合わされた前記フィルムを前記ワークに加圧して接合するラミネート工程と、を備える、ラミネート形成物の製造方法であって、
前記フィルム貼合カット工程における前記フィルムのカットの前に、前記ワーク又は前記フィルムを空気により冷却する冷却工程を備える。
【0018】
本発明の一実施の形態に係るラミネート方法は、
支持層と接合層とを有するフィルムが貼り合わされたワークであって、前記接合層が前記ワークに直接的に接した状態のワークを真空チャンバ内に受け入れ、前記真空チャンバを真空状態にして、前記フィルムを加熱しながら前記ワークに加圧して接合する真空ラミネート工程と、
前記真空ラミネート後に送り出された前記ワーク上の前記フィルムに空気を供給して前記フィルムを冷却する冷却工程と、
前記冷却工程後に送り出された前記ワーク上の前記フィルムから前記支持層を剥離するフィルム剥離工程と、を備え、
前記冷却工程で、前記ワークの搬送パターン及び/又は前記ワーク上の前記フィルムの状態に応じて、前記空気の供給量を変化させる。
また、本発明の一実施の形態に係るラミネート形成物の製造方法は、
支持層と接合層とを有するフィルムが貼り合わされたワークであって、前記接合層が前記ワークに直接的に接した状態のワークを真空チャンバ内に受け入れ、前記真空チャンバを真空状態にして、前記フィルムを加熱しながら前記ワークに加圧して接合する真空ラミネート工程と、
前記真空ラミネート後に送り出された前記ワーク上の前記フィルムに空気を供給して前記フィルムを冷却する冷却工程と、
前記冷却工程後に送り出された前記ワーク上の前記フィルムから前記支持層を剥離するフィルム剥離工程と、を備え、
前記冷却工程で、前記ワークの搬送パターン及び/又は前記ワーク上の前記フィルムの状態に応じて、前記空気の供給量を変化させる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ラミネート形成物の良品率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】第1の実施の形態に係る基板ラミネートシステムを概略的に示す図である。
【
図2】第1の実施の形態に係る基板ラミネートシステムが備えるフィルム貼合カット装置の概略的な拡大図である。
【
図3】第1の実施の形態に係る基板ラミネートシステムにおけるワークの搬送パターンと、フィルム貼合カット装置内の冷却部及び下流側冷却装置の送風パターンとの関係を示すグラフを示す図である。
【
図4】第2の実施の形態に係る基板ラミネートシステムを概略的に示す図である。
【
図5】第3の実施の形態に係る基板ラミネートシステムを概略的に示す図である。
【
図6】第4の実施の形態に係る基板ラミネートシステムを概略的に示す図である。
【
図7】第5の実施の形態に係る基板ラミネートシステムを概略的に示す図である。
【
図8】第6の実施の形態に係るフィルム貼合カット装置を備える半導体製造システムを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、添付の図面を参照して、各実施の形態を詳細に説明する。
【0022】
<第1の実施の形態>
図1は、第1の実施の形態に係るラミネートシステムとしての基板ラミネートシステムS1を概略的に示している。
図1に示される基板ラミネートシステムS1は、フィルム貼合カット装置1と、搬送シート繰り出し装置3と、真空ラミネータ4と、平面プレス装置5と、下流側冷却装置6と、搬送シート巻取り装置7と、を備える。
【0023】
基板ラミネートシステムS1は、順次搬送されるワークWを連続的にラミネートするシステムである。ワークWは、フィルム貼合カット装置1、搬送シート繰り出し装置3、真空ラミネータ4、平面プレス装置5、下流側冷却装置6及び搬送シート巻取り装置7をこの順で通過する。
【0024】
ワークWは、フィルム貼合カット装置1から搬送シート繰り出し装置3の入口までは簡易的に示されたコンベアCで搬送される。その後、ワークWは、搬送シート繰り出し装置3から搬送シート巻取り装置7に延びる搬送シートTSにより搬送される。
【0025】
ワークWは、一例としてプリント基板であり、両面に接合層としての絶縁層がラミネートされる。プリント基板は、フレキシブルタイプでも、リジッドタイプでもよい。ワークWは特に限られるものではなく、半導体ウェハでもよい。ワークWが半導体ウェハである場合には、半導体ウェハにドライレジストフィルムがラミネートされてもよい。また、ワークWの片面のみにラミネートがなされてもよい。
【0026】
フィルム貼合カット装置1は、フィルムFを巻き回した一対のフィルム供給ロール11と、各フィルム供給ロール11から繰り出されるフィルムFをワークWに押し付けて貼り合わせる一対の貼合部材12と、フィルムFをカットする一対のカッター13と、上流側冷却部2Sと、を有する。本実施の形態では、コンベアCがフィルム貼合カット装置1を通過するように配置されており、フィルム貼合カット装置1には、コンベアCの一部を通す搬送路1Rが設けられている。
【0027】
一対のフィルム供給ロール11、一対の貼合部材12、及び一対のカッター13はそれぞれ、搬送路1Rに対して一方側(
図1では上側)と他方側(
図1では下側)とに振り分けて配置されている。一方側の貼合部材12は、搬送路1Rに近接して配置され、一方側のフィルム供給ロール11は、貼合部材12よりも搬送路1Rから離れた位置に配置される。そして、一方側のカッター13は、フィルムFにおける一方側のフィルム供給ロール11と一方側の貼合部材12との間に延びる部分に対して接近及び離間自在になるように配置されている。同様に、他方側の貼合部材12は、搬送路1Rに近接して配置され、他方側のフィルム供給ロール11は、貼合部材12よりも搬送路1Rから離れた位置に配置される。そして、他方側のカッター13は、フィルムFにおける他方側のフィルム供給ロール11と他方側の貼合部材12との間に延びる部分に対して接近及び離間自在になるように配置されている。
【0028】
フィルム貼合カット装置1は、外部から搬送路1Rに受け入れたワークWをまず上流側冷却部2Sにより冷却する。その後、ワークWは、上流側冷却部2Sから貼合部材12側に送り出され、貼合部材12によるフィルムFの貼り合せ及びカッター13によるフィルムFのカットが行われる。
図1における符号Cpは、フィルム貼合カット装置1内に定められた上流側冷却部2Sによる冷却位置を示す。上流側冷却部2Sは、ワークWの入口2Aと出口2Bとを有し、入口2Aと出口2Bとの間に冷却位置Cpが定められる。符号Ppは、フィルム貼合カット装置1内に定められた貼合部材12による貼合位置(処理位置)を示す。すなわち、上流側冷却部2Sは、フィルムFの貼合位置Ppに至る前のワークWに空気を供給してワークWを冷却するようになっている。
【0029】
上流側冷却部2Sは、搬送路1Rの一方側に配置された第1冷却部2Uと、搬送路1Rの他方側に配置された第2冷却部2Dと、を有する。第1冷却部2U及び第2冷却部2Dはそれぞれ、温調空気供給源20と、ダクト21と、ファンフィルタユニット22と、空気吐出部23と、を有する。
【0030】
温調空気供給源20は、例えば冷凍回路を有する空調装置でもよい。ダクト21は、温調空気供給源20からの温調された空気を通流させる。ファンフィルタユニット22は、ファンと、フィルタとを有し、ダクト21からの空気をファンの回転によりフィルタを通して空気吐出部23側に送る。フィルタは、HEPAフィルタや、ULPAフィルタでもよい。空気吐出部23は、ファンフィルタユニット22からの空気を搬送路1RにおけるワークWに供給する。
【0031】
本実施の形態では、第1冷却部2Uの空気吐出部23からワークWの表面に空気が供給され、ワークWが冷却される。第2冷却部2Dの空気吐出部23からワークWの裏面に空気が供給され、ワークWが冷却される。空気吐出部23は、平板に複数の貫通孔が規則的に配列されて形成されたパンチングプレートで構成されてもよい。この場合、空気吐出部23の全域からワークW側に向かう空気の流量及び圧力が均一化され、ワークWが全体的に均一的に冷却され得る。
【0032】
本実施の形態における上流側冷却部2Sは、第1冷却部2Uからの空気の供給量と、第2冷却部2Dからの空気の供給量とをそれぞれ調整可能になっている。空気の供給量の調節は、ファンフィルタユニット22におけるファンの回転数の調節により行ってもよい。また、空気の供給量の調節は、温調空気供給源20が供給する空気の流量調節により行ってもよい。
【0033】
詳しくは、本実施の形態における上流側冷却部2Sは、ワークWの搬送パターン及び/又はワークWの状態の状態に応じて、空気の供給量を変化させることが可能となっている。具体的には、本実施の形態における上流側冷却部2Sは、第1冷却部2U及び第2冷却部2Dのそれぞれで、入口2Aから、入口2Aと出口2Bとの間の中間位置に向かってワークWが移動する際に空気の供給量を徐々に増加させ、その後、空気の供給量を一定に維持し、その後、空気の供給量を徐々に減少させる。
【0034】
より詳しくは、本実施の形態では、ワークWが停止と移動を周期的に繰り返して搬送される。搬送機構であるコンベアC、搬送シート繰り出し装置3、及び搬送シート巻取り装置7は、一連の加減速信号及び停止信号を所定の周期で入力されることにより、停止と移動を周期的に繰り返す、ワークWの間欠移動の搬送パターンを実現する。ここで、上流側冷却部2Sは、上記加減速信号及び停止信号を受け取り、これら信号に同期し、加減速信号及び停止信号を空気の供給量の増減信号及び維持信号に変換して、空気の供給量を制御する。
【0035】
具体的には、ワークWの加速指令信号は、空気の供給量の減少指令信号に変換される。ワークWの一定速への速度維持信号は、空気の供給量の一定値への維持指令信号に変換される。ワークWの減速指令信号は、空気の供給量の増加指令信号に変換される。ワークWの停止信号は、空気の供給量の一定値への維持指令信号に変換される。
【0036】
本実施の形態では、ワークWが、フィルム貼合カット装置1における冷却位置Cp、フィルム貼合カット装置1における貼合位置Pp、搬送シート繰り出し装置3、真空ラミネータ4、平面プレス装置5、下流側冷却装置6及び搬送シート巻取り装置7のそれぞれで停止し、その後、下流側の装置に向けて移動する。
【0037】
そして、上述の信号の変換により、上流側冷却部2Sは、入口2Aから進入したワークWが上流側冷却部2Sの内部で停止するまでの間において、ワークWへの空気の供給量を徐々に増加させる。また、上流側冷却部2Sは、上流側冷却部2Sの内部で停止したワークWへの空気の供給量を一定に維持する。また、上流側冷却部2Sは、停止した状態から加速して出口2Bから送りされるワークWへの空気の供給量を徐々に減少させる。
【0038】
一方で、上述したように、上流側冷却部2Sは、ワークWの状態に応じて空気の供給量を変化させることも可能となっている。この場合、上流側冷却部2Sは、その内部のワークWが所定温度以下になるまで、一定の供給量で空気を供給してもよい。
【0039】
上述のように上流側冷却部2Sにより冷却されたワークWは、上流側冷却部2Sから貼合部材12側に送り出される。
図2は、フィルム貼合カット装置1における貼合部材12周辺の概略的な拡大図を示している。
【0040】
図1及び
図2を参照し、貼合部材12は、フィルム供給ロール11から繰り出されるフィルムFの先端部を保持し、ワークSの移動に伴い、保持したフィルムFの先端部をワークSの前端部に押し付け、その後、ワークSの移動により繰り出されるフィルムFをワークSの表面又は裏面に押し付けて、ワークWに貼り合わせる又は重ねる。
【0041】
そして、本実施の形態におけるカッター13は、貼合部材12によるフィルムFの貼り合わせの途中でフィルムFをワークWと重ならない位置で
図2の矢印A1の方向にカットする。これにより、ワークWに貼り合わされたフィルムFがフィルム供給ロール11から分離する。カッター13によりカットされたワークW側のフィルムFの貼り合わせ前の部分は、その後、ワークWの移動に伴い、ワークWと貼合部材12との間に巻き込まれ、ワークWの後端部まで貼り合わされる。
【0042】
一方で、カッター13によりカットされたフィルム供給ロール11側のフィルムFの先端部は、例えばカットに連動して貼合部材12に保持される。これにより、次に搬送されるワークWに対しても、同様に、フィルムFを貼り合わせることが可能となる。なお、以上に説明した貼り合せ及びカットに関する動作は、搬送路1Rの一方側の貼合部材12及びカッター13と、搬送路Rの他方側の貼合部材12及びカッター13とで同時に行われる。また、カッター13は、スリットカッターや、ロールカッターを利用するものでもよい。
【0043】
また、本実施の形態では、ワークWに貼り合わされたフィルムFの位置が、ワークWとフィルムFとの間に部分的に設けられる溶融部により維持されてもよい。この場合、溶融部は、フィルムFの一部を溶融することで形成され、図示しない加熱及び加圧手段が設けられる。また、フィルムFの位置は、ワークWとフィルムFとの間に部分的に設けられる接着剤により維持されてもよい。
【0044】
また、本実施の形態で使用されるフィルムFは、支持層F1と接合層である絶縁層F2とを有する。そして、フィルムFは、絶縁層F2がワークWに直接的に接した状態でワークWに貼り合わされている。ただし、フィルムFは、単層のフィルムでもよい。詳細は後述するが、搬送シート巻取り装置7は、支持層F1の剥離装置としても機能する。剥離は、搬送シート巻取り装置7が巻き取る搬送シートTSに支持層F1を付着させることにより行われる。このような剥離を実現すべく、本実施の形態では、支持層F1に接着部が設けられる。そして、ワークWが搬送シート繰り出し装置3に搬送された際に、支持層F1に設けられた接着部が搬送シート繰り出し装置3が繰り出す搬送シートTSに付着される。
【0045】
搬送シート繰り出し装置3は、それぞれ搬送シートTSを巻き回した一対の搬送シート供給ロール31を有する。搬送シート繰り出し装置3内には、コンベアCの下流側端部が位置する。一対の搬送シート供給ロール31の一方は、コンベアC及びワークWの一方側(
図1では上側)に配置され、一対の搬送シート供給ロール31の他方は、コンベアC及びワークWの他方側(
図1では下側)に配置されている。
【0046】
搬送シート繰り出し装置3から繰り出される搬送シートTSの先端は、搬送シート巻取り装置7に接続されている。搬送シート繰り出し装置3と搬送シート巻取り装置7との間に延びる搬送シートTSは、真空ラミネータ4、平面プレス装置5、及び下流側冷却装置6に通されている。
【0047】
搬送シート繰り出し装置3は、一対の搬送シート供給ロール31から繰り出す搬送シートTSの間に、フィルムFが付いたワークWを挟み込んで保持する。この際、本実施の形態では、フィルムFの支持層F1に設けられた上述の接着部が、搬送シートTSに付着される。搬送シートTSが搬送シート巻取り装置7に巻き取られた際には、一対の搬送シートTSの間に保持されたワークWが、搬送シート巻取り装置7側に移動する。これにより、フィルムF付きのワークWは、順次、真空ラミネータ4、平面プレス装置5、及び下流側冷却装置6を通過し、搬送シート巻取り装置7に至る。
【0048】
真空ラミネータ4は、第1チャンバ半体41と、第2チャンバ半体42とを有する。第1チャンバ半体41は、一対の搬送シートTSが形成する搬送経路に対して一方側(
図1では上側)に配置され、第2チャンバ半体42は、一対の搬送シートTSが形成する搬送経路に対して他方側(
図1では下側)に配置されている。
【0049】
真空ラミネータ4は、フィルムF付きのワークWが搬送された際、第1チャンバ半体41と第2チャンバ半体42とで、一対の搬送シートTSを介してフィルムF付きのワークWを挟み込む。第1チャンバ半体41と第2チャンバ半体42は互いに接することで真空チャンバ40を形成し、真空チャンバ40内にフィルムF付きのワークWを受け入れる。その後、真空ラミネータ4は、真空チャンバ40の空気抜きを行い、真空チャンバ40を真空状態にして、フィルムFを加熱しながらワークWに加圧して接合する。
【0050】
フィルムFに対する加熱は、本実施の形態では第1チャンバ半体41に設けられた第1ヒータ43及び第2チャンバ半体42に設けられた第2ヒータ44により行われる。また、ワークWへのフィルムFの加圧は、第1チャンバ半体41及び第2チャンバ半体42のそれぞれに設けられた図示しないダイヤフラムにより行われる。ダイヤフラムは、ワークW側とその反対側とに気圧差を形成することでワークWを加圧できる。ただし、ワークWへフィルムFを加圧する手段は特に限られるものではなく、プレス板をシリンダ等で駆動して機械的に圧力を付与してもよい。
【0051】
なお、本実施の形態ではワークWとフィルムFとの間の空気の巻き込みの抑制が求められるため、真空ラミネータ4が用いられる。ただし、空気の巻き込みの抑制が強く求められない場合には、真空ラミネータ4に代えて、一般的な加熱加圧式のラミネータが用いられてもよい。
【0052】
平面プレス装置5は、第1プレス板51と、第2プレス板52とを有する。第1プレス板51は、一対の搬送シートTSが形成する搬送経路に対して一方側(
図1では上側)に配置され、第2プレス板52は、一対の搬送シートTSが形成する搬送経路に対して他方側(
図1では下側)に配置されている。平面プレス装置5は、フィルムF付きのワークWが搬送された際、第1プレス板51と第2プレス板52とで、一対の搬送シートTSを介してフィルムF付きのワークWを挟み込み、加熱及び加圧を行う。第1プレス板51と第2プレス板52はそれぞれヒータを内蔵し、各ヒータによりフィルムF付きのワークWを加熱する。
【0053】
下流側冷却装置6は、平面プレス装置5から送り出されたフィルムF付きのワークWを冷却する。下流側冷却装置6の構成は、上流側冷却部2Sと基本的に同じであり、空気の供給量の制御も上流側冷却部2Sと同様に行う。
【0054】
下流側冷却装置6は、一対の搬送シートTSが形成する搬送経路に対して一方側に配置された第1下流側冷却部6Uと、一対の搬送シートTSが形成する搬送経路に対して他方側に配置された第2下流側冷却部6Dと、を有する。第1下流側冷却部6U及び第2下流側冷却部6Dはそれぞれ、温調空気供給源60と、ダクト61と、ファンフィルタユニット62と、空気吐出部63と、を有する。
【0055】
第1下流側冷却部6Uの空気吐出部63からワークWの表面上のフィルムFに空気が供給され、フィルムFが冷却される。第2下流側冷却部6Dの空気吐出部63からワークWの裏面上のフィルムFに空気が供給され、フィルムFが冷却される。温調空気供給源60、ダクト61、ファンフィルタユニット62及び空気吐出部63の構成は、上流側冷却部2S側と同様のため詳細な説明は省略する。
【0056】
また、下流側冷却装置6も、上流側冷却部2Sと同様に、ワークWの搬送パターン、ワークWの状態、厳密にはワークW上のフィルムFの状態に応じて、空気の供給量を変化させることが可能となっている。具体的には、下流側冷却装置6も、第1下流側冷却部6U及び第2下流側冷却部6Dのそれぞれで、入口6Aから、入口6Aと出口6Bとの間の中間位置に向かってワークWが移動する際に空気の供給量を徐々に増加させ、その後、空気の供給量を一定に維持し、その後、空気の供給量を徐々に減少させる。このような空気供給量の制御は、上流側冷却部2Sの場合と同様の制御であり、コンベアC、搬送シート繰り出し装置3、及び搬送シート巻取り装置7に対する一連の加減速信号及び停止信号に基づいて行われるため、詳細な説明は省略する。
【0057】
一方で、上述したように、下流側冷却装置6は、ワークW上のフィルムFの状態に応じて空気の供給量を変化させることも可能となっている。この場合、下流側冷却装置6は、フィルムFが所定温度以下になるまで、一定の供給量で空気を供給してもよい。
【0058】
搬送シート巻取り装置7は、それぞれ搬送シートTSを巻き取る一対の搬送シート巻取りロール71を有する。一対の搬送シート巻取りロール71のうちの一方は、一対の搬送シートTSが形成する搬送経路に対して一方側(
図1では上側)に配置され、一対の搬送シート巻取りロール71のうちの他方は、一対の搬送シートTSが形成する搬送経路に対して他方側(
図1では下側)に配置されている。
【0059】
搬送シート巻取り装置7は、一対の搬送シート巻取りロール71により搬送シートTSを巻き取ることにより、一対の搬送シートTSの間に保持されたワークWを搬送シート巻取り装置7側に移動させる。また、本実施の形態では、搬送シート巻取り装置7が、ワークW上のフィルムFから支持層F1を剥離するフィルム剥離装置として機能する。この剥離は、上述したように搬送シートTSに支持層F1を接着部を介して付着させることにより、実現される。そして、支持層F1が剥離された後、絶縁層F2のみがラミネートされたワークWは、搬送シート巻取り装置7の外部に取り出される。
【0060】
図3は、本実施の形態に係る基板ラミネートシステムS1におけるワークWの搬送パターンと、フィルム貼合カット装置1内の上流側冷却部2S及び下流側冷却装置6の送風パターンとの関係を示すグラフを示す。
【0061】
図3の上段のグラフは、ワークWの搬送パターンを示す。
図3の上段のグラフにおける横軸は、時間を示し、縦軸は、ワークWの搬送速度(m/s)を示す。
図3の下段のグラフは、上流側冷却部2S及び下流側冷却装置6の送風パターンを示す。
図3の下段のグラフにおける横軸は、時間を示し、縦軸は、空気供給量(L/s)を示す。
【0062】
符号S1で示す範囲は、加減速指令信号に対応する。符号S2で示す範囲は、停止指令信号に対応する。本実施の形態では、加減速指令信号S1に示すように、ワークWは、一定の加速度で加速された後、一定の速度を維持され、その後、一定の減速度で減速されて停止する。そして、停止指令信号S2に示すように、一定の期間、ワークWは停止状態にされる。その後、同じパターンで加減速される。これにより、ワークWは、停止及び移動を繰り返して、間欠的に搬送される。
【0063】
ワークWは、フィルム貼合カット装置1における冷却位置Cp、フィルム貼合カット装置1における貼合位置Pp、搬送シート繰り出し装置3、真空ラミネータ4、平面プレス装置5、下流側冷却装置6及び搬送シート巻取り装置7のそれぞれで停止する。このうち、フィルム貼合カット装置1における冷却位置CpでワークWは停止して、冷却される。フィルム貼合カット装置1における貼合位置Ppでは、ワークWは、停止した状態でカッター13によるカットが行われる。真空ラミネータ4では、ワークWは、停止した状態で加熱及び加圧される。平面プレス装置5でも、ワークWは、停止した状態で加熱及び加圧される。下流側冷却装置6では、停止した状態で冷却される。
【0064】
そして、上流側冷却部2S及び下流側冷却装置6は、加減速指令信号S1及び停止指令信号S2に同期して空気の供給量を制御する。具体的には、上流側冷却部2S及び下流側冷却装置6は、矢印T1に示すように、ワークWの加速指令信号を、空気の供給量の減少指令信号に変換する。上流側冷却部2S及び下流側冷却装置6は、矢印T2に示すように、ワークWの一定速への速度維持信号を、空気の供給量の一定値への維持指令信号に変換する。上流側冷却部2S及び下流側冷却装置6は、矢印T3に示すように、ワークWの減速指令信号を、空気の供給量の増加指令信号に変換する。上流側冷却部2S及び下流側冷却装置6は、矢印T4に示すように、ワークWの停止信号を、空気の供給量の一定値への維持指令信号に変換する。
【0065】
ワークWの一定速への速度維持信号に対応する空気の供給量の一定値への維持指令信号は、ワークWの停止信号に対応する空気の供給量の一定値への維持指令信号よりも低位になる。すなわち、前者の信号に対応する空気の供給量は、後者の信号に対応する空気の供給量よりも小さい。
【0066】
以上のような信号の変換により、上流側冷却部2S及び下流側冷却装置6は、入口2A,6Aから進入したワークWが内部で停止するまでの間において、ワークWへの空気の供給量を徐々に増加させる。また、上流側冷却部2S及び下流側冷却装置6は、内部で停止したワークWへの空気の供給量を一定に維持する。また、上流側冷却部2S及び下流側冷却装置6は、停止した状態から加速して出口2B,6Bから送り出されるワークWへの空気の供給量を徐々に減少させる。
【0067】
本実施の形態では、上流側冷却部2S及び下流側冷却装置6が、コンベアC、搬送シート繰り出し装置3及び搬送シート巻取り装置7に対する加減速指令信号S1及び停止指令信号S2を利用して空気の供給量を制御する。この場合、コンベアC、搬送シート繰り出し装置3及び搬送シート巻取り装置7を直列にフィールドネットワークで接続するとともに、同じフィールドネットワーク上に上流側冷却部2S及び下流側冷却装置6も直列に接続してもよい。そして、この場合、EtherCatに準じる通信方式で信号を送受するのがよい。この場合、配線構成を簡素化できるとともに、制御動作の高速化を図ることができる。
【0068】
次に、本実施の形態の作用及び効果について説明する。
【0069】
まず、ワークWは、外部からフィルム貼合カット装置1の搬送路1Rに受け入れられ、フィルム貼合カット装置1の上流側冷却部2Sにより冷却される(第1冷却工程)。その後、ワークWは、上流側冷却部2Sから貼合部材12側に送り出され、貼合部材12によるフィルムFの貼り合せ及びカッター13によるフィルムFのカットが行われる(フィルム貼合カット工程)。
【0070】
その後、フィルムF付きのワークWは、真空ラミネータ4に搬送され、真空状態で、フィルムFが加熱されながらワークWに加圧されて接合される(真空ラミネート工程)。次いで、フィルムF付きのワークWは、平面プレス装置5に搬送され、第1プレス板51と第2プレス板52とにより挟み込まれ、加熱及び加圧される。
【0071】
その後、フィルムF付きのワークWは、下流側冷却装置6で冷却される(第2冷却工程)。その後、フィルムF付きのワークWは、搬送シート巻取り装置7に搬送され、ワークW上のフィルムFから支持層F1が剥離される(フィルム剥離工程)。その後、絶縁層F2のみがラミネートされたワークWが、搬送シート巻取り装置7から外部に取り出される。
【0072】
このようなラミネート処理において、本実施の形態ではワークWが貼合部材12によるフィルムFの貼合位置Ppに至る前において、上流側冷却部2SがワークWを冷却する。これにより、その後にワークWに貼り合わされるフィルムFが冷却され、カッター13によりカットされるフィルムFの切断箇所がカット前に冷却される。これにより、フィルムFが、カットされる前に、温度環境等に起因して一部が溶融したり、軟化したりして、カットされ難くなる状況が回避される。これにより、フィルムFを適正にカットできる。そして、フィルムFがカットし難くなることで、フィルムFのカット面が粗くなったり、フィルムFに皺や伸びが生じたりする状況が抑制される。
【0073】
また、真空ラミネータ4及び平面プレス装置5により加熱及び加圧されたフィルムF付きのワークWは、下流側冷却装置6で冷却された後、搬送シート巻取り装置7により支持層F1を剥離される。これにより、高温であることに起因して支持層F1の剥離の際に、絶縁層F2の一部が支持層F1に付着して引き剥がされる状況が抑制される。これにより、絶縁層F2の表面が粗くなることが抑制される。
【0074】
また、本実施の形態における下流側冷却装置6は、入口6Aから進入したワークWが内部で停止するまでの間において、ワークWへの空気の供給量を徐々に増加させる。その後、下流側冷却装置6は、内部で停止したワークWへの空気の供給量を一定に維持する。これにより、ワークW上のフィルムFが緩やかに冷却され、急激な温度変化によりフィルムF付きのワークWに反りが生じることを抑制できる。とりわけ、本実施の形態では、ワークWの両側のフィルムFが同じ空気の供給量で緩やかに冷却され、フィルムF間の収縮速度差が抑制されることで、効果的に反りの発生が抑制される。また、空気の供給量を一時的に低減させるため、エネルギー消費量も抑制できる。
【0075】
したがって、本実施の形態によれば、絶縁層F2に皺や伸びがなく且つ表面が平滑で、反りも生じていないワークWを、歩留まりよく製造できる。よって、ラミネート形成品である絶縁層F2がラミネートされたワークWの良品率を向上できる。
【0076】
また、本実施の形態では、ワークは、加減速指令信号及び停止指令信号を所定の周期で入力される搬送機構により搬送され、上流側冷却部2S及び下流側冷却装置6は、加減速指令信号及び停止指令信号に同期し、加減速指令信号及び停止指令信号を空気の供給量の増減指令信号及び維持指令信号に変換して、空気の供給量を制御する。これにより、制御処理の簡素化及び制御動作の高速化を図ることができる。
【0077】
なお、本実施の形態では、フィルム貼合カット装置1が上流側冷却部2Sを備えるが、上流側冷却部2Sは、フィルム貼合カット装置1から分離した独立の冷却装置として構成されてもよい。
【0078】
<第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態に係る基板ラミネートシステムS2について説明する。本実施の形態における構成部分のうちの第1の実施の形態と同じものには、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0079】
図4は、第2の実施の形態に係る基板ラミネートシステムS2を概略的に示している。本実施の形態では、フィルム貼合カット装置1の構成が第1の実施の形態と異なる。フィルム貼合カット装置1は、ワークWの搬送方向で上流側に配置される第1部分1Xと、第1部分1Xから下流側に離れて配置される第2部分1Yとを有する。
【0080】
そして、第1部分1Xに、一対のフィルム供給ロール11と、一対の貼合部材12とが設けられている。第2部分1Yに、一対のカッター13が設けられている。また、第2部分1Yには、さらに一対のフィルム巻取りロール15が設けられている。各フィルム供給ロール11から繰り出されるフィルムFの先端は、対応するフィルム巻取りロール15に接続されている。
【0081】
本実施の形態では、ワークWの搬送方向でフィルム貼合カット装置1の上流側と下流側とにコンベアCが配置されるが、フィルム貼合カット装置1の内部にはコンベアCは配置されない。一方で、フィルム貼合カット装置1の搬送路1Rは、上流側のコンベアCと下流側のコンベアCに直線状に連なるように形成される。そして、一対のフィルム供給ロール11、一対の貼合部材12、一対のカッター13及び一対のフィルム巻取りロール15はそれぞれ、搬送路1Rに対して一方側(
図1では上側)と他方側(
図1では下側)とに振り分けて配置されている。
【0082】
本実施の形態では、フィルム供給ロール11とフィルム巻取りロール15との間に延びるフィルムFが、フィルム供給ロール11側から貼合部材12に接して向きを変えて直線状に延びた後、フィルム巻取りロール15に至る。フィルムFにおける貼合部材12からフィルム巻取りロール15側に向けて直線状に延びる部分は、搬送路1Rに沿って延びる。そして、カッター13は、フィルム巻取りロール15の手前の位置で、フィルムFにおける貼合部材12からフィルム巻取りロール15側に向けて直線状に延びる部分に対して接近及び離間自在になるように配置されている。
【0083】
図4における符号Xpは、カッター13によるフィルムFのカット位置を示す。本実施の形態におけるフィルム貼合カット装置1では、フィルム巻取りロール15がフィルムFを巻き取ることで、上流側のコンベアC上のワークWが、一対の貼合部材12の間に引き込まれて貼合位置Ppに搬送され、貼合位置PpにおけるワークWの移動に伴い、貼合部材12によりフィルムFがワークWの表裏面に貼り合わされる。フィルム巻取りロール15がフィルムFをさらに巻き取ることで、ワークWがカット位置Xpに至る。この際、ワークWは、フィルムFに挟まれた状態で移動される。そして、カット位置Xpで、フィルムFをワークWと重ならない位置でカットする。これにより、ワークWに貼り合わされたフィルムFが、フィルム供給ロール11とフィルム巻取りロール15との間に延びるフィルムFから分離される。カッター13は、二次元平面で自由に移動可能なものでもよい。
【0084】
ここで、本実施の形態ではフィルムFの貼合位置PpとフィルムFのカット位置Xpとの間に、上流側冷却装置2が設けられている。上流側冷却装置2は、貼合位置Ppとカット位置Xpとの間の冷却位置Cpで、ワークW上のフィルムFに空気を供給してフィルムFを冷却する。
【0085】
上流側冷却装置2は、フィルム貼合カット装置1から分離している点で第1の実施の形態の上流側冷却部2Sと異なる。また、上流側冷却装置2は、第1の実施の形態の上流側冷却部2Sに対して配置位置が異なる。また、上流側冷却装置2は、フィルムFを直接的に冷却する点で第1の実施の形態の上流側冷却部2Sと異なる。ただし、上流側冷却装置2のその他の構成は、第1の実施の形態の上流側冷却部2Sと同じであり、空気の供給量制御も第1の実施の形態と同じ態様で行う。なお、本実施の形態では、上流側冷却装置2がフィルム貼合カット装置1から分離しているが、フィルム貼合カット装置1の構成要素として組み込まれてもよい。また、搬送シート繰り出し装置3、真空ラミネータ4、平面プレス装置5、下流側冷却装置6及び搬送シート巻取り装置7の構成は、第1の実施の形態と同じである。
【0086】
本実施の形態においても、カッター13によりカットされるフィルムFの切断箇所が、カット前に上流側冷却装置2によって冷却される。これにより、フィルムFが、カットされる前に、温度環境等に起因して一部が溶融したり、軟化したりして、カットされ難くなる状況が回避される。これにより、フィルムFを適正にカットできる。そして、フィルムFがカットし難くなることで、フィルムFのカット面が粗くなったり、フィルムFに皺や伸びが生じたりする状況が抑制される。よって、ラミネート形成品である絶縁層F2がラミネートされたワークWの良品率を向上できる。
【0087】
<第3の実施の形態>
次に、第3の実施の形態に係る基板ラミネートシステムS3について説明する。本実施の形態における構成部分のうちの第1及び第2の実施の形態と同じものには、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0088】
図5は、第3の実施の形態に係る基板ラミネートシステムS3を概略的に示している。本実施の形態では、搬送シート巻取り装置7が下流側冷却部6Sを備える。一方で、第1及び第2の実施の形態で説明した下流側冷却装置6は設けられない。
【0089】
下流側冷却部6Sは、真空ラミネータ4から送り出されたワークWの表面上及び裏面上のフィルムFが支持層F1を剥離される前に、ワークWの表面上及び裏面上のフィルムFにそれぞれ空気を供給してフィルムFを冷却する。
【0090】
下流側冷却部6Sは、第1下流側冷却部6Uと、第2下流側冷却部6Dとを有する。
図5において簡略的に示されるが、第1下流側冷却部6U及び第2下流側冷却部6Dはそれぞれ、第1の実施の形態で説明した第1下流側冷却部6U及び第2下流側冷却部6Dと同じ構成を備える。また、下流側冷却部6Sは、空気の供給量制御も第1の実施の形態と同じ態様で行う。
【0091】
本実施の形態においても、真空ラミネータ4及び平面プレス装置5により加熱及び加圧されたフィルムF付きのワークWは、下流側冷却部6Sで冷却された後、搬送シート巻取り装置7により支持層F1を剥離される。これにより、高温であることに起因して支持層F1の剥離の際に、絶縁層F2の一部が支持層F1に付着して引き剥がされる状況が抑制される。これにより、絶縁層F2の表面が粗くなることが抑制される。
【0092】
また、本実施の形態においても、下流側冷却部6Sは、ワークWが内部で停止するまでの間において、ワークWへの空気の供給量を徐々に増加させる。その後、下流側冷却部6Sは、内部で停止したワークWへの空気の供給量を一定に維持する。これにより、ワークW上のフィルムFが緩やかに冷却され、急激な温度変化によりフィルムF付きのワークWに反りが生じることを抑制できる。とりわけ、本実施の形態では、ワークWの両側のフィルムFが同じ空気の供給量で緩やかに冷却され、フィルムF間の収縮速度差が抑制され、効果的に反りの発生が抑制される。
【0093】
よって、ラミネート形成品である絶縁層F2がラミネートされたワークWの良品率を向上できる。
【0094】
<第4の実施の形態>
次に、第4の実施の形態に係る基板ラミネートシステムS4について説明する。本実施の形態における構成部分のうちの第1乃至第3の実施の形態と同じものには、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0095】
図6は、第4の実施の形態に係る基板ラミネートシステムS4を概略的に示し、詳しくは、基板ラミネートシステムS4が備えるフィルム貼合カット装置1を示している。
【0096】
本実施の形態におけるフィルム貼合カット装置1は、上流側冷却部2Sからの空気の供給態様が第1の実施の形態と異なる。すなわち、上流側冷却部2Sは、ワークWに貼り合わせる前のフィルムFに空気を供給してフィルムFをカット前に冷却する。
【0097】
詳しくは、一方側の貼合部材12は、搬送路1Rに近接して配置され、一方側のフィルム供給ロール11は、貼合部材12よりも搬送路1Rから離れた位置に配置される。そして、一方側のカッター13は、フィルムFにおける一方側のフィルム供給ロール11と一方側の貼合部材12との間に延びる部分に対して接近及び離間自在になるように配置されている。同様に、他方側の貼合部材12は、搬送路1Rに近接して配置され、他方側のフィルム供給ロール11は、貼合部材12よりも搬送路1Rから離れた位置に配置される。そして、他方側のカッター13は、フィルムFにおける他方側のフィルム供給ロール11と他方側の貼合部材12との間に延びる部分に対して接近及び離間自在になるように配置されている。
【0098】
そして、上流側冷却部2Sにおける第1冷却部2Uは、一方側のカッター13よりも一方側のフィルム供給ロール11側の位置で、フィルムFにおける一方側のフィルム供給ロール11と一方側の貼合部材12との間に延びる部分に空気を供給する。上流側冷却部2Sにおける第2冷却部2Dは、他方側のカッター13よりも他方側のフィルム供給ロール11側の位置で、フィルムFにおける他方側のフィルム供給ロール11と他方側の貼合部材12との間に延びる部分に空気を供給する。
【0099】
上流側冷却部2Sにおける第1冷却部2U及び第2冷却部2Dの構成は、基本的に、第1の実施の形態と同じであるが、ファンフィルタユニット22から空気吐出部23までの空気の経路が、気流誘導板24により、空気吐出部23に近づくに従い断面積が次第に減少するように形成されている点が第1の実施の形態と異なる。一方で、上流側冷却部2Sによる空気の供給量の制御は、第1の実施の形態と同じであっても、異なっていてもよい。
【0100】
本実施の形態においても、カッター13によりカットされるフィルムFの切断箇所が、上流側冷却部2Sによってカット前に冷却される。これにより、フィルムFが、カットされる前に、温度環境等に起因して一部が溶融したり、軟化したりして、カットされ難くなる状況が回避される。これにより、フィルムFを適正にカットできる。そして、フィルムFがカットし難くなることで、フィルムFのカット面が粗くなったり、フィルムFに皺や伸びが生じたりする状況が抑制される。よって、ラミネート形成品である絶縁層F2がラミネートされたワークWの良品率を向上できる。
【0101】
<第5の実施の形態>
次に、第5の実施の形態に係る基板ラミネートシステムS5について説明する。本実施の形態における構成部分のうちの第1乃至第4の実施の形態と同じものには、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0102】
図7は、第5の実施の形態に係る基板ラミネートシステムS5を概略的に示している。基板ラミネートシステムS5は、ワークWの片面のみにフィルムFをラミネートする。したがって、第1の実施の形態で説明したフィルム貼合カット装置1の上流側冷却部2Sにおいて第2冷却部2Dが設けられていない。
図7の下側において、フィルム供給ロール11、貼合部材12及びカッター13が設けられていない。また、下流側冷却装置6において、第2下流側冷却部6Dが設けられていない。その他の構成は、第1の実施の形態と同じである。
【0103】
なお、ワークWの片面のみにフィルムFをラミネートする場合、第2乃至第4の実施の形態においても、第5の実施の形態と同様の部材及び装置の削除を行ってもよい。
【0104】
<第6の実施の形態>
次に、第6の実施の形態について説明する。本実施の形態における構成部分のうちの第1乃至第5の実施の形態と同じものには、同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図8は、第6の実施の形態に係るフィルム貼合カット装置1を備える半導体製造システムSSを概略的に示す図である。
【0105】
半導体製造システムSSは、第5の実施の形態で説明したフィルム貼合カット装置1と、露光装置101と、現像装置102とを備える。
【0106】
フィルム貼合カット装置1は、半導体ウェハであるワークWにフィルムFとしてドライレジストフィルムを貼り合わせる。露光装置101は、フィルムFに露光を行い、フィルムFの一部を所定パターンで硬化させる。現像装置102は、フィルムFの不要部分を除去する。現像装置102は、例えばスピン回転方式でもよいし、ディッピング方式でもよい。なお、露光装置101とフィルム貼合カット装置1との間に、フィルムFをワークWに加圧するラミネータが設けられてもよい。
【0107】
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0108】
S1, S2,S3,S4,S5…基板ラミネートシステム
SS…半導体製造システム
1…フィルム貼合カット装置
1R…搬送路
1X…第1部分
1Y…第2部分
F…フィルム
F1…支持層
F2…絶縁層
11…フィルム供給ロール
12…貼合部材
13…カッター
15…フィルム巻取りロール
2…上流側冷却装置
2S…上流側冷却部
2A…入口
2B…出口
2U…第1冷却部
2D…第2冷却部
20…温調空気供給源
21…ダクト
22…ファンフィルタユニット
23…空気吐出部
3…搬送シート繰り出し装置
4…真空ラミネータ
40…真空チャンバ
41…第1チャンバ半体
42…第2チャンバ半体
5…平面プレス装置
6…下流側冷却装置
6U…第1下流側冷却部
6D…第2下流側冷却部
6S…下流側冷却部
60…温調空気供給源
61…ダクト
62…ファンフィルタユニット
63…空気吐出部
7…搬送シート巻取り装置
TS…搬送シート