(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023031226
(43)【公開日】2023-03-08
(54)【発明の名称】飛行体
(51)【国際特許分類】
B64B 1/24 20060101AFI20230301BHJP
B64B 1/60 20060101ALI20230301BHJP
B64B 1/62 20060101ALI20230301BHJP
B64D 9/00 20060101ALI20230301BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20230301BHJP
B64C 27/08 20230101ALI20230301BHJP
B64D 1/18 20060101ALI20230301BHJP
E02D 3/12 20060101ALI20230301BHJP
B64C 39/00 20060101ALI20230301BHJP
【FI】
B64B1/24
B64B1/60
B64B1/62
B64D9/00
B64C39/02
B64C27/08
B64D1/18
E02D3/12 102
B64C39/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022066900
(22)【出願日】2022-04-14
(31)【優先権主張番号】63/236,310
(32)【優先日】2021-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000231198
【氏名又は名称】日本国土開発株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100136261
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 俊成
(72)【発明者】
【氏名】馬場 司
(72)【発明者】
【氏名】関口 政一
(72)【発明者】
【氏名】森本 秀敏
(72)【発明者】
【氏名】小幡 博志
【テーマコード(参考)】
2D040
【Fターム(参考)】
2D040AB06
2D040CA01
2D040CA03
2D040CB01
(57)【要約】
【課題】外乱があっても使用することが可能となる飛行体の提供を目的とする。
【解決手段】空気よりも比重が軽いガスが充填される複数個のバルーンと、前記複数個のバルーンを包含する包含部と、推進力を発生させる推進装置と、前記空気よりも比重が軽いガスを前記複数個のバルーンの少なくとも1つに充填するガス充填装置と、前記推進装置と前記ガス充填装置との少なくとも一方を制御する制御装置と、を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気よりも比重が軽いガスが充填される複数個のバルーンと、
前記複数個のバルーンを包含する包含部と、
推進力を発生させる推進装置と、
前記空気よりも比重が軽いガスを前記複数個のバルーンの少なくとも1つに充填するガス充填装置と、
前記推進装置と前記ガス充填装置との少なくとも一方を制御する制御装置と、を備えた飛行体。
【請求項2】
少なくとも一部が前記包含部の表面に設けられた発電装置と、
前記発電装置により発電した電力を送電する電力送電装置と、を備えた請求項1に記載の飛行体。
【請求項3】
前記複数個のバルーンの少なくとも1つまたは前記包含部の少なくとも一方から空気よりも比重が軽いガスを放出するガス放出装置と、を備え、
前記制御装置は、前記推進装置により前記推進力を発生している際に、前記複数個のバルーンの少なくとも1つまたは前記包含部の少なくとも一方からガスを放出する請求項1に記載の飛行体。
【請求項4】
土砂の性状を検出する検出装置を備えた請求項1に記載の飛行体。
【請求項5】
液体または粉体を供給する性状変更装置を備えた請求項1に記載の飛行体。
【請求項6】
前記包含部の側面が流線形となっている請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の飛行体。
【請求項7】
前記バルーンの大きさを変えて前記包含部の側面を流線形としている請求項6に記載の飛行体。
【請求項8】
搬送物を把持する把持装置を備えた、請求項1に記載の飛行体。
【請求項9】
前記制御装置は、前記搬送物の把持に応じて、前記複数個のバルーンまたは前記包含部の少なくとも一方へ充填する前記空気よりも比重が軽いガスの量を調整する請求項8に記載の飛行体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛行体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無人航空機であるドローン(UAV:Unmanned Aerial Vehicle)の推進力はプロペラによるものであったが、特許文献1では、空気よりも比重が軽い気体が充填される風船部と、振動体を振動させることで空気を吹き出させる吹出機構(マイクロブロア)と、吹出機構を制御して自飛行体の位置または姿勢を変化させる制御部とで構成された無人飛行体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、飛行体をマイクロブロアで制御することとしているが、そのマイクロブロアによる推進力は小さく、空気中に留まっているような状態での使用に限定されているため、外乱となる風等が発生する屋外での使用について考慮されていなかった。
【0005】
そこで、本発明では、外乱があっても使用することが可能となる飛行体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る飛行体は、空気よりも比重が軽いガスが充填される複数個のバルーンと、前記複数個のバルーンを包含する包含部と、推進力を発生させる推進装置と、前記空気よりも比重が軽いガスを前記複数個のバルーンの少なくとも1つに充填するガス充填装置と、前記推進装置と前記ガス充填装置との少なくとも一方を制御する制御装置と、を備えている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、飛行体の包含部内に空気よりも比重が軽いガスが充填されたバルーンを複数個配置し、また、ガス充填装置により空気よりも比重が軽いガスを充填する事が出来るため、飛行体は外乱がある状況でも稼働が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本第1実施形態を表す飛行体の概要図であり、
図1(a)は側面図であり、
図1(b)は
図1(a)のA-A矢視断面図である。
【
図2】本第1実施形態の主要部のブロック図である。
【
図3】本第1実施形態の制御装置により実行されるフローチャートを示す図である。
【
図4】本第2実施形態を表す飛行体の概要図であり、
図4(a)は側面図であり、
図4(b)は
図4(a)のうち、包含部のA-A矢視断面図である。
【
図5】本第3実施形態を表す飛行体の概要図である。
【
図6】本第4実施形態を表す飛行体の概要図である。
【
図7】本発明の実施形態の変形例を表す包含部の概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施形態により、本発明が限定されるものではない。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態の気球型ドローン1の概要図を示しており、
図1(a)は側面図であり、
図1(b)は
図1(a)のA-A矢視断面図である。なお、
図1(b)では図を見やすくするために、代表的な部分に符号を付している。
図1に示すように、気球型ドローン1は包含部10と、推進装置20と、発電装置21と、GNSS装置(Global Navigation Satellite System)22と、制御装置23と、通信機器24等を有している。
【0011】
包含部10は円柱型に組まれたフレーム11と、フレーム11の内側に配置された複数個のバルーン12と、フレーム11の外側を包んでいる円柱型の包含材13等で構成されている。また、包含部10の内部にバルーン12へ空気よりも比重の軽いガス(たとえばヘリウムガス)を供給するガス充填装置14(
図2参照)と、バルーン12からガスを放出するガス放出装置15(
図2参照)を有している。本実施形態の気球型ドローン1は、包含部10に内蔵されている複数個のバルーン12へガスを充填する事により得られる浮力により、気球型ドローン1の浮力を得るものである。ガスにより得られる浮力を用いる事により、気球型ドローン1の稼働時間(飛行時間)をより長時間とする事ができる。
【0012】
フレーム11は、包含材13の形を円柱形に保ち、かつ、包含材13の内側に配置された複数個のバルーン12を固定するものである。フレーム11は水平方向(xy平面)で十字型(格子状)に組まれた2組の水平フレーム11aと、水平フレーム11aを固定する垂直フレーム11b(z方向、
図1(b)においては黒点で図示)とで構成されている。フレーム11はカーボンやジェラルミンといった、高強度かつ軽量なもので作成する。これは、包含部10の重量をより軽量化することにより気球型ドローン1の重量を軽量化し、バルーン12および推進装置20により必要とする浮力や推進力を少なくするためである。
図1では、水平フレーム11aは6本、垂直フレーム11bは21本としているが、使用する材料および気球型ドローン1の強度に応じて適宜変更可能なものである。
【0013】
バルーン12はたとえば塩化ビニールやエチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)でできた風船であり、空気よりも比重の軽いガスが充填されるものである。
図1では、バルーン12は同じ大きさのもので12個として示しているが、このバルーン12の数や大きさ等は適宜変更可能なものである。
【0014】
包含材13はたとえばナイロン(登録商標)やテトロン(登録商標)等でできた布袋であり、フレーム11の外側へ配置されている。フレーム11および包含材13は、包含部10の内側に設置されたバルーン12等を衝撃等から守り、バルーン12の破裂等を防止する物である。
【0015】
ガス充填装置14は、電磁バルブやチューブ等から構成されており、気球型ドローン1を浮上させる際にバルーン12へ空気よりも比重の軽いガス(例えばヘリウムガスや水素ガス)を充填するものである。本実施形態において、気球型ドローン1はこのガスによって浮力を得ることが出来る。また、予期せぬトラブルが発生し、墜落の危険性がある際に、後述する制御装置23は、ガス充填装置14を用いてバルーン12へガスをさらに充填する事により、得られる浮力を大きくして墜落を防止したり、墜落速度を遅くしたりすることが出来る。ガス充填装置14によるバルーン12への空気よりも比重の軽いガスの充填は、各バルーン12の1つずつに実施してもよく、複数個のバルーン12へ同時に実施してもよい。
【0016】
ガス充填装置14によるガスの充填は、バルーン12に加えて包含材13の内部(包含部10の内部全体)へ充填してもよい。包含部10のうちのバルーン12への空気よりも比重の軽いガスの充填と併せて、包含材13の内部全体へ空気よりも比重の軽いガスを充填することにより、より大きな浮力を得ることができる。これにより、何らかの影響でバルーン12からガス漏れが発生した場合でも、漏れたガスは包含材13内に留まる事から、バルーン12からのガス漏れによる浮力低下を防ぐことが可能となる。また、包含材13から外部へのガス漏れが発生した場合においては、バルーン12内には空気よりも比重の軽いガスが充填された状態となっていることから、包含材13からのガス漏れによる急激な浮力低下を防ぐことができる。
【0017】
ガス放出装置15は、電磁バルブやチューブ等から構成されており、バルーン12の中へ充填されている空気よりも比重の軽いガスを放出するものである。バルーン12から空気よりも比重の軽いガスを放出する事により気球型ドローン1の浮力を減らし、気球型ドローン1を下降させることができる。
【0018】
推進装置20は、たとえば回転翼等を用いる。推進装置20はモータにて駆動し、動力としては電力を用いている。推進装置20は、フレーム11に固定されており包含材13を貫通しているものである。包含材13内部は密閉状態とするため、フレーム11からの突出部として、包含材13を貫通している部分はシール部材等により密閉状態とする。推進装置20は気球型ドローン1を移動させる際に稼働し、所定の場所へ留まらせる際には、気球型ドローン1が風力等の外乱による影響を受ける事が考えられるため、推進装置20により所定場所保持のための水平方向の調整を実施する。また、予期せぬトラブル等により空気よりも比重の軽いガスによる浮力が不足した場合等には推進装置20により揚力を発生させて気球型ドローン1の垂直方向の移動にも活用することができる。なお、推進装置20の数は、
図1(b)において4個としているが、推進装置20の数は気球型ドローン1の重量や推進装置20の出力等により決めるものであり、4個以下でも4個以上でも良い。
【0019】
発電装置21は、自然エネルギーにより発電し、気球型ドローン1で使用する電力を発電するものである。発電装置21の一例としては、ペロブスカイト太陽光電池を用いてもよい。ペロブスカイト太陽光電池は薄型かつ軽量であり、フレキシブルで湾曲させることも可能である。そのため、本実施形態である気球型ドローン1の軽量化について大きな影響を与えることなく利用することが出来る。ペロブスカイト太陽光電池により発電した電力により、推進装置20、ガス充填装置14、ガス放出装置15、制御装置23、通信機器24等の動力とすることができる。発電装置21は太陽光電池の他に、図示しない基盤や回路、電線等の配線等を含んでいる。
【0020】
GNSS装置22は人工衛星を利用して気球型ドローン1の位置を測位するものである。人工衛星からの電波等を受信するため、GNSS装置22は気球型ドローン1の上部に設置している。制御装置23は気球型ドローン1の全体的な制御を行うものである。例えば、制御装置23はGNSS装置22によって測位された位置情報を元に、気球型ドローン1の所定位置保持のための推進装置20の制御等を実施する。また、制御装置23は、気球型ドローン1を浮上させる際のガス充填装置14の起動や、気球型ドローン1を降下させる際のガス放出装置15の起動等も行うものである。通信機器24はインターネット等の広域ネットワークにアクセスする無線通信ユニットである。通信機器24は気球型ドローン1の位置情報や姿勢情報等を地上と通信するためのものである。制御装置23や通信機器24は
図1においては、気球型ドローン1の下部に設置しているが、包含部10の内側に設置しても良い。
【0021】
動力装置25は、気球型ドローン1で使用する動力として、電力を供給するものであり、例えば二次電池である。動力装置25として、リチウムイオン二次電池やリチウムポリマー二次電池などを用いることができるがこれに限定されるものではない。動力装置25は気球型ドローン1の下部中央に配置しているが、その他の位置に配置しても良い。動力装置25は推進装置20やガス充填装置14、ガス放出装置15、制御装置23、通信機器24等の各種機器へ電力を供給する。また、発電装置21により得られた電力を動力装置25に蓄電することが可能である。
【0022】
以下、
図2のブロック図を用いて、気球型ドローン1の機器構成の説明を続ける。なお、上述しているものについては省略する。メモリ35は、不揮発性のメモリ(例えばフラッシュメモリ)であり、GNSS装置22で取得した気球型ドローン1の位置情報履歴や、制御装置によるガス充填装置14、ガス放出装置15、推進装置20等の動作記録等を記憶している。
【0023】
センサ32は高度を測定する気圧センサや、方位を検出する磁気センサや、気球型ドローン1の姿勢を検出するジャイロセンサや、気球型ドローン1に作用する加速度を検出する加速度センサなどである。
【0024】
電力送信装置33は、発電装置21により発電した電力が気球型ドローン1で使用する分より多く、余剰の電力を発電している際に、地上に電力を送信するものである。ワイヤレス給電(無線給電)のうち、地上と上空という遠距離での手法としてマイクロ波を用いた方式やレーザーを用いた方式等が考えられる。
【0025】
ガス漏れ検出装置34は、バルーン12へガスを充填している時や、気球型ドローン1が動作していて上空にいる時等に、バルーン12からのガス漏れを検出するための装置である。ガス漏れ検出装置34の一例として、圧力計を用いる事ができる。圧力計を用いたガス漏れの検出方法として、バルーン12内へ空気よりも比重の軽いガスを充填した状態での圧力を圧力計により計測し、その時のバルーン12内の圧力を基準にして、バルーン12内の圧力が減圧している場合にはガス漏れが発生していると判断する事ができる。ガス漏れ検出装置34はバルーン12の各個のガス漏れを検出するようにしても良いし、複数個のバルーン12のガス漏れを検出するようにしても良い。
【0026】
(フローチャートの説明)
以上のように構成された、気球型ドローン1の制御について、
図3のフローチャートに沿って説明を続ける。なお、本フローチャートは、気球型ドローン1を作動させる所から始まるものとする。
【0027】
気球型ドローン1を稼働させる準備として、気球型ドローン1の各種基本的な点検を実施した後、気球型ドローン1を浮上させるために、制御装置23はガス充填装置14を稼働させてバルーン12へガスを充填する(ステップS1)。
【0028】
制御装置23は、バルーン12へガスを充填させている際に、バルーン12等からガス漏れが無いかどうかをガス漏れ検出装置34にて確認する(ステップS2)。ここでガス漏れが発生している場合においては、ガス漏れ箇所の確認や点検修理を行う(ステップS3)。点検修理が完了したらステップS1のガス充填を実施する。ここで、ガス漏れの問題が無いものとして、ステップS4へ進むものとする。
【0029】
制御装置23は、複数個のバルーン12への所定量のガス充填が完了したら、推進装置20を稼働させて、気球型ドローン1を浮上させる(ステップS4)。
【0030】
気球型ドローン1を浮上させている際に、制御装置23は、センサ32のうち、ジャイロセンサや加速度センサ等により、気球型ドローン1の姿勢が平衡であり安定しているか、といった姿勢情報を確認する。また、センサ32の気圧センサや磁気センサ、GNSS装置22等を用いて、決められた高度、位置に移動するように気球型ドローン1の位置情報を確認する(ステップS5)。制御装置23は、所定の位置や姿勢を維持する事が可能かどうかを判断する(ステップS6)。制御装置23は、外乱や気球型ドローン1の故障等の影響により、所定の位置や姿勢の維持が難しいと判断した場合には、発生した不具合の内容や、GNSS装置22により得られる現在の位置情報を地上の監視員に通知すると共に、気球型ドローン1を下降させる(ステップS8)。
【0031】
また、制御装置23は、気球型ドローン1が浮上中や、所定の位置で静止している際においても、ガス漏れが発生していないかどうかの確認を実施する(ステップS7)。これは、ガス漏れが発生している場合には、所定の浮力を得られず、予期せぬ墜落が発生する場合も考えられるため、それを防止するためである。ガス漏れが発生していると判明した場合には、制御装置23は、ガス漏れの発生情報や、GNSS装置22により得られる現在の位置情報を地上の監視員に通知すると共に、気球型ドローン1を下降させる(ステップS8)。
【0032】
気球型ドローン1が動作している際や、上空で所定の位置に静止している際にガス漏れ等の問題もなければ、作業完了まで気球型ドローン1の稼働を続ける。全ての作業が完了したら(ステップS9:YES)、制御装置23は、ガス放出装置15を稼働させてバルーン12に充填しているガスを放出すると共に、推進装置20を稼働させて、気球型ドローン1の姿勢を保ちながら気球型ドローン1を下降させる(ステップS10)。
【0033】
以上、上述の本第1実施形態において、空気よりも比重が軽いガスが充填されたバルーン12を気球型ドローン1の内部に配置する事により、気球型ドローン1は空気よりも比重が軽いガスによる浮力を得る事ができる。そのため、気球型ドローン1の飛行は空気よりも比重が軽いガスによる浮力と推進装置20により得られる揚力や推進力とにより実施されるため、推進装置20で消費される電力を抑える事が可能となり、気球型ドローン1はより長時間の稼働が可能となる。飛行体の包含部内に空気よりも比重が軽いガスが充填されたバルーンを複数個配置し、また、ガス充填装置14により空気よりも比重が軽いガスを充填する事が出来るため、飛行体は外乱がある状況でも稼働が可能となる。
【0034】
(第2実施形態)
以下、
図4を用いて第2実施形態について説明するが、第1実施形態と同じ構成については同じ符号を付し、その説明を割愛もしくは簡略化する。
図5は本第2実施形態を示す気球型ドローン100の概要図である。
【0035】
図4に示すように、本第2実施形態の気球型ドローン100は、包含部10の側面部を湾曲した形(凸型)にしているものである。包含部10の側面部を湾曲型(凸型)にする事により、屋外で使用する際の外乱となる風による抵抗力を低減させることができる。
【0036】
また、包含部10の側面部を湾曲型(凸型)にすることにより、包含部10の体積を増加させることができ、この増加した空間に中心側に配置されているバルーン12よりも小さいバルーン12’を配置させることや、包含材13へ内部のガス充填量を増やすことができるので、ガス充填による気球型ドローン1の浮力もより多く得ることができる。なお、バルーン12’はバルーン12と同等のものを使用し、充填するガスの量を調整することにより、バルーン12’の大きさをバルーン12よりも小さくするようにしてもよい。バルーン12’の大きさ(体積)は、バルーン12と比べて40%~60%程度が望ましい。これは、バルーン12’の大きさが大き過ぎる場合や小さ過ぎる場合では、側面部となる湾曲部が流線形となり難く、風による抵抗力の低減効果が低くなるためである。また、バルーン12の大きさを大サイズとすると、側面部に追加するバルーン12’として、中サイズ、小サイズというサイズの2種類を中央から側面部へ向かって配置する事も可能である。この場合、中サイズを大サイズと比べて60%~80%、小サイズを大サイズと比べて30%~50%というようにすると良い。
【0037】
さらには、包含部10の表面積も大きくなるため、包含部10の上部に設置する発電装置21の太陽光電池の設置面積が大きくなり、より多くの電力量を発電することができる。
【0038】
以上、上述の本第2実施形態における気球型ドローン100は、包含部10の側面部を湾曲した形(凸型)にしており、風圧等による抵抗力を軽減する事ができる。そのため、気球型ドローン100は安定した飛行が可能となる。また、内部に配置されるバルーン12’が増える事により、空気よりも比重が軽いガスによる得られる浮力が大きくなる。さらに、発電装置21の設置面積が増加する事により、発電装置21から得られる電力も大きくなる。屋外での飛行により適した形となる。
【0039】
(第3実施形態)
以下、
図5を用いて第3実施形態について説明するが、第1実施形態および第2実施形態と同じ構成については同じ符号を付し、その説明を割愛もしくは簡略化する。
図5は本第3実施形態を示す気球型ドローン200の概要図である。
【0040】
本第3実施形態において、気球型ドローン200は例えば掘削した掘削物の性状を検出する検出装置30および、掘削物の性状を変更する性状変更装置31が設けられている。
【0041】
検出装置30は、掘削物の性状として掘削物に含まれる水分を検出している。検出装置30としては、近赤外線を用いた近赤外水分計を採用することができる。近赤外水分計は、測定対象物(本実施形態では掘削物)で反射した近赤外線の強度を受光素子にて測定することにより、掘削物に含まれる水分を検出するものである。
【0042】
近赤外水分計により掘削物に含まれる水分を検出する場合には、近赤外水分計を掘削物に対して10cmから50cm程度まで近づける必要があるため、本実施形態では近赤外水分計を気球型ドローン1の下部に設けている。
【0043】
性状変更装置31は、本実施形態では掘削物の含水比(含水率)を変更するものであり、掘削物に水などの液体を供給する液体供給装置を用いている。液体供給装置は、水を貯蔵する液体タンクや、この液体タンクに貯蔵された水を掘削物に供給するためのポンプやノズルや配管などを有している。
【0044】
性状変更装置31は、検出装置30の検出結果に基づいて掘削物が所定の含水比(含水率)になるように掘削物に液体を供給する。なお、掘削物の含水比(含水率)調整としての液体の供給は、検出装置30以外による検出結果に基づいて実施しても良い。
【0045】
また、性状変更装置31は、粉体(たとえば石灰やセメントなど)を供給する粉体供給装置を用いても良い。粉体供給装置は、粉体を貯蔵する粉体タンクや、この粉体タンクに貯蔵された粉体を掘削物に供給するためのポンプやノズルや配管などを有している。
【0046】
本第3実施形態においては、掘削した土砂を対象に、検出装置30による土砂性状の検出や、性状変更装置31による土砂の性状変更を実施するため、気球型ドローン200は、例えばショベルカー等により掘削する掘削箇所にて稼働する。その詳細な場所として、掘削した箇所で実施する。また、掘削した土砂を仮置きしている場所や、掘削後に積込むダンプトラックの上で実施しても良い。
【0047】
以上、上述の本第3実施形態において、掘削した土砂を対象に、気球型ドローン200による土砂性状の検出および性状変更を実施できるため、仮置き場や盛土場所での性状変更時間を短縮する事ができ、より早く盛土材として活用する事ができる。
【0048】
(第4実施形態)
以下、
図6を用いて第4実施形態について説明するが、第1実施形態、第2実施形態および第3実施形態と同じ構成については同じ符号を付し、その説明を割愛もしくは簡略化する。
図6は本第4実施形態を示す気球型ドローン300の概要図である。
【0049】
本第4実施形態において、気球型ドローン300は例えば荷物等の運搬対象物を運搬することができる把持装置40が設けられおり、その重量を計測可能な重量計量装置41も設けられている。
【0050】
把持装置40としては、例えば吊具フックのようなものを用いることにより、荷物等の運搬対象物を吊り上げて運搬することができる。
【0051】
重量計量装置41としては、例えばつり秤とすることができる。つり秤とすることにより、運搬対象物を吊り上げた際に運搬対象物の重量を計測することができる。
【0052】
本第4実施形態においては、気球型ドローン300は運搬対象物を運搬するものであり、運搬物の重量バランス等により、運搬物が無い場合よりも運搬物を把持している場合の方が気球型ドローン300の姿勢は崩れやすくなる。そのため、制御装置23はセンサ32のうちのジャイロセンサや加速度センサ等による気球型ドローン300の姿勢状況の把握を確実に行い、推進装置20による気球型ドローン300の制御をより確実に行う必要がある。
【0053】
本第4実施形態においては、荷物等の運搬対象物を運搬する場合には、より大きな浮力が必要となる。そのため、制御装置23は重量計量装置41により荷重が検出されると、ガス充填装置14を稼働させてバルーン12へさらにガスを充填する。なお、制御装置23は重量計量装置41により計測した運搬対象物の重量に応じて、ガス充填装置14により充填するガスの量を制御しても良い。これにより気球型ドローン1の浮力を大きくさせて、運搬対象物を吊り上げて運搬を行うことができる。
【0054】
以上、上述の本第4実施形態において、気球型ドローン300による運搬対象物の運搬では、運搬対象物の重量に応じて、バルーン12へ充填する空気よりも比重が軽いガスの量を調整し、充填された空気よりも比重が軽いガスによる浮力を活用して運搬対象物を持ち上げるため、推進装置20にて消費する電力を抑える事が可能となる。
【0055】
(変形例)
図7は包含部10について示したものである。上述の実施例においては、例として包含部10の内部に12個のバルーン12を配置していたが、
図7では包含部10の内部に10個のバルーン12aと4個の小型バルーン12bとを配置している。また、配置例として、
図1等では縦横を揃えた碁盤の目のような配置としていたが、変形例では互い違いに配置する形としている。バルーン12の配置が互い違いになることにより、フレームの配置も変わっている。また、包含部10の形状は例として円柱型としているが楕円形とすることも可能である。これらの配置は例として示しているに過ぎず、本発明では、必要な浮力および強度が得られれば、包含部10の形状や、バルーン12の配置や数、フレーム11の配置等は特に限定するものではない。
【符号の説明】
【0056】
1 気球型ドローン
10 包含部
11 フレーム
12 バルーン
13 包含材
20 推進装置
21 発電装置
22 GNSS装置
23 制御装置
25 動力装置
30 検出装置
31 性状変更装置
40 把持装置
41 重量計量装置