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特開2023-31237自律マシン・アプリケーションのためのLiDARデータを使用する物体追跡
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023031237
(43)【公開日】2023-03-08
(54)【発明の名称】自律マシン・アプリケーションのためのLiDARデータを使用する物体追跡
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/277 20170101AFI20230301BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20230301BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20230301BHJP
   B60W 40/02 20060101ALI20230301BHJP
【FI】
G06T7/277
G06T7/00 350C
B60W60/00
B60W40/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022095617
(22)【出願日】2022-06-14
(31)【優先権主張番号】17/409,052
(32)【優先日】2021-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
2.TENSORFLOW
(71)【出願人】
【識別番号】501450960
【氏名又は名称】エヌビディア コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リチャード ザッカリー ロビンソン
(72)【発明者】
【氏名】イェンス クリスチャン ボー ヨルゲンセン
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド ヴェーア
(72)【発明者】
【氏名】ヨアキム ペーゼリ
【テーマコード(参考)】
3D241
5L096
【Fターム(参考)】
3D241BA01
3D241BA31
3D241CE02
3D241CE04
3D241CE05
3D241DB01Z
3D241DC25Z
3D241DC31Z
3D241DC33Z
5L096AA06
5L096AA09
5L096BA04
5L096BA05
5L096CA18
5L096DA02
5L096FA06
5L096FA34
5L096FA66
5L096FA69
5L096GA30
5L096GA51
5L096GA55
5L096HA05
5L096HA11
(57)【要約】
【課題】自律マシン・アプリケーションのためのLiDARデータを使用する物体追跡を提供すること。
【解決手段】様々な実例で、障害物検出器は、LiDARデータを使用して検出物体又は障害物のベロシティ状態を追跡する能力を有する。たとえば、LiDARデータを単独で使用して、反復最近点(ICP)アルゴリズムが、現在のフレームの検出物体の現在の状態を決定するために使用され得、カルマン・フィルタが、経時的に検出された1つ又は複数の物体の追跡状態を維持するために使用され得る。障害物検出器は、1つ又は複数の検出された物体のベロシティを推定し、推定ベロシティを前に検出された物体の1つ又は複数の前の追跡状態と比較し、検出された物体はある特定の前に検出された物体に対応すると決定し、及び前に検出された物体の追跡状態を推定ベロシティで更新するように構成され得る。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ又は複数のLiDARセンサ、
1つ又は複数の処理ユニットを備えるシステムであって、前記1つ又は複数の処理ユニットが、
前記1つ又は複数のLiDARセンサを使用して決定された現在の及び前の物体検出を使用して物体の推定ベロシティを決定し、
前記推定ベロシティを、1つ又は複数の前に検出された物体のそれぞれのベロシティに対応する1つ又は複数の追跡物体状態と比較し、
前記物体に対応する最高確率と関連する前記前に検出された物体のうちの前に検出された物体を、前記1つ又は複数の追跡物体状態に少なくとも部分的に基づいて決定し、
前記物体に対応する前記最高確率を有する前記前に検出された物体に対応する前記追跡物体状態を、前記推定ベロシティを使用して更新して、更新された追跡物体状態を生成する、システム。
【請求項2】
前記1つ又は複数の処理ユニットが、第1の物体境界線と第2の物体境界線を比較することに少なくとも部分的に基づいて前記物体の前記推定ベロシティを決定し、前記比較することが、反復最近点(ICP)アルゴリズムを適用することを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記推定ベロシティが、大きさ又は方向のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記1つ又は複数の追跡物体状態のそれぞれが、カルマン・フィルタを使用して生成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記1つ又は複数の追跡物体状態を前記物体の前記現在の検出に対応する座標系に変換することをさらに含み、前記推定ベロシティが、前記座標系において前記1つ又は複数の追跡物体状態と比較される、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記変換することが、エゴマシンの測定された運動に少なくとも部分的に基づく、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
マハラノビス距離を使用して複数の追跡物体状態をフィルタ処理して前記1つ又は複数の追跡物体状態を決定することをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記システムが、
自律若しくは半自律マシンのための制御システム、
自律若しくは半自律マシンのための知覚システム、
シミュレーション動作を実行するためのシステム、
深層学習動作を実行するためのシステム、
エッジ・デバイスを使用して実装されるシステム、
ロボットを使用して実装されるシステム、
1つ若しくは複数の仮想マシン(VM)を組み込むシステム、
データ・センタにおいて少なくとも部分的に実装されるシステム、又は
クラウド計算資源を使用して少なくとも部分的に実装されるシステム
のうちの少なくとも1つに含まれる、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
処理回路
を備えるプロセッサであって、前記処理回路が、
第1の確率分布を表す第1の物体の第1の追跡状態及び第2の確率分布を表す第2の物体の第2の追跡状態を作成し、
前記第1の物体又は前記第2の物体のうちの1つの現在の検出に対応する現在の障害物境界線を、LiDAR測定値に少なくとも部分的に基づいて決定し、
前記現在の障害物境界線を、第1のベロシティ推定値を生成するために前記第1の追跡状態に対応する第1の障害物境界線と、及び第2のベロシティ推定値を生成するために前記第2の追跡状態に対応する第2の障害物境界線と比較し、
前記第1の確率分布及び前記第1のベロシティ推定値を使用する第1のコスト関数と、前記第2の確率分布及び前記第2のベロシティ推定値を使用する第2のコスト関数とを計算し、
前記第1のコスト関数が前記第2のコスト関数より小さいことに少なくとも部分的に基づいて、前記現在の障害物境界線が前記第1の障害物境界線に最も密接に対応すると決定し、
前記第1のベロシティ推定値を使用して前記第1の追跡状態を更新して、前記第1の物体に対応する更新された第1の追跡状態を生成する、プロセッサ。
【請求項10】
前記第1の追跡状態及び前記第2の追跡状態を前記現在の検出に対応する座標系に変換してエゴマシンのエゴ運動を説明するための処理回路をさらに備える、請求項9に記載のプロセッサ。
【請求項11】
前記第1の追跡状態が、前記第1の障害物境界線の第1のベロシティ・ベクトルに関する第1のカルマン・フィルタに対応し、
前記第2の追跡状態が、前記第2の障害物境界線の第2のベロシティ・ベクトルに関する第2のカルマン・フィルタに対応する、
請求項9に記載のプロセッサ。
【請求項12】
前記第1の障害物境界線が、第1の幾何学的形状を示す第1の形状メトリックを含み、
前記現在の障害物境界線が、第2の幾何学的形状を示す第2の形状メトリックを含み、そして、
前記現在の障害物境界線が前記第1の障害物境界線に最も密接に対応するという決定がさらに、前記第1の幾何学的形状及び前記第2の幾何学的形状に少なくとも部分的に基づく、
請求項9に記載のプロセッサ。
【請求項13】
前記更新された第1の追跡状態が、前記第1の追跡状態より低い不確実性を有する、請求項9に記載のプロセッサ。
【請求項14】
マハラノビス距離を使用するゲーティング関数を実行して、前記第1の追跡状態及び前記第2の追跡状態以外の1つ又は複数の追跡状態をフィルタ処理で取り除くための処理回路をさらに備える、請求項9に記載のプロセッサ。
【請求項15】
前記プロセッサが、
自律又は半自律マシンのための制御システム、
自律又は半自律マシンのための知覚システム、
シミュレーション動作を実行するためのシステム、
深層学習動作を実行するためのシステム、
エッジ・デバイスを使用して実装されるシステム、
ロボットを使用して実装されるシステム、
1つ又は複数の仮想マシン(VM)を組み込むシステム、
データ・センタにおいて少なくとも部分的に実装されるシステム、或いは
クラウド計算資源を使用して少なくとも部分的に実装されるシステム
のうちの少なくとも1つに含まれる、請求項9に記載のプロセッサ。
【請求項16】
1つ又は複数のLiDARセンサを使用して決定された物体の現在の検出と、前記1つ又は複数のLiDARセンサを使用して決定された前記物体又は別の物体の前の検出と、前記現在の検出と前記前の検出の間の経過時間との間の比較に少なくとも部分的に基づいて、前記物体の推定ベロシティを決定するステップと、
前記推定ベロシティを、1つ又は複数の前に検出された物体に対応する1つ又は複数の追跡物体状態と比較するステップであって、前記1つ又は複数の追跡物体状態のうちのそれぞれの追跡物体状態が、前記前に検出された物体のうちのそれぞれの検出された物体のベロシティに対応する確率分布を表す、ステップと、
前記比較するステップに少なくとも部分的に基づいて、前記物体に対応する最高確率を有する前記前に検出された物体の前に検出された物体を決定するステップと、
前記推定ベロシティを使用して、前記物体に対応する前記最高確率を有する前記前に検出された物体に対応する前記追跡物体状態を更新して、更新された追跡物体状態を生成するステップと
を含む、方法。
【請求項17】
前記比較が、第1の物体境界線と第2の物体境界線との間で行われ、前記比較が、反復最近点(ICP)アルゴリズムを使用して実行される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記推定ベロシティが、大きさ又は方向のうちの少なくとも1つを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記1つ又は複数の追跡物体状態のそれぞれが、カルマン・フィルタを使用して生成される、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記1つ又は複数の追跡物体状態を、前記物体の前記現在の検出に対応する座標系に変換するステップをさらに含み、前記推定ベロシティを前記1つ又は複数の追跡物体状態と前記比較するステップが、前記座標系において行われる、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
LiDAR(light detection and ranging)は、高精度で物体を検出するために使用され得る。たとえば、LiDARセンサは、物体からのレーザー(又は他のソース)の戻り時間を測定し、そして、これらの測定結果の累積が、LiDARセンサの知覚フィールド又は視野内の物体を示す3次元(3D)点群を生成するために、使用され得る。そのようなものとして、LiDARセンサの各スイープは、LiDARセンサからの読み取り時の単一のキャプチャである3D点群を生成するために、使用され得、その後のLiDARスイープは、時間間隔によって分けられ得る。使用の1つの例示的フィールドにおいて、LiDARセンサは、LiDARセンサに近接した及び延いては車両又はマシンに近接した潜在的物体を検出するために、自律又は半自律型車両及び他のマシン・タイプで使用される。たとえば、LiDARセンサは、高いレベルの精度で環境内の物体に対応する境界形状を識別するために使用され得る。しかしながら、多数のタイプのLiDARセンサは、ベロシティ情報をキャプチャしないので、LiDARデータによって生成された境界形状は、通常は、ベロシティ情報を有さない。ベロシティ情報なしに、これらの境界形状は、従来、車両の制御のために使用されない。たとえば、エゴマシンが前進しているときに、物体が、ある程度離れてエゴマシンの前に出現した場合、物体がエゴマシンから遠ざかって行く(たとえば、エゴマシンと同速度又はエゴマシンより高速で)場合とは対照的に、物体がエゴマシンの方へ移動している場合には、異なるアクションが必要とされる可能性が高い。したがって、ベロシティ情報のこの欠如により、ベロシティ情報の代替ソースが、正確で信頼できる制御決定を行うための物体の動きに関する十分な情報を集めるために、従来必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】米国特許出願第16/101,232号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示の実施例は、自律マシン・アプリケーション、たとえば、自律若しくは半自律型車両又はマシン及び/若しくはロボット・プラットフォーム、のためのLiDARデータを少なくとも部分的に介する物体追跡に関する。ベロシティを推定することと1つ又は複数の追跡物体状態と推定ベロシティを比較することとによって物体を識別及び追跡する、システム及び方法が、開示される。比較に基づいて、ある特定の追跡物体状態が、特定の物体に対応するとして識別され、新しい推定ベロシティ・データで更新される。
【0004】
これらの従来の手法とは対照的に、現在のシステム及び方法は、LiDARデータを使用して検出物体又は障害物のベロシティ状態を追跡することができる。たとえば、LiDARデータを単独で使用して、反復最近点(ICP)アルゴリズムが、現在のフレームの検出物体の現在の状態を決定するために使用され得、カルマン・フィルタが、経時的に検出された1つ又は複数の物体の追跡状態を維持するために使用され得る。本開示の実施例は、1つ又は複数の検出された物体のベロシティを推定し、その推定ベロシティを前に検出された物体の1つ又は複数の前の追跡状態と比較し、検出された物体がある特定の前に検出された物体に対応すると決定し、前に検出された物体の追跡状態を推定ベロシティで更新するように構成されたシステムを含む。そのような構成において、各LiDARスイープの間に、システムは、各検出物体を前のLiDARスイープからの検出物体と関連付け、それらの検出物体に関する知られている情報を更新することができる。各検出物体の追跡状態は、たとえば、カルマン・フィルタを使用して、生成されるものとしての確率分布関数(PDF:probability distribution function)を使用して、表すことができ、そこで、PDFは、検出物体のベロシティ(及び/又はベロシティを使用して決定されるものとしての環境内の位置)の確率を表す。その後のフレームに対応する新データが、システムによって分析されるので、追跡状態は、時間とともに精緻化され得る。
【0005】
自律マシン・アプリケーションのためのLiDARデータを使用する物体追跡のための本システム及び方法について、添付の図面を参照して、以下に詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1A】本開示のいくつかの実施例による、物体追跡システムを示すデータ流れ図である。
図1B】本開示のいくつかの実施例による、物体追跡のためのプロセスを示す時間流れ図である。
図2A】本開示のいくつかの実施例による、追跡すべき物体を示す、時間T1における第1のセットのLiDARデータのグラフィック表現である。
図2B】本開示のいくつかの実施例による、追跡すべき物体の更新された場所を示す、T1の後の、時間T2における第2のセットのLiDARデータのグラフィック表現である。
図3】本開示のいくつかの実施例による、検出物体のベロシティに対応する確率分布のグラフィック表現である。
図4】本開示のいくつかの実施例による、駐車中の車両を通過するエゴ車両及び駐車中の車両がエゴ車両によってどのように検出されるかのイラストレーションである。
図5A】本開示のいくつかの実施例による、例示的自律型車両のイラストレーションである。
図5B】本開示のいくつかの実施例による、図5Aの例示的自律型車両のカメラ位置及び視野の実例である。
図5C】本開示のいくつかの実施例による、図5Aの例示的自律型車両の例示的システム・アーキテクチャのブロック図である。
図5D】本開示のいくつかの実施例による、クラウドベースのサーバと図5Aの例示的自律型車両との間の通信のシステム図である。
図6】本開示のいくつかの実施例の実装において使用するのに適した例示的コンピューティングデバイスのブロック図である。
図7】本開示のいくつかの実施例の実装において使用するのに適した例示的データ・センタのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
LiDARデータの使用を介する物体追跡に関連するシステム及び方法について、開示する。本開示は、例示的自律型車両500(本明細書で別法として「車両500」又は「エゴマシン500」と称され、その実例は図5A~5Dを参照して説明される)に関して説明されることがあるが、これは限定を意図していない。たとえば、本明細書に記載のシステム及び方法は、制限なしに、非自律型車両、半自律型車両(たとえば、1つ又は複数の適応型運転者支援システム(ADAS:adaptive driver assistance system)における)、操縦される若しくは操縦されないロボット若しくはロボット・プラットフォーム、倉庫車両、オフロード車両、1つ又は複数のトレーラに連結された車両、飛行船舶、ボート、シャトル、緊急対応車両、オートバイ、電気若しくは原動機付自転車、航空機、建設車両、潜水艦、ドローン、及び/又は他の車両タイプによって使用され得る。加えて、本開示は、自律型車両におけるLiDARデータを介する物体追跡に関して説明されることがあるが、これは限定を意図しておらず、本明細書に記載のシステム及び方法は、拡張現実、仮想現実、混合現実、ロボット工学、セキュリティ及び監視、自律若しくは半自律マシン・アプリケーション、及び/又は、安全アプリケーションが使用され得る任意の他の技術空間において使用され得る。
【0008】
本開示の実施例は、様々なアプリケーション-たとえば、自律又は半自律マシン・アプリケーション-におけるLiDARデータを少なくとも部分的に介する物体追跡に関する。たとえば、1つ又は複数のLiDARセンサは、それらの視野又は知覚フィールドを表す3D LiDARデータを生成し得る-たとえば、LiDARデータは、標準球面投影又は他の投影タイプを表し得る。LiDARセンサは、多数のセットのLiDARデータが生成される-それぞれがLiDARセンサの単一のスイープ又は回転を示す-ように、LiDARデータを連続して生成し得る。LiDARデータのセットは、時間間隔によって区切ることができ、本開示の実施例は、本明細書に記載のように、LiDARデータの第1の(たとえば、現在の)セットを使用し、それをLiDARデータの1つ又は複数の前のセットを示す追跡状態と比較することができる。
【0009】
初期状態において、システムは、自律若しくは半自律型車両又は他のマシンに関連する1つ又は複数のLiDARセンサを使用して生成されたLiDARデータ(たとえば、3D点群の形で)を受信することができる。LiDARデータに基づいて、システムは、-たとえば、各物体に対応するLiDARデータ内で境界線を検出することによって-1つ又は複数の物体を識別することができる。この初期状態において、システムは、もしあれば、物体のうちのどれが移動しているか(及びそうであれば、そのような動きの速度及び方向)に関する情報を有さないことがある。情報のこの欠如を説明するために、システムは、最初に空である物体のベロシティ追跡状態を作成することができる。その後のLiDARデータ生成の間に、システムは、検出された物体のうちの1つ又は複数のベロシティ追跡状態を推定及び精緻化することができる。
【0010】
本開示の実施例において、システムは、現在の物体検出、前のLiDARスイープの間に検出された1つ又は複数の前の物体検出、及びそれぞれのLiDARスイープの間の時間間隔の比較に少なくとも部分的に基づいて、その後のスイープ(「現在の物体検出」)で検出された物体の推定ベロシティを決定することができる。したがって、現在の物体検出は、現在の検出が比較され得る前のスイープにおける1つ又は複数の前の物体検出に基づく複数の推定ベロシティを有し得る。現在の物体検出の位置と前の物体検出の位置との間で、横断された距離が、計算され得る(これらの2つの位置の間の物理距離に基づいて)。座標変換-たとえば、現在のフレームの現在の座標系への-もまた、横断された距離がスイープ間のLiDARセンサのエゴ運動(たとえば、連続するLiDARスイープの間のエゴマシンの運動)を説明するように、適用され得る。横断された距離は、次いで、推定ベロシティを計算するために、LiDARセンサのスイープの間の時間間隔に基づいて、現在の物体検出と前の物体検出との間の経過時間によって割られ得る。推定ベロシティは、大きさ成分及び/又は方向成分を含み得る。
【0011】
本開示の実施例において、システムは、各推定ベロシティをその推定ベロシティの対応する前の物体検出と比較することができる。たとえば、それぞれの前の物体検出は、もしあれば、時間とともに精緻化されるその前の物体検出の、推定ベロシティを示すベロシティ追跡状態(又はより一般的には追跡物体状態)を有し得る。比較は、前のスイープからの第1の物体境界線と現在のスイープの第2の物体境界線との間でもよい。比較は、それぞれの物体境界線に対応するLiDARデータの個別の比較点を提供し得る反復最近点(ICP)アルゴリズムを使用して、実行され得る。システムは、次いで、推定ベロシティがそれぞれの前に検出された物体と対応する可能性を決定するために追跡状態から決定されたものとしての物体の確率分布関数(「PDF」)を使用することができる。
【0012】
本開示の実施例において、システムは、前に検出された物体のうちの1つは現在の物体に対応する最高確率を有すると、それらの対応する前に検出された物体との各推定ベロシティの比較に少なくとも部分的に基づいて決定することができる。最初に、計算及び実行時間を減らすために、システムは、-たとえば、マハラノビス距離を使用して-比較のための最小閾値を決定することができる。たとえば、推定ベロシティが、特定の物体のPDFに関して最小閾値を超える場合、システムは、その特定の物体を検討対象から除外することができる。残りの物体について、推定ベロシティは、現在検出された物体が前に検出された物体のうちの1つ又は複数に対応する可能性を表すコスト関数を使用して、PDFと比較され得る。システムは、次いで、コスト関数を評価し、どの物体-もしあれば-と現在のベロシティを関連付けるかを決定し、関連物体に対応する追跡状態を更新することができる。
【0013】
本開示の実施例において、システムは、現在の物体検出に対応する最高確率を有する前の物体検出に対応する追跡物体状態を更新して、更新された追跡物体状態を生成することができる。たとえば、現在の推定ベロシティは、追跡物体状態に適用され得、カルマン・フィルタは、推定ベロシティを使用して追跡物体状態を更新するために使用され得る。この更新された追跡物体状態は、次いで、経時的にカルマン・フィルタの使用を介して追跡物体状態を精緻化し続けるように、その後のLiDARスイープの間の比較の基礎であり得る。したがって、LiDARデータは、環境内の物体又は障害物に対応するベロシティ情報を識別するために直接使用することができ、エゴマシンの制御決定にLiDARデータが単独で直接適用されることを可能にすることができる。
【0014】
図1Aを参照すると、図1Aは、本開示のいくつかの実施例による、例示的物体追跡システム100(或いは「システム100」と称される)である。本明細書に記載のこの及び他の配置は、単に実例として説明されていることを理解されたい。他の構成及び要素(たとえば、マシン、インターフェース、機能、順番、機能のグループ化など)が、図示されたものに加えて又はそれらの代わりに使用され得、いくつかの要素は、完全に省略され得る。さらに、本明細書に記載の要素の多数は、個別の若しくは分散された構成要素として又は他の構成要素と併せて、並びに任意の適切な組合せ及び場所において実装され得る機能エンティティである。エンティティによって実行されるものとして本明細書に記載された様々な機能は、ハードウェア、ファームウェア、及び/又はソフトウェアによって実施され得る。たとえば、様々な機能は、メモリに記憶された命令を実行するプロセッサによって実施され得る。たとえば、いくつかの実施例において、システム100は、図5A~5Dの例示的自律型車両500、図6の例示的計算デバイス600、及び/又は図7の例示的データ・センタ700のそれらと類似の特徴、機能性、及び/又は構成要素を含み得る。
【0015】
システム100は、様々なシステムのいずれか、若しくはその構成要素でもよく、又は様々なシステムのいずれかに他の方法で関連し得る。たとえば、システム100は、自律又は半自律マシンのための制御システム、自律又は半自律マシンのための知覚システム、シミュレーション動作を実行するためのシステム、深層学習動作を実行するためのシステム、エッジ・デバイスを使用して実装されるシステム、ロボットを使用して実装されるシステム、1つ若しくは複数の仮想マシン(VM)を組み込むシステム、データ・センタにおいて少なくとも部分的に実装されるシステム、及び/又はクラウド計算資源を使用して少なくとも部分的に実装されるシステムを含み得る、又はこれらに対応し得る。
【0016】
図1Aに示すように、システム100は、1つ又は複数の深度知覚センサ102(たとえば、LiDARセンサ、RADARセンサ、超音波センサなど)を含み得る。深度知覚センサ102は、一般に、送信器及び受信器を含むことができ、任意の適切な視野又は知覚フィールド-たとえば、広い視野(たとえば、180度から360度まで)-を含むことができ、深度知覚センサ102に関連するより大きなエリアの視界を獲得するように、実施例において、移動(たとえば、回転)し得る。信号-たとえば、LiDAR信号-は、深度知覚センサ102の近くで物体に反射し得る。物体は、深度知覚センサ102に対して移動していてもよく、深度知覚センサ102は、基礎的表面(たとえば、自律型車両500が運転している道路)に対して移動していてもよい。受信器は、これらの様々な反射された信号の指示を受信する(直接又は間接的に)ことができ、指示は、後で分析するためのデータとして記憶及び/又は送信され得る。
【0017】
深度知覚センサ102は、深度知覚センサ102の動作を制御する及び結果を解釈するために使用され得るセンサ・コントローラ104を有し得る。たとえば、センサ・コントローラ104、又は他のプロセッサは、センサ・データ106を受信し、センサ・データ106に関連する計算を処理、分析、又は他の方法で実行することができる。いくつかの実施例において、深度知覚センサ102及び/又はセンサ・コントローラ104は、図5A~5Cに関して記載されたLiDARセンサ564と類似していてもよく、又は別のタイプの深度知覚センサ102でもよい。
【0018】
センサ・コントローラ104は、図6の車両500及び/又は例示的計算デバイス600内で実行する計算システムなどの、計算システム108にセンサ・データ106を出力することができる。センサ・データ106は、様々な形式のいずれか、たとえば、限定せずに、(2D又は3D)LiDAR点群、投影若しくは範囲画像、及び/又は別のセンサ・データ表現、でもよい。センサ・データ106は、それに関連する様々な機能を実行するために分析され得、他のセンサ・データ106(たとえば、図5A~5Cに示す及び本明細書で論じる様々なセンサ)と併せて使用され得る。LiDARセンサが使用される実施例において、センサ・データ106は、LiDARデータと称されることがあるが、本開示の他の実施例において、センサ・データ106は、別のタイプの深度データ(たとえば、RADAR、超音波などからの)でもよい。
【0019】
システム100は、物体検出器110を含み得る。物体検出器110は、LiDARデータのセットを分析して1つ又は複数の障害物境界線を識別することができる。障害物境界線は、深度知覚センサ102の近くの物理障害物を示すLiDARデータのセットから識別され得る。障害物境界線は、深度知覚センサ102の方を向いている物理障害物の一部を示し得る。実施例において、障害物境界線及び追加の障害物境界線の連続は、深度知覚センサ102から閉塞され得る。したがって、マシン500及び/又は障害物が、互いに対して移動するとき、現存する障害物境界線は、延長され得(たとえば、図4に示す及び本明細書で論じるように、物理障害物の追加部分は現在可視であるので)、新しい又は更新された障害物境界線が、作成され得る(たとえば、対応する物理障害物はもう閉塞されないので)。同様に、2つ以上の障害物境界線が、たとえば、物理障害物の不規則な形状により、同じ物理障害物に対応することがある。
【0020】
LiDARデータ及び識別された障害物境界線の一実例が、図2A及び2Bに示されている。第1のセットのLiDARデータ200が図2Aに示され、第2のセットのLiDARデータ202が図2Bに示されている。検出された障害物境界線に対応する、障害物境界線204が、図2A~2Bに示されている。図2A~2Bはまた、深度知覚センサ102の位置に未実装であるが対応している(しかし、図2A又は図2Bに示されていない)中心領域206並びにそこから延びる半径を含む。マシン表現208は、参照するための障害物との関連でマシン(たとえば、車両500)のおおよそのサイズ及び位置を提供するために、中心領域206内に配置されている。情報はこのエリアについて入手可能であるが障害物は検出されていないことを示し得る、一連の同心円210もまた示されている。障害物が検出された場合、同心円210内に障害物が存在する可能性があり、障害物境界線204の後ろ(深度知覚センサ102の視点から)に閉塞された領域212(空の余白によって示される)が存在する可能性がある。障害物及び/又は深度知覚センサ102が、互いに対して移動し、それによって、閉塞を取り除くとき、閉塞された物体は、プロセスの追加の反復において可視になり得る。図2Bの障害物境界線204は、図2Aの障害物境界線に対して移動した。
【0021】
システム100は、追跡状態マネージャ112を含み得る。追跡状態マネージャ112は、物体検出器110によって識別された様々な追跡状態を作成及び更新し得る。追跡状態は、本明細書に記載の方法のその後の反復の間で経時的に追跡された障害物を示し得る。追跡状態は、障害物の速度及び方向(マシンに対する、地面に対する、又は何らかの他の参照フレームに対する)を判定するために使用され得る。
【0022】
LiDARデータは、障害物の速度及び方向を直接測定しないので、本開示の実施例は、カルマン・フィルタを使用して障害物の速度及び方向の精緻化された推定値を生み出すことができ、障害物に関連する他の変数を含むことができる。本開示のいくつかの実施例において、1つ又は複数の追跡物体状態のそれぞれは、カルマン・フィルタを使用して、生成及び/又は精緻化される。
【0023】
線形二次推定(LQE:linear quadratic estimation)としても知られ得る、カルマン・フィルタは、経時的に1セットの不正確な及び/又は間接的な測定結果を使用して何らかの知られていない変数の推定値を生み出す。本開示の実施例において、推定されている知られていない変数は、方向及び/又は速度情報を含み得る、検出された障害物のベロシティでもよい。カルマン・フィルタは、不正確な及び/又は間接的測定結果に基づいて、知られていない変数の推定値を生み出すことができる、予測動作を含み得る。第二に、不正確な及び/又は間接的測定結果の新しいセットが受信されたとき、カルマン・フィルタ推定は、更新され得る。実施例において、より多くの重みが、より高い確実性を有するデータ及び/又は推定値に与えられ得る。カルマン・フィルタは、変更形態のいずれか、たとえば、拡張カルマン・フィルタ又はアンセンテッド・カルマン・フィルタ、を含み得る又はそれらのいずれかでもよい。
【0024】
システム100は、ベロシティ推定器114を含み得る。ベロシティ推定器は、1つ又は複数の追跡状態に対応する検出された物体の推定ベロシティを決定することができる。ベロシティ推定器114は、1つ又は複数の現存する追跡状態との仮説相関関係に基づいて、新しく検出された障害物境界線の推定ベロシティを決定することができる。推定ベロシティは、大きさ又は方向成分のうちの少なくとも1つを含み得る。いくつかのインスタンスにおいて、追跡状態のうちのどれ(もしあれば)が現在の障害物境界線に対応するかの決定は、ベロシティの大きさ成分、ベロシティの方向成分、又はその両方に基づき得る。
【0025】
ベロシティ推定器114は、1つ又は複数のLiDARセンサを使用して判定された物体の現在の検出、1つ又は複数のLiDARセンサを使用して決定されたその物体又は別の物体の前の検出、及び現在の検出と前の検出との間の経過時間を比較することによって、推定ベロシティを決定することができる。経過時間によって割られたそれぞれの検出の2つの位置の間の物理距離は、推定ベロシティの大きさ及び/又は方向を与え得る。ベロシティ推定器114は、ゲーティング関数を介して潜在的距離及び/又は推定ベロシティを渡すことができる。ゲーティング関数は、距離、ベロシティ、又は他の属性がある特定の閾値未満である場合に、追加の計算及び/又は検討を単に可能にし得る。ゲーティング関数は、実際には相互に関連する可能性が低い潜在的マッチに関連する不必要な計算を防ぐことができる。他の実施例において、ゲーティング関数は、推定ベロシティが決定された後に及び相関関係を決定するための比較の前に、適用され得る。
【0026】
ベロシティ推定器114は、座標コンバータを含み得る。座標コンバータは、1つ又は複数の追跡物体状態を物体の現在の検出に対応する座標系に変換することができ、そこで、推定ベロシティを1つ又は複数の追跡物体状態と比較することは、座標系においてである。2つの-たとえば、連続的-フレームを比較する(たとえば、2つの連続的点群を比較する)とき、1つのフレーム(たとえば、前のフレーム)は、エゴ運動を補うように、その後の又は現在のフレームの座標系に変換又は修正され得る(又はその逆)。エゴ運動の補償によって、エゴ車両の運動は除外されてあるので、分析は、エゴ車両に対する物体の動きを説明するだけでよい-それによって、同じ座標系内の2つのフレーム(たとえば、2つのLiDAR点群)のアラインメントを可能にする。
【0027】
推定ベロシティが決定された後は、追跡状態マネージャ112(又は他の構成要素)は、追跡状態のうちのどれが現在の物体境界線に対応するかを決定し、それに応じてカルマン・フィルタを使用して新しい情報でそのような追跡状態を更新することができる。追跡状態マネージャ112は、1つ又は複数の前に検出された物体に対応する1つ又は複数の追跡物体状態と推定ベロシティを比較することができる。
【0028】
ここで図3を見ると、追跡状態マネージャ112は、前に検出された物体のうちのそれぞれの検出された物体のベロシティに対応する確率分布を作成及び/又は分析することができる。例示的確率分布図300が、図3に示されている。一般に、確率分布図300は、確率軸302(たとえば、分布の重み)及び値軸304を有する。本開示のいくつかの実施例は、より高い次元(たとえば、3D)の検討を使用し得るということ、及び図3は、読者の理解を容易にするための簡略化された確率分布図300を提示しているということもまた理解されたい。
【0029】
第1の確率分布306及び第2の確率分布308が、確率分布図300上に示されている。測定値310が、第1の確率分布306及び第2の確率分布308に関連するある特定の位置に示されている。本開示の実施例は、もしあれば、確率分布306、308のうちのどちらが測定値310に対応する可能性が最も高いかを決定する。
【0030】
第1の確率分布306は、関連する第1のゲーティング関数312を有し得る。相対的に広い第1の確率分布306は、多種多様な測定結果が第1の確率分布に対応し得るということ示す、対応して広いゲーティング関数を有し得る。第2の確率分布308は、関連する第2のゲーティング関数314を有し得る。相対的にシャープな第2の確率分布308は、多様性の限られた測定結果が第2の確率分布に対応し得るということを示す、対応して狭いゲーティング関数を有し得る。図3の実例において見られるように、測定値310は、第1のゲーティング関数312と第2のゲーティング関数314との両方の中にある。測定値310が、1つ又は複数のゲーティング関数の外にあるとしたら、対応する確率分布は、もはや考慮されなくなる。
【0031】
図3の実例では、測定値310は、ゲーティング関数312、314の両方を通過する(たとえば、それらの内側にある)ので、追跡状態アナライザ112(又は他の構成要素)は、測定値310(現在の障害物境界線を示す)に対応する最高確率を有する(又はその中にある)確率分布(1セットの前に検出された物体のうちの1つの前に検出された物体を示す)を決定することができる。追跡状態アナライザ112は、測定値310とそれぞれの確率分布306、308との間のある特定の距離を分析することができる。本開示のいくつかの実施例において、ある特定の距離は、その測定値に関連する確率分布の高さによって表される、最高の可能性に基づき得る。したがって、測定値310が、図示するように、第2の確率分布308に可能性において最も近いので、追跡状態アナライザ112は、測定値310に対応する可能性が最も高いものとして第2の確率分布を選択することができる。
【0032】
本開示の他の実施例において、ある特定の距離は、コスト関数としてのマハラノビス距離でもよい。しかしながら、マハラノビス距離は、より広い確率分布に有利に働き得る。これは、マハラノビス距離は第1の確率分布306についてより小さくなり得るからである。したがって、本開示の実施例において、マハラノビス距離が、ゲーティング関数のために使用され得、一方、選択は、可能性(たとえば、それぞれの確率分布の鉛直高さ)に基づく。
【0033】
対応する追跡状態が識別された後は、追跡状態マネージャ112(又は他の構成要素)は、物体に対応する最高確率を有する前に検出された物体に対応する追跡物体状態を、推定ベロシティを使用して更新して、更新された追跡物体状態を生成することができる。更新された追跡状態は、精緻化された追跡状態と称され得る。追跡状態マネージャ112は、精緻化された追跡状態を作成する際にカルマン・フィルタを使用することができる。
【0034】
システム100は、車両コントローラ116を含み得る。図1Aを参照すると、システム100は、追跡状態における情報を分析して深度知覚センサ102の周囲の物理環境内の障害物を判定することができる車両コントローラ116を含み得る。車両コントローラ116は、次いで、決定された障害物に基づく1つ又は複数の車両アクション、たとえば、ブレーキを作動させること又は車両の向きを変えること、を指示する又はそれに関連する情報を送信することができる。たとえば、車両コントローラ116は、知覚層、世界モデル管理層、計画立案層、制御層、作動層、障害物回避層、及び/又は1つ若しくは複数の他の層を含み得る自律運転ソフトウェア・スタックを実行し得る(又は他の方法でそれに関連し得る)。
【0035】
システム100は、図5A~5D、及び6に関して図示及び記述されたように、自律型車両500内の計算システム600と関連し得る。たとえば、自律して動作している自律型車両500は、障害物の周りの多くの観測を行っている及びそれらの障害物を回避するために車両500が実行する多数のアクションを決定しているコンピュータ・システム600を含み得る。
【0036】
ここで図1Bを参照すると、本明細書に記載される、方法150の各ブロックは、任意の組合せのハードウェア、ファームウェア、及び/又はソフトウェアを使用して実行することができる計算プロセスを含み得る。たとえば、様々な機能が、メモリに記憶された命令を実行するプロセッサによって実施され得る。方法150はまた、非一時的コンピュータ記憶媒体に記憶されたコンピュータ使用可能命令として実施され得る。方法150は、いくつか例を挙げると、独立型アプリケーション、サービス若しくはホスト型サービス(独立型の若しくは別のホスト型サービスと組み合わせた)、又は別の製品へのプラグインによって、提供され得る。加えて、方法150は、例として、図1Aのシステム100及び/又は図6のコンピュータ・システム600に関して説明される。しかしながら、この方法は、追加で又は別法として、本明細書に記載のものを含むがこれらに限定されない、任意の1つのシステム、又は任意の組合せのシステムによって実行され得る。
【0037】
図1Bは、本開示のいくつかの実施例による、その後のセットのLiDARデータ(又は他の深度知覚データ)の間で物体を検出及び追跡する並びに経時的にそれらの検出を精緻化するための方法150を示す流れ図である。方法150は、ブロックB102において、たとえば、深度知覚センサ102及び/又はセンサ・コントローラ104から、現在の検出を取得することを含む。方法150は、ブロックB102において、LiDARデータから1つ又は複数の物体境界線を決定することを含むことができ、そこで、物体境界線は、図2A~Bに示す及び本明細書で論じるように、LiDARデータにおいて検出されたものとしての1つ又は複数の物体を定義することができる。現在の検出(図1Bの現在の検出A)は、深度知覚センサ102(たとえば、LiDARセンサ)から受信することができ、そこで、現在の検出は、ある特定の時間における深度知覚センサ102のスイープ又は他のキャプチャを示す。現在の検出における1つ又は複数の物体境界線は、推定ベロシティの決定のためのある特定の時間と関連し得る。
【0038】
方法150は、ブロックB104において、現在の検出の1つ又は複数の物体境界線を1つ又は複数の前の検出及び/又は追跡状態と比較することを含む。第1の追跡状態(図1Bの追跡状態1)及び第2の追跡状態(図1Bの追跡状態2)は、それぞれ、現在の検出の物体境界線に関連して考慮され得る。第1の追跡状態及び第2の追跡状態は、現在の検出の物体境界線と相互に関連する潜在的候補でもよい。
【0039】
本開示の実施例において、方法150は、ブロックB104において、現在の障害物境界線を第1のベロシティ推定値を生成するための第1の追跡状態に対応する第1の障害物境界線と第2のベロシティ推定値を生成するための第2の追跡状態に対応する第2の障害物境界線とを、反復最近点(ICP)アルゴリズムを使用して、比較することを含む。反復最近点アルゴリズムは、第1の追跡状態と組み合わせたオフセット・ベクトルが第2の追跡状態に合うように、オフセット・ベクトルを識別することができる。実施例において、ICPアルゴリズムは、障害物の動き(もしあれば)の大きさ及び方向を示すオフセット・ベクトルを計算することができる。様々な距離及びベロシティ測定結果が、オフセット・ベクトルに基づいて計算され得る。
【0040】
ICPアルゴリズムの一実例が、図4に図表で示されており、そこで、エゴ車両400は、駐車中の車両402に対して移動している。一連の4つの検出404(連続的に示された)は、駐車中の車両402をエゴ車両400が通り過ぎるとき、キャプチャされる。対応するセットの4つの障害物境界線406A~Dが、検出される。検出1(エゴ車両400が駐車中の車両402から遠い及びそれに近づくときに、取得された)は、駐車中の車両402の第1の端を示す直線である第1の障害物境界線406Aを含む。検出1の重心408Aは、この直線の中心にある。検出2(エゴ車両400が駐車中の車両402に近い及び近づいているときに、取得された)は、エゴ車両400に関する深度知覚センサ102に可視の駐車中の車両402の一部を示す、「L」形状である第2の障害物境界線406Bを含む。検出2の重心408Bは、「L」形状の平均位置にある。ICPアルゴリズムは、第1の障害物境界線406Aを第2の障害物境界線406Bと関連付けて、より完全な障害物境界線を提供することができる。検出2に関連して、第1の障害物境界線406Aは、第2の障害物境界線406Bに対して破線で示されている。検出3(エゴ車両400が駐車中の車両402に近い及びそれを通過しているときに、取得された)は、エゴ車両400の深度知覚センサ102に可視の駐車中の車両402の一部を示す、「L」形状である第3の障害物境界線406Cを含む。検出3の重心408Cは、「L」形状の平均位置にある。ICPアルゴリズムは、第1の障害物境界線406A及び/又は第2の障害物境界線406B(又は第1の障害物境界線406A及び第2の障害物境界線406Bの両方を少なくとも部分的に示す結合された障害物境界線)を第3の障害物境界線406Cと関連付けて、より完全な障害物境界線を提供することができる。検出4(エゴ車両400が駐車中の車両402を過ぎたときに、取得された)は、駐車中の車両402の第2の端を示す直線である第4の障害物境界線406Dを含む。検出4の重心408Dは、この直線の中心にある。ICPアルゴリズムは、第1の障害物境界線406A、第2の障害物境界線406B、及び/又は第3の障害物境界線406D(又はその何らかの組合せを少なくとも部分的に示す結合された障害物境界線)を第4の障害物境界線406Dと関連付けて、より完全な障害物境界線を提供することができる。検出3及び4は、エゴ車両400が駐車中の車両402を通過するときに、取得され、検出2及び1の実質的に映された障害物境界線(これは例示のみを目的とするが)をそれぞれ含む、ということを理解されたい。通常は、それぞれの検出は、ある特定の障害物に対する相対位置においてではなく、時間間隔で行われることになる。図4は、例示のみを目的として、それぞれの検出を示す。
【0041】
先行システムは、各反復(たとえば、検出1~4)における障害物の位置の決定のために重心408A~Dのみを用いた、ということを理解されたい。図4に示されるように、エゴ車両400が、駐車中の車両402を通過する間に、重心408A~Dは、移動する。これは、先行技術システムにおいて、検出された運動を生成することになった。ICPアルゴリズムは、重心408A~Dに依拠する代わりに、それぞれの障害物境界線406A~Dを比較することによって、駐車中の車両402の知覚される運動を減らす又はなくする。ICPアルゴリズムは、2つ以上の障害物境界線406A~Dを位置合わせするためのオフセット・ベクトルを計算するために、使用され得る。図4の駐車中の車両402について、オフセット・ベクトルは、駐車中の車両の検出される動きをほとんど又はまったくもたらさず、ゼロ又はほぼゼロになる。移動している車両(図4に示さず)について、並進ベクトルは、その車両の動きの方向及び大きさを示すことになろう。動きの大きさは、検出の間の時間間隔によって割られた2つのそれぞれの検出の間の障害物の並進に少なくとも部分的に基づいて決定され得る。オフセット・ベクトルの方向は、並進の方向に少なくとも部分的に基づいて決定され得る。
【0042】
本開示の実施例において、現在の障害物検出と1つ又は複数の前の検出との比較は、それぞれの障害物の形状の類似性に少なくとも部分的に基づく。これは、形状はLiDARデータの単一フレームの間で劇的に変化する可能性は低いからである。第1の障害物境界線は、第1の幾何学的形状を示す第1の形状メトリックを含み得、現在の障害物境界線は、第2の幾何学的形状を示す第2の形状メトリックを含み得る。したがって、現在の障害物境界線は第1の障害物境界線に最も密接に対応するという決定はさらに、第1の幾何学的形状及び第2の幾何学的形状に少なくとも部分的に基づき得る。
【0043】
現在の検出の第1の物体境界線と追跡状態の第2の物体境界線の前述との比較は、ICPアルゴリズムを使用して、少なくとも部分的に、実行され得る。ICP位置変更は、図4の実例において劇的であるが、本開示の実施例において、連続するLiDARデータ・セットは、はるかに近くに共にあり得る。したがって、LiDARデータの2つの連続するスキャンの間の障害物境界線406A~Dの形状の差は、最小限であり得、連続するスキャンの間の物理物体の動きの正確な測定を提供し得る。本開示の実施例において、ICPアルゴリズムは、1つ又は複数の追跡物体状態を説明する、又は他の方法で物体の現在の検出に対応する座標系に変換することができ、推定ベロシティを1つ又は複数の追跡物体状態と比較することは、更新された座標系においてでもよい、ということを理解されたい。更新された座標系へのこの変換は、エゴマシン500の測定された運動(たとえば、エゴ運動)に基づき得る。
【0044】
方法150は、ブロックB106において、現在の検出と前の検出及び/又は追跡状態のいずれかとの間に相関関係が存在するかを決定することを含む。この動作は、各潜在的相関関係の推定ベロシティに関連するコスト関数(又は他の確率分布)を決定することによって、実行され得る。潜在的マッチの推定ベロシティが、決定され得、次いで、相関関係の可能性を示すコスト関数が、推定ベロシティに少なくとも部分的に基づいて計算され得る。物体の推定ベロシティは、1つ又は複数のLiDARセンサを使用して決定された物体の現在の検出、1つ又は複数のLiDARセンサを使用して決定されたその物体又は別の物体の前の検出、及び現在の検出と前の検出との間の経過時間の比較に少なくとも部分的に基づいて、決定され得る。物体の現在の検出及びその物体の前の検出は、両方とも、参照位置としてICPを使用することができ、その物体の前の検出が、座標変換によって調整され得る。
【0045】
方法150は、ブロックB106において、推定ベロシティを、1つ又は複数の前に検出された物体に対応する1つ又は複数の追跡物体状態と比較することをさらに含むことができ、1つ又は複数の追跡物体状態のうちのそれぞれの追跡物体状態は、前に検出された物体のうちのそれぞれの検出された物体のベロシティに対応する確率分布を表す。確率分布は、推定ベロシティがその追跡物体状態に対応する可能性を示し得る。確率分布の分析に基づいて、前に検出された物体のうちの1つが、物体に対応する最高確率を有する又はその中にあるとして識別され得る。
【0046】
方法150は、ブロックB106において、確率分布に対応するコスト関数を計算することをさらに含む。図1Bの実例において、現在の検出Aは、追跡状態1と比較されて第1の確率分布を生み出し、追跡状態2と比較されて第2の確率分布を生み出し得る。コスト関数は、図3に示すような対応する確率分布に少なくとも部分的に基づき得る。第1のコスト関数は、第1の確率分布及び第1のベロシティ推定値を使用して計算され得る。第2のコスト関数は、第2の確率分布及び第2のベロシティ推定値を使用して計算され得る。
【0047】
コスト関数は、もしあれば、どれが現在の障害物境界線と対応する可能性が最も高いかを決定するために、評価され得る。通常は、より低いコスト関数は、相関関係のより高い可能性を示す。方法150は、ブロックB106において、現在の障害物境界線は第1の障害物境界線に最も密接に対応すると、第1のコスト関数が第2のコスト関数より小さいことに基づいて、決定することをさらに含み得る。
【0048】
第1の追跡状態との相関関係を見つけたとき、方法150は、ブロックB108において、第1の追跡状態を更新することを含む。別法として、第2の追跡状態との相関関係を見つけたとき、方法150は、ブロックB110において、第2の追跡状態を更新することを含む。それぞれの更新された追跡状態は、それぞれの追跡状態に対応することが分かった、前の障害物境界線並びに現在の障害物境界線の情報を含み得る。
【0049】
相関関係が見つからなかったとき、方法150は、ブロックB112において、物体の新しい追跡状態を作成することを含む。前の追跡状態との相関関係が見つからなかった場合、新しく発見された物体は、遠方から又は閉塞の背後から視野に入っている可能性がある。新しい追跡状態は、次いで、その後の現在の障害物境界線が新しい追跡状態と対応するかを判定するためのさらなる比較のために使用され得る。そのようなものとして、新しい追跡状態は、深度知覚センサ102のその後のスイープにおいて精緻化され得る。
【0050】
方法150は、ブロックB108に続くブロックB114において、カルマン・フィルタを第1の追跡状態に適用することを含む。方法150は、ブロックB116において、精緻化された第1の追跡状態を作成することを含む。精緻化された追跡状態が、追加情報を追跡の状態に追加するためにカルマン・フィルタの適用を介して作成され得る。精緻化された追跡状態は同じ物理障害物の1つ又は複数の前の障害物検出に加えて現在の障害物検出を示し得る(直接に又は間接的に)。同様に、方法150は、ブロックB110に続くブロックB118で、カルマン・フィルタを第2の追跡状態に適用することを含む。方法150は、ブロックB120において、精緻化された第2の追跡状態を作成することを含む。
【0051】
方法150は、ブロックB120において、精緻化された及び/又は新しい追跡状態に少なくとも部分的に基づいてマシンを制御することを含む。たとえば、追跡状態は、直接に又は間接的に、自律型車両500又は他のマシンに影響し得る物理物体を示し得る。そのようなものとして、障害物は、他の車両又は歩行者などの、動くものでもよく、或いはたとえば、建物及び木などの、動かないものでもよい。障害物は、車両に対する位置、3D運動ベクトル(加速、回転、又は他の運動指示を含み得る)、及び相対サイズ(いくつの画素が障害物と対応するかに基づく)を有し得る。いくつかの実施例において、障害物に関する情報に少なくとも部分的に基づいて、システム100は、障害物が車両に影響し得る可能性を決定することができ、システムは、障害物を回避するように実行されるべき1つ又は複数の救済アクションを決定することができる。たとえば、車両コントローラ118は、車両は、障害物を回避するために、ブレーキをかける、方向を変える、又は加速するべきである、と決定することができる。障害物が回避され得ないインスタンスにおいて、システム100は、ダメージを最小限にすること又は他の安全機能をアクティブにすることなど、1つ又は複数の救済アクションが取られるべきであると決定することができる。ブロックB120の制御は、1つ又は複数の救済アクションを取ることによって識別された障害物を回避するために実行され得る。車両の制御は、図5A~5Dに関して記載のものなど、多数の車両システムのいずれかにコマンドを送ることを含み得る。
【0052】
例示的自律型車両
図5Aは、本開示のいくつかの実施例による、例示的自律型車両500の図である。自律型車両500(本明細書で別法として「車両500」と称する)は、旅客車両、たとえば、乗用車、トラック、バス、ファースト・レスポンダ車両、シャトル、電気若しくは原動機付自転車、オートバイ、消防車、警察車両、救急車、ボート、建設車両、潜水艦、ドローン、トレーラに連結された車両、及び/又は別のタイプの車両(たとえば、無人の及び/又は1人若しくは複数の乗客を乗せた)、を含み得るが、これらに限定されない。自律型車両は、一般に、米国運輸省道路交通安全局(NHTSA:National Highway Traffic Safety Administration)、米国運輸省の部署、及び自動車技術者協会(SAE:Society of Automotive Engineers)「Taxonomy and Definitions for Terms Related to Driving Automation Systems for On-Road Motor Vehicle」(2018年6月15日に公開された規格番号J3016-201806、2016年9月30日に公開された規格番号J3016-201609、及びこの規格の前の及び未来のバージョン)によって定義される、自動化レベルに関して記述される。車両500は、自律運転レベルのレベル3~レベル5のうちの1つ又は複数による機能の能力を有し得る。たとえば、車両500は、実施例に応じて、条件付き自動化(レベル3)、高度自動化(レベル4)、及び/又は完全自動化(レベル5)の能力を有し得る。
【0053】
車両500は、車両のシャシ、車体、車輪(たとえば、2、4、6、8、18など)、タイヤ、車軸、及び他の構成要素などの構成要素を含み得る。車両500は、内部燃焼エンジン、ハイブリッド動力装置、完全な電気式エンジン、及び/又は別の推進システム・タイプなど、推進システム550を含み得る。推進システム550は、車両500の推進力を有効にするために、トランスミッションを含み得る、車両500のドライブ・トレインに接続され得る。推進システム550は、スロットル/加速装置552からの信号の受信に応答して制御され得る。
【0054】
ハンドルを含み得る、ステアリング・システム554は、推進システム550が動作しているときに(たとえば、車両が移動中のときに)車両500のかじを取る(たとえば、所望の進路又はルートに沿って)ために使用され得る。ステアリング・システム554は、ステアリング・アクチュエータ556から信号を受信することができる。ハンドルは、完全自動化(レベル5)機能のオプションでもよい。
【0055】
ブレーキ・センサ・システム546は、ブレーキ・アクチュエータ548及び/又はブレーキ・センサからの信号の受信に応答して車両ブレーキを動作させるために使用され得る。
【0056】
1つ又は複数のシステム・オン・チップ(SoC:system on Chip)504(図5C)及び/又はGPUを含み得る、コントローラ536は、車両500の1つ若しくは複数の構成要素及び/又はシステムに信号(たとえば、コマンドの表現)を提供することができる。たとえば、コントローラは、1つ又は複数のブレーキ・アクチュエータ548を介して車両ブレーキを動作させて、1つ又は複数のステアリング・アクチュエータ556を介してステアリング・システム554を動作させて、1つ又は複数のスロットル/加速装置552を介して推進システム550を動作させるために、信号を送ることができる。コントローラ536は、センサ信号を処理する、並びに律的運転を可能にするために及び/又は運転者の車両500の運転を支援するために動作コマンド(たとえば、コマンドを表す信号)を出力する、1つ又は複数の搭載された(たとえば、統合された)計算デバイス(たとえば、スーパーコンピュータ)を含み得る。コントローラ536は、自律運転機能のための第1のコントローラ536、機能的安全性機能のための第2のコントローラ536、人工知能機能(たとえば、コンピュータ・ビジョン)のための第3のコントローラ536、インフォテインメント機能のための第4のコントローラ536、緊急状態における冗長性のための第5のコントローラ536、及び/又は他のコントローラを含み得る。いくつかの実例では、単一のコントローラ536が、前述の機能のうちの2個以上を処理することができ、2個以上のコントローラ536が、単一の機能、及び/又はその任意の組合せを処理することができる。
【0057】
コントローラ536は、1つ又は複数のセンサから受信したセンサ・データ(たとえば、センサ入力)に応答して車両500の1つ若しくは複数の構成要素及び/又はシステムを制御するための信号を提供することができる。センサ・データは、たとえば、そして制限なしに、全地球的航法衛星システム・センサ558(たとえば、グローバル・ポジショニング・システム・センサ)、RADARセンサ560、超音波センサ562、LIDARセンサ564、慣性計測装置(IMU:inertial measurement unit)センサ566(たとえば、加速度計、ジャイロスコープ、磁気コンパス、磁力計など)、マイクロフォン596、ステレオ・カメラ568、ワイドビュー・カメラ570(たとえば、魚眼カメラ)、赤外線カメラ572、サラウンド・カメラ574(たとえば、360度カメラ)、長距離及び/又は中距離カメラ598、スピード・センサ544(たとえば、車両500のスピードを測定するための)、振動センサ542、ステアリング・センサ540、ブレーキ・センサ(たとえば、ブレーキ・センサ・システム546の一部としての)、及び/又は他のセンサ・タイプから受信され得る。
【0058】
コントローラ536のうちの1つ又は複数のコントローラは、車両500の計器群532から入力(たとえば、入力データによって表される)を受信し、出力(たとえば、出力データ、表示データなどによって表される)をヒューマン・マシン・インターフェース(HMI:human-machine interface)ディスプレイ534、可聴式アナンシエータ、ラウドスピーカ、及び/又は車両500の他の構成要素を介して提供することができる。出力は、車両ベロシティ、スピード、時間、マップ・データ(たとえば、図5CのHDマップ522)、位置データ(たとえば、マップ上などの、車両500の位置)、方向、他の車両の位置(たとえば、占有グリッド)、コントローラ536によって把握されるものとしての物体及び物体の状況に関する情報などの、情報を含み得る。たとえば、HMIディスプレイ534は、1つ又は複数の物体(たとえば、道路標識、警告標識、交通信号の変化など)の存在、及び/又は車両が行った、行っている、又は行い得る運転操作(たとえば、今、車線変更をしていること、3.22km(2マイル)内の出口34Bを出ることなど)に関する情報を表示することができる。
【0059】
車両500はさらに、1つ若しくは複数のワイヤレス・アンテナ526及び/又はモデムを使用して1つ若しくは複数のネットワークを介して通信することができるネットワーク・インターフェース524を含む。たとえば、ネットワーク・インターフェース524は、LTE、WCDMA(登録商標)、UMTS、GSM、CDMA2000などを介する通信の能力を有し得る。ワイヤレス・アンテナ526はまた、ブルートゥース(登録商標)、ブルートゥース(登録商標)LE、Z-Wave、ZigBeeなどのローカル・エリア・ネットワーク、及び/又はLoRaWAN、SigFoxなどのロー・パワー・ワイドエリア・ネットワーク(LPWAN:low power wide-area network)を使用し、環境内の物体(たとえば、車両、モバイル・デバイスなど)の間の通信を可能にすることができる。
【0060】
図5Bは、本開示のいくつかの実施例による、図5Aの例示的自律型車両500のカメラ位置及び視野の実例である。カメラ及びそれぞれの視野は、1つの例示的実施例であり、制限することは意図されていない。たとえば、追加の及び/又は代替カメラが含まれ得る、及び/又はカメラは車両500の異なる位置に置かれ得る。
【0061】
カメラのカメラ・タイプは、車両500の構成要素及び/又はシステムと使用するようになされ得るデジタル・カメラを含み得るが、これに限定されない。カメラは、自動車安全整合性レベル(ASIL:automotive safety integrity level)Bにおいて及び/又は別のASILにおいて動作することができる。カメラ・タイプは、実施例に応じて、60フレーム/秒(fps)、120fps、240fpsなど、任意の画像キャプチャ・レートの能力を有し得る。カメラは、ロール・シャッタ、グローバル・シャッタ、別のタイプのシャッタ、又はその組合せを使用する能力を有し得る。いくつかの実例では、カラー・フィルタ・アレイは、RCCC(red clear clear clear)カラー・フィルタ・アレイ、RCCB(red clear clear blue)カラー・フィルタ・アレイ、RBGC(red blue green clear)カラー・フィルタ・アレイ、Foveon X3カラー・フィルタ・アレイ、Bayerセンサ(RGGB)カラー・フィルタ・アレイ、モノクロ・センサ・カラー・フィルタ・アレイ、及び/又は別のタイプのカラー・フィルタ・アレイを含み得る。一部の実施例では、RCCC、RCCB、及び/又はRBGCカラー・フィルタ・アレイを有するカメラなどのクリア画素カメラは、光感度を上げるための取り組みにおいて使用され得る。
【0062】
いくつかの実例では、カメラのうちの1つ又は複数が、高度運転者支援システム(ADAS:advanced driver assistance system)機能(たとえば、冗長又はフェイルセーフ設計の一部として)を実行するために使用され得る。たとえば、多機能モノ・カメラは、車線逸脱警報、交通標識アシスト及びインテリジェント・ヘッドランプ制御を含む機能を提供するために設置され得る。カメラのうちの1つ又は複数(たとえば、すべてのカメラ)が、画像データ(たとえば、ビデオ)を同時に記録及び提供することができる。
【0063】
カメラのうちの1つ又は複数は、カメラの画像データ・キャプチャ能力を妨げることがある自動車内からの迷光及び反射(たとえば、フロントガラスのミラーにおいて反射されたダッシュボードからの反射)を取り除くために、カスタム設計された(3D印刷された)部品などの取付部品において取り付けられ得る。サイドミラー取付部品を参照すると、サイドミラー部品は、カメラ取付板がサイドミラーの形状に合うように、カスタム3D印刷され得る。いくつかの実例では、カメラは、サイドミラー内に統合され得る。サイドビュー・カメラについては、カメラはまた、キャビンの各角にある4個の支柱内に統合され得る。
【0064】
車両500の前の環境の部分を含む視野を有するカメラ(たとえば、前向きのカメラ)は、前向きの進路及び障害物の識別を助け、1つ若しくは複数のコントローラ536及び/又は制御SoCの助けにより、占有グリッドの生成及び/又は好ましい車両進路の決定に不可欠な情報の提供の提供を助けるための、サラウンド・ビューのために使用され得る。前向きのカメラは、緊急ブレーキ、歩行者検出、及び衝突回避を含む、LIDARと同じADAS機能の多くを実行するために使用され得る。前向きのカメラはまた、車線逸脱警報(「LDW(Lane Departure Warning)」)、自律的クルーズ制御(「ACC(Autonomous Cruise Control)」)、及び/又は交通標識認識などの他の機能を含むADAS機能及びシステムのために使用され得る。
【0065】
様々なカメラが、たとえば、CMOS(complementary metal oxide semiconductor)カラー画像化装置を含む単眼カメラ・プラットフォームを含む、前向きの構成において使用され得る。別の実例は、周辺(たとえば、歩行者、交差する交通又は自転車)からのビューに入る物体を把握するために使用され得るワイドビュー・カメラ570でもよい。図5Bにはワイドビュー・カメラは1つだけ示されているが、車両500には任意の数のワイドビュー・カメラ570が存在し得る。加えて、長距離カメラ598(たとえば、ロングビュー・ステレオ・カメラ・ペア)が、特に、ニューラル・ネットワークがまだトレーニングされていない物体について、深度ベースの物体検出のために使用され得る。長距離カメラ598はまた、物体検出及び分類、並びに基本物体追跡のために使用され得る。
【0066】
1つ又は複数のステレオ・カメラ568もまた、前向きの構成に含まれ得る。ステレオ・カメラ568は、単一のチップ上に統合されたCAN又はイーサネット(登録商標)・インターフェースを有するプログラマブル論理(FPGA)及びマルチコア・マイクロプロセッサを提供し得る、拡張可能な処理ユニットを備えた統合された制御ユニットを含み得る。そのようなユニットは、画像内のすべてのポイントの距離推定値を含む、車両の環境の3Dマップを生成するために使用され得る。代替ステレオ・カメラ568は、2個のカメラ・レンズ(左と右に1つずつ)と、車両から対象物体までの距離を測定する及び生成された情報(たとえば、メタデータ)を使用して自律的緊急ブレーキ及び車線逸脱警報機能をアクティブにすることができる画像処理チップとを含み得る、コンパクト・ステレオ・ビジョン・センサを含み得る。他のタイプのステレオ・カメラ568が、本明細書に記載のものに加えて、又はそれらの代わりに、使用されてもよい。
【0067】
車両500の側面に対する環境の部分を含む視野を有するカメラ(たとえば、サイドビュー・カメラ)が、占有グリッドを作成及び更新するために並びに側面衝撃衝突警報を生成するために使用される情報を提供する、サラウンド・ビューのために使用され得る。たとえば、サラウンド・カメラ574(たとえば、図5Bに示されるような4個のサラウンド・カメラ574)は、車両500上に位置付けられ得る。サラウンド・カメラ574は、ワイドビュー・カメラ570、魚眼カメラ、360度カメラ、及び/又は同類のものを含み得る。たとえば、4個の魚眼カメラが、車両の前、後ろ、及び側面に配置され得る。代替配置において、車両は、3個のサラウンド・カメラ574(たとえば、左、右、及び後部)を使用してもよく、第4のサラウンド・ビュー・カメラとして1つ又は複数の他のカメラ(たとえば、前向きのカメラ)を活用してもよい。
【0068】
車両500の後ろに対する環境の部分を含む視野を有するカメラ(たとえば、後方確認カメラ)が、駐車支援、サラウンド・ビュー、後部衝突警報、並びに占有グリッドの作成及び更新のために使用され得る。本明細書に記載のように、前向きのカメラ(たとえば、長距離及び/又は中距離カメラ598、ステレオ・カメラ568)、赤外線カメラ572など)としても適したカメラを含むがこれらに限定されない、多種多様なカメラが使用され得る。
【0069】
図5Cは、本開示のいくつかの実施例による、図5Aの例示的自律型車両500の例示的システム・アーキテクチャのブロック図である。本明細書に記載されているこの及び他の配置は単に実例として説明されていることを理解されたい。他の配置及び要素(たとえば、マシン、インターフェース、機能、順番、機能のグループ分けなど)が、示されたものに加えて又はこれらに代わって使用されてもよく、いくつかの要素はともに除外されてもよい。さらに、本明細書に記載の要素の多くは、個別の又は分散された構成要素として又は他の構成要素と併せて、並びに任意の適切な組合せ及び場所において、実装され得る機能エンティティである。エンティティによって実行されるものとして本明細書に記載された様々な機能は、ハードウェア、ファームウェア、及び/又はソフトウェアによって実施され得る。たとえば、様々な機能が、メモリに記憶された命令を実行するプロセッサによって実施され得る。
【0070】
図5Cの車両500の構成要素、特徴、及びシステムのそれぞれは、バス502を介して接続されるものとして図示されている。バス502は、コントローラ・エリア・ネットワーク(CAN)データ・インターフェース(或いは、「CANバス」と称される)を含み得る。CANは、ブレーキ、加速度、ブレーキ、ステアリング、フロント・ガラス・ワイパなどの作動など、車両500の様々な特徴及び機能の制御を助けるために使用される車両500内のネットワークでもよい。CANバスは、それぞれが独自の一意の識別子(たとえば、CAN ID)を有する、数ダース又は数百ものノードを有するように構成され得る。CANバスは、ハンドル角度、対地速度、1分間のエンジン回転(RPM:revolutions per minute)、ボタン位置、及び/又は他の車両状況指標を見つけるために読み取られ得る。CANバスは、ASIL B準拠でもよい。
【0071】
バス502は、CANバスであるものとして本明細書に記載されているが、これは制限することを意図されていない。たとえば、CANバスに加えて、又はこのその代替として、FlexRay及び/又はイーサネット(登録商標)が使用されてもよい。加えて、単一の線が、バス502を表すために使用されているが、これは制限することを意図されていない。たとえば、1つ若しくは複数のCANバス、1つ若しくは複数のFlexRayバス、1つ若しくは複数のイーサネット(登録商標)・バス、及び/又は異なるプロトコルを使用する1つ若しくは複数の他のタイプのバスを含み得る、任意の数のバス502が存在し得る。いくつかの実例では、2個以上のバス502が、異なる機能を実行するために使用され得る、及び/又は冗長性のために使用され得る。たとえば、第1のバス502は衝突回避機能のために使用されてもよく、第2のバス502は作動制御のために使用されてもよい。任意の実例において、各バス502は、車両500の構成要素のいずれかと通信し得、2個以上のバス502が同じ構成要素と通信し得る。いくつかの実例では、車両内の各SoC504、各コントローラ536、及び/又は各コンピュータは、同じ入力データ(たとえば、車両500のセンサからの入力)へのアクセスを有し得、CANバスなどの共通バスに接続され得る。
【0072】
車両500は、図5Aに関して本明細書で説明されるものなど、1つ又は複数のコントローラ536を含み得る。コントローラ536は、様々な機能のために使用され得る。コントローラ536は、車両500の様々な他の構成要素及びシステムのいずれかに連結されてもよく、車両500、車両500の人工知能、車両500のためのインフォテインメント、及び/又は同類のものの制御のために使用され得る。
【0073】
車両500は、システム・オン・チップ(SoC)504を含み得る。SoC504は、CPU506、GPU508、プロセッサ510、キャッシュ512、加速装置514、データ・ストア516、及び/又は図示されていない他の構成要素及び特徴を含み得る。SoC504は、様々なプラットフォーム及びシステム内の車両500を制御するために使用され得る。たとえば、SoC504は、1つ又は複数のサーバ(たとえば、図5Dのサーバ578)からネットワーク・インターフェース524を介してマップのリフレッシュ及び/又は更新を取得することができるHDマップ522を有するシステム(たとえば、車両500のシステム)において結合され得る。
【0074】
CPU506は、CPUクラスタ又はCPU複合体(或いは、「CCPLEX」とも称される)を含み得る。CPU506は、複数のコア及び/又はL2キャッシュを含み得る。たとえば、一部の実施例では、CPU506は、コヒーレント・マルチプロセッサ構成内の8個のコアを含み得る。一部の実施例では、CPU506は、4個のデュアルコア・クラスタを含むことができ、各クラスタが専用のL2キャッシュ(たとえば、2MBL2キャッシュ)を有する。CPU506(たとえば、CCPLEX)は、CPU506のクラスタの任意の組合せが任意の所与の時間にアクティブになることを可能にする同時クラスタ動作をサポートするように構成され得る。
【0075】
CPU506は、以下の特徴のうちの1つ又は複数を含む電力管理能力を実装することができる:個別ハードウェア・ブロックが、動的電力を節約するためにアイドル状態のときに自動的にクロック・ゲーティングされ得る、各コア・クロックは、WFI/WFE命令の実行により命令をコアがアクティブに実行していないときにゲーティングされ得る、各コアは、独立してパワー・ゲーティングされ得る、各コア・クラスタは、すべてのコアがクロック・ゲーティングされる若しくはパワー・ゲーティングされるときに、独立してクロック・ゲーティングされ得る、及び/又は、各コア・クラスタは、すべてのコアがパワー・ゲーティングされるときに、独立してパワー・ゲーティングされ得る。CPU506は、電力状態を管理するための強化されたアルゴリズムをさらに実装することができ、そこでは、許容される電力状態及び予想されるウェイクアップ時間が指定され、ハードウェア/マイクロ・コードが、コア、クラスタ、及びCCPLEXに入力するための最良の電力状態を決定する。処理コアは、作業がマイクロ・コードにオフロードされたソフトウェアにおける簡略化された電力状態入力シーケンスをサポートすることができる。
【0076】
GPU508は、統合されたGPU(或いは本明細書において「iGPU」と称される)を含み得る。GPU508は、プログラマブルになり得、並行のワークロードに効率的になり得る。一部の実例では、GPU508は、強化されたテンソル命令セットを使用することができる。GPU508は、1つ又は複数のストリーミング・マイクロプロセッサを含み得、そこで、各ストリーミング・マイクロプロセッサは、L1キャッシュ(たとえば、少なくとも96KB記憶容量を有するL1キャッシュ)を含み得、ストリーミング・マイクロプロセッサのうちの2個以上が、キャッシュ(たとえば、512KB記憶容量を有するL2キャッシュ)を共用し得る。一部の実施例では、GPU508は、少なくとも8個のストリーミング・マイクロプロセッサを含み得る。GPU508は、計算アプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)を使用することができる。加えて、GPU508は、1つ若しくは複数の並行のコンピューティング・プラットフォーム及び/又はプログラミング・モデル(たとえば、NVIDIAのCUDA)を使用することができる。
【0077】
GPU508は、自動車の及び組み込まれた使用事例における最高のパフォーマンスのために電力最適化され得る。たとえば、GPU508は、FinFET(Fin field-effect transistor)上に製造され得る。しかしながら、これは制限することを意図されておらず、GPU508は、他の半導体製造プロセスを使用し、製造され得る。各ストリーミング・マイクロプロセッサは、複数のブロックに区切られたいくつかの混合精度処理コアを組み込むことができる。限定ではなく、たとえば、64 PF32コア及び32 PF64コアは、4個の処理ブロックに区切られてもよい。そのような実例では、各処理ブロックは、16 FP32コア、8 FP64コア、16 INT32コア、深層学習行列演算のための2個の混合精度NVIDIAテンソル・コア、L0命令キャッシュ、ワープ・スケジューラ、発送ユニット、及び/又は64KBレジスタ・ファイルを割り当てられ得る。加えて、ストリーミング・マイクロプロセッサは、計算及びアドレス指定演算の混合を有するワークロードの効率的な実行を提供するための独立した並行の整数及び浮動小数点データ進路を含み得る。ストリーミング・マイクロプロセッサは、並行スレッドの間のより高い細粒度の同期及び連携を可能にするために、独立したスレッド・スケジューリング能力を含み得る。ストリーミング・マイクロプロセッサは、プログラミングを単純化しつつ性能を向上させるために、結合されたL1データ・キャッシュ及び共用メモリ・ユニットを含み得る。
【0078】
GPU508は、一部の実例では、900GB/秒のピーク・メモリ帯域幅に関して、提供するための高帯域幅メモリ(HBM:high bandwidth memory)及び/又は16GBHBM2メモリ・サブシステムを含み得る。いくつかの実例では、HBMメモリに加えて、又はこれの代わりに、グラフィックス・ダブル・データ・レート・タイプ5同期ランダム・アクセス・メモリ(GDDR5:graphics double data rate type five synchronous random-access memory)などの同期グラフィックス・ランダム・アクセス・メモリ(SGRAM:synchronous graphics random-access memory)が使用され得る。
【0079】
GPU508は、メモリ・ページに最も頻繁にアクセスするプロセッサへのそれらのメモリ・ページのより正確な移動を可能にするためにアクセス・カウンタを含む統一されたメモリ技術を含むことができ、それにより、プロセッサ間で共用される記憶範囲の効率を向上させる。いくつかの実例では、アドレス変換サービス(ATS:address translation service)サポートが、GPU508がCPU506ページ・テーブルに直接アクセスすることを可能にするために使用され得る。そのような実例では、GPU508メモリ管理ユニット(MMU:memory management unit)がミスを経験するとき、アドレス変換要求が、CPU506に送信され得る。応答して、CPU506は、アドレスの仮想対現実マッピングのためのそのページ・テーブルを調べることができ、GPU508に変換を送り返す。そのようなものとして、統一されたメモリ技術は、CPU506とGPU508との両方のメモリの単一統一仮想アドレス空間を可能にすることができ、それによりGPU508へのアプリケーションのGPU508プログラミング及び移植を単純化する。
【0080】
加えて、GPU508は、他のプロセッサのメモリへのGPU508のアクセスの頻度を記録することができるアクセス・カウンタを含み得る。アクセス・カウンタは、メモリ・ページが最も頻繁にそのページにアクセスしているプロセッサの物理メモリに移動されることを確実にするのを助けることができる。
【0081】
SoC504は、本明細書に記載のものを含む任意の数のキャッシュ512を含み得る。たとえば、キャッシュ512は、CPU506とGPU508との両方に利用可能な(たとえば、CPU506とGPU508との両方に接続された)L3キャッシュを含み得る。キャッシュ512は、キャッシュ・コヒーレンス・プロトコル(たとえば、MEI、MESI、MSIなど)を使用することなどによって、線の状態を記録することができるライトバック・キャッシュを含み得る。L3キャッシュは、より小さいキャッシュ・サイズが使用されてもよいが、実施例に応じて、4MB以上を含み得る。
【0082】
SoC504は、車両500の様々なタスク又は動作のいずれか(たとえば、処理DNN)に関して処理を実行する際に活用され得る論理演算ユニット(ALU:arithmetic logic unit)を含み得る。加えて、SoC504は、システム内で数学演算を実行するための浮動小数点演算ユニット(FPU:floating point unit)(又は他のマス・コプロセッサ又は数値演算コプロセッサ・タイプ)を含み得る。たとえば、SoC104は、CPU506及び/又はGPU508内の実行ユニットとして統合された1つ又は複数のFPUを含み得る。
【0083】
SoC504は、1つ又は複数の加速装置514(たとえば、ハードウェア・加速装置、ソフトウェア・加速装置、又はその組合せ)を含み得る。たとえば、SoC504は、最適化されたハードウェア加速装置及び/又は大きなオンチップ・メモリを含み得る、ハードウェア加速クラスタを含み得る。大きなオンチップメモリ(たとえば、4MBのSRAM)は、ハードウェア加速クラスタがニューラル・ネットワーク及び他の演算を加速することを可能にし得る。ハードウェア加速クラスタは、GPU508を補完するために及びGPU508のタスクの一部をオフロードするために(たとえば、他のタスクを実行するためのGPU508のより多くのサイクルを解放するために)使用され得る。一実例として、加速装置514は、加速に適するように十分に安定している対象ワークロード(たとえば、知覚、畳み込みニューラル・ネットワーク(CNN:convolutional neural network)など)のために使用され得る。本明細書では、「CNN」という用語は、領域ベースの又は領域的畳み込みニューラル・ネットワーク(RCNN:regional convolutional neural network)及び高速RCNN(たとえば、物体検出のために使用されるものとしての)を含む、すべてのタイプのCNNを含み得る。
【0084】
加速装置514(たとえば、ハードウェア加速クラスタ)は、深層学習加速装置(DLA:deep learning accelerator)を含み得る。DLAは、深層学習アプリケーション及び推論のために1秒あたり追加の10兆の動作を提供するように構成することができる1つ又は複数のテンソル処理ユニット(TPU:Tensor processing unit)を含み得る。TPUは、画像処理機能(たとえば、CNN、RCNNなどの)を実行するように構成及び最適化された加速装置でもよい。DLAはさらに、特定のセットのニューラル・ネットワーク・タイプ及び浮動小数点演算、並びに推論のために最適化され得る。DLAの設計は、汎用GPUよりも1ミリメートルあたりより多くのパフォーマンスを提供することができ、CPUのパフォーマンスを大きく超える。TPUは、たとえば、特徴と重みとの両方についてINT8、INT16、及びFP16データ・タイプをサポートする、単一インスタンス畳み込み機能、並びにポストプロセッサ機能を含む、いくつかの機能を実行することができる。
【0085】
DLAは、以下を含むがこれらに限定されない、様々な機能のいずれかのために処理済み又は未処理のデータでニューラル・ネットワーク、特にCNN、を迅速に及び効率的に実行することができる:カメラ・センサからのデータを使用する物体識別及び検出のためのCNN、カメラ・センサからのデータを使用する距離推定のためのCNN、マイクロフォンからのデータを使用する緊急車両検出及び識別及び検出のためのCNN、カメラ・センサからのデータを使用する顔認識及び車両所有者識別のためのCNN、及び/又は、セキュリティ及び/又は安全性関連イベントのためのCNN。
【0086】
DLAは、GPU508の任意の機能を実行することができ、そして、推論加速装置を使用することによって、たとえば、設計者は、任意の機能のためにDLA又はGPU508のいずれかを対象にすることができる。たとえば、設計者は、DLA上のCNN及び浮動小数点演算の処理に重点的に取り組み、他の機能をGPU508及び/又は他の加速装置514に任せることができる。
【0087】
加速装置514(たとえば、ハードウェア加速クラスタ)は、或いはコンピュータ・ビジョン加速装置と本明細書で称され得るプログラマブル・ビジョン加速装置(PVA:programmable vision accelerator)を含み得る。PVAは、高度運転者支援システム(ADAS:advanced driver assistance system)、自律運転、及び/又は拡張現実(AR:augmented reality)及び/又は仮想現実(VR:virtual reality)アプリケーションのためのコンピュータ・ビジョン・アルゴリズムを加速するように設計及び構成され得る。PVAは、パフォーマンスと柔軟性との間のバランスをもたらすことができる。たとえば、各PVAは、たとえば、任意の数の縮小命令セット・コンピュータ(RISC:reduced instruction set computer)コア、直接メモリ・アクセス(DMA:direct memory access)、及び/又は任意の数のベクトル・プロセッサを含み得るが、これらに限定されない。
【0088】
RISCコアは、画像センサ(たとえば、本明細書に記載のカメラのうちのいずれかのカメラの画像センサ)、画像信号プロセッサ、及び/又は同類のものと相互作用することができる。それぞれのRISCコアは、任意の量のメモリを含み得る。RISCコアは、実施例に応じて、いくつかのプロトコルのいずれかを使用することができる。いくつかの実例では、RISCコアは、リアルタイム・オペレーティング・システム(RTOS:real-time operating system)を実行することができる。RISCコアは、1つ若しくは複数の集積回路デバイス、特定用途向け集積回路(ASIC)、及び/又はメモリ・デバイスを使用して、実装され得る。たとえば、RISCコアは、命令キャッシュ及び/又はしっかりと結合されたRAMを含み得る。
【0089】
DMAは、CPU506から独立したシステム・メモリにPVAの構成要素がアクセスすることを可能にし得る。DMAは、多次元アドレス指定及び/又は循環アドレス指定をサポートすることを含むがこれに限定されないPVAに最適化をもたらすために使用される任意の数の特徴をサポートすることができる。いくつかの実例では、DMAは、ブロック幅、ブロック高さ、ブロック深度、水平ブロック・ステッピング、垂直ブロック・ステッピング、及び/又は深度ステッピングを含み得る、6次元まで又はそれ以上のアドレス指定をサポートすることができる。
【0090】
ベクトル・プロセッサは、コンピュータ・ビジョン・アルゴリズムのプログラミングを効率的に柔軟に実行する及び信号処理能力を提供するように設計され得るプログラマブル・プロセッサでもよい。いくつかの実例では、PVAは、PVAコア及び2個のベクトル処理サブシステム・パーティションを含み得る。PVAコアは、プロセッサ・サブシステム、DMAエンジン(たとえば、2個のDMAエンジン)、及び/又は他の周辺装置を含み得る。ベクトル処理サブシステムは、PVAの1次的処理エンジンとして動作することができ、ベクトル処理ユニット(VPU:vector processing unit)、命令キャッシュ、及び/又はベクトル・メモリ(たとえば、VMEM)を含み得る。VPUコアは、たとえば、単一の命令、複数のデータ(SIMD)、超長命令語(VLIW:very long instruction word)デジタル信号プロセッサなど、デジタル信号プロセッサを含み得る。SIMD及びVLIWの組合せは、スループット及びスピードを高めることができる。
【0091】
それぞれのベクトル・プロセッサは、命令キャッシュを含み得、専用のメモリに連結され得る。結果として、一部の実例では、それぞれのベクトル・プロセッサは、他のベクトル・プロセッサから独立して実行するように構成され得る。他の実例において、特定のPVAに含まれるベクトル・プロセッサは、データ並列処理を用いるように構成され得る。たとえば、一部の実施例では、単一のPVAに含まれる複数のベクトル・プロセッサは、同じコンピュータ・ビジョン・アルゴリズムを、しかし画像の異なる領域上で、実行することができる。他の実例において、特定のPVAに含まれるベクトル・プロセッサは、異なるコンピュータ・ビジョン・アルゴリズムを、同じ画像上で、同時に実行することができ、或いは順次画像又は画像の部分で異なるアルゴリズムを実行することさえできる。特に、任意の数のPVAは、ハードウェア加速クラスタに含まれ得、任意の数のベクトル・プロセッサは、それぞれのPVAに含まれ得る。加えて、PVAは、全体的システム安全性を高めるために、追加のエラー訂正コード(ECC:error correcting code)メモリを含み得る。
【0092】
加速装置514(たとえば、ハードウェア加速クラスタ)は、加速装置514のための高帯域幅、低レイテンシSRAMを提供するための、コンピュータ・ビジョン・ネットワーク・オンチップ及びSRAMを含み得る。いくつかの実例では、オンチップ・メモリは、たとえば、そして制限ではなく、PVAとDLAとの両方によってアクセス可能でもよい、8個のフィールド構成可能なメモリ・ブロックから成る、少なくとも4MBのSRAMを含み得る。各ペアのメモリ・ブロックは、高度周辺バス(APB:advanced peripheral bus)インターフェース、構成回路、コントローラ、及びマルチプレクサを含み得る。任意のタイプのメモリが、使用され得る。PVA及びDLAは、メモリへの高速アクセスを有するPVA及びDLAを提供するバックボーンを介してメモリにアクセスすることができる。バックボーンは、(たとえば、APBを使用して)PVA及びDLAをメモリに相互接続するコンピュータ・ビジョン・ネットワーク・オンチップを含み得る。
【0093】
コンピュータ・ビジョン・ネットワーク・オンチップは、PVAとDLAとの両方が作動可能及び有効信号を提供することを、任意の制御信号/アドレス/データの送信の前に、決定するインターフェースを含み得る。そのようなインターフェースは、制御信号/アドレス/データを送信するための別個のフェーズ及び別個のチャネル、並びに連続的データ転送のためのバーストタイプの通信を提供することができる。このタイプのインターフェースは、ISO26262又はIEC61508規格に従うことができるが、他の規格及びプロトコルが使用されてもよい。
【0094】
いくつかの実例では、SoC504は、特許文献1に記載されるような、リアルタイム・レイトレーシング・ハードウェア加速装置を含み得る。リアルタイム・レイトレーシング・ハードウェア加速装置は、RADAR信号解釈のための、音響伝播合成及び/又は分析のための、SONARシステムのシミュレーションのための、一般波伝播シミュレーションのための、ローカリゼーション及び/又は他の機能を目的とするLIDARデータに対する比較のための、及び/又は他の使用のための、リアルタイム視覚化シミュレーションを生成するために、(たとえば、世界モデル内の)物体の位置及び規模を迅速に効率的に決定するために使用され得る。一部の実施例では、1つ又は複数の木の走査ユニット(TTU:tree traversal unit)が、1つ又は複数のレイトレーシング関連動作を実行するために使用され得る。
【0095】
加速装置514(たとえば、ハードウェア加速装置クラスタ)は、自律運転のための多様な用途を有する。PVAは、ADAS及び自律型車両における極めて重要な処理段階に使用され得るプログラマブル・ビジョン加速装置でもよい。PVAの能力は、低電力及び低レイテンシにおいて、予測可能な処理を必要とするアルゴリズムの領域にふさわしい。言い換えれば、PVAは、低レイテンシ及び低電力とともに予測可能な実行時間を必要とする、小さなデータ集合上でも、半高密度の又は高密度の通常の計算で上手く機能する。それ故に、PVAは、物体検出及び整数計算での動作において効率的であるので、自律型車両のためのプラットフォームとの関連で、PVAは、クラシック・コンピュータ・ビジョン・アルゴリズムを実行するように設計される。
【0096】
たとえば、本技術の1つの実施例によれば、PVAは、コンピュータ・ステレオ・ビジョンを実行するために使用される。半グローバルなマッチングベースのアルゴリズムが、一部の実例では使用され得るが、これは制限することを意図されていない。レベル3~5の自律運転のための多数のアプリケーションは、動き推定/ステレオ・マッチング・オンザフライ(たとえば、SFM(structure from motion)、歩行者認識、レーン検出など)を必要とする。PVAは、2個の単眼カメラからの入力でコンピュータ・ステレオ・ビジョン機能を実行することができる。
【0097】
いくつかの実例では、PVAは、高密度のオプティカル・フローを実行するために使用され得る。処理されたRADARを提供するために未加工のRADARデータを処理する(たとえば、4D高速フーリエ変換を使用して)ことによる。他の実例において、PVAは、たとえば、飛行データの未加工の時間を処理して飛行データの処理済み時間を提供することにより、飛行深度処理の時間に使用される。
【0098】
DLAは、たとえば、各物体検出の信頼性の測定値を出力するニューラル・ネットワークを含む、制御及び運転安全性を強化するために任意のタイプのネットワークを実行するために使用され得る。そのような信頼性値は、確率として、又は他の検出と比較した各検出の相対的「重み」を提供するものとして、解釈され得る。この信頼性値は、どの検出が誤判定検出ではなくて真陽性検出と考えられるべきであるかに関するさらなる決定をシステムが行うことを可能にする。たとえば、システムは、信頼性の閾値を設定し、真陽性検出としての閾値を超える検出のみを考慮することができる。自動非常ブレーキ(AEB:automatic emergency braking)システムにおいて、誤判定検出は、車両に非常ブレーキを自動で実行させることになり、これは明らかに望ましくない。したがって、最も確信のある検出のみが、AEBのトリガとして考えられるべきである。DLAは、信頼性値を回帰するニューラル・ネットワークを実行し得る。ニューラル・ネットワークは、境界ボックス次元、(たとえば、別のサブシステムから)取得されたグラウンド・プレーン推定、ニューラル・ネットワーク及び/又は他のセンサ(たとえば、LIDARセンサ564又はRADARセンサ560)から取得された物体の車両500方位、距離、3D位置推定と相関する慣性計測装置(IMU:inertial measurement unit)センサ566出力、その他など、少なくともいくつかのサブセットのパラメータをその入力として受け取ることができる。
【0099】
SoC504は、データ・ストア516(たとえば、メモリ)を含み得る。データ・ストア516は、SoC504のオンチップ・メモリでもよく、GPU及び/又はDLAで実行されることになるニューラル・ネットワークを記憶することができる。いくつかの実例では、データ・ストア516は、冗長性及び安全性のためにニューラル・ネットワークの複数のインスタンスを記憶するのに十分な大きさの容量を有し得る。データ・ストア512は、L2又はL3キャッシュ512を備え得る。データ・ストア516の参照は、本明細書に記載のような、PVA、DLA、及び/又は他の加速装置514に関連するメモリの参照を含み得る。
【0100】
SoC504は、1つ又は複数のプロセッサ510(たとえば、組み込まれたプロセッサ)を含み得る。プロセッサ510は、ブート電力及び管理能力及び関連するセキュリティ施行を処理するための専用のプロセッサ及びサブシステムでもよいブート及び電力管理プロセッサを含み得る。ブート及び電力管理プロセッサは、SoC504ブート・シーケンスの一部でもよく、実行時間電力管理サービスを提供することができる。ブート電力及び管理プロセッサは、クロック及び電圧プログラミング、システム低電力状態移行の支援、SoC504熱及び温度センサの管理、及び/又はSoC504電力状態の管理を提供することができる。各温度センサは、その出力頻度が温度に比例するリング発振器として実装されてもよく、SoC504は、リング発振器を使用してCPU506、GPU508、及び/又は加速装置514の温度を検出することができる。温度が、閾値を超えたと判定された場合、ブート及び電力管理プロセッサは、温度障害ルーティンに入り、SoC504をより低い電力状態に置く及び/又は車両500をショーファーの安全停止モードにする(たとえば、車両500を安全停止させる)ことができる。
【0101】
プロセッサ510は、オーディオ処理エンジンの機能を果たし得る1セットの組み込まれたプロセッサをさらに含み得る。オーディオ処理エンジンは、複数のインターフェースを介するマルチチャネル・オーディオの完全なハードウェア・サポートとオーディオI/Oインターフェースの広く柔軟な範囲とを可能にするオーディオ・サブシステムでもよい。いくつかの実例では、オーディオ処理エンジンは、専用のRAMを有するデジタル信号プロセッサを有する専用のプロセッサ・コアである。
【0102】
プロセッサ510は、低電力センサ管理及びウェイク使用事例をサポートするための必要なハードウェア特徴を提供することができる常時オンのプロセッサ・エンジンをさらに含み得る。常時オンのプロセッサ・エンジンは、プロセッサ・コア、しっかりと結合されたRAM、支援周辺装置(たとえば、タイマ及び割り込みコントローラ)、様々なI/Oコントローラ周辺装置、及びルーティング論理を含み得る。
【0103】
プロセッサ510は、自動車のアプリケーションの安全性管理を処理するために専用のプロセッサ・サブシステムを含む安全性クラスタ・エンジンをさらに含み得る。安全性クラスタ・エンジンは、2個以上のプロセッサ・コア、しっかりと結合されたRAM、サポート周辺装置(たとえば、タイマ、割り込みコントローラなど)、及び/又はルーティング論理を含み得る。安全性モードにおいて、2個以上のコアは、ロックステップ・モードにおいて動作し、それらの動作の間の何らかの差を検出するための比較論理を有する単一のコアとして機能することができる。
【0104】
プロセッサ510は、リアルタイム・カメラ管理を処理するための専用のプロセッサ・サブシステムを含み得るリアルタイム・カメラ・エンジンをさらに含み得る。
【0105】
プロセッサ510は、カメラ処理パイプラインの一部であるハードウェア・エンジンである画像信号プロセッサを含み得る高ダイナミック・レンジ信号プロセッサをさらに含み得る。
【0106】
プロセッサ510は、プレイヤ・ウインドウのための最終的画像を生み出すためにビデオ再生アプリケーションによって必要とされるビデオ処理後機能を実装する処理ブロック(たとえば、マイクロプロセッサに実装された)でもよいビデオ画像合成器を含み得る。ビデオ画像合成器は、ワイドビュー・カメラ570で、サラウンド・カメラ574で、及び/又はキャビン内監視カメラ・センサでレンズ歪み補正を実行することができる。キャビン内監視カメラ・センサは好ましくは、キャビン内イベントを識別し、適切に応答するように構成された、高度SoCの別のインスタンス上で実行するニューラル・ネットワークによって監視される。キャビン内システムは、セルラ・サービスをアクティブにする及び電話をかける、電子メールを書き取らせる、車両の目的地を変更する、車両のインフォテインメント・システム及び設定をアクティブにする又は変更する、或いは音声起動型ウェブ・サーフィンを提供するために、読唇術を実行することができる。ある特定の機能は、自律モードで動作しているときにのみ運転者に利用可能であり、そうでない場合には無効にされる。
【0107】
ビデオ画像合成器は、空間的ノイズ低減及び時間的ノイズ低減の両方のための強化された時間的ノイズ低減を含み得る。たとえば、動きがビデオ内で生じた場合、ノイズ低減は、隣接するフレームによって提供される情報の重みを減らし、空間的情報に適切に重みを加える。画像又は画像の一部が動きを含まない場合、ビデオ画像合成器によって実行される時間的ノイズ低減は、前の画像からの情報を使用して現在の画像におけるノイズを減らすことができる。
【0108】
ビデオ画像合成器はまた、入力ステレオ・レンズ・フレーム上でステレオ・レクティフィケーションを実行するように構成され得る。ビデオ画像合成器はさらに、オペレーティング・システム・デスクトップが使用中であるときにユーザ・インターフェース合成のために使用することができ、GPU508は、新しい表面を連続してレンダリングために必要とされない。GPU508の電源が入れられ、3Dレンダリングをアクティブに行っているときでも、ビデオ画像合成器は、GPU508をオフロードしてパフォーマンス及び反応性を向上させるために使用され得る。
【0109】
SoC504は、カメラからビデオ及び入力を受信するためのモバイル・インダストリ・プロセッサ・インターフェース(MIPI:mobile industry processor interface)カメラ・シリアル・インターフェース、高速インターフェース、及び/又は、カメラ及び関連画素入力機能のために使用され得るビデオ入力ブロックをさらに含み得る。SoC504は、ソフトウェアによって制御され得る、及び特定の役割にコミットされていないI/O信号を受信するために使用され得る、入力/出力コントローラをさらに含み得る。
【0110】
SoC504は、周辺装置、オーディオ・コーデック、電力管理、及び/又は他のデバイスとの通信を可能にするために、広範囲の周辺インターフェースをさらに含み得る。SoC504は、(たとえば、ギガビット・マルチメディア・シリアル・リンク及びイーサネット(登録商標)を介して接続された)カメラからのデータ、センサ(たとえば、イーサネット(登録商標)を介して接続され得るLIDARセンサ564、RADARセンサ560など)、バス502からのデータ(たとえば、車両500のスピード、ハンドル位置など)、(たとえば、イーサネット(登録商標)又はCANバスを介して接続された)GNSSセンサ558からのデータを処理するために使用され得る。SoC504は、独自のDMAエンジンを含み得る及びルーティン・データ管理タスクからCPU506を解放するために使用され得る専用の高性能大容量記憶コントローラをさらに含み得る。
【0111】
SoC504は、自動化レベル3~5に広がる柔軟なアーキテクチャを有する終端間プラットフォームでもよく、それによって、多様性及び冗長性のためにコンピュータ・ビジョン及びADAS技法を活用し、効率的に使用し、深層学習ツールとともに、柔軟な、信頼できる運転ソフトウェア・スタックのためのプラットフォームを提供する、総合的機能的安全性アーキテクチャを提供する。SoC504は、従来のシステムよりも高速で、信頼でき、さらにエネルギ効率がよく、空間効率がよくなり得る。たとえば、加速装置514が、CPU506と結合されるとき、GPU508、及びデータ・ストア516は、レベル3~5の自律型車両のための高速で効率的なプラットフォームを提供することができる。
【0112】
したがって、本技術は、従来のシステムによって達成することができない能力及び機能性をもたらす。たとえば、コンピュータ・ビジョン・アルゴリズムは、多種多様な視覚的データにわたり多種多様な処理アルゴリズムを実行するために、Cプログラミング言語などの高レベルのプログラミング言語を使用して構成され得る、CPUで実行され得る。しかしながら、CPUは、しばしば、たとえば、実行時間及び電力消費に関連するものなど、多数のコンピュータ・ビジョン・アプリケーションの性能要件を満たすことができない。具体的には、多数のCPUは、車両内ADASアプリケーションの要件及び実際のレベル3~5の自律型車両の要件である、リアルタイムでの複合物体検出アルゴリズムを実行することができない。
【0113】
従来のシステムとは対照的に、CPU複合体、GPU複合体、及びハードウェア加速クラスタを提供することによって、本明細書に記載の技術は、複数のニューラル・ネットワークが同時に及び/又は連続して実行されることと、レベル3~5の自律運転機能を可能にするために結果が結合されることとを可能にする。たとえば、DLA又はdGPU(たとえば、GPU520)で実行するCNNは、ニューラル・ネットワークが具体的にトレーニングされていない標識を含む、交通標識をスーパーコンピュータが読み取る及び理解することを可能にする、テキスト及び単語認識を含み得る。DLAは、標識の意味論的理解を識別、解釈、及び提供することと、CPU複合体で実行する進路計画立案モジュールに意味論的理解を渡すこととを行うことができる、ニューラル・ネットワークをさらに含み得る。
【0114】
別の実例として、複数のニューラル・ネットワークは、レベル3、4、又は5の運転に必要とされるように、同時に実行され得る。たとえば、電光とともに、「注意:点滅光は、凍った状態を示す」から成る警告標識は、いくつかのニューラル・ネットワークによって独立して又は集合的に解釈され得る。標識自体は、第1の配備されたニューラル・ネットワーク(たとえば、トレーニングされてあるニューラル・ネットワーク)によって交通標識として識別され得、テキスト「点滅光は、凍った状態を示す」は、点滅光が検出されるときには凍った状態が存在することを車両の進路計画立案ソフトウェア(好ましくはCPU複合体上で実行する)に知らせる、第2の配備されたニューラル・ネットワークによって解釈され得る。点滅光は、点滅光の存在(又は無いこと)を車両の進路計画立案ソフトウェアに知らせ、複数のフレームを介して第3の配備されたニューラル・ネットワークを動作させることによって識別され得る。すべての3個のニューラル・ネットワークは、DLA内及び/又はGPU508上などで、同時に実行することができる。
【0115】
いくつかの実例では、顔認識及び車両所有者識別のためのCNNは、カメラ・センサからのデータを使用して車両500の正規の運転者及び/又は所有者の存在を識別することができる。常時オンのセンサ処理エンジンは、所有者が運転席側のドアに近づくときに車両を解錠する及び明かりをつけるために、並びに、セキュリティ・モードにおいて、所有者が車両を離れるときに車両の動作を停止させるために、使用され得る。このようにして、SoC504は、盗難及び/又は車の乗っ取りに対するセキュリティをもたらす。
【0116】
別の実例では、緊急車両検出及び識別のためのCNNは、マイクロフォン596からのデータを使用して緊急車両サイレンを検出及び識別することができる。一般分類子を使用してサイレンを検出する及び特徴を手動で抽出する従来のシステムとは対照的に、SoC504は、環境の及び都市の音の分類、並びに視覚的データの分類のためにCNNを使用する。好ましい一実施例では、DLA上で実行するCNNは、(たとえば、ドップラー効果を使用することによって)緊急車両の相対的終速度を識別するようにトレーニングされる。CNNはまた、GNSSセンサ558によって識別されるように、車両が稼働しているローカル・エリアに特有の緊急車両を識別するようにトレーニングされ得る。それ故に、たとえば、欧州で稼働しているとき、CNNは、欧州のサイレンを検出し得ることになり、そして、米国にあるとき、CNNは、北米のサイレンのみを識別し得ることになる。緊急車両が検出された後は、制御プログラムが、緊急車両が通過するまで、超音波センサ562の支援を受けて、車両を減速する、道の端に停止させる、車両を駐車する、及び/又は車両をアイドリングさせる、緊急車両安全性ルーティンを実行するために使用され得る。
【0117】
車両は、高速相互接続(たとえば、PCIe)を介してSoC504に連結され得るCPU518(たとえば、個別のCPU、又はdCPU)を含み得る。CPU518は、たとえば、X86プロセッサを含み得る。CPU518は、たとえば、ADASセンサとSoC504との間の潜在的に不整合の結果を調停すること、及び/又はコントローラ536及び/又はインフォテインメントSoC530の状況及び調子を監視することを含む、様々な機能のいずれかを実行するために使用され得る。
【0118】
車両500は、高速相互接続(たとえば、NVIDIAのNVLINK)を介してSoC504に連結され得るGPU520(たとえば、個別のGPU、又はdGPU)を含み得る。GPU520は、冗長及び/又は異なるニューラル・ネットワークを実行することなどによって、付加的人工知能機能をもたらすことができ、車両500のセンサからの入力(たとえば、センサ・データ)に基づいてニューラル・ネットワークをトレーニング及び/又は更新するために使用され得る。
【0119】
車両500は、1つ又は複数のワイヤレス・アンテナ526(たとえば、セルラ・アンテナ、ブルートゥース(登録商標)・アンテナなど、異なる通信プロトコルのための1つ又は複数のワイヤレス・アンテナ)を含み得るネットワーク・インターフェース524をさらに含み得る。ネットワーク・インターフェース524は、インターネットを介するクラウドとの(たとえば、サーバ578及び/又は他のネットワーク・デバイスとの)、他の車両との、及び/又は計算デバイス(たとえば、乗客のクライアント・デバイス)とのワイヤレス接続を使用可能にするために使用され得る。他の車両と通信するために、直接リンクが2個の車両の間に確立され得る、及び/又は、間接リンクが(たとえば、ネットワークを通じて及びインターネットを介して)確立され得る。直接リンクは、車両対車両通信リンクを使用し、提供され得る。車両対車両通信リンクは、車両500に近接する車両(たとえば、車両500の前の、横の、及び/又は後ろの車両)に関する車両500情報を提供することができる。この機能は、車両500の共同適応クルーズ制御機能の一部でもよい。
【0120】
ネットワーク・インターフェース524は、変調及び復調機能を提供する及びコントローラ536がワイヤレス・ネットワークを介して通信することを可能にする、SoCを含み得る。ネットワーク・インターフェース524は、ベースバンドから無線周波数へのアップコンバージョン、及び無線周波数からベースバンドへのダウンコンバージョンのための無線周波数フロントエンドを含み得る。周波数コンバージョンは、よく知られているプロセスを通して実行することができ、及び/又はスーパーヘテロダイン・プロセスを用いて実行することができる。いくつかの実例では、無線周波数フロントエンド機能は、別個のチップによって提供され得る。ネットワーク・インターフェースは、LTE、WCDMA(登録商標)、UMTS、GSM、CDMA2000、ブルートゥース(登録商標)、ブルートゥース(登録商標)LE、Wi-Fi、Z-Wave、ZigBee、LoRaWAN、及び/又は他のワイヤレス・プロトコルを介して通信するためのワイヤレス機能を含み得る。
【0121】
車両500は、チップ外の(たとえば、SoC504外の)ストレージを含み得るデータ・ストア528をさらに含み得る。データ・ストア528は、RAM、SRAM、DRAM、VRAM、フラッシュ、ハードディスク、及び/又は、少なくとも1ビットのデータを記憶することができる他の構成要素及び/又はデバイスを含む、1つ又は複数の記憶素子を含み得る。
【0122】
車両500は、GNSSセンサ558をさらに含み得る。GNSSセンサ558(たとえば、GPS、支援されたGPSセンサ、ディファレンシャルGPS(DGPS)センサなど)は、マッピング、知覚、占有グリッド生成、及び/又は進路計画策定機能を支援する。たとえば、シリアル(RS-232)ブリッジへのイーサネット(登録商標)を有するUSBコネクタを使用するGPSを含むが、これに限定されない、任意の数のGNSSセンサ558が、使用され得る。
【0123】
車両500は、RADARセンサ560をさらに含み得る。RADARセンサ560は、暗闇及び/又は厳しい気象条件においても、長距離車両検出のために車両500によって使用され得る。RADAR機能安全性レベルは、ASIL Bでもよい。一部の実例では、RADARセンサ560は、未加工のデータにアクセスするためのイーサネット(登録商標)へのアクセスを用いて、制御のために及び物体追跡データにアクセスするために(たとえば、RADARセンサ560によって生成されたデータを送信するために)CAN及び/又はバス502を使用することができる。多種多様なRADARセンサ・タイプが、使用され得る。たとえば、そして制限なしに、RADARセンサ560は、前部、後部、及び側部RADAR使用に適し得る。一部の実例では、パルス・ドップラーRADARセンサが使用される。
【0124】
RADARセンサ560は、狭い視野を有する長距離、広い視野を有する短距離、短距離側部カバレッジなど、異なる構成を含み得る。いくつかの実例では、長距離RADARは、適応クルーズ制御機能のために使用され得る。長距離RADARシステムは、250mの範囲内など、2個以上の独立したスキャンによって実現される広い視野を提供することができる。RADARセンサ560は、静的物体と動く物体との区別を助けることができ、緊急ブレーキ・アシスト及び前方衝突警報のためのADASシステムによって使用され得る。長距離RADARセンサは、複数の(たとえば、6つ以上の)固定RADARアンテナと高速CAN及びFlexRayインターフェースとを有するモノスタティック・マルチモーダルRADARを含み得る。6つのアンテナを有する一実例では、中央の4個のアンテナは、隣接レーン内の交通からの干渉を最小限にして高速で車両500の周囲を記録するように設計された、集束ビーム・パターンを作成し得る。他の2個のアンテナは、視野を広げることができ、車両500のレーンに入る又はこれを去る車両を迅速に検出することを可能にする。
【0125】
一実例として、中距離RADARシステムは、560m(前)又は80m(後)までの範囲、及び42度(前)又は550度(後)までの視野を含み得る。短距離RADARシステムは、後部バンパの両端に設置されるように設計されたRADARセンサを含み得るが、これに限定されない。後部バンパの両端に設置されるとき、そのようなRADARセンサ・システムは、車両の後ろ及び隣の死角を常に監視する2個のビームを作成することができる。
【0126】
短距離RADARシステムは、死角検出及び/又はレーン変更アシストのためにADASシステムにおいて使用され得る。
【0127】
車両500は、超音波センサ562をさらに含み得る。車両500の前部、後部、及び/又は側部に位置付けられ得る、超音波センサ562は、駐車アシストのために及び/又は占有グリッドの作成及び更新のために使用され得る。多種多様な超音波センサ562が使用され得、異なる超音波センサ562が、異なる範囲の検出(たとえば、2.5m、4m)のために使用され得る。超音波センサ562は、ASIL Bの機能的安全性レベルにおいて動作することができる。
【0128】
車両500はLIDARセンサ564を含み得る。LIDARセンサ564は、物体及び歩行者検出、緊急ブレーキ、衝突回避、及び/又は他の機能のために使用され得る。LIDARセンサ564は、機能的安全性レベルASIL Bでもよい。いくつかの実例では、車両500は、(たとえば、ギガビット・イーサネット(登録商標)・スイッチにデータを提供するために)イーサネット(登録商標)を使用することができる複数の(たとえば、2個、4個、6個などの)LIDARセンサ564を含み得る。
【0129】
いくつかの実例では、LIDARセンサ564は、物体及び360度視野のそれらの距離のリストを提供する能力を有し得る。市販のLIDARセンサ564は、たとえば、2cm~3cmの精度を有し、500Mbpsイーサネット(登録商標)接続のサポートを有して、約500mの広告された範囲を有し得る。いくつかの実例では、1つ又は複数の非突出したLIDARセンサ564が、使用され得る。そのような実例では、LIDARセンサ564は、車両500の前部、後部、側部、及び/又は角に組み込まれ得る小さいデバイスとして実装され得る。そのような実例では、LIDARセンサ564は、低反射物体についても200mの範囲を有し、120度水平及び35度垂直視野まで提供することができる。前部に取り付けられたLIDARセンサ564は、45度と135度との間の水平視野向けに構成され得る。
【0130】
いくつかの実例では、3DフラッシュLIDARなどのLIDAR技術もまた使用され得る。3DフラッシュLIDARは、約200mまで車両の周囲を照らすために、送信元としてレーザーのフラッシュを使用する。フラッシュLIDARユニットは、車両から物体までの範囲に順番に対応する、レーザー・パルス走行時間及び各画素上の反射光を記録する、レセプタを含む。フラッシュLIDARは、周囲の高精度の及び歪みのない画像があらゆるレーザー・フラッシュで生成されることを可能にし得る。いくつかの実例では、4個のフラッシュLIDARセンサが、車両500の各側面に1つずつ、配備され得る。利用可能な3DフラッシュLIDARシステムは、送風機以外に動く部分を有さないソリッドステート3Dステアリング・アレイLIDARカメラ(たとえば、非スキャン型LIDARデバイス)を含む。フラッシュLIDARデバイスは、1フレームにつき5ナノ秒クラスI(目に安全な)レーザー・パルスを使用することができ、3D範囲点群及び共記載された強度データの形で反射レーザー光をキャプチャし得る。フラッシュLIDARを使用することによって、また、フラッシュLIDARは、動く部分を有さないソリッドステート・デバイスであるので、LIDARセンサ564は、モーション・ブラー、振動、及び/又は衝撃の影響を受けにくくなり得る。
【0131】
車両は、IMUセンサ566をさらに含み得る。一部の実例では、IMUセンサ566は、車両500の後部車軸の中央に位置付けられ得る。IMUセンサ566は、たとえば、加速度計、磁力計、ジャイロスコープ、磁気コンパス、及び/又は他のセンサ・タイプを含み得るが、これらに限定されない。いくつかの実例では、6軸アプリケーションなどにおいて、IMUセンサ566は、加速度計及びジャイロスコープを含み得るが、9軸アプリケーションにおいて、IMUセンサ566は、加速度計、ジャイロスコープ、及び磁力計を含み得る。
【0132】
一部の実施例では、IMUセンサ566は、マイクロ電気機械システム(MEMS:micro-electro-mechanical system)慣性センサ、高感度GPSレシーバ、及び高度カルマン・フィルタリング・アルゴリズムを結合して位置、ベロシティ、及び姿勢の推定値を提供するミニチュア、高性能GPS支援型慣性航行システム(GPS/INS:GPS-Aided Inertial Navigation System)として実装され得る。そのようなものとして、一部の実例では、IMUセンサ566は、GPSからIMUセンサ566までのベロシティの変化を直接観測すること及び関連付けることによって、磁気センサからの入力を必要とせずに進行方向を車両500が推定することを可能にし得る。いくつかの実例では、IMUセンサ566及びGNSSセンサ558は、単一の統合されたユニットにおいて結合され得る。
【0133】
車両は、車両500内及び/又は周囲に置かれたマイクロフォン596を含み得る。マイクロフォン596は、中でも、緊急車両検出及び識別のために使用され得る。
【0134】
車両は、ステレオ・カメラ568、ワイドビュー・カメラ570、赤外線カメラ572、サラウンド・カメラ574、長距離及び/又は中距離カメラ598、及び/又は他のカメラ・タイプを含む、任意の数のカメラ・タイプをさらに含み得る。カメラは、車両500の全外面の周りの画像データをキャプチャするために使用され得る。使用されるカメラのタイプは、車両500の実施例及び要件に応じて決まり、任意の組合せのカメラ・タイプが、車両500の周りの必要なカバレッジを実現するために使用され得る。加えて、カメラの数は、実施例に応じて異なり得る。たとえば、車両は、6個のカメラ、7個のカメラ、10個のカメラ、12個のカメラ、及び/又は別の数のカメラを含み得る。カメラは、一実例として、ギガビット・マルチメディア・シリアル・リンク(GMSL:Gigabit Multimedia Serial Link)及び/又はギガビット・イーサネット(登録商標)をサポートし得るが、これに限定されない。それぞれのカメラは、図5A及び図5Bに関連して本明細書においてさらに詳しく説明される。
【0135】
車両500は、振動センサ542をさらに含み得る。振動センサ542は、車軸など、車両の構成要素の振動を測定することができる。たとえば、振動の変化は、道路の表面の変化を示し得る。別の実例では、2個以上の振動センサ542が使用されるとき、振動の差は、道路表面の摩擦又は滑りを判定するために使用され得る(たとえば、振動の差が電力駆動車軸と自由回転車軸との間であるとき)。
【0136】
車両500は、ADASシステム538を含み得る。一部の実例では、ADASシステム538は、SoCを含み得る。ADASシステム538は、自律/適応/自動クルーズ制御(ACC:autonomous/adaptive/automatic cruise control)、共同適応クルーズ制御(CACC:cooperative adaptive cruise control)、前方衝突警報(FCW:forward crash warning)、自動緊急ブレーキ(AEB:automatic emergency braking)、車線逸脱警報(LDW:lane departure warning)、レーン・キープ・アシスト(LKA:lane keep assist)、死角警報(BSW:blind spot warning)、後部交差交通警報(RCTW:rear cross-traffic warning)、衝突警報システム(CWS:collision warning system)、レーン・センタリング(LC:lane centering)、及び/又は他の特徴及び機能を含み得る。
【0137】
ACCシステムは、RADARセンサ560、LIDARセンサ564、及び/又はカメラを使用し得る。ACCシステムは、縦ACC及び/又は横ACCを含み得る。縦ACCは、車両500の直ぐ前の車両までの距離を監視及び制御し、前方の車両からの安全距離を維持するために車両速度を自動的に調整する。横ACCは、距離の保持を実行し、必要なときにレーンを変更するように車両500にアドバイスする。横ACCは、LCA及びCWSなどの他のADASアプリケーションに関連する。
【0138】
CACCは、ワイヤレス・リンクを介して他の車両からネットワーク・インターフェース524及び/又はワイヤレス・アンテナ526を介して、或いは間接的にネットワーク接続を介して(たとえば、インターネットを介して)、受信することができる、他の車両からの情報を使用する。直接リンクは、車両対車両(V2V:vehicle-to-vehicle)通信リンクによって提供され得、一方、間接リンクは、インフラストラクチャ対車両(I2V:infrastructure-to-vehicle)通信リンクでもよい。一般に、V2V通信概念は、直前の車両(たとえば、車両500と同じレーン内にある、車両500の直ぐ前の車両)に関する情報を提供し、一方、I2V通信概念は、さらに前の交通に関する情報を提供する。CACCシステムは、I2V情報ソースとV2V情報ソースとのいずれか又は両方を含み得る。車両500の前方の車両の情報を所与として、CACCは、より高信頼になり得、CACCは、交通の流れをよりスムーズにし、道路の渋滞を減らす可能性を有する。
【0139】
運転者が修正行動を取ることができるように、FCWシステムは、危険を運転者に警告するように設計される。FCWシステムは、ディスプレイ、スピーカ、及び/又は振動部品など、運転者フィードバックに電気的に連結された、専用のプロセッサ、DSP、FPGA、及び/又はASICに連結された、前向きのカメラ及び/又はRADARセンサ560を使用する。FCWシステムは、音響、視覚的警報、振動及び/又はクイック・ブレーキ・パルスなどの形で、警報を提供することができる。
【0140】
AEBシステムは、別の車両又は他の物体との差し迫った前方衝突を検出し、運転者が指定された時間又は距離パラメータ内に修正行動を取らない場合に、ブレーキを自動的に適用することができる。AEBシステムは、専用のプロセッサ、DSP、FPGA、及び/又はASICに連結された、前向きのカメラ及び/又はRADARセンサ560を使用することができる。AEBシステムが危険を検出するとき、AEBシステムは通常は、先ず、衝突を回避するための修正行動を取るように運転者に警告し、運転者が修正行動を取らない場合、AEBシステムは、予測される衝突の影響を防ぐ、又は少なくとも軽減するための努力の一環としてブレーキを自動的に適用することができる。AEBシステムは、ダイナミック・ブレーキ・サポート及び/又は衝突切迫ブレーキなどの技法を含み得る。
【0141】
LDWシステムは、ハンドル又はシートの振動など、視覚的、可聴式、及び/又は触覚的警報を提供して、車両500が車線区分線を越えたときに運転者に警告する。LDWシステムは、運転者が、方向指示器を起動することによって、意図的な車線逸脱を指示するときには、起動しない。LDWシステムは、ディスプレイ、スピーカ、及び/又は振動部品など、運転者フィードバックに電気的に連結された、専用のプロセッサ、DSP、FPGA、及び/又はASICに連結された、前側を向いたカメラを使用することができる。
【0142】
LKAシステムは、LDWシステムの変更形態である。LKAシステムは、車両500が車線をはみ出し始めた場合に車両500を修正するためにステアリング入力又はブレーキを提供する。
【0143】
BSWシステムは、自動車の死角において車両の運転者に検出及び警告する。BSWシステムは、合流又はレーンの変更が安全ではないことを指示するために視覚的、可聴式、及び/又は触覚的警告を提供することができる。システムは、運転者が方向指示器を使用するとき、付加的警報を提供し得る。BSWシステムは、運転者フィードバック、たとえば、ディスプレイ、スピーカ、及び/又は振動部品、に電気的に連結された、専用プロセッサ、DSP、FPGA、及び/又はASICに連結された、後ろ側を向いたカメラ及び/又はRADARセンサ560を使用し得る。
【0144】
RCTWシステムは、車両500がバックしているときにリアカメラの範囲外で物体が検出されると視覚的、可聴式、及び/又は触覚的通知を提供することができる。いくつかのRCTWシステムは、衝突を回避するために車両ブレーキが適用されることを確実にするために、AEBを含む。RCTWシステムは、運転者フィードバック、たとえば、ディスプレイ、スピーカ、及び/又は振動部品、に電気的に連結された、専用プロセッサ、DSP、FPGA、及び/又はASICに連結された、1つ又は複数の後ろを向いたRADARセンサ560を使用することができる。
【0145】
従来のADASシステムは、運転者に警告し、安全状態が本当に存在するかどうかを運転者が判定し、それに応じて行動することを可能にするので、従来のADASシステムは、通常は壊滅的ではないが、運転者を悩ませている及び気を散らせていることがある誤判定結果を生み出す傾向にあることがあった。しかしながら、自律型車両500では、結果が矛盾する場合には、車両500自体が、1次的コンピュータ又は2次的コンピュータ(たとえば、第1のコントローラ536又は第2のコントローラ536)からの結果を聞き入れるかどうかを決定しなければならない。たとえば、一部の実施例では、ADASシステム538は、知覚情報をバックアップ・コンピュータ合理性モジュールに提供するためのバックアップ及び/又は2次的コンピュータでもよい。バックアップ・コンピュータ合理性モニタは、ハードウェア構成要素で冗長な多様なソフトウェアを実行して、知覚及び動的運転タスクにおいて障害を検出することができる。ADASシステム538からの出力は、監督MCUに提供され得る。1次的コンピュータ及び2次的コンピュータからの出力が矛盾する場合、監督MCUは、安全な動作を確実にするためにその矛盾をどのように調整するかを決定する必要がある。
【0146】
いくつかの実例では、1次的コンピュータは、選択された結果における1次的コンピュータの信頼性を指示する、信頼性スコアを監督MCUに提供するように構成され得る。信頼性スコアが閾値を超えた場合、監督MCUは、2次的コンピュータが矛盾する又は不整合の結果を与えるかどうかにかかわらず、1次的コンピュータの指示に従い得る。信頼性スコアが閾値を満たさない場合、及び1次的及び2次的コンピュータが異なる結果を示す(たとえば、矛盾する)場合、監督MCUは、コンピュータの間で調停して適切な結果を決定することができる。
【0147】
監督MCUは、2次的コンピュータが誤ったアラームを提供する状態を、1次的コンピュータ及び2次的コンピュータからの出力に基づいて、判定するようにトレーニング及び構成されたニューラル・ネットワークを実行するように構成され得る。したがって、監督MCU内のニューラル・ネットワークは、2次的コンピュータの出力が信頼され得るとき、及びそれが信頼され得ないときを学習することができる。たとえば、2次的コンピュータがRADARベースのFCWシステムであるとき、監督MCU内のニューラル・ネットワークは、アラームをトリガする下水溝の鉄格子又はマンホールの蓋など、実際には危険ではない金属製の物をいつFCWが識別しているかを学習することができる。同様に、2次的コンピュータがカメラベースのLDWシステムであるとき、監督MCU内のニューラル・ネットワークは、自転車に乗った人又は歩行者が存在し、車線逸脱が、実際には、最も安全な操作であるときに、LDWを無視することを学習することができる。監督MCU上で実行中のニューラル・ネットワークを含む実施例では、監督MCUは、関連メモリを有するニューラル・ネットワークを実行するのに適したDLA又はGPUのうちの少なくとも1つを含み得る。好ましい実施例において、監督MCUは、SoC504の構成要素を備え得る、及び/又はSoC504の構成要素として含まれ得る。
【0148】
他の実例において、ADASシステム538は、コンピュータ・ビジョンの従来のルールを使用するADAS機能を実行する2次的コンピュータを含み得る。そのようなものとして、2次的コンピュータは、古典的コンピュータ・ビジョン・ルール(if-then)を使用することができ、監督MCU内のニューラル・ネットワークの存在は、信頼性、安全性及び性能を向上させることができる。たとえば、多様な実装形態及び意図的な非同一性は、特にソフトウェア(又はソフトウェア-ハードウェア・インターフェース)機能によって引き起こされる障害に対して、システム全体をよりフォールトトレラントにする。たとえば、1次的コンピュータで実行中のソフトウェア内にソフトウェア・バグ又はエラーが存在し、2次的コンピュータで実行中の同一でないソフトウェア・コードが同じ総合的結果を提供する場合、監督MCUは、総合的結果は正しく、1次的コンピュータ上のソフトウェア又はハードウェア内のバグは重大なエラーを引き起こしていないというより大きな確信を有し得る。
【0149】
いくつかの実例では、ADASシステム538の出力は、1次的コンピュータの知覚ブロック及び/又は1次的コンピュータの動的運転タスク・ブロックに供給され得る。たとえば、ADASシステム538が、直ぐ前の物体が原因で、前方衝突警報を示した場合、知覚ブロックは、物体を識別するときに、この情報を使用することができる。他の実例において、2次的コンピュータは、本明細書に記載のように、トレーニングされ、それ故に誤判定のリスクを減らす、独自のニューラル・ネットワークを有し得る。
【0150】
車両500は、インフォテインメントSoC530(たとえば、車両内のインフォテインメント・システム(IVI:in-vehicle infotainment system))をさらに含み得る。SoCとして図示及び記述されているが、インフォテインメント・システムは、SoCでなくてもよく、2個以上の個別の構成要素を含み得る。インフォテインメントSoC530は、オーディオ(たとえば、音楽、携帯情報端末、ナビゲーション命令、ニュース、無線など)、ビデオ(たとえば、TV、映画、ストリーミングなど)、電話(たとえば、ハンズフリー通話)、ネットワーク接続(たとえば、LTE、Wi-Fiなど)、及び/又は情報サービス(たとえば、ナビゲーション・システム、後方駐車支援、無線データシステム、燃料レベル、総移動距離、ブレーキ燃料レベル、オイル・レベル、ドアを開ける/閉じる、エア・フィルタ情報などの車両関連情報)を車両500に提供するために使用され得るハードウェア及びソフトウェアの組合せを含み得る。たとえば、インフォテインメントSoC530は、無線、ディスク・プレイヤ、ナビゲーション・システム、ビデオ・プレイヤ、USB及びブルートゥース(登録商標)接続、カーピュータ、車内エンターテインメント、Wi-Fi、ハンドル・オーディオ制御装置、ハンズ・フリー音声制御、ヘッドアップ・ディスプレイ(HUD:heads-up display)、HMIディスプレイ534、テレマティックス・デバイス、制御パネル(たとえば、様々な構成要素、特徴、及び/又はシステムを制御する及び/又はこれと相互に作用するための)、及び/又は他の構成要素でもよい。インフォテインメントSoC530は、ADASシステム538からの情報、計画された車両操作などの自律運転情報、軌道、周囲環境情報(たとえば、交差点情報、車両情報、道路情報など)、及び/又は他の情報など、車両のユーザへの情報(たとえば、視覚的及び/又は可聴式の)を提供するためにさらに使用され得る。
【0151】
インフォテインメントSoC530は、GPU機能性を含み得る。インフォテインメントSoC530は、バス502(たとえば、CANバス、イーサネット(登録商標)など)を介して、車両500の他のデバイス、システム、及び/又は構成要素と通信することができる。いくつかの実例では、インフォテインメント・システムのGPUが、1次的コントローラ536(たとえば、車両500の1次的及び/又はバックアップ・コンピュータ)が故障した場合に、いくつかのセルフドライブ機能を実行することができるように、インフォテインメントSoC530は、監督MCUに連結され得る。そのような実例では、インフォテインメントSoC530は、本明細書に記載のように、車両500をショーファーの安全停止モードにすることができる。
【0152】
車両500は、計器群532(たとえば、デジタル・ダッシュ、電子計器群、デジタル計器パネルなど)をさらに含み得る。計器群532は、コントローラ及び/又はスーパーコンピュータ(たとえば、個別のコントローラ又はスーパーコンピュータ)を含み得る。計器群532は、スピードメーター、燃料レベル、油圧、タコメーター、オドメーター、方向指示器、ギアシフト位置インジケータ、シート・ベルト警告灯、パーキングブレーキ警告灯、エンジン故障灯、エアバッグ(SRS)システム情報、照明制御装置、安全システム制御装置、ナビゲーション情報など、1セットの器具類を含み得る。いくつかの実例では、情報は、インフォテインメントSoC530及び計器群532の間で表示及び/又は共有され得る。言い換えれば、計器群532は、インフォテインメントSoC530の一部として含まれてもよく、逆もまた同様である。
【0153】
図5Dは、本開示のいくつかの実施例による、図5Aのクラウドベースのサーバと例示的自律型車両500との間の通信のシステム図である。システム576は、サーバ578、ネットワーク590、及び、車両500を含む車両を含み得る。サーバ578は、複数のGPU584(A)~584(H)(本明細書でGPU584と総称される)、PCIeスイッチ582(A)~582(H)(本明細書でPCIeスイッチ582と総称される)、及び/又はCPU580(A)~580(B)(本明細書でCPU580と総称される)を含み得る。GPU584、CPU580、及びPCIeスイッチは、たとえば、NVIDIAによって開発されたNVLinkインターフェース588及び/又はPCIe接続586などの、これらに限定されない、高速相互接続で相互に接続され得る。いくつかの実例では、GPU584は、NVLink及び/又はNVSwitch SoCを介して接続され、GPU584及びPCIeスイッチ582は、PCIe相互接続を介して接続される。8個のGPU584、2個のCPU580、及び2個のPCIeスイッチが図示されているが、これは制限を意図されていない。実施例に応じて、それぞれのサーバ578は、任意の数のGPU584、CPU580、及び/又はPCIeスイッチを含み得る。たとえば、サーバ578は、それぞれ、8個、16個、32個、及び/又はそれ以上のGPU584を含み得る。
【0154】
サーバ578は、最近開始された道路工事など、予想外の又は変更された道路状態を示す画像を表す画像データを、ネットワーク590を介して、車両から、受信することができる。サーバ578は、ニューラル・ネットワーク592、更新されたニューラル・ネットワーク592、及び/又は、交通及び道路状態に関する情報を含むマップ情報594をネットワーク590を介して車両に送信することができる。マップ情報594の更新は、建設現場、くぼみ、迂回路、洪水、及び/又は他の障害物に関する情報など、HDマップ522の更新を含み得る。いくつかの実例では、ニューラル・ネットワーク592、更新されたニューラル・ネットワーク592、及び/又はマップ情報594は、環境において任意の数の車両から受信されたデータにおいて表された新しいトレーニング及び/又は経験から、及び/又は(たとえば、サーバ578及び/又は他のサーバを使用する)データ・センタにおいて実行されたトレーニングに基づいて、生じた可能性がある。
【0155】
サーバ578は、トレーニング・データに基づいてマシン学習モデル(たとえば、ニューラル・ネットワーク)をトレーニングするために使用され得る。トレーニング・データは、車両によって生成され得る、及び/又は(たとえば、ゲーム・エンジンを使用して)シミュレーションにおいて生成され得る。いくつかの実例では、トレーニング・データは、タグ付けされる(たとえば、ニューラル・ネットワークが、監督された学習の恩恵を受ける場合)及び/又は他の事前処理を受けるが、他の実例において、トレーニング・データは、タグ付け及び/又は事前処理されない(たとえば、ニューラル・ネットワークが、監督された学習を必要としない場合)。トレーニングは、たとえば以下のクラスを含むがこれらに限定されない、任意の1つ又は複数のクラスのマシン学習技法に従って、実行され得る:監視されたトレーニング、半監視されたトレーニング、監視されていないトレーニング、自己学習、強化学習、連合型学習、転移学習、特徴学習(主要構成要素及びクラスタ分析を含む)、マルチ線形部分空間学習、多様体学習、表現学習(予備辞書学習を含む)、ルールに基づくマシン学習、異常検出、及びそれらの変更形態若しくは組合せ。マシン学習モデルがトレーシングされた後は、マシン学習モデルは、車両によって使用され得(たとえば、ネットワーク590を介して車両に送信される、及び/又は、マシン学習モデルは、車両を遠隔監視するために、サーバ578によって使用され得る。
【0156】
いくつかの実例では、サーバ578は、車両からデータを受信し、リアルタイムのインテリジェント推論のために最新のリアルタイムのニューラル・ネットワークにデータを適用することができる。サーバ578は、NVIDIAによって開発されたDGX及びDGXステーション・マシンなど、GPU584によって電力供給される深層学習スーパーコンピュータ及び/又は専用のAIコンピュータを含み得る。しかしながら、一部の実例では、サーバ578は、CPU電源式データ・センタのみを使用する深層学習インフラストラクチャを含み得る。
【0157】
サーバ578の深層学習インフラストラクチャは、高速のリアルタイム推論の能力を有することでき、その能力を使用して車両500内のプロセッサ、ソフトウェア、及び/又は関連ハードウェアの調子を評価及び検証することができる。たとえば、深層学習インフラストラクチャは、車両500がそのシーケンスの画像内に位置したシーケンスの画像及び/又は物体など、車両500からの定期的更新を受信することができる(たとえば、コンピュータ・ビジョン及び/又は他のマシン学習物体分類技法を介して)。深層学習インフラストラクチャは、物体を識別し、車両500によって識別された物体とそれらを比較するために、独自のニューラル・ネットワークを実行することができ、結果が一致せず、インフラストラクチャが、車両500内のAIは正常に機能していないという結論を下した場合、サーバ578は、制御を推測し、乗客に通知し、安全な駐車操作を完了するように車両500のフェイルセーフ・コンピュータに命じる車両500への信号を送信することができる。
【0158】
推論のために、サーバ578は、GPU584及び1つ又は複数のプログラマブル推論加速装置(たとえば、NVIDIAのTensorRT)を含み得る。GPU電源式サーバ及び推論加速の組合せは、リアルタイムの反応性を可能にすることができる。パフォーマンスがさほど必要とされない場合など、他の実例では、CPU、FPGA、及び他のプロセッサによって電力供給されるサーバが、推論のために使用され得る。
【0159】
例示的計算デバイス
図6は、本開示のいくつかの実施例の実装に使用するのに適した計算デバイス600の一実例のブロック図である。計算デバイス600は、以下のデバイスを間接的に又は直接的につなぐ相互接続システム602を含み得る:メモリ604、1つ又は複数の中央処理装置(CPU)606、1つ又は複数のグラフィック処理ユニット(GPU)608、通信インターフェース610、入力/出力(I/O)ポート612、入力/出力構成要素614、電力供給装置616、1つ又は複数の提示構成要素618(たとえば、ディスプレイ)、及び1つ又は複数の論理ユニット620。少なくとも1つの実施例において、計算デバイス600は、1つ又は複数の仮想マシン(VM)を含み得る、及び/又は、その構成要素のいずれかは、仮想構成要素(たとえば、仮想ハードウェア構成要素)を含み得る。非限定的実例として、GPU608のうちの1つ又は複数は、1つ又は複数のvGPUを含み得、CPU606のうちの1つ又は複数は、1つ又は複数のvCPUを含み得、及び/又は、論理ユニット620のうちの1つ又は複数は、1つ又は複数の仮想論理ユニットを含み得る。そのようなものとして、計算デバイス600は、個別の構成要素(たとえば、計算デバイス600専用の全GPU)、仮想構成要素(たとえば、計算デバイス600専用のGPUの一部分)、又はその組合せを含み得る。
【0160】
図6の様々なブロックは、線で相互接続システム602を介して接続しているように示されているが、これは制限することを意図されておらず、単に分かりやすくするためである。たとえば、一部の実施例では、表示デバイスなどの提示構成要素618は、I/O構成要素614と考えられ得る(たとえば、ディスプレイがタッチ・スクリーンである場合)。別の実例として、CPU606及び/又はGPU608はメモリを含み得る(たとえば、メモリ604は、GPU608、CPU606、及び/又は他の構成要素のメモリに加えた記憶デバイスを表し得る)。言い換えれば、図6の計算デバイスは、単に例示である。「ワークステーション」、「サーバ」、「ラップトップ」、「デスクトップ」、「タブレット」、「クライアント・デバイス」、「モバイル・デバイス」、「ハンドヘルド・デバイス」、「ゲーム機」、「電子制御ユニット(ECU:electronic control unit)」、「仮想現実システム」、及び/又は他のデバイス若しくはシステム・タイプなどのカテゴリはすべて、図6の計算デバイスの範囲内にあることが意図されているので、これらは区別されない。
【0161】
相互接続システム602は、1つ又は複数のリンク又はバス、たとえば、アドレス・バス、データ・バス、制御バス、又はその組合せ、を表し得る。相互接続システム602は、1つ又は複数のバス又はリンク・タイプ、たとえば、業界標準アーキテクチャ(ISA:industry standard architecture)バス、拡張業界標準アーキテクチャ(EISA:extended industry standard architecture)バス、VESA(video electronics standards association)バス、周辺構成要素相互接続(PCI:peripheral component interconnect)バス、周辺構成要素相互接続エクスプレス(PCIe:peripheral component interconnect express)バス、及び/又は別のタイプのバス若しくはリンク、を含み得る。一部の実施例では、構成要素の間に直接接続が存在する。一実例として、CPU606は、メモリ604に直接接続され得る。さらに、CPU606は、GPU608に直接接続され得る。構成要素の間に直接、又はポイント対ポイント接続が存在する場合、相互接続システム602は、接続を実施するためのPCIeリンクを含み得る。これらの実例では、PCIバスは、計算デバイス600に含まれる必要はない。
【0162】
メモリ604は、様々なコンピュータ可読媒体のいずれかを含み得る。コンピュータ可読媒体は、計算デバイス600によってアクセスすることができる任意の利用可能な媒体でもよい。コンピュータ可読媒体は、揮発性及び不揮発性媒体の両方、及び取り外し可能な及び取り外し不可能な媒体を含み得る。例として、しかし限定ではなく、コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶媒体及び通信媒体を備え得る。
【0163】
コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造体、プログラム・モジュール、及び/又は他のデータ・タイプなどの情報の記憶のための任意の方法又は技術において実装された揮発性及び不揮発性媒体及び/又は取り外し可能な及び取り外し不可能な媒体の両方を含み得る。たとえば、メモリ604は、オペレーティング・システムなど、(たとえば、プログラム及び/又はプログラム要素を表す)コンピュータ可読命令を記憶することができる。コンピュータ記憶媒体は、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリ又は他のメモリ技術、CD-ROM、デジタル多用途ディスク(DVD:digital versatile disk)又は他の光ディスク・ストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク・ストレージ又は他の磁気記憶デバイス、或いは、所望の情報を記憶するために使用し得る及び計算デバイス600によってアクセスし得る任意の他の媒体を含み得るが、これらに限定されない。本明細書では、コンピュータ記憶媒体は、信号自体を含まない。
【0164】
コンピュータ記憶媒体は、搬送波などの変調データ信号又は他の移送機構においてコンピュータ可読命令、データ構造体、プログラム・モジュール、及び/又は他のデータ・タイプを実施することができ、任意の情報配信媒体を含む。「変調データ信号」という用語は、その特性セットのうちの1つ又は複数を有する或いは信号内の情報をエンコードするような方式で変化した信号を指し得る。例として、しかし限定せず、コンピュータ記憶媒体は、ワイヤード・ネットワーク又は直接ワイヤード接続などのワイヤード媒体と、音響、RF、赤外線及び他のワイヤレス媒体などのワイヤレス媒体とを含み得る。前述のいずれかの組合せもまた、コンピュータ可読媒体の範囲に含まれるべきである。
【0165】
CPU606は、コンピュータ可読命令のうちの少なくともいくつかを実行して計算デバイス600の1つ又は複数の構成要素を制御して本明細書に記載の方法及び/又はプロセスのうちの1つ又は複数を実行するように構成され得る。CPU606は、多数のソフトウェア・スレッドを同時に処理する能力を有する1つ又は複数の(たとえば、1個、2個、4個、8個、28個、72個などの)コアをそれぞれ含み得る。CPU606は、任意のタイプのプロセッサを含み得、実装された計算デバイス600のタイプに応じて、異なるタイプのプロセッサを含み得る(たとえば、モバイル・デバイスのためのより少数のコアを有するプロセッサ、及びサーバのためのより多数のコアを有するプロセッサ)。たとえば、計算デバイス600のタイプに応じて、プロセッサは、縮小命令セット計算(RISC:Reduced Instruction Set Computing)を使用して実装されたAdvanced RISC Machines(ARM)プロセッサ、又は複合命令セット計算(CISC:Complex Instruction Set Computing)を使用して実装されたx86プロセッサでもよい。計算デバイス600は、計算コプロセッサなど、1つ又は複数のマイクロプロセッサ又は補助コプロセッサ内の1つ又は複数のCPU606を含み得る。
【0166】
CPU606に加えて又はその代わりに、GPU608は、コンピュータ可読命令のうちの少なくともいくつかを実行して計算デバイス600の1つ又は複数の構成要素を制御して本明細書に記載の方法及び/又はプロセスのうちの1つ又は複数を実行するように構成され得る。GPU608のうちの1つ若しくは複数は、統合されたGPU(たとえば、CPU606のうちの1つ又は複数とでもよく、及び/又はGPU608のうちの1つ若しくは複数は、離散GPUでもよい。実施例では、GPU608のうちの1つ又は複数は、CPU606のうちの1つ又は複数のコプロセッサでもよい。GPU608は、グラフィックス(たとえば、3Dグラフィックス)をレンダリングする又は汎用計算を実行するために、計算デバイス600によって使用され得る。たとえば、GPU608は、GPUによる汎用計算(GPGPU:General-Purpose computing on GPU)のために使用され得る。GPU608は、同時に数百又は数千のソフトウェア・スレッドを処理する能力を有する数百又は数千のコアを含み得る。GPU608は、レンダリング・コマンド(たとえば、ホスト・インターフェースを介して受信されたCPU606からのレンダリング・コマンド)に応答して、出力画像のための画素データを生成することができる。GPU608は、画素データ又は任意の他の適切なデータ、たとえばGPGPUデータ、を記憶するためのグラフィックス・メモリ、たとえば表示メモリ、を含み得る。表示メモリは、メモリ604の一部として含まれ得る。GPU608は、並行して動作する(たとえば、リンクを介して)2個以上のGPUを含み得る。リンクは、GPUに直接接続することができ(たとえば、NVLINKを使用して)、又はスイッチを介して(たとえば、NVSwitchを使用して)GPUを接続することができる。ともに結合されるとき、各GPU608は、出力の異なる部分の又は異なる出力の画素データ又はGPGPUデータ(たとえば、第1の画像の第1のGPU及び第2の画像の第2のGPU)を生成することができる。各GPUは、独自のメモリを含むことができ、又は他のGPUとメモリを共有することができる。
【0167】
CPU606及び/又はGPU608に加えて又はその代わりに、論理ユニット620は、コンピュータ可読命令のうちの少なくともいくつかを実行して計算デバイス600のうちの1つ又は複数を制御して本明細書に記載の方法及び/又はプロセスのうちの1つ又は複数を実行するように構成され得る。実施例では、CPU606、GPU608、及び/又は論理ユニット620は、方法、プロセス及び/又はその部分の任意の組合せを離散的に又は合同で実行することができる。論理ユニット620のうちの1つ若しくは複数は、CPU606及び/若しくはGPU608のうちの1つ若しくは複数の一部でもよく及び/又はそこで統合されてもよく、及び/又は、論理ユニット620のうちの1つ若しくは複数は、CPU606及び/若しくはGPU608に対する離散構成要素であっても若しくは他の方法でそれらの外部にあってもよい。実施例では、論理ユニット620のうちの1つ又は複数は、CPU606のうちの1つ若しくは複数及び/又はGPU608のうちの1つ若しくは複数のコプロセッサでもよい。
【0168】
論理ユニット620の実例は、1つ又は複数の処理コア及び/又はその構成要素、たとえば、データ処理ユニット(DPU:Data Processing Unit)、テンソル・コア(TC:Tensor Core)、テンソル処理ユニット(TPU:Tensor Processing Unit)、画素ビジュアル・コア(PVC:Pixel Visual Core)、ビジョン処理ユニット(VPU:Vision Processing Unit)、グラフィックス処理クラスタ(GPC:Graphics Processing Cluster)、テクスチャ処理クラスタ(TPC:Texture Processing Cluster)、ストリーミング・マルチプロセッサ(SM:Streaming Multiprocessor)、木の走査ユニット(TTU:Tree Traversal Unit)、人工知能加速装置(AIA:Artificial Intelligence Accelerator)、深層学習加速装置(DLA:Deep Learning Accelerator)、論理演算ユニット(ALU)、特定用途向け集積回路(ASIC)、浮動小数点演算ユニット(FPU)、入力/出力(I/O)エレメント、周辺構成要素相互接続(PCI)又は周辺構成要素相互接続エクスプレス(PCIe)エレメント、及び/又は同類のもの、を含む。
【0169】
通信インターフェース610は、ワイヤード及び/又はワイヤレス通信を含む、電子通信ネットワークを介して計算デバイス600が他の計算デバイスと通信することを可能にする、1つ又は複数のレシーバ、トランスミッタ、及び/又はトランシーバを含み得る。通信インターフェース610は、ワイヤレス・ネットワーク(たとえば、Wi-Fi、Z-Wave、ブルートゥース(登録商標)、ブルートゥース(登録商標)LE、ZigBeeなど)、ワイヤード・ネットワーク(たとえば、イーサネット(登録商標)又はInfiniBandを介して通信すること)、低電力ワイド・エリア・ネットワーク(たとえば、LoRaWAN、SigFoxなど)、及び/又はインターネットなどの、いくつかの異なるネットワークのうちのいずれかを介する通信を可能にするための構成要素及び機能を含み得る。1つ又は複数の実施例において、論理ユニット620及び/又は通信インターフェース610は、ネットワークを介して及び/又は相互接続システム602を介して受信されたデータを1つ又は複数のGPU608(たとえば、そのメモリ)に直接的に送信するために、1つ又は複数のデータ処理ユニット(DPU)を含み得る。
【0170】
I/Oポート612は、そのうちのいくつかは計算デバイス600に内蔵(たとえば、統合)され得る、I/O構成要素614、提示構成要素618、及び/又は他の構成要素を含む、他のデバイスに計算デバイス600が論理的に連結されることを可能にすることができる。例示的なI/O構成要素614は、マイクロフォン、マウス、キーボード、ジョイスティック、ゲーム・パッド、ゲーム・コントローラ、サテライト・ディッシュ、スキャナ、プリンタ、ワイヤレス・デバイスなどを含む。I/O構成要素614は、エア・ジェスチャ、音声、又は、ユーザによって生成される他の生理的入力を処理する自然ユーザ・インターフェース(NUI:natural user interface)を提供することができる。場合によっては、入力は、さらなる処理のための適切なネットワーク要素に送信され得る。NUIは、音声認識、スタイラス認識、顔認識、生体認識、画面上での及び画面の隣でのジェスチャ認識、エア・ジェスチャ、頭部及び視標追跡、並びに計算デバイス600のディスプレイに関連するタッチ認識(さらに詳しく後述するような)の任意の組合せを実装し得る。計算デバイス600は、ジェスチャ検出及び認識のための、ステレオスコープ・カメラ・システム、赤外線カメラ・システム、RGBカメラ・システム、タッチ画面技術、及びこれらの組合せなど、深度カメラを含み得る。追加で、計算デバイス600は、動きの検出を可能にする加速度計又はジャイロスコープを含み得る(たとえば、慣性測定ユニット(IMU:inertia measurement unit)の一部として)。いくつかの実例では、加速度計又はジャイロスコープの出力は、没入型拡張現実又は仮想現実をレンダリングするために、計算デバイス600によって使用され得る。
【0171】
電力供給装置616は、ハードワイヤード電力供給装置、バッテリ電力供給装置、又はその組合せを含み得る。電力供給装置616は、計算デバイス600の構成要素が動作することを可能にするために計算デバイス600に電力を提供することができる。
【0172】
提示構成要素618は、ディスプレイ(たとえば、モニタ、タッチ画面、テレビジョン画面、ヘッドアップ表示装置(HUD)、他のディスプレイタイプ、又はその組合せ)、スピーカ、及び/又は他の提示構成要素を含み得る。提示構成要素618は、他の構成要素(たとえば、GPU608、CPU606、DPUなど)からデータを受信し、データを(たとえば、画像、ビデオ、音響などとして)出力することができる。
【0173】
例示的データ・センタ
図7は、本開示の少なくとも1つの実施例において使用され得る例示的データ・センタ700を示す。データ・センタ700は、データ・センタ・インフラストラクチャ層710、フレームワーク層720、ソフトウェア層730、及び/又はアプリケーション層740を含み得る。
【0174】
図7に示すように、データ・センタ・インフラストラクチャ層710は、資源オーケストレータ712、グループ化された計算資源714、及びノード計算資源(「ノードC.R.」)716(1)~716(N)を含み得、そこで、「N」は、任意の整数の、自然数を表す。少なくとも1つの実施例において、ノードC.R.716(1)~716(N)は、任意の数の中央処理装置(CPU)又は他のプロセッサ(DPU、加速装置、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、グラフィックス・プロセッサ若しくはグラフィックス・プロセッシング・ユニット(GPU)などを含む)、メモリ・デバイス(たとえば、動的リード・オンリ・メモリ)、記憶デバイス(たとえば、ソリッドステート若しくはディスク・ドライブ)、ネットワーク入力/出力(NW I/O)デバイス、ネットワーク・スイッチ、仮想マシン(VM)、電力モジュール、及び/又は冷却モジュールなどを含み得るが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、ノードC.R.716(1)~716(N)のうちの1つ又は複数のノードC.R.は、前述の計算資源のうちの1つ又は複数を有するサーバに対応し得る。加えて、いくつかの実施例において、ノードC.R.716(1)~7161(N)は、1つ若しくは複数の仮想構成要素、たとえば、vGPU、vCPU、及び/若しくは同類のもの、を含み得る、並びに/又は、ノードC.R.716(1)~716(N)のうちの1つ若しくは複数は、仮想マシン(VM)に対応し得る。
【0175】
少なくとも1つの実施例において、グループ化された計算資源714は、1つ又は複数のラック(図示せず)内に収容された別個のグループのノードC.R.716、或いは様々な地理的場所(やはり図示せず)にあるデータ・センタに収容された多数のラックを含み得る。グループ化された計算資源714内の別個のグループのノードC.R.716は、1つ又は複数のワークロードをサポートするように構成する又は割り当てることができる、グループ化された計算、ネットワーク、メモリ又はストレージ資源を含み得る。少なくとも1つの実施例において、CPU、GPU、DPU、及び/又は他のプロセッサを含むいくつかのノードC.R.716は、1つ又は複数のワークロードをサポートするための計算資源を提供するために、1つ又は複数のラック内にグループ化され得る。1つ又は複数のラックはまた、任意の組合せで、任意の数の電力モジュール、冷却モジュール、及び/又はネットワーク・スイッチを含み得る。
【0176】
資源オーケストレータ712は、1つ若しくは複数のノードC.R.716(1)~716(N)及び/又はグループ化された計算資源714を構成又は他の方法で制御することができる。少なくとも1つの実施例において、資源オーケストレータ712は、データ・センタ700のソフトウェア設計インフラストラクチャ(SDI)管理エンティティを含み得る。資源オーケストレータ712は、ハードウェア、ソフトウェア、又はその何らかの組合せを含み得る。
【0177】
少なくとも1つの実施例において、図7に示すように、フレームワーク層720は、ジョブ・スケジューラ732、構成マネージャ734、資源マネージャ736、及び/又は分散型ファイル・システム738を含み得る。フレームワーク層720は、ソフトウェア層730のソフトウェア732及び/又はアプリケーション層740の1つ若しくは複数のアプリケーション742をサポートするためにフレームワークを含み得る。ソフトウェア732又はアプリケーション742は、ウェブベースのサービス・ソフトウェア又はアプリケーション、たとえば、アマゾン・ウェブ・サービス、グーグル・クラウド及びMicrosoft Azureによって提供されるもの、をそれぞれ含み得る。フレームワーク層720は、大規模データ処理(たとえば、「ビッグ・データ」)のための分散型ファイル・システム738を使用し得るApache Spark(商標)(以下「Spark」)などのフリー及びオープン・ソース・ソフトウェア・ウェブ・アプリケーション・フレームワークのタイプでもよいが、これに限定されない。少なくとも1つの実施例において、ジョブ・スケジューラ732は、データ・センタ700の様々な層によってサポートされるワークロードのスケジューリングを容易にするために、Sparkドライバを含み得る。構成マネージャ734は、異なる層、たとえば、ソフトウェア層730と、大規模データ処理をサポートするためのSpark及び分散型ファイル・システム738を含むフレームワーク層720、を構成する能力を有し得る。資源マネージャ736は、分散型ファイル・システム738及びジョブ・スケジューラ732のサポートのためにマップされた又は割り当てられたクラスタ化された又はグループ化された計算資源を管理する能力を有し得る。少なくとも1つの実施例において、クラスタ化された又はグループ化された計算資源は、データ・センタ・インフラストラクチャ層710にグループ化された計算資源714を含み得る。資源マネージャ736は、資源オーケストレータ712と調整して、これらのマップされた又は割り当てられた計算資源を管理することができる。
【0178】
少なくとも1つの実施例において、ソフトウェア層730に含まれるソフトウェア732は、ノードC.R.716(1)~716(N)の少なくとも部分、グループ化された計算資源714、及び/又はフレームワーク層720の分散型ファイル・システム738によって使用されるソフトウェアを含み得る。1つ又は複数のタイプのソフトウェアは、インターネット・ウェブ・ページ検索ソフトウェア、電子メール・ウイルス・スキャン・ソフトウェア、データベース・ソフトウェア、及びストリーミング・ビデオ・コンテンツ・ソフトウェアを含み得るが、これらに限定されない。
【0179】
少なくとも1つの実施例において、アプリケーション層740に含まれるアプリケーション742は、ノードC.R.716(1)~716(N)の少なくとも部分、グループ化された計算資源714、及び/又はフレームワーク層720の分散型ファイル・システム738によって使用される1つ又は複数のタイプのアプリケーションを含み得る。1つ又は複数のタイプのアプリケーションは、任意の数のゲノミクス・アプリケーション、認知計算、並びに、トレーニング若しくは推論ソフトウェア、マシン学習フレームワーク・ソフトウェア(たとえば、PyTorch、TensorFlow、Caffeなど)、及び/又は1つ若しくは複数の実施例と併せて使用される他のマシン学習アプリケーションを含む、マシン学習アプリケーションを含み得るが、これらに限定されない。
【0180】
少なくとも1つの実施例において、構成マネージャ734、資源マネージャ736、及び資源オーケストレータ712のうちのいずれかは、任意の技術的に可能な方式で取得される任意の量及びタイプのデータに基づいて任意の数及びタイプの自己書換え型アクションを実装することができる。自己書換え型アクションは、よくない可能性のある構成決定を行うこと並びにデータ・センタの十分に活用されていない及び/又は実行の不十分な部分を恐らく回避することからデータ・センタ700のデータ・センタ・オペレータを解放し得る。
【0181】
データ・センタ700は、1つ又は複数のマシン学習モデルをトレーニングする或いは本明細書に記載の1つ又は複数の実施例による1つ又は複数のマシン学習モデルを使用して情報を予測する又は推論するために、ツール、サービス、ソフトウェア或いは他の資源を含み得る。たとえば、マシン学習モデルは、データ・センタ700に関して前述されたソフトウェア及び/又は計算資源を使用するニューラル・ネットワーク・アーキテクチャによる重量パラメータの計算によって、トレーニングされ得る。少なくとも1つの実施例において、1つ又は複数のニューラル・ネットワークに対応するトレーニングされた又は配備されたマシン学習モデルは、たとえば、本明細書に記載のものに限定されない、1つ又は複数のトレーニング技法を介して計算された重量パラメータを使用することによって、データ・センタ700に関して前述された資源を使用して情報を推論又は予測するために使用され得る。
【0182】
少なくとも1つの実施例において、データ・センタ700は、前述の資源を使用するトレーニング及び/又は推論の実行のために、CPU、特定用途向け集積回路(ASIC)、GPU、FPGA、及び/又は他のハードウェア(若しくはそれに対応する仮想計算資源)を使用することができる。さらに、前述の1つ又は複数のソフトウェア及び/又はハードウェア資源は、情報の推論をユーザがトレーニング又は実行することを可能にするためのサービス、たとえば、画像認識、音声認識、又は他の人工知能サービス、として構成され得る。
【0183】
例示的ネットワーク環境
本開示の実施例の実装において使用するのに適したネットワーク環境は、1つ若しくは複数のクライアント・デバイス、サーバ、ネットワーク接続型ストレージ(NAS:network attached storage)、他のバックエンド・デバイス、及び/又は他のデバイス・タイプを含み得る。クライアント・デバイス、サーバ、及び/又は他のデバイス・タイプ(たとえば、各デバイス)は、図6の計算デバイス600の1つ又は複数のインスタンスで実装され得、たとえば、各デバイスは、計算デバイス600の類似の構成要素、特徴、及び/又は機能性を含み得る。加えて、バックエンド・デバイス(たとえば、サーバ、NASなど)が、実装される場合、バックエンド・デバイスは、データ・センタ700の一部として含まれ得、その実例は、図7に関して本明細書でさらに詳述される。
【0184】
ネットワーク環境の構成要素は、ワイヤード、ワイヤレス、又はその両方でもよい、ネットワークを介して互いに通信し得る。ネットワークは、複数のネットワーク、又はネットワークのネットワークを含み得る。実例として、ネットワークは、1つ若しくは複数のワイド・エリア・ネットワーク(WAN)、1つ若しくは複数のローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、1つ若しくは複数のパブリック・ネットワーク、たとえば、インターネット及び/若しくは公衆交換電話網(PSTN)、並びに/又は1つ若しくは複数のプライベート・ネットワークを含み得る。ネットワークが、ワイヤレス電気通信ネットワークを含む場合、構成要素、たとえば、基地局、通信塔、或いはアクセス・ポイント(並びに他の構成要素)、は、ワイヤレス接続を提供し得る。
【0185】
互換性のあるネットワーク環境は、1つ又は複数のピア・ツー・ピア・ネットワーク環境(その場合、サーバはネットワーク環境に含まれないことがある)と、1つ又は複数のクライアント・サーバ・ネットワーク環境(その場合、1つ又は複数のサーバがネットワーク環境に含まれ得る)とを含み得る。ピア・ツー・ピア・ネットワーク環境では、サーバに関して本明細書に記載した機能性は、任意の数のクライアント・デバイスで実装され得る。
【0186】
少なくとも1つの実施例において、ネットワーク環境は、1つ又は複数のクラウドベースのネットワーク環境、分散型計算環境、その組合せなどを含み得る。クラウドベースのネットワーク環境は、フレームワーク層、ジョブ・スケジューラ、資源マネージャ、並びに、1つ若しくは複数のコア・ネットワーク・サーバ及び/又はエッジ・サーバを含み得る、サーバのうちの1つ又は複数で実装された分散型ファイル・システムを含み得る。フレームワーク層は、ソフトウェア層のソフトウェア及び/又はアプリケーション層の1つ若しくは複数のアプリケーションをサポートするために、フレームワークを含み得る。ソフトウェア又はアプリケーションは、それぞれ、ウェブベースのサービス・ソフトウェア又はアプリケーションを含み得る。実施例において、クライアント・デバイスのうちの1つ又は複数は、ウェブベースのサービス・ソフトウェア又はアプリケーションを使用し得る(たとえば、1つ又は複数のアプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)を介してサービス・ソフトウェア及び/又はアプリケーションにアクセスすることによって)。フレームワーク層は、たとえば大規模データ処理(たとえば、「ビッグ・データ」)のための分散型ファイル・システムを使用し得る、フリー及びオープン・ソース・ソフトウェア・ウェブ・アプリケーション・フレームワークのタイプでもよいが、これに限定されない。
【0187】
クラウドベースのネットワーク環境は、本明細書に記載の計算及び/又はデータ・ストレージ機能(又は1つ若しくは複数のその部分)の任意の組合せを実施するクラウド計算及び/又はクラウド・ストレージを提供し得る。これらの様々な機能のいずれも、セントラル又はコア・サーバ(たとえば、州、領域、国、世界にわたって分散され得る1つ又は複数のデータ・センタなどの)から複数の場所に分散され得る。ユーザ(たとえば、クライアント・デバイス)への接続が、エッジ・サーバに比較的近い場合、コア・サーバは、機能性の少なくとも一部分をエッジ・サーバに任じ得る。クラウドベースのネットワーク環境は、プライベート(たとえば、単一の組織に制限される)でもよく、パブリック(たとえば、多数の組織に利用可能)、及び/又はその組合せ(たとえば、ハイブリッド・クラウド環境)でもよい。
【0188】
クライアント・デバイスは、図6に関して本明細書に記載の例示的計算デバイス600の構成要素、特徴、及び機能性のうちの少なくともいくつかを含み得る。実例として、及び制限ではなく、クライアント・デバイスは、パーソナル・コンピュータ(PC)、ラップトップ・コンピュータ、モバイル・デバイス、スマートフォン、タブレット・コンピュータ、スマート・ウォッチ、ウェアラブル・コンピュータ、パーソナル・デジタル・アシスタント(PDA)、MP3プレイヤ、仮想現実ヘッドセット、全地球測位システム(GPS)又はデバイス、ビデオ・プレイヤ、ビデオカメラ、監視デバイス又はシステム、車両、ボート、飛行船、仮想マシン、ドローン、ロボット、ハンドヘルド通信デバイス、病院デバイス、ゲーミング・デバイス又はシステム、娯楽システム、車両コンピュータ・システム、組み込み型システム・コントローラ、リモート制御、器具、民生用電子デバイス、ワークステーション、エッジ・デバイス、これらの描写されたデバイスの任意の組合せ、或いは任意の他の適切なデバイスとして実施され得る。
【0189】
本開示は、コンピュータ又は、携帯情報端末若しくは他のハンドヘルド・デバイスなどの、他のマシンによって実行されている、プログラム・モジュールなどのコンピュータ実行可能命令を含む、コンピュータ・コード又はマシン使用可能命令との一般的関連において説明されることがある。一般に、ルーティン、プログラム、オブジェクト、構成要素、データ構造体などを含むプログラム・モジュールは、特定のタスクを実行する又は特定の抽象データ・タイプを実装するコードを指す。本開示は、ハンドヘルド・デバイス、家電製品、汎用コンピュータ、より特殊な計算デバイスなどを含む、様々な構成で実施され得る。本開示はまた、通信ネットワークを介してリンクされた遠隔処理デバイスによってタスクが実行される分散型コンピューティング環境において実施され得る。
【0190】
本明細書では、2個以上の要素に関する「及び/又は」の記述は、1つの要素のみ、又は要素の組合せを意味すると解釈されるべきである。たとえば、「要素A、要素B、及び/又は要素C」は、要素Aのみ、要素Bのみ、要素Cのみ、要素A及び要素B、要素A及び要素C、要素B及び要素C、或いは、要素A、B、及びCを含み得る。加えて、「要素A又は要素Bのうちの少なくとも1つ」は、要素Aの少なくとも1つ、要素Bの少なくとも1つ、或いは、要素Aの少なくとも1つ及び要素Bの少なくとも1つを含み得る。さらに、「要素A及び要素Bのうちの少なくとも1つ」は、要素Aのうちの少なくとも1つ、要素Bのうちの少なくとも1つ、或いは、要素Aのうちの少なくとも1つ及び要素Bのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0191】
本開示の主題は、法定の要件を満たすために特異性を有して記述されている。しかしながら、その記述自体が本開示の範囲を制限することは意図されていない。そうではなくて、本発明者は、請求されている主題が、他の現在の又は未来の技術と併せて、異なるステップ又は本文書に記載されたものと類似のステップの組合せを含むように、他の形で実施され得ることを意図している。さらに、「ステップ」及び/又は「ブロック」という用語は、使用される方法の異なる要素を含意するように本明細書で使用され得るが、これらの用語は、個別のステップの順番が明示的に記載されていない限り及びそのように記載されているときを除いて本明細書で開示される様々なステップの間に何らかの特定の順番を暗示するものとして解釈されるべきではない。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7
【外国語明細書】