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  • 特開-フラット複合ワイヤ 図1
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  • 特開-フラット複合ワイヤ 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023031286
(43)【公開日】2023-03-08
(54)【発明の名称】フラット複合ワイヤ
(51)【国際特許分類】
   H01B 7/08 20060101AFI20230301BHJP
【FI】
H01B7/08
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022131147
(22)【出願日】2022-08-19
(31)【優先権主張番号】110131158
(32)【優先日】2021-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】517241123
【氏名又は名称】蔡 易潔
(71)【出願人】
【識別番号】517241134
【氏名又は名称】鼎泰▲豊▼電線電纜股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100169823
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 雄郎
(72)【発明者】
【氏名】蔡 易潔
【テーマコード(参考)】
5G311
【Fターム(参考)】
5G311CA01
5G311CB03
5G311CC01
5G311CC04
5G311CD01
(57)【要約】
【課題】コア構造が耐屈曲性を有し可動部分の配線の要求を満足するフラット複合ケーブルを提供する。
【解決手段】ワイヤを互いに並べて組み合わせた少なくとも2本のワイヤを含むフラット複合ワイヤを提供する。ワイヤの各々は少なくとも3つのコア及び1つの電気絶縁部材を含む。コアの各々は複数のヤーン及び複数の導電性ワイヤを含み、これらのヤーン及び導電性ワイヤは互いにより合わされて編み上げられ、導電性ワイヤはヤーンの周りに巻き付いている。電気絶縁部材はコアを覆う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに並んで組み合わされた少なくとも2本のワイヤを具えたフラット複合ワイヤであって、前記ワイヤの各々が、
少なくとも3つのコアと、
1つの電気絶縁部材とを具え、
前記コアの各々が複数のヤーン及び複数の導電性ワイヤを含み、該ヤーン及び該導電性ワイヤは互いにより合わされて編み上げられ、該導電性ワイヤは該ヤーンの周りに巻き付き、
前記電気絶縁部材は前記コアを覆う、
フラット複合ワイヤ。
【請求項2】
前記導電性ワイヤが、裸銅線または外皮付き裸銅線である、請求項1に記載のフラット複合ワイヤ。
【請求項3】
前記コアが、前記絶縁部材内で、前記ワイヤの中心軸に対して等角度に分布している、請求項1に記載のフラット複合ワイヤ。
【請求項4】
前記ワイヤの各々の外径が0.5mm~2.5mmである、請求項1に記載のフラット複合ワイヤ。
【請求項5】
前記ワイヤの各々の外径が1.725mm~1.745mmである、請求項1に記載のフラット複合ワイヤ。
【請求項6】
前記電気絶縁部材の厚さが0.2mm~0.6mmである、請求項1に記載のフラット複合ワイヤ。
【請求項7】
前記コアの各々の外径が0.5mm~0.6mmである、請求項1に記載のフラット複合ワイヤ。
【請求項8】
前記フラット複合ワイヤの幅が4.8mm~10mmである、請求項1に記載のフラット複合ワイヤ。
【請求項9】
前記フラット複合ワイヤの幅が6.9mm~6.98mmである、請求項1に記載のフラット複合ワイヤ。
【請求項10】
前記ワイヤの各々の耐屈曲性が、動的な屈曲回数が1千万回より多く、屈曲の曲率半径が0.5mm~30mmであるような耐屈曲性である、請求項1に記載のフラット複合ワイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフラット複合ワイヤに関するものである。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
一般的に言えば、伝送ケーブルは、期待される信号伝送を促進するように2つの電子機器間を電気接続するための媒体として用いることができる。オートメーション工場及び人工知能機械のますますの普及は、必要な伝送ケーブルも増加することを意味する。
【0003】
これらの関連する機械設備の大部分が動的な製造設備に属することは注目に値し、従って、使用される伝送ケーブルも、反復されるU字曲げに耐える能力のような、可動部分の配線の要求を満足しなければならない。
【0004】
上記の要求を実現することは、単一同軸ケーブルにとって比較的容易である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
技術課題
しかし、情報の伝送量及び伝送速度の増加により、機械設備の制御の要求を満足するために、これらの機械設備はフラット複合ワイヤに変更する必要があることが多く、既存のフラット複合ワイヤは明らかに上述した能力の要求を満足することができない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
課題の解決策
本発明はフラット複合ケーブルを提供し、このフラット複合ケーブルのコア構造は、耐屈曲性を有し、可動部分の配線の要求を満足する。
【0007】
本発明のフラット複合ワイヤは、互いに並んで組み合わされた少なくとも2本のワイヤを含む。ワイヤの各々は、少なくとも3つのコア及び1つの電気絶縁部材を含む。コアの各々は複数のヤーン(単糸)及び複数の導電性ワイヤを含み、これらのヤーン及び導電性ワイヤは互いにより合わされて編み上げられ、導電性ワイヤはヤーンの周りに巻き付いている。絶縁部材はコアを覆う。
【0008】
本発明の1つの好適例では、上述した導電性ワイヤが裸銅線または外皮付き裸銅線である。
【0009】
本発明の1つの好適例では、上述したコアが、絶縁部材内で、上述したワイヤの中心軸に対して等角度に分布している。
【0010】
本発明の1つの好適例では、上述したワイヤの各々の外径が0.5mm~2.5mmである。
【0011】
本発明の1つの好適例では、上述したワイヤの各々の外径が1.725mm~1.745mmである。
【0012】
本発明の1つの好適例では、上述した電気絶縁部材の厚さが0.2mm~0.6mmである。
【0013】
本発明の1つの好適例では、上述したコアの各々の外径が0.5mm~0.6mmである。
【0014】
本発明の1つの好適例では、上述したフラット複合ワイヤの幅が4.8mm~10mmである。
【0015】
本発明の1つの好適例では、上述したフラット複合ワイヤの幅が6.9mm~6.98mmである。
【0016】
本発明の1つの好適例では、上述したワイヤの各々の耐屈曲性が、動的な屈曲回数が1千万回より多く、屈曲の曲率半径が0.5mm~30mmであるような耐屈曲性である。
【0017】
以上のことに基づけば、上記フラット複合ワイヤは、少なくとも2本のワイヤを並べて組み合わせることによって形成される。ワイヤの各々は、少なくとも3つのコア及び1つの電気絶縁部材を含む。電気絶縁部材はコアを覆い、コアの各々は複数のヤーン及び複数の導電性ワイヤを含み、これらのヤーン及び導電性ワイヤは互いにより合わされて編み上げられ、導電性ワイヤはヤーンの周りに巻き付いている。従って、コアについては、伸縮性及び強靭性を有するヤーンを中心構造として用いることによって、コアの強度を増加させることができ、その強靭性を向上させることができる。さらに、少なくとも3つのコアで構成されるワイヤは、上述した特性をワイヤに持たせることができる。
【発明の効果】
【0018】
複数のワイヤを並べて形成されるフラット複合ワイヤは、上述した特性により、屈曲に対するより高い耐性を有することができ、動的な屈曲が反復される動作状態に耐えることができ、このことは現代の生産ラインの要求を満足することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明によるフラット複合ワイヤの部分概略図である。
図2図1のフラット複合ワイヤの断面図である。
図3図2のコアの構成要素の概略図である。
図4】曲げ抵抗試験を実行中の、図1のフラット複合ワイヤの簡略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
実施形態の説明
図1は、本発明の一実施形態によるフラット複合ワイヤの部分概略図である。図2は、図1のフラット複合ワイヤの断面図である。図1と2を同時に参照されたい。本実施形態では、フラット複合ワイヤ100が、互いに並んで組み合わされた少なくとも2本のワイヤ110を含む。ここでは4本のワイヤを一例として取り挙げている。これらのワイヤ110は、熱間圧接(ホットプレス)等によって、図1に示すように並んで組み合わされ、図示する4本のワイヤ110はほぼ共平面である。
【0021】
図3は、図2のコアの構成要素の概略図である。図2と3を同時に参照されたい。本実施形態では、ワイヤ110の各々が少なくとも3つのコア112及び1つの電気絶縁部材111を含む。電気絶縁部材111はコア112を覆ってコア112を保護する。電気絶縁部材111とコア112との間の結合パラメータを適切に調整して、これら2つの相対位置を調整することができる。他の実施形態では、電気絶縁部材111がコア112の外面をギャップなしに覆うことができる。上述した熱間圧接は電気絶縁部材用であり、これにより調整された電気絶縁部材111を互いに並べて組み合わせることができる。さらに、電気絶縁部材111を、チップ(小片)を落とさない材料から選択して、クリーンルームのような環境内でのフラット複合ワイヤ100の使用を促進することができる。それに加えて、コア112の各々は複数のヤーン112a及び複数の導電性ワイヤを含み、これらのヤーン及び導電性ワイヤは互いにより合わされて編み上げられている。ここでは、ヤーン112aが、例えばポリウレタン繊維であり、より良好な張力及び強靭性を有する。ヤーン112aをより合わせて編み上げた後にコア112の中心構造を形成し、このことはヤーン112aの物理特性をコア112に直接反映することを効果的に可能にし、即ち、コア112は動的な屈曲に耐える耐性を有する。
【0022】
導電性ワイヤ112bは裸銅線または外皮付き裸銅線(例えば、スズメッキした裸銅線、即ち、裸銅線の外面が金属被覆を有する)である。ここでは、使用状態、要求される構造強度、及びインピーダンスに応じて、対応する銅材料を定めることによって、導電性ワイヤ112bの形態を定めることができる。さらに、導電性ワイヤ112bは、電気伝送用の媒体として、より合わされてヤーン112aの外周の周りに巻き付いている。しかし、導電性ワイヤ112bは実質的にヤーン112aの外側に付着しているので、構造組成の意味で、導電性ワイヤ112bは、動的な屈曲によって発生する応力に過度に耐える必要はなく、導電性ワイヤの耐用年数も相応に増加させることができる。
【0023】
図2を再び参照すれば、本実施形態では、ワイヤ110の各々の外径D2が0.5mm~2.5mmであり、より好適なものは1.725mm~1.745mmである。電気絶縁部材111の厚さは0.2mm~0.6mmである。コア112の各々の外径は0.5mm~0.6mmである。従って、4本のワイヤ110を組み合わせてフラット複合ワイヤ100を形成すると、フラット複合ワイヤの幅D1は4.8mm~10mmになり、より好適なものは6.9mm~6.98mmである。このように、図示するフラット複合ワイヤは、種々の自動機械の異なる可動部分に適用することができ、かつ占有する空間がより小さい。さらに、上述したコア112の特性により、フラット複合ワイヤ100は、平面形状を維持しつつ自由に変形してその形状を保つことができる。
【0024】
図2を再び参照すれば、ここでは、本実施形態のコア112が、電気絶縁部材111内でワイヤ110の中心軸C1に対して等角度に分布していることにも言及するべきである。ここではコア112を図示しているので、いずれの隣接する2つのコアの軸も、中心軸C1に対して120度の中心角を有する。このことは、ワイヤ110が動的な屈曲状態である際に、これらのコア112が互いに近い応力を共有して、ワイヤ110を損傷させる応力集中を生じさせないことを可能にする。それに加えて、ワイヤ110の外径D2の範囲(1.2mm~2.5mm)を満足するという前提の下で、1本のワイヤ110内のコア112の数を3~7コアから選択することができる。
【0025】
図4は、曲げ抵抗試験を実行中の、図1のフラット複合ワイヤの簡略図である。図4を参照すれば、上述した構成要素の特性により、本実施形態におけるワイヤ110の各々の耐屈曲性は、動的な屈曲回数が1千万回より多く、屈曲の曲率半径R1が0.5mm~30mmであるような耐屈曲性であり、屈曲はU字曲げまたはV字曲げとすることができる。このようにして、フラット複合ワイヤ100は、動的な屈曲が反復される動作環境に耐えることができる。図4に示すワイヤ110を一例として取り挙げれば、一方の端P1は固定端であり、他方の端P2は移動端であり、このことは動作中のオートメーション装置の往復運動を表し、このため、ワイヤ110の少なくとも一部分の領域内に屈曲が形成され、時系列が増加するに連れて、屈曲は異なる部分に形成される。
【0026】
要約すれば、本発明の上記の実施形態では、少なくとも2本のワイヤを並べて組み合わせることによってフラット複合ワイヤが形成される。ワイヤの各々が少なくとも3つのコア及び1つの電気絶縁部材を含む。電気絶縁部材はコアを覆い、コアの各々は複数のヤーン及び複数の導電性ワイヤを含み、これらのヤーン及び導電性ワイヤは互いにより合わされて編み上げられ、導電性ワイヤはヤーンの周りに巻き付いている。従って、コアについては、伸縮性及び強靭性を有するヤーンを中心構造として用いることによって、コアの強度を増加させることができ、その強靭性を向上させることができる。さらに、少なくとも3つのコアで構成されるワイヤは、上述した特性をワイヤに持たせることができる。
【0027】
換言すれば、本発明のフラット複合ワイヤは複数の複合ワイヤを寄せ集め、上述したコアの特性により、フラット複合ワイヤが、曲げ性または柔軟性の方向に大きな自由度を有し、かつ高い復元力を有する。従って、このフラット複合ワイヤは、往復運動中に、オートメーション装置の可動部分と共に自由に曲がるか折り畳まれることができ、元の無変形のフラット複合ワイヤに容易に戻ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明の、複数のワイヤを並べて組み合わせることによって形成されるフラット複合ワイヤは、上述した特性により、屈曲に対するより高い耐性を有することができ、従って、動的な屈曲が反復される動作状態に耐えることができ、このことは現代の生産ラインの要求を満足することができる。
【符号の説明】
【0029】
100 フラット複合ワイヤ
110 ワイヤ
111 電気絶縁部材
112 コア
C1 中心軸
D1 幅
D2 外径
112a ヤーン
R1 曲率半径
P1 固定端
P2 移動端
図1
図2
図3
図4
【外国語明細書】